(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105634
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】プラズマ処理システム及びエッジリングの交換方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240730BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240730BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240730BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240730BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20240730BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 A
H01L21/31 F
C23C16/44 F
C23C16/50
C23C14/50 K
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081043
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2020178354の分割
【原出願日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2020035948
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松浦 伸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エッジリングの交換の際に、カバーリングに支持された状態での交換と、エッジリング単体での交換と、を選択的に行う方法を提供する。
【解決手段】プラズマ処理システムにおいて、処理モジュール60を用いて行われるウェハ処理は、エッジリングFaを支持したカバーリングCaを、リフタ405へ受け渡す工程と、支持部に支持された治具を移動させる工程と、別のリフタ106へ治具を受け渡す工程と、支持部111の退避後、カバーリングから治具へエッジリングを受け渡す工程と、カバーリングを、リフタから支持体403の環状部材載置面403aへ受け渡す工程と、別のリフタを下降させ、エッジリングを支持した治具を、別のリフタから支持部へ受け渡す工程と、エッジリングを支持した治具を、処理容器から搬出する工程と、が実行されるように、昇降機構110、搬送装置及び別の昇降機構114を制御する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持台と、前記基板支持台が内部に設けられ、減圧可能に構成された処理容器と、を有し、前記基板支持台上の基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置と、
前記基板を支持する支持部を有し、前記処理容器へ前記支持部を挿抜させて前記処理容器に対して前記基板を搬入出させる搬送装置と、
制御装置と、を備え、
前記基板支持台は、
前記基板が載置される基板載置面と、
前記基板載置面に保持された基板を囲むように配置されるエッジリングの外側面を覆うカバーリングが前記エッジリングを支持した状態で載置される環状部材載置面と、
前記環状部材載置面における平面視で前記カバーリングと重なる部分から突出可能に昇降するリフタと、
前記リフタを昇降させる昇降機構と、
前記基板載置面から突出可能に昇降する別のリフタと、
前記別のリフタを昇降させる別の昇降機構と、を有し、
前記搬送装置の前記支持部は、前記エッジリングを支持した前記カバーリングを支持可能且つ前記エッジリングの内径より長い部分を有する治具を支持可能に構成され、
前記制御装置は、
前記リフタを上昇させ、前記エッジリングを支持した前記カバーリングを、前記環状部材載置面から前記リフタへ受け渡す工程と、
前記基板載置面及び前記環状部材載置面と、前記エッジリングを支持した前記カバーリングとの間に、前記支持部に支持された前記治具を移動させる工程と、
前記別のリフタを上昇させ、前記支持部から前記別のリフタへ前記治具を受け渡す工程と、
前記支持部の退避後、前記リフタと前記別のリフタとを相対的に移動させ、前記カバーリングから前記治具へ前記エッジリングを受け渡す工程と、
前記リフタのみを下降させ、前記カバーリングを、前記リフタから前記環状部材載置面へ受け渡す工程と、
前記カバーリングと、前記エッジリングを支持した前記治具との間に、前記支持部を移動させた後、前記別のリフタを下降させ、前記エッジリングを支持した前記治具を、前記別のリフタから前記支持部へ受け渡す工程と、
前記支持部を前記処理容器から抜き出し、前記エッジリングを支持した前記治具を、前記処理容器から搬出する工程と、が実行されるように、前記昇降機構、前記搬送装置及び前記別の昇降機構を制御する、プラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理システム及びエッジリングの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理室内に基板を配置し、その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して、基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置が開示されている。この基板処理装置は、基板を載置する基板載置面とフォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と、複数の位置決めピンとを備える。位置決めピンは、加熱によって径方向に膨張する材料によってピン状に構成され、フォーカスリングにその下面から突出するように取り付けられてサセプタのフォーカスリング載置面に形成された位置決め孔に挿入され、加熱によって径方向に膨張して嵌合することでフォーカスリングを位置決めするものである。また、特許文献1に開示の基板処理装置は、リフタピンと、搬送アームとを備える。リフタピンは、フォーカスリング載置面から突没するように載置台に設けられ、フォーカスリングを位置決めピンごと持ち上げて、フォーカスリング載置面から脱離させるものである。搬送アームは、処理室の外側に設けられ、処理室に設けられた搬出入口を介して、リフタピンとの間でフォーカスリングを位置決めピンが取り付けられたままやり取りするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、エッジリングとカバーリングの両方が用いられるプラズマ処理システムにおけるエッジリングの交換の際に、カバーリングに支持された状態での交換と、エッジリング単体での交換と、を選択的に行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板支持台と、前記基板支持台が内部に設けられ、減圧可能に構成された処理容器と、を有し、前記基板支持台上の基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置と、前記基板を支持する支持部を有し、前記処理容器へ前記支持部を挿抜させて前記処理容器に対して前記基板を搬入出させる搬送装置と、制御装置と、を備え、前記基板支持台は、前記基板が載置される基板載置面と、前記基板載置面に保持された基板を囲むように配置されるエッジリングの外側面を覆うカバーリングが前記エッジリングを支持した状態で載置される環状部材載置面と、前記環状部材載置面における平面視で前記カバーリングと重なる部分から突出可能に昇降するリフタと、前記リフタを昇降させる昇降機構と、前記基板載置面から突出可能に昇降する別のリフタと、前記別のリフタを昇降させる別の昇降機構と、を有し、前記搬送装置の前記支持部は、前記エッジリングを支持した前記カバーリングを支持可能且つ前記エッジリングの内径より長い部分を有する治具を支持可能に構成され、前記制御装置は、前記リフタを上昇させ、前記エッジリングを支持した前記カバーリングを、前記環状部材載置面から前記リフタへ受け渡す工程と、前記基板載置面及び前記環状部材載置面と、前記エッジリングを支持した前記カバーリングとの間に、前記支持部に支持された前記治具を移動させる工程と、前記別のリフタを上昇させ、前記支持部から前記別のリフタへ前記治具を受け渡す工程と、前記支持部の退避後、前記リフタと前記別のリフタとを相対的に移動させ、前記カバーリングから前記治具へ前記エッジリングを受け渡す工程と、前記リフタのみを下降させ、前記カバーリングを、前記リフタから前記環状部材載置面へ受け渡す工程と、前記カバーリングと、前記エッジリングを支持した前記治具との間に、前記支持部を移動させた後、前記別のリフタを下降させ、前記エッジリングを支持した前記治具を、前記別のリフタから前記支持部へ受け渡す工程と、前記支持部を前記処理容器から抜き出し、前記エッジリングを支持した前記治具を、前記処理容器から搬出する工程と、が実行されるように、前記昇降機構、前記搬送装置及び前記別の昇降機構を制御するプラズマ処理システムである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッジリングとカバーリングの両方が用いられるプラズマ処理システムにおけるエッジリングの交換の際に、カバーリングに支持された状態での交換と、エッジリング単体での交換と、を選択的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】参考の実施形態1にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】
図1の処理モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図4】ウェハ支持台の周方向にかかる
図2とは異なる部分の部分断面図である。
【
図5】エッジリングの取り付け処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図6】エッジリングの取り付け処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図7】エッジリングの取り付け処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図8】昇降ピンの他の例を説明するための図である。
【
図9】静電チャックの他の例を説明するための図である。
【
図10】参考の実施形態2にかかる基板支持台としてのウェハ支持台の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
【
図11】参考の実施形態3にかかる基板支持台としてのウェハ支持台の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
【
図12】本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図13】本実施形態にかかる基板支持台としてのウェハ支持台の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
【
図14】ウェハ支持台の他の例を示す、部分拡大断面図である。
【
図15】ウェハ支持台の他の例を示す、部分拡大断面図である。
【
図16】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図17】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図18】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図19】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図20】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図21】エッジリング単体の取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図22】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図23】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図24】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図25】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図26】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【
図27】エッジリングを支持したカバーリングの取り外し処理中の処理モジュール内の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(参考の実施形態)
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板に対して、プラズマを用いて、エッチングや成膜等のプラズマ処理が行われる。プラズマ処理は、減圧可能に構成された処理室内に設けられた基板支持台に、ウェハが保持された状態で行われる。
【0009】
また、プラズマ処理の際に、基板の中央部と周縁部とで良好且つ均一な処理結果を得るために、基板支持台上の基板の周囲を囲むように、エッジリングやフォーカスリングと称される環状部材が配置されることがある。エッジリングを用いる場合、基板周縁部において周方向に均一な処理結果が得られるように、エッジリングは精度良く位置決めされて配置される。例えば、特許文献1では、エッジリングにその下面から突出するように取り付けられてエッジリング載置面に形成された位置決め孔に挿入される位置決めピンを用いて、エッジリングの位置決めをしている。
【0010】
エッジリングが消耗した場合の交換は、一般的に、作業者により行われるが、エッジリングを搬送する搬送装置を用いて、交換を行うことも考えられている。例えば、特許文献1では、載置台のエッジリング載置面から突没するように設けられ、エッジリングを持ち上げてエッジリング載置面から脱離させるリフタピンと、処理室にウェハとエッジリングの両方を搬出入可能な搬送アームと、を用いて、エッジリングの交換を行う。
【0011】
しかし、搬送装置を用いてエッジリングの交換を行う場合、エッジリングの搬送精度が悪いと、エッジリングの一部が基板支持台の基板載置面にかかる等して、基板支持台のエッジリング載置面上に適切にエッジリングを載置できないことがある。例えば、エッジリングの内径と基板載置面の直径との差が、エッジリングの搬送精度(搬送誤差)より小さい場合、エッジリング載置面の位置より基板載置面の位置の方が高いと、エッジリングの内側が基板載置面に引っ掛かり、エッジリング載置面上にエッジリングを載置することができない場合がある。
【0012】
また、プラズマ処理の際、エッジリングの周方向外側面を覆うカバーリングと称される環状部材を配置する場合がある。この場合も、カバーリングの交換に搬送装置を用いると、カバーリングに対する載置面上に適切にカバーリングを精度よく載置できないことがある。
【0013】
そこで、参考の実施形態にかかる技術は、基板支持台における、環状部材に対する載置面上に、環状部材の搬送精度によらず、環状部材を位置決めして適切に載置する。
【0014】
以下、参考の実施形態にかかる基板支持台及びプラズマ処理システム、エッジリングの交換方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
(参考の実施形態1)
図1は、参考の実施形態1にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図1のプラズマ処理システム1では、基板としてのウェハWに対して、プラズマを用いて例えばエッチング、成膜、拡散などのプラズマ処理を行う。
【0016】
図1に示すようにプラズマ処理システム1は、大気部10と減圧部11とを有し、これら大気部10と減圧部11とがロードロックモジュール20、21を介して一体に接続されている。大気部10は、大気圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う大気モジュールを備える。減圧部11は、減圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う減圧モジュールを備える。
【0017】
ロードロックモジュール20、21は、ゲートバルブ(図示せず)を介して、大気部10の後述するローダモジュール30と、減圧部11の後述するトランスファモジュール50を連結するように設けられている。ロードロックモジュール20、21は、ウェハWを一時的に保持するように構成されている。また、ロードロックモジュール20、21は、内部を大気圧雰囲気と減圧雰囲気(真空状態)とに切り替えられるように構成されている。
【0018】
大気部10は、後述する搬送装置40を備えたローダモジュール30と、フープ31a、31bを載置するロードポート32とを有している。フープ31aは、複数のウェハWを保管可能なものであり、フープ31bは、複数のエッジリングFを保管可能なものである。なお、ローダモジュール30には、ウェハWやエッジリングFの水平方向の向きを調節するオリエンタモジュール(図示せず)や複数のウェハWを格納する格納モジュール(図示せず)などが隣接して設けられていてもよい。
【0019】
ローダモジュール30は内部が矩形の筐体からなり、筐体の内部は大気圧雰囲気に維持されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば5つのロードポート32が並設されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20、21が並設されている。
【0020】
ローダモジュール30の内部には、ウェハWやエッジリングFを搬送する搬送装置40が設けられている。搬送装置40は、ウェハWやエッジリングFを支持して移動する搬送アーム41と、搬送アーム41を回転可能に支持する回転台42と、回転台42を搭載した基台43とを有している。また、ローダモジュール30の内部には、ローダモジュール30の長手方向に延伸するガイドレール44が設けられている。基台43はガイドレール44上に設けられ、搬送装置40はガイドレール44に沿って移動可能に構成されている。
【0021】
減圧部11は、ウェハWやエッジリングFを搬送するトランスファモジュール50と、トランスファモジュール50から搬送されたウェハWに所望のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置としての処理モジュール60を有している。トランスファモジュール50及び処理モジュール60の内部はそれぞれ、減圧雰囲気に維持される。1つのトランスファモジュール50に対し、処理モジュール60は複数、例えば8つ設けられている。なお、処理モジュール60の数や配置は本参考の実施形態に限定されず、任意に設定することができ、エッジリングFの交換が必要な少なくとも1つの処理モジュールが設けられていればよい。
【0022】
トランスファモジュール50は内部が多角形状(図示の例では五角形状)の筐体からなり、上述したようにロードロックモジュール20、21に接続されている。トランスファモジュール50は、ロードロックモジュール20に搬入されたウェハWを一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60で所望のプラズマの処理が行われたウェハWを、ロードロックモジュール21を介して大気部10に搬出する。また、トランスファモジュール50は、ロードロックモジュール20に搬入されたエッジリングFを一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60内の交換対象のエッジリングFを、ロードロックモジュール21を介して大気部10に搬出する。
【0023】
処理モジュール60は、ウェハWに対し、プラズマを用いて例えばエッチング、成膜、拡散などのプラズマ処理を行う。処理モジュール60には、目的のプラズマ処理を行うモジュールを任意に選択することができる。また、処理モジュール60は、ゲートバルブ61を介してトランスファモジュール50に接続されている。なお、この処理モジュール60の構成は後述する。
【0024】
トランスファモジュール50の内部には、ウェハWやエッジリングFを搬送する搬送装置70が設けられている。搬送装置70は、ウェハWやエッジリングFを支持して移動する支持部としての搬送アーム71と、搬送アーム71を回転可能に支持する回転台72と、回転台72を搭載した基台73とを有している。また、トランスファモジュール50の内部には、トランスファモジュール50の長手方向に延伸するガイドレール74が設けられている。基台73はガイドレール74上に設けられ、搬送装置70はガイドレール74に沿って移動可能に構成されている。
【0025】
トランスファモジュール50では、ロードロックモジュール20内で保持されたウェハWやエッジリングFを搬送アーム71で受け取り、処理モジュール60に搬入する。また、処理モジュール60内で保持されたウェハWやエッジリングFを搬送アーム71で受け取り、ロードロックモジュール21に搬出する。
【0026】
さらに、プラズマ処理システム1は制御装置80を有する。一実施形態において、制御装置80は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理システム1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御装置80は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理システム1の他の要素それぞれを制御するように構成され得る。一実施形態において、制御装置80の一部又は全てがプラズマ処理システム1の他の要素に含まれてもよい。制御装置80は、例えばコンピュータ90を含んでもよい。コンピュータ90は、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)91、記憶部92、及び通信インターフェース93を含んでもよい。処理部91は、記憶部92に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部92は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース93は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理システム1の他の要素との間で通信してもよい。
【0027】
次に、以上のように構成されたプラズマ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
【0028】
まず、搬送装置40によって、所望のフープ31aからウェハWが取り出され、ロードロックモジュール20に搬入される。ロードロックモジュール20にウェハWが搬入されると、ロードロックモジュール20内が密閉され、減圧される。その後、ロードロックモジュール20の内部とトランスファモジュール50の内部が連通される。
【0029】
次に、搬送装置70によってウェハWが保持され、ロードロックモジュール20からトランスファモジュール50に搬送される。
【0030】
次に、ゲートバルブ61が開放され、搬送装置70によって所望の処理モジュール60にウェハWが搬入される。その後、ゲートバルブ61が閉じられ、処理モジュール60においてウェハWに所望の処理が行われる。なお、この処理モジュール60においてウェハWに対して行われる処理については後述する。
【0031】
次に、ゲートバルブ61が開放され、搬送装置70によって処理モジュール60からウェハWが搬出される。その後、ゲートバルブ61が閉じられる。
【0032】
次に、搬送装置70によって、ロードロックモジュール21にウェハWが搬入される。ロードロックモジュール21にウェハWが搬入されると、ロードロックモジュール21内が密閉され、大気開放される。その後、ロードロックモジュール21の内部とローダモジュール30の内部が連通される。
【0033】
次に、搬送装置40によってウェハWが保持され、ロードロックモジュール21からローダモジュール30を介して所望のフープ31aに戻されて収容される。これで、プラズマ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0034】
なお、エッジリングの交換時における、フープ31bと所望の処理モジュール60との間でのエッジリングの搬送は、上述のウェハ処理時における、フープ31aと所望の処理モジュール60との間でのウェハの搬送と同様に行われる。
【0035】
続いて、処理モジュール60について、
図2~
図4を用いて説明する。
図2は、処理モジュール60の構成の概略を示す縦断面図である。
図3は、
図2の部分拡大図である。
図4は、後述のウェハ支持台101の周方向にかかる
図2とは異なる部分の部分断面図である。
【0036】
図2に示すように処理モジュール60は、処理容器としてのプラズマ処理チャンバ100、ガス供給部130、RF(Radio Frequency:高周波)電力供給部140及び排気システム150を含む。また、処理モジュール60は、後述のガス供給部120も含む(
図4参照)。さらに、処理モジュール60は、基板支持台としてのウェハ支持台101及び上部電極シャワーヘッド102を含む。
【0037】
ウェハ支持台101は、減圧可能に構成されたプラズマ処理チャンバ100内のプラズマ処理空間100sの下部領域に配置される。上部電極シャワーヘッド102は、ウェハ支持台101の上方に配置され、プラズマ処理チャンバ100の天部(ceiling)の一部として機能し得る。
【0038】
ウェハ支持台101は、プラズマ処理空間100sにおいてウェハWを支持するように構成される。一実施形態において、ウェハ支持台101は、下部電極103、静電チャック104、絶縁体105、昇降ピン106及び昇降ピン107を含む。図示は省略するが、一実施形態において、ウェハ支持台101は、静電チャック104及びウェハWのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、冷媒、伝熱ガスのような温調流体が流れる。
【0039】
下部電極103は、例えばアルミニウム等の導電性材料で形成されている。一実施形態において、上述の温調モジュールは下部電極103に設けられていてもよい。
【0040】
静電チャック104は、ウェハWと、エッジリングFとの両方を静電力により吸着保持可能に構成された部材であり、下部電極103上に設けられている。静電チャック104は、周縁部の上面に比べて中央部の上面が高く形成されている。静電チャック104の中央部の上面104aは、ウェハWが載置される基板載置面となり、静電チャック104の周縁部の上面104bは、環状部材としてのエッジリングFが載置される環状部材載置面となる。エッジリングFは、静電チャック104の中央部の上面104aに載置されたウェハWを囲むように配置される、環状部材である。
【0041】
静電チャック104の中央部には、ウェハWを吸着保持するための電極108が設けられ、静電チャック104の周縁部には、エッジリングFを吸着保持するための電極109が設けられている。静電チャック104は、絶縁材料からなる絶縁材の間に電極108、109を挟んだ構成を有する。
【0042】
電極108には、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、静電チャック104の中央部の上面104aにウェハWが吸着保持される。同様に、電極109には、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、静電チャック104の周縁部の上面104bにエッジリングFが吸着保持される。電極109は、
図3に示すように、一対の電極109a、109bを含む双極型である。
本参考の実施形態において、電極108が設けられる静電チャック104の中央部と、電極109が設けられる周縁部とは一体となっているが、これら中央部と周縁部とは別体であってもよい。
また、本参考の実施形態において、エッジリングFを吸着保持するための電極109は、双極型であるものとしたが、単極型であってもよい。
【0043】
また、静電チャック104の中央部は、例えば、ウェハWの直径よりも小径に形成されており、
図2に示すように、ウェハWが上面104aに載置されたときに、ウェハWの周縁部が静電チャック104の中央部から張り出すようになっている。
なお、エッジリングFは、その上部に段差が形成されており、外周部の上面が内周部の上面より高く形成されている。エッジリングFの内周部は、静電チャック104の中央部から張り出したウェハWの周縁部の下側にもぐり込むように形成されている。つまり、エッジリングFは、その内径が、ウェハWの外径よりも小さく形成されている。
【0044】
絶縁体105は、セラミック等で形成された円筒状の部材であり、静電チャック104を支持する。絶縁体105は、例えば、下部電極103の外径と同等の外径を有するように形成され、下部電極103の周縁部を支持する。また、絶縁体105は、その内周面が、後述の昇降機構114より、静電チャック104にかかる径方向の外側に位置するように設けられる。
【0045】
昇降ピン106は、静電チャック104の中央部の上面104aから突没するように昇降する、柱状の部材であり、例えばセラミックから形成される。昇降ピン106は、静電チャック104の周方向、すなわち、上面104aの周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。昇降ピン106は、例えば、上記周方向に沿って等間隔で設けられている。昇降ピン106は、上下方向に延びるように設けられる。
【0046】
昇降ピン106は、昇降ピン106を昇降させる昇降機構110に接続されている。昇降機構110は、例えば、複数の昇降ピン106を支持する支持部材111と、支持部材111を昇降させる駆動力を発生させ、複数の昇降ピン106を昇降させる駆動部112とを有する。駆動部112は、上記駆動力を発生するモータ(図示せず)を有する。
【0047】
昇降ピン106は、静電チャック104の中央部の上面104aから下方に延び下部電極103の底面まで至る貫通孔113に挿通される。貫通孔113は、言い換えると、静電チャック104の中央部及び下部電極103を貫通するように形成されている。
【0048】
昇降ピン107は、静電チャック104の周縁部の上面104bから突没するように昇降する、柱状の部材であり、例えばアルミナや石英、SUS等から形成される。昇降ピン107は、静電チャック104の周方向、すなわち、中央部の上面104a及び周縁部の上面104bの周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。昇降ピン107は、例えば、上記周方向に沿って等間隔で設けられている。昇降ピン107は、上下方向に延びるように設けられる。
なお、昇降ピン107の太さは、例えば1~3mmである。
【0049】
昇降ピン107は、昇降ピン107を駆動させる昇降機構114に接続されている。昇降機構114は、例えば、昇降ピン107毎に設けられ、昇降ピン107を水平方向に移動自在に支持する支持部材115を有する。支持部材115は、昇降ピン107を水平方向に移動自在に支持するため、例えばスラスト軸受を有する。また、昇降機構114は、支持部材111を昇降させる駆動力を発生させ、昇降ピン107を昇降させる駆動部116を有する。駆動部116は、上記駆動力を発生するモータ(図示せず)を有する。
【0050】
昇降ピン107は、静電チャック104の周縁部の上面104bから下方に延び下部電極103の底面まで至る貫通孔117に挿通される。貫通孔117は、言い換えると、静電チャック104の周縁部及び下部電極103を貫通するように形成されている。
この貫通孔117は、少なくとも、搬送装置70によるエッジリングの搬送精度より高い位置精度で形成されている。
【0051】
昇降ピン107は、上端部を除き、例えば円柱状に形成され、上端部は、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されている。昇降ピン107の上端部は、上昇したときにエッジリングFの底面に当接してエッジリングFを支持する。エッジリングFの底面における昇降ピン107それぞれに対応する位置には、
図3に示すように、上方に凹む凹面F1aから形成される凹部F1が設けられている。
【0052】
平面視において、エッジリングFの凹部F1(の開口径)の大きさD1は、静電チャック104の上面104bの上方への、搬送装置70によるエッジリングFの搬送精度(誤差)(±Xμm)より大きく、且つ、昇降ピン107の上端部の大きさD2より大きい。例えば、D1>D2、D1>2Xの関係を満たし、D1は約0.5mmである。別の例では、D1は0.5~3mmであってよい。
【0053】
さらに、昇降ピン107の上端部が、上述のように、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されるところ、エッジリングFの凹部F1を形成する凹面F1aは、昇降ピン107の上端部の上記半球状を形成する凸面(すなわち上端面)107aよりもその曲率が小さく設定されている。つまり、凹面F1aは、凸面107aよりも曲率半径が大きい。
【0054】
なお、エッジリングFの外周部の厚さが3~5mmの場合、凹部F1の深さは例えば0.5~1mmとされる。
また、エッジリングFの材料には例えばSiやSiCが用いられる。
【0055】
また、
図4に示すように、静電チャック104の周縁部の上面104bに対しては、伝熱ガス供給路118が形成されている。伝熱ガス供給路118は、上面104bに載置されたエッジリングFの裏面に、ヘリウムガス等の伝熱ガスを供給する。伝熱ガス供給路118は、上面104bに流体連通するように設けられている。また、伝熱ガス供給路118の上面104bとは反対側は、ガス供給部120と流体連通している。ガス供給部120は、1又はそれ以上のガスソース121及び1又はそれ以上の流量制御器122を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部120は、例えば、ガスソース121から流量制御器122を介して伝熱ガス供給路に供給するように構成される。各流量制御器122は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。
図示は省略するが、静電チャック104の中央部の上面104aに対しても、当該上面104aに載置されたウェハWの裏面に伝熱ガスを供給するため、伝熱ガス供給路118と同様なものが形成されている。
さらに、静電チャック104の周縁部の上面104bに載置されたエッジリングFを真空吸着する吸気路が形成されていてもよい。吸気路は、例えば、上面104bに流体連通するように静電チャック104に設けられる。上述の伝熱ガス供給路と吸気路とは全部または一部が共通であってもよい。
【0056】
図2の説明に戻る。上部電極シャワーヘッド102は、ガス供給部130からの1又はそれ以上の処理ガスをプラズマ処理空間100sに供給するように構成される。一実施形態において、上部電極シャワーヘッド102は、ガス入口102a、ガス拡散室102b、及び複数のガス出口102cを有する。ガス入口102aは、例えば、ガス供給部130及びガス拡散室102bと流体連通している。複数のガス出口102cは、ガス拡散室102b及びプラズマ処理空間100sと流体連通している。一実施形態において、上部電極シャワーヘッド102は、1又はそれ以上の処理ガスをガス入口102aからガス拡散室102b及び複数のガス出口102cを介してプラズマ処理空間100sに供給するように構成される。
【0057】
ガス供給部130は、1又はそれ以上のガスソース131及び1又はそれ以上の流量制御器132を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部130は、例えば、1又はそれ以上の処理ガスを、それぞれに対応のガスソース131からそれぞれに対応の流量制御器132を介してガス入口102aに供給するように構成される。各流量制御器132は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部130は、1又はそれ以上の処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0058】
RF電力供給部140は、RF電力、例えば1又はそれ以上のRF信号を、下部電極103、上部電極シャワーヘッド102、又は、下部電極103及び上部電極シャワーヘッド102の双方のような1又はそれ以上の電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間100sに供給された1又はそれ以上の処理ガスからプラズマが生成される。したがって、RF電力供給部140は、プラズマ処理チャンバにおいて1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。RF電力供給部140は、例えば、2つのRF生成部141a、141b及び2つの整合回路142a、142bを含む。一実施形態において、RF電力供給部140は、第1のRF信号を第1のRF生成部141aから第1の整合回路142aを介して下部電極103に供給するように構成される。例えば、第1のRF信号は、27MHz~100MHzの範囲内の周波数を有してもよい。
【0059】
また、一実施形態において、RF電力供給部140は、第2のRF信号を第2のRF生成部141bから第2の整合回路142bを介して下部電極103に供給するように構成される。例えば、第2のRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有してもよい。代わりに、第2のRF生成部141bに代えて、DC(Direct Current)パルス生成部を用いてもよい。
【0060】
さらに、図示は省略するが、本開示においては他の実施形態が考えられる。例えば、代替実施形態において、RF電力供給部140は、第1のRF信号をRF生成部から下部電極103に供給し、第2のRF信号を他のRF生成部から下部電極103に供給し、第3のRF信号をさらに他のRF生成部から下部電極103に供給するように構成されてもよい。加えて、他の代替実施形態において、DC電圧が上部電極シャワーヘッド102に印加されてもよい。
【0061】
またさらに、種々の実施形態において、1又はそれ以上のRF信号(すなわち、第1のRF信号、第2のRF信号等)の振幅がパルス化又は変調されてもよい。振幅変調は、オン状態とオフ状態との間、あるいは、2又はそれ以上の異なるオン状態の間でRF信号振幅をパルス化することを含んでもよい。
【0062】
排気システム150は、例えばプラズマ処理チャンバ100の底部に設けられた排気口100eに接続され得る。排気システム150は、圧力弁及び真空ポンプを含んでもよい。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、粗引きポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0063】
次に、以上のように構成された処理モジュール60を用いて行われるウェハ処理の一例について説明する。なお、処理モジュール60では、ウェハWに対して、例えばエッチング処理、成膜処理、拡散処理などの処理を行う。
【0064】
先ず、プラズマ処理チャンバ100の内部にウェハWが搬入され、昇降ピン106の昇降により静電チャック104上にウェハWが載置される。その後、静電チャック104の電極108に直流電圧が印加され、これにより、ウェハWが、静電力によって静電チャック104に静電吸着され、保持される。また、ウェハWの搬入後、排気システム150によってプラズマ処理チャンバ100の内部が所定の真空度まで減圧される。
【0065】
次に、ガス供給部130から上部電極シャワーヘッド102を介してプラズマ処理空間100sに処理ガスが供給される。また、RF電力供給部140からプラズマ生成用の高周波電力HFが下部電極103に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、RF電力供給部140からイオン引き込み用の高周波電力LFが供給されてもよい。そして、生成されたプラズマの作用によって、ウェハWにプラズマ処理が施される。
【0066】
なお、プラズマ処理中、静電チャック104に吸着保持されたウェハW及びエッジリングFの底面に向けて、伝熱ガス供給路118等を介して、HeガスやArガス等の伝熱ガスが供給される。
【0067】
プラズマ処理を終了する際には、ウェハWの底面への伝熱ガスの供給が停止されるようにしてもよい。また、RF電力供給部140からの高周波電力HFの供給およびガス供給部130からの処理ガスの供給が停止される。プラズマ処理中に高周波電力LFを供給していた場合には、当該高周波電力LFの供給も停止される。次いで、静電チャック104によるウェハWの吸着保持が停止される。
【0068】
その後、昇降ピン106によりウェハWを上昇させ、静電チャック104からウェハWを離脱させる。この離脱の際には、ウェハWの除電処理を行ってもよい。そして、プラズマ処理チャンバ100からウェハWを搬出して、一連のウェハ処理が終了する。
【0069】
なお、エッジリングFは、ウェハ処理中、静電力により吸着保持され、具体的には、プラズマ処理中も、プラズマ処理の前後も静電力により吸着保持される。プラズマ処理の前後では、電極109aと電極109bとの間に電位差が生じるように、電極109a及び電極109bに互いに異なる電圧が印加され、これによって発生した、電位差に応じた静電力により、エッジリングFが吸着保持される。それに対し、プラズマ処理中は、電極109aと電極109bとに同電圧(例えば正の同電圧)が印加され、プラズマを通じて接地電位とされたエッジリングFと、電極109a及び電極109bとの間に電位差が生じる。これによって発生した、電位差に応じた静電力により、エッジリングFが吸着保持される。なお、エッジリングFが静電力により吸着されている間、昇降ピン107は、静電チャック104の周縁部の上面104bから没した状態とされる。
【0070】
上述のように、エッジリングFは静電力により吸着保持されているため、エッジリングFの底面への伝熱ガスの供給を開始したときに、エッジリングFと静電チャック104との間に位置ずれが生じることがない。
【0071】
続いて、前述のプラズマ処理システム1を用いて行われる、処理モジュール60内へのエッジリングFの取り付け処理の一例について、
図5~
図7を用いて説明する。
図5~
図7は、取り付け処理中の処理モジュール60内の状態を模式的に示す図である。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、行われる。また、以下の処理は、例えば、静電チャック104が室温の状態で行われる。
【0072】
まず、プラズマ処理システム1の真空雰囲気のトランスファモジュール50から、エッジリングFの取り付け対象である処理モジュール60が有する、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、エッジリングFを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、
図5に示すように、静電チャック104の周縁部の上面104bの上方へ、搬送アーム71に保持されたエッジリングFが搬送される。なお、エッジリングFは、その周方向の向きが調整されて搬送アーム71に保持されている。
【0073】
次いで、全ての昇降ピン107の上昇が行われ、
図6に示すように、搬送アーム71から昇降ピン107へ、エッジリングFが受け渡される。具体的には、全ての昇降ピン107の上昇が行われ、まず、昇降ピン107の上端部が搬送アーム71に保持されたエッジリングFの底面と当接する。このとき、エッジリングFの底面に設けられた凹部F1に、昇降ピン107の上端部が収まる。なぜならば、前述のように、凹部F1は、エッジリングFの底面における昇降ピン107それぞれに対応する位置に設けられており、また、平面視において、凹部F1の大きさは、搬送装置70によるエッジリングFの搬送精度より大きく、且つ、昇降ピン107の上端部の大きさより大きいためである。昇降ピン107の上端部とエッジリングFの底面との当接後も昇降ピン107の上昇が継続されると、
図6に示すように、エッジリングFが、昇降ピン107へ受け渡され、支持される。
【0074】
そして、前述のように、エッジリングFの凹部F1を形成する凹面F1aが、昇降ピン107の上端部の上記半球状を形成する凸面107aよりもその曲率が小さく設定されている。そのため、エッジリングFは、昇降ピン107への受け渡し直後において、昇降ピン107に対する位置がずれていても、以下のように移動して、昇降ピン107に対して位置決めされる。すなわち、エッジリングFは、相対的に昇降ピン107の上端部の頂部が、相対的に、エッジリングFの凹面F1a上を摺動するように、移動する。そして、エッジリングFは、凹部F1の中心と昇降ピン107の上端部の中心とが平面視で一致するところで停止して、すなわち、凹部F1の最深部と昇降ピン107の上端部の頂部とが平面視で一致するところで停止して、その位置で昇降ピン107に対して位置決めされる。
【0075】
なお、エッジリングFの、昇降ピン107への受け渡し後、上記位置決めのための移動を促進させるため、昇降ピン107それぞれを細かく上下動させるようにしてもよいし、昇降ピン107毎に異なる速度で下降させたり、高速で下降させたりしてもよい。
【0076】
エッジリングFの昇降ピン107に対する位置決め後、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出しと、昇降ピン107の下降が行われ、これにより、
図7に示すように、エッジリングFが、静電チャック104の周縁部の上面104aに載置される。
エッジリングFが前述のように昇降ピン107に対して位置決めされ、また、貫通孔117及び昇降ピン107が静電チャック104の中心に対して高精度で設けられているため、エッジリングFは、静電チャック104の中心に対して位置決めされた状態で、上記上面104aに載置される。
なお、昇降ピン107の下降は、例えば、昇降ピン107の上端面が、静電チャック104の周縁部の上面104aから没するまで行われる。
【0077】
その後、静電チャック104の周縁部に設けられた電極109に、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加され、これによって生じる静電力により、エッジリングFが上面104bに吸着保持される。具体的には、電極109a及び電極109bに互いに異なる電圧が印加され、これによって発生した、電位差に応じた静電力により、エッジリングFが上面104bに吸着保持される。
これで、一連のエッジリングFの取り付け処理が完了する。
【0078】
なお、前述の吸気路が設けられている場合は、エッジリングFが上面104bに載置された後、静電力により吸着保持する前に、吸気路を用いて当該上面104bに真空吸着されるようにしてもよい。そして、吸気路を用いた真空吸着から静電力による吸着保持に切り替えてから、吸気路の真空度を測定し、その測定結果に基づいて、エッジリングFを上面104bに載置し直すか決定してもよい。
【0079】
エッジリングFの取り外し処理は、上述のエッジリングFの取り付け処理と逆の手順で行われる。
なお、エッジリングFの取り外しの際は、エッジリングFのクリーニング処理を行ってから、エッジリングFをプラズマ処理チャンバ100から搬出するようにしてもよい。
【0080】
以上のように、本参考の実施形態にかかるウェハ支持台101は、ウェハWが載置される上面104aと、上面に保持されたウェハWを囲むように配置されるエッジリングFが載置される上面104bと、上面104bから突没するように昇降する、3本以上の昇降ピン107と、昇降ピン107を昇降させる昇降機構114と、を有する。また、エッジリングFの底面における昇降ピン107それぞれに対応する位置に、上方に凹む凹面F1aから形成される凹部F1が設けられている。そして、平面視において、凹部F1の大きさが、上面104bの上方へのエッジリングFの搬送誤差より大きく、且つ、昇降ピン107の上端部の大きさより大きく、形成されている。そのため、昇降ピン107を上昇させエッジリングFの底面に当接させるときに、昇降ピン107の上端部をエッジリングFの凹部F1に収めることができる。さらに、本参考の実施形態では、昇降ピン107の上端部が、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成され、凹部F1を形成する凹面F1aが、昇降ピン107の上端部の前記半球状を形成する凸面より曲率が小さい。そのため、エッジリングFを昇降ピン107で支持するときに、凹部F1の最深部と昇降ピン107の上端部の頂部とが平面視で一致する位置で、エッジリングFを昇降ピン107に対して位置決めすることができる。したがって、エッジリングFを支持した昇降ピン107を下降させたときに、昇降ピン107を、静電チャック104に対して位置決めして、上面104bに載置することができる。つまり、本参考の実施形態によれば、エッジリングFの搬送精度によらず、エッジリングFをウェハ支持台101に対して位置決めして載置することができる。
また、本参考の実施形態にかかるウェハ支持台101をプラズマ処理装置に設ければ、作業者を介さず、搬送装置70を用いて、エッジリングFを交換することができる。作業者がエッジリングを交換する場合、エッジリングが配される処理容器を大気開放する必要があるが、本参考の実施形態にかかるウェハ支持台101を設ければ、搬送装置70を用いてエッジリングFの交換を行うことができるため、交換時にプラズマ処理チャンバ100を大気開放する必要がない。したがって、本参考の実施形態によれば、交換に要する時間を大幅に短縮することができる。また、本参考の実施形態では、3本以上の昇降ピンを設けているので、エッジリングFの径方向(ウェハ支持台101の中心から外周に向かう方向)の位置合わせに加え、エッジリングFの周方向の位置合わせをすることができる。
【0081】
さらに、本参考の実施形態では、昇降機構114が、昇降ピン107毎に設けられ、さらに、昇降ピン107を水平方向に移動自在に支持する支持部材115を有する。そのため、静電チャック104が熱膨張または熱収縮したときに、その熱膨張または熱収縮に合わせて、昇降ピン107が水平方向に移動することができる。したがって、静電チャック104が熱膨張または熱収縮したときに、昇降ピン107が破損することがない。
【0082】
また、本参考の実施形態では、エッジリングFの載置後に、電極109を用いて、静電力により吸着保持している。そのため、載置後のエッジリングFの位置ずれを抑制する突起や凹部等を、エッジリングFの底面やエッジリングFの載置面(静電チャック104の上面104b)に設ける必要がない。特に、静電チャック104の上面104bに上述のような突起等を設ける必要がないため、静電チャック104の構成の複雑化を抑制することができる。
【0083】
さらに、本参考の実施形態では、ウェハ支持台101の静電チャック104とエッジリングFとの間に他の部材がないため、累積公差が少ない。
【0084】
図8は、昇降ピンの他の例を説明するための図である。
図8の昇降ピン160は、半球状に形成された上端部161の他に、柱状部162と、連結部163とを有する。
【0085】
柱状部162は、上端部161より太い柱状に形成され、具体的には、例えば、上端部161より太い円柱状に形成されている。
連結部163は、上端部161と柱状部162とを連結する部分である。この連結部は、上方に向けて漸次細くなる錐台状に形成され、具体的には、例えば、その下端が柱状部162と同径であり、その上端が上端部161と同径である円錐台状に形成されている。
【0086】
昇降ピン160を用いることで、エッジリングFの昇降ピン160に対する位置決め精度をより高くすることができる。
なお、前述の昇降ピン107を用いることで、凹部F1をより浅くすることができるので、エッジリングFを薄くし、軽量化することができる。
【0087】
図9は、静電チャックの他の例を説明するための図である。
図9の静電チャック170は、昇降ピン107が挿通される貫通孔117に絶縁性のガイド180が設けられている。
ガイド180は、例えば樹脂製の円筒状部材であり、貫通孔117に嵌合している。
静電チャック170では、昇降ピン107は、貫通孔117に設けられたガイド180に挿通されて用いられ、昇降ピン107の昇降時の移動方向がガイド180によって上下方向に規定される。そのため、昇降ピン107の上端部が、静電チャック170に対してより精度良く位置決めされる。したがって、エッジリングFを位置決めして支持した状態の昇降ピン107を下降させて、エッジリングFを静電チャック170の上面104bに載置するときに、エッジリングFを、静電チャック170に対してより精度良く位置決めされた状態で、上面104bに載置することができる。
【0088】
(参考の実施形態2)
図10は、参考の実施形態2にかかる基板支持台としてのウェハ支持台200の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
参考の実施形態1では、エッジリングFが交換対象であったが、本参考の実施形態では、カバーリングCが交換対象となる。カバーリングCは、エッジリングFの周方向外側面を覆う環状部材である。
【0089】
図10のウェハ支持台200は、下部電極201、静電チャック202、支持体203、絶縁体204、昇降ピン205を有する。
図2等に示した下部電極103及び静電チャック104には、これらを貫通するように貫通孔117が設けられていたが、下部電極201及び静電チャック202には貫通孔117は設けられていない。この点で、下部電極201及び静電チャック202と、下部電極103及び静電チャック104は異なる。
【0090】
支持体203は、例えば石英等を用いて、平面視環状に形成された部材であり、下部電極201を支持すると共に、カバーリングCを支持する。支持体203の上面203aは、交換対象の環状部材としてのカバーリングCが載置される環状部材載置面となる。
【0091】
絶縁体204は、セラミック等で形成された円筒状の部材であり、支持体203を支持する。絶縁体204は、例えば、支持体203の外径と同等の外径を有するように形成され、支持体203の周縁部を支持する。
【0092】
図2等の昇降ピン107は、下部電極103及び静電チャック104を貫通するように設けられた貫通孔117に挿通されているのに対し、昇降ピン205は、支持体203を上面203aから上下方向に貫通する貫通孔206に挿通される。この点で、昇降ピン205と、昇降ピン107は異なる。昇降ピン205は、昇降ピン107と同様、静電チャック202の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。
【0093】
昇降ピン205は、昇降ピン107と同様、上端部が、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されている。昇降ピン205の上端部は、上昇したときにカバーリングCの底面に当接してカバーリングCを支持する。カバーリングCの底面における昇降ピン205それぞれに対応する位置には、上方に凹む凹面C1aから形成される凹部C1が設けられている。
【0094】
平面視において、カバーリングCの凹部C1の大きさは、搬送装置70によるカバーリングCの搬送精度より大きく、且つ、昇降ピン205の上端部の大きさより大きい。
さらに、昇降ピン205の上端部が、上述のように、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されるところ、カバーリングCの凹部C1を形成する凹面C1aは、昇降ピン205の上端部の上記半球状を形成する凸面205aよりもその曲率が小さく設定されている。
【0095】
カバーリングCの取り付け処理及び取り外し処理は、参考の実施形態1にかかるエッジリングFの取り付け処理及び取り外し処理と同様であるため、その説明を省略する。
なお、
図2等に示した、エッジリングFに対する昇降ピン107は、静電チャック104の周縁部の上面104bから突没可能に構成されていた。そして、静電力によるエッジリングFの吸着時には、昇降ピン107の上端面が、静電チャック104の周縁部の上面104aから没していた。それに対し、カバーリングCに対する昇降ピン205は、支持体203の上面203aから突出可能に構成され且つその突出量が調整可能であれば、支持体203の上面203aから突没可能に構成されていなくてもよい。また、静電力によるエッジリングFの吸着時に、昇降ピン205の上端面が、支持体203の上面203aから突出していてもよい。
【0096】
(参考の実施形態3)
図11は、参考の実施形態3にかかる基板支持台としてのウェハ支持台300の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
参考の実施形態1では、エッジリングFが交換対象であり、参考の実施形態2では、カバーリングCが交換対象であったが、本参考の実施形態では、エッジリングF及びカバーリングCの両方が交換対象となる。
【0097】
なお、本参考の実施形態では、エッジリングF及びカバーリングCはそれぞれ別個に交換される。そのため、エッジリングFに対し、昇降ピン107と貫通孔117が設けられ、カバーリングCに対し、昇降ピン205と貫通孔206が設けられている。また、前述の凹部F1、C1がそれぞれ、エッジリングFの底面、カバーリングCの底面に形成されている。
【0098】
本参考の実施形態における、エッジリングFの取り付け処理及び取り外し処理、カバーリングCの取り付け処理及び取り外し処理は、参考の実施形態1にかかるエッジリングFの取り付け処理及び取り外し処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0099】
(本実施形態)
参考の実施形態1では、エッジリングFが、参考の実施形態2では、カバーリングCが、参考の実施形態3では、エッジリングF及びカバーリングCの両方が、交換対象であった。それに対し、本実施形態では、エッジリングを支持したカバーリングまたはエッジリング単体が交換対象である。
つまり、本実施形態では、参考の実施形態3と同様、エッジリングとカバーリングの両方が用いられる。そして、本実施形態にかかる技術は、エッジリングとカバーリングの両方が用いられるプラズマ処理システムにおけるエッジリングの交換の際に、カバーリングに支持された状態での交換(すなわちカバーリングと一体とされた状態での交換)と、エッジリング単体での交換と、を選択的に行う、ためのものである。
【0100】
図12は、本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図12のプラズマ処理システム1aは、
図1のプラズマ処理システム1と異なり、減圧部11が、トランスファモジュール50及び処理モジュール60の他に、エッジリングを支持したカバーリング及びエッジリング単体での交換に用いられる後述の治具の少なくともいずれか一方を収納する収納モジュール62を有している。
【0101】
図の例では、収納モジュール62は、1つのトランスファモジュール50に対し、2つ設けられている。2つの収納モジュール62のうちの少なくともいずれか一方にエッジリングを支持したカバーリングが収納され、少なくともいずれか他方に治具が収納される。なお、収納モジュール62の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができ、少なくとも1つ設けられていればよい。
収納モジュール62は、ゲートバルブ63を介してトランスファモジュール50に接続されている。そして、収納モジュール62の内部も、トランスファモジュール50及び処理モジュール60の内部と同様、減圧雰囲気に維持される。
【0102】
プラズマ処理システム1aのトランスファモジュール50では、収納モジュール62に収納されている、エッジリングを支持したカバーリングまたは治具を搬送アーム71で受け取り、処理モジュール60に搬送する。また、トランスファモジュール50では、処理モジュール60内で保持された、エッジリングを支持したカバーリングまたは治具を搬送アーム71で受け取り、収納モジュール62に搬送する。
【0103】
さらに、
図12のプラズマ処理システム1aと
図1のプラズマ処理システム1とは、処理モジュール60内の基板支持台としてのウェハ支持台の構成が異なる。
【0104】
図13は、本実施形態にかかる基板支持台としてのウェハ支持台400の構成の概略を示す、部分拡大断面図である。
【0105】
図13のウェハ支持台400は、下部電極401、静電チャック402、支持体403、絶縁体404、リフタ405を有する。
【0106】
下部電極401及び静電チャック402には、リフタ405が挿通される挿通孔406が設けられている。挿通孔406は、例えば静電チャック402の周縁部の上面402aから下方に延び下部電極401の底面まで至るように形成されている。
なお、図の例では、静電チャック402に、エッジリングFaを吸着保持するための双極型の電極109が設けられているが、エッジリングFaを吸着保持するための電極は単極型であってもよい。また、エッジリングFaを吸着保持するための電極が静電チャック402から省略されていてもよい。
さらに、静電チャックにエッジリングFaを吸着するための電極を設ける場合、静電チャックにおける、エッジリングFaを吸着するための電極が設けられる周縁部と、ウェハWを吸着するための電極108が設けられる中央部とは一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0107】
支持体403は、例えば石英等を用いて、平面視環状に形成された部材であり、下部電極401を支持する。
【0108】
この支持体403の上面403aと、静電チャック402の周縁部の上面402aとが、本実施形態にかかる交換対象の環状部材の1つである、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが載置される、環状部材載置面となる。
【0109】
絶縁体404は、セラミック等で形成された円筒状の部材であり、支持体403を支持する。絶縁体404は、例えば、支持体403の外径と同等の外径を有するように形成され、支持体403の周縁部を支持する。
【0110】
本実施形態において、カバーリングCaは、エッジリングFaを支持可能に構成されており、平面視で当該エッジリングFaと少なくとも一部重なるように形成されている。カバーリングCaは例えばエッジリングFaを当該カバーリングCaと略同心の状態で支持する。一実施形態において、カバーリングCaの最内周部の直径が、エッジリングFaの最外周部の直径よりも小さく、カバーリングCaとエッジリングFaとを略同心に配置したときに、平面視でカバーリングCaの内周部がエッジリングFaの外周と少なくとも一部重なる。例えば、一実施形態において、エッジリングFaが、底部の外周部に、径方向内側に凹む凹所Fa1を有し、カバーリングCaが、その底部に径方向内側に突出する凸部Ca1を有しており、凸部Ca1と凹所Fa1との係合により、エッジリングFaを支持する。
【0111】
なお、本実施形態において、エッジリングFaは、
図2のエッジリングFと同様、その上部に段差が形成されており、外周部の上面が内周部の上面より高く形成され、また、その内径が、ウェハWの外径よりも小さく形成されている。
さらに、一実施形態において、カバーリングCaとエッジリングFaとの位置ずれが抑制されるように、いずれか一方に突起を設け、いずれか他方にその突起と係合する凹部を設けてもよい。具体的には、
図14に示すように、カバーリングCaの上面に、当該カバーリングCaと同心の環状突起Ca2が形成され、エッジリングFaの下面における環状突起Ca2と対応する位置に当該エッジリングFaと同心の環状凹部Fa2が形成されていてもよい。環状突起Ca2と環状凹部Fa2との係合により、カバーリングCaとエッジリングFaとの位置ずれを抑制することができる。また、上述の例に代えて、カバーリングCaの上面に環状凹部が形成され、エッジリングFaの下面に環状突起が形成され、これらの係合により、カバーリングCaとエッジリングFaとの位置ずれを抑制するようにしてもよい。
なお、エッジリングFaは、一体物であってもよいし、二体物であっても(すなわち複数の部材から構成されていても)よい。
【0112】
リフタ405は、静電チャック402の周縁部の上面402aにおける平面視でカバーリングCと重なる位置から突出可能に昇降する部材である。リフタ405は、上記位置から突出した状態で昇降することで、エッジリングFaを支持したカバーリングCaを支持して昇降させることができる。一実施形態では、リフタ405は、前述の昇降ピン107と同様、長尺の柱状の部材である。
また、リフタ405は、昇降ピン106(後述の
図16参照)によって後述の治具が昇降するときに、当該治具の昇降を阻害しないように設けられている。なお、昇降ピン106は、静電チャック402の中央部の上面(すなわち基板載置面)104aから突出可能に昇降する、ウェハWに対するリフタの一例である。
【0113】
リフタ405は、例えば、静電チャック402の周縁部の上面402aにおける、カバーリングCaの凸部Ca1に対応する位置から、突没する。リフタ405が挿通される挿通孔406は、カバーリングCaの凸部Ca1に対応する位置に形成されている。なお、図の例では、リフタ405が長尺の柱状の部材であるため、挿通孔406が静電チャック402及び下部電極401を貫通している。しかし、リフタ405の形状によっては、挿通孔406は静電チャック402及び下部電極401を貫通していなくてもよい。
【0114】
リフタ405は、
図2の昇降ピン107と同様、静電チャック402の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3つ以上設けられている。
リフタ405を昇降させる昇降機構は、リフタ405毎に設けられていてもよいし、複数のリフタ405に対して共通の昇降機構が設けられていてもよい。
【0115】
リフタ405は、昇降ピン107と同様、上端部が、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されていてもよい。リフタ405の上端部は、例えば、上昇したときにカバーリングCaの凸部Ca1の底面に当接して、エッジリングFを支持したカバーリングCを支持する。
図15に示すように、カバーリングCの凸部Ca1の底面におけるリフタ405それぞれに対応する位置には、上方に凹む凹面Ca3aから形成される凹部Ca3が設けられていてもよい。
【0116】
凹部Ca3が設けられる場合、その大きさは、例えば、平面視において、搬送装置70によるカバーリングCの搬送精度より大きく、且つ、リフタ405の上端部の大きさより大きい。
さらに、リフタ405の上端部が、上述のように、上方に向けて漸次細くなる半球状に形成されている場合、凹部Ca3を形成する凹面Ca3aは、リフタ405の上端部の上記半球状を形成する凸面405aよりもその曲率が小さく設定されていてもよい。
【0117】
続いて、プラズマ処理システム1aを用いて行われる、エッジリングFaを支持した状態のカバーリングCaの取り付け処理の一例について説明する。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、行われる。
【0118】
まず、プラズマ処理システム1aの真空雰囲気のトランスファモジュール50の搬送アーム71によって、収納モジュール62から、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが取り出され保持される。次いで、取り付け対象の処理モジュール60が有する、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、エッジリングFaを支持したカバーリングCaを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、静電チャック402の周縁部の上面402aと支持体403の上面403a(以下、「ウェハ支持台400の環状部材載置面」と省略することがある。)の上方へ、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが搬送アーム71によって搬送される。
【0119】
次いで、全てのリフタ405の上昇が行われ、搬送アーム71からリフタ405へ、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが受け渡される。具体的には、全てのリフタ405の上昇が行われ、まず、リフタ405の上端部が、搬送アーム71に保持されたカバーリングCaの底面と当接する。この当接後もリフタ405の上昇が継続されると、エッジリングを支持したカバーリングCaが、リフタ405へ受け渡され、支持される。
【0120】
そして、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出しすなわち退避が行われ、その後、リフタ405の下降が行われ、これにより、エッジリングFaを支持したカバーリングCaがウェハ支持台400の環状部材載置面に載置される。
これで、一連の、エッジリングFaを支持したカバーリングCaの取り付け処理が完了する。
【0121】
次に、プラズマ処理システム1aを用いて行われる、エッジリングFaを支持した状態のカバーリングCaの取り外し処理の一例について説明する。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、行われる。
【0122】
まず、全てのリフタ405の上昇が行われ、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、ウェハ支持台400の環状部材載置面から、リフタ405へ受け渡される。その後も、リフタ405の上昇が継続され、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、上方に移動する。
【0123】
次いで、プラズマ処理システム1aの真空雰囲気のトランスファモジュール50から、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、搬送アーム71が挿入される。そして、ウェハ支持台400の環状部材載置面と、エッジリングFaを支持したカバーリングCaとの間に、搬送アーム71が移動される。
【0124】
続いて、リフタ405の下降が行われ、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、リフタ405から搬送アーム71へ受け渡される。その後、搬送アーム71がプラズマ処理チャンバ100から抜き出され、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、処理モジュール60外へ搬出される。そして、エッジリングFaを支持したカバーリングCaは、搬送アーム71によって、収納モジュール62に収納される。
これで、一連の、エッジリングFaを支持したカバーリングCaの取り外し処理が完了する。
【0125】
次に、プラズマ処理システム1aを用いて行われる、エッジリングFa単体の取り外し処理の一例について
図16~
図21を用いて説明する。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、行われる。また、エッジリングFa単体の取り付け処理では、治具Jが用いられる。治具Jは、カバーリングCaを支持せずにエッジリングFaのみを支持することが可能に構成されており、例えば、エッジリングFaの内径より長く且つカバーリングCaの内径よりも短い部分を有する板状の部材である。治具Jは、具体的には、例えば、平面視においてエッジリングFaの内径より長く且つカバーリングCaの内径よりも短い対角線を有する略矩形状の板状部材であり、また、エッジリングFaの内径より長く且つカバーリングCaの内径よりも短い直径を有する円板状の部材であってもよい。
【0126】
エッジリングFa単体の取り外し処理では、まず、全てのリフタ405の上昇が行われ、エッジリングFを支持したカバーリングCが、静電チャック402の周縁部の上面402aと支持体403の上面403a(すなわち、ウェハ支持台400の環状部材載置面)から、リフタ405へ受け渡される。その後も、リフタ405の上昇が継続され、
図16に示すように、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、上方に移動する。
【0127】
次いで、プラズマ処理システム1の真空雰囲気のトランスファモジュール50から、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、処理モジュール60から治具Jを取り出し保持した搬送アーム71が挿入される。そして、
図17に示すように、静電チャック402の周縁部の上面402a及び支持体403の上面403aと、エッジリングFaを支持したカバーリングCaとの間に、搬送アーム71に保持された治具Jが移動される。
【0128】
続いて、ウェハWに対するリフタの一例である昇降ピン106の上昇が行われ、
図18に示すように、搬送アーム71から昇降ピン106へ、治具Jが受け渡される。
【0129】
次いで、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出しすなわち退避が行われ、その後、リフタ405と昇降ピン106とを相対的に移動させ、具体的には、リフタ405のみを下降させる。これにより、
図19に示すように、エッジリングFaが、カバーリングCaから治具Jへ受け渡される。その後、リフタ405のみを引き続き下降させ、これにより、リフタ405から、環状部材載置面へ、カバーリングCaが受け渡される。
【0130】
次に、プラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、搬送アーム71が挿入される。そして、
図20に示すように、カバーリングCaと、エッジリングFaを支持した治具Jとの間に、搬送アーム71が移動される。
【0131】
続いて、昇降ピン106が下降され、
図21に示すように、昇降ピン106から、搬送アーム71へ、エッジリングFaを支持した治具Jが受け渡される。
【0132】
そして、搬送アーム71がプラズマ処理チャンバ100から抜き出され、エッジリングFaを支持した治具Jが、プラズマ処理チャンバ100から搬出される。エッジリングFaを支持した治具Jは、搬送アーム71によって、収納モジュール62に収納される。
これで、一連のエッジリングFa単体の取り外し処理が完了する。
【0133】
続いて、プラズマ処理システム1aを用いて行われる、エッジリングFa単体の取り付け処理の一例について説明する。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、行われる。また、以下に説明するように、エッジリングFa単体の取り付け処理においても取り外し処理と同様、治具Jが用いられる。
【0134】
まず、プラズマ処理システム1aの真空雰囲気のトランスファモジュール50の搬送アーム71によって、収納モジュール62から、エッジリングFaを支持した治具Jが取り出され保持される。次いで、取り付け対象の処理モジュール60が有する、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、エッジリングFaを支持した治具Jを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、
図22に示すように、静電チャック402の中央部の上面104aの上方へ、エッジリングFaを支持した治具Jが搬送アーム71によって搬送される。
【0135】
次いで、昇降ピン106の上昇が行われ、
図23に示すように、搬送アーム71から昇降ピン106へ、エッジリングFaを支持した治具Jが受け渡される。
【0136】
続いて、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出しすなわち退避が行われ、その後、カバーリングCaのみを支持したリフタ405の上昇が行われ、これにより、
図24に示すように、昇降ピン106上の治具JからカバーリングCaへ、エッジリングFaが受け渡される。
【0137】
次いで、プラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、搬送アーム71が再度挿入される。そして、
図25に示すように、静電チャック402の中央部の上面(すなわち基板載置面)104aと、治具Jとの間に、搬送アーム71が移動される。
【0138】
続いて、昇降ピン106が下降され、
図26に示すように、昇降ピン106から、搬送アーム71へ、エッジリングFaを支持していない治具Jが受け渡される。
【0139】
そして、搬送アーム71がプラズマ処理チャンバ100から抜き出され、治具Jが、プラズマ処理チャンバ100から搬出される。治具Jは、搬送アーム71によって、収納モジュール62に収納される。
【0140】
また、リフタ405の下降が行われ、これにより、
図27に示すように、エッジリングFaを支持したカバーリングCaが、静電チャック402の周縁部の上面402aと支持体403の上面403aに跨るように載置される。
これで、一連のエッジリングFa単体の取り外し処理が完了する。
【0141】
以上のように、本実施形態によれば、エッジリングFaとカバーリングCaの両方を用いられるプラズマ処理システム1aにおけるエッジリングFaの交換の際に、カバーリングCaに支持された状態での交換と、エッジリング単体での交換と、を選択的に行うことができる。また、本実施形態によれば、エッジリングFaの交換をカバーリングCaに支持された状態で行うことができるため、すなわち、エッジリングFaとカバーリングCaとを同時に交換することができるため、これらの交換に要する時間をより短縮することができる。また、エッジリングFaを昇降させる機構を設ける必要がないため、低コスト化を図ることができる。さらに、本実施形態によれば、カバーリングCaの交換が不要で、エッジリングFaのみ交換が必要な場合に、エッジリングFaを直接昇降させる機構が設けられていなくても、エッジリングFaのみを交換することができる。
【0142】
なお、エッジリングFaを支持したカバーリングCa及び治具Jの少なくともいずれか一方が、ロードポート32に載置される容器内に収納されていてもよい。
【0143】
また、エッジリングは以下の第1環状部材の一例であり、カバーリングは以下の第2環状部材の一例である。第1環状部材とは、ウェハ支持台に載置された基板を囲むように配置される環状部材であり、第2環状部材とは、平面視で第1環状部材と少なくとも一部重なるように形成された環状部材である。第2環状部材は、より具体的には、第1環状部材を支持可能に構成されており、平面視で当該第1環状部材と少なくとも一部重なるように形成されている。第2環状部材は例えば第1環状部材を当該第2環状部材と略同心の状態で支持する。
以上では、本実施形態にかかる技術について、エッジリングとカバーリングを用いる例で説明したが、本実施形態にかかる技術は、上記第1環状部材及び第2環状部材を用いるプラズマ処理システムであれば適用することができる。
これら第1環状部材及び第2環状部材を用いるプラズマ処理システムに対して、本実施形態に係る技術を適用することで、第1環状部材の交換の際に、第2環状部材に支持された状態での交換と、第1環状部材単体での交換と、を選択的に行うことができる。
【0144】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0145】
以上の実施形態に加え、さらに以下の付記を開示する。
[付記1]
基板が載置される基板載置面と、
基板載置面に保持された基板を囲むように環状部材が載置される環状部材載置面と、
環状部材載置面から突出可能に構成され、環状部材載置面からの突出量を調整自在に昇降する、3本以上の昇降ピンと、
昇降ピンを昇降させる昇降機構と、を有し、
前記環状部材の底面における昇降ピンそれぞれに対応する位置に、上方に凹む凹面から形成される凹部が設けられており、
昇降ピンの上端部の曲率は、凹部の曲率よりも大きい基板支持台。
[付記2]
平面視において、凹部の開口部は環状部材載置面の上方への環状部材の搬送誤差より大きい、付記1に記載の基板支持台。
[付記3]
昇降機構は、昇降ピンをそれぞれ独立して昇降させる、付記1または2に記載の基板支持台。
【符号の説明】
【0146】
60 処理モジュール
70 搬送装置
71 搬送アーム
80 制御装置
100 プラズマ処理チャンバ
104a 上面
106 昇降ピン
110 昇降機構
114 昇降機構
400 ウェハ支持台
402a 上面
403a 上面
405 リフタ
Ca カバーリング
Fa エッジリング
J 治具
W ウェハ