(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105549
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】洗浄剤並びにエッジ保護層及び残留金属ハードマスク成分を除去するためのそれの使用
(51)【国際特許分類】
C11D 7/26 20060101AFI20240730BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20240730BHJP
C11D 7/28 20060101ALI20240730BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240730BHJP
C23G 5/024 20060101ALI20240730BHJP
C23G 5/028 20060101ALI20240730BHJP
C23G 5/032 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C11D7/26
C11D7/22
C11D7/28
H01L21/304 647A
C23G5/024
C23G5/028
C23G5/032
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079169
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2022500551の分割
【原出願日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】62/871,346
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン・エム・ダリル
(72)【発明者】
【氏名】ミューレン・セイレム・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】チョ・ジュンヨン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェハ/基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面からエッジ保護層及び残留ハードマスク成分(例えば金属)を除去するための洗浄剤及びその使用方法を提供する。
【解決手段】洗浄剤は、
(i)酢酸及び/またはハロゲン化酢酸、ならびに
(ii)下記構造を有する化合物:
[式中、R
a~R
hは、それぞれ独立して、水素、置換/非置換の(C
1~6)アルキル基、置換/非置換のハロゲン化(C
1~6)アルキル基、置換/非置換の(C
1~6)アルキルカルボニル基、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってよい]を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及び
(ii)おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間の構造Bを有する化合物、
を含む洗浄剤。
【化1】
式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキルカルボニル基、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってよい。
【請求項2】
構造BにおけるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhがそれぞれ水素である、請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項3】
おおよそ15重量%の酢酸を含む、請求項1または2に記載の洗浄剤。
【請求項4】
おおよそ20重量%の酢酸を含む、請求項1または2に記載の洗浄剤。
【請求項5】
おおよそ25重量%の酢酸を含む、請求項1または2に記載の洗浄剤。
【請求項6】
おおよそ30重量%の酢酸を含む、請求項1または2に記載の洗浄剤。
【請求項7】
おおよそ35重量%の酢酸を含む、請求項1または2に記載の洗浄剤。
【請求項8】
酢酸及び構造Bを有する化合物から本質的になる、請求項1~7のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項9】
酢酸及び構造Bを有する化合物からなる、請求項1~7のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項10】
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化2】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50000未満の平均分子量を有するマスキング用組成物から形成されたエッジ保護層の除去に適合されている、請求項1~9のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項11】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項10に記載の洗浄剤。
【化4】
【請求項12】
ウェハまたは基材を洗浄する方法であって、
おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及びおおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間の構造Bを有する化合物を含む洗浄剤を用いて、ウェハまたは基材を洗浄することを含む、前記方法。
【化5】
式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていないアルキル基、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル基、置換されたもしくは置換されていないアルキルカルボニル基、ハロゲン及びヒドロキシ基であってよい。
【請求項13】
エッジ保護層が、
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化6】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50000未満の平均分子量を有する、マスキング用組成物から形成されたものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
構造BにおけるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhがそれぞれ水素である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項13または14に記載の方法。
【化8】
【請求項16】
洗浄剤が、おおよそ15重量%の酢酸を含む、請求項12~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
洗浄剤が、おおよそ20重量%の酢酸を含む、請求項12~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
洗浄剤が、おおよそ25重量%の酢酸を含む、請求項12~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
洗浄剤が、おおよそ30重量%の酢酸を含む、請求項12~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
洗浄剤が、おおよそ35重量%の酢酸を含む、請求項12~15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
洗浄剤が、酢酸及び構造Bを有する化合物から本質的になる、請求項12~20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
洗浄剤が、酢酸及び構造Bを有する化合物からなる、請求項12~20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
(a)ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面にマスキング剤を施用するステップ;
(b)施用されたマスキング剤を加熱して、ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面上にエッジ保護層を形成するステップ;
(c)ウェハまたは基材及びエッジ保護層にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)施用されたハードマスク用組成物のうち少なくともエッジ保護層と接触している部分を除去し、但し、この除去は、少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料を用いてハードマスク用組成物を洗浄することを含むステップ;
(e)施用されたハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;及び
(f)ポストアプライドベークを少なくとも一度実施するステップ;
の群から選択される一つ以上のステップを更に含む、請求項12~22のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
ウェハまたは基材からエッジ保護層及び残留ハードマスク成分を施用及び除去する方法であって、
(a)ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面にマスキング剤を施用するステップ;
(b)マスキング剤を加熱して、ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面上にエッジ保護層を形成するステップ;
(c)ウェハまたは基材及びエッジ保護層にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)ハードマスク用組成物のうち少なくともエッジ保護層と接触している部分を除去し、但し、この除去は、少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料を用いてハードマスク用組成物を洗浄することを含むステップ;
(e)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;及び
(f)おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及びおおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間のアニソールを含む洗浄剤を用いて、ウェハまたは基材を洗浄するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項25】
ポストアプライドベークステップを少なくとも一度実施することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
エッジ保護層が、
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化9】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化10】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤
を含み、但し、前記ポリマーは50,000未満の平均分子量を有する、マスキング用組成物から形成される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項26に記載の方法。
【化11】
【請求項28】
洗浄剤が、おおよそ15重量%の酢酸を含む、請求項24~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項29】
洗浄剤が、おおよそ20重量%の酢酸を含む、請求項24~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
洗浄剤が、おおよそ25重量%の酢酸を含む、請求項24~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項31】
洗浄剤が、おおよそ30重量%の酢酸を含む、請求項24~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項32】
洗浄剤が、おおよそ35重量%の酢酸を含む、請求項24~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項33】
洗浄剤が、酢酸及びアニソールから本質的になる、請求項24~32のいずれか一つに記載の方法。
【請求項34】
洗浄剤が、酢酸及びアニソールからなる、請求項24~32のいずれか一つに記載の方法。
【請求項35】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用がスピン・オンコートプロセスを含む、請求項24~34のいずれか一つに記載の方法。
【請求項36】
前記スピン・オンコートプロセスが、少なくとも一種のキャスト用溶剤を利用する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一種のキャスト用溶剤が、PGMEA、PGME、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物のうちの少なくとも一つを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用が化学蒸着プロセスを含む、請求項24~34のいずれか一つに記載の方法。
【請求項39】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用が原子層堆積プロセスを含む、請求項24~34のいずれか一つに記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料が、PGMEA、PGME、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物のうちの少なくとも一つである、請求項24~39のいずれか一つに記載の方法。
【請求項41】
ハードマスクを形成するためのハードマスク用組成物の加熱が、おおよそ150℃とおおよそ450℃との間の温度での加熱を含む、請求項24~40のいずれか一つに記載の方法。
【請求項42】
ハードマスクを形成するためのハードマスク用組成物の加熱が、おおよそ60秒間とおおよそ120秒間との間の時間の加熱を含む、請求項24~41のいずれか一つに記載の方法。
【請求項43】
(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸;
【化12】
[式中、R
1及びR
2は独立して水素またはハロゲンであり、そしてR
3はハロゲンである]、及び
(ii)おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間の構造Bを有する化合物;
【化13】
[式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキルカルボニル基、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってよい]
を含む、洗浄剤。
【請求項44】
構造BにおけるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhがそれぞれ水素である、請求項43に記載の洗浄剤。
【請求項45】
おおよそ1重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項43または44に記載の洗浄剤。
【請求項46】
おおよそ2重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項43または44に記載の洗浄剤。
【請求項47】
おおよそ4重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項43または44に記載の洗浄剤。
【請求項48】
おおよそ7重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項43または44に記載の洗浄剤。
【請求項49】
おおよそ10重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項43または44に記載の洗浄剤。
【請求項50】
構造Aのハロゲン化酢酸及び構造Bを有する化合物から本質的になる、請求項43~49のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項51】
構造Aのハロゲン化酢酸及び構造Bを有する化合物からなる、請求項43~49のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項52】
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化14】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化15】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50,000未満の平均分子量を有する、マスキング用組成物から形成されたエッジ保護層の除去に適合されている、請求項43~51のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項53】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項52に記載の洗浄剤。
【化16】
【請求項54】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1及びR2がそれぞれ水素であり、そしてR3がフッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項43~53のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項55】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項43~53のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項56】
構造Aのハロゲン化酢酸がジフルオロ酢酸である、請求項43~53のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項57】
構造Aのハロゲン化酢酸がトリフルオロ酢酸である、請求項43~53のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項58】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択される異なるハロゲンである、請求項43~53のいずれか一つに記載の洗浄剤。
【請求項59】
ウェハまたは基材を洗浄する方法であって、
(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸;
【化17】
[式中、R
1及びR
2は独立して水素またはハロゲンであり、そしてR
3はハロゲンである]、及び
(ii)おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間の構造Bを有する化合物;
【化18】
[式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化(C
1~6)アルキル基、置換されたもしくは置換されていない(C
1~6)アルキルカルボニル基、ハロゲンまたはヒドロキシ基であってよい]
を含む洗浄剤を用いて、ウェハまたは基材を洗浄することを含む、前記方法。
【請求項60】
エッジ保護層が、
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化19】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化20】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50,000未満の平均分子量を有する、マスキング用組成物から形成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
構造BにおけるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhがそれぞれ水素である、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
構造(I)を有するポリマー単位が次のうちの一つを含む、請求項60または61に記載の方法。
【化21】
【請求項63】
前記洗浄剤が、おおよそ1重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項59~62のいずれか一つに記載の方法。
【請求項64】
前記洗浄剤が、おおよそ2重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項59~62のいずれか一つに記載の方法。
【請求項65】
前記洗浄剤が、おおよそ4重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項59~62のいずれか一つに記載の方法。
【請求項66】
前記洗浄剤が、おおよそ7重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項59~62のいずれか一つに記載の方法。
【請求項67】
前記洗浄剤が、おおよそ10重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項59~62のいずれか一つに記載の方法。
【請求項68】
前記洗浄剤が、構造Aのハロゲン化酢酸及び構造Bを有する化合物から本質的になる、請求項59~67のいずれか一つに記載の方法。
【請求項69】
前記洗浄剤が、構造Aのハロゲン化酢酸及び構造Bを有する化合物からなる、請求項59~67のいずれか一つに記載の方法。
【請求項70】
(a)ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面にマスキング剤を施用するステップ;
(b)施用されたマスキング剤を加熱して、ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面上にエッジ保護層を形成するステップ;
(c)ウェハまたは基材及びエッジ保護層にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)施用されたハードマスク用組成物のうち少なくともエッジ保護層と接触している部分を除去し、但し、この除去は、少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料を用いてハードマスク用組成物を洗浄することを含むステップ;
(e)施用されたハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;及び
(f)ポストアプライドベークを少なくとも一度実施するステップ;
の群から選択される一つ以上のステップを更に含む、請求項59~69のいずれか一つに記載の方法。
【請求項71】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1及びR2がそれぞれ水素であり、そしてR3がフッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項59~70のいずれか一つに記載の方法。
【請求項72】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項59~70のいずれか一つに記載の方法。
【請求項73】
構造Aのハロゲン化酢酸がジフルオロ酢酸である、請求項59~70のいずれか一つに記載の方法。
【請求項74】
構造Aのハロゲン化酢酸がトリフルオロ酢酸である、請求項59~70のいずれか一つに記載の方法。
【請求項75】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択される異なるハロゲンである、請求項59~70のいずれか一つに記載の方法。
【請求項76】
ウェハまたは基材からエッジ保護層及び残留ハードマスク成分を施用及び除去する方法であって、
(a)ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面にマスキング剤を施用するステップ;
(b)マスキング剤を加熱して、ウェハまたは基材のエッジ及び少なくとも一つの近接表面上にエッジ保護層を形成するステップ;
(c)ウェハまたは基材及びエッジ保護層にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)ハードマスク用組成物のうち少なくともエッジ保護層と接触している部分を除去し、但し、この除去は、少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料を用いてハードマスク用組成物を洗浄することを含むステップ;
(e)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;及び
(f)洗浄剤を用いてウェハまたは基材を洗浄するステップであって、前記洗浄剤が、
(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸;
【化22】
[式中、R
1及びR
2は独立して水素またはハロゲンであり、そしてR
3はハロゲンである]、及び
(ii)おおよそ99重量%とおおよそ99重量%との間のアニソール、
を含む、ステップ、
を含む、前記方法。
【請求項77】
ポストアプライドベークステップを少なくとも一度行うことを更に含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
エッジ保護層が、
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化23】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化24】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50000未満の平均分子量を有する、マスキング用組成物から形成される、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項78に記載の方法。
【化25】
【請求項80】
前記洗浄剤が、おおよそ1重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項76~79のいずれか一つに記載の方法。
【請求項81】
前記洗浄剤が、おおよそ2重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項76~79のいずれか一つに記載の方法。
【請求項82】
前記洗浄剤が、おおよそ4重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項76~79のいずれか一つに記載の方法。
【請求項83】
前記洗浄剤が、おおよそ7重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項76~79のいずれか一つに記載の方法。
【請求項84】
前記洗浄剤が、おおよそ10重量%の構造Aのハロゲン化酢酸を含む、請求項76~79のいずれか一つに記載の方法。
【請求項85】
前記洗浄剤が、構造Aのハロゲン化酢酸及びアニソールから本質的になる、請求項76~84のいずれか一つに記載の方法。
【請求項86】
前記洗浄剤が、構造Aのハロゲン化酢酸及びアニソールからなる、請求項76~84のいずれか一つに記載の方法。
【請求項87】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用がスピン・オンコートプロセスを含む、請求項76~86のいずれか一つに記載の方法。
【請求項88】
前記スピン・オンコートプロセスが、少なくとも一種のキャスト用溶剤を利用する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記少なくとも一種のキャスト用溶剤が、PGMEA、PGME、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物の少なくとも一つを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用が化学蒸着プロセスを含む、請求項76~86のいずれか一つに記載の方法。
【請求項91】
ウェハまたは基材及びエッジ保護層へのハードマスク用組成物の施用が原子層堆積プロセスを含む、請求項76~86のいずれか一つに記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも一種のエッジビードリムーバ材料が、PGMEA、PGME、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物の少なくとも一つである、請求項76~91のいずれか一つに記載の方法。
【請求項93】
ハードマスクを形成するためのハードマスク用組成物の加熱が、おおよそ150℃とおおよそ450℃との間の温度での加熱を含む、請求項76~92のいずれか一つに記載の方法。
【請求項94】
ハードマスクを形成するためのハードマスク用組成物の加熱が、おおよそ60秒間とおおよそ120秒間との間の時間の加熱を含む、請求項76~93のいずれか一つに記載の方法。
【請求項95】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1及びR2がそれぞれ水素であり、そしてR3がフッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項76~94のいずれか一つに記載の方法。
【請求項96】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである、請求項76~94のいずれか一つに記載の方法。
【請求項97】
構造Aのハロゲン化酢酸がジフルオロ酢酸である、請求項76~94のいずれか一つに記載の方法。
【請求項98】
構造Aのハロゲン化酢酸がトリフルオロ酢酸である、請求項76~94のいずれか一つに記載の方法。
【請求項99】
構造Aのハロゲン化酢酸において、R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択される異なるハロゲンである、請求項76~94のいずれか一つに記載の方法。
【請求項100】
エッジ保護層及び/または残留ハードマスク成分を除去するための、請求項1~11または43~58のいずれか一つに記載の洗浄剤の使用。
【請求項101】
エッジ保護層が、
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【化26】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-からなる群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)からなる群から選択され:
【化27】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルからなる群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
を含み、但し、前記ポリマーは50000未満の平均分子量を有する、請求項101に記載の使用。
【請求項102】
構造(I)を有するポリマー単位が、次のうちの一つを含む、請求項102に記載の使用。
【化28】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は、洗浄剤、並びにリソグラフィパターニングプロセスにおいてエッジ保護層の除去のためのそれの使用に関する。該新規洗浄剤は、エッジ保護層及び残留ハードマスク成分(例えば、金属)の両方をウェハ/基材表面から除去するために調合される。
【背景技術】
【0002】
複数の反射防止層及びハードマスクが、発展したリソグラフィパターニングプロセスに使用される。例えば、フォトレジストが十分な耐ドライエッチング性を供しない場合には、ハードマスクとして働き及び基材エッチングの際に高耐エッチング性である、フォトレジスト用の下層及び/または反射防止コーティングが好ましい。一つの方策として、有機フォトレジスト層の下の層にケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムまたは他の金属材料が組み入れられてきた。追加的に、他の高炭素含有率の反射防止またはマスク層を、高炭素フィルム/ハードマスクフィルム/フォトレジストの三層を形成するために、金属含有反射防止層の下に配置することができる。このような層は、画像形成プロセスのリソグラフィ性能を向上するために使用できる。しかし、リソグラフィ用及びエッチング用ツールにおける金属汚染、並びに製造の間のウェハ間の相互汚染は、避けるべき問題であり得る。
【0003】
集積回路部品の製造の間の金属汚染を減少させるための一つの方法及び装置は、US8,791,030(Iwao)(特許文献1)に記載されている。この文献はその全体が本明細書中に掲載されたものとする。Iwaoによれば、マスキング剤は、ウェハ/基材のエッジに供されそしてベークされて、ウェハ/基材のエッジのところにマスキングフィルム(別称では、エッジ保護層(“EPL”)またはエッジマスキング層)を形成する。次いで、ハードマスク用組成物が、このウェハ/基材及びEPL上にコーティングされる。前記エッジ保護層を覆う部分のハードマスク用組成物は、エッジビードリムーバ(“EBR”)を用いて除去され、そしてハードマスク用組成物はベークされてハードマスクを形成する。次いで、このEPLは、EPL除去液を用いて除去される。その結果は、ウェハ/基材のエッジからは離れたハードマスクであり、それによって汚染を減少させる。
【0004】
EPLを形成するマスキング剤は、発明の名称が“Lithographic Compositions and Methods of Use Thereof”(リソグラフィ組成物及びそれの使用方法)である特許出願PCT/EP2018/056322(特許文献2)(WO/2018/167112として公開)に記載されている。この文献はその全体が本明細書中に掲載されたものとする。それに開示される組成物は、電子デバイスの製造の間に基材/ウェハエッジでの金属汚染を防止する。PCT/EP2018/056322(特許文献2)に説明されているように、ハードマスクに(湿式エッチングによって起こり得るような)負のまたは損傷性の効果を及ぼすことなく、工業的に許容可能なプロセス時間を可能する及び/または維持する速度で、施用されたEPLが簡単に除去できることが望ましい。
【0005】
PCT/EP2018/056322(特許文献2)は、更に、
図2a~fに示されるような電子デバイスの製造方法において、EPLを形成するためにマスキング剤を施用するための一般的な方法を記載している。このようなプロセスでは、金属ハードマスク用組成物または金属酸化物フォトレジスト組成物(まとめて“ハードマスク”または“ハードマスク用組成物”)が、基材及びEPL上に施用される(
図2c参照)。次いで、EPL及びハードマスク用組成物は、EBR及び/または裏面洗浄(“BR”)材料で洗浄して、ハードマスク用組成物のうちで少なくともEPLと接触している部分を除去する(
図2d参照)。それでもなお、ハードマスク用組成物のうちでEPLと接触している部分(複数可)は、EBRまたはBRでの洗浄後でさえ残留し得る。ハードマスク用組成物は、例えば、EPL中に部分的に浸透するかまたはそれのエッジの下部を除去する虞がある。その結果、ハードマスク及び/またはそれの成分のうちでEPLと接触しているところは、ある程度の量は、EBR洗浄の間に除去されないということが起こり得る。今のところ、EPLとハードマスクの残った残留成分(例えば金属)との両方の同時の除去を供する、組成物またはプロセス/方法は確認されていない。その代わりに、EPLを除去するステップに続いて、その後のプロセスステップ(例えば、追加のEBRを用いた洗浄ステップ)を行う必要があり、そのようなステップにおいて、ハードマスクの残った残留成分が、ウェハ/基材のエッジ及び近接表面から除去される。この追加のステップは、コスト高であるばかりでなく、時間がかかり、そのため、EPLが利用される場合の、工業的に許容可能なプロセス時間を可能にする及び/または維持することと相反する。
【0006】
それ故、ハードマスクに対する負のまたは損傷性の効果を避けつつ、既知のEPL洗浄剤と比べてより高速な速度で、EPLと、ハードマスクの残った残留成分とを除去することができる材料が絶えず求められている。以下に記載のように、開示された発明は、EPLと、ハードマスクの残った残留成分との除去に伴う従来技術で既知の欠点に対処するものである。開示された発明は、施用されたEPLと、残ったハードマスク成分及び残渣とをウェハ/基材のエッジ及び近接表面から迅速かつ効率的に除去するための組成物並びに製造方法及びプロセスを提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US8,791,030
【特許文献2】PCT/EP2018/056322(WO/2018/167112)
【特許文献3】US9,315,636
【特許文献4】US8,568,958
【特許文献5】US9,201,305
【特許文献6】US9,296,922
【特許文献7】US9,409,793
【特許文献8】US9,499,698
【特許文献9】US62/437,449
【特許文献10】US14/978,232
【発明の概要】
【0008】
一つの観点では、開示された発明は、リソグラフィプロセスにおいてウェハ/基材表面のエッジから、EPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を除去するための洗浄剤であって、(i)おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及び(ii)おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間の構造Bを有する化合物を含む、前記洗浄剤に関する。
【0009】
【化1】
式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていないアルキル基(これは、好ましくはC
1~6アルキル基である)、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル基(これは、好ましくはハロゲン化C
1~6アルキル基である)、置換されたもしくは置換されていないアルキルカルボニル基(これは、好ましくはC
1~6アルキルカルボニル基である)、ハロゲン及びヒドロキシ基であってよい。更に別の観点の一つでは、構造Bを有する化合物はアニソールである(すなわち、構造B中のR
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hがそれぞれ水素である)。
【0010】
他の観点の一つでは、開示された発明は、リソグラフィプロセスにおいてウェハ/基材表面のエッジから、EPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を除去するための洗浄剤であって、
(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸;
【0011】
【化2】
(式中、R
1及びR
2は独立して水素またはハロゲンであり、そしてR
3はハロゲンである)
(ii)おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間の構造Bを有する化合物;
【0012】
【化3】
(式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていないアルキル基(これは、好ましくはC
1~6アルキル基である)、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル基(これは、好ましくはハロゲン化C
1~6アルキル基である)、置換されたもしくは置換されていないアルキルカルボニル基(これは、好ましくはC
1~6アルキルカルボニル基である)、ハロゲン及びヒドロキシ基である)
を含む、前記洗浄剤に関する。更に別の観点の一つでは、構造Aを有する化合物はトリフルオロ酢酸(すなわち、構造A中のR
1、R
2及びR
3がそれぞれフッ素である)、またはジフルオロ酢酸(すなわち、R
3と、R
1及びR
2のうちの一方がフッ素であり、R
1及びR
2のうちの他方が水素である)である。更に別の観点の一つでは、構造Bを有する化合物はアニソールである(すなわち、構造B中のR
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hがそれぞれ水素である)。
【0013】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、リソグラフィプロセスにおいてウェハ/基材表面のエッジ及び近接表面から、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されるマスキング剤から形成されたEPL、及び残留ハードマスク成分(例えばスズまたはチタンなどの金属)を除去するのに特に効果的である。更に別の観点では、該洗浄液は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されるマスキング剤から形成されたEPLの除去に特に効果的である。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されるマスキング剤であり、ここでこのマスキング剤は、次の式の一つ以上を有するポリマー単位を含む:
【0014】
【化4】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及び(ii)おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ15重量%の酢酸、及び(ii)好ましくはおおよそ85重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。
【0015】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ20重量%の酢酸、及び(ii)好ましくはおおよそ80重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ25重量%の酢酸、及び(ii)好ましくはおおよそ75重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。
【0016】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ30重量%の酢酸、及び(ii)好ましくはおおよそ70重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。
【0017】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ35重量%の酢酸、及び(ii)好ましくはおおよそ65重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。
【0018】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間のトリフルオロ酢酸及び/またはジフルオロ酢酸、及び(ii)おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。
【0019】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ1重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)好ましくはおおよそ99重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0020】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ2重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)好ましくはおおよそ98重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0021】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ3重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)おおよそ97重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0022】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ4重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)好ましくはおおよそ96重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0023】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ5重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)おおよそ95重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0024】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ6重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)おおよそ94重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0025】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ7重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)好ましくはおおよそ93重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0026】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ8重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)おおよそ92重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0027】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ9重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)おおよそ91重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0028】
他の観点の一つでは、該洗浄剤は、(i)おおよそ10重量%の構造Aのハロゲン化酢酸及び(ii)好ましくはおおよそ90重量%のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含む。更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0029】
他の観点の一つでは、開示された発明は、電子デバイスの製造を始めとしたリソグラフィプロセスにおいて、ウェハ/基材表面のエッジ及び近接表面から、EPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を除去するために該洗浄剤を使用する方法及びプロセスに関する。
【0030】
一つの観点では、該方法及びプロセスは、ウェハ/基材を該洗浄剤で洗浄することによって、EPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を除去するステップを含む。それ故、該方法及びプロセスは、ウェハまたは基材を該洗浄剤で洗浄することを含むウェハまたは基材の洗浄方法とも称することができる。更に別の観点の一つでは、該方法及びプロセスは、ウェハ/基材エッジ及び近接表面をマスキング剤で処理してEPLを形成するステップを含む。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤である。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤であり、ここでこのマスキング剤は、次の式の一つ以上を有するポリマー単位を含む:
【0031】
【化5】
他の観点の一つでは、該方法及びプロセスは、次の群から選択される一つ以上の追加のステップを含む:(a)マスキング剤を加熱してEPLを形成するステップ;(b)基材及びEPLにハードマスク用組成物を施用するステップ;(c)ハードマスク用組成物及びEPLをEBR及び/またはBR材料で洗浄することによって、ハードマスク用組成物のうちで少なくともEPLと接触している部分を除去するステップ;(d)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;及び(e)ポストアプライドベークを少なくとも一度行うステップ。
【0032】
他の観点の一つでは、該方法及びプロセスは、(i)ウェハ/基材エッジ及び近接表面をマスキング剤で処理するステップ;(ii)施用されたマスキング剤を加熱してEPLを形成するステップ;(iii)基材及びEPLにハードマスク用組成物を施用するステップ;(iv)ハードマスク用組成物及びEPLを、EBR及び/またはBR材料で洗浄することによって、ハードマスク用組成物のうちで少なくともEPLと接触している部分を除去するステップ;(v)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;(vi)ウェハ/基材を該洗浄剤で洗浄することによって、EPL及び残留ハードマスク成分を除去するステップ;及び(vii)任意選択に、ポストアプライドベークを少なくとも一度行うステップを、介在するステップ無しで、連続して行うことを含む。上記のステップの連続的な実施が、これらの連続的に行われるステップの前または後のステップ(例えば、ウェハ/基材の提供)の実施を排除するものではないことは当業者には明らかである。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤である。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤であり、ここでこのマスキング剤は、次の式の一つ以上を有するポリマー単位を含む:
【0033】
【化6】
他の観点の一つでは、開示された発明は、ウェハ/基材からエッジ保護層及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を施用及び除去する方法及びプロセスであって、次のステップ:(a)ウェハ/基材のエッジ及び近接表面上にマスキング剤を施用するステップ;(b)マスキング剤を加熱して、ウェハ/基材のエッジ及び近接表面上にEPLを形成するステップ;(c)ウェハ/基材及びEPL上にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)ハードマスク用組成物を少なくとも一種のEBR及び/またはBR材料で洗浄することによって、ハードマスク用組成物のうちで、少なくともEPLと接触している部分を除去するステップ;(e)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;(f)ウェハ/基材を洗浄剤で洗浄するステップであって、該洗浄剤が、(i)おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との間の酢酸、及び(ii)おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含むステップ;及び(g)任意選択に、ポストアプライドベークステップを少なくとも一度行うステップを含む、前記方法及びプロセスに関する。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤である。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤であり、ここでこのマスキング剤は、次の式の一つ以上を有するポリマー単位を含む:
【0034】
【化7】
他の観点の一つでは、開示された発明は、ウェハ/基材からエッジ保護層及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を施用及び除去する方法及びプロセスであって、次のステップ:(a)ウェハ/基材のエッジ及び近接表面上にマスキング剤を施用するステップ;(b)マスキング剤を加熱して、ウェハ/基材のエッジ及び近接表面上にEPLを形成するステップ;(c)ウェハ/基材及びEPL上にハードマスク用組成物を施用するステップ;(d)ハードマスク用組成物を少なくとも一種のEBR及び/またはBR材料で洗浄することによって、ハードマスク用組成物のうちで、少なくともEPLと接触している部分を除去するステップ;(e)ハードマスク用組成物を加熱してハードマスクを形成するステップ;(f)ウェハ/基材を洗浄剤で洗浄するステップであって、該洗浄剤が、(i)おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸、及び(ii)おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含むステップ;及び(g)任意選択に、ポストアプライドベークステップを少なくとも一度行うステップを含む、前記方法及びプロセスに関する。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤である。更に別の観点の一つでは、前記マスキング剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求されたマスキング剤であり、ここでこのマスキング剤は、次の式の一つ以上を有するポリマー単位を含む:
【0035】
【化8】
更に別の観点の一つでは、構造Aのハロゲン化酢酸は、トリフルオロ酢酸及びジフルオロ酢酸のうちの少なくとも一つである。
【0036】
添付の図面は、開示された発明の更なる理解をもたらし、そして本明細書中に取り入れられ、それの一部を構成するものであるが、これらは、開示された発明の態様を例示し、そして発明の詳細な説明と共に、開示された発明の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、EPLが施用されたウェハ/基材を示す。
【
図2】
図2a~fは、ここに開示される洗浄液を使用するための方法及びプロセスの一態様の概略図である。
図2aでは、マスキング剤が基材のエッジに施用されている。
図2bでは、マスキング剤が加熱されてEPLを形成している。
図2cでは、ハードマスク用組成物が基材及びEPL上に施用されている。
図2dでは、ハードマスク用組成物及びEPLがEBRで洗浄され、ハードマスク用組成物のうちで、少なくともEPLと接触する部分が除去されている。
図2eでは、ハードマスク用組成物が加熱され、ハードマスクを形成している。
図2fでは、EPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)が、洗浄剤により、ウェハ/基材のエッジから除去されている。
【
図3】
図3は、酢酸及びアニソールを含む開示された異なる処方の洗浄剤を用いてウェハ/基材表面のエッジからEPLを除去した後に、ウェハ/基材表面上に存在する残留金属(すなわち、チタン)を示すグラフである。
【
図4】
図4は、トリフルオロ酢酸及びアニソールを含む開示された異なる処方の洗浄剤を用いてウェハ/基材表面のエッジからEPLを除去した後に、ウェハ/基材表面上に存在する残留金属(すなわち、チタン)を示すグラフである。
【0038】
定義
他に記載が無ければ、本明細書及び特許請求の範囲に使用される以下の用語は、本願では次の意味を有する。
【0039】
本願において、単数形の使用は複数を包含し、他に具体的に記載がなければ、単数形は「少なくとも一つ」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素または成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分を包含する。ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は、他に指示が無ければ排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0040】
「約」または「おおよそ」という記載は、測定可能な変数に関連して使用される場合は、変数の表示値と、並びに表示値の実験誤差内(例えば、平均の95%信頼限界内)のまたは表示値のパーセント内(例えば、±10%内、±5%内)のいずれか大きい方の変数の全ての値のことを言う。
【0041】
ここで使用する場合、「Cx-y」は、鎖中の炭素原子数を示す。例えば、C1-6アルキルは、1個と6個の間の炭素の鎖を持つアルキル差を指す(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル)。他に具体的に記載が無ければ、上記鎖は線状または分岐状であることができる。
【0042】
他に記載がなければ、アルキルとは、線状、分岐状(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル及び類似物)、環状(例えばシクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル及び類似物)または多環式(例えばノルボルニル、アダマンチル及び類似物)であることができる炭化水素基を指す。これらのアルキル部分は、置換されていても、置換されていなくともよい。
【0043】
「ハロゲン化アルキル」は、水素のうちの一つ以上がハロゲン(例えば、F、Cl、Br及びI)に置き換えられた先に定義したような線状、環状または分岐状飽和アルキル基を指す。それ故、例えば、フッ素化アルキル(別称は「フルオロアルキル」)は、水素のうちの一つ以上がフッ素に置き換えられた先に定義したような線状、環状または分岐状飽和アルキル基を指す(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロシクロヘキシル及び類似物)。このようなハロアルキル部分(例えば、フルオロアルキル部分)は、パーハロゲン化/マルチハロゲン化ではない場合は、置換されていないかまたは更に置換されていてもよい。
【0044】
「アルコキシ」(別称は「アルキルオキシ」)は、オキシ(-O-)部分を介して結合した先に定義したようなアルキル基を指す(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及び類似物)。これらのアルコキシ部分は、置換されていても、置換されていなくともよい。
「アルキルカルボニル」は、カルボニル基(-C(=O)-))部分を介して結合した先に定義したようなアルキル基を指す(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及び類似物)。これらのアルキルカルボニル部分は、置換されていても、置換されていなくともよい。
【0045】
「ハロ」または「ハライド」はハロゲンを指す(例えばF、Cl、Br、及びI)。
【0046】
「ヒドロキシ」(別称は「ヒドロキシル」)は-OH基を指す。
【0047】
他に記載がなければ、「置換された」という記載は、アルキル、アルコキシ、フッ素化アルキル及び類似物に言及するときは、限定はされないがアルキル、置換されたアルキル、置換されていないアリール、置換されたアリール、アルキルオキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ハライド、ヒドロキシ、アミノ及びアミノアルキルを含む一つ以上の置換基も含むこれらの部分のうちの一つを指す。同様に、「置換されていない」という記載は、水素以外の置換基が存在しないこれらの同部分を指す。
【0048】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料のいずれかにおける用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明に関してそれを限定するものではないと理解するべきである。開示された発明の課題、特徴、利点及び思想は、本明細書に記載の説明から当業者には明らかであり、加えて、開示された発明は、ここに記載の説明に基づいて当業者によって容易に実施可能である。開示された発明を実施するための好ましい形態を示す「好ましい態様」及び/または実施例の記載は、説明の目的で含まれるものであり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0050】
本明細書中に記載の観点に基づいた開示された発明の実施の仕方において、ここに開示される発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な改良が可能であることも当業者には明らかである。
【0051】
先に記載した通り、開示された発明は、(i)酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸、及び(ii)アニソール及び/またはアニソールの誘導体(すなわち、構造Bの範囲に入る、アニソール以外の化合物)を含み、かつリソグラフィプロセスにおいてウェハ/基材表面のエッジ及び近接表面からEPL及び残留ハードマスク成分(例えば、スズまたはチタンなどの金属)を除去するために利用できる洗浄剤に関する。
【0052】
洗浄剤成分
洗浄剤は、(i)酢酸(CAS 64-19-7)または構造Aのハロゲン化酢酸、及び(ii)アニソール(CAS 100-66-3;別称はメトキシベンゼンまたはメチルフェニルエーテル)及び/またはアニソールの誘導体を様々な濃度で含む。該洗浄剤は、例えば、おおよそ15重量%からおおよそ35重量%の間の酢酸、及びおおよそ85重量%とおおよそ65重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む。その代わりに、該洗浄剤は、おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸、及びおおよそ99重量%とおおよそ90重量%との間のアニソール及び/または構造Bを有する化合物を含むことができる。
【0053】
おおよそ35重量%を超える酢酸の量またはおおよそ10重量%を超える構造Aのハロゲン化酢酸の量は、そのような組成物が、EPL及び残留ハードマスク成分の除去に効果的であるにもかかわらず、ウェハ/基材及び/またはそれに付される他の図形に対して害のある効果を一般的に有することは当業者には明らかである。しかし、ウェハ/基材が、より高い重量%の酢酸または構造Aのハロゲン化酢酸への暴露に適したものである場合には、開示された洗浄液は、おおよそ35重量%を超える量の酢酸またはおおよそ10重量%を超える構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。
【0054】
また、酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸とアニソール及び/またはアニソールの誘導体との量は、これらの範囲で調節することができる点、並びにそれらのこのような組み合わせの全てが開示された発明の範囲に含まれ、そして酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸とアニソール及び/またはアニソールの誘導体との合計相対量は、必ずしも100重量%に等しくある必要はない点も、当業者には明らかである。一つの態様では、例えば、該洗浄剤は、おおよそ20重量%の酢酸及びおおよそ75重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む。他の態様の一つでは、該洗浄剤は、おおよそ30重量%の酢酸及びおおよそ70重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む。更に別の態様の一つでは、該洗浄剤は、おおよそ32.5重量%の酢酸及びおおよそ67重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。更に別の態様の一つでは、該洗浄剤は、おおよそ18.5重量%の酢酸及びおおよそ75重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。更なる態様では、該洗浄剤は、おおよそ2重量%の構造Aのハロゲン化酢酸、及びおおよそ98重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。更なる態様では、該洗浄剤は、おおよそ4重量%の構造Aのハロゲン化酢酸、及びおおよそ96重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。更に別の態様では、該洗浄剤は、おおよそ10重量%の構造Aのハロゲン化酢酸、及びおおよそ90重量%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。
【0055】
また更に、「おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との」間の酢酸または「おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との」間の構造Aのハロゲン化酢酸を含む洗浄剤は、厳密な限界範囲ではなく、これらの範囲から若干外れる量の酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる点も、当業者には明らかである。一つの態様では、例えば、「おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との」間の酢酸及び/または「おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との」間の構造Aのハロゲン化酢酸を含む洗浄剤は、前記重量パーセントの±10%の酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。それ故、「おおよそ15重量%」の酢酸を含む洗浄剤の一つの態様は、13.5重量%と16.5重量%との間の酢酸を含むことができる。「おおよそ20重量%の酢酸」を含む洗浄剤の一態様は、18重量%と22重量%との間の酢酸を含むことができる。「おおよそ30重量%の酢酸」を含む洗浄剤の一態様は、27重量%と33重量%との間の酢酸を含むことができる。同様に、「おおよそ2重量%」の構造Aのハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、1.8重量%と2.2重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。「おおよそ4重量%」の構造Aのハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、3.6重量%と4.4重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。「おおよそ10重量%」の構造Aのハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、9重量%と11重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。
【0056】
一つの態様では、例えば、「おおよそ15重量%とおおよそ35重量%との」間の酢酸及び/または「おおよそ1重量%とおおよそ10重量%との」間の構造Aのハロゲン化酢酸を含む洗浄剤は、前記重量パーセントの±5%の酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。それ故、「おおよそ15重量%」の酢酸を含む洗浄剤の一つの態様は、14.25重量%と15.75重量%との間の酢酸を含むことができる。「おおよそ20重量%の酢酸」を含む該洗浄剤の一態様は、19重量%と21重量%との間の酢酸を含むことができる。「おおよそ30重量%の酢酸」を含む該洗浄剤の一態様は、28.5重量%と31.5重量%との間の酢酸を含むことができる。同様に、「おおよそ2重量%」の構造Aのハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、1.9重量%と2.1重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。「おおよそ4重量%」のハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、3.8重量%と4.2重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。「おおよそ10重量%」の構造Aのハロゲン化酢酸を含む該洗浄剤の一態様は、9.5重量%と10.5重量%との間の構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。
【0057】
また更に、「おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との」間のまたは「おおよそ99重量%とおおよそ90重量%との」間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む洗浄剤は、厳密な限界範囲ではなく、これらの範囲から若干外れる量のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる点も、当業者には明らかである。一つの態様では、例えば、「おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との」間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体は、前記重量パーセントの±10%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。それ故、「おおよそ85重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、93.5重量%と76.5重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。「おおよそ80重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、88重量%と72重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。「おおよそ70重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、77重量%と63重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。
【0058】
他の態様の一つでは、例えば、「おおよそ85重量%とおおよそ65重量%との」間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む洗浄剤は、前記重量パーセントの±5%のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。それ故、「おおよそ85重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、89.25重量%と80.75重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。「おおよそ80重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、84重量%と76重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。「おおよそ70重量%」のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含む該洗浄剤の一態様は、76.5重量%と73.5重量%との間のアニソール及び/またはアニソールの誘導体を含むことができる。
【0059】
更なる態様の一つでは、該洗浄剤は、様々な濃度で、(i)酢酸及び/または構造のハロゲン化酢酸、及び(ii)アニソール及び/またはアニソールの誘導体から本質的になる。このような態様では、酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸とアニソール及び/またはアニソールの誘導体との合計量は100重量%ではなく、該洗浄剤の効果を本質的に変えることがなければ、他の成分(例えば、水を始めとした追加的な溶剤(複数種可)、通常の添加剤及び/または不純物)を含むことができる。それ故、他の態様では、該洗浄剤は、様々な量で水を含む酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。このような態様の一つでは、該洗浄剤は、1重量%を超える量で水を有する酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸を含むことができる。他のこのような態様の一つでは、該洗浄剤は、無水酢酸(別称では氷酢酸)(すなわち、含水率が1重量%未満の酢酸)を含むことができる。このような態様は、例えば、不純物を様々な量で有する様々な工業用等級(例えば、試薬用等級、痕跡量等級、超痕跡量等級、電子工業用等級、HPLC用等級など)の酢酸、無水/氷酢酸、及び/または構造Aのハロゲン化酢酸も含むことができる。
【0060】
他の態様の一つでは、該洗浄剤は、様々な濃度で、(i)酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸、及び(ii)アニソール及び/またはアニソールの誘導体からなる。このような態様では、酢酸及び/または構造Aのハロゲン化酢酸とアニソール及び/またはアニソールの誘導体との合計量はおおよそ100重量%ではあるが、該洗浄剤の効果を本質的に変化させないような少ない量で存在する少量の及び/または痕跡量の他の不純物を含み得る。例えば、このような態様の一つでは、該洗浄剤は、不純物及び/または他の成分(例えば水を始めとした追加的な溶剤(複数種可))を合計で2重量%以下の量で含み得る。他の態様の一つでは、該洗浄剤は、不純物及び/または他の成分(例えば水を始めとした追加的な溶剤(複数種可))を合計で1重量%以下の量で含み得る。更なる態様の一つでは、該洗浄剤は、不純物及び/または他の成分(例えば水を始めとした追加的な溶剤(複数種可))を合計で0.05重量%以下の量で含み得る。これらの態様は、例えば、無水/氷酢酸を含むことができる。このような態様は、例えば、不純物を様々な量で有する様々な工業用等級(例えば、試薬用等級、痕跡量等級、超痕跡量等級、電子工業用等級、HPLC用等級など)の酢酸、無水/氷酢酸、及び/または構造Aのハロゲン化酢酸も含み得る。これらの態様は、例えば、0.05重量%より十分に少ない量(例えばppbレベル)で存在する痕跡量の金属不純物も含み得る。
【0061】
また、開示された洗浄剤中に使用し得る構造Aのハロゲン化酢酸には、(i)R1及びR2がそれぞれ水素であり、R3が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択されるハロゲンである構造Aのハロゲン化酢酸化合物、(ii)R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択される同じハロゲンである構造Aのハロゲン化酢酸化合物、及び(iii)R1、R2及びR3のうちの二つ以上が、フッ素、臭素、ヨウ素及び塩素の中から選択される異なるハロゲンである構造Aのハロゲン化酢酸化合物などが包含される点も当業者には明らかである。このような化合物の例には、限定はされないが、フルオロ酢酸、ヨード酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジヨード酢酸、トリヨード酢酸、ジブロモ酢酸、トリブロモ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、並びに二つ以上の異なるハロゲンを含むハロゲン化酢酸(例えば、構造A中のR1、R2及びR3のうちの二つ以上がそれぞれ異なるハロゲンである場合)などが挙げられる。
【0062】
該洗浄剤は、更に、構造Aの二種以上のハロゲン化酢酸の混合物を含むことができる。また、様々に置換されたアニソール化合物などを始めとしたアニソールの誘導体も、開示された洗浄剤に使用し得ることは当業者には明らかである。これに関しては、開示された洗浄剤は、酢酸または構造Aのハロゲン化酢酸とアニソール及び/または構造Bのアニソールの誘導体との混合物を含む。
【0063】
【化9】
式中、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g及びR
hは、先に記載のように、それぞれ独立して、水素、置換されたもしくは置換されていないアルキル基、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル基、置換されたもしくは置換されていないアルキルカルボニル基、ハロゲン及びヒドロキシ基であってよい。開示及び/または特許請求された洗浄剤に使用するのに適したアニソールの具体的な誘導体の例には、限定はされないが、ハロゲン化アニソール化合物(例えば、R
a、R
b、R
c、R
d及びR
eのうちの一つ以上が、それぞれ独立して、フッ素、ヨウ素、臭素または塩素である場合)などが挙げられる。
【0064】
EPLマスキング剤
開示された洗浄剤は、ウェハ/基材のエッジ及び近接表面上に形成されたEPLを除去するために適している。一つの態様では、開示された洗浄剤は、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に記載及び/または特許請求された、以下の成分を含むものなどのマスキング剤または組成物から形成されたEPLを除去するために適合されている:
a.構造(I)を有する単位を含むポリマー:
【0065】
【化10】
[式中、
Xは、-SO
2-、-C(=O)-及び-O-の群から選択され;
Aは直接結合であるか、またはAは、構造(II)の群から選択され:
【0066】
【化11】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、H、ハロ、(C
1~3)アルキル、(C
1~3)フッ素化アルキル、ヒドロキシ、(C
1~3)アルコキシ、及び(C
1~3)アルキルカルボニルの群から選択される)
q、r、s及びtは、それぞれ独立して、0、1、2、3及び4からなる群から選択される]、及び
b.有機溶剤、
但し、前記ポリマーは50000未満の平均分子量を有する。
【0067】
EPLが、PCT/EP2018/056322(特許文献2)に開示及び/または特許請求された組成物から形成される更なる態様の一つでは、該洗浄剤は、先に示した構造(I)を有するポリマー単位が、次のものの一つを含む場合、好ましくは次のものの一つである場合に特に効果的である:
【0068】
【化12】
施用するにあたっては、該EPLは、例えば、少なくともおおよそ0.5mmの幅で施用することができる。あるいは、該EPLは、少なくともおおよそ0.75mmの幅で施用することができる。更には、該EPLは、おおよそ2.0mm以下の幅で施用することができる。あるいは、該EPLは、おおよそ1.0mm以下の幅で施用することができる。
【0069】
図1を参照すると、EPLをウェハ/基材1に施用する場合、EPLは、ウェハ/基材のエッジ2に、並びにウェハ/基材のエッジに近接する一つ以上の表面(すなわち、上面3及び/または底面4)に施用される。それ故、EPLは、基材のエッジを覆いかつ基材の前面及び/または裏面上にまで及ぶように配置することができる。例えば、EPLは、エッジの近接面上に施用でき、そしてウェハ及び基材の上面でおおよそ0.5mmからおおよそ2.0mmの幅に広がり、そしてエッジ上に、次いでウェハ/基材エッジの裏面でおおよそ2.5mmの幅に広がることができる。
【0070】
ハードマスク
先に示した通り、開示された洗浄剤は、ウェハ/基材のエッジ及び近接表面からの、施用されたEPL及び残ったハードマスク成分の同時の除去を有利にもたらす(例えば、ハードマスクがEPLに浸透したかまたはその下部を除去した場合)。開示された洗浄剤を用いて除去できる残留ハードマスク成分の例には、リソグラフィ製造プロセスで使用された金属ハードマスク用組成物及び金属酸化物フォトレジスト組成物両方の成分などが挙げられる。適当な金属ハードマスク及び金属酸化物フォトレジスト組成物には、限定はされないが、US9,315,636(特許文献3)、US8,568,958(特許文献4)、US9,201,305(特許文献5)、US9,296,922(特許文献6)、US9,409,793(特許文献7)、及びUS9,499,698(特許文献8)、及びUS62/437,449(出願日2016年12月21日)(特許文献9)及びUS14/978,232(出願日2015年12月22日)(特許文献10)に記載ものが挙げられる。これらの文献は、その内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。開示された洗浄剤によって除去されるまたは除去することができるハードマスク成分には、スズ、チタン、ジルコニウム、タンタル、鉛、アンチモン、タリウム、インジウム、イットリビウム、ガリウム、ハフニウム、アルミニウム、マグネシウム、モリブデン、ゲルマニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、金、銀、カドニウム、タングステン及び白金を始めとした様々な金属などが挙げられる。
【0071】
該洗浄剤は、ハードマスクの施用のために使用した方法に依存せずに、残留ハードマスク成分の除去に効果的である。これに関して、開示された方法/プロセスにおいて、ハードマスク用組成物をウェハ/基材表面に施用してハードマスクを形成するために、様々な技術のうちの任意のものを使用することができる。適当な技術には、限定はされないが、スピンオンコーティング、化学蒸着(CVD)及び原子層堆積(ALD)などが挙げられる。スピンコート法を用いる場合は、好ましくは少なくとも一種のキャスト用溶剤が使用されるが、使用する溶剤は、EPLに悪影響を及ぼすべきではない。それ故、ハードマスク用組成物のために適したキャスト用溶剤には、限定はされないが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0072】
開示された方法/プロセスでは、ハードマスク用組成物のうちEPLと接触している部分を除去するために、任意の様々な技術を使用できる。EPLと接触している部分のハードマスク用組成物の除去は、EPLと接触していない部分のハードマスク用組成物に有害に作用するべきではないことは当業者は理解するであろう。適当な技術には、限定はされないが、化学機械研磨(CMP)、プラズマエッチング、及びウェットエッチングが挙げられる。ウェットエッチングが使用される場合は、任意の様々な溶剤(例えばEBR)を使用できるが、溶剤が、EPLまたはハードマスクに有害に作用しないことが条件である。適当なEBRには、限定はされないが、PGMEA、PGME、乳酸エチル、メトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシエタノール、1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0073】
開示された方法/プロセスでは、ハードマスク用組成物は、ハードマスクを形成するための様々な技術によって処理できる。例えば、ハードマスク用組成物は、おおよそ150℃とおおよそ450℃との間の温度で及び/またはおおよそ60秒間とおおよそ120秒間との間の時間、加熱することによって処理することができる。
【0074】
開示された発明の組成物及び方法を用いて製造できる典型的な電子デバイスには、限定はされないが、コンピュータチップ、集積回路及び半導体デバイスなどが挙げられる。
【実施例0075】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。これらの例は、開示された発明をより十分に説明するために以下に記載したものであり、どのような形でも開示された発明を限定するものと解釈するべきではない。
【0076】
様々な改良及び変更を、開示された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示された発明及びここに提供される具体例に対して行うことができることは当業者には明らである。それ故、以下の例によって提供される記載を含めた開示された発明は、いずれの請求項の範囲及びそれらと等価のものの範囲内に入る、開示された発明の改良及び変更を包含することが意図される。
【0077】
材料及び方法:
MHM082は、EMD Performance Materials Corp.社から入手可能な、チタンを含む金属ハードマスク用組成物である。
【0078】
EPL003は、EMD Performance Materials Corp.社から入手可能な、アニソール中のポリスルホンである。
【0079】
U98ポリマーは、EMD Performance Materials Corp.社から入手可能な、高炭素含有ポリマーである。
【0080】
ArFシンナーは、EMD Performance Materials Corp.社から入手可能な、PGMEA/PGMEの70/30(重量)混合物である。
【0081】
金属含有率は、以下の作動パラメータを用いてElan DRCIIでICP-MSによって決定した。
【0082】
【0083】
金属ハードマスク(「MHM」)調合物:ハードマスクの残った残留成分の除去効果を評価するために、ウェハ/基材に施用するためのマスキング剤を含むMHM調合物(「MHM調合物」)を、MHM082(2514.285g)、トリエタノールアミン(314.285g)、及びU-96ポリマー(78.57g)をArFシンナー(12,092.857g)中に溶解し、そして0.2ミクロンフィルターに通して濾過することによって調製した。
【0084】
例1:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で100%アニソール中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって89.14ppbと決定された。
【0085】
例2:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で5%(重量)の酢酸と95%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって89.14ppbと決定された。
【0086】
例3:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で10%(重量)の酢酸と90%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって90.33ppbと決定された。
【0087】
例4:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で20%(重量)の酢酸と80%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって58.73ppbと決定された。
【0088】
例5:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で30%(重量)の酢酸と70%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって58.84ppbと決定された。
【0089】
例6:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で2%(重量)のトリフルオロ酢酸と98%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって49.2ppbと決定された。
【0090】
例7:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で4%(重量)のトリフルオロ酢酸と96%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって50.89ppbと決定された。
【0091】
例8:MHM調合物を、ウェハ上にベーク無しでスピンコートし(7500rpm)、そしてこのウェハを、全てのフィルムが除去されるまで、実験室用ホットプレート上で10%(重量)のトリフルオロ酢酸と90%(重量)のアニソールとの混合物中に浸漬した。次いで、前記ウェハを、HCl及び過酸化水素の酸溶液を用いて6分間洗浄した。なお、前記酸溶液は、おおよそ30.4gの水をフラスコに加え、そしてそれに35.7gの過酸化水素(30%)及び33.9gのHCl(37%)を攪拌しながら(おおよそ1時間)加えて調製したものである。抽出された溶液のチタン含有率は、先に記載したようにしてICP-MSによって49.13ppbと決定された。
【0092】
結果
以下の表1に示すように、おおよそ15重量%と35重量%との間の酢酸とおおよそ85重量%と65重量%との間のアニソールとを含む洗浄剤において、施用されたハードマスクの残留量(すなわち、金属残渣の量)の予期せぬ程のかなりの減少が観察される。
【0093】
【0094】
表1に示すように、例えば、おおよそ20重量%と30重量%との間の酢酸、及びおおよそ80重量%と70重量%との間のアニソールを含む洗浄剤は、予期できないことに、酢酸及びアニソールの他の混合物と比べて残留金属含有率をおおよそ35%減少した。
【0095】
以下の表2に示すように、トリフルオロ酢酸(すなわち、構造Aのハロゲン化酢酸化合物の使用)もまた、施用されたハードマスクの残留量(すなわち、金属残渣の量)の予期できない程のかなりの減少を立証する。特に、おおよそ1重量%と10重量%との間のトリフルオロ酢酸とおおよそ99重量%と90重量%との間のアニソールを含む洗浄剤を用いた場合に、チタンの残留量の減少が観察された。
【0096】
【0097】
表2に示すように、例えば、おおよそ2重量%と10重量%との間のトリフルオロ酢酸、及びおおよそ98重量%と90重量%との間のアニソールを含む洗浄剤は、予期できないことに、表1の酢酸調合物よりも、残留金属含有分の除去に幾らかより効果的であった。特に、トリフルオロ酢酸含有洗浄剤は、表2のトリフルオロ酢酸/アニソール洗浄剤の平均残留金属残渣(49.74ppm)と比べると、表1の最も効果的な酢酸/アニソール洗浄剤(すなわち、20/80及び30/70)の平均残留金属残渣(58.76ppb)に基づいて、施用されたハードマスクの残留量の除去におおよそ15%より効果的であることが実証された。
【0098】
開示及び特許請求された発明を、或る程度の詳細さをもって記載及び説明したが、
この開示は例示として行ったものに過ぎないこと、及び各ステップの条件及び順番の多数の数々の変化は、開示及び特許請求された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって復元できることが理解されるべきである。