(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106580
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】シート処理システム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20240801BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010919
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】下舘 一輝
(72)【発明者】
【氏名】高井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 翔
(72)【発明者】
【氏名】緑川 瑠樹
(72)【発明者】
【氏名】西東 洋輔
【テーマコード(参考)】
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
3F108JA02
4F211AD06
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH53
4F211AP19
4F211AQ01
4F211AR07
4F211AR12
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SJ11
4F211SN13
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理をおこなう。
【解決手段】シート処理システム100は、シート処理装置60と、重合シートに対してラミネート処理を施すラミネート処理装置50と、から構成されている。シート処理装置60は、剥離処理と挿入処理とをおこなうシート剥離部1と、シート剥離部1からラミネート処理装置50に向けて重合シートPJを搬送する中継搬送部90と、を具備している。そして、シート処理装置60を構成するシート剥離部1及び中継搬送部90を介することなく、2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが手動で挿入された状態の手差し用重合シートPJ´(重合シート)をラミネート処理装置50に直接給送するための手差し給送部91(給送部)が設置可能に構成されている。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ね合されて接合部で接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部からラミネート処理装置に向けて前記重合シートを搬送する中継搬送部と、
を具備したシート処理装置と、
前記シート剥離部によって剥離された前記2枚のシートの間に中シートが挿入された状態の前記重合シートにラミネート処理を施す前記ラミネート処理装置と、
前記2枚のシートの間に前記中シートが挿入された状態の重合シートを、前記シート処理装置を介することなく、前記ラミネート処理装置に給送する給送部と、
を備えたことを特徴とするシート処理システム。
【請求項2】
前記ラミネート処理装置は、
前記重合シートに熱と圧力とを与える熱加圧ローラ対と、
前記中継搬送部を搬送された前記重合シート、又は、前記給送部にセットされた前記中シートが挿入された状態の重合シート、を前記熱加圧ローラ対に向けて搬送する搬送ローラ対と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のシート処理システム。
【請求項3】
前記熱加圧ローラ対と前記搬送ローラ対とは、前記シート処理システムの稼働が停止した状態において、稼働時の回転方向に対して逆方向に同じタイミングで回転可能に構成されたことを特徴とする請求項2に記載のシート処理システム。
【請求項4】
前記シート処理装置と前記ラミネート処理装置とを用いた自動モードと、前記給送部と前記ラミネート処理装置とを用いた手動モードと、が切替え可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート処理システム。
【請求項5】
前記中継搬送部の一部又は全部を支軸を中心にして所定方向に回動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とに接触又は近接した状態で、前記自動モードが実行され、
前記中継搬送部の一部又は全部を前記支軸を中心にして前記所定方向の逆方向に回動して、前記手動モードが実行されることを特徴とする請求項4に記載のシート処理システム。
【請求項6】
前記給送部は、前記支軸を中心にして回動した状態の前記中継搬送部の一部であることを特徴とする請求項5に記載のシート処理システム。
【請求項7】
前記中継搬送部が所定方向に移動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とに接触又は近接した状態で、前記自動モードが実行され、
前記中継搬送部が前記所定方向の逆方向に移動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とから離間した状態で、前記手動モードが実行されることを特徴とする請求項4に記載のシート処理システム。
【請求項8】
前記給送部は、前記中継搬送部が前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とから離間した後に前記ラミネート処理装置に着脱可能に設置される手差しトレイであることを特徴とする請求項7に記載のシート処理システム。
【請求項9】
前記中継搬送部は、前記自動モード時に前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とのうち少なくとも一方に位置決めされることを特徴とする請求項4に記載のシート処理システム。
【請求項10】
前記ラミネート処理装置は、前記シート処理装置に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2枚のシートの間に中シートを挿入した重合シートにラミネート処理を施すシート処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、2枚のシートが重ね合されて接合部で接合された重合シートを剥離して、その剥離した2枚のシートの間に中シートを挿入して重合シートを形成するシート剥離部と、シート剥離部から搬送された重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、が設けられた装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような装置は、2枚のシートを剥離する剥離処理と、剥離処理後の2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理と、挿入処理後の重合シートを一体的に接合するラミネート処理と、を自動で順次おこなうものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のシート処理装置は、一連の剥離処理、挿入処理、ラミネート処理を自動でおこなうことができるシートサイズやシート厚さが限られていた。そのため、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものに対して、所望のシート処理をおこなうことができず、ユーザーにとって不便となることがあった。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理をおこなうことができる、シート処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明におけるシート処理システムは、2枚のシートが重ね合されて接合部で接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、前記シート剥離部からラミネート処理装置に向けて前記重合シートを搬送する中継搬送部と、を具備したシート処理装置と、前記シート剥離部によって剥離された前記2枚のシートの間に中シートが挿入された状態の前記重合シートにラミネート処理を施す前記ラミネート処理装置と、前記2枚のシートの間に前記中シートが挿入された状態の重合シートを、前記シート処理装置を介することなく、前記ラミネート処理装置に給送する給送部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理をおこなうことができる、シート処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の実施の形態におけるシート処理システムを示す全体構成図である。
【
図2】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す側面図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す側面図と、である。
【
図3】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す斜視図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す斜視図と、である。
【
図4】シート処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
【
図6】
図5に続くシート剥離部の動作を示す図である。
【
図7】
図6に続くシート剥離部の動作を示す図である。
【
図8】
図7に続くシート剥離部の動作を示す図である。
【
図9】
図8に続くシート剥離部の動作を示す図である。
【
図10】剥離爪が重合シートに挿入された状態を幅方向に示す図である。
【
図11】剥離爪の動作を幅方向に示す斜視図である。
【
図13】シート処理システムでおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図14】手差し給送部に手差し用重合シートがセットされた状態のシート処理装置を示す図である。
【
図15】シート処理装置からラミネート処理装置が取り外された状態を示す図である。
【
図16】自動モードと手動モードとの切替制御の一例を示すフローチャートである。
【
図17】自動モードと手動モードとのいずれかを選択するときの操作表示パネルの表示画面の一例を示す図である。
【
図18】自動モード時においてシートを設定するときの操作表示パネルの表示画面の一例を示す図である。
【
図19】手動モード時においてシートを設定するときの操作表示パネルの表示画面の一例を示す図である。
【
図20】変形例1としての、シート処理システムを示す図である。
【
図21】変形例2としての、シート処理システムを示す図である。
【
図22】
図21のシート処理システムからジャムした重合シートが取り出された状態を示す図である。
【
図23】変形例3としての、シート処理システムにおいて、(A)自動モード時の状態を示す図と、(B)手動モード時の状態を示す図と、である。
【
図24】
図23のシート処理システムにおいて中継搬送部の一部が回動されて手差し給送部が形成された状態を示す概略斜視図である。
【
図25】変形例4としての、シート処理システムを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、
図1にて、シート処理システム100における全体の構成・動作について説明する。
シート処理システム100は、主として、シート剥離部1及び中継搬送部90を備えたシート処理装置60と、ラミネート処理装置50で構成されている。
【0010】
シート剥離部1は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて接合部A(
図5(A)参照)で接合された重合シートPJの非接合部を剥離するシート剥離機構部19を備えた装置である。シート剥離機構部19は、重合シートPJの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する挿入処理をおこなうものである。
ラミネート処理装置50は、シート剥離部1によって剥離された2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理を施すものである。本実施の形態において、ラミネート処理装置50は、シート剥離部1の上方に設置されている。
中継搬送部90は、シート剥離部1からラミネート処理装置50に向けて重合シートPJ(2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入されたものである。)を搬送するものである。本実施の形態において、中継搬送部90は、シート剥離部1とラミネート処理装置50の側方に設置されている。
なお、シート処理装置60の外装部には、シート処理システム100における種々の情報を表示したり種々の指令を入力したりするための操作表示パネル49(操作表示部)が設置されている。
【0011】
特に、本実施の形態において、重合シートPJとして、2枚のシートP1、P2を重ね合わせて、4辺のうち1辺を接合部Aとして接合したものを用いている。すなわち、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)は、1辺(接合部A)のみが熱溶着などによって繋がっていて、その他の部分(非接合部)は接合されず重合されている。また、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2としては、透明なフィルムシート(ラミネートシート)を用いることができる。
【0012】
なお、重合シートPJは、1枚のシートを折り返して形成したものであっても良い。そして、そのように形成された重合シートPJであっても、本願明細書等においては、2枚のシートが重ね合されたものであるものと定義するとともに、その折り返した部分を「接合部」と定義し、それ以外の部分を「非接合部」と定義する。
【0013】
そして、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2の非接合部を剥離して(接合部Aの接合を維持した状態で接合部Aを中心に2枚のシートP1、P2を分離して)、剥離した2枚のシートP1、P2の間に中シートPM(1枚の普通紙などのシートである。)を挿入する動作が、シート剥離機構部19でおこなわれることになる。
【0014】
図1に示すように、シート剥離部1には、シート剥離機構部19、第1、第2給送トレイ11、12、第1、第2給送ローラ2、3、第1~第3搬送ローラ対4~6、排出トレイ13、第1~第5センサ41~45、位置ズレ検知部47、内側制限部材としての第1ガイド部材25、外側制限部材としての第2ガイド部材26、第3ガイド部材27、などが設けられている。
また、シート剥離機構部19には、巻付けローラ20、移動機構30、切替爪15、剥離爪16、などが設けられている。
また、シート剥離部1には、第1搬送経路K1(湾曲搬送経路)、第2搬送経路K2、第3搬送経路K3、第1分岐搬送経路K4、第2分岐搬送経路K5などの複数の搬送経路が形成されている。これらの搬送経路K1~K5は、それぞれ、シート(重合シートPJ又は中シートPMである。)を搬送するためのものであって、対向する2つの搬送ガイド部材(ガイド板)によって案内される。
【0015】
詳しくは、第1給送トレイ11には、重合シートPJが積載されている。そして、第1給送トレイ11上の最上方の重合シートPJが第1給送ローラ2によって給送されて、第1搬送ローラ対4によって第1搬送経路K1に沿って搬送されることになる。
また、第2給送トレイ12には、中シートPMが積載されている。そして、第2給送トレイ12上の最上方の中シートPMが第2給送ローラ3によって給送されることになる。
第1~第3搬送ローラ対4~6は、いずれも、芯金上にゴムなどからなる弾性層が形成された駆動ローラと従動ローラとからなり、そのニップに挟持されたシートを搬送するものである。第2搬送ローラ対5から第3搬送ローラ対6までの第3搬送経路K3には、上流側から、第2搬送ローラ対5、巻付けローラ20、第3搬送ローラ対6が設置されている。特に、第3搬送ローラ対6は、正転・逆転可能であって、シートを正転時の順方向にも逆転時の逆方向にも搬送可能に構成されている。また、第3搬送ローラ対6は、シートを中継搬送部90に向けて排出する排出ローラ対としても機能する。さらに、第3搬送ローラ対6は、剥離処理をおこなうときに重合シートPJを挟持・搬送する搬送ローラ対であって、位置ズレ検知部47によって検知された重合シートPJの位置ズレ量α(横レジスト)が相殺されるように、重合シートPJを挟持した状態で位置ズレした方向とは逆方向(重合シートPJの幅方向)に移動するように構成されている。つまり、第3搬送ローラ対6は、重合シートPJの位置ズレ量αを補正する横レジスト調整手段としても機能する。
【0016】
第1~第5センサ41~45は、いずれも、その位置にシートが存在するか否かを光学的に検知する反射型フォトセンサである。第1センサ41は第1搬送ローラ対4の下流側近傍に配置され、第2センサ42は第2給送ローラ3の下流側近傍に配置され、第3センサ43は第2搬送ローラ対5と巻付けローラ20との間であって第2搬送ローラ対5の下流側近傍に配置され、シート検知センサとしての第4センサ44は巻付けローラ20の下流側近傍であって第3搬送ローラ対6の上流側に配置され、第5センサ45は第3搬送ローラ対6の下流側に配置されている。
なお、第3センサ43の近傍には、シート剥離機構部19に向けて搬送される重合シートPJや中シートPMの幅方向(
図1の紙面垂直方向である。)の位置ズレ量を検知する位置ズレ検知部47が設置されている。
【0017】
図2、
図3(及び、
図6(B)~(D)、
図7(A))等を参照して、巻付けローラ20について説明する。
巻付けローラ20は、巻付け開始位置Wで、重合シートPJの一端側(接合部Aが形成された側の反対側である。)を被把持部Bとして、把持部材32(把持部)によって被把持部Bを把持した状態で所定の回転方向に回転して重合シートPJを巻き付けるローラ部材である。巻付けローラ20は、制御部500によって制御される巻付けローラモータ201(
図4参照)の駆動によって、回転軸20aを中心に正逆方向に回転可能に構成されている。
具体的に、
図1に示すように、重合シートPJは、第1給送トレイ11から第1搬送経路K1を経由して、第2搬送ローラ対5によって第3搬送経路K3を順方向に搬送されて、一旦、巻付けローラ20の位置を通過して第3搬送ローラ対6の位置まで搬送される。その後、重合シートPJは、逆転された搬送ローラ対としての第3搬送ローラ対6によって巻き付けローラ20の位置まで逆方向に搬送されて、把持部材32に把持された状態で反時計方向に回転する巻付けローラ20によって巻き付けられることになる。
【0018】
そして、
図6(C´)を参照して、巻き付けローラ20に重合シートPJが巻き付けられていくとき、ローラ表面線速がローラ半径に比例するように、シートP1の線速とシートP2の線速とは、巻き付けローラ20の中心からそれぞれのシートP1、P2までの距離に比例する。したがって、シートP2よりシートP1が巻き付けローラ20の中心から近いので(内側に位置するので)、シートP1の線速はシートP2より遅くなる。
そのため、第2のシートP2に比べて第1のシートP1が弛みやすくなり、
図6(D)、
図7(A)等に示すように、重合シートPJの接合部Aの側(他端側)で2枚のシートP1、P2の間に隙間C(上方の第1のシートP1が上方に撓んでできる隙間Cである。)が形成されることになる。このようにして、2枚のシートP1、P2が、隙間なく密着した状態から、剥離(分離)した状態になる。
【0019】
以下、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付けることで、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で重合シートPJに隙間Cが生じるメカニズムについて、さらに重ねて補足説明する。
巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、把持部材32に把持されてシートずれが規制された状態になるため、巻付けローラ20で周長差分のスリップが生じて、内側のシートP1の搬送量が外側のシートP2の搬送量に比べて少なくなる。その結果、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20のニップ間で、内側シートP1に弛みが生じることになる。
このとき、巻付けローラ20に重合シートPJを1周以上巻き付けることで、それ以降はシートの厚み分で内周と外周で周長差が生じて、同じように弛みが発生することになる。
そして、最終的に、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間に弛みが集まって、2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されることになる。
詳しくは、内側のシートP1の厚さをΔRとして、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から内側のシートP1までの距離をRとすると、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から外側のシートP2までの距離はR+ΔRとなる。内側のシートP1の厚みΔRだけ半径が異なるため、重合シートPJを巻付けローラ20に1周巻き付けると、内側シートP1と外側シートP2とに2×ΔR×πの周長差が生じる。したがって、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付ける回数をM回とすると、2×ΔR×π×Mだけ内側シートP1に弛みが生じることになる。
そして、最終的に、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間に弛みが集まって、2枚のシートP1、P2の間に、2×ΔR×π×Mに相当する隙間Cが形成されることになる。
【0020】
特に、本実施の形態では、上述したような隙間Cを顕著に形成するために、重合シートPJを巻付けローラ20に少なくとも1周以上巻き付けている。
このように、本実施の形態では、重合シートPJを巻き付ける巻付けローラ20を設置することで、シート剥離部1がそれほど大型化・高コスト化することなく、重合シートPJの剥離を可能にしている。
【0021】
ここで、本実施の形態において、
図2(A)の把持部材32は、
図6(B´)に示すように、重合シートPJの一端側(被把持部Bの側である。)の先端の端面に突き当て接触することなく、被把持部Bを把持するように構成されている。
なお、重合シートの「端面」とは、重合シートのオモテ面とウラ面とに繋がる厚さ方向の面(側面)であるものと定義する。したがって、矩形の重合シートの端面は、前後左右4つあることになる。
【0022】
詳しくは、把持部材32は、重合シートPJの一端側の端面をいかなる部材にも突き当て規制させることなく、すなわち接触させることなく、巻付けローラ20の受部20bとの間で、重合シートPJの被把持部Bのシート面に対して垂直方向から被把持部Bを挟み込んで把持するように構成されている。受部20bは、巻付けローラ20の外面にあり、把持部材32に対向可能に形成されている。さらに詳しくは、受部20bは、巻付けローラ20の仮想外周面(重合シートPJが巻付けられる円状の外周面である。)から内側に凹んだ部分に形成されている。
【0023】
具体的に、重合シートPJは、その一端側端面(先端面)が特定の部材(例えば、把持部材32自体である。)に突き当たった状態で規制されて把持部材32と受部20bとに挟まれ把持されるのではなくて、その一端側端面(先端面)がいかなる部材にも突き当たることなく、外側の把持部材32と内側の受部20bとによって挟まれて把持されることになる。
したがって、
図6(B´)の把持部材32の鈍角部分(くさび部分)に重合シートPJの一端側端面(先端面)が突き当たることなく、重合シートPJの一端側の被把持部Bが把持部材32と受部20bとによって把持される。
そして、重合シートPJの一端側端面(先端)は、突き当たることなく、把持部材32と受部20bとの接触面の端部(
図6(B´)の右側端部である。)と一致している。
なお、重合シートPJの一端側端面(先端)は、被把持部Bが一端側の先端よりシート内側(一端側の先端より他端側)になるように、重合シートの一端側の先端が、把持部材32と受部20bとの接触面を避けて超えるようにしても良い。また、一端側端面(先端)は、この接触面内にあっても良い。
そのため、先端面を突き当てる場合に比べて、重合シートPJ(特に、先端の部分である。)が傷ついてしまう不具合を軽減することができる。
なお、本実施の形態において、巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、被把持部Bとなる一端側の反対側の他端側に接合部Aが形成されたものである。
【0024】
ここで、本実施の形態では、把持部材32(把持部)と受部20bとのうち少なくとも一方が、ゴム、スプリング、板バネなどの弾性材料で形成されている。
これにより、把持部材32と受部20bとの双方を金属材料や樹脂材料などの剛体で形成する場合に比べて、重合シートPJに対する把持力を高めることができるとともに、重合シートPJの表面に傷をつけにくくなる。特に、把持部材32と受部20bとの双方を弾性材料で形成した場合には、そのような効果が発揮されやすくなる。
【0025】
図2、
図3に示すように、移動機構30は、巻付けローラ20の巻付け開始位置Wで、把持部材32を、重合シートPJを把持可能な把持位置(
図2(A)、
図3(A)に示す位置である。)と、把持位置から退避した退避位置(
図2(B)、
図3(B)に示す位置である。)と、の間を移動させるものである。
詳しくは、移動機構30は、アーム部材31、付勢部材としての圧縮スプリング33、カム34、カム34を正逆方向に回転駆動するモータ(不図示)、などで構成されている。
アーム部材31は、把持部材32を保持するとともに、支軸31aを中心に回動可能に巻付けローラ20に保持されている。本実施の形態では、把持部材32がアーム部材31の基端側である先端部に一体的に形成(保持)されている。これに対して、把持部材32をアーム部材31とは別部材にして、アーム部材31に把持部材32を設置(保持)するように構成することもできる。いずれにしても、把持部材32を保持したアーム部材31は、把持部材32とともに巻付けローラ20とともに回転軸20aを中心に回転することになる。
圧縮スプリング33は、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するようにアーム部材31を付勢する付勢部材として機能している。具体的に、圧縮スプリング33は、その一端側が回転軸20aの近傍の固定位置に接続され、その他端側がアーム部材31の一端側(支軸31aを挟んで把持部材32が設けられた側の反対側の自由端側である。)に接続されている。
カム34は、把持部材32が
図2(A)に示す把持位置から
図2(B)に示す退避位置に移動するように、圧縮スプリング33(付勢部材)の付勢に抗してアーム部材31を押動するものである。カム34は、制御部500に制御されるモータによって所望の回転角度で正逆方向に回転駆動されることになる。カム34は、巻付けローラ20とは独立して、カム軸34aを中心に回転可能に装置筐体に保持されている。
【0026】
このように構成された移動機構30は、
図2(A)、
図3(A)に示すように、カム34がアーム部材31に接触していない状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33に付勢されて、把持部材32が受部20bに圧接する状態(閉状態)になる。
これに対して、
図2(B)、
図3(B)に示すように、カム34がアーム部材31を押圧した状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33の付勢に抗するように、支軸31aを中心に
図2(B)の反時計方向に回転して、把持部材32が受部20bから離間した状態(開状態)になる。この開状態は、重合シートPJを把持できない状態(把持解除状態)である。
そして、把持部材32が開状態(退避位置に位置した状態)のとき、その把持部材32と受部20bとの間に重合シートPJが介在されて、把持部材32が閉状態(把持位置に位置した状態)に移動することで、重合シートPJが把持部材32と受部20bとによって把持されることになる。
【0027】
なお、本実施の形態では、
図3に示すように、巻付けローラ20の円柱状のローラ部が軸方向に複数(7つである。)に分割されている。そして、それぞれのローラ部の分割位置(隣接するローラ部とローラ部との間の凹部である。)に合わせるように、把持部材32やアーム部材31が複数設置されており、それらの複数のアーム部材に当接可能にカム34が複数設置されている。
このように重合シートPJを把持する位置を、軸方向の全域とするのではなくて、軸方向に分割することで、重合シートPJを把持するために必要な負荷を分散することができるとともに、重合シートPJの先端の傷つきを低減することができる。また、このような構成は、大サイズの重合シートPJや重量のある重合シートPJを把持するときのように、必要な把持力が大きくなってしまう場合に有用である。
【0028】
なお、本実施の形態において、第3搬送経路K3は、
図1に示すように、直線状の搬送ガイド板により形成されている。これに対して、搬送ガイド板として、湾曲した曲線状のものを用いて、第3搬送経路を形成することもできる。また、そのような場合に、巻付けローラ20における重合シートPJの把持位置を、本実施の形態のものよりも、回転軸20a寄りに変更することもできる。さらに、そのような場合に、本実施の形態における把持部材32と受部20bとの位置を入れ替えて、巻付けローラ20において把持部材32を受部20bより回転軸20a側に配置することもできる。
【0029】
ここで、
図4に示すように、シート処理装置60は、後述するコントローラ500(制御部)を構成するCPU501(Central Processing Unit)や、RAM502(Random Access Memory)や、ROM503(Read Only Memory)を備えている。
CPU501は演算手段であり、シート処理システム100の全体の動作を制御する。RAM502は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU501が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM503は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
シート処理装置60は、ROM503に格納された制御プログラムからRAM502にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU501が備える演算機能によって処理する。その処理によって、シート処理システム100の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、シート処理装置60及ラミネート処理装置50に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、シート処理システム100の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU501、RAM502、ROM503は、シート処理システム100の動作を制御するコントローラ500(制御部)を構成する。
I/F504は、シート処理装置60を構成するシート剥離部1、及び中継搬送部90と、ラミネート処理装置50における各駆動部材や各センサなどをコントローラ500に接続するインターフェースである。コントローラ500は、I/F504を通じて、シート処理装置60を構成するシート剥離部1、及び中継搬送部90と、ラミネート処理装置50における各駆動部材を動作させる。また、コントローラ500は、シート処理装置60を構成するシート剥離部1、及び中継搬送部90と、ラミネート処理装置50における各センサなどからの検知結果を取得する。
なお、巻付けローラモータ201は、巻付けローラ20を駆動させる駆動手段である。カムモータ341は、カム34を駆動させる駆動手段である。切替爪モータ151は、切替爪15を駆動させる駆動手段である。
【0030】
ここで、
図1、
図5(D)、
図6(A)等を参照して、本実施の形態におけるシート剥離部1には、巻付けローラ20に向けて搬送される重合シートPJを検知するシート検知センサとしての第4センサ44が設置されている。そして、第4センサ44(シート検知センサ)の検知結果に基づいて移動機構30が制御されている。
詳しくは、第4センサ44は、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間の搬送経路の搬送ガイド部材に配置されている。そして、
図5(D)、
図6(A)等に示すように、重合シートPJが、被把持部Bの側を先頭にして、第3搬送ローラ対6によって巻付けローラ20の位置に向けて逆方向に搬送されるときに、その先端(逆方向搬送時の先端である。)を第4センサ44によって検知する。そして、その検知タイミングをトリガにして、重合シートPJを把持位置に停止させるタイミングと、把持部材32によって被把持部Bを把持するタイミングと、を調整制御している。具体的に、重合シートPJの先端を第4センサ44によって検知してから、所定時間が経過した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの逆方向の搬送を停止して、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するように、カム34を回動してアーム部材31(移動機構30)を回転させる。
このような制御をおこなうことで、重合シートPJの端面をいかなる部材に突き当てることなく把持部材32と受部20bとによって挟み込む動作が、精度良くおこなわれることになる。
【0031】
ここで、第3搬送ローラ対6は、先に説明したように、巻付けローラ20との間に形成された第3搬送経路K3(搬送経路)において巻付けローラ20の巻付け開始位置Wに向けて一端側(被把持部Bの側である。)を先頭にして前記重合シートを搬送する搬送ローラ対である。
【0032】
また、
図7(A)~(C)、
図10、
図11(A)~(C)等を参照して、剥離爪16について説明する。
剥離爪16は、巻付けローラ20によって一端側(被把持部Bの側)から巻き付けられて、第3搬送ローラ対6(搬送ローラ対)によって他端側(接合部Aの側)が挟持された状態の重合シートPJに対して、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で2枚のシートP1、P2の間に形成される隙間Cに幅方向端部から挿入される爪状の部材である。
詳しくは、本実施の形態において、剥離爪16は、幅方向(
図7の紙面垂直方向であって、
図10の左右方向である。)の両端部にそれぞれ設けられている。また、剥離爪16は、板と上下方向に延びるフィンとを有しており、剥離爪16が重合シートPJに挿入される方向において、前記の板は、後端と、その幅方向中央に先端を有している。前記板の板厚と板幅は、それぞれ前記先端から前記後端にむかって徐々に増加するように形成されている。また、前記フィンの上下長は、重合シートPJに挿入される方向においてフィン先端から徐々に増加するように形成されている。また、剥離爪16は、板とフィンとが後端で十字形状をなしている(
図11(A)参照)。さらに、一対の剥離爪16は、制御部500により制御される不図示の移動手段によって、互いに接触しないように、それぞれ幅方向に移動可能に構成されている。
このように構成された剥離爪16は、
図7(A)に示すように、重合シートPJに隙間Cが形成されるまで、第3搬送経路K3において重合シートPJなどのシートの搬送を妨げない待機位置(
図11(A)に示す位置である。)に待機している。そして、剥離爪16は、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)を分離するときに、
図10、
図11(B)等に示すように、重合シートPJの隙間Cに入り込んで、その隙間Cを大きく確保することになる。
なお、剥離爪16を幅方向に移動させる移動手段としては、例えば、ピニオン・ラック機構を用いることができる。
【0033】
さらに具体的に、一対の剥離爪16を幅方向に移動させる移動手段としての駆動機構76としては、
図12(A)に示すものや、
図12(B)に示すものを用いることができる。
図12に示すように、本実施の形態では、2つの剥離爪16を互いに対向させて配置している。
図12(A)に示す駆動機構76は、2つの剥離爪16をそれぞれベルト駆動によって移動するものであり、
図12(B)に示す駆動機構76は、2つの剥離爪16をそれぞれラック・ピニオン駆動によって移動するものである。
詳しくは、
図12(A)に示す駆動機構76は、駆動プーリ78と従動プーリ79との間にベルト80が張架され、そのベルト80に2つの剥離爪16が互いに対向して取り付けられている。ここで、一方の剥離爪16は下側のベルト80に、他方の剥離爪16は上側のベルト80にそれぞれ接続されている。また、駆動プーリ78には、剥離爪モータ77のモータ軸に設置されたモータギアに噛合する駆動ギアが設置されている。そして、剥離爪モータ77の回転出力が、ベルト80に伝達される。具体的に、剥離爪モータ77のモータギアが
図12(A)の時計方向に回転すると2つの剥離爪16が互いに接近して、剥離爪モータ77のモータギアが
図12(A)の反時計方向に回転すると2つの剥離爪16が互いに離間することになる。
また、
図12(B)に示す駆動機構76は、1つのピニオン84に噛み合う2つのラック83A、83Bが互いに反対方向に伸びて設けられ、それぞれのラック83A、83Bに2つの剥離爪16が互いに対向して取り付けられている。ピニオン84には、駆動モータ82のモータ軸に設置されたモータギアに噛合する駆動ギアが設置されている。そして、駆動モータ82の回転出力が、ラック83A、83Bに伝達される。具体的に、駆動モータ82のモータギアが
図12(B)の時計方向に回転すると2つの剥離爪16が互いに接近して、剥離爪モータ77のモータギアが
図12(B)の反時計方向に回転すると2つの剥離爪16が互いに離間することになる。
本実施の形態における剥離爪16は、上述したように板と上下方向に延びるフィンを有した形状になっていて、駆動機構76による駆動によって重合シートPJの幅方向に移動可能に構成されているため、
図11(B)に示すように重合シートPJに生じた隙間Cにスムーズに挿入されることになる。
【0034】
また、
図8(A)~(C)等を参照して、切替爪15は、剥離爪16と巻付けローラ20との間に設置されている。そして、第3搬送経路K3(搬送経路)を挟んで第3搬送経路K3から別々の方向に分岐する2つの分岐搬送経路K4、K5に、剥離爪16によって剥離された重合シートPJの腰付き状態の2枚のシートP1、P2が、それぞれ別々に異なる方向に導かれる。このとき、爪状の移動部材である切替爪15が、所定角度の範囲内で正逆回転するように回転移動して重合シートPJを導く。
詳しくは、本実施の形態において、切替爪15は、幅方向(
図8の紙面垂直方向である。)に隙間をあけて複数に分割されて設けられている。また、切替爪15は、制御部500により制御される切替爪モータ151(
図4参照)によって、支軸を中心に回動可能に構成されている。
このように構成された切替爪15は、剥離爪16によって剥離された重合シートPJの腰付きシートP1、P2を分岐搬送経路K4、K5に導くときまで、第3搬送経路K3において重合シートPJなどのシートの搬送を妨げない待機位置(
図8(A)に示す位置である。)に待機している。そして、切替爪15は、重合シートPJの2枚のシートP1、P2(剥離爪16によって分離されたものである。)をそれぞれ分岐搬送経路K4、K5に導くときに(異なる方向に導くときに)、
図8(B)に示すように、重合シートPJの側からみて、第3搬送経路K3への進入を妨げる位置に回動することになる。
これにより、第1のシートP1は第1分岐搬送経路K4に導かれ、第2のシートP2は第2分岐搬送経路K5に導かれることになる。
【0035】
詳しくは、
図8(A)に示すように、隙間Cに剥離爪16が挿入された後の重合シートPJの一端側の巻付けローラ20への巻付けが解除されるように第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを他端側(左側である。)に搬送する。そして、
図8(B)に示すように重合シートPJを搬送した後に、
図8(C)に示すように第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを再び一端側(右側である。)に搬送して、剥離爪16によって剥離された一方のシートP1を第1分岐搬送経路K4に導いて、他方のシートP2を第2分岐搬送経路K5に導く。その後に、
図9(A)~(C)に示すように、剥離された状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入されるように中シートPMを第3搬送経路K3の他端側に向けて搬送している。
【0036】
また、
図7(A)等を参照して、第1ガイド部材25は、第3搬送経路K3において剥離爪16(
図7(B)参照)と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において内側に巻きつけられる第1のシートP1の弛み量を制限する内側制限部材として機能している。
また、
図7(A)等を参照して、第2ガイド部材26は、第3搬送経路K3において剥離爪16(
図7(B)参照)と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において外側に巻きつけられる第2のシートP2が、巻付けローラ20や第3搬送ローラ対6の回転ムラにより弛んでしまったときの弛み量を制限する外側制限部材として機能している。
【0037】
ここで、
図1等を参照して、ラミネート処理装置50には、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJを順方向に搬送しながら、その重合シートPJに熱と圧力とを与える熱加圧ローラ対51(内部にヒータ52が設置されている。)が設置されている。また、ラミネート処理装置50には、熱加圧ローラ対51に向けて重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)を搬送する搬送ローラ対としての第6搬送ローラ対9が設置されている。
ラミネート処理装置50(熱加圧ローラ対51)を通過した重合シートPJは、中シートPMが内部に挿入された状態で全域が接合されることになる。そして、そのようにラミネート処理が施された重合シートPJは、装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
このように、本実施の形態におけるシート処理装置100は、シートPJ、PMを給送する工程と、重合シートPJの2枚のシートP1、P2を剥離する工程と、剥離した2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する工程と、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理を施す工程と、が一連の動作としておこなわれるため、ユーザーの利便性を高めることができる。なお、このような一連の動作は、後述する「自動モード」としておこなわれるものである。
【0038】
また、
図1等を参照して、中継搬送部90には、シート剥離部1から送入された重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理装置50に向けて搬送するための中継搬送経路K6が設けられている。中継搬送経路K6は、対向する2つの搬送ガイド部材(ガイド板)によって形成されていて、その経路中に第4、第5搬送ローラ対7、8が設置されている。
ここで、本実施の形態では、搬送ローラ対としての第6搬送ローラ対9を、ラミネート処理装置50に設置したが、中継搬送部90に設置することもできる。
なお、本実施の形態では、中継搬送部90は、シート処理装置60においてシート剥離部1に対して着脱可能(回動可能)に構成されていて、シート処理装置100において離脱した状態(
図14参照)でラミネート処理装置50への手差し用重合シートPJ´の手差し給送を可能とするものであるが、これについては後で
図14等を用いて詳しく説明する。
【0039】
以下、
図5~
図9を参照して、シート剥離部1のシート剥離機構部19において重合シートPJを剥離する動作を中心に、ラミネート処理装置50でラミネート処理が施されるまでの動作について説明する。
また、その動作説明において、適宜に、
図10、
図11を用いて剥離爪16の動作を説明するとともに、
図13のフローチャートを用いて制御フローを説明する。
まず、重合シートPJが第1給送トレイ11から給送されると(
図13:ステップS1)、
図5(A)に示すように、第3搬送経路K3において、接合部Aを先頭にして第2搬送ローラ対5によって順方向(
図5の右方から左方に向かう方向である。)に搬送される。そして、第2搬送ローラ対5によって挟持・搬送された重合シートPJの横レジスト(幅方向の位置ズレ量)が位置ズレ検知部47によって検知される(
図14(A):ステップS2)。
このとき、把持部材32が、巻付けローラ20の外周内側になる把持位置に位置するように、移動機構30が制御されている。すなわち、カム34は、アーム部材31を押圧しない位置に回転移動している。このように把持部材32が把持位置に位置しているとき、把持部材32によって第3搬送経路K3におけるシートの搬送が妨げられることはない。また、切替爪15は、その自由端が下方に回転移動して、第3搬送経路K3におけるシートの搬送を妨げない待機位置に待機している。
そして、
図5(B)に示すように、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、一端側)が巻付けローラ20の位置を通過するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを搬送させて、さらに重合シートPJを順方向に搬送した後に、
図5(C)に示すように重合シートPJの搬送を停止させる。このとき搬送停止するタイミングは、重合シートPJの接合部A(順方向先端、他端側)が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにしたものであって、その第3センサ43の検知から第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X1搬送させたタイミングである(
図13:ステップS2、S3)。
このとき、位置ズレ検知部47によって検知された重合シートPJの横レジスト(幅方向の位置ズレ量)がゼロになるように、重合シートPJを挟持した状態の第3搬送ローラ対6(位置ズレ調整手段)が幅方向に移動する(
図14(B):ステップS24)。なお、第3搬送ローラ対6(位置ズレ調整手段)によって重合シートPJの横レジストを調整するタイミングはこれに限定されない。
そして、
図5(C)に示すように、一時的に第3搬送ローラ対6による重合シートPJの搬送を停止させたときに、把持部材32を把持位置から退避位置へ移動する(
図13:ステップS4)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧する位置に回転移動させる。この状態は、把持部材32と受部20bとの間に重合シートPJの被把持部Bを受入可能な状態である。
そして、
図5(D)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆回転して、重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図13:ステップS5)。このとき、重合シートPJの被把持部Bを巻付けローラ20の把持位置まで搬送するために、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(逆方向先端、一端側)が検知される。
【0040】
そして、
図6(A)に示すように、重合シートPJの被把持部Bが第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、重合シートPJの被把持部Bが巻付けローラ20の所定回転位置で巻付け開始位置W(
図2等参照)に達するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X2搬送して停止する(
図13:ステップS6、S7)。
そして、
図6(B)に示すように、巻付けローラ20の所定回転位置で把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させる(
図13:ステップS8)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧しない位置に回転移動する。この状態は、
図6(B´)に示すように、重合シートPJの一端側端面がいかなる部材にも突き当たることなく、把持部材32と受部20bとの間で被把持部Bが把持された状態である。なお、
図2の巻付け開始位置Wは、所定回転位置での巻付けローラ20の外周面の位置である。しかし、
図6(A)の退避位置や
図6(B)の把持位置では、巻付けローラ20の外周面自体は存在しない。このため、巻付け開始位置Wは、仮想外周面の巻付け開始位置Wとなる。
そして、
図6(C)に示すように、把持部材32によって重合シートPJを把持した状態で巻付けローラ20を逆方向(反時計方向)に回転するとともに、第3搬送ローラ対6を再び逆転する。このとき、巻付けローラ20の回転が進められると、
図6(D)に示すように、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されていく。このとき、重合シートPJは、巻付けローラ20の近傍で第1、第2ガイド部材25、26によって、撓みが制限された状態になる。そのため、重合シートPJの隙間Cは、第3搬送ローラ対6に近い位置に集中的に形成されることになる。
【0041】
このように、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間であって、第3搬送ローラ対6に対して逆方向下流側に配置された、第4センサ44によって、重合シートPJの逆方向先端を検知する。そして、そのタイミングをトリガにして把持部材32と受部20bとによって重合シートPJの被把持部Bを把持するタイミングを定めているため、必要なシート搬送量X2に対するシート長のばらつき(同じサイズのシートであっても存在する誤差である。)に関わらず、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
また、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間であって巻付けローラ20の側に第4センサ44を設置することによって、重合シートPJの逆方向先端を検知から必要なシート搬送量X2をシート長によらず短くすることができる。これにより、搬送量X2のばらつきを抑えて、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
このようなことから、第4センサ44は、巻付けローラ20に近い位置に配置されることが好ましい。
【0042】
その後、
図6(D)の第3搬送ローラ対6の逆転が継続されるとともに巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが開始されてから、第3搬送ローラ対6による搬送量が所定量X3に達した時点で、
図7(A)に示すように、第3搬送ローラ対6による搬送が停止されるとともに、巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが停止される(
図13:ステップS9)。この状態は、重合シートPJが巻付けローラ20に1周以上巻き付けられた状態であるとともに、重合シートPJの隙間Cが充分に広がった状態である。また、重合シートPJの接合部Aは、第3搬送ローラ対6に挟まれている状態である。
そして、
図7(B)に示すように、充分に広げられた重合シートPJの隙間Cに剥離爪16が挿入される(
図13:ステップS10)。すなわち、
図10、
図11(A)に示すように、一対の剥離爪16が、それぞれ、
図11(A)の待機位置から
図11(B)の剥離位置に移動される。このとき、ステップS24で位置ズレ調整手段として機能する第3搬送ローラ対6によって、重合シートPJの横レジスト(幅方向の位置ズレ量)がゼロになるように調整されているため、重合シートPJの隙間Cに剥離爪16がスムーズに挿入されることになる。
そして、
図7(C)に示すように、剥離爪16が隙間Cに挿入された状態で、第3搬送ローラ対6の正転が開始されるとともに、巻付けローラ20の正方向(時計方向)の回転が開始される(
図13:ステップS11)。
なお、このとき、巻付けローラ20の正方向(時計方向)の回転で重合シートPJを搬送できる場合、接合部Aが第3搬送ローラ対6に挟まれていなくてもよい。すなわち、巻付けローラ20の正方向の回転で重合シートPJの接合部Aを第3搬送ローラ対6側に搬送して、その後に接合部Aを第3搬送ローラ対6に挟ませて、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを搬送してもよい。
【0043】
そして、
図8(A)に示すように、第3搬送ローラ対6に正転による重合シートPjの搬送が所定量X4おこなわれた後に、第3搬送ローラ対6の正転と巻付けローラ20の正転とがそれぞれ停止される(
図13:ステップS12)。このとき、把持部材32には重合シートPJが巻き付いておらず、把持部材32は、巻付け開始位置Wに位置した重合シートPJの被把持部Bを把持解除可能な状態である。すなわち、把持部材32は、巻付け開始位置Wで、被把持部Bを把持する把持位置から退避位置へ移動することできる。
そして、その状態で把持部材32を把持位置から退避位置へ移動させて、把持部材32を第3搬送経路K3上に位置した状態にする(
図13:ステップS13)。すなわち、
図2(B)に示すようにカム34を回転させて、アーム部材31を押圧する位置に回転移動させる。この状態は、把持部材32による重合シートPJの把持が解除された状態である。なお、本実施の形態では、カム34(移動機構30)を移動させて把持部材32による把持を解除したが、把持部材32による把持力よりも第3搬送ローラ対6の搬送による引抜き力が大きい場合には、カム34(移動機構30)の移動をせずに、第3搬送ローラ対6の搬送による引抜きによって、把持部材32による把持を解除することもできる。
その後、
図8(B)に示すように、第3搬送ローラ対6を再び正転させて、重合シートPJの順方向の搬送を開始する(
図13:ステップS14)。そうすると、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、一端側)が検知される。そして、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、一端側)が切替爪15上を通過した後に、把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させるとともに、切替爪15を待機位置から切替位置に時計方向に回動させる。そして、
図8(B)に示すように、重合シートPJの順方向後端の被把持部Bが剥離爪16の近傍に達したときには、2枚のシートP1、P2の後端が大きく分離して開かれた状態になる。
そして、重合シートPJの順方向後端が第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X5搬送して停止した後に、
図8(C)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆転して重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図13:ステップS15、S16)。このとき、切替爪15の自由端は、第3搬送経路K3への重合シートPJの進入を遮断する切替位置に位置しているため、剥離された状態の2枚のシートP1、P2は、
図8(C)に示すように、2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ導かれていくことになる。このとき、重合シートPJにおける接合部Aの近傍を第3搬送ローラ対6で挟持した状態で搬送停止するために、第5センサ45(
図1参照)によって、重合シートPJの接合部A(逆方向後端、他端側)が検知される。
【0044】
そして、
図9(A)に示すように、重合シートPJの逆方向後端が第5センサ45(
図1参照)によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X6搬送して停止する(
図13:ステップS17、S18)。このとき、重合シートPJの接合部Aは、第3搬送ローラ対6のニップの位置か、ニップよりも僅かに左方の下流側の位置にある。すなわち、重合シートPJの他端側が第3搬送ローラ対6に挟持された状態である。
そして、
図9(A)に示すように、第2給送トレイ12(
図1参照)からの中シートPMの搬送を開始する(
図13:ステップS19)。このとき、第3センサ43によって、中シートPMの先端(順方向先端、他端側)が検知される。さらに、
図9(B)に示すように、剥離爪16を待機位置に移動させる。
また、
図9(A)、(B)に示すように、第2搬送ローラ対5によって挟持・搬送された中シートPMの横レジスト(幅方向の位置ズレ量)が位置ズレ検知部47によって検知される(
図14(A):ステップS20)。そして、
図9(B)に示すように、位置ズレ検知部47によって検知された中シートPMの横レジスト(幅方向の位置ズレ量)と同等の横レジスト(幅方向の位置ズレ量)が生じるように、重合シートPJを挟持した状態の第3搬送ローラ対6(位置ズレ調整手段)が幅方向に移動する(
図14(B):ステップS25)。
その後、
図9(C)に示すように、中シートPMの順方向先端が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにして、第2搬送ローラ対5で中シートPMを所定量X7搬送した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの順方向の搬送を再開する(
図13:ステップS20、S21)。このとき、中シートPMは、2枚のシートP1、P2の間の所望位置に、精度よく挟まれた状態になる。こうして、重合シートPJにおける2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する工程が終了する(ステップS31)。
そして、第3搬送ローラ対6による順方向の搬送によって、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJが、中継搬送部90を介してラミネート処理装置50に搬送されて、ラミネート処理装置50で重合シートPJに対するラミネート処理が施される(ステップS32)。
そして、ラミネート処理が施された重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)は、ラミネート処理装置50から排出されて、排出トレイ13(
図1参照)上に載置されることになる。
【0045】
なお、本実施の形態において、重合シートPJは、
図7(A)の状態において、接合部Aの側の非接合部で2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されて、2枚のシートP1、P2が剥離(分離)される。
これに対して、
図7(A)の状態において、重合シートPJが第3搬送ローラ対6によって充分な力で挟まれるようであれば、接合部Aを被把持部Bとしてもよい。すなわち、
図6(A)~(D)において、重合シートPJの接合部Aが把持部材32と受部20bとによって把持された状態で、重合シートPJが巻付けローラ20に巻き付けられ、非接合部側が第3搬送ローラ対6に挟まれて搬送されることになる。このとき、第3搬送ローラ対6の回転により重合シートPJのシートP1、P2がお互いにスリップせず同期して搬送されるようにする。例えば、第3搬送ローラ対6のニップ圧を大きくしたり、ローラ材質を摩擦係数の大きいものにしたり、第3搬送ローラ対6の各々のローラの駆動方法を制御したりすることにより、2枚のシートP1、P2のスリップが生じにくくなり、重合シートPJに所望の隙間Cを形成して2枚のシートP1、P2を剥離(分離)することができる。この場合、重合シートPJ中に中シートPMを挿入するまでの重合シートPJの搬送回数を少なくすることもできる。
【0046】
以下、
図14~
図19等を用いて、本実施の形態におけるシート処理システム100において、特徴的な構成・動作について説明する。
図14(及び、
図1)に示すように、本実施の形態におけるシート処理システム100は、シート剥離部1及び中継搬送部90から構成されるシート処理装置60を介することなく、2枚のシートの間に中シートが手動で挿入された状態の重合シートとしての手差し用重合シートPJ´をラミネート処理装置50に給送するための給送部としての手差し給送部91が設置可能に構成されている。
すなわち、本実施の形態におけるシート処理システム100は、シート剥離部1と中継搬送部90とから構成されるシート処理装置60、及びラミネート処理装置50とを用いた「自動モード(剥離処理、挿入処理、ラミネート処理を連続的に自動でおこなうモードである。)」と、手差し給送部91(給送部)とラミネート処理装置50とを用いた「手動モード(剥離処理、挿入処理は手動でおこない、ラミネート処理のみを自動でおこなうモードである。)」と、が切替え可能に構成されている。
このように自動モードとは別に手動モードを設けたのは、巻付けローラ20や搬送経路などの制約により、自動モードにて一連の剥離処理、挿入処理、ラミネート処理をおこなうことができる重合シートPJや中シートPMのシートサイズやシート厚さが限られているためである。すなわち、手動モードは、自動モードでは処理できない、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となる重合シートPJ´に対してラミネート処理をおこなうためのものである。
【0047】
詳しくは、
図1、
図14を参照して、シート処理装置60において、中継搬送部90は、シート剥離部1に支軸90aを中心にして回動可能に構成されている。
そして、「自動モード」は、中継搬送部90が支軸90aを中心にして所定方向(
図14の矢印方向の逆方向である。)に回動してシート剥離部1とラミネート処理装置50とに接触(又は、近接)した状態で実行される。すなわち、自動モードは、
図1の状態で、先に
図13等で説明したフローにて実行される。
ここで、中継搬送部90は、自動モード時にシート剥離部1とラミネート処理装置50とのうち少なくとも一方に位置決めされる。具体的に、
図1の状態は、シート剥離部1やラミネート処理装置50に形成された嵌合部に、中継搬送部90の被嵌合部が嵌合することで維持される。
なお、本実施の形態では、自動モード時に、中継搬送部90がシート剥離部1やラミネート処理装置50に略密着するように構成したが、中継搬送部90がシート剥離部1やラミネート処理装置50に隙間をあけて近接するように構成することもできる。
【0048】
これに対して、「手動モード」は、中継搬送部90が支軸90aを中心にして所定方向の逆方向(
図14の矢印方向である。)に回動してシート剥離部1とラミネート処理装置50とから離間した状態で実行される。すなわち、手動モードは、
図14の状態で実行される。
図14の状態は、シート剥離部1やラミネート処理装置50に形成された嵌合部と、中継搬送部90の被嵌合部と、の嵌合を解除した後に矢印方向に回動して、中継搬送部90において傾斜する底面が設置面に接することで維持される。
【0049】
さらに具体的に、「手動モード」について説明する。
図14に示すように、手差し給送部91(手動モード時に手差し用重合シートPJ´がセットされる給送部である。)は、支軸90aを中心にして回動した状態の中継搬送部90の一部である。すなわち、中継搬送部90の一部が、手差し用重合シートPJ´を給送するためのガイド部材として機能する。
また、手差し給送部91は、中継搬送部90の天井部であって、その天井部に重なるように倒された可倒式トレイ91xをヒンジ部91aを中心にストッパ部(不図示)に当接する位置まで回動させることで形成される。すなわち、中継搬送部90が
図14の位置に回動された状態で、可倒式トレイ91xをヒンジ部91aを中心に
図14の位置に回動させることで、手差し給送部91が形成される。このときの可倒式トレイ91xは、第6搬送ローラ対9のニップに向けて手差し用重合シートPJ´を給送可能な位置まで延在することになる。
なお、手差し給送部91は、可倒式トレイ91xを用いたものに限定されることなく、例えば、手動モード時にラミネート処理装置50に向けて引き出される引出式トレイを用いることもできる。
【0050】
そして、「手動モード」は、次のように実行される。
まず、ユーザー(操作者)は、手動モードをおこなうために、
図1の状態にあった中継搬送部90を
図14に示す位置に回動して、可倒式トレイ91xを
図14に示す位置に回動する。
そして、
図14に示す手差し給送部91(給送部)に、手差し用重合シートPJ´(重合シート)をセットする。この「手差し用重合シートPJ´」は、ユーザー(操作者)が自らの手で2枚のシートからなるフィルムシート(ラミネートシート)を剥離して、剥離した2枚のシートの間に中シートを挿入して形成した重合シートである。また、手差し給送部91にセットされる手差し用重合シートPJ´は、その先端が第6搬送ローラ対9のニップに突き当たった状態になる。
そして、ユーザー(操作者)が操作表示パネル49のスタートボタンを押すと、手差し給送部91にセットされた手差し用重合シートPJ´が第6搬送ローラ対9によって給送される。そして、第6搬送ローラ対9によって給送された手差し用重合シートPJ´が、熱加圧ローラ対51の位置でラミネート処理されて、ラミネート処理後に排出トレイ13上に排出されることになる。
【0051】
このように、ラミネート処理装置50に設置された熱加圧ローラ対51は、重合シートPJ又は手差し用重合シートPJ´に熱と圧力とを与えるものである。また、第6搬送ローラ対9は、中継搬送部90を搬送された重合シートPJ、又は、手差し給送部91にセットされた手差し用重合シートPJ´、を熱加圧ローラ対51に向けて搬送する搬送ローラ対として機能することになる。
【0052】
このように、本実施の形態におけるシート処理システム100は、シート剥離部1及び中継搬送部90から構成されるシート処理装置60を介することなく、ユーザーが手動で形成した手差し用重合シートPJ´をラミネート処理装置50に直接給送するための手差し給送部91が設置可能に構成されている(自動モードとは別に手動モードを実行可能に構成している)。
これにより、自動モードにて一連の剥離処理、挿入処理、ラミネート処理をおこなうことができる重合シートPJや中シートPMのシートサイズやシート厚さが限られていても、そのようなシートサイズやシート厚さが所定の範囲外となる重合シートPJ´に対してラミネート処理を手動モードにておこなうことができる。したがって、ユーザーにとって利便性が向上することになる。
【0053】
ここで、
図15を参照して、本実施の形態におけるシート処理システム100において、ラミネート処理装置50は、シート処理装置60のシート剥離部1に対して着脱可能に構成されている。
すなわち、ラミネート処理装置50は、
図1、
図14に示すようにシート処理装置60に装着された状態と、
図15に示すようにシート処理装置60から離脱された状態と、に切り替えることができる。
このように構成することで、ラミネート処理装置50をメンテナンスするときの作業性が向上することになる。
【0054】
そして、シート処理システム100において、ラミネート処理装置50は、
図1、
図14に示すように、シート処理装置60のシート剥離部1に位置決めされることになる。
具体的に、
図14、
図15を参照して、ラミネート処理装置50は、シート剥離部1に設置された位置決め部材53、54によって、シート剥離部1に対する位置が定められることになる。第1の位置決め部材53は、シート剥離部1に対するラミネート処理装置50の幅方向に直交する方向(
図14、
図15の左右方向である。)の位置を定めるものであって、ラミネート処理装置50を挟み込むように対となって形成されている。第2の位置決め部材54は、シート剥離部1に対するラミネート処理装置50の幅方向(
図14、
図15の紙面垂直方向である。)の位置を定めるものであって、ラミネート処理装置50を挟み込むように幅方向の離れた位置に対となって形成されている。
このようにシート剥離部1に対してラミネート処理装置50を位置決めすることで、自動モード時においてシート剥離部1から中継搬送部90を介してのラミネート処理装置50への重合シートPJのスムーズな搬送やシート処理が可能になる。
【0055】
以下、
図16(及び、
図17~
図19)を用いて、自動モードと手動モードとの切替制御について説明する。
図16に示すように、まず、手動モードが選択されているかが判別される(ステップS40)。すなわち、ユーザーによって自動モードと手動モードとのうち、いずれのモードが選択されているかが判別される。具体的に、そのようなモードの選択は、
図17に示すような操作表示パネル49の選択画面からのユーザーによる入力指示によっておこなわれる。
そして、自動モードが選択されている場合には、ユーザーによって、
図18(A)、(B)に示すような操作表示パネル49の入力画面から重合シートPJ(フィルム)や中シートPM(中紙)のシート厚さ(シート種類)とシートサイズとの入力がおこなわれる(ステップS41、S43)。そして、設定されたシート厚さ、シートサイズの重合シートPJ(フィルム)、中シートPM(中紙)を用いた自動モード(フィルム剥離モード)が実行される。
これに対して、手動モードが選択されている場合には、ユーザーによって、
図19(A)、(B)に示すような操作表示パネル49の入力画面から重合シートPJ(フィルム)や中シートPM(中紙)のシート厚さ(シート種類)とシートサイズとの入力がおこなわれる(ステップS42、S43)。そして、設定されたシート厚さ、シートサイズの重合シートPJ(フィルム)、中シートPM(中紙)を用いた手動モード(フィルム剥離モード)が実行される。
【0056】
<変形例1>
図20に示すように、変形例1におけるシート処理システム100は、中継搬送部90の着脱方法が、
図1、
図14に示すものと異なる。
変形例1では、
図20(A)に示すように、自動モードは、中継搬送部90が所定方向(
図20の右方であって、略水平方向である。)に移動してシート剥離部1とラミネート処理装置50とに接触(又は、近接)した状態で実行される。ここで、中継搬送部90は、自動モード時にシート剥離部1とラミネート処理装置50とのうち少なくとも一方に位置決めされる。具体的に、変形例1では、
図20(A)の状態が、シート剥離部1やラミネート処理装置50に形成された凹部95a(嵌合部)に、中継搬送部90の凸部95(被嵌合部)が嵌合することで維持される。なお、中継搬送部90の位置決め方法はこれに限定されることなく、例えば、中継搬送部90の凸部95(及び、シート剥離部1の凹部)を幅方向や高さ方向に複数設けることもできる。
これに対して、
図20(B)に示すように、手動モードは、中継搬送部90が上述した所定方向の逆方向(
図20の左方であって、略水平方向である。)に移動してシート剥離部1とラミネート処理装置50とから離間した状態で実行される。このとき、手差し給送部としての手差しトレイ94が、中継搬送部90がシート剥離部1とラミネート処理装置50とから離間した後に、ラミネート処理装置50に着脱可能に設置されることになる。そして、設置された手差しトレイ94に手差し用重合シートPJ´がセットされて、所望の手動モードが実行されることになる。
そして、このように構成した場合であっても、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理(ラミネート処理)をおこなうことができる。
【0057】
<変形例2>
図21に示すように、変形例2におけるシート処理システム100は、熱加圧ローラ対51と第6搬送ローラ対9(搬送ローラ対)とが、シート処理システム100の稼働が停止した状態において、稼働時の回転方向(図の実線矢印方向である。)に対して逆方向(図の破線矢印方向である。)に同じタイミングで回転可能に構成されている。
このように構成したのは、
図21に示すように、ラミネート処理装置50で手差し用重合シートPJ´(又は、重合シートPJ)がジャム(シートの詰まりによって搬送停止する現象である。)した場合に、その手差し用重合シートPJ´(又は、重合シートPJ)を取り除く作業(ジャム処理)を容易にするためである。
具体的に、
図21に示すように、ラミネート処理装置50で手差し用重合シートPJ´がジャムした場合、その状態がジャム検知センサで検知されて、シート処理システム100の稼働が停止される。そして、ユーザーは、
図22に示すように、熱加圧ローラ対51と第6搬送ローラ対9とを逆回転させて、ジャムした手差し用重合シートPJ´を手差し給送部91の位置まで白矢印方向に搬送して、手差し給送部91の位置で取り除くことになる。
なお、熱加圧ローラ対51と第6搬送ローラ対9とを逆回転させる方法は、手動であっても自動であっても良い。
【0058】
<変形例3>
図23、
図24に示すように、変形例3におけるシート処理システム100は、中継搬送部90の全部が支軸を中心に回動可能に構成されているのではなくて、中継搬送部90の一部(回動部92である。)が支軸92aを中心に回動可能に構成されている。そして、
図23(A)に示す自動モード時の状態から、
図23(B)、
図24に示す手動モード時の状態(回動部92を支軸92aを中心に反時計方向に回動させた状態である。)で、その上面に手差し給送部93を形成して、手差し給送部93に手差し用重合シートPJ´をセットして手動モードをおこなうことになる。
なお、
図24を参照して、中継搬送部90において、回動部92が支軸92aを中心に回動されて手差し給送部93が形成されたときに、中継搬送経路K6の一部(下流側の部分)が、回動部92と回動部92以外の部分とに分割されることになるが、その部分は手差し給送部93の中央部に位置するため、手差し用重合シートPJ´の搬送の妨げになることはない。また、
図24に示すように、手差し給送部93には、手差し用重合シートPJ´の載置を可能とする複数のリブLBが形成されている。
そして、このように構成した場合であっても、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理(ラミネート処理)をおこなうことができる。
また、変形例3におけるシート処理システム100は、変形例2のものと同様に、ジャム処理用に熱加圧ローラ対51と第6搬送ローラ対9とを手動又は自動で逆回転できるように構成されている。そして、変形例3におけるシート処理システム100は、中継搬送部90の一部(回動部92)が支軸92aを中心に回動可能に構成されているため、自動モード時においてラミネート処理装置50で重合シートPJがジャムした場合であっても、
図23(A)の状態から
図23(B)の状態に回動部72を回動させることで、そのジャムした重合シートPJを簡単に取り除くことができる。
【0059】
<変形例4>
図25に示すように、変形例4におけるシート処理システム100も、
図1、
図14、
図15等に示すものと同様に、ラミネート装置50とシート処理装置60(シート剥離部1)とが分離可能に構成されている。そして、シート剥離部1には、ラミネート処理装置50の幅方向に直交する方向の位置を定めるための一対の第1の位置決め部材53と、ラミネート処理装置50の幅方向の位置を定めるための一対の第2の位置決め部材54と、が設けられている。
ここで、変形例4では、第1の位置決め部材53は、幅方向に直交する方向(
図25の左右方向である。)に延びる第1ロッド53a上を移動可能に構成されている。同様に、第2の位置決め部材54は、幅方向(
図25の上下方向である。)に延びる第2ロッド54a上を移動可能に構成されている。このような構成により、第1の位置決め部材53の幅方向に直交する方向の位置調整をおこなうことができるとともに、第2の位置決め部材54の幅方向の位置調整をおこなうことができるため、シート剥離部1に対するラミネート処理装置50の位置決めを微調整することが可能になる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート処理システム100は、シート処理装置60とラミネート処理装置50とから構成されている。そして、シート処理装置60は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて接合部Aで接合された重合シートPJの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部1と、シート剥離部1からラミネート処理装置50に向けて重合シートPJを搬送する中継搬送部90と、を備えている。また、ラミネート処理装置50は、シート剥離部1によって剥離された2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理を施す。そして、シート処理装置60を構成するシート剥離部1及び中継搬送部90を介することなく、2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが手動で挿入された状態の手差し用重合シートPJ´(重合シート)をラミネート処理装置50に直接給送するための手差し給送部91(給送部)が設置可能に構成されている。
これにより、シートサイズやシート厚さが所定の範囲外となるものであっても、所望のシート処理(ラミネート処理)をおこなうことができる。
【0061】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 シート剥離部(シート剥離装置)、
9 第6搬送ローラ対(搬送ローラ対)、
15 切替爪(切替部材)、
16 剥離爪(剥離部材)、
19 シート剥離機構部、
20 巻付けローラ、
49 操作表示パネル(操作表示部)、
50 ラミネート処理部(ラミネート処理装置)、
51 熱加圧ローラ対、
52 ヒータ、
53、54 位置決め部材、
60 シート処理装置、
90 中継搬送部(中継搬送ユニット)、
90a 支軸、
91 手差し給送部(給送部)、
91x 可倒式トレイ、
94 手差しトレイ、
100 シート処理システム、
P、P1、P2 シート、
PM 中シート、
PJ 重合シート、
PJ´ 手差し用重合シート(重合シート)、
A 接合部。
【0063】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~10の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
2枚のシートが重ね合されて接合部で接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部からラミネート処理装置に向けて前記重合シートを搬送する中継搬送部と、
を具備したシート処理装置と、
前記シート剥離部によって剥離された前記2枚のシートの間に中シートが挿入された状態の前記重合シートにラミネート処理を施す前記ラミネート処理装置と、
前記2枚のシートの間に前記中シートが挿入された状態の重合シートを、前記シート処理装置を介することなく、前記ラミネート処理装置に給送する給送部と、
を備えたことを特徴とするシート処理システム。
(付記2)
前記ラミネート処理装置は、
前記重合シートに熱と圧力とを与える熱加圧ローラ対と、
前記中継搬送部を搬送された前記重合シート、又は、前記給送部にセットされた前記中シートが挿入された状態の重合シート、を前記熱加圧ローラ対に向けて搬送する搬送ローラ対と、
を具備したことを特徴とする付記1に記載のシート処理システム。
(付記3)
前記熱加圧ローラ対と前記搬送ローラ対とは、前記シート処理システムの稼働が停止した状態において、稼働時の回転方向に対して逆方向に同じタイミングで回転可能に構成されたことを特徴とする付記2に記載のシート処理システム。
(付記4)
前記シート処理装置と前記ラミネート処理装置とを用いた自動モードと、前記給送部と前記ラミネート処理装置とを用いた手動モードと、が切替え可能であることを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載のシート処理システム。
(付記5)
前記中継搬送部の一部又は全部を支軸を中心にして所定方向に回動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とに接触又は近接した状態で、前記自動モードが実行され、
前記中継搬送部の一部又は全部を前記支軸を中心にして前記所定方向の逆方向に回動して、前記手動モードが実行されることを特徴とする付記4に記載のシート処理システム。
(付記6)
前記給送部は、前記支軸を中心にして回動した状態の前記中継搬送部の一部であることを特徴とする付記5に記載のシート処理システム。
(付記7)
前記中継搬送部が所定方向に移動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とに接触又は近接した状態で、前記自動モードが実行され、
前記中継搬送部が前記所定方向の逆方向に移動して前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とから離間した状態で、前記手動モードが実行されることを特徴とする付記4に記載のシート処理システム。
(付記8)
前記給送部は、前記中継搬送部が前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とから離間した後に前記ラミネート処理装置に着脱可能に設置される手差しトレイであることを特徴とする付記7に記載のシート処理システム。
(付記9)
前記中継搬送部は、前記自動モード時に前記シート剥離部と前記ラミネート処理装置とのうち少なくとも一方に位置決めされることを特徴とする付記4~付記8のいずれかに記載のシート処理システム。
(付記10)
前記ラミネート処理装置は、前記シート処理装置に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする付記1~付記9のいずれかに記載のシート処理システム。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】