(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106266
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】半導体製造装置、塗布装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H01L21/52 G
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010522
(22)【出願日】2023-01-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横森 剛
(72)【発明者】
【氏名】高柳 健一
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047CA00
5F047FA08
5F047FA22
5F047FA77
(57)【要約】
【課題】ペーストの塗布位置および塗布量の少なくとも一方のバラツキを低減することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、先端にノズルを有し、ペーストが格納されるシリンジと、第一ステージと、ペーストが塗布される基板を支持する第二ステージと、前記第一ステージに塗布されたペーストを撮像する撮像装置と、交換前のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第一ペーストの認識結果と交換後のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第二ペーストの認識結果とに基づいて前記交換後のシリンジの塗布位置および塗布量を調整するよう構成される制御装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にノズルを有し、ペーストが収納されるシリンジと、
前記シリンジによってペーストが塗布される第一ステージと、
前記シリンジによってペーストが塗布される基板を支持する第二ステージと、
前記第一ステージに塗布されるペーストを認識する撮像装置と、
交換前のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第一ペーストの認識結果と交換後のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第二ペーストの認識結果とに基づいて前記交換後のシリンジの塗布位置および塗布量を調整するよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記第一ペーストを前記撮像装置によって撮影し、撮影された画像から算出した第一塗布位置および第一塗布面積を記憶装置に記録し、
前記第二ペーストを前記撮像装置によって撮影し、撮影された画像から算出した第二塗布位置および第二塗布面積を前記記憶装置に記録し、
前記第一塗布位置と前記第二塗布位置に基づいて前記交換後のシリンジの位置を補正すると共に、前記第一塗布面積と前記第二塗布面積に基づいて前記交換後のシリンジの吐出量を補正するよう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記第一ペーストおよび前記第二ペーストを前記第一ステージの所定領域に塗布するよう構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2の半導体製造装置において、
さらに、前記シリンジを動かす駆動部を備え、
前記制御装置は、前記第一塗布位置と前記第二塗布位置に基づいて前記駆動部により前記シリンジを動かして前記塗布位置を調整するよう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項2の半導体製造装置において、
さらに、加圧気体を前記シリンジに供給するディスペンサを備え、
前記制御装置は、前記第一塗布面積と前記第二塗布面積に基づいて前記ディスペンサの圧力を変えて前記塗布量を調整するよう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第一ステージは可視光において透明な部材で構成され、
前記ペーストは前記第一ステージの上面に塗布され、
前記撮像装置は前記第一ステージの下方に配置される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第一ステージは移動可能に構成される半導体製造装置。
【請求項8】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記撮像装置によって前記基板および前記基板に塗布されるペーストを撮影するよう構成される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1の半導体製造装置において、
さらに、ペーストが塗布された前記基板にダイを載置するボンドヘッドを備える半導体製造装置。
【請求項10】
先端にノズルを有し、ペーストが格納されるシリンジと、
第一ステージと、
ペーストが塗布される基板を支持する第二ステージと、
前記第一ステージに塗布されたペーストを撮像する撮像装置と、
交換前のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第一ペーストの認識結果と交換後のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第二ペーストの認識結果とに基づいて前記交換後のシリンジの塗布位置および塗布量を調整するよう構成される制御装置と、
を備える塗布装置。
【請求項11】
先端にノズルを有し、ペーストが格納されるシリンジと、第一ステージと、ペーストが塗布される基板を支持する第二ステージと、前記第一ステージに塗布されたペーストを撮像する撮像装置と、交換前のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第一ペーストの認識結果と交換後のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第二ペーストの認識結果とに基づいて前記交換後のシリンジの塗布位置および塗布量を調整するよう構成される制御装置と、を備える半導体製造装置に基板を搬入する工程と、
前記第二ステージに支持された基板にペーストを塗布する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば、樹脂ペーストを接合材料とするダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハから分割されたダイがピックアップされ、シリンジによって樹脂ペーストが塗布された基板にピックアップされたダイがボンドされることがある。ここで、樹脂ペーストは液体状の接着剤であり、例えば、銀エポキシや銀アクリル等の銀ペーストである。以下、樹脂ペーストを単にペーストという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリンジが交換される場合、交換前のシリンジによって塗布されたペーストに対して交換後のシリンジによって塗布されるペーストに塗布位置の変化が生じたり、塗布量の変化が生じたりすることがある。
【0005】
本開示は、ペーストの塗布位置および塗布量の少なくとも一方のバラツキを低減することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、先端にノズルを有し、ペーストが格納されるシリンジと、第一ステージと、ペーストが塗布される基板を支持する第二ステージと、前記第一ステージに塗布されたペーストを撮像する撮像装置と、交換前のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第一ペーストの認識結果と交換後のシリンジによって前記第一ステージに塗布された第二ペーストの認識結果とに基づいて前記交換後のシリンジの塗布位置および塗布量を調整するよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ペーストの塗布位置および塗布量の少なくとも一方のバラツキを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態におけるダイボンダの概略を示す上面図である。
【
図2】
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【
図3】
図3は
図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
【
図4】
図4は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6はプリフォーム部の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7はシリンジ交換前においてペーストが塗布された捨て打ちステージを示す上面図である。
【
図8】
図8はシリンジ交換後においてペーストが塗布された捨て打ちステージを示す上面図である。
【
図9】
図9は塗布位置または塗布量の調整方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は第一変形例におけるプリフォーム部の構成を示す側面図である。
【
図11】
図11は第二変形例における捨て打ちステージを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0010】
半導体製造装置の一態様としてのダイボンダの構成について
図1から
図3を用いて説明する。
図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3は
図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20と、中間ステージ部30と、プリフォーム部90と、ボンディング部40と、搬送部50と、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置、コントローラ)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0013】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。図示しないウエハ修正シュートによりウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントが行われる。図示しないウエハエキストラクタによりウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0014】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTはウエハリングWRに保持されている。ウエハWは、例えば、半導体ウエハやガラスウエハであり、ダイDは半導体チップやガラスチップである。
【0015】
ウエハ保持台12は図示しないXYテーブルおよび駆動部によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によって上下方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0016】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0017】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY軸方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0018】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。
【0019】
プリフォーム部90は、シリンジ91と、駆動部93と、撮像装置としてのプリフォームカメラ94と、第二ステージとしてのプリフォームステージ96と、第一ステージとしての捨て打ちステージ100と、を有する。シリンジ91は下部の先端にノズル92を有する。シリンジ91は搬送部50によりプリフォームステージ96に搬送されてきた基板Sにペーストを塗布する。駆動部93はシリンジ91をX方向、Y方向および上下方向に動かす。基板Sは、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0020】
プリフォームカメラ94はシリンジ91によって基板Sに塗布されたペーストの位置等を把握する。プリフォームステージ96はペーストを基板Sに塗布する際に上昇し、基板Sを下方から支える。プリフォームステージ96は基板Sを真空吸着するための吸着孔(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。また、プリフォームカメラ94は捨て打ちステージ100の所定領域に塗布されるペーストを撮影する。
【0021】
捨て打ちステージ100は、プリフォームステージ96に対してY方向側に一対の搬送レーン52の一方の搬送レーン52を挟んで配置される。捨て打ちステージ100はシリンジ91およびプリフォームカメラ94の移動範囲内に設けられる。ここで、シリンジ91およびプリフォームカメラ94はY方向に移動する。捨て打ちステージ100の詳細については後述する。
【0022】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY軸方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0023】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて、搬送されてくる基板Sのペーストが塗布されたパッケージエリアP上にダイDをボンド(載置して接着)する。
【0024】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する一対の搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0025】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0026】
ダイボンダ1の制御系について
図4を用いて説明する。
図4は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0027】
制御系8は制御部80と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは、処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成される。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。
【0028】
入出力装置83は、ダイボンダ1の装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタ83aを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、焦点制御装置83gと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブルやボンディング部40のボンドヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは信号部87から信号を取り込んだり、信号部87を制御したりする。信号部87は、種々のセンサ、照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0029】
制御・演算装置81は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44およびプリフォームカメラ94が含まれる。光学系88で使用するカメラは光強度や色を数値化する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81はダイDおよび基板Sの位置決め、ペーストの塗布パターンの検査並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81は算出したダイDおよび基板Sの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスにより、制御・演算装置81はウエハW上のダイDの位置決めを行い、ウエハ供給部10、ピックアップ部20およびボンディング部40の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。
【0030】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一工程であるボンド工程(半導体装置の製造方法)について
図5を用いて説明する。
図5は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0031】
(ウエハ搬入工程(工程S1))
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0032】
(基板搬入工程(工程S2))
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0033】
(ピックアップ工程(工程S3))
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によってダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0034】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によってダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0035】
ステージ認識カメラ34によって中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1のダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0036】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0037】
(プリフォーム工程(工程S4))
S2工程後、搬送部50によって基板Sがプリフォームステージ96に搬送される。プリフォームカメラ94によって塗布前の基板Sの表面が撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてペーストを塗布すべき面が確認される。塗布すべき面に問題なければ、プリフォームステージ96により支持された基板Sのペーストが塗布される位置が確認されて位置決めされる。位置決めはボンディング部40と同様にパターンマッチングなどで行われる。
【0038】
ペーストがシリンジ91の先端のノズル92から射出され、予め設定されたノズル92の軌跡に従って基板Sに塗布される。
【0039】
プリフォームカメラ94によって塗布されたペーストが撮影される。撮影によって取得された画像に基づいてペーストが正確に塗布されているかどうかが確認されて、塗布されたペーストの検査(外観検査)が行われる。すなわち、外観検査では、塗布されたペーストが基板Sの所定位置に所定の形状で所定量だけ塗布されているかが確認される。検査内容は、例えば、ペーストの有無、塗布面積、塗布形状(不足、はみ出し)などである。検査は二値化処理にてペーストの領域を分離後に画素数を数える方法のほか、差分による比較、パターンマッチングによるスコアを比較する方法などで行われる。
【0040】
(ボンド工程(工程S5))
塗布に問題なければ搬送部50によって基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44によって撮影され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダの基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0041】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42によって吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によってボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。基板認識カメラ44によって基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0042】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0043】
(基板搬出工程(工程S6))
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0044】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0045】
プリフォーム部におけるペーストの塗布について
図6を用いて説明する。
図6はプリフォーム部の構成例を示すブロック図である。
【0046】
プリフォーム部90は、シリンジ91、駆動部93、プリフォームカメラ94、シリンジホルダ95、プリフォームステージ96、ディスペンサ97および空気圧を供給する配管98を備える。
【0047】
シリンジ91に収納されているペーストを基板Sに塗布する際、制御部80は、エアパルス方式のディスペンサ97から一定の時間、空気等の加圧気体をシリンジ91の上部から供給して、所定量のペーストを吐出させる。制御部80は、このノズル92を基板に近接させた状態で、シリンジ91をXY平面内で2次元的に一筆書き走査(描画動作)する(一般に中心から始まり中心に戻る)。
【0048】
ディスペンサ97は正圧源に接続される圧縮空気供給ポート97aと、負圧源に接続される真空用排気ポート97bと、シリンジに供給された圧縮空気を排気する排気ポート97cと、エア制御出力ポート97dと、を備える。
【0049】
ディスペンサ97の動作を説明する。圧縮空気供給ポート97aから導入された圧縮空気は吐出用レギュレータ(不図示)で適切な圧力に調整されてバルブユニット(不図示)を介して、エア制御出力ポート97dから送出される。エア制御出力ポート97dの内部には出力をモニタするための圧力センサ97eがある。シリンジ91に供給された圧縮空気はバルブユニット(不図示)を介して排気ポート97cから強制的に排気される。また、吐出しないときにはペーストの重さで液だれが起こらないように微弱な真空を供給する必要がある。この真空は真空用レギュレータ(不図示)を介して圧縮空気供給ポート97aからの圧縮空気を適切な圧力(負圧)にして真空用排気ポート97bから排出される。この負圧はバルブユニット(不図示)で制御されてエア制御出力ポート97dに連結されている。なお、吐出圧力はディスペンサ97よって出力される圧力信号(PRS)によって測定可能である。吐出時間はディスペンサ97よって出力される吐出信号(DSC)を計測することによって測定可能である。
【0050】
ペーストの吐出プロセスについて説明する。ペーストはシリンジ91に収容されている。最初、制御部80の指示により、駆動部93がシリンジホルダ95を降下させることによって、ノズル92の先端は比較的高い位置から降下して吐出開始タイミングで基板Sの上面から所定の高さ(ノズル高さ(Hn))に達する。ノズル高さ(Hn)は、例えば100から200μmである。ここで、制御部80の指示によりディスペンサ97から圧縮空気が配管98を通して供給されると、シリンジ91内の空気圧が急速に上昇し、徐々に吐出が開始する。それに同期して、描画動作が開始する。すなわち、具体的には、制御部80の指示により駆動部93がシリンジホルダ95を移動させることによってノズル92が2次元的に水平移動する。ノズル92は一般に書き出しの位置に戻って描画動作を終了する。それに同期して、制御部80の指示によりディスペンサ97からの圧縮空気の供給が停止されると、シリンジ91内の空気圧は急速に降下するが、吐出は徐々に弱くなり停止する。停止するとほぼ同時に、制御部80の指示により駆動部93がノズル92を上げる。
【0051】
次に、捨て打ちステージ100について
図7を用いて説明する。
図7はシリンジ交換前においてペーストが塗布された捨て打ちステージを示す上面図である。
【0052】
図7に示すように、捨て打ちステージ100は塗布領域101と捨て打ち領域102とを有する。塗布領域101は、ノズル92と共にシリンジ91を交換する際またはシリンジ91のみを交換する際にペーストが塗布される領域である。
【0053】
なお、シリンジ91内のペーストの残り量が少ない場合には、次の塗布作業の途中でペーストの途切れがないようにするために、前もってシリンジ91が交換される。また、ダイの品種に応じてシリンジ91が交換される場合もある。
【0054】
捨て打ち領域102は、塗布が所定時間以上行われていない場合にペーストが捨て打ちされる領域である。塗布が所定時間以上行われていない場合、チクソ性(thixotropy)の影響で塗布開始時の塗布量が不安定となる現象が発生する。そのため、例えば、基板Sの最初のパッケージエリアPへの塗布を行う前に、ペーストを捨て打ちする予備動作が行われる。捨て打ち領域102内に示される三つの四角は捨て打ちされたペーストPsである。シリンジ91、プリフォームカメラ94、プリフォームステージ96および捨て打ちステージ100は塗布装置を構成する。
【0055】
次に、捨て打ちステージ100を用いた塗布位置および塗布量の調整について
図7から
図9を用いて説明する。
図8はシリンジ交換後においてペーストが塗布された捨て打ちステージを示す上面図である。
図9は塗布位置または塗布量の調整方法を示すフローチャートである。
【0056】
(ステップS11)
図7に示すように、シリンジ91を交換する場合、その前に、制御部80は、シリンジ91およびノズル92によってペーストを捨て打ちステージ100の塗布領域101に塗布する。ここで、塗布されるペーストのパターンは基板SのパッケージエリアPに塗布されるパターンと同じである。
【0057】
(ステップS12)
そして、制御部80は、塗布されたペーストPbをプリフォームカメラ94で撮影する。そして、制御部80は、撮影された画像(基準画像)を取得して認識(測定)してその測定結果を記憶装置82に記憶(登録)する。
【0058】
記憶する測定結果は、ペーストPbの塗布位置(面積の重心位置)のX座標(塗布位置X)およびY座標(塗布位置Y)、ペーストPbの面積(塗布面積)である。測定はペーストPbの塗布位置およびペーストPbの面積の少なくとも一つであり、ペーストPbの塗布位置およびペーストPbの面積の測定結果のどちらか一方のみを記憶するようにしてもよい。
【0059】
上記の測定結果は、制御部80が、取得した基準画像を画像処理により算出する。ペーストPbの塗布位置(Cb)は画素の重心位置であり、ペーストPbの塗布面積(CAb)は画素数である。
【0060】
(ステップS13)
次に、オペレータはシリンジ91を交換する。また、オペレータは捨て打ちステージ100の塗布領域101に塗布されたペーストを除去する。
【0061】
(ステップS14)
図8に示すように、シリンジ91の交換後、制御部80は、ペーストを捨て打ちステージ100の塗布領域101に塗布する。ここで、塗布されるペーストのパターンは、シリンジ91の交換前に、捨て打ちステージ100の塗布領域101に塗布されたパターンと同じである。
【0062】
(ステップS15)
そして、制御部80は、塗布されたペーストPaをプリフォームカメラ94で撮影する。そして、制御部80は、撮影された画像(対象画像)を取得して認識(測定)してその測定結果を記憶装置82に記憶(登録)する。
【0063】
記憶する測定結果は、ペーストPaの塗布位置(面積の重心位置)のX座標(塗布位置X)およびY座標(塗布位置Y)、ペーストPaの面積(塗布面積)である。検査はペーストPaの塗布位置およびペーストPaの面積の少なくとも一つであり、ペーストPaの塗布位置およびペーストPaの面積の測定結果はそれらのどちらか一方のみを記憶するようにしてもよい。
【0064】
上記の測定結果は、制御部80が、取得した対象画像を画像処理により算出する。ペーストPaの塗布位置(Ca)は画素の重心位置であり、ペーストPaの塗布面積(CAa)は画素数である。
【0065】
(ステップS16)
制御部80は、ステップS12において測定したペーストPbの塗布位置(Cb)とステップS15において測定したペーストPaの塗布位置(Ca)とにより、交換後のシリンジ91およびノズル92の位置を補正する。なお、塗布位置を調整しない場合、ステップS16は実施されない。
【0066】
(ステップS17)
また、制御部80は、ステップS12において測定したペーストPbの塗布面積(CAb)とステップS15において測定したペーストPaの塗布面積(CAa)とにより、ディスペンサ97の吐出圧力および吐出時間の少なくとも一方を補正する。なお、塗布量を調整しない場合、ステップS17は実施されない。
【0067】
実施形態によれば、下記の少なくとも一つの効果を得る。
【0068】
(a)プリフォームカメラ94によって捨て打ちステージ100に塗布されたペーストを認識して塗布位置および塗布量を算出することが可能であるので、塗布位置および塗布量を調整することが可能になる。
【0069】
(b)捨て打ちステージ100でペーストの塗布位置および塗布量を調整することが可能であるので、基板S等の生産部材にペーストを塗布して塗布位置等を調整する場合に比べて生産部材を節約することが可能になる。
【0070】
(c)捨て打ちステージ100でペーストの塗布位置および塗布量を調整することが可能であるので、生産部材のバラツキ影響を排除することが可能になる。
【0071】
(d)画像認識を使用して塗布位置および塗布量を調整することが可能であるので、オペレータ毎の操作バラツキの影響が排除される。これにより、製品不良率を低下することが可能になる。
【0072】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0073】
(第一変形例)
第一変形例におけるプリフォーム部について
図10を用いて説明する。
図10は第一変形例におけるプリフォーム部の構成を示す側面図である。
【0074】
第一変形例における捨て打ちステージ100はガラス等の可視光において透明な素材で構成される。第一変形例におけるアンダビジョンカメラ(撮像装置)104は捨て打ちステージ100の下方に配置される。制御部80は、シリンジ91で捨て打ちステージ100の上にペーストを塗布する。そして、制御部80は、捨て打ちステージ100に塗布されたペーストを捨て打ちステージ100の裏面側(下方)から撮影し、ペーストの塗布位置および塗布面積を確認する。ペーストの撮影面が平坦であるので、ペーストの形状をより正確に認識することが可能である。
【0075】
(第二変形例)
第二変形例における捨て打ちステージについて
図11を用いて説明する。
図11は第二変形例における捨て打ちステージを示す上面図である。
【0076】
第二変形例における捨て打ちステージ100は可動可能であり、例えば、X方向に移動可能である。これにより、捨て打ちステージ100に塗布領域101を複数設けることが可能になり、ペーストの塗布エリアを拡大することが可能になる。
【0077】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0078】
例えば、実施形態では、捨て打ちステージ100に塗布されたペーストをプリフォームカメラ94で撮影する例を説明したが、ペーストをプリフォームカメラ94とは異なるカメラで撮影するようにしてもよい。
【0079】
また、実施形態では、基板Sにペーストを塗布する例を説明したが、既にボンドされたダイにペーストを塗布するようにしてもよい。
【0080】
また、実施形態では、ウエハ供給部10とボンディング部40との間に中間ステージ部30を設け、ピックアップヘッド21でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンドヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Sにボンドする例を説明した。しかし、ボンドヘッド41でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを基板Sにボンドするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
80・・・制御部(制御装置)
91・・・シリンジ
92・・・ノズル
94・・・プリフォームカメラ(撮像装置)
96・・・プリフォームステージ(第二ステージ)
100・・・捨て打ちステージ(第一ステージ)