(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105303
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ディッシングおよび腐食を最小限に抑えるとともにパッドアスペリティを改善する低温金属CMP
(51)【国際特許分類】
B24B 37/015 20120101AFI20240730BHJP
B24B 53/095 20060101ALI20240730BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B53/095
H01L21/304 621D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067272
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022508503の分割
【原出願日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】62/886,287
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/831,436
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, イェン-チュー
(72)【発明者】
【氏名】ワーン, ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ラジーブ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CMPプロセス中の研磨の予測可能性を改善し、研磨動作ごとの研磨のばらつきを低減し、ウェハごとの均一性を改善することができる化学機械研磨システムを提供する。
【解決手段】化学機械研磨システムは、研磨面を有する研磨パッド30を支持するプラテン24と、冷却剤源と、冷却剤源からの冷却剤を研磨パッド30の研磨面上に方向付ける、プラテン24の上に懸架された、1つまたは複数のアパーチャを有するディスペンサ39と、冷却剤源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、冷却剤源にノズル120を通して冷却剤を研磨面上に送達させるように構成された、コントローラ12と、を含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、
冷却剤源と、
前記冷却剤源からの冷却剤を前記研磨パッドの前記研磨面上に方向付ける、前記プラテンの上に懸架された、1つまたは複数のアパーチャを有するディスペンサと、
前記冷却剤源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、前記冷却剤源に、ノズルを通して前記冷却剤を前記研磨面上に送達させるように構成された、コントローラと、を備える、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記冷却剤源が液体冷却媒体源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液体冷却媒体が、液体窒素または水のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記冷却剤源が気体冷却媒体源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記気体冷却媒体が、窒素または二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記気体冷却媒体源が圧縮ガスを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記気体冷却媒体源が、低温のガス流を前記研磨パッド上に方向付けるように構成されたボルテックスチューブに接続される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記ノズルが、前記ノズルを通る流体流を開始および停止するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記選択されたステップがコンディショニングステップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記選択されたステップが金属除去ステップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記選択されたステップがオーバーポリッシングステップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
研磨パッドを用いて第1の温度範囲で基板をバルク研磨することと、
前記研磨パッドを用いた前記基板の金属除去、オーバーポリッシング、もしくはコンディショニングステップの1つもしくは複数を実施するか、または前記第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲であるように低下させた前記研磨パッドの研磨面の温度で、前記研磨パッドをコンディショニングすることと、を含む、化学機械研磨システムの方法。
【請求項13】
冷却剤が液体冷却媒体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却剤が気体冷却媒体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
低温のガス流を前記研磨パッド上へと方向付けるため、前記気体冷却媒体を、ボルテックスチューブを通して方向付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)に関し、より詳細には、CMP中の温度制御に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、一般的に、導電層、半導電層、または絶縁層を半導体ウェハ上に逐次堆積させることによって、基板上に形成される。様々な製造プロセスでは、基板上の層を平坦化する必要がある。例えば、ある製造ステップは、フィラー層を非平坦面の上に堆積させ、フィラー層を平坦化することを伴う。特定の用途の場合、フィラー層は、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、金属層をパターニングされた絶縁層上に堆積させて、絶縁層の溝および穴を埋めることができる。平坦化後、パターニングされた層の溝および穴内にある金属の残りの部分は、基板上の薄膜回路間に導電路を提供するビア、プラグ、およびラインを形成する。別の例として、誘電層をパターニングされた導電層の上に堆積させ、次に平坦化して、後続のフォトリソグラフィステップを可能にすることができる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、1つの許容された平坦化方法である。この平坦化方法は、一般的に、基板をキャリアヘッド上に載置する必要がある。基板の露出面は、一般的に、回転する研磨パッドに接して配置される。キャリアヘッドは、制御可能な負荷を基板に与えて基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を含む研磨スラリーが、一般的に、研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化学機械研磨システムは、研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、冷却剤源と、冷却剤源からの冷却剤を研磨パッドの研磨面上に方向付ける、プラテンの上に懸架された、1つまたは複数のアパーチャを有するディスペンサと、冷却剤源に結合され、研磨動作の選択されたステップの間、冷却剤源にノズルを通して冷却剤を研磨面上に送達させるように構成された、コントローラと、を含む。
【0005】
上記態様のいずれかの実現例は、以下の特徴の1つまたは複数を含んでもよい。
【0006】
冷却剤源は、液体冷却媒体源を含むことができる。液体冷却媒体源は、液体窒素または液体二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0007】
冷却剤源は、気体冷却媒体源を含むことができる。気体冷却媒体源は、液体窒素から形成されたガスまたは液体二酸化炭素から形成されたガスのうちの1つまたは複数を含むことができる。気体冷却媒体源は圧縮ガスを含むことができる。気体冷却媒体源は、低温のガス流を研磨パッド上へと方向付けるように構成されたボルテックスチューブに接続することができる。
【0008】
ノズルは、ノズルを通る流体流を開始および停止するように構成することができる。
【0009】
選択されたステップは、コンディショニング(conditioning、調整)ステップであることができる。選択されたステップは、金属除去ステップであることができる。選択されたステップは、オーバーポリッシング(over-polishing、過研磨)ステップであることができる。
【0010】
別の態様では、化学機械研磨システムの方法は、研磨パッドを用いて第1の温度範囲で基板をバルク研磨することと、研磨パッドを用いた基板の金属除去、オーバーポリッシング、またはコンディショニングステップの1つあるいは複数を実施するか、第1の温度範囲よりも低い第2の温度範囲であるように低下させた研磨パッドの研磨面の温度で、研磨パッドをコンディショニングすることと、を含む。
【0011】
上記態様のいずれかの実現例は、以下の特徴の1つまたは複数を含んでもよい。
【0012】
温度の低下は、研磨パッドの研磨面の上に懸架した1つまたは複数のノズルを有するアームに接続された冷却剤を使用して行うことができ、アーム上のノズルは、冷却剤を冷却剤源から研磨パッドの研磨面上に方向付けて、研磨面の温度を低下させるように構成することができる。冷却剤源は、液体冷却媒体源を含むことができる。液体冷却媒体源は、液体窒素または液体二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含むことができる。冷却剤源は、気体冷却媒体源を含むことができる。気体冷却媒体源は、液体窒素から形成されたガスまたは液体二酸化炭素から形成されたガスのうちの1つまたは複数を含むことができる。気体冷却媒体源は圧縮ガスを含むことができる。気体冷却媒体源は、低温のガス流を研磨パッド上へと方向付けるように構成されたボルテックスチューブに接続することができる。
【0013】
ノズルは、ノズルを通る流体流を開始および停止するように構成することができる。
【0014】
可能性がある利点としては、以下の1つまたは複数を含み得るがそれらに限定されない。
【0015】
様々な構成要素の温度を制御することによって、ディッシング、エロージョン、および腐食など、温度依存性のプロセスの影響を低減することができる。温度の制御はまた、より均一なパッドアスペリティを作り出し、したがって、例えば金属残渣を除去するため、研磨の均一性を改善し、パッドの寿命を延ばすことができる。
【0016】
一例では、研磨プロセスの温度を上昇させる。特に、蒸気を、即ち沸騰によって発生したガス状H2Oをスラリーに注入して、少ない液体含量(即ち、低希釈)でエネルギーを伝達して、スラリーの温度を迅速かつ効率的に上昇させることができる。これは、例えばバルク研磨の間の、研磨速度を増加させることができる。
【0017】
別の例では、研磨動作の金属除去ステップ、オーバーポリッシングステップ、またはコンディショニングステップの1つまたは複数の間の、研磨パッド表面の温度を低下させることができる。これは、ディッシングおよび腐食を低減し、ならびに/あるいはパッドアスペリティの均一性を改善し、したがって、研磨の均一性を改善するとともにパッドの寿命を延ばすことができる。
【0018】
加えて、CMP装置の様々な構成要素の温度を低下させることができ、それによってガルバニック反応速度を低減し、様々な構成要素の腐食を低減することができる。これは、研磨されたウェハの欠陥を低減することができる。
【0019】
これは、CMPプロセス中の研磨の予測可能性を改善し、研磨動作ごとの研磨のばらつきを低減し、ウェハごとの均一性を改善することができる。
【0020】
1つまたは複数の実現例の詳細を、添付図面および以下の説明に示す。他の態様、特徴、および利点は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2A】一例のキャリアヘッド蒸気処理アセンブリを示す概略断面図である。
【
図2B】一例のコンディショニングヘッド蒸気処理アセンブリを示す概略断面図である。
【
図3A】研磨装置の研磨ステーションの一例を示す概略断面図である。
【
図3B】化学機械研磨装置の一例の研磨ステーションを示す概略上面図である。
【
図4A】一例の蒸気発生器を示す概略断面図である。
【
図4B】一例の蒸気発生器を示す概略断面上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
化学機械研磨は、基板、研磨液、および研磨パッドの間の境界面における、機械研磨と化学エッチングとの組み合わせによって動作する。研磨プロセスの間、基板の表面と研磨パッドとの摩擦によって相当量の熱が発生する。加えて、一部のプロセスはまた、コンディショニングディスク、例えば研磨ダイヤモンド粒子でコーティングされたディスクを、回転する研磨パッドに押し付けて、研磨パッド表面がコンディショニング(conditioning、調整)されテクスチャ加工される、インシチューのパッドコンディショニングステップを含む。コンディショニングプロセスの研磨も熱を発生する場合がある。例えば、公称ダウンフォース圧力2psiおよび除去率8000オングストローム/分の一般的な一分の銅CMPプロセスでは、ポリウレタン研磨パッドの表面温度は約30℃上昇する場合がある。
【0023】
他方で、研磨パッド上に分配されるスラリーはヒートシンクとして作用することができる。全体として、これらの影響は、空間的な、また時間に伴う、研磨パッドの温度のばらつきをもたらす。
【0024】
CMPプロセスにおける化学に関連する変数、例えば関与する反応の開始および速度としての変数、ならびに機械に関連する変数、例えば、研磨パッドの表面摩擦係数、貯蔵弾性率、および粘弾性は、両方とも温度に大きく依存する。結論として、研磨パッドの表面温度のばらつきは、除去率、研磨の均一性、エロージョン、ディッシング、および残渣の変化をもたらす場合がある。金属除去ステップ、オーバーポリッシング(over-polishing、過研磨)ステップ、またはコンディショニングステップの1つまたは複数の間、研磨パッドの表面の温度をより緊密に制御することによって、温度のばらつきを低減することができ、例えば、ウェハ内の不均一性またはウェハ間の不均一性によって測定されるような、研磨性能を改善することができる。
【0025】
一般に、研磨液38の温度が上昇するにつれて、研磨液38の研磨速度が増加する。反対に、研磨液38の温度が低下するにつれて、研磨液38の研磨速度は減少する。研磨速度の増加は、研磨動作のいくつかの段階(例えば、バルク研磨の間)において望ましいことがあり、研磨速度の減少は、研磨動作の他の段階(例えば、金属除去ステップ、オーバーポリッシングステップ、およびコンディショニングステップの間)において望ましいことがある。
【0026】
更に、デブリおよびスラリーが、CMPの間、CMP装置の様々な構成要素上に蓄積する場合がある。デブリおよびスラリーによる機械および化学エッチングは、研磨パッドのディッシングおよびエロージョンを引き起こす場合があり、CMP装置の様々な構成要素を腐食させる場合がある。
【0027】
これらの課題の1つまたは複数に対処し得る技法は、研磨プロセスの部分の間、例えばバルク研磨の間、研磨パッドおよび/またはスラリーを予熱するというものである。例えば、CMP装置の様々な構成要素(例えば、研磨液リザーバ37からの研磨液38)を、蒸気、即ちガス状H2Oを使用して加熱して、研磨プロセス中の研磨速度を上昇させることができる。加えて、例えば、ボルテックスチューブ冷却を使用して、および/または冷却剤を分配することによって、研磨パッドおよび様々な構成要素の温度を低下させて、金属除去ステップ、オーバーポリッシングステップ、またはコンディショニングステップの1つまたは複数の間の、スラリー化学物質の研磨速度を低減することができる。
【0028】
図1は、1つまたは複数の基板を処理する、化学機械研磨装置2の平面図である。研磨装置2は、複数の研磨ステーション20を少なくとも部分的に支持し収容する、研磨プラットフォーム4を含む。例えば、研磨装置は、4つの研磨ステーション20a、20b、20c、および20dを含むことができる。各研磨ステーション20は、キャリアヘッド70に保定された基板を研磨するように適合される。各ステーションの全ての構成要素が
図1に示されているわけではない。
【0029】
研磨装置2はまた、基板を保持するようにそれぞれ構成された、複数のキャリアヘッド70を含む。研磨装置2はまた、基板をキャリアヘッドにロードし、またキャリアヘッドからアンロードする、移送ステーション6を含む。移送ステーション6は、移送ロボット9によって、キャリアヘッド70と工場インターフェース(図示なし)または他のデバイス(図示なし)との間で基板を移送するのを容易にするように適合された、複数のロードカップ8、例えば2つのロードカップ8a、8bを含むことができる。ロードカップ8は、一般に、キャリアヘッド70のロードおよびアンロードによって、ロボット9とキャリアヘッド70それぞれとの間での移送を容易にする。
【0030】
移送ステーション6および研磨ステーション20を含む、研磨装置2のステーションは、プラットフォーム4の中心の周りで実質的に等しい角度間隔で位置付けることができる。これは要件ではないが、研磨装置に良好なフットプリントを提供することができる。
【0031】
研磨動作のため、1つのキャリアヘッド70が各研磨ステーションに位置付けられる。ステーション6のロードおよびアンロードの際、他の基板を研磨ステーション20で研磨しながら、研磨された基板を研磨されていない基板と交換するように、2つの追加のキャリアヘッドを位置付けることができる。
【0032】
キャリアヘッド70は、各キャリアヘッドを、第1の研磨ステーション20a、第2の研磨ステーション20b、第3の研磨ステーション20c、および第4の研磨ステーション20dを順に通過する経路に沿って移動させることができる、支持構造によって保持される。これにより、各キャリアヘッドを研磨ステーション20およびロードカップ8の上で選択的に位置付けることができる。
【0033】
いくつかの実現例では、各キャリアヘッド70は、支持構造72に取り付けられるキャリッジ78に結合される。キャリッジ78を支持構造72に沿って、例えば、トラックに沿って移動させることによって、キャリアヘッド70を選択された研磨ステーション20またはロードカップ8の上に位置付けることができる。あるいは、キャリアヘッド70はカルーセルから懸架することができ、カルーセルの回転によって、全てのキャリアヘッドが円形経路に沿って同時に移動する。
【0034】
研磨装置2の各研磨ステーション20は、例えば、スラリーディスペンサ39(例えば、ディスペンサアーム)の端部に、研磨スラリーなどの研磨液38(
図3Aを参照)を研磨パッド30上に分配する、ポートを含むことができる。研磨装置2の各研磨ステーション20はまた、研磨パッド30を研磨して研磨パッド30を一貫した研磨状態で維持する、パッドコンディショナ93を含むことができる。
【0035】
図3Aおよび
図3Bは、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の一例を示している。研磨ステーション20は、研磨パッド30が上に載置される、回転可能なディスク形状のプラテン24を含む。プラテン24は、軸線25を中心にして回転するように動作可能である(
図3Bの矢印Aを参照)。例えば、モータ22が駆動軸28を旋回させて、プラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側の研磨層34とより柔らかい裏打ち層32とを有する、二層の研磨パッドであることができる。
【0036】
図1、
図3A、および
図3Bを参照すると、研磨ステーション20は、研磨スラリーなどの研磨液38を研磨パッド30上に分配する供給ポートを、例えばスラリー送達アーム39の端部に含むことができる。
【0037】
研磨ステーション20は、研磨パッド30の表面粗さを維持するのに、コンディショナディスク92(
図2Bを参照)を有するパッドコンディショナ90を含むことができる。コンディショナディスク92は、アーム94の端部にあるコンディショナヘッド93に位置付けることができる。アーム94およびコンディショナヘッド93は基部96によって支持される。アーム94は、研磨パッド30を横切って、コンディショナヘッド93およびコンディショナディスク92を横方向に掃引するように回動することができる。クリーニングカップ250は、アーム94がコンディショナヘッド93を移動させることができる位置で、プラテン24に隣接して配置することができる。
【0038】
キャリアヘッド70は、研磨パッド30に接して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、支持構造72、例えばカルーセルまたはトラックから懸架され、キャリアヘッドが軸線71を中心にして回転できるように、駆動軸74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続される。任意に、キャリアヘッド70は、トラックに沿った移動によって、またはカルーセル自体の回転振動によって、横方向に、例えばカルーセルのスライダ上で振動することができる。
【0039】
キャリアヘッド70は、基板10の裏面に接触する基板取付け面を有する可撓性メンブレン80と、基板10上の異なる区域に、例えば異なる径方向区域に異なる圧力を印加する複数の加圧可能なチャンバ82とを含むことができる。キャリアヘッド70は、基板を保持する保定リング84を含むことができる。いくつかの実現例では、保定リング84は、研磨パッドに接触する下側のプラスチック部分86と、より硬質の材料、例えば金属の上側部分88とを含んでもよい。
【0040】
動作の際、プラテンはその中心軸25を中心にして回転させられ、キャリアヘッドは、その中心軸71を中心にして回転させられ(
図3Bの矢印Bを参照)、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進させられる(
図3Bの矢印Cを参照)。
【0041】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、キャリアヘッド70が研磨パッド30を横切って掃引するにつれて、キャリアヘッド70のいずれかの露出面がスラリーで被覆される傾向がある。例えば、スラリーは、保定リング84の外径または内径面に粘着する場合がある。一般に、湿潤状態で維持されないいずれかの表面の場合、スラリーは凝固および/または乾燥する傾向がある。結果として、微粒子がキャリアヘッド70上に生じ得る。これらの微粒子が取り除かれた場合、微粒子が基板を引っ掻いて研磨欠陥をもたらす場合がある。
【0042】
更に、スラリーがキャリアヘッド70上にこびりつく場合があり、またはスラリー中の水酸化ナトリウムが、キャリアヘッド70および/または基板10の表面の1つに結晶化し、キャリアヘッド70の表面を腐食させる場合がある。こびりついたスラリーは除去するのが困難であり、結晶化した水酸化ナトリウムは溶液に戻すのが困難である。
【0043】
同様の問題がコンディショナヘッド92で起こり、例えば、微粒子がコンディショナヘッド92上に生じる場合があり、スラリーがコンディショナヘッド92上にこびりつく場合があり、またはスラリー中の水酸化ナトリウムがコンディショナヘッド92の表面の1つで結晶化する場合がある。
【0044】
1つの解決策は、構成要素、例えばキャリアヘッド70およびコンディショナヘッド92を、液体水流で洗浄することである。しかしながら、構成要素は、水流のみで洗浄するのが困難な場合があり、相当量の水が必要なことがある。加えて、研磨パッド30に接触する構成要素、例えばキャリアヘッド70、基板10、およびコンディショナディスク92は、研磨パッド温度の均一性を妨げるヒートシンクとして作用する場合がある。
【0045】
これらの問題に対処するため、
図2Aに示されるように、研磨装置2は、1つまたは複数のキャリアヘッド蒸気処理アセンブリ200を含む。各蒸気処理アセンブリ200は、キャリアヘッド70および基板10を洗浄および/または予熱するのに使用することができる。
【0046】
蒸気処理アセンブリ200は、ロードカップ8の一部、例えばロードカップ8aまたは8bの一部であることができる。あるいはまたは加えて、蒸気処理アセンブリ200は、隣接する研磨ステーション20間に位置する1つまたは複数のプラテン間ステーション9に設けることができる。
【0047】
ロードカップ8は、ロード/アンロードプロセスの間、基板10を保持する架台204を含む。ロードカップ8はまた、架台204を取り囲むかまたは実質的に取り囲むハウジング206を含む。複数のノズル225が、ハウジング206または別個の支持体によって支持されて、蒸気245を、ハウジング206によって規定されるキャビティ208内に位置付けられた、キャリアヘッドおよび/または基板に送達する。例えば、ノズル225は、ハウジング206の1つまたは複数の内表面に、例えばキャビティの床206aおよび/または側壁206bおよび/または天井に位置付けることができる。ノズル225は、例えばコントローラ12を使用して、ノズル225を通る流体流を開始および停止するように構成することができる。ノズル225は、蒸気をキャビティ206内へと内側に方向付けるように配向することができる。蒸気245は、蒸気発生器410、例えば更に後述する蒸気発生器を使用することによって、発生させることができる。ドレイン235は、余分な水、洗浄溶液、および洗浄副産物が通り抜けられるようにして、ロードカップ8に蓄積するのを防ぐことができる。
【0048】
アクチュエータは、ハウジング206とキャリアヘッド70との間で、相対垂直運動を提供する。例えば、軸210は、ハウジング206を支持することができ、またハウジング206を上下させるように垂直に作動可能であることができる。あるいは、キャリアヘッド70は垂直に移動することができる。架台205は軸210と同軸であることができる。架台204は、ハウジング206に対して垂直に移動可能であることができる。
【0049】
動作の際、キャリアヘッド70はロードカップ8の上に位置付けることができ、ハウジング206を上昇させて(またはキャリアヘッド70を下降させて)、キャリアヘッド70が部分的にキャビティ208内にあるようにすることができる。基板10は、架台204上で始まってキャリアヘッド70上にチャックすることができ、および/またはキャリアヘッド70上で始まって架台204上にデチャックすることができる。
【0050】
蒸気は、基板10および/またはキャリアヘッド70の1つもしくは複数の表面を洗浄および/または予熱するように、ノズル225を通して方向付けられる。例えば、ノズルの1つまたは複数を、キャリアヘッド70の外表面、保定リング84の外表面84a、および/または保定リング84の下面84b上に蒸気を方向付けるように位置付けることができる。ノズルの1つまたは複数は、キャリアヘッド70によって保持されている基板10の前面、即ち研磨される表面上に、または基板10がキャリアヘッド70上で支持されていない場合、メンブレン80の下面上に、蒸気を方向付けるように位置付けることができる。1つまたは複数のノズルを架台204の下方に位置付けて、架台204上に位置付けられた基板10の前面上へと蒸気を上方に方向付けることができる。1つまたは複数のノズルを架台204の上方に位置付けて、架台204上に位置付けられた基板10の裏面上へと蒸気を下方に方向付けることができる。キャリアヘッド70は、ロードカップ8内で回転し、および/またはロードカップ8に対して垂直に移動して、ノズル225がキャリアヘッド70および/または基板10の異なる区域を処理するのを可能にすることができる。基板10は、架台205上に置かれて、キャリアヘッド70の内表面を、例えばメンブレン82の下面、または保定リング84の内表面を、蒸気処理するのを可能にすることができる。
【0051】
蒸気は、蒸気源から、ハウジング206を通る供給ライン230を通って、ノズル225まで循環させられる。ノズル225は、蒸気245を噴霧して、各研磨動作後にキャリアヘッド70および基板10上に残った有機残渣、副産物、デブリ、およびスラリー粒子を除去することができる。ノズル225は、蒸気245を噴霧して、基板10および/またはキャリアヘッド70を加熱することができる。
【0052】
プラテン間ステーション9は、同様に構築し動作させることができるが、必ずしも基板支持架台を有するとは限らない。
【0053】
ノズル225によって送達される蒸気245は、キャリアヘッド70および基板10の清浄および予熱を変動させる、調節可能な温度、圧力、および流量を有することができる。いくつかの実現例では、温度、圧力、および/または流量は、各ノズルに対して、またはノズル群の間で独立して調節可能である。
【0054】
例えば、蒸気245を(例えば、
図4Aの蒸気発生器410内で)発生させたとき、蒸気245の温度は90~200℃であることができる。蒸気245を、例えば移行中の熱損失により、ノズル225によって分配するとき、蒸気245の温度は90~150℃であることができる。いくつかの実現例では、蒸気は、70~100℃、例えば80~90℃の温度でノズル225によって送達される。いくつかの実現例では、ノズルによって送達される蒸気は過熱され、即ち沸点を上回る温度である。
【0055】
蒸気245の流量は、蒸気245がノズル225によって送達されるとき、ヒータの出力および圧力に応じて、1~1000cc/分であることができる。いくつかの実現例では、蒸気は他のガスと混合され、例えば、大気またはN2と混合される。あるいは、ノズル225によって送達される流体は実質的に純粋な水である。いくつかの実現例では、ノズル225によって送達される蒸気245は液体水と、例えばエアロゾル化した水と混合される。例えば、液体水および蒸気は、1:1~1:10の相対流量比で(例えば、sccm単位の流量で)組み合わせることができる。しかしながら、液体水の量が少ない場合、例えば5重量%未満、例えば3重量%未満、例えば1重量%未満の場合、蒸気は優れた伝熱性を有するであろう。したがって、いくつかの実現例では、蒸気は乾燥蒸気であり、即ち水滴を実質的に含まない。
【0056】
メンブレンが熱で劣化するのを回避するため、水を蒸気245と混合して、温度を例えば40~50℃程度まで低減させることができる。蒸気245の温度は、冷却された水を蒸気245に混合するか、または同じもしくは実質的に同じ温度の水を蒸気245に混合することによって低減することができる(液体水はガス状の水よりもエネルギー伝達が少ないため)。
【0057】
いくつかの実現例では、蒸気処理アセンブリ200に、またはその近傍に温度センサ214をインストールして、キャリアヘッド70および/または基板10の温度を検出することができる。センサ214からの信号をコントローラ12によって受信して、キャリアヘッド70および/または基板10の温度をモニタリングすることができる。コントローラ12は、温度センサ214からの温度測定値に基づいて、アセンブリ100による蒸気の送達を制御することができる。例えば、コントローラは目標温度値を受信することができる。温度測定値が目標値を超えることをコントローラ12が検出した場合、コントローラ12は蒸気の流れを停止する。別の例として、コントローラ12は、例えば洗浄および/または予熱中の構成要素の過熱を防ぐため、蒸気送達流量を低減し、および/または蒸気温度を低減することができる。
【0058】
いくつかの実現例では、コントローラ12はタイマーを含む。この場合、コントローラ12は、蒸気の送達が始まると開始することができ、タイマーが切れると蒸気の送達を停止することができる。タイマーは、洗浄および/または予熱中のキャリアヘッド70および基板10の所望の温度を得る、経験的試験に基づいて設定することができる。
【0059】
図2Bは、ハウジング255を含むコンディショナ蒸気処理アセンブリ250を示している。ハウジング255は、コンディショナディスク92およびコンディショナヘッド93を受け入れる「カップ」を形成することができる。蒸気は、ハウジング255内の供給ライン280を通って1つまたは複数のノズル275まで循環させられる。ノズル275は、蒸気295を噴霧して、各コンディショニング動作後にコンディショナディスク92および/またはコンディショナヘッド93上に残った研磨副産物、例えばデブリまたはスラリー粒子を除去することができる。ノズル275は、ハウジング255内に、例えば、ハウジング255の内部の床、側壁、天井に配置することができる。ノズル275は、例えばコントローラ12を使用して、ノズル275を通る流体流を開始および停止するように構成することができる。1つまたは複数のノズルは、パッドコンディショナディスクの底面、ならびに/あるいはコンディショナヘッド93の底面、側壁、および/または上面を洗浄するように位置付けることができる。蒸気295は蒸気発生器410を使用して発生させることができる。ドレイン285は、余分な水、洗浄溶液、および洗浄副産物が通り抜けられるようにして、ハウジング255に蓄積するのを防ぐことができる。
【0060】
コンディショナヘッド93およびコンディショナディスク92は、少なくとも部分的にハウジング255内へと下降させて、蒸気処理することができる。コンディショナディスク92が動作するように戻される場合、コンディショナヘッド93およびコンディショナディスク92は持ち上げられてハウジング255から出され、研磨パッド30上に位置付けられて、研磨パッド30をコンディショニングする。コンディショニング動作が完了すると、コンディショナヘッド93およびコンディショナディスク92は、研磨パッドから持ち上げられ、回動してハウジングカップ255に戻されて、コンディショナヘッド93およびコンディショナディスク92上の研磨副産物が除去される。いくつかの実現例では、ハウジング255は垂直作動可能であり、例えば垂直駆動軸260に取り付けられる。
【0061】
ハウジング255は、パッドコンディショナディスク92およびコンディショナヘッド93を受け入れるように位置付けられる。コンディショナディスク92およびコンディショナヘッド93は、ハウジング255内で回転し、および/またはハウジング255内で垂直に移動して、ノズル275が、コンディショナディスク92およびコンディショナヘッド93の様々な表面を蒸気処理するのを可能にすることができる。
【0062】
ノズル275によって送達される蒸気295は、調節可能な温度、圧力、および/または流量を有することができる。いくつかの実現例では、温度、圧力、および/または流量は、各ノズルに対して、またはノズル群の間で独立して調節可能である。これにより、変更が可能になり、したがってコンディショナディスク92またはコンディショナヘッド93の洗浄をより効果的にすることができる。
【0063】
例えば、蒸気295を(例えば、
図4Aの蒸気発生器410内で)発生させたとき、蒸気295の温度は90~200℃であることができる。蒸気295を、例えば移行中の熱損失により、ノズル275によって分配するとき、蒸気295の温度は90~150℃であることができる。いくつかの実現例では、蒸気は、70~100℃、例えば80~90℃の温度でノズル275によって送達することができる。いくつかの実現例では、ノズルによって送達される蒸気は過熱され、即ち沸点を上回る温度である。
【0064】
蒸気2945の流量は、蒸気295がノズル275によって送達されるとき、1~1000cc/分であることができる。いくつかの実現例では、蒸気は他のガスと混合され、例えば、大気またはN2と混合される。あるいは、ノズル275によって送達される流体は実質的に純粋な水である。いくつかの実現例では、ノズル275によって送達される蒸気295は液体水と、例えばエアロゾル化した水と混合される。例えば、液体水および蒸気は、1:1~1:10の相対流量比で(例えば、sccm単位の流量で)組み合わせることができる。しかしながら、液体水の量が少ない場合、例えば5重量%未満、例えば3重量%未満、例えば1重量%未満の場合、蒸気は優れた伝熱性を有するであろう。したがって、いくつかの実現例では、蒸気は乾燥蒸気であり、即ち水滴を含まない。
【0065】
いくつかの実現例では、ハウジング255に、またはその近傍に温度センサ264をインストールして、コンディショナヘッド93および/またはコンディショナディスク92の温度を検出することができる。コントローラ12は、温度センサ264から信号を受信して、コンディショナヘッド93またはコンディショナディスク92の温度をモニタリングし、例えばパッドコンディショナディスク92の温度を検出することができる。コントローラ12は、温度センサ264からの温度測定値に基づいて、アセンブリ250による蒸気の送達を制御することができる。例えば、コントローラは目標温度値を受信することができる。温度測定値が目標値を超えることをコントローラ12が検出した場合、コントローラ12は蒸気の流れを停止する。別の例として、コントローラ12は、例えば洗浄および/または予熱中の構成要素の過熱を防ぐため、蒸気送達流量を低減し、および/または蒸気温度を低減することができる。
【0066】
いくつかの実現例では、コントローラ12はタイマーを使用する。この場合、コントローラ12は、蒸気の送達が始まると時間を開始し、タイマーが切れると蒸気の送達を停止することができる。タイマーは、例えば過熱を防ぐため、洗浄および/または予熱中のコンディショナディスク92の所望の温度を得る、経験的試験に基づいて設定することができる。
【0067】
図3Aを参照すると、いくつかの実現例では、研磨ステーション20は、研磨ステーションの、または研磨ステーションの/研磨ステーション内の構成要素の温度、例えば、研磨パッド30および/または研磨パッド上の研磨液38の温度をモニタリングする、温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、研磨パッド30の上方に位置付けられ、研磨パッド30および/または研磨パッド上の研磨液38の温度を測定するように構成された、赤外(IR)センサ、例えばIRカメラであり得る。特に、温度センサ64は、径方向温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントで温度を測定するように構成される。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径にわたる視野を有することができる。
【0068】
いくつかの実現例では、温度センサは非接触センサではなく接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24の上または中に位置付けられた、熱電対またはIR温度計であることができる。加えて、温度センサ64は研磨パッドと直接接触することができる。
【0069】
いくつかの実現例では、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントにおける温度を提供するために、複数の温度センサを、研磨パッド30にわたる異なる径方向位置で離隔させることができる。この技法は、IRカメラの代わりに、またはIRカメラに加えて使用することができる。
【0070】
図3Aでは、研磨パッド30および/またはパッド30上の研磨液38の温度をモニタリングするように位置付けられるが、温度センサ64は、基板10の温度を測定するように、キャリアヘッド70内部に位置付けることができる。温度センサ64は、基板10の半導体ウェハと直接接触することができる(即ち、接触センサ)。いくつかの実現例では、例えば、研磨ステーションの/研磨ステーション内の異なる構成要素の温度を測定するため、複数の温度センサが研磨ステーション22に含まれる。
【0071】
研磨システム20はまた、研磨パッド30および/または研磨パッド上の研磨液38の温度を制御する、温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、冷却システム102および/または加熱システム104を含むことができる。冷却システム102および加熱システム104の少なくとも1つ、いくつかの実現例では両方は、温度制御された媒体、例えば液体、水蒸気、もしくは霧を、研磨パッド30の研磨面36上に(または研磨パッド上に既にある研磨液上に)送達することによって動作する。
【0072】
冷却システム102の場合、冷却媒体は、ガス、例えば空気、または液体、例えば水であることができる。媒体は、室温であるか、または室温未満に冷やされ、例えば5~15℃であることができる。いくつかの実現例では、冷却システム102は、空気および液体の霧、例えば、液体(例えば、水)のエアロゾル化した霧を使用する。特に、冷却システムは、室温未満に冷やされた水のエアロゾル化した霧を発生させる、ノズルを有することができる。いくつかの実現例では、固体材料をガスおよび/または液体と混合することができる。固体材料は、冷やされた材料、例えば氷、または水中に溶解させたとき、例えば化学反応によって、熱を吸収する材料であることができる。
【0073】
冷却媒体は、冷却剤送達アームにおいて、ノズルに任意に形成された1つまたは複数のアパーチャ、例えば穴またはスロットに流すことによって、送達することができる。アパーチャは、冷却剤源に接続されたマニホルドによって提供することができる。
【0074】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、一例の冷却システム102は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム110を含む。アーム110は基部112によって支持することができ、基部112はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部112は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム110を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム110をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム110は、研磨ヘッド70、パッドコンディショナディスク92、およびスラリーディスペンサ39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0075】
例示の冷却システム102は、アーム110から懸架された複数のノズル120を含む。各ノズル120は、液体冷却媒体、例えば水を、研磨パッド30上に噴霧するように構成される。アーム110は、ノズル120がギャップ126によって研磨パッド30から分離されるように、基部112によって支持することができる。各ノズル120は、例えばコントローラ12を使用して、各ノズル120を通る流体流を開始および停止するように構成することができる。各ノズル120は、霧122中のエアロゾル化した水を、研磨パッド30に向かって方向付けるように構成することができる。
【0076】
冷却システム102は、液体冷却媒体源130と、気体冷却媒体源132とを含むことができる(
図3Bを参照)。媒体源130からの液体および媒体源132からのガスは、ノズル120を通して方向付けられて霧122を形成する前に、例えばアーム110の中または上にある、混合チャンバ134(
図3Aを参照)内で混合することができる。分配されたとき、この冷却剤は室温未満、例えば-100~20℃、例えば0℃未満であることができる。
【0077】
冷却システム102で使用される冷却剤は、例えば、液体窒素、あるいは液体窒素および/またはドライアイスから形成されるガスを含むことができる。いくつかの実現例では、水滴をガス流に追加することができる。水を冷却して、氷滴の融解潜熱によって研磨パッドを効率的に冷却する、氷滴を形成することができる。加えて、氷滴または水滴は、研磨パッド30が冷却されたガスによって冷却される際に乾燥するのを防ぐことができる。水よりもエタノールまたはイソプロピルアルコールをガス流に注入して、凍結粒子を形成することができる。
【0078】
ガス源132からのガス、例えば圧縮ガスは、圧縮ガスを低温流および高温流に分離し、ノズル120への低温流を研磨パッド30上に方向付けることができる、ボルテックスチューブ50に接続することができる。いくつかの実現例では、ノズル120は、圧縮ガスの低温流を研磨パッド30上に方向付ける、ボルテックスチューブの下端である。
【0079】
いくつかの実現例では、プロセスパラメータ、例えば流量、圧力、温度、および/または液体対ガスの混合比は、(例えば、コントローラ12によって)各ノズルに対して独立して制御することができる。例えば、各ノズル120に対する冷却剤を、独立して制御可能なチラーに流して、霧の温度を独立して制御することができる。別の例として、1つはガス用、1つは液体用のポンプの別個の対を各ノズルに接続して、流量、圧力、およびガスと液体の混合比を、各ノズルに対して独立して制御することができる。
【0080】
様々なノズルが、研磨パッド30上の異なる径方向区域124上に噴霧することができる。隣接する径方向区域124は重なり合う場合がある。いくつかの実現例では、ノズル120は、細長い領域128に沿って研磨パッド30に衝突する霧を発生させる。例えば、ノズルは、ほぼ平坦な三角形状体積で霧を発生させるように構成することができる。
【0081】
細長い領域128の1つまたは複数、例えば細長い領域128の全ては、領域128を通って延在する半径に平行な長手方向軸線を有することができる(領域128aを参照)。あるいは、ノズル120は円錐状の霧を発生させる。
【0082】
図1は霧自体が重なり合うことを示しているが、細長い領域が重なり合わないように、ノズル120を配向することができる。例えば、少なくともいくつかのノズル120、例えば全てのノズル120を、細長い領域128が細長い領域を通る半径に対して斜角であるように、配向することができる(領域128bを参照)。
【0083】
少なくともいくつかのノズル120は、そのノズルからの霧の中心軸(矢印Aを参照)が研磨面36に対して斜角であるように、配向することができる。特に、霧122は、プラテン24の回転によって生じる衝突の領域における、研磨パッド30の運動方向(矢印Aを参照)に対向する方向の水平成分を有するように、ノズル120から方向付けることができる。
【0084】
図3Aおよび
図3Bは、均一な間隔で離隔されたノズル120を示しているが、これは要件ではない。ノズル120は、径方向で、もしくは角度方向で、または両方で不均一に分配することができる。例えば、ノズル120は、径方向に沿って、研磨パッド30の縁部に向かってより緊密に密集させることができる。加えて、
図3Aおよび
図3Bは9つのノズルを示しているが、より多数またはより少数のノズル、例えば3~20個のノズルがあり得る。
【0085】
冷却システム102は、研磨面36の温度を低下させるのに使用することができる。例えば、研磨面36の温度は、霧122を介した液体冷却剤130からの液体、霧122を介したガス冷却剤132からのガス、ボルテックスチューブ50からの低温流52、またはそれらの組み合わせを使用して低下させることができる。いくつかの実施形態では、研磨面36の温度は20℃以下まで低下させることができる。金属除去ステップ、オーバーポリッシングステップ、またはコンディショニングステップの1つまたは複数の間、温度を低下させることによって、研磨液38の選択性を低減することにより、CMP中の軟金属のディッシングおよびエロージョンを低減することができる。
【0086】
いくつかの実現例では、温度センサは、研磨パッドまたは研磨パッド上の研磨液の温度を測定し、コントローラは、閉ループ制御アルゴリズムを実行して、研磨パッドまたは研磨パッド上の研磨液を所望の温度で維持するように、研磨液の流量に対する冷却剤の流量を制御する。
【0087】
CMP中の温度の低下は、腐食を低減するのに使用することができる。例えば、金属除去ステップ、オーバーポリッシングステップ、またはコンディショニングステップの1つまたは複数の間、温度を低下させることによって、ガルバニック反応は温度依存性であり得るため、様々な構成要素のガルバニック腐食を低減することができる。加えて、CMP中、ボルテックスチューブ50は、研磨プロセスにおいて不活性であるガスを使用することができる。特に、酸素を含まない(または大気よりも酸素が少ない)ガスを使用して、局所化された不活性環境を作り出して、局所化された不活性環境内の酸素を低減することができ、それによって腐食の低減をもたらすことができる。かかるガスの例としては、例えば、液体窒素またはドライアイスから蒸発した、窒素および二酸化炭素が挙げられる。
【0088】
研磨面36の温度を低下させることで、例えばコンディショニングステップの場合、研磨パッド30の貯蔵弾性率を増加させ、研磨パッド30の粘弾性を低減することができる。増加した貯蔵弾性率および低減した粘弾性を、パッドコンディショナディスク92に対するダウンフォースの低下および/またはパッドコンディショナディスク92によるコンディショニングの積極性の低下と組み合わせて、より均一なパッドアスペリティをもたらすことができる。均一なパッドアスペリティの利点は、後に続く研磨動作中における基板10の引っ掻きが低減されること、ならびに研磨パッド30の寿命が増加することである。
【0089】
いくつかの実現例では、冷却剤を使用して研磨液の温度を低下させる代わりにまたは加えて、加熱された流体、例えば蒸気を研磨液38(例えば、スラリー)に注入して、研磨液38が分配される前に研磨液38の温度を上昇させることができる。あるいは、加熱された流体、例えば蒸気を研磨パッド上に方向付け、即ち、研磨液が分配された後に研磨液の温度を調節するようにすることができる。
【0090】
加熱システム104の場合、加熱流体はガス、例えば蒸気(例えば、蒸気発生器410からのもの、
図4Aを参照)もしくは加熱された空気、または液体、例えば加熱された水、またはガスと液体の組み合わせであることができる。加熱流体は室温よりも高温であり、例えば40~120℃、例えば90~110℃である。流体は、実質的に純粋な脱イオン水などの水、または添加物もしくは化学物質を含む水であることができる。いくつかの実現例では、加熱システム104は蒸気の霧を使用する。蒸気は添加物または化学物質を含むことができる。
【0091】
加熱流体は、加熱送達アーム上の、例えば、1つまたは複数のノズルによって提供されるアパーチャに、例えば穴またはスロットに流すことによって送達することができる。アパーチャは、加熱液体源に接続されたマニホルドによって提供することができる。
【0092】
一例の加熱システム104は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム140を含む。アーム140は基部142によって支持することができ、基部142はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部142は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム140を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム140をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム140は、研磨ヘッド70、パッドコンディショナディスク92、およびスラリーディスペンサ39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0093】
プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140を、冷却システム110のアーム110とキャリアヘッド70との間に位置付けることができる。プラテン24の回転方向に沿って、加熱システム104のアーム140を、冷却システム110のアーム110とスラリーディスペンサ39との間に位置付けることができる。例えば、冷却システム110のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリーディスペンサ39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。
【0094】
複数の開口部144がアーム140の底面に形成される。各開口部144は、ガスまたは水蒸気、例えば蒸気を、研磨パッド30上に方向付けるように構成される。アーム140は、開口部144がギャップによって研磨パッド30から分離されるように、基部142によって支持することができる。ギャップは0.5~5mmであることができる。特に、ギャップは、加熱流体が研磨パッドに達する前に流体の熱が大幅に散逸しないように選択することができる。例えば、ギャップは、開口部から放射された蒸気が研磨パッドに達する前に凝集しないように選択することができる。
【0095】
加熱システム104は、配管によってアーム140に接続することができる、蒸気源148、例えば蒸気発生器410(
図4Aを参照)を含むことができる。各開口部144は、蒸気を研磨パッド30に向かって方向付けるように構成することができる。
【0096】
いくつかの実現例では、プロセスパラメータ、例えば流量、圧力、温度、および/または液体対ガスの混合比は、各ノズルに対して独立して制御することができる。例えば、各開口部144に対する流体を、独立して制御可能なヒータに流して、加熱流体の温度、例えば蒸気の温度を独立して制御することができる。
【0097】
様々な開口部144が、研磨パッド30上の異なる径方向区域上に蒸気を方向付けることができる。隣接する径方向区域は重なり合う場合がある。任意に、開口部144のいくつかは、その開口部からの霧の中心軸が研磨面36に対して斜角であるように、配向することができる。蒸気は、プラテン24の回転によって生じるような衝突の領域における、研磨パッド30の運動方向に対向する方向の水平成分を有するように、開口部144の1つまたは複数から方向付けることができる。
【0098】
図3Bは、均等な間隔で離隔された開口部144を示しているが、これは要件ではない。ノズル120は、径方向で、もしくは角度方向で、または両方で不均一に分配することができる。例えば、開口部144は、研磨パッド30の中心に向かってより緊密に密集させることができる。別の例として、開口部144は、研磨液38がスラリーディスペンサ39によって研磨パッド30に送達される半径に対応する半径において、より緊密に密集させることができる。加えて、
図3Bは9つの開口部を示しているが、より多数またはより少数の開口部があり得る。
【0099】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、蒸気発生器410(
図4Aを参照)からの蒸気245を研磨液38(例えば、スラリー)に注入し、研磨液38が分配される前に研磨液38の温度を上昇させることができる。液体水を使用する代わりに、蒸気245を使用して研磨液38を加熱することの利点は、気化潜熱によって液体水と比較してより多量のエネルギーを蒸気から伝達することが可能になるので、研磨液38に注入する必要がある蒸気245がより少量であろうという点である。また、研磨液38の温度を上昇させるのに要する蒸気245が液体水よりも少ないので、研磨液38が希釈されすぎない。蒸気は、1:100~1:5の流量比で研磨液に注入することができる。例えば、少量の蒸気245、例えば、50ccの研磨液38に対して1ccの蒸気245(1気圧で)を使用して、研磨液38を加熱することができる。
【0100】
蒸気245および研磨液38は、スラリーディスペンサ39のアーム内に位置する混合チャンバ35内で混合することができる。加熱流体、例えば蒸気245はまた、スラリーディスペンサ39および/または研磨液リザーバ37を加熱するのに使用することができ、スラリーディスペンサ39および/または研磨液リザーバ37が次いで、研磨パッド30上に分配する前に研磨液38を加熱することができる。
【0101】
蒸気245は同様に、脱イオン水および他の化学物質(例えば、洗浄化学物質)など、CMPで使用される他の液体を加熱するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、これらの液体は、スラリーディスペンサ39によって分配される前に研磨液38と混合することができる。温度の上昇によって、研磨液38の化学エッチング速度を増加させて、その効率を改善するとともに研磨動作中に必要な研磨液38を少なくすることができる。
【0102】
いくつかの実現例では、温度センサは混合物の温度を測定し、コントローラは、閉ループ制御アルゴリズムを実行して、混合物を所望の温度で維持するように、研磨液の流量に対する蒸気の流量を制御する。
【0103】
いくつかの実現例では、温度センサは、研磨パッドまたは研磨パッド上のスラリーの温度を測定し、コントローラは、閉ループ制御アルゴリズムを実行して、研磨パッドまたは研磨パッド上のスラリーを所望の温度で維持するように、研磨液の流量に対する蒸気の流量を制御する。
【0104】
コントローラ12は、蒸気発生器410とスラリーディスペンサ39との間に位置するノズルまたはバルブ(例えば、蒸気バルブ)(図示なし)を通る、蒸気245の流れを制御することができ、コントローラ12は、研磨液リザーバ37とスラリーディスペンサ39との間に位置するノズルまたはバルブ(例えば、研磨液バルブ)(図示なし)を通る、研磨液38の流れを制御することができる。
【0105】
蒸気245および研磨液38は、スラリーディスペンサ39のアーム内に位置する混合チャンバ35内で混合することができる。加熱流体、例えば蒸気245はまた、スラリーディスペンサ39および/または研磨液リザーバ37を加熱するのに使用することができ、スラリーディスペンサ39および/または研磨液リザーバ37が次いで、研磨パッド30上に分配する前に研磨液38を加熱することができる。
【0106】
蒸気245は同様に、脱イオン水および他の化学物質(例えば、洗浄化学物質)など、CMPで使用される他の液体を加熱するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、これらの液体は、スラリーディスペンサ39によって分配される前に研磨液38と混合することができる。温度の上昇によって、研磨液38の化学エッチング速度を増加させて、その効率を改善するとともに研磨動作中に必要な研磨液38を少なくすることができる。
【0107】
研磨システム20はまた、高圧すすぎシステム106を含むことができる。高圧すすぎシステム106は、洗浄流体、例えば水を、高強度で研磨パッド30上に方向付けて、パッド30を洗浄し、使用済みスラリー、研磨デブリなどを除去する、複数のノズル154、例えば3~20個のノズルを含む。
【0108】
図3Bに示されるように、一例のすすぎシステム106は、プラテン24および研磨パッド30の上を、研磨パッドの縁部から研磨パッド30の中心まで、または少なくとも中心付近(例えば、研磨パッドの総半径の5%以内)まで延在するアーム150を含む。アーム150は基部152によって支持することができ、基部152はプラテン24と同じフレーム40上で支持することができる。基部152は、1つまたは複数のアクチュエータ、例えば、アーム150を上下させるリニアアクチュエータ、および/またはアーム150をプラテン24の上で横方向に回動させる回転アクチュエータを含むことができる。アーム150は、研磨ヘッド70、パッドコンディショナディスク92、およびスラリーディスペンサ39など、他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けられる。
【0109】
プラテン24の回転方向に沿って、すすぎシステム106のアーム150を、冷却システム110のアーム110と加熱システム140のアーム140との間に位置付けることができる。例えば、冷却システム110のアーム110、すすぎシステム106のアーム150、加熱システム104のアーム140、スラリーディスペンサ39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。あるいは、プラテン24の回転方向に沿って、冷却システム104のアーム140を、すすぎシステム106のアーム150と加熱システム140のアーム140との間に位置付けることができる。例えば、すすぎシステム106のアーム150、冷却システム110のアーム110、加熱システム104のアーム140、スラリーディスペンサ39、およびキャリアヘッド70を、その順序でプラテン24の回転方向に沿って位置付けることができる。
【0110】
図3Bは、均等な間隔で離隔されたノズル154を示しているが、これは要件ではない。加えて、
図3Aおよび
図3Bは9つのノズルを示しているが、より多数またはより少数のノズル、例えば3~20個のノズルがあり得る。
【0111】
研磨システム2はまた、様々な構成要素、例えば温度制御システム100の動作を制御する、コントローラ12を含むことができる。コントローラ12は、研磨パッドの各径方向区域に対する温度測定値を温度センサ64から受け入れるように構成される。コントローラ12は、測定された温度プロファイルを所望の温度プロファイルと比較し、各ノズルまたは開口部に対する制御メカニズム(例えば、アクチュエータ、電源、ポンプ、バルブなど)へのフィードバック信号を生成することができる。フィードバック信号は、研磨パッドおよび/またはスラリーが所望の温度プロファイルに達する(または少なくとも近付く)ように、制御メカニズムに冷却または加熱の量を調節させるため、例えば内部フィードバックアルゴリズムに基づいて、コントローラ12によって計算される。
【0112】
いくつかの実現例では、研磨システム20は、研磨液38を研磨パッド30にわたって均等に分配する、ワイパーブレードまたは本体170を含む。プラテン24の回転方向に沿って、ワイパーブレード170は、スラリーディスペンサ39とキャリアヘッド70との間にあり得る。
【0113】
図3Bは、各サブシステム、例えば加熱システム102、冷却システム104、およびすすぎシステム106のための別個のアームを示しており、様々なサブシステムは、共通のアームによって支持される単一のアセンブリに含めることができる。例えば、アセンブリは、冷却モジュール、すすぎモジュール、加熱モジュール、スラリー送達モジュール、および任意にワイパーモジュールを含むことができる。各モジュールは、共通の取付けプレートに固定することができる本体、例えば円弧状本体を含むことができ、共通の取付けプレートは、アセンブリが研磨パッド30の上に位置付けられるようにして、アームの端部で固定することができる。様々な流体送達構成要素、例えば配管、通路などが、各本体の内部に延在することができる。いくつかの実現例では、モジュールは取付けプレートから別個に分離可能である。各モジュールは、上述の関連付けられたシステムのアームの機能を実施する、類似の構成要素を有することができる。
【0114】
図4Aを参照すると、本明細書に記載するプロセスのための、または化学機械研磨システムにおける他の用途のための蒸気は、蒸気発生器410を使用して発生させることができる。例示の蒸気発生器410は、内容積425を封止するキャニスタ420を含むことができる。キャニスタ420の壁は、鉱物汚染物質の量が非常に少ない熱絶縁性材料、例えば石英で作ることができる。あるいは、キャニスタの壁は別の材料で形成することができ、例えば、キャニスタの内表面をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または別のプラスチックでコーティングすることができる。いくつかの実現例では、キャニスタ420は、長さ25.4~50.8cm(10~20インチ)、幅2.54~12.7cm(1~5インチ)であることができる。
【0115】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、キャニスタ420の内容積425は、障壁426によって下側チャンバ422および上側チャンバ424に分割される。障壁426は、キャニスタ壁と同じ材料で、例えば石英、ステンレス鋼、アルミニウム、またはアルミナなどのセラミックで作ることができる。石英は、汚染リスクが低いという点で優れていることがある。障壁426は1つまたは複数のアパーチャ428を含むことができる。アパーチャ428は、障壁426がキャニスタ420の内壁と合わさる障壁426の縁部に、例えば縁部のみに配置することができる。アパーチャ428は、障壁426の縁部付近に、例えば障壁426の縁部と障壁426の中心との間に配置することができる。いくつかの実現例では、アパーチャはまた、縁部から離れて、例えば障壁426の幅にわたって、例えば障壁425の面積にわたって均一に離隔されて位置付けられる。障壁426は、沸騰水から跳ねる水滴を遮断することによって、液体水440が上側チャンバ424に入るのを実質的に防ぐことができる。これにより、乾燥蒸気が上側チャンバ424内に蓄積することが可能になる。アパーチャ428は、蒸気が下側チャンバ422から通過して上側チャンバ424に入ることを可能にする。アパーチャ428、特に障壁426の縁部付近のアパーチャ428は、上側チャンバ424の壁に凝集して下側チャンバ422内へと滴り落ちて、上側チャンバ426内の液体含量を低減するとともに、液体を水440によって再加熱するのを可能にすることができる。
【0116】
図4Aを参照すると、水入口432は、水リザーバ434をキャニスタ420の下側チャンバ422に接続することができる。水入口432は、キャニスタ420の底部または底部付近に配置されて、下側チャンバ422に水440を提供することができる。
【0117】
1つまたは複数の加熱素子430は、キャニスタ420の下側チャンバ422の一部分を取り囲むことができる。加熱素子430は、例えば、キャニスタ420の外側に巻き付けられた加熱コイル、例えば抵抗性ヒータであることができる。加熱素子はまた、キャニスタの側壁の材料上に薄膜コーティングによって提供することができ、電流が印加された場合、薄膜コーティングが加熱素子として働くことができる。
【0118】
加熱素子430はまた、キャニスタ420の下側チャンバ422内に配置することができる。例えば、加熱素子は、加熱素子からの汚染物質、例えば金属汚染物質が、蒸気に混入するのを防止する材料でコーティングすることができる。
【0119】
加熱素子430は、最低水位443aまでのキャニスタ420の底部部分に熱を加えることができる。つまり、加熱素子430は、最低水位443a以下のキャニスタ420の部分を被覆して、過熱を防ぎ、不要なエネルギー消費を低減することができる。
【0120】
蒸気出口436は、上側チャンバ424を蒸気送達通路438に接続することができる。蒸気送達通路438は、キャニスタ420の頂部または頂部付近に、例えばキャニスタ420の天井に配置して、蒸気がキャニスタ420から蒸気送達通路438内に、またCMP装置の様々な構成要素に入るのを可能にすることができる。蒸気送達通路438は、例えば、キャリアヘッド70、基板10、およびパッドコンディショナディスク92を蒸気洗浄し予熱するため、蒸気を化学機械研磨装置の様々な区域に向かって集めるのに使用することができる。
【0121】
図4Aを参照すると、いくつかの実施形態では、フィルタ470は、蒸気446中の汚染物質を低減するように構成された、蒸気出口438に結合される。フィルタ470はイオン交換フィルタであることができる。
【0122】
水440は、水リザーバ434から水入口432を通って下側チャンバ422内へと流れることができる。水440は少なくとも、加熱素子430よりも上であって障壁426よりも下である水位442まで、キャニスタ420を満たすことができる。水440が加熱されるにつれて、ガス媒体446が発生し、障壁426のアパーチャ428を通って上昇する。アパーチャ428は、蒸気が上昇するのを可能にし、同時に凝集物が落ちるのを可能にすることによって、液体を実質的に含まない(例えば、蒸気中に懸濁した液体水滴を有さない)、水が蒸気であるガス媒体446がもたらされる。
【0123】
いくつかの実施形態では、水位は、バイパスチューブ444内の水位442を測定する水位センサ460を使用して決定される。バイパスチューブは、水リザーバ434をキャニスタ420と並行して蒸気送達通路438に接続する。水位センサ460は、水位442がバイパスチューブ444内で、したがってキャニスタ420内でどこにあるかを示すことができる。例えば、水位センサ444およびキャニスタ420は均等に加圧される(例えば、両方とも同じ水リザーバ434から水を受け入れ、両方とも頂部において同じ圧力を有し、例えば、両方とも蒸気送達通路438に接続する)ので、水位442は、水位センサとキャニスタ420とで同じである。いくつかの実施形態では、水位センサ444内の水位442は、その他の場合、キャニスタ420内の水位442を示すことができ、例えば、水位センサ444内の水位442は、キャニスタ420内の水位442を示すようにスケーリングされる。
【0124】
動作の際、キャニスタ内の水位442は、最低水位443aよりも上であって最高水位443bよりも下である。最低水位443aは少なくとも加熱素子430よりも上であり、最高水位443bは蒸気出口436および障壁426よりも十分に下であるので、ガス媒体446、例えば蒸気が、キャニスタ420の頂部付近に蓄積するのを可能にし、それでもなお液体水を実質的に含まない、十分な空間が提供される。
【0125】
いくつかの実施形態では、コントローラ12は、水入口432を通る流体流を制御するバルブ480、蒸気出口436を通る流体流を制御するバルブ482、および/または水位センサ460に結合される。水位センサ460を使用して、コントローラ90は、キャニスタ420に入る水440の流れを制限し、キャニスタ420を出るガス446の流れを制限して、水位442を、最低水位443aよりも上(および加熱素子430よりも上)、かつ最高水位443bよりも下(および障壁426がある場合、障壁426よりも下)で維持するように構成される。コントローラ12はまた、キャニスタ420内の水440に送達される熱の量を制御するために、加熱素子430の電源484に結合することができる。
【0126】
図1、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、および
図4Aを参照すると、コントローラ12は、センサ64、214、および264が受信する温度測定値をモニタリングし、温度制御システム100、水入口432、および蒸気出口436を制御することができる。コントローラ12は、温度測定値を継続的にモニタリングし、フィードバックループ内で温度を制御して、研磨パッド30、キャリアヘッド70、およびコンディショナディスク92の温度を調整することができる。例えば、コントローラ12は、研磨パッド30の温度をセンサ64から受信し、水入口432および蒸気出口436を制御して、キャリアヘッド70および/またはコンディショナヘッド92上への蒸気の送達を制御して、キャリアヘッド70および/またはコンディショナヘッド92の温度を研磨パッド30の温度と一致するように上昇させることができる。温度差を低減することは、キャリアヘッド70および/またはコンディショナヘッド92が、比較的高温の研磨パッド30上でヒートシンクとして作用するのを防ぐ助けとなり得、ウェハ内の均一性を改善することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、コントローラ12は、研磨パッド30、キャリアヘッド70、およびコンディショナディスク92に対する所望の温度を格納する。コントローラ12は、センサ64、214、および264からの温度測定値をモニタリングし、温度制御システム100、水入口432、および蒸気出口436を制御して、研磨パッド30、キャリアヘッド70、および/またはコンディショナディスク92の温度を所望の温度にすることができる。温度が所望の温度を達成するようにすることで、コントローラ12は、ウェハ内の均一性およびウェハ間の均一性を改善することができる。
【0128】
あるいは、コントローラ12は、キャリアヘッド70および/またはコンディショナヘッド92の温度を、研磨パッド30の温度をわずかに上回るまで上昇させて、キャリアヘッド70および/またはコンディショナヘッド92が、それぞれの洗浄および予熱ステーションから研磨パッド30まで移動するにつれて、研磨パッド30と同じまたは実質的に同じ温度まで冷却されることを可能にすることができる。
【0129】
別のプロセスでは、研磨液38の温度をバルク研磨動作のために上昇させる。バルク研磨動作後、キャリアヘッド70の様々な構成要素(例えば、研磨面36、コンディショナディスク92)の温度を、金属除去動作、オーバーポリッシング動作、および/またはコンディショニング動作のために冷却することができる。
【0130】
本発明の多数の実施形態について説明してきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われてもよいことが理解されるであろう。したがって、他の実施形態が以下の特許請求の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨パッドを支持するプラテンと、
冷却剤源と、
前記冷却剤源からの冷却剤を前記研磨パッドの前記研磨面上に方向付ける、前記プラテンの上に懸架された、1つまたは複数のアパーチャを有するディスペンサと、
前記冷却剤源に結合されたコントローラであって、
前記研磨パッドの表面が第1の温度を有する前記研磨パッドを用いて基板をバルク研磨し、
前記基板を金属除去し、
前記金属除去の後に、前記研磨パッドの前記表面の温度がバルク研磨中の前記研磨パッドの前記表面の前記第1の温度より低い第2の温度を有するように前記冷却剤によりオーバーポリッシュのために低下されている前記研磨パッドを用いて前記基板をオーバーポリッシュする
ように構成された、コントローラと、
を備える、化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記冷却剤源は液体冷却媒体源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液体冷却媒体が液体窒素または水のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記冷却剤源が気体冷却媒体源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記気体冷却媒体が、窒素または二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記気体冷却媒体源が圧縮ガスを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記気体冷却媒体源が、低温のガス流を前記研磨パッド上に方向付けるように構成されたボルテックスチューブに接続される、
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のアパーチャは、前記1つまたは複数のアパーチャを通る流体流を開始および停止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
研磨パッドの表面が第1の温度を有する研磨パッドを用いて基板をバルク研磨することと、
前記基板を金属除去することと、
前記金属除去の後に、前記研磨パッドの前記表面の温度がバルク研磨中の前記研磨パッドの前記表面の前記第1の温度より低い第2の温度を有するように冷却剤によりオーバーポリッシュのために低下されている前記研磨パッドを用いて前記基板をオーバーポリッシュすることと、
を含む、化学機械研磨方法。
【請求項10】
前記温度を低下することは、前記研磨パッドの前記研磨面の上のアームに懸架された1つ又は複数のノズルを通して前記研磨面に前記冷却剤を流すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却剤は液体冷却媒体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体冷却媒体が液体窒素または水のうちの1つまたは複数を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却剤が気体冷却媒体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記気体冷却媒体が窒素または二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
圧縮ガス源から前記気体冷却媒体を流すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
低温のガス流を前記研磨パッド上に方向付けるようにボルテックスチューブを通して前記気体冷却媒体を方向付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ又は複数のノズルを通る流体流を開始および停止することを含む、請求項10に記載の方法。
【外国語明細書】