(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106968
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/07 20060101AFI20240801BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240801BHJP
H10N 52/80 20230101ALI20240801BHJP
H10N 59/00 20230101ALI20240801BHJP
H10N 52/00 20230101ALI20240801BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G01R33/07
G01R33/02 U
H10N52/80 Z
H10N59/00
H10N52/00 U
H01L23/50 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215463
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2023011395
(32)【優先日】2023-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 健司
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 雅樹
【テーマコード(参考)】
2G017
5F067
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AB07
2G017AC06
2G017AD53
5F067AB02
5F067BD05
5F067BE06
5F092AA03
5F092AA20
5F092AB01
5F092AC02
5F092BA12
5F092BA15
5F092BA37
5F092FA01
5F092FA02
5F092FA05
(57)【要約】
【解決手段】磁気センサは、ダイパッドと、ダイパッドの第1面側に設けられる第1磁電変換部と、第2磁電変換部と、第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部とを備える。ダイパッドは、第5フレーム部及び第6フレーム部を含む第1フレーム部、第7フレーム部及び第8フレーム部を含む第2フレーム部、第3フレーム部、第4フレーム部、連結部を含む。第3フレーム部、第5フレーム部、及び第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から連結部、第3フレーム部、第5フレーム部、及び第7フレーム部で取り囲まれる第1空隙部に達する第1ギャップを有し、第4フレーム部、第6フレーム部、及び第8フレーム部の少なくとも1つは、外縁から連結部、第4フレーム部、第6フレーム部、及び第8フレーム部で取り囲まれる第2空隙部に達する第2ギャップを有する。
【選択図】
図15A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドと、
前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部と、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部と、前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部と
を備え、
前記ダイパッドは、
第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、
前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、
前記第2方向に沿って延び、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、前記連結部を挟んで対向して配置される第3フレーム部及び第4フレーム部と
を含み、
前記第1磁電変換部と前記第2磁電変換部とは、平面視で、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部との間に、前記連結部を挟んで前記第1方向において対向して配置され、
前記第1フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第5フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第6フレーム部とを含み、
前記第2フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第7フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第8フレーム部とを含み、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第1空隙部に達する第1ギャップを有し、
前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、及び前記第8フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、及び前記第8フレーム部で取り囲まれる第2空隙部に達する第2ギャップを有する、磁気センサ。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、及び前記連結部に支持される、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第3フレーム部が、前記第1方向に延びる前記第1ギャップを有し、
前記第4フレーム部が、前記第1方向に延びる前記第2ギャップを有する、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第5フレーム部及び前記第7フレーム部の一方が、前記第2方向に延びる前記第1ギャップを有し、
前記第6フレーム部及び前記第8フレーム部の一方が、前記第2方向に延びる前記第2ギャップを有する、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記ダイパッドは、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、または前記連結部から、前記第1空隙部内に延びる第1延長部をさらに含み、
前記第1磁電変換部は、前記第1延長部の端部の前記第1面側に配置される、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記第1延長部は、前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間する、請求項5に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第1延長部は、前記第5フレーム部から前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第7フレーム部と離間する、あるいは前記第7フレーム部から前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第5フレーム部と離間する、請求項5に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有する、請求項5に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有して、
前記第1スリットは、前記第1方向に沿って延びる、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有して、
前記第1スリットは、前記第2方向に沿って延びる、請求項7に記載の磁気センサ。
【請求項11】
第1磁電変換素子を備え、
前記第1磁電変換素子が前記第1磁電変換部を有し、
前記第1磁電変換素子の前記第1磁電変換部の周囲部分の少なくとも一部は、前記ダイパッドの前記第1スリットの外側部分で支持される、請求項8に記載の磁気センサ。
【請求項12】
前記ダイパッドは、
前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に延びる第2延長部をさらに含み、
前記第2磁電変換部は、前記第2延長部の端部の前記第1面側に配置される、請求項11に記載の磁気センサ。
【請求項13】
前記第2延長部は、前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間する、請求項12に記載の磁気センサ。
【請求項14】
前記第2延長部は、前記第6フレーム部から前記第8フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第8フレーム部と離間する、あるいは前記第8フレーム部から前記第6フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第6フレーム部と離間する、請求項12に記載の磁気センサ。
【請求項15】
前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有する、請求項12に記載の磁気センサ。
【請求項16】
前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有して、
前記第2スリットは、前記第1方向に沿って延びる、請求項13に記載の磁気センサ。
【請求項17】
前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有して、
前記第2スリットは、前記第2方向に沿って延びる、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項18】
第2磁電変換素子を備え、
前記第2磁電変換素子が前記第2磁電変換部を有し、
前記第2磁電変換素子の前記第2磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第2スリットの外側部分で支持される、請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項19】
信号処理ICを備え、
前記信号処理ICが前記信号処理部を有し、
前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置される、請求項18に記載の磁気センサ。
【請求項20】
前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子である、請求項19に記載の磁気センサ。
【請求項21】
前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備える、請求項19に記載の磁気センサ。
【請求項22】
前記ダイパッドは、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、または前記連結部から、前記第1空隙部内に平面視で前記第1延長部と重ならないように延びる第3延長部をさらに含む、請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項23】
前記ダイパッドは、
前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、さらに前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って、前記第1延長部と前記連結部との間まで延びる第3延長部をさらに含み、
前記第3延長部は、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、前記第1延長部、及び前記連結部と離間する、請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項24】
前記ダイパッドは、
前記第5フレーム部または前記第7フレーム部から前記第7フレーム部または前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、さらに前記第3フレーム部に向かって前記第1方向に沿って延びる第3延長部をさらに含み、
前記第3延長部は、前記第7フレーム部または前記第5フレーム部、前記第1延長部、及び前記連結部と離間する、請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項25】
前記ダイパッドは、
前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に平面視で前記第2延長部と重ならないように延びる第4延長部をさらに含む、請求項22に記載の磁気センサ。
【請求項26】
前記ダイパッドは、
前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、さらに前記第8フレーム部に向かって前記第2方向に沿って、前記第2延長部と前記連結部との間まで延びる第4延長部をさらに含み、
前記第4延長部は、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、前記第2延長部、及び前記連結部と離間する、請求項23に記載の磁気センサ。
【請求項27】
前記ダイパッドは、
前記第6フレーム部または前記第8フレーム部から前記第8フレーム部または前記第6フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、さらに前記第4フレーム部に向かって前記第1方向に沿って延びる第4延長部をさらに含み、
前記第4延長部は、前記第8フレーム部または前記第6フレーム部、前記第2延長部、及び前記連結部と離間する、請求項24に記載の磁気センサ。
【請求項28】
ダイパッドと、
前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部を有する第1磁電変換素子と、
前記ダイパッドの前記第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部を有する第2磁電変換素子と、
前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部と
を備え、
前記ダイパッドは、
前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットと、
前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットとを有し、
前記第1磁電変換素子の前記第1磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第1スリットの外側部分に支持され、
前記第2磁電変換素子の前記第2磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第2スリットの外側部分に支持される、磁気センサ。
【請求項29】
前記ダイパッドは、
第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、
前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、
前記第2方向に沿って延び、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、前記連結部を挟んで対向して配置される第3フレーム部及び第4フレーム部と
を含み、
前記第1フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第5フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第6フレーム部とを含み、
前記第2フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第7フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第8フレーム部とを含み、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第1空隙部に達する第1ギャップを有し、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第2空隙部に達する第2ギャップを有し、
前記ダイパッドは、さらに、
前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、または前記連結部から、前記第1空隙部内に延びる第1延長部と、
前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に延びる第2延長部と
を含み、
前記第1延長部が、前記第1スリットを有し、
前記第1磁電変換部は、前記第1延長部の端部の前記第1面に対向して配置され、
前記第2延長部が、前記第2スリットを有し、
前記第2磁電変換部は、前記第2延長部の端部の前記第1面に対向して配置される、請求項28に記載の磁気センサ。
【請求項30】
前記第1延長部は、前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間し、
前記第2延長部は、前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間する、請求項29に記載の磁気センサ。
【請求項31】
前記第1延長部は、前記第5フレーム部から前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第7フレーム部と離間する、あるいは前記第7フレーム部から前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第5フレーム部と離間する、請求項29に記載の磁気センサ。
【請求項32】
前記第1磁電変換部と前記第2磁電変換部とは、平面視で、前記第1方向において前記連結部を挟んで対向して配置される、請求項29に記載の磁気センサ。
【請求項33】
信号処理ICを備え、
前記信号処理ICが前記信号処理部を有し、
前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置される、請求項28に記載の磁気センサ。
【請求項34】
前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子である、請求項33に記載の磁気センサ。
【請求項35】
前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備える、請求項33に記載の磁気センサ。
【請求項36】
ダイパッドと、
前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部と、
前記ダイパッドの前記第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部と、
前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部と
を備え、
前記ダイパッドは、
第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、
前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、互いに前記第1方向において離間する第3フレーム部及び第4フレーム部と
を含み、
前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、前記第3フレーム部、及び前記第4フレーム部の何れか1つは、外縁から、前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、前記第3フレーム部、及び前記第4フレーム部により取り囲まれる空隙内に達するギャップを有し、
前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部は、前記空隙内に、前記第1方向において対向して配置される、磁気センサ。
【請求項37】
信号処理ICを備え、
前記信号処理ICが前記信号処理部を有し、
前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置される、請求項36に記載の磁気センサ。
【請求項38】
第1磁電変換素子及び第2磁電変換素子を備え
前記第1磁電変換素子が前記第1磁電変換部を有し、
前記第2磁電変換素子が前記第2磁電変換部を有する、請求項37に記載の磁気センサ。
【請求項39】
前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子である、請求項38に記載の磁気センサ。
【請求項40】
前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備える、請求項38に記載の磁気センサ。
【請求項41】
前記ダイパッドを挟んで対向する第1リード端子及び第2リード端子をさらに備え、
前記ダイパッドは、前記第1リード端子及び前記第2リード端子とともにリードフレームで構成される、請求項1から40の何れか1つに記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-6には、信号処理IC及び磁電変換部を支持する導電性の支持部を備え、磁界の大きさを測定する磁気センサが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 米国特許第9812588号明細書
[特許文献2] 米国特許第9733280号明細書
[特許文献3] 米国特許第8629539号明細書
[特許文献4] 米国特許第11226382号明細書
[特許文献5] 米国特許第11340318号明細書
[特許文献6] 米国特許出願公開2019/0346515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁気センサが備える支持部の外周に生じる渦電流の影響を低減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る磁気センサは、ダイパッドと、前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部と、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部と、前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部とを備えてよい。前記ダイパッドは、第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、前記第2方向に沿って延び、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部とを含んでよい。前記ダイパッドは、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、前記連結部を挟んで対向して配置される第3フレーム部及び第4フレーム部とを含んでよい。前記第1磁電変換部と前記第2磁電変換部とは、平面視で、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部との間に、前記連結部を挟んで前記第1方向において対向して配置されてよい。前記第1フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第5フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第6フレーム部とを含んでよい。前記第2フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第7フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第8フレーム部とを含んでよい。前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第1空隙部に達する第1ギャップを有してよい。前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、及び前記第8フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、及び前記第8フレーム部で取り囲まれる第2空隙部に達する第2ギャップを有してよい。
【0005】
前記磁気センサにおいて、前記信号処理部は、前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、及び前記連結部に支持されてよい。
【0006】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第3フレーム部が、前記第1方向に延びる前記第1ギャップを有してよい。前記第4フレーム部が、前記第1方向に延びる前記第2ギャップを有してよい。
【0007】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第5フレーム部及び前記第7フレーム部の一方が、前記第2方向に延びる前記第1ギャップを有してよい。前記第6フレーム部及び前記第8フレーム部の一方が、前記第2方向に延びる前記第2ギャップを有してよい。
【0008】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、または前記連結部から、前記第1空隙部内に延びる第1延長部をさらに含んでよい。前記第1磁電変換部は、前記第1延長部の端部の前記第1面側に配置されてよい。
【0009】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部は、前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間する、請求項5に記載の磁気センサ。
【0010】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部は、前記第5フレーム部から前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第7フレーム部と離間してよい。あるいは前記第1延長部は、前記第7フレーム部から前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第5フレーム部と離間してよい。
【0011】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有してよい。
【0012】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有してよい。前記第1スリットは、前記第1方向に沿って延びてよい。
【0013】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部の前記端部は、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットを有してよい。前記第1スリットは、前記第2方向に沿って延びてよい。
【0014】
いずれかの前記磁気センサは、第1磁電変換素子を備えてよい。前記第1磁電変換素子が前記第1磁電変換部を有してよい。前記第1磁電変換素子の前記第1磁電変換部の周囲部分の少なくとも一部は、前記ダイパッドの前記第1スリットの外側部分で支持されてよい。
【0015】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に延びる第2延長部をさらに含んでよい。前記第2磁電変換部は、前記第2延長部の端部の前記第1面側に配置されてよい。
【0016】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第2延長部は、前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間してよい。
【0017】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第2延長部は、前記第6フレーム部から前記第8フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第8フレーム部と離間してよい。あるいは前記第2延長部は、前記第8フレーム部から前記第6フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第6フレーム部と離間してよい。
【0018】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有してよい。
【0019】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有してよい。前記第2スリットは、前記第1方向に沿って延びてよい。
【0020】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第2延長部の前記端部は、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットを有してよい。前記第2スリットは、前記第2方向に沿って延びてよい。
【0021】
いずれかの前記磁気センサは、第2磁電変換素子を備えてよい。前記第2磁電変換素子が前記第2磁電変換部を有してよい。前記第2磁電変換素子の前記第2磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第2スリットの外側部分で支持されてよい。
【0022】
いずれかの前記磁気センサは、信号処理ICを備えてよい。前記信号処理ICが前記信号処理部を有してよい。前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置されてよい。
【0023】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子でよい。
【0024】
いずれかの前記磁気センサは、前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備えてよい。
【0025】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、または前記連結部から、前記第1空隙部内に平面視で前記第1延長部と重ならないように延びる第3延長部をさらに含んでよい。
【0026】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、さらに前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って、前記第1延長部と前記連結部との間まで延びる第3延長部をさらに含んでよい。前記第3延長部は、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、前記第1延長部、及び前記連結部と離間してよい。
【0027】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第5フレーム部または前記第7フレーム部から前記第7フレーム部または前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、さらに前記第3フレーム部に向かって前記第1方向に沿って延びる第3延長部をさらに含んでよい。前記第3延長部は、前記第7フレーム部または前記第5フレーム部、前記第1延長部、及び前記連結部と離間してよい。
【0028】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に平面視で前記第2延長部と重ならないように延びる第4延長部をさらに含んでよい。
【0029】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、さらに前記第8フレーム部に向かって前記第2方向に沿って、前記第2延長部と前記連結部との間まで延びる第4延長部をさらに含んでよい。前記第4延長部は、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、前記第2延長部、及び前記連結部と離間してよい。
【0030】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、前記第6フレーム部または前記第8フレーム部から前記第8フレーム部または前記第6フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、さらに前記第4フレーム部に向かって前記第1方向に沿って延びる第4延長部をさらに含んでよい。前記第4延長部は、前記第8フレーム部または前記第6フレーム部、前記第2延長部、及び前記連結部と離間してよい。
【0031】
本発明の一態様に係る磁気センサは、ダイパッドと、前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部を有する第1磁電変換素子と、前記ダイパッドの前記第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部を有する第2磁電変換素子と、前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部とを備えてよい。前記ダイパッドは、前記第1磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリットと、前記第2磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリットとを有してよい。前記第1磁電変換素子の前記第1磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第1スリットの外側部分に支持されてよい。前記第2磁電変換素子の前記第2磁電変換部の周囲部分は、前記ダイパッドの前記第2スリットの外側部分に支持されてよい。
【0032】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記ダイパッドは、第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、前記第2方向に沿って延び、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部とを有してよい。前記ダイパッドは、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、前記連結部を挟んで対向して配置される第3フレーム部及び第4フレーム部とを含んでよい。前記第1フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第5フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第6フレーム部とを含んでよい。前記第2フレーム部は、前記連結部より前記第3フレーム部側の第7フレーム部と、前記連結部より前記第4フレーム部側の第8フレーム部とを含んでよい。前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第1空隙部に達する第1ギャップを有してよい。前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部の少なくとも1つは、外縁から前記連結部、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、及び前記第7フレーム部で取り囲まれる第2空隙部に達する第2ギャップを有してよい。前記ダイパッドは、さらに、前記第3フレーム部、前記第5フレーム部、前記第7フレーム部、前記連結部から、前記第1空隙部内に延びる第1延長部を含んでよい。前記ダイパッドは、前記第4フレーム部、前記第6フレーム部、前記第8フレーム部、または前記連結部から、前記第2空隙部内に延びる第2延長部をさらに含んでよい。前記第1延長部が、前記第1スリットを有してよい。前記第1磁電変換部は、前記第1延長部の端部の前記第1面に対向して配置されてよい。前記第2延長部が、前記第2スリットを有してよい。前記第2磁電変換部は、前記第2延長部の端部の前記第1面に対向して配置されてよい。
【0033】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部は、前記第3フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間してよい。前記第2延長部は、前記第4フレーム部から前記連結部に向かって前記第1方向に沿って延び、かつ前記連結部と離間してよい。
【0034】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1延長部は、前記第5フレーム部から前記第7フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第7フレーム部と離間してよい。あるいは前記第1延長部は、前記第7フレーム部から前記第5フレーム部に向かって前記第2方向に沿って延び、かつ前記第5フレーム部と離間してよい。
【0035】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1磁電変換部と前記第2磁電変換部とは、平面視で、前記第1方向において前記連結部を挟んで対向して配置されてよい。
【0036】
いずれかの前記磁気センサは、信号処理ICを備えてよい。前記信号処理ICが前記信号処理部を有してよい。前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置されてよい。
【0037】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子でよい。
【0038】
いずれかの前記磁気センサは、前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備えてよい。
【0039】
本発明の一態様に係る磁気センサは、ダイパッドと、前記ダイパッドの第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第1磁電変換部と、前記ダイパッドの前記第1面側に設けられる、磁界を検出して電気信号に変換する第2磁電変換部と、前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部から出力される信号を処理する信号処理部とを備えてよい。前記ダイパッドは、第1方向に沿って延びる第1フレーム部と、前記第1方向に沿って延び、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1フレーム部と対向し、かつ前記第1フレーム部と離間する第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に、前記第2方向に沿って延び、互いに前記第1方向において離間する第3フレーム部及び第4フレーム部とを含んでよい。前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、前記第3フレーム部、及び前記第4フレーム部の何れか1つは、外縁から、前記第1フレーム部、前記第2フレーム部、前記第3フレーム部、及び前記第4フレーム部により取り囲まれる空隙内に達するギャップを有してよい。前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部は、前記空隙内に、前記第1方向において対向して配置されてよい。
【0040】
いずれかの磁気センサは、信号処理ICを備えてよい。前記信号処理ICが前記信号処理部を有してよい。前記第1磁電変換部及び前記第2磁電変換部は、前記信号処理ICの前記ダイパッドと対向する面と反対の面側に配置されてよい。
【0041】
いずれかの前記磁気センサは、第1磁電変換素子及び第2磁電変換素子を備えてよい。前記第1磁電変換素子が前記第1磁電変換部を有してよい。前記第2磁電変換素子が前記第2磁電変換部を有してよい。
【0042】
いずれかの前記磁気センサにおいて、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子は、ホール素子でよい。
【0043】
いずれかの前記磁気センサは、前記信号処理IC、前記第1磁電変換素子及び前記第2磁電変換素子をモールド樹脂で封止する封止部をさらに備えてよい。
【0044】
いずれかの前記磁気センサは、前記ダイパッドを挟んで対向する第1リード端子及び第2リード端子をさらに備えてよい。前記ダイパッドは、前記第1リード端子及び前記第2リード端子とともにリードフレームで構成されてよい。
【0045】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】ギャップを有さないダイパッドを備える磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図2】
図1Aに示す磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図3】ダイパッドを構成する導電性平板に発生する渦電流と、渦電流により生成される磁界を説明する図である。
【
図4】外部入力磁束密度に対する磁電変換部に入力される磁束密度の周波数応答特性を簡易的に示した図である。
【
図5A】実施例1の磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図6】実施例1の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図7A】実施例1にギャップを設けない磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図8】
図7Aに示す磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9A】実施例2に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図10】実施例2の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図11A】実施例3に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図12】実施例3の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図13A】実施例4に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図14】実施例4の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図15A】実施例5に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図16】実施例5の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図17A】実施例6に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図18】実施例6の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【
図19A】実施例7に係る磁気センサの半導体パッケージ内部の構成の上面図である。
【
図20】実施例7の磁気センサのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0048】
磁気センサは、磁界の大きさを測定する様々な用途で使用されている。例えば、電気自動車は、モーターを制御するインバーター回路で、バスバーに流れる電流により生じる磁界を測定するために、磁気センサが用いられることがある。インバーター回路には、近年ON抵抗が低いSiCまたはGaNの高速トランジスターが用いられるため、磁気センサは、高い周波数の磁界に応答できるものが望まれている。
【0049】
磁気センサは、磁界を検出して電気信号に変換する磁電変換部を有する磁電変換素子と、信号処理回路を備えた信号処理ICとを備える。磁気センサは、磁電変換素子と、信号処理ICと、それらを支持する導電性平板の支持部であるダイパッドとをモールド樹脂で封止することで半導体パッケージとして提供される。磁気センサに高い周波数の磁界が入力されると、導電性平板に渦電流が発生して、周波数応答特性が損なわれることが知られている。
【0050】
例えば、特許文献1においては、磁電変換部を備えた信号処理ICと、信号処理ICとを支持する支持部と、複数のキャパシタとで構成された磁気センサが開示されている。特許文献1に記載された磁気センサは、ダイパッドが導電性のリードフレームで形成され、ダイパッドに複数のギャップが設けられることで、ギャップのないダイパッドの外周に生じる渦電流を消失させて、渦電流による周波数応答特性の低下を抑制させるものである。
【0051】
しかしながら、特許文献1においては、ダイパッドのギャップは、単純に渦電流の経路を絶てばよいという考え方のもとで、設けられただけである。したがって、磁気センサの周波数応答特性の改善は、限定的であり、より高い周波数までの改善は望めない。
【0052】
そこで、本実施形態に係る磁気センサでは、ダイパッドに発生する渦電流と、磁電変換部に入力される磁界との関係性を見い出し、最適な構成を提案して、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた小型の磁気センサを提供する。
【0053】
図1A及び
図1Bは、ギャップを有さないダイパッド60を備える磁気センサ100の半導体パッケージ内部の構成を示す図である。
図1Aは、半導体パッケージの内部の構成の上面図(z軸方向でみた平面視)であり、
図1Bは、
図1AのA-A線断面図である。磁気センサ100は、信号入出力用のリード端子11及び12、磁電変換素子21及び22、信号処理IC25、接着層31及び35、ワイヤ41、42、及び45、封止部51、及びダイパッド60を備える。
【0054】
座標は、
図1Aにおいて、紙面に対して平行で左から右の向きをx軸方向、紙面に対して平行で下から上の向きをy軸方向、紙面に対して垂直で奥から手前の向きをz軸方向と定義する。x軸及びy軸及びz軸の何れか1つの軸は、他の軸と直交する。x軸方向は、第1方向の一例であり、y軸方向は、第2方向の一例である。
【0055】
z軸方向正側の面に磁電変換部を有する2つの磁電変換素子21及び22が、z軸方向の磁界を検出して、信号処理IC25のz軸方向正側の面に設けられる信号処理回路が、磁界の大きさに応じた磁電変換素子の信号を増幅して、リード端子11から出力する。
【0056】
磁電変換素子21及び22は、平面視(z軸方向でみた平面視)で、長方形、或いは、正方形に切り出される。磁電変換素子21及び22は、シリコン、または化合物半導体で構成された基板と、基板上に設けられる磁電変換部とを有してよい。磁電変換部は、磁界を検出して電気信号に変換する部位である。基板の厚さは、z軸方向負側の面を研磨することで調整される。基板は、50μmから300μmの範囲の所望の厚さを有してよい。磁電変換素子21及び22は、z軸方向正側の向きに磁界が生じた時、正の電圧を出力する。磁電変換素子21及び22は、z軸方向の磁界を検出するので、ホール素子が適当である。
【0057】
信号処理IC25は、平面視で、長方形、或いは、正方形に切り出される。信号処理IC25は、ダイパッド60と対向する第1面と、第1面と反対で信号処理回路が形成される第2面とを有する。信号処理IC25は、シリコン基板、または、化合物半導体基板で形成され、z軸方向負側の面を研磨して、50μmから400μmの範囲の所望の厚さが選ばれる。信号処理IC25の信号処理回路は、磁電変換素子21及び22の磁界の大きさに応じた微小な出力信号を入力して、少なくとも入力信号を増幅する回路が備えられる。ここでは、信号処理IC25の信号処理回路は、磁電変換素子21及び22の出力信号を入力して、それぞれの出力信号の和を演算する。
【0058】
ワイヤ41及び42は、信号処理IC25に設けられた電極パッドと、磁電変換素子21及び22に設けられた電極パッドと、をそれぞれ電気的に接続する。ワイヤ45は、信号処理IC25に設けられる電極パッドと、リード端子11に設けられるボンディングパッドと、を電気的に接続する。また、ワイヤ41及び42、並びにワイヤ45は、Au、Ag、Cu、またはAlを主成分とする導電体材料で形成されてよい。
【0059】
ダイパッド60は、リード端子11及び12とともに、Cuを主成分とする導電体材料のリードフレームで構成されてよい。リードフレームは、50μmから400μmの範囲で所望の厚さが選ばれてよい。リード端子11は、信号処理IC25の信号処理回路に電源を供給したり、信号を入出力したりするためのリードである。リード端子12は、図ではワイヤの接続がないが、同様に、信号処理IC25の信号処理回路に電源を供給したり、信号を入出力したりするためのリードであってもよい。ダイパッド60は、信号処理IC25を搭載するランドである。
【0060】
ダイパッド60は、平面視で、信号処理IC25よりも広い矩形状の導電性平板で構成されて、信号処理IC25を支持する。ダイパッド60は、リード端子11及び12と一体的に構成される。ダイパッド60は、リード端子11及び12の一部のリードが延伸して、z軸方向負側に曲げられ、接続されている。ダイパッド60は、図には示していないが、組立工程を通して、成型される封止部51を支える吊りリードと一体的に構成されてもよい。
【0061】
磁電変換素子21は、接着層31を介して、信号処理IC25に接着され、磁電変換素子22は、同様に、接着層32(図示なし)を介して、信号処理IC25に接着される。また、信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60に接着される。接着層31及び32、並びに接着層35は、ダイアタッチフィルムでよい。
【0062】
接着層31及び32、並びに接着層35は、平面視で、磁電変換素子21及び22、信号処理IC25と同じサイズでよい。接着層31及び32、並びに接着層35は、非導電性の樹脂で構成されたダイアタッチフィルムでもよいし、導電性の樹脂で構成されたダイアタッチフィルムでもよい。非導電性の樹脂は、エポキシ系、または、シリコーン系の樹脂でよい。導電性の樹脂は、エポキシ系の樹脂にAgのフィラーを混合したものでよい。接着層31及び32、並びに接着層35は、1μmから50μmの範囲の所望の厚さを有する。接着層31及び32、並びに接着層35は、導電性、または非導電性で構成されたペーストでもよい。
【0063】
封止部51は、磁電変換素子21及び22、信号処理IC25、ダイパッド60、ワイヤ41及び42、ワイヤ45をモールド樹脂で封止する。モールド樹脂は、例えば、シリカが添加されたエポキシ系の熱硬化型樹脂で構成され、トランファーモールドで半導体パッケージに成形されてよい。半導体パッケージに成形されるので、小型の磁気センサ100を実現できる。
【0064】
ところが、磁気センサ100は、幅の広い導電性平板で構成されるダイパッド60を有するため、z軸方向の外部入力磁界の周波数が高い場合、ダイパッド60に渦電流が発生してしまう。磁電変換素子21及び22のそれぞれの磁電変換部は、検出すべきz軸方向の外部入力磁界の他に、渦電流により生成する磁界が加わって入力されるため、磁気センサ100の周波数応答特性が著しく低下してしまう。
【0065】
図2は、磁気センサ100のz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、
図1A及び
図1Bに示すダイパッド60は、x軸方向の長さが4.45mm、y軸方向の幅が2.57mm、z軸方向の厚さが0.125mmである。磁電変換素子21の磁電変換部の中心は、ダイパッド60のz軸方向正側の表面からの距離が0.27mm、ダイパッド60のx軸方向負側の側面からの距離が0.975mm、ダイパッド60のy軸方向負側の側面からの距離が0.955mmに位置する。ダイパッド60は、Cuで形成されてよく、導電率は59.5×10
6S/mでよい。z軸方向の外部入力磁界は、全周波数域で、振幅を一定とする。
【0066】
周波数応答特性は、z軸方向の外部入力磁界の周波数が10Hzのとき、磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界が0dB(=1)と規格化して、描かれている。磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の10kHz付近まで0dBを維持し、10kHz付近から減少を始めて、3dBダウンが66kHzであった。この場合、例えば、z軸方向の外部入力磁界が0mTから1mTに短時間で変化すると、磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界が1mTに到達する応答時間は、約5μsecとなる。磁気センサ100は、外部入力磁界が高速に変化する用途には向かないと言うことができる。ここでは、磁電変換素子22の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性の結果を示していないが、磁電変換素子21と同じである。
【0067】
図3は、ダイパッド60を構成する導電性平板140に発生する渦電流と、渦電流により生成される磁界を説明する図である。導電性平板140が、外部入力磁束密度110の磁場に置かれると、導電性平板140に渦電流120が発生する。さらに、渦電流120によりカウンター磁束密度130の磁界が発生する。
【0068】
座標は、
図3において、紙面に対して手前から奥の向きをx軸方向、紙面に対して左から右の向きをy軸方向、紙面に対して下から上の向きをz軸方向と定義する。x軸及びy軸及びz軸の何れか1つの軸は、他の軸と直交する。
【0069】
導電性平板140は、xy平面上に平たく配置しており、x軸方向の長さがl、y軸方向の幅がw、z軸方向の厚さがt
pである。外部入力磁束密度110は、周波数がfで、導電性平板140に対して、z軸負方向に一様に与えられる。外部入力磁束密度110は、以下の式で与えられる。
【数1】
【0070】
ここで、Binは、外部入力磁束密度110を示し、B0は、外部入力磁束密度110の振幅を示し、tは、時間を示す。
【0071】
このとき、導電性平板140には、外部入力磁束密度110の変化を妨げようとするカウンター磁束密度130を生成する渦電流120が発生する。渦電流120は、z軸方向からみて、導電性平板140の側面近傍に集中して流れる。渦電流120は、以下の式で与えられる。
【数2】
【0072】
ここで、Ieddyは、渦電流120を示す。Rは、渦電流120の流路の抵抗を示す。Φinは、外部入力磁束を示す。σは、導電性平板140の導電率を示す。渦電流120の流路の長さは、最大で導電性平板140の外周の長さで表せるので、2(l+w)とする。したがって、渦電流120の流路の抵抗Rは、2(l+w)/(σtp)と表す。
【0073】
導電性平板140の長さlが幅wよりも十分に大きければ、式(2)のw/lはほぼ0と見なすことができる。このとき、渦電流120は、式(2)より、以下の式で得られる。
【数3】
【0074】
式(3)より、渦電流120は、外部入力磁束密度110の振幅B0と周波数fが一定であると、導電率σが小さい、または、導電性平板140の幅wが狭い、あるいは、導電性平板140の厚さtpが薄ければ、小さくなることが分かる。また、渦電流120は、式(3)に導電性平板140の長さlの成分が現れないので、導電性平板140の長さがどんなに大きくても、変化しないことが分かる。
【0075】
磁電変換部151及び152は、磁界を検出して電気信号に変換する磁電変換素子の一部位を表し、ここでは磁電変換素子を図示しない。磁電変換部151及び152は、導電性平板140のz軸方向正側の表面に平行な面上にあって、磁電変換部151が導電性平板140の内側に、磁電変換部152が導電性平板140の外側にそれぞれ配置される。渦電流120により生成されるカウンター磁束密度130は、それぞれの位置で、渦電流120からの距離に応じて、渦電流120に比例した大きさで発生する。
図3をみても分かるように、磁電変換部151には、外部入力磁束密度のz軸負方向の成分と、カウンター磁束密度130のz軸正方向の成分とが入力されている。また、磁電変換部152には、外部入力磁束密度のz軸負方向の成分と、カウンター磁束密度130のz軸負方向の成分とが入力されている。磁電変換部151及び152は、それぞれに入力されるカウンター磁束密度130のz軸方向の成分が相反している。
【0076】
磁電変換部151に入力される磁束密度B
insideは、磁束密度の向きがz軸負方向を正にして、以下の式で与えられる。
【数4】
【0077】
ここで、Bcounterは、カウンター磁束密度130を示す。Kinsideは、渦電流120からの距離に応じた因子及び周波数成分を含んだ定数を示す。θは、位相を示す。
【0078】
式(4)より、磁電変換部151に入力される磁束密度Binsideは、外部入力磁束密度110に対して、位相がθ分遅れた応答をする。
【0079】
一方で、磁電変換部152に入力される磁束密度B
outsideは、以下の式で与えられる。
【数5】
【0080】
ここで、Koutsideは、渦電流120からの距離に応じた因子及び周波数成分を含んだ定数を示す。
【0081】
式(5)より、磁電変換部152に入力される磁束密度Boutsideは、外部入力磁束密度110に対して、位相がθ分進んだ応答をする。
【0082】
式(4)及び式(5)から、導電性平板140の内側に配置する磁電変換部151と、外側に配置する磁電変換部152は、外部入力磁束密度110に対して、位相がそれぞれ遅れと、進みとなることから、磁電変換部151及び152のそれぞれに入力される磁束密度の周波数応答特性は、異なる振る舞いをすることになる。
【0083】
ここで、磁電変換部151及び152のそれぞれに入力される磁束密度の周波数応答特性についてさらに説明する。先ず、磁電変換部151に入力される磁束密度B
insideは、式(2)のI
eddyを利用すると、以下の式で与えられる。
【数6】
【0084】
ここで、αは、渦電流120からの距離に応じた因子を含んだ定数を示す。γは、導電性平板140の寸法に係る因子を含んだ定数を示す。式(6)より、B
insideとB
inとの関係は、1階の微分方程式で表せるので、これをラプラス変換すると、以下の式が得られる。
【数7】
【0085】
式(7)より、磁電変換部151に入力される磁束密度Binsideは、外部入力磁束密度110に対して、1次遅れの周波数応答特性を示し、ポール周波数fpが1/(2πσwtpαγ)となる。
【0086】
次に、磁電変換部152に入力される磁束密度B
outsideは、式(2)のI
eddyを利用すると、以下の式で与えられる。
【数8】
【0087】
ここで、βは、渦電流120からの距離に応じた因子を含んだ定数を示す。
【0088】
式(8)より、B
outsideとB
inとの関係は、1階の微分方程式で表せるので、これをラプラス変換すると、以下の式が得られる。
【数9】
【0089】
式(9)より、磁電変換部152に入力される磁束密度Boutsideは、外部入力磁束密度110に対して、1次進みの周波数応答特性を示し、ゼロ周波数fzが1/(2πσwtpβγ)となる。
【0090】
図4は、外部入力磁束密度110に対する磁電変換部151及び152に入力される磁束密度の周波数応答特性を簡易的に示した図である。周波数応答特性は、全周波数域で振幅を一定とした外部入力磁束密度で規格化して、描かれている。特性曲線201及び202は、それぞれ磁電変換部151及び152に入力される磁束密度の周波数応答特性の曲線である。
【0091】
特性曲線201は、外部入力磁束密度110がポール周波数fpより低い周波数の場合、磁電変換部151に入力される磁束密度が0dBで、外部入力磁束密度110がポール周波数fpより高い周波数の場合、磁電変換部151に入力される磁束密度が1/fで減少する。一方で、特性曲線202は、外部入力磁束密度110がゼロ周波数fzより低い周波数の場合、磁電変換部152に入力される磁束密度が0dBで、外部入力磁束密度110がゼロ周波数fzより高い周波数の場合、磁電変換部152に入力される磁束密度がfで増加する。
【0092】
即ち、平面視で、導電性平板140と重なるように配置される磁電変換部151に入力される磁束密度は、外部入力磁束密度110がポール周波数fpを越える周波数で、減少する。また、平面視で、導電性平板140と重ならないように配置される磁電変換部152に入力される磁束密度は、外部入力磁束密度110がゼロ周波数fzを越える周波数で、増加する。
【0093】
以上のことから、ギャップを有さないダイパッド60を備える磁気センサ100は、磁電変換素子21の磁電変換部が、平面視で、幅の広いダイパッド60と重なるように配置されるため、磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界が、外部入力磁界の10kHz付近まで0dBを維持し、10kHz付近から減少を始めて、3dBダウンのポール周波数fpが66kHzとなった、と説明することができる。
【0094】
そこで、磁気センサ100が外部入力磁界に対して高速に応答するためには、周波数応答特性の帯域を広げる必要がある。ここまでに述べた発明者の見出した導電性平板に発生する渦電流と、磁電変換部に入力される磁界との関係性から、先ず、周波数応答特性における磁電変換部に入力される磁界の減少を抑制する最も効果的な方法によれば、磁電変換素子21の磁電変換部の中心が、平面視で、ダイパッド60と重ならないように配置されればよい。
【0095】
次に、磁電変換素子21の磁電変換部に入力される磁界が0dBである領域を広げるために、ゼロ周波数fzを上げればよい。ゼロ周波数fzを構成するパラメーターは、ダイパッド60を構成する導電性平板の伝導率σ、幅w、厚さtp、渦電流からの距離に応じた因子を含んだ定数β、導電性平板140の寸法に係る因子を含んだ定数γである。いずれのパラメーターとも小さくすれば、ゼロ周波数fzは高くなり、0dBである領域が広くなる。これらのパラメーターの内、ダイパッド60を構成する導電性平板の幅wが、最も設計しやすく、帯域改善の効果を得られやすいことから、幅wを小さくすることが望ましい。
【0096】
[実施例1]
図5A及び
図5Bは、本実施形態の実施例1に係る磁気センサ100Aの半導体パッケージ内部の構成を示す図である。
図5Aは、半導体パッケージ内部の構成の上面図(z軸方向でみた平面視)を示す。
図5Bは、
図5AのA-A線断面図である。図中符号は、
図1A及び
図1Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0097】
実施例1の磁気センサ100Aは、ダイパッド60を構成する導電性平板の形状が、
図1A及び
図1Bに示す磁気センサ100と異なる。ダイパッド60は、x軸方向に沿って延びる第1フレーム部601と、x軸方向に沿って延び、x軸方向と交差するy軸方向において第1フレーム部601と対向し、かつ第1フレーム部601と離間する第2フレーム部602と、第1フレーム部601と第2フレーム部602との間に、y軸方向に沿って延びる第3フレーム部603及び第4フレーム部604とを含む。第3フレーム部603は、第1フレーム部601の一端から第2フレーム部602に向かってy軸方向に沿って延びる第9フレーム部609と、第2フレーム部602の一端から第1フレーム部601に向かってy軸方向に沿って延び、第3フレーム部603とy軸方向において対向し、かつ第3フレーム部603と離間する第10フレーム部610とを含む。第4フレーム部604は、第1フレーム部601の他端から第2フレーム部602に向かってy軸方向に沿って延び、第2フレーム部602の他端に連結する。
【0098】
ダイパッド60は、平面視で、C字形状を有する。第9フレーム部609と第10フレーム部610との間には第1ギャップ76を有する。ダイパッド60は、平面視で、第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604により取り囲まれる空隙部71を有する。第1ギャップ76は、空隙部71と連通する。磁電変換素子21及び22は、空隙部71内に、x軸方向において互いに対向して配置される。空隙部71は、第1空隙部の一例である。
【0099】
信号処理IC25は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604で支持される。第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604は、それぞれ特定の幅以下の幅をもつが、同じ幅でなくてもよい。
【0100】
第1フレーム部601と第9フレーム部609、第2フレーム部602と第10フレーム部610、第1フレーム部601と第4フレーム部604、及び第2フレーム部602と第4フレーム部604は、それぞれ連結され、それぞれL字形状を成す。信号処理IC25は、その4つの角がダイパッド60の4つのL字形状部分で支持される。第9フレーム部609と第10フレーム部610とは、連結されず、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間には第1ギャップ76が設けられる。
【0101】
信号処理IC25は、接着層35を介して、第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604に接着される。信号処理IC25は、信号処理IC25の4つの角を含んだ外周付近の第1面が第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604に接着されるので、安定して固定される。第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604の特定の幅は、用途に応じて要求される帯域に対して、最低限に必要なゼロ周波数f
zが得られるように設定される。第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604は、
図5Aでは、平面視で、信号処理IC25の端面よりも外側の部分と、端面よりも内側の部分とが存在するが、信号処理IC25の端面よりも内側の部分だけに存在してもよい。
【0102】
空隙部71は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604で取り囲まれることで閉じないように、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間に第1ギャップ76が設けられる。
【0103】
第1ギャップ76は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、または第4フレーム部604の一部に設けられてもよい。第1ギャップ76は、複数設けられてもよいが、1つの空隙部71に対して、1つの第1ギャップ76を設けるのが望ましい。これにより、4つのL字形状を成すフレーム部が、連結して一体的に構成されるので、平坦性のレベルに差が生じることなく、信号処理IC25を安定に接着させることができる。
【0104】
図6は、磁気センサ100Aのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、
図5Aに示すダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604の幅は、0.5mmである。他の寸法及びパラメーターは、
図2と同じである。
【0105】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.5dB程度の増加に留まっている。従って、実施例1の磁気センサ100Aは、ギャップを有さないダイパッド60を備える磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善され、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。また、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、第9フレーム部609、第10フレーム部610、及び第4フレーム部604において適した幅を選ぶことにより、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた磁気センサを提供できる。
【0106】
図7A及び
図7Bは、実施例1に第1ギャップ76を設けない比較例の磁気センサ100Bの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図7Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図7Bは
図7AのA-A線断面図である。図中符号は、
図5A及び
図5Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0107】
比較例の磁気センサ100Bは、ダイパッド60の第9フレーム部609と第10フレーム部610とが連結されて構成される第3フレーム部603を有し、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間の第1ギャップ76が存在しない点で、実施例1の磁気センサ100Aと異なる。
【0108】
第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604は、全てが連結されて、リング状に形成される。空隙部71は、リング状に連結した第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604により閉じられるようにして設けられる。
【0109】
図8は、磁気センサ100Bのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。寸法及びパラメーターは、
図6と同じである。
【0110】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、
図1Aに示す磁気センサ100とほぼ同じ周波数応答特性となり、z軸方向の外部入力磁界の10kHz付近まで0dBを維持し、10kHz付近から減少を始めて、3dBダウンが94kHzであった。これは、磁気センサ100Bのダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、第4フレーム部604の外周付近に発生する渦電流が、リング状に沿って流れて、
図1Aに示す磁気センサ100のダイパッド60に発生する渦電流と同じようになるためである。よって、ダイパッド60の4つの角のL字形状の部分よりも内側に存在する空隙部71は、例えば、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間に第1ギャップ76を設けるなど、第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604の少なくとも1つにギャップを設けることにより閉じないように構成されることが重要である。
【0111】
[実施例2]
図9A及び
図9Bは、本実施形態の実施例2に係る磁気センサ100Cの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図9Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図9Bは
図9AのA-A線断面図である。図中符号は、
図5A及び
図5Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。実施例2の磁気センサ100Cは、ダイパッド60が、連結部600を有する点、第4フレーム部604が第11フレーム部611と第12フレーム部612とで構成される点、空隙部72が設けられる点、第11フレーム部611と第12フレーム部612との間に第2ギャップ77が設けられる点で、実施例1の磁気センサ100Aと異なる。
【0112】
ダイパッド60は、x軸方向に沿って延びる第1フレーム部601と、x軸方向に沿って延び、x軸方向と交差するy軸方向において第1フレーム部601と対向し、かつ第1フレーム部601と離間する第2フレーム部602と、y軸方向に沿って延び、第1フレーム部601と第2フレーム部602とを連結する連結部600とを含む。連結部600は、第1フレーム部601の中央部分と、第2フレーム部602の中央部分とに連結されてよい。第1フレーム部601、第2フレーム部602、及び連結部600とでH字形状を成してよい。磁電変換部を有する磁電変換素子21と磁電変換部を有する磁電変換素子22とはx軸方向において対向して配置される。連結部600は、平面視で、磁電変換素子21と磁電変換素子22との間に配置される。
【0113】
ダイパッド60は、第1フレーム部601と第2フレーム部602との間に、y軸方向に沿って延び、連結部600を挟んで対向して配置される第3フレーム部603及び第4フレーム部604を含む。第1フレーム部601は、連結部600より第3フレーム部603側の第5フレーム部605と、連結部600より第4フレーム部604側の第6フレーム部606とを含む。第2フレーム部602は、連結部600より第3フレーム部603側の第7フレーム部607と、連結部600より第4フレーム部604側の第8フレーム部608とを含む。第3フレーム部603は、外縁から連結部600、第3フレーム部603、第5フレーム部605、及び第7フレーム部607で取り囲まれる空隙部71に達する第1ギャップ76を有する。第4フレーム部604は、外縁から連結部600、第4フレーム部604、第6フレーム部606、及び第8フレーム部608で取り囲まれる空隙部72に達する第2ギャップ77を有する。第3フレーム部603は、第1フレーム部601の一端から第2フレーム部602に向かってy軸方向に沿って延びる第9フレーム部609と、第2フレーム部602の一端から第1フレーム部601に向かってy軸方向に沿って延び、第9フレーム部609とy軸方向において対向し、かつ第9フレーム部609と離間する第10フレーム部610とを含む。ダイパッド60は、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間に第1ギャップ76を有する。ダイパッド60は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第9フレーム部609、及び第10フレーム部610で取り囲まれ、第1ギャップ76と連通する空隙部71を有する。磁電変換素子21は、平面視で、空隙部71内に配置される。磁電変換素子21は、平面視で、第10フレーム部610と連結部600との間に配置される。
【0114】
第4フレーム部604は、第1フレーム部601の他端から第2フレーム部602に向かってy軸方向に沿って延びる第11フレーム部611と、第2フレーム部602の他端から第1フレーム部601に向かってy軸方向に沿って延び、第11フレーム部611とy軸方向において対向し、かつ第11フレーム部611と離間する第12フレーム部612とを含む。ダイパッド60は、第11フレーム部611と第12フレーム部612との間に第2ギャップ77を有する。ダイパッド60は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第11フレーム部611、及び第12フレーム部612で取り囲まれ、第2ギャップ77と連通する空隙部72を有する。磁電変換素子22は、平面視で空隙部72内に配置される。磁電変換素子22は、平面視で、第12フレーム部612と連結部600との間に配置される。空隙部72は、第2空隙部の一例である。
【0115】
信号処理IC25は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604に支持される。第1フレーム部601と第9フレーム部609、第2フレーム部602と第10フレーム部610、第1フレーム部601と第11フレーム部611、及び第2フレーム部602と第12フレーム部612は、それぞれ連結され、それぞれL字形状を成す。信号処理IC25は、その4つの角がダイパッド60の4つのL字形状部分で支持される。信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604に接着される。空隙部71は、L字形状を成す第1フレーム部601及び第9フレーム部609と、L字形状を成す第2フレーム部602と第10フレーム部610と、I字形状の連結部600とで閉じないように、第9フレーム部609と第10フレーム部610との間に第1ギャップ76が設けられる。また、空隙部72は、L字形状を成す第1フレーム部601及び第11フレーム部611と、L字形状を成す第2フレーム部602と第12フレーム部612と、I字形状の連結部600とで閉じないように、第11フレーム部611と第12フレーム部612との間に第2ギャップ77が設けられる。第1ギャップ76及び第2ギャップ77は、第1フレーム部601または第2フレーム部602に空隙部71または空隙部72と連通するように設けられてもよい。第1ギャップ76及び第2ギャップ77は、複数設けられてもよいが、1つの空隙部に対して、1つのギャップを設けるのが望ましい。こうすると、ダイパッド60の4つの角のL字形状の部分は、連結して一体的に構成されるので、平坦性のレベルに差が生じることなく、信号処理IC25を安定に接着させることができる。
【0116】
図10は、磁気センサ100Cのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、
図9A及び
図9Bに示すダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604の幅は、0.5mmである。他の寸法及びパラメーターは、
図6と同じである。
【0117】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.6dB程度の増加に留まっている。従って、実施例2の磁気センサ100Cは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。また、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604において適した幅を選ぶことにより、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた磁気センサを提供できる。
【0118】
[実施例3]
図11A及び
図11Bは、本実施形態の実施例3に係る磁気センサ100Dの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図11Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図11Bは
図11AのA-A線断面図である。図中符号は、
図9A及び
図9Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0119】
磁気センサ100Dのダイパッド60は、第3フレーム部603、及び第4フレーム部604を有さない点で、
図9Aに示す磁気センサ100Cと異なる。磁気センサ100Dのダイパッド60は、第1フレーム部601、第2フレーム部602、及び連結部600によりH字形状を成す。
【0120】
図12は、磁気センサ100Dのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。
【0121】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.4dB程度の増加に留まっている。従って、実施例3の磁気センサ100Cは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。また、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、及び連結部600において適した幅を選ぶことにより、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた磁気センサを提供できる。
【0122】
[実施例4]
図13A及び
図13Bは、本実施形態の実施例4に係る磁気センサ100Eの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図13Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図13Bは
図13AのA-A線断面図である。図中符号は、
図9A及び
図9Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0123】
磁気センサ100Eのダイパッド60は、第3フレーム部603から空隙部71内に延びる第1延長部621と、第4フレーム部604から空隙部72内に延びる第2延長部622とを含む点で、磁気センサ100Cのダイパッド60と異なる。第1延長部621は、第10フレーム部610の第9フレーム部609と対向する一端から連結部600に向かってx軸方向に沿って延び、かつ連結部600と離間する。さらに、第2延長部622は、第12フレーム部612の第11フレーム部611と対向する一端から連結部600に向かってx軸方向に沿って延び、かつ連結部600と離間する。
【0124】
磁電変換素子21は、第1延長部621の端部の信号処理IC25が配置される面側に配置される。第1延長部621の端部は、磁電変換素子21の磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第1スリット78を有する。第1スリット78は、x軸方向に沿って延びる。磁電変換素子21の磁電変換部の周囲部分の少なくとも一部は、ダイパッド60の第1スリット78の外側部分で支持される。第1延長部621は、第1フレーム部601などと同様に、特定の幅以下の幅を有する。
【0125】
磁電変換素子22は、第2延長部622の端部の信号処理IC25が配置される面側に配置される。第2延長部622の端部は、磁電変換素子22の磁電変換部に対向する位置まで少なくとも延びる第2スリット79を有する。第2スリット79は、x軸方向に沿って延びる。磁電変換素子22の磁電変換部の周囲部分の少なくとも一部は、ダイパッド60の第2スリット79の外側部分で支持される。第2延長部622は、第1フレーム部601などと同様に、特定の幅以下の幅を有する。
【0126】
ダイパッド60は、平面視で、L字形状を成す第5フレーム部605及び第9フレーム部609と、L字形状を成す第7フレーム部607と第10フレーム部610と、I字形状の連結部600と、L字形状を成す第6フレーム部606及び第11フレーム部611と、L字形状を成す第8フレーム部608及び第12フレーム部612と、第1延長部621と、第2延長部622とで、信号処理IC25を支持する。
【0127】
ダイパッド60は、外縁から連結部600、第3フレーム部603、第5フレーム部605、及び第7フレーム部607で取り囲まれる空隙部71まで達する第1ギャップ76を有する。空隙部71は、L字形状を成す第5フレーム部605及び第9フレーム部609と、L字形状を成す第7フレーム部607と第10フレーム部610と、I字形状の連結部600とで取り囲まれ、第1ギャップ76と連通する。ダイパッド60は、外縁から連結部600、第4フレーム部604、第6フレーム部606、及び第8フレーム部608で取り囲まれる空隙部72に達する第2ギャップ77を有する。空隙部72は、L字形状を成す第6フレーム部606及び第11フレーム部611と、L字形状を成す第8フレーム部608及び第12フレーム部612と、I字形状の連結部600とで取り囲まれ、第2ギャップ77と連通する。
【0128】
信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第9フレーム部609、第10フレーム部610、第11フレーム部611、第12フレーム部612、第1延長部621、及び第2延長部622に接着される。磁電変換素子21及び22の一部は、平面視で、第1延長部621及び第2延長部622と重なるように配置されるので、磁電変換素子21及び22のダイボンドするときに、信号処理IC25のダイパッド60に対向する第1面と反対側の第2面に接するように土台ができて、安定した組立が可能となる。
【0129】
空隙部71及び72は、実施例1の磁気センサ100A及び第2実施例の磁気センサ100Cの空隙部の矩形状とは異なり、多角形であるが、それぞれ1つの形状の空隙部を形成している。
【0130】
第1延長部621、及び第2延長部622は、実施例4においては、それぞれ第10フレーム部610、及び第12フレーム部612の一端に接続されるが、これに限定されない。第1延長部621は、第5フレーム部605の端辺、第7フレーム部607の端辺、第9フレーム部609の端辺、または連結部600の端辺から延びてもよい。同様に、第2延長部622は、第6フレーム部606の端辺、第8フレーム部608の端辺、第11フレーム部611の端辺、または連結部600の端辺から延びてもよい。
【0131】
第1スリット78は、実施例4においては、第1延長部621の端部で、磁電変換素子21の磁電変換部に対向する位置までx軸方向に延びるが、これに限定されない。また、第2スリット79は、実施例4においては、第2延長部622の端部で、磁電変換素子22の磁電変換部に対向する位置までx軸方向に延びるが、これに限定されない。第1スリット78、及び第2スリット79は、それぞれy軸方向に延びてもよい。
【0132】
図14は、磁気センサ100Eのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、
図11Aに示すダイパッド60の第1延長部621及び第2延長部622の幅は、第1スリット78及び第2スリット79がない部分が0.5mm、第1スリット78及び第2スリット79がある部分が0.2mmである。他の寸法及びパラメーターは、
図10と同じである。
【0133】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.3dB程度の増加に留まっている。従って、実施例4の磁気センサ100Eは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。また、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第9フレーム部609、第10フレーム部610、第11フレーム部611、第12フレーム部612、第1延長部621、及び第2延長部622において適した幅を選ぶことにより、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた磁気センサを提供できる。
【0134】
[実施例5]
図15A及び
図15Bは、本実施形態の実施例5に係る磁気センサ100Fの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図15Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図15Bは
図15AのA-A線断面図である。図中符号は、
図11A及び
図11Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。実施例5の磁気センサ100Fは、ダイパッド60が第3延長部623及び第4延長部624を有する点で、実施例4の磁気センサ100Eと異なる。
【0135】
第3延長部623は、第3フレーム部603から、空隙部71内に平面視で第1延長部621と重ならないように延びる。第3延長部623は、第9フレーム部609の第10フレーム部610と対向する一端から連結部600に向かってx軸方向に沿って延び、さらに第2フレーム部602に向かってy軸方向に沿って、第1延長部621と連結部600との間まで延びる。第3延長部623は、L字形状を成す。第3延長部623は、第5フレーム部605、第7フレーム部607、第1延長部621、及び連結部600と離間する。
【0136】
第4延長部624は、第4フレーム部604から、空隙部72内に平面視で第2延長部622と重ならないように延びる。第4延長部624は、第11フレーム部611の第12フレーム部612と対向する一端から連結部600に向かってx軸方向に沿って延び、さらに第8フレーム部608に向かってy軸方向に沿って、第2延長部622と連結部600との間まで延びる。第4延長部624は、L字形状を成す。第4延長部624は、第6フレーム部606、第8フレーム部608、第2延長部622、及び連結部600と離間する。第3延長部623及び第4延長部624は、空隙部71及び72のエリアを減らすようにダイパッド60の内側に延びる。
【0137】
ダイパッド60は、平面視で、L字形状を成す第5フレーム部605及び第9フレーム部609と、L字形状を成す第7フレーム部607及び第10フレーム部610と、I字形状の連結部600と、L字形状を成す第6フレーム部606及び第11フレーム部611と、L字形状を成す第8フレーム部608及び第12フレーム部612と、第1延長部621と、第2延長部622と、L字形状を成す第3延長部623と、L字形状を成す第4延長部624とで、信号処理IC25を支持する。
【0138】
信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第9フレーム部609、第10フレーム部610、第11フレーム部611、第12フレーム部612、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624のそれぞれに接着される。ダイパッド60が第3延長部623、及び第4延長部624を有することで、ダイパッド60の空隙部が減って、信号処理IC25とダイパッド60との接着領域が増えるので、信号処理IC25の土台が確保でき、より安定した組立が可能となる。
【0139】
空隙部71及び72は、同様に、実施例1の磁気センサ100A及び実施例2の磁気センサ100Cの空隙部の矩形状とは異なり、多角形であるが、それぞれ1つの形状の空隙部を形成している。
【0140】
第3延長部623、及び第4延長部624は、実施例5においては、それぞれ第9フレーム部609、及び第11フレーム部611の一端に接続されるが、これに限定されない。第3延長部623は、第10フレーム部610の端辺、第5フレーム部605の端辺、または連結部600の端辺から延びてもよい。同様に、第4延長部624は、第12フレーム部612の端辺、第6フレーム部606の端辺、または連結部600の端辺から延びてもよい。
【0141】
図16は、磁気センサ100Fのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、
図15Aに示すダイパッド60の第3延長部623及び第4延長部624の幅は、x軸方向に延伸する部分が0.4mm、y軸方向に延伸する部分が0.29mmである。他の寸法及びパラメーターは、
図14と同じである。
【0142】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.6dB程度の増加に留まっている。従って、実施例5の磁気センサ100Fは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。
【0143】
[実施例6]
図17A及び
図17Bは、本実施形態の実施例6に係る磁気センサ100Gの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図17Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図17Bは
図17AのA-A線断面図である。図中符号は、
図15A及び
図15Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。実施例6の磁気センサ100Gは、第1ギャップ76が、第3フレーム部603ではなく、第7フレーム部607に設けられ、第2ギャップ77が第4フレーム部604ではなく、第6フレーム部606に設けられている点で、実施例5の磁気センサ100Fと異なる。さらに、実施例6の磁気センサ100Gは、第1延長部621が、第7フレーム部607から第5フレーム部605に向かってy軸方向に沿って延びる点で、及び第2延長部622が、第8フレーム部608から第6フレーム部606に向かってy軸方向に沿って延びる点で、実施例5の磁気センサ100Fと異なる。
【0144】
第7フレーム部607は、第7フレーム部607の外縁から、y軸方向に延び、連結部600、第5フレーム部605、第3フレーム部603、及び第7フレーム部607で取り囲まれる空隙部71まで達する第1ギャップ76を有する。第6フレーム部606は、第6フレーム部606の外縁から、y軸方向に延び、連結部600、第8フレーム部608、第4フレーム部604、及び第6フレーム部606で取り囲まれる空隙部72まで達する第2ギャップ77を有する。
【0145】
第1延長部621は、第5フレーム部605及び第3延長部623と離間する。第2延長部622は、第6フレーム部606及び第4延長部624と離間する。第3延長部623は、第5フレーム部605、第7フレーム部607、第1延長部621、及び連結部600と離間する。第4延長部624は、第6フレーム部606、第8フレーム部608、第2延長部622、及び連結部600と離間する。第3延長部623及び第4延長部624は、空隙部71及び72のエリアを減らすようにダイパッド60の内側に延びる。
【0146】
ダイパッド60は、平面視で、S字形状を成す第7フレーム部607、第3フレーム部603、第5フレーム部605、連結部600、第8フレーム部608、第4フレーム部604、及び第6フレーム部606と、第1延長部621と、第2延長部622と、第3延長部623と、第4延長部624とで、信号処理IC25を支持する。
【0147】
信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60の第7フレーム部607、第3フレーム部603、第5フレーム部605、連結部600、第8フレーム部608、第4フレーム部604、第6フレーム部606、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624のそれぞれに接着される。こうして、信号処理IC25の土台が確保でき、より安定した組立が可能となる。
【0148】
図18は、磁気センサ100Hのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、寸法及びパラメーターは、
図16と同じである。
【0149】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.6dB程度の増加に留まっている。従って、実施例6の磁気センサ100Gは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。
【0150】
[実施例7]
図19A及び
図19Bは、本実施形態の実施例7に係る磁気センサ100Hの半導体パッケージ内部の構成を示す図であり、
図19Aは上面図(z軸方向でみた平面視)、
図19Bは
図19AのA-A線断面図である。図中符号は、
図15A及び
図15Bと同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付す。実施例7の磁気センサ100Hは、第1ギャップ76が、第3フレーム部603ではなく、第7フレーム部607に設けられ、第2ギャップ77が第4フレーム部604ではなく、第8フレーム部608に設けられている点で、実施例5の磁気センサ100Fと異なる。
【0151】
第7フレーム部607は、第7フレーム部607の外縁から、y軸方向に延び、連結部600、第5フレーム部605、第3フレーム部603、及び第7フレーム部607で取り囲まれる空隙部71まで達する第1ギャップ76を有する。第8フレーム部608は、第8フレーム部608の外縁から、y軸方向に延び、連結部600、第6フレーム部606、第4フレーム部604、及び第8フレーム部608で取り囲まれる空隙部72まで達する第2ギャップ77を有する。
【0152】
第1延長部621は、第7フレーム部607及び第3延長部623と離間する。第2延長部622は、第8フレーム部608及び第4延長部624と離間する。第3延長部623は、第5フレーム部605、第7フレーム部607、第1延長部621、及び連結部600と離間する。第4延長部624は、第6フレーム部606、第8フレーム部608、第2延長部622、及び連結部600と離間する。第3延長部623及び第4延長部624は、空隙部71及び72のエリアを減らすようにダイパッド60の内側に延びる。
【0153】
ダイパッド60は、第5フレーム部605及び第6フレーム部606を含む第1フレーム部601、第7フレーム部607及び第8フレーム部608を含む第2フレーム部602、第3フレーム部603、第4フレーム部604、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624で、信号処理IC25を支持する。
【0154】
信号処理IC25は、接着層35を介して、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、第4フレーム部604、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624のそれぞれに接着される。こうして、信号処理IC25の土台が確保でき、より安定した組立が可能となる。
【0155】
図20は、磁気センサ100Hのz軸方向の外部入力磁界に対する磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界の周波数応答特性のシミュレーション結果である。例として、寸法及びパラメーターは、
図16と同じである。
【0156】
磁電変換素子21の磁電変換部に入力されるz軸方向の磁界は、z軸方向の外部入力磁界の100kHz付近まで0dBを維持し、100kHz付近から僅かに増加を始めるが、1MHzでも0.6dB程度の増加に留まっている。従って、実施例7の磁気センサ100Hは、
図1Aに示す磁気センサ100に対して大幅に周波数応答特性が改善されて、外部入力磁界が高速に変化する用途に適している。
【0157】
実施例1から7の磁気センサ100A、100C、100D、100E、100F、100G、及び100Hでは、信号処理回路が、磁電変換素子21及び22の出力信号を入力して、それぞれの出力信号の和を演算する例を示したが、それぞれの出力信号の差を演算してもよい。また、実施例1から7の磁気センサ100A、100C、100D、100E、100F、100G、及び100Hでは、磁電変換部を有する磁電変換素子21及び22が信号処理ICのダイパッド60と対向する第1面と反対の第2面上に搭載される例を示したが、磁電変換部は、信号処理ICの第2面上に設けられてもよい。すなわち、磁電変換部は信号処理ICの内部に内蔵されて、1つの半導体パッケージとして構成されてもよい。また、ダイパッド60の第1フレーム部601、第2フレーム部602、連結部600、第3フレーム部603、第4フレーム部604、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624において適した幅を選ぶことにより、より高い周波数まで周波数応答特性に優れた磁気センサができる。第1フレーム部601、第2フレーム部602、第3フレーム部603、第4フレーム部604、連結部600、第1延長部621、第2延長部622、第3延長部623、及び第4延長部624は、それぞれ特定の幅以下の幅をもつが、同じ幅でなくてもよい。磁電変換素子21及び22は、xy平面のある一つの軸の磁界を検出する場合には、磁気抵抗素子、またはフラックスゲート素子であってもよい。実施例1から7の磁気センサ100A、100C、100D、100E、100F、100G、及び100Hは、計測対象の電流が流れる導体付近に設けられ、計測対象の電流の大きさに応じた磁場の大きさを検出する電流センサとして機能してよい。
【0158】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0159】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0160】
11,12 リード端子
21,22 磁電変換素子
25 信号処理IC
31,32,35 接着層
41,42,45 ワイヤ
51 封止部
60 ダイパッド
601 第1フレーム部
602 第2フレーム部
600 連結部
603 第3フレーム部
604 第4フレーム部
605 第5フレーム部
606 第6フレーム部
607 第7フレーム部
608 第8フレーム部
609 第9フレーム部
610 第10フレーム部
611 第11フレーム部
612 第12フレーム部
621 第1延長部
622 第2延長部
623 第3延長部
624 第4延長部
71,72 空隙部
76 第1ギャップ
77 第2ギャップ
78 第1スリット
79 第2スリット
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H 磁気センサ
110 外部入力磁束密度
120 渦電流
130 カウンター磁束密度
140 導電性平板
151,152 磁電変換部