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特開2024-106721見積書作成装置、見積書作成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106721
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】見積書作成装置、見積書作成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240801BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011129
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】劉 勁
(72)【発明者】
【氏名】大塚 慶一
(72)【発明者】
【氏名】平田 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】安川 昂志
(72)【発明者】
【氏名】手塚 綾美
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
(57)【要約】
【課題】顧客会社の運営に与える影響を抑制し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる見積書作成装置を提供する。
【解決手段】顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付部11と、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理部12と、処理部12により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成部13を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付部と、
前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理部と、
前記処理部により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成部を備える見積書作成装置。
【請求項2】
顧客に販売したケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、
前記処理部は、
前記顧客に販売したケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する検索部と、
前記検索部で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する特定部と、を備え、
前記見積書作成部は、
前記顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、
前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、
前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する請求項1に記載の見積書作成装置。
【請求項3】
製造予定のケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、
前記処理部は、
前記製造予定のケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する検索部と、
前記検索部で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する特定部と、を備え、
前記見積書作成部は、
前記顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、
前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、
前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する請求項1に記載の見積書作成装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記検索部で検索された結果に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補が複数あった場合、前記顧客から見積依頼されたケーブルにすべての候補のケーブルを延長分として加えたものを製造するケーブルとして特定する請求項2に記載の見積書作成装置。
【請求項5】
前記見積依頼は、仕様の異なる複数のケーブルを準備するための依頼であり、
前記処理部は、前記仕様の異なる複数のケーブルの中から破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルの長さと、割り入れ工事または迂回工事の対象となる第2ケーブルの長さとを特定し、
前記見積書作成部は、
前記顧客から見積依頼された前記仕様の異なる複数のケーブルの全てを製造する場合の第1見積書と、
前記第1ケーブルの長さと、前記第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルを製造する場合の第2見積書と、
前記第1ケーブルの長さと、前記第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する請求項1に記載の見積書作成装置。
【請求項6】
前記見積書作成部は、前記第2ケーブルの長さのケーブルのみを製造する場合の第4見積書を作成する請求項5に記載の見積書作成装置。
【請求項7】
前記見積依頼は、短尺の応急復旧用のケーブルに交換する依頼であり、
保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、
前記処理部は、
前記保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれている応急復旧用のケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルに対応するケーブルを検索する検索部と、
前記検索部で検索された結果に基づいて、製造するケーブルの組み合わせを特定する特定部と、を備え、
前記見積書作成部は、
前記顧客から見積依頼された短尺の応急復旧用のケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、
前記短尺の応急復旧用のケーブルではなく、当該ケーブルの全長に対応する長尺のケーブルを製造する場合の第2見積書と、
前記短尺の応急復旧用のケーブルと、前記長尺のケーブルを同時に製造する場合の第3見積書と、を作成する請求項1に記載の見積書作成装置。
【請求項8】
顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付工程と、
前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理工程と、
前記処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成工程を備える見積書作成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付工程と、
前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理工程と、
前記処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成工程と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、見積書を作成する見積書作成装置、見積書作成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備の一つである電力や電気信号を伝送するケーブルの取引では、一般的に、製造会社は、購入を希望する会社(以下、顧客会社と称する)からの依頼に応じて、見積もりを作成する。例えば、特許文献1では、仕様情報に貸し出し価格情報を加えて見積情報を生成し、この情報を見積書として可視化して消費者に提示する手段と、仕様情報に基づき製造者に対する発注情報を生成し、この情報を発注書として可視化する手段、を有する発注支援システムが開示されている。
【0003】
ここで、ケーブルには、電力伝送を行う電力伝送線と、電気信号を伝送する通信用ケーブルなどがある。電力伝送線とは、裸線や絶縁ケーブルである被覆されていないケーブルと、CVケーブル(cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable)と、CVTケーブル(Cross-linked Polyethylene insulated Vinyl Sheathed Triplex Type Power Cable)と、OFケーブル(Oil Filled cable)などを包括する概念である。顧客会社は、見積もりの内容を検討し、発注を行う。製造会社は、受注品の生産に必要な部品と数量、各部品の発注から納入までにかかる時間(以下、納入リードタイムという)、製造にかかる時間、施工業者がケーブル敷設作業の実施できる日程等に基づき、受注品の納期(指定納期)に間に合うように各部品の発注処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-077277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、在庫量を少なめに設定した場合、在庫を余剰に保持しないため、製造会社による在庫の製造および保管のために必要な資源や排出される廃棄物の抑制を図ることができるが、在庫量以上の受注があった際には、新たに設備(例えば、ケーブルなど)を製造するため、タイムリーに設備を提供することが困難になり、短納期の要請に応えられず、顧客会社の運営に影響を与えてしまう。台風や地震などの広域の災害が発生して、複数の場所での破損が発生すると、短納期の要請に応えられず、特に、顧客会社の運営に影響を与えてしまう。
【0006】
一方、在庫数を多めに設定した場合には、顧客会社から受注に応じて、タイムリーに設備を提供することができ、顧客会社の運営に影響を与えないが、在庫数を下回る受注状況が続いたときには、在庫を長期間抱えることになり、製造会社による在庫の製造および保管のために必要な資源や排出される廃棄物の抑制を図ることが困難になる。また、製造会社は、ケーブルを製造する際にかかる負担を低減したい要望がある。
【0007】
本願発明では、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる見積書作成装置、見積書作成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付部と、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理部と、前記処理部により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成部を備える見積書作成装置。
(2)顧客に販売したケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、前記処理部は、前記顧客に販売したケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する検索部と、前記検索部で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する特定部と、を備え、前記見積書作成部は、前記顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する(1)に記載の見積書作成装置。
(3)製造予定のケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、前記処理部は、前記製造予定のケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する検索部と、前記検索部で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する特定部と、を備え、前記見積書作成部は、前記顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、前記顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する(1)に記載の見積書作成装置。
(4)前記特定部は、前記検索部で検索された結果に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補が複数あった場合、前記顧客から見積依頼されたケーブルにすべての候補のケーブルを延長分として加えたものを製造するケーブルとして特定する(2)に記載の見積書作成装置。
(5)前記見積依頼は、仕様の異なる複数のケーブルを準備するための依頼であり、前記処理部は、前記仕様の異なる複数のケーブルの中から破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルの長さと、割り入れ工事または迂回工事の対象となる第2ケーブルの長さとを特定し、前記見積書作成部は、前記顧客から見積依頼された前記仕様の異なる複数のケーブルの全てを製造する場合の第1見積書と、前記第1ケーブルの長さと、前記第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルを製造する場合の第2見積書と、前記第1ケーブルの長さと、前記第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する(1)に記載の見積書作成装置。
(6)前記見積書作成部は、前記第2ケーブルの長さのケーブルのみを製造する場合の第4見積書を作成する(5)に記載の見積書作成装置。
(7)前記見積依頼は、短尺の応急復旧用のケーブルに交換する依頼であり、保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を記憶する記憶部を備え、前記処理部は、前記保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を参照し、前記見積依頼に含まれている応急復旧用のケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルに対応するケーブルを検索する検索部と、前記検索部で検索された結果に基づいて、製造するケーブルの組み合わせを特定する特定部と、を備え、前記見積書作成部は、前記顧客から見積依頼された短尺の応急復旧用のケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、前記短尺の応急復旧用のケーブルではなく、当該ケーブルの全長に対応する長尺のケーブルを製造する場合の第2見積書と、前記短尺の応急復旧用のケーブルと、前記長尺のケーブルを同時に製造する場合の第3見積書と、を作成する(1)に記載の見積書作成装置。
(8)顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付工程と、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理工程と、前記処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成工程を備える見積書作成方法。
(9)コンピュータに、顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける受付工程と、前記見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する処理工程と、前記処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する見積書作成工程と、を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)し、製造会社による設備の製造および保管のための負担を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、未利用状態で保管されるケーブルの本数を減らしたり、保管される期間を短くしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施例に係る見積作成システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1実施例の応用例に係る見積作成システムの構成を示す図である。
図3図3は、見積書を模式的に示す図である。
図4図4は、第2実施例に係る見積作成システムの構成を示す図である。
図5図5は、第3実施例に係る見積作成システムの構成を示す図である。
図6図6は、接続箱を用いてケーブルを相互に接続する場合についての説明に供する図である。
図7図7は、第4実施例に係る見積作成システムの構成を示す図である。
図8図8は、見積書作成方法の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、コンピュータの構成を示す図である。
図10図10は、コンピュータの他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施形態に係る見積書を作成する見積書作成装置、見積書作成方法およびプログラムの構成と動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る見積作成システム100の構成を示す図である。見積作成システム100では、インターネット等のネットワークNWを介して、顧客側7と見積書作成装置1とが相互に接続されている。見積作成システム100は、顧客側7からケーブルの見積依頼を受け付けたときに、見積書作成装置1により見積書を作成するシステムである。顧客側7は、1社のみでなく、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の複数社の顧客が想定される。以下、「顧客側7」という表現は、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の顧客全体を示す場合や、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の各顧客を示す場合がある。見積書作成装置1は、複数の顧客からそれぞれ見積依頼を受け付ける。
【0013】
例えば、顧客側7は、パーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォンなどの端末装置を操作して、所定のアプリケーションやWebブラウザに表示される所定のフォームを利用し、見積依頼を行う。なお、端末側3は、端末装置ではなく、ファクシミリを利用して見積依頼を行ったり、電子メールを利用して見積もり依頼を行ったり、また、ネットワークNWを利用せず、ハガキや手紙を利用して見積依頼を行ってもよい。
【0014】
見積書作成装置1は、図1に示すように、受付部11と、処理部12と、見積書作成部13を備える。
【0015】
受付部11は、顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける。受付部11は、顧客側7がファクシミリ、ハガキ、または手紙などの手書きや印刷により見積依頼を行ってきた場合には、OCR(Optical Character Recognition/Reader)機能により手書きや印刷された文字を、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換し、変換後の文字コードを処理部12に送信してもよい。
【0016】
処理部12は、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する。ケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの長さ、定格電圧、太さ(外形寸法)であるが、他に、ケーブルの仕様、ケーブルが使用されている環境の情報などである。ケーブルの定格電圧とは、絶縁破壊を起こすことなく連続使用できる最高使用電圧をいう。
【0017】
ケーブルの仕様とは、例えば、準拠規格、製造者名、製造ロット、製造年、敷設者名、敷設年、導体(材質、芯数、公称断面積、構成など)、絶縁体(材質、仕上がり外径)、概算質量、導体抵抗、保護テープ(材質、厚さ)、遮蔽層(材質厚さ)、遮水層(材質、厚さ)、がい装・保護管(材質、厚さ、波形状)、防食層(材質、仕上がり外径)、かい材(材質)、繰り返し曲げ耐性、最小曲げ半径、防蟻性、防水性、海水耐性、破損個所数、破損原因、導体・保護層・絶縁体の破損状況、破損深さなどである。構成とは、詳細は後述する、OFケーブル、CVケーブル、CVTケーブルなどである。ケーブルが使用されている環境の情報とは、例えば、ケーブルが敷設されている位置、架空・埋設などの敷設形態、保護管の有無、保護管の内径、再敷設時の作業エリアの有無、再敷設時の迂回経路の有無などである。
【0018】
製造する設備の組み合わせとは、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時に製造した方が、様々な利点がある設備の組み合わせである。
【0019】
ここで、様々な利点がある設備の組み合わせについて説明する。顧客の工場で使用しているケーブルが破損した場合には、工場の稼働を早期に復旧させるため、破損した箇所のケーブルのみを新しい短尺のケーブルに部分的に交換する部分交換工事が行われることがある。顧客は、製造会社に対して、部分交換工事用の短尺のケーブルの製造を依頼する。製造会社は、依頼のあった短尺のケーブルを保有していれば、この保有しているケーブルを提供するが、依頼のあった短尺のケーブルを保有していなければ、この短尺のケーブルを新たに製造することになる。
【0020】
一方、顧客は、工場で使用しているケーブルがまだ破損は生じていないが、耐用年数や使用状態(劣化状態)などを考慮して、ケーブルの全体を交換する全体敷設工事の計画を立てることがある。顧客は、製造会社にケーブルの製造についての見積を依頼する。製造会社は、見積書を作成し、顧客に送付し、承諾が得られれば、全体敷設工事用の長尺のケーブルを製造する。なお、製造会社は、顧客からの応答に応じて、見積書の作成と送付(提示)を複数回行うこともある。
【0021】
ここで、上述した短尺のケーブルと、長尺のケーブルを別々の時期にそれぞれ製造する場合と、短尺のケーブルと長尺のケーブルを同時に製造する場合とを比較すると、同時に製造した方が、別々に製造するよりも、製造コストを低減できる利点があり、また、ケーブルの製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制する利点がある。
【0022】
一般に、ケーブルは、長尺物を連続したプロセスで製造するため、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時に製造した場合に、排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0023】
具体的に、長尺物のケーブル製造では、極めて大型の押出製造設備などの温度条件が安定するまでの暖気期間、各種ロールプロセス設備が安定に動作するまでの準備期間、製造終了後の極めて大型の設備の清掃期間などで、排気ガスや排熱、廃棄物が生じる。また、準備期間ではケーブルに余長分が発生する。
【0024】
ここで、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合で、暖気期間、準備や清掃の回数は減る。そのため、同時製造した場合に、これらの期間で発生する排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制されることになり、資源やエネルギーの無駄を大きく抑制できる。
【0025】
また、顧客側の観点からも、突然、ケーブルが破損した場合には、交換用のケーブルの入手に時間を要すると事業が停止する事態を招くが、予備として短尺のケーブルが用意されていれば、すぐに復旧工事を行うことができ、会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)できる利点がある。
【0026】
よって、上述のような場合には、顧客側も製造会社側も、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する方が、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点がある。しかしながら、これまでは、定量的にこれらの利点が顧客側に示されていなかった。
【0027】
処理部12は、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、どのような組み合わせにすれば利点がでるのかを判断し、製造する設備の組み合わせを特定する。
【0028】
見積書作成部13は、処理部12により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成部13は、個別に複数の見積書を作成してもよいし、複数の見積書をまとめて作成してもよい。例えば、個別に3つの見積書を作成する場合、見積書作成部13は、3通の見積書を個別に作成する。また、例えば、3つの見積書をまとめて作成する場合、見積書作成部13は、3つの見積内容が含まれた見積書を1通作成する。見積書は、用紙に印刷して作成し、顧客側7に郵送してもよいし、デジタルデータで作成し、顧客側7にネットワークNWを介して送信してもよい。
【0029】
見積書作成部13は、例えば、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた一つ目の見積書と、顧客側7から見積依頼されたケーブルと別のケーブルなどを同時期に製造するために要する費用の概算などが含まれた二つ目の見積書を作成する。二つ目の見積書は、顧客側7から依頼されていない設備を同時期に製造するものであり、顧客に新たに提案する内容である。なお、見積書は、作業員がコンピュータやプリンタ等を利用して作成する形態でもよい。この形態の場合、見積書作成部13は、作業員により操作されるコンピュータやプリンタ等が該当する。
【0030】
見積書作成部13は、処理部12により特定された設備の組み合わせを、それぞれ製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。例えば、見積書作成部13は、製造する場合のコストとともに、製造にかかる二酸化炭素の排出量などを見積書に含める。また、二つ目の見積書に製造にかかる二酸化炭素の排出量は、一つ目の見積書を基準にして示してもよい。例えば、二つ目の見積書には、二酸化炭素の削減量(例えば、20%削減)などで示されてもよい。
【0031】
このようにして、見積書作成装置1は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成装置1を運営・管理する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。さらに、顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0032】
つぎに、第1実施例の応用例について説明する。見積書作成装置1は、図2に示すように、顧客に販売したケーブルに関する情報を記憶する記憶部31を備える。当該情報には、例えば、ケーブルの定格電圧、太さ、長さ、販売日時、耐用年数などが含まれている。
【0033】
処理部12は、検索部21と、特定部22とを備える。検索部21は、記憶部31に記憶されている情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する。見積依頼に含まれているケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの定格電圧、太さなどである。顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補は、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点があるものである。
【0034】
特定部22は、検索部21で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する。
【0035】
見積書作成部13は、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。見積書作成部13は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を個別に作成してもよいし、1通に3つの見積書を含ませてもよい。図3は、見積書を模式的に示す図である。図3(a)は、第1見積書を模式的に示す図である。図3(b)は、第2見積書を模式的に示す図である。図3(c)は、第3見積書を模式的に示す図である。図3(d)は、後述する第4見積書を模式的に示す図である。各見積書には、二酸化炭素排出量、樹脂排出量、費用の項目が含まれている。なお、見積書には、他に、作成日、見積の宛先、見積の作成元、備考などの項目が含まれている。また、図3に示す各項目の数値は、例示であり、これに限定されない。
【0036】
このようにして、見積書作成装置1は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成装置1を運営・管理する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0037】
特定部22は、検索部21で検索された結果に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補が複数あった場合、顧客から見積依頼されたケーブルにすべての候補のケーブルを延長分として加えたものを製造するケーブルとして特定する。例えば、顧客から見積依頼されたケーブルが200sqの500mであり、同時に製造することが可能なケーブル(200sq)が3本(例えば、50mが1本、100mが1本、200mが1本)あった場合、特定部22は、500mと、50mと、100mと、200mとを合計した850mのケーブルを製造することを特定する。ここで、「sq」とは、ケーブルの導体の太さを表す指標であり、JIS規格により規定されている。特により導体の断面積(平方ミリメートル)を表している。なお、アメリカでは、AWGが利用される。
【0038】
500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとをそれぞれ別個に製造する場合には、4回に分けて製造装置を稼働する必要があるが、850mのケーブルを一回で製造し、その後、500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとに切り分ける方が、コスト削減の利点もあり、また、ケーブルの製造に要する資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制することができ、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0039】
(第2実施例)
第2実施例について説明する。図4は、第2実施例に係る見積作成システム101の構成を示す図である。見積作成システム101では、インターネット等のネットワークNWを介して、顧客側7と見積書作成装置2とが相互に接続されている。見積作成システム101は、顧客側7からケーブルの見積依頼を受け付けたときに、見積書作成装置2により見積書を作成するシステムである。なお、第1実施例と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0040】
見積書作成装置2は、図4に示すように、製造予定のケーブルに関する情報を記憶する第1記憶部31aを備える。当該情報は、製造会社において、まだ製造していないが、顧客側7から依頼があり、将来において製造する予定のケーブル(いわゆる、仕掛ケーブル)に関する情報が含まれている。製造予定のケーブルに関する情報とは、例えば、製造予定のケーブルの長さ、定格電圧、太さ(外形寸法)であるが、他に、製造予定のケーブルの仕様などである。ケーブルの仕様とは、例えば、準拠規格、導体(材質、芯数、公称断面積、構成など)、絶縁体(材質、仕上がり外径)、概算質量、導体抵抗、保護テープ(材質、厚さ)、遮蔽層(材質、厚さ)、遮水層(材質、厚さ)、がい装・保護管(材質、厚さ、波形状)、防食層(材質、仕上がり外径)、かい材(材質)、繰り返し曲げ耐性、最小曲げ半径、防蟻性、防水性、海水耐性、破損個所数、破損原因、導体・保護層・絶縁体の破損状況、破損深さなどである。
【0041】
第1処理部12aは、第1検索部21aと、第1特定部22aとを備える。第1検索部21aは、第1記憶部31aに記憶されている情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する。見積依頼に含まれているケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの定格電圧および太さなどである。顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補は、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点があるものである。
【0042】
第1特定部22aは、第1検索部21aで検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する。
【0043】
見積書作成部13は、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。見積書作成部13は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を個別に作成してもよいし、1通に3つの見積書を含ませてもよい。
【0044】
見積書作成部13は、処理部12により特定された設備の組み合わせを、それぞれ製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。
【0045】
ケーブル(例えば、3000m)を製造するとき、ある程度の余長分(例えば、100m)が生じてしまう。この余長分は、製品品質が安定していないため、廃棄対象となる。ここで、3000mのケーブルを3本製造する場合、別々に3本製造すると、1本あたりの余長分が例えば100mだとすると、300mの余長分が生じることになる。一方、3000mのケーブルを一回で製造し(つまり、9000mのケーブルを製造する)、その後、三分割する場合、余長分は、100mだけで済む。また、ケーブルを製造するのに製造装置を複数回稼働させた場合と、1回稼働させた場合とでは、後者の方がエネルギー消費量は低くなり、地球環境に配慮した製造方法になる。
よって、顧客側7は、見積時や製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0046】
また、見積書に含まれる製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報は、絶対的な値であっても、相対的な値であっても良い。例えば、相対的な値として第1見積書に比較した割合を第2見積書に記載してもよい。
【0047】
このようにして、見積書作成装置2は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成装置2を運営・管理する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0048】
(第3実施例)
第3実施例について説明する。図5は、第3実施例に係る見積作成システム102の構成を示す図である。見積作成システム102では、インターネット等のネットワークNWを介して、顧客側7と見積書作成装置3とが相互に接続されている。見積作成システム102は、顧客側7からケーブルの見積依頼を受け付けたときに、見積書作成装置3により見積書を作成するシステムである。なお、第1実施例および第2実施例と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
また、第3実施例においては、見積依頼は、仕様の異なる複数のケーブルを準備するための依頼である。
【0050】
見積書作成装置3は、図5に示すように、受付部11と、第2処理部12bと、見積書作成部13を備える。
【0051】
第2処理部12bは、仕様(例えば、定格電圧、径、構成など)の異なる複数のケーブルの中から破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルの長さと、割り入れ工事または迂回工事の対象となる第2ケーブルの長さとを特定する。第1ケーブルは、ケーブルの全体(全線)を敷設する全体敷設工事に用いられるものである。第2ケーブルは、ケーブルの一部を交換する部分交換工事に用いられるものである。また、第1ケーブルと第2ケーブルとは互換性があり、第1ケーブルの方が上位のケーブルである。
【0052】
ここで、既設のケーブルに新規のケーブルを接続する場合について説明する。ケーブル同士を接続する場合、新規のケーブルを現場まで輸送し、現場において接続作業を実施する。ケーブル同士を接続する際に必要となる導体接続管、融着テープ、導電性テープなどの各種の材料を接続材料といい、これらの接続材料を用いて完成(製造)させたものを接続箱という。接続箱には、テープを巻いてケーブル同士を接続するテープ巻型中間接続箱、および、工場出荷時に拡径保持材(スパイラルコア)でケーブルシースより大きな径まで広げておき、現場において、スパイラルコアを引き抜いてケーブルに装着するゴムブロック式中間接続箱などがある。テープ巻型中間接続箱は、テープ巻型中間接続部やTJなど、さまざまな表現がある。また、径の差が大きいケーブルを接続したり、テープ巻型中間接続箱を用いる。また、ゴムブロック式中間接続箱は、ゴムブロック式中間接続部やRBJ(Rubber block joint)など、さまざまな表現がある。
【0053】
つぎに、径の異なるケーブル同士を接続する場合について簡易に説明する。図6は、接続箱(テープ巻型中間接続箱)を用いて径の異なるケーブル同士を接続する工程を模式的に示す図である。図中の「A」は、現在敷設されているケーブル(例えば、80sqのケーブル)を示し、「X」は、故障個所(例えば、断線部分)を示し、「B」は、現在敷設されているケーブルの端部と接続される第2ケーブル(例えば、1000sqのケーブル)を示し、「C1,C2」は、接続箱を示す。
【0054】
作業者は、現場において、図6(b)に示すように、ケーブルAの一部を切断し、次に、図6(c)に示すように、切断したケーブルAの一方端部と第2ケーブルBの一方端部とを接続箱C1により接続し、また、切断したケーブルAの他方端部と第2ケーブルBの他方端部とを接続箱C2により接続する。
【0055】
また、ケーブルは、構成の違いにより、CVケーブルやCVTケーブルなどがある。CVケーブルは、例えば、単心で構成されている。CVケーブルの径は、例えば、定格電圧が66kVの場合、80sq~2500sqであり、定格電圧が77kVの場合、400sq~2500sqであり、定格電圧が154kVの場合、200sq~2500sqである。また、CVTケーブルは、例えば、単芯ケーブル3本を撚り合わせて構成されている。CVTケーブルの径は、80sq~1200sqである。
【0056】
見積書作成部13は、顧客から見積依頼された仕様の異なる複数のケーブルの全てを製造する場合の第1見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルを製造する場合の第2見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0057】
ここで、例えば、顧客側7から、重要回線で使用しているケーブル3本(例えば、定格電圧が77kV、400sq、3000mのケーブルと、定格電圧が66kV、250sq、2000mのケーブルと、定格電圧が66kV、200sq、1000mのケーブルの3本)が古いので、保安のため予備品を準備したい旨の仕様の異なる複数のケーブルの見積依頼を受付部11が受け付けた場合について以下に説明する。
【0058】
なお、定格電圧が77kV、400sq、3000mのケーブルと、定格電圧が66kV、250sq、2000mのケーブルと、定格電圧が66kV、200sq、1000mのケーブルの場合、77kV、400sqが上位のケーブルとなる。
【0059】
第2処理部12bは、顧客側7から見積依頼された上述の内容に基づいて、定格電圧が77kV、400sqのケーブルを破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルとし、第1ケーブルの長さを3000mと特定する。また、第2処理部12bは、定格電圧が66kV、250sqのケーブルと、定格電圧が66kV、200sqのケーブルを第2ケーブルとし、第2ケーブルの長さを100mと特定する。なお、第2ケーブルの長さは、100mに限らず、50mや150mなどでもよい。
【0060】
見積書作成部13は、顧客側7から見積依頼された内容である、定格電圧が77kV、400sq、3000mのケーブルと、定格電圧が66kV、250sq、2000mのケーブルと、定格電圧が66kV、200sq、1000mのケーブルの3本を製造する場合の第1見積書を作成する。
【0061】
また、見積書作成部13は、定格電圧が77kV、400sqのケーブルであって、第1ケーブルの長さ(3000m)と、第2ケーブルの長さ(100m)を合計した長さのケーブル(3100m)を製造する場合の第2見積書を作成する。
【0062】
また、見積書作成部13は、定格電圧が77kV、400sqのケーブルであって、第1ケーブルの長さ(3000m)と、第2ケーブルの長さ(100m)を合計した長さのケーブル(3100m)と、必要な設備としての異径接続材料(異形接続箱を2つ製造可能な材料)とを製造する場合の第3見積書を作成する。
【0063】
第2見積書と第3見積書とは、顧客側7から依頼されていない内容であり、製造会社から提案する内容になる。
【0064】
顧客側7は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を受け取り、製造会社側からの説明を聞いて、どの見積書で発注を行うのかを判断する。第2見積書および第3見積書によれば、長期的視点で見て、突然の事故などによりケーブルが損傷した場合でも、第2ケーブルによりすぐに部分交換工事を行うことができ、リスク低減の効果もある。
【0065】
また、見積書作成部13は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0066】
このようにして、見積書作成装置3は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成装置3を運営・管理する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0067】
また、見積書作成部13は、第2ケーブルの長さのケーブル(定格電圧が77kV、径が400sq、長さが100m)のみを製造する場合の第4見積書を作成する構成でもよい。図3(d)は、第4見積書を模式的に示す図である。第4見積書には、二酸化炭素排出量、樹脂排出量、費用の項目が含まれている。なお、見積書には、他に、作成日、見積の宛先、見積の作成元、備考などの項目が含まれている。また、図3(d)に示す各項目の数値は、例示であり、これに限定されない。
【0068】
また、第1見積書にかかる第1ケーブルと、第4見積書にかかる第2ケーブルとを別々に製造すると、二酸化炭素排出量は、合計8kgになり、樹脂排出量は、合計1.6トンになり、費用は、合計3800万円になる。第2見積書は、第1ケーブルと第2ケーブルとを同時に製造した場合の見積書であり、二酸化炭素排出量は、6kgになり、樹脂排出量は、1.2トンになり、費用は、3200万円になる。よって、第1ケーブルと第2ケーブルとを同時に製造した方が、二酸化炭素排出量および樹脂排出量を減少させることができ、費用も低く抑えることができる。
【0069】
顧客側7は、自身が見積依頼を行った第1見積書と共に、第2見積書、第3見積書および第4見積書を受け取るので、選択の幅が広がり、様々な観点からケーブルを保守する計画を練ることできる。
【0070】
(第4実施例)
第4実施例について説明する。図7は、第4実施例に係る見積作成システム103の構成を示す図である。見積作成システム103では、インターネット等のネットワークNWを介して、顧客側7と見積書作成装置4とが相互に接続されている。見積作成システム103は、顧客側7からケーブルの見積依頼を受け付けたときに、見積書作成装置4により見積書を作成するシステムである。なお、第1実施例、第2実施例および第3実施例と同じ構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0071】
また、第4実施例においては、見積依頼は、短尺の応急復旧用のケーブルに交換する依頼である。応急復旧用とは、上述した部分交換工事用と同義である。
【0072】
見積書作成装置4は、図7に示すように、受付部11と、第2処理部12cと、見積書作成部13と、第2記憶部31cを備える。
【0073】
第2記憶部31cは、保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を記憶する。保有するケーブルに関する情報とは、まだ販売されておらず、倉庫に保管されているケーブルに関する情報である。販売したケーブルに関する情報とは、顧客に販売されたケーブルに関する情報であり、顧客ごとに別個の情報として生成されていてもよい。
【0074】
当該情報には、例えば、ケーブルの定格電圧、太さ(外形寸法)、長さ、耐用年数などが含まれているが、他に、ケーブルの仕様などが含まれていてもよい。定格電圧とは、絶縁破壊を起こすことなく連続使用できる最高使用電圧をいう。
【0075】
ケーブルの仕様とは、例えば、準拠規格、製造者名、製造ロット、製造年、導体(材質、芯数、公称断面積、構成など)、絶縁体(材質、仕上がり外径)、概算質量、導体抵抗、保護テープ(材質、厚さ)、遮蔽層(材質、厚さ)、遮水層(材質、厚さ)、がい装・保護管(材質、厚さ、波形状)、防食層(材質、仕上がり外径)、かい材(材質)、繰り返し曲げ耐性、最小曲げ半径、防蟻性、防水性、海水耐性、破損個所数、破損原因、導体・保護層・絶縁体の破損状況、破損深さなどである。
【0076】
第2処理部12cは、第2検索部21cと、第2特定部22cとを備える。第2検索部21cは、第2記憶部31cに記憶されている情報を参照し、見積依頼に含まれている応急復旧用のケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルに対応するケーブルを検索する。見積依頼に含まれているケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの定格電圧および太さなどである。
【0077】
具体的には、第2検索部21cは、第2記憶部31cに記憶されている情報を参照し、見積依頼された応急復旧のケーブルと同一のケーブル、または、代替できるケーブルを保有しているかどうかを検索する。また、第2検索部21cは、見積依頼された顧客に対して過去に販売したケーブルに関する情報を検索する。
【0078】
第2特定部22cは、第2検索部21cで検索された結果に基づいて、製造するケーブルの組み合わせを特定する。
【0079】
見積書作成部13は、顧客から見積依頼された短尺の応急復旧用のケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルではなく、当該ケーブルの全長に対応する長尺のケーブルを製造する場合の第2見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルと、長尺のケーブルを同時に製造する場合の第3見積書を作成する。見積書作成部13は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を個別に作成してもよいし、1通に3つの見積書を含ませてもよい。なお、見積書作成部13は、短尺のケーブルを他のケーブルに接続する際に用いる必要な設備を製造する場合の第4見積書も作成する構成でもよい。
【0080】
ここで、例えば、顧客側7から、定格電圧が66kV、径が400sq、長さが3000mのケーブルが破損したので、応急復旧のケーブル(例えば、定格電圧が66kV、径が400sq、長さが100m)で交換したい旨の見積依頼を受付部11が受け付けた場合について以下に説明する。当該見積依頼は、応急復旧のケーブルをこれから製造する場合、その納期と価格の見積を作成することが期待されている。
【0081】
例えば、第2検索部21cにより、なお、見積依頼されたケーブルを在庫として保持していることが検索された場合には、その保持しているケーブルを顧客側7に伝えて、そのまま販売してもよい。
【0082】
また、第2特定部22cは、第2検索部21cにより、見積依頼された顧客は、現在、定格電圧が66kV、径が400sqよりも細いケーブルを30本利用していることを検索した場合には、これらの電線が将来において交換される可能性と、応急復旧の工事(部分交換工事)した後、ケーブル全線を交換する工事(全体敷設工事)が行われるだろうことを見越して、顧客側7から見積依頼された、66kV、径が400sq、長さが100mの第1ケーブル(応急復旧のケーブル)と、66kV、径が400sq、長さが3000mの第2ケーブル(全体敷設工事用のケーブル)と、66kV、径が400sq、長さが3100mの第3ケーブルを特定する。なお、第3ケーブルは、3000mのケーブルと、100mのケーブルに切り分け、3000mのケーブルは、全体敷設工事用のケーブルとして用い、100mのケーブルは、現在顧客が利用中のケーブルが故障したときに応急復旧するためのケーブルとして用いられる。
【0083】
見積書作成部13は、定格電圧が66kV、径が400sq、長さが100mのケーブルを製造する場合の第1見積書を作成する。また、見積書作成部13は、定格電圧が66kV、径が400sq、長さが3000mのケーブルを製造する場合の第2見積書を作成する。また、見積書作成部13は、定格電圧が66kV、径が400sq、長さが3100mのケーブルを製造する場合の第3見積書を作成する。なお、見積書作成部13は、第3見積書に含まれている、現在顧客が利用中のケーブルが故障したときに応急復旧するためのケーブルを他のケーブルに接続する際に用いる必要な設備(接続箱)を製造する場合の第4見積書も作成する構成でもよい。
【0084】
これまで顧客側7は、突然ケーブルが破損した場合、まず、応急復旧のためのケーブルにより部分交換工事を行っていたため、第1見積書に記載のコストがかかり、また、後日、応急復旧したケーブル全体を交換する工事(全体敷設工事)を行っていたため、第2見積書に記載のコストがかかっていた。よって、顧客側7は、第3見積書を採用することにより、大幅なコスト削減を図ることが可能になる。さらに、第3見積書によれば、現在顧客が利用中のケーブルが故障したときに応急復旧するためのケーブルも含まれているため、使用中の他のケーブルが故障したときにもすぐに応急復旧することができ、早期の復旧が行える利点もある。
【0085】
また、見積書作成部13は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0086】
(見積書作成方法)
つぎに、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制するための見積書作成方法について説明する。図8は、見積書作成方法の手順を示すフローチャートである。
【0087】
ステップST1において、受付部11は、顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける(受付工程)。
【0088】
ステップST2において、処理部12は、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(処理工程)。
【0089】
ステップST3において、見積書作成部13は、処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する(見積書作成工程)。
【0090】
このようにして、見積書作成方法は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成方法を実施する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0091】
見積書作成工程は、処理工程により特定された設備の組み合わせを、それぞれ製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。例えば、見積書作成工程は、製造する場合のコストとともに、製造にかかる二酸化炭素の排出量などを見積書に含める。
【0092】
このような構成によれば、顧客は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0093】
ステップST2の処理工程は、以下の工程を有していてもよい。
【0094】
ステップST21において、検索部21は、記憶部31に記憶されている顧客に販売したケーブルに関する情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する(検索工程)。
【0095】
ステップST22において、特定部22は、検索工程で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(特定工程)。
【0096】
見積書作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0097】
このような構成によれば、見積書作成方法は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成方法を実施する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0098】
また、ステップST22の特定工程において、特定部22は、検索工程で検索された結果に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補が複数あった場合、顧客から見積依頼されたケーブルにすべての候補のケーブルを延長分として加えたものを製造するケーブルとして特定する。
【0099】
例えば、顧客から見積依頼されたケーブルが200sqの500mであり、同時に製造することが可能なケーブル(200sq)が3本(例えば、50mが1本、100mが1本、200mが1本)あった場合、特定部22は、500mと、50mと、100mと、200mとを合計した850mのケーブルを製造することを特定する。
【0100】
500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとをそれぞれ別個に製造する場合には、4回に分けて製造装置を稼働する必要があるが、850mのケーブルを一回で製造し、その後、500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとに切り分ける方が、コスト削減の利点もあり、また、ケーブルの製造に要する資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制することができ、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0101】
また、ステップST2の処理工程は、下記の工程を有していてもよい。
【0102】
ステップST21aにおいて、第1検索部21aは、第1記憶部31aに記憶されている情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する(第1検索工程)。
【0103】
見積依頼に含まれているケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの定格電圧および太さなどである。顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補は、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点があるものである。
【0104】
ステップST22aにおいて、第1特定部22aは、第1検索工程で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(第1特定工程)。
【0105】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0106】
見積書作成工程は、設備を製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。
【0107】
このような構成によれば、見積書作成方法は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成方法を実施する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0108】
また、見積依頼が仕様の異なる複数のケーブルを準備するための依頼である場合、ステップST2の処理工程は、下記の工程を有していてもよい。
【0109】
ステップST12bにおいて、第2処理部12bは、仕様(例えば、定格電圧、径、構成など)の異なる複数のケーブルの中から破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルの長さと、割り入れ工事または迂回工事の対象となる第2ケーブルの長さとを特定する。
【0110】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼された仕様の異なる複数のケーブルの全てを製造する場合の第1見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルを製造する場合の第2見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0111】
顧客側7は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を受け取り、製造会社側からの説明を聞いて、どの見積書で発注を行うのかを判断する。第2見積書および第3見積書によれば、長期的視点で見て、突然の事故などによりケーブルが損傷した場合でも、第2ケーブルによりすぐに部分交換工事を行うことができ、リスク低減の効果もある。
【0112】
また、見積書作成工程は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0113】
このようにして、見積書作成方法は、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。見積書作成方法を実施する製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0114】
また、見積作成工程において、見積書作成部13は、第2ケーブルの長さのケーブル(定格電圧が77kV、径が400sq、長さが100m)のみを製造する場合の第4見積書を作成する構成でもよい。
【0115】
顧客側7は、自身が見積依頼を行った第1見積書と共に、第2見積書、第3見積書および第4見積書を受け取るので、選択の幅が広がり、様々な観点からケーブルを保守する計画を練ることできる。
【0116】
また、見積依頼が、短尺の応急復旧用のケーブルに交換する依頼である場合、ステップST2の処理工程は、下記の工程を有していてもよい。
【0117】
ステップST21cにおいて、第2検索部21cは、第2記憶部31cに記憶されている保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を参照し、見積依頼に含まれている応急復旧用のケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルに対応するケーブルを検索する(第2検索工程)。
【0118】
ステップST22cにおいて、第2特定部22cは、第2検索工程で検索された結果に基づいて、製造するケーブルの組み合わせを特定する(第2特定工程)。
【0119】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼された短尺の応急復旧用のケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルではなく、当該ケーブルの全長に対応する長尺のケーブルを製造する場合の第2見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルと、長尺のケーブルを同時に製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0120】
また、見積書作成工程は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0121】
これまで顧客側7は、突然ケーブルが破損した場合、まず、応急復旧のためのケーブルにより部分交換工事を行っていたため、第1見積書に記載のコストがかかり、また、後日、応急復旧したケーブル全体を交換する工事(全体敷設工事)を行っていたため、第2見積書に記載のコストがかかっていた。よって、顧客側7は、第3見積書を採用することにより、大幅なコスト削減を図ることが可能になる。さらに、第3見積書によれば、現在顧客が利用中のケーブルが故障したときに応急復旧するためのケーブルも含まれているため、使用中の他のケーブルが故障したときにもすぐに応急復旧することができ、早期の復旧が行える利点もある。
【0122】
(プログラムについて)
つぎに、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制するためのプログラムについて説明する。プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
【0123】
工程1:顧客からケーブルの見積依頼を受け付ける(受付工程)。
工程2:見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(処理工程)。
工程3:処理工程により特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する(見積書作成工程)。
【0124】
当該プログラムを実行することにより、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。当該プログラムを実行することにより、製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0125】
見積書作成工程は、処理工程により特定された設備の組み合わせを、それぞれ製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。例えば、見積書作成工程は、製造する場合のコストとともに、製造にかかる二酸化炭素の排出量などを見積書に含める。
【0126】
このような構成によれば、顧客は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0127】
工程2(処理工程)は、以下の工程を有していてもよい。
工程21:記憶部31に記憶されている顧客に販売したケーブルに関する情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する(検索工程)。
工程22:検索工程で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(特定工程)。
【0128】
見積書作成工程において、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0129】
当該プログラムを実行することにより、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。当該プログラムを実行することにより、製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0130】
また、工程22(特定工程)において、特定部22は、検索工程で検索された結果に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補が複数あった場合、顧客から見積依頼されたケーブルにすべての候補のケーブルを延長分として加えたものを製造するケーブルとして特定する。
【0131】
例えば、顧客から見積依頼されたケーブルが200sqの500mであり、同時に製造することが可能なケーブル(200sq)が3本(例えば、50mが1本、100mが1本、200mが1本)あった場合、特定部22は、500mと、50mと、100mと、200mとを合計した850mのケーブルを製造することを特定する。
【0132】
500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとをそれぞれ別個に製造する場合には、4回に分けて製造装置を稼働する必要があるが、850mのケーブルを一回で製造し、その後、500mのケーブルと、50mのケーブルと、100mのケーブルと、200mのケーブルとに切り分ける方が、コスト削減の利点もあり、また、ケーブルの製造に要する資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制することができ、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0133】
また、工程2(処理工程)は、下記の工程を有していてもよい。
工程21a:第1記憶部31aに記憶されている情報を参照し、見積依頼に含まれているケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補を検索する(第1検索工程)。
【0134】
見積依頼に含まれているケーブルに関する情報とは、例えば、ケーブルの定格電圧および太さなどである。顧客から見積依頼されたケーブルと同時に製造することが可能なケーブルの候補は、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点があるものである。
【0135】
工程22a:第1検索工程で検索された結果に基づいて、製造する設備の組み合わせを特定する(第1特定工程)。
【0136】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼されたケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルを製造する場合の第2見積書と、顧客から見積依頼されたケーブルに同時に製造するケーブルを延長分として加えたケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0137】
見積書作成工程は、設備を製造する場合のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。
【0138】
当該プログラムを実行することにより、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。当該プログラムを実行することにより、製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0139】
また、見積依頼が仕様の異なる複数のケーブルを準備するための依頼である場合、工程2(処理工程)は、下記の工程を有していてもよい。
【0140】
工程12b:仕様(例えば、定格電圧、径、構成など)の異なる複数のケーブルの中から破損前の未然工事の対象となる第1ケーブルの長さと、割り入れ工事または迂回工事の対象となる第2ケーブルの長さとを特定する。
【0141】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼された仕様の異なる複数のケーブルの全てを製造する場合の第1見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルを製造する場合の第2見積書と、第1ケーブルの長さと、第2ケーブルの長さを合計した長さのケーブルと、必要な設備を製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0142】
顧客側7は、第1見積書、第2見積書および第3見積書を受け取り、製造会社側からの説明を聞いて、どの見積書で発注を行うのかを判断する。第2見積書および第3見積書によれば、長期的視点で見て、突然の事故などによりケーブルが損傷した場合でも、第2ケーブルによりすぐに部分交換工事を行うことができ、リスク低減の効果もある。
【0143】
また、見積書作成工程は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0144】
当該プログラムを実行することにより、顧客側7からケーブルの見積依頼がされたときに、顧客側7から見積依頼されたケーブルを製造するために要する費用の概算などが含まれた見積書と、一緒に、顧客側7から見積依頼されたケーブルと同時期に製造する設備の組み合わせを特定し、特定された製造する設備の組み合わせをそれぞれ製造する場合の見積書を複数作成する。当該プログラムを実行することにより、製造会社は、設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。また、顧客側7は、自身の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。
【0145】
また、見積作成工程において、第2ケーブルの長さのケーブル(定格電圧が77kV、径が400sq、長さが100m)のみを製造する場合の第4見積書を作成する構成でもよい。
【0146】
顧客側7は、自身が見積依頼を行った第1見積書と共に、第2見積書、第3見積書および第4見積書を受け取るので、選択の幅が広がり、様々な観点からケーブルを保守する計画を練ることできる。
【0147】
また、見積依頼が、短尺の応急復旧用のケーブルに交換する依頼である場合、工程2(処理工程)は、下記の工程を有していてもよい。
工程21c:第2記憶部31cに記憶されている保有するケーブルと販売したケーブルに関する情報を管理する情報を参照し、見積依頼に含まれている応急復旧用のケーブルに関する情報に基づいて、顧客から見積依頼されたケーブルに対応するケーブルを検索する(第2検索工程)。
工程22c:第2検索工程で検索された結果に基づいて、製造するケーブルの組み合わせを特定する(第2特定工程)。
【0148】
上記構成の場合、見積作成工程において、見積書作成部13は、顧客から見積依頼された短尺の応急復旧用のケーブルのみを製造する場合の第1見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルではなく、当該ケーブルの全長に対応する長尺のケーブルを製造する場合の第2見積書と、短尺の応急復旧用のケーブルと、長尺のケーブルを同時に製造する場合の第3見積書と、を作成する。
【0149】
また、見積書作成工程は、ケーブルを製造する際のコスト(費用)だけでなく、製造時に必要な資源や排出される廃棄物、資源、エネルギーを定量化し、この定量化した情報を見積書に含ませてもよい。顧客側7は、製造時のコストだけでなく、製造時に排出される廃棄物、資源、エネルギー(例えば、二酸化炭素の削減量など)が定量化された情報が見積書に含まれているので、製造する設備の組み合わせの選択肢を定量的に比較し、地球環境の観点も取り入れて、どの見積書を採用するのかを判断することができる。
【0150】
これまで顧客側7は、突然ケーブルが破損した場合、まず、応急復旧のためのケーブルにより部分交換工事を行っていたため、第1見積書に記載のコストがかかり、また、後日、応急復旧したケーブル全体を交換する工事(全体敷設工事)を行っていたため、第2見積書に記載のコストがかかっていた。よって、顧客側7は、第3見積書を採用することにより、大幅なコスト削減を図ることが可能になる。さらに、第3見積書によれば、現在顧客が利用中のケーブルが故障したときに応急復旧するためのケーブルも含まれているため、使用中の他のケーブルが故障したときにもすぐに応急復旧することができ、早期の復旧が行える利点もある。
【0151】
ここで、コンピュータ500の構成と動作について図を用いて説明する。図9は、コンピュータ500の構成を示す図である。コンピュータ500は、図9に示すように、プロセッサ501と、メモリ502と、ストレージ503と、入出力I/F504と、通信I/F505とがバスA上に接続されて構成されており、これらの各構成要素の協働により、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現する。
【0152】
入出力I/F504には、ディスプレイやポインティングデバイス(例えば、マウスやキーボードなど)が接続される。通信I/Fは、所定の通信規格に準拠したインターフェイスであり、有線または無線によりネットワークNWを介して、装置(例えば、顧客側7の端末装置)と通信を行う。通信I/Fは、受付部11に相当する。
【0153】
メモリ502は、RAM(Random Access Memory)で構成される。RAMは、揮発メモリまたは不揮発性メモリで構成されている。
【0154】
ストレージ503は、不揮発性メモリなどで構成されており、例えば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)により実現される。ストレージ503は、記憶部31、第1記憶部31a、第2記憶部31cに相当する。ストレージ503には、上述した各工程などで実現されるプログラムなどの各種のプログラムが格納されている。
【0155】
プロセッサ501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。プロセッサ501は、ストレージ503からオペレーティングシステムや多様な機能を実現する様々なプログラムをメモリ502にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。
【0156】
具体的には、プロセッサ501は、ユーザの操作を受け付けた場合、ストレージ503に格納されているプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502に展開し、プログラムを実行する。また、プロセッサ501が管理プログラムを実行することにより、処理部12、第1処理部12a、第2処理部12b、見積書作成部13、検索部21、第1検索部21a、第2検索部21c、特定部22、第1特定部22a、第2特定部22cなどの各機能が実現される。
【0157】
ここで、プロセッサ501の構成について説明する。プロセッサ501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、これら以外の各種演算装置、またはこれらの組み合わせにより実現される。
【0158】
また、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現するために、プロセッサ501、メモリ502およびストレージ503などの機能の一部または全部は、専用のハードウェアである処理回路601で構成されてもよい。図10は、コンピュータ600の処理回路601の構成を示す図である。処理回路601は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。
【0159】
また、プロセッサ501は、単一の構成要素として説明したが、これに限られず、複数の物理的に別体のプロセッサの集合により構成されてもよい。本明細書において、プロセッサ501によって実行されるとして説明されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、単一のプロセッサ501で実行されてもよいし、複数のプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ501によって実行されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想プロセッサにより実行されてもよい。
【0160】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0161】
1,2,3,4 見積書作成装置
7 顧客側
11 受付部
12 処理部
12a 第1処理部
12b 第2処理部
13 見積書作成部
21 検索部
21a 第1検索部
21c 第2検索部
22 特定部
22a 第1特定部
22c 第2特定部
31 記憶部
31a 第1記憶部
31c 第2記憶部
100,101,102,103 見積作成システム
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10