(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010745
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】基板製造方法および基板製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112208
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正行
(57)【要約】
【課題】充填剤に混入した気泡に起因して、基板に欠陥が生じることを防止することができる基板製造方法が提供される。
【解決手段】基板製造方法は、第1基板W1のベベル部と第2基板W2のベベル部との間の隙間に充填剤Fを塗布する工程と、隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去する工程と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板および第2基板を貼り合わせて形成された積層基板を製造する基板製造方法において、
前記第1基板のベベル部と前記第2基板のベベル部との間の隙間に充填剤を塗布する工程と、
前記隙間に塗布された充填剤から気泡を除去する工程と、を含む、基板製造方法。
【請求項2】
前記気泡を除去する工程は、前記積層基板を保持する基板保持装置を通じて前記積層基板を振動させる工程を含む、請求項1に記載の基板製造方法。
【請求項3】
前記気泡を除去する工程は、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する工程を含む、請求項1に記載の基板製造方法。
【請求項4】
前記基板製造方法は、前記隙間に塗布される前の充填剤から気泡を除去する工程を含む、請求項1に記載の基板製造方法。
【請求項5】
前記基板製造方法は、前記気泡を除去する工程の後に、前記隙間に塗布された充填剤を硬化させる工程を含む、請求項1に記載の基板製造方法。
【請求項6】
前記基板製造方法は、前記積層基板を研削する工程を含む、請求項1に記載の基板製造方法。
【請求項7】
第1基板および第2基板を貼り合わせて形成された積層基板を製造する基板製造装置において、
前記第1基板のベベル部と前記第2基板のベベル部との間の隙間に充填剤を塗布する塗布装置と、
前記隙間に塗布された充填剤から気泡を除去する気泡除去装置と、を備える、基板製造装置。
【請求項8】
前記気泡除去装置は、前記積層基板を保持する基板保持装置を通じて前記積層基板を振動させる振動装置を備えている、請求項7に記載の基板製造装置。
【請求項9】
前記気泡除去装置は、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する流体噴射装置を備えている、請求項7に記載の基板製造装置。
【請求項10】
前記塗布装置は、前記隙間に向けて充填剤を供給する供給ノズルに供給される充填剤に加圧流体を噴射する噴射ノズルを備えている、請求項7に記載の基板製造装置。
【請求項11】
前記基板製造装置は、前記隙間に塗布された充填剤を硬化させる硬化装置を備えている、請求項7に記載の基板製造装置。
【請求項12】
前記硬化装置は、前記基板の回転方向において、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する流体噴射装置の下流側に配置されている、請求項11に記載の基板製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板製造方法および基板製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を積層・集積化する3次元実装技術では、複数の基板のデバイス面同士を接合した後に、一方の基板の非デバイス面を研削している。基板は予めその周縁部に丸みを帯びた形状または面取りされた形状(ベベル部)を有する。
【0003】
したがって、研削によってベベル部が薄くなると、鋭利な端部(ナイフエッジ部)が形成されてしまい、結果として、割れや欠けなどの欠陥が生じるおそれがある。そこで、ベベルフィル技術では、積層基板におけるベベル部の間の隙間を充填剤により埋めることで、ナイフエッジ部を充填剤で支持し、欠陥の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベベル部の間の隙間に塗布された充填剤に気泡が混入していると、充填剤の内部における気泡(すなわち、空洞)に起因して、基板に欠陥が生じてしまうおそれがある。より具体的には、研削荷重がナイフエッジ部に加えられると、空洞部分におけるナイフエッジ部を充填剤で支持しきれなくなり、結果として、割れや欠けなどの欠陥が基板に生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、充填剤に混入した気泡に起因して、基板に欠陥が生じることを防止することができる基板製造方法および基板製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、第1基板および第2基板を貼り合わせて形成された積層基板を製造する基板製造方法が提供される。基板製造方法は、前記第1基板のベベル部と前記第2基板のベベル部との間の隙間に充填剤を塗布する工程と、前記隙間に塗布された充填剤から気泡を除去する工程と、を含む。
【0008】
一態様では、前記気泡を除去する工程は、前記積層基板を保持する基板保持装置を通じて前記積層基板を振動させる工程を含む。
一態様では、前記気泡を除去する工程は、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する工程を含む。
一態様では、前記基板製造方法は、前記隙間に塗布される前の充填剤から気泡を除去する工程を含む。
【0009】
一態様では、前記基板製造方法は、前記気泡を除去する工程の後に、前記隙間に塗布された充填剤を硬化させる工程を含む。
一態様では、前記基板製造方法は、前記積層基板を研削する工程を含む。
【0010】
一態様では、第1基板および第2基板を貼り合わせて形成された積層基板を製造する基板製造装置が提供される。基板製造装置は、前記第1基板のベベル部と前記第2基板のベベル部との間の隙間に充填剤を塗布する塗布装置と、前記隙間に塗布された充填剤から気泡を除去する気泡除去装置と、を備える。
【0011】
一態様では、前記気泡除去装置は、前記積層基板を保持する基板保持装置を通じて前記積層基板を振動させる振動装置を備えている。
一態様では、前記気泡除去装置は、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する流体噴射装置を備えている。
一態様では、前記塗布装置は、前記隙間に向けて充填剤を供給する供給ノズルに供給される充填剤に加圧流体を噴射する噴射ノズルを備えている。
【0012】
一態様では、前記基板製造装置は、前記隙間に塗布された充填剤を硬化させる硬化装置を備えている。
一態様では、前記硬化装置は、前記基板の回転方向において、前記隙間に塗布された充填剤に加圧流体を噴射する流体噴射装置の下流側に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
積層ウエハの隙間に塗布された充填剤から気泡を除去することにより、充填剤に混入した気泡に起因して、基板に割れや欠けなどの欠陥が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は、基板の一例であるウエハの周縁部を示す拡大断面図である。
【
図2】
図2(a)は2枚のウエハを接合した積層ウエハの一例を示す模式図であり、
図2(b)は
図2(a)に示す第2ウエハを研削(薄化)した後の積層ウエハを示す模式図である。
【
図4】
図4(a)は充填剤を積層ウエハに塗布する様子を示す図であり、
図4(b)は積層ウエハに塗布された充填剤のサイズを示す図である。
【
図5】気泡除去装置の他の実施形態を示す図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、積層ウエハの隙間に加圧流体を噴射する様子を示す図である。
【
図8】積層ウエハの隙間に塗布された充填剤を硬化させる硬化装置を示す図である。
【
図9】気泡除去装置としての流体噴射装置と、硬化装置と、の組み合わせを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)および
図1(b)は、基板の一例であるウエハの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、
図1(a)はいわゆるストレート型のウエハの断面図であり、
図1(b)はいわゆるラウンド型のウエハの断面図である。
図1(a)のウエハWにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウエハWの最外周面(符号Bで示す)である。
【0016】
図1(b)のウエハWにおいては、ベベル部は、ウエハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部E1は、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する領域であって、かつデバイスが形成される領域Dよりも半径方向外側に位置する平坦部である。トップエッジ部E1は、デバイスが形成された領域を含むこともある。ボトムエッジ部E2は、トップエッジ部E1とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部である。これらトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2は、総称してニアエッジ部と呼ばれることもある。
【0017】
図2(a)は2枚のウエハを接合した積層ウエハの一例を示す模式図であり、
図2(b)は
図2(a)に示す第2ウエハを研削(薄化)した後の積層ウエハを示す模式図である。
図2(a)に示す積層ウエハWsは、
図1(b)に示すラウンド型の第1ウエハW1と第2ウエハW2とを接合することにより製造される。
【0018】
図2(b)に示すように、第2ウエハW2を薄化すると、第2ウエハW2の周縁部にナイフエッジ部NEが形成される。このナイフエッジ部NEは、物理的な接触により欠けやすく、結果として、積層ウエハWsに割れや欠けなどの欠陥が生じるおそれがある。そこで、積層ウエハWsの第1ウエハW1と第2ウエハW2との間に充填剤を塗布し、この充填剤を硬化させることで、ナイフエッジ部NEを効果的に保護する。
【0019】
しかしながら、充填剤に気泡が混入していると、ナイフエッジ部NEに割れや欠けなどの欠陥が生じるおそれがある。そこで、以下、充填剤に混入した気泡に起因して、積層ウエハWsに欠陥が生じることを防止することができる基板製造装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図3は、基板製造装置の一実施形態を示す図である。基板製造装置は、第1ウエハW1および第2ウエハW2を貼り合わせて形成された積層ウエハWsを製造(すなわち、処理)する装置である。したがって、基板製造装置は、基板処理装置と呼ばれてもよい。
【0021】
基板製造装置は、積層ウエハWsを保持する基板保持装置1と、第1ウエハW1のベベル部Bと第2ウエハW2のベベル部Bとの間の隙間(すなわち、積層ウエハWsの隙間)に充填剤Fを塗布する塗布装置2と、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去する気泡除去装置5と、を備えている。
【0022】
図3に示す実施形態では、基板保持装置1は、真空吸着により積層ウエハWsを鉛直方向に保持しつつ、積層ウエハWsを回転させる装置であるが、基板保持装置1は、積層ウエハWsを水平方向に保持しつつ回転させるように構成されてもよい。
【0023】
一実施形態では、基板保持装置1は、複数の保持ローラーの組み合わせであってもよい。このような組み合わせによっても、基板保持装置1は、積層ウエハWsを鉛直方向に保持しつつ、積層ウエハWsを回転させることができる。
【0024】
塗布装置2は、鉛直方向に保持された積層ウエハWsの上方に配置されている。より具体的には、積層ウエハWsは、その平面が水平面に対して垂直な状態で保持される。言い換えれば、積層ウエハWsは、縦置き状態で保持される。塗布装置2は、積層ウエハWsの隙間に向けて充填剤Fを供給する供給ノズル4と、供給ノズル4を支持する支持アーム3と、を備えている。
【0025】
図3に示す実施形態では、気泡除去装置5は、基板保持装置1を通じて積層ウエハWsを振動させる振動装置10を備えている。振動装置10は、例えば、超音波振動子である。振動装置10は、積層ウエハWsを振動させることにより、積層ウエハWsを通じて積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fを振動させることができる。
【0026】
振動装置10は、充填剤Fに混入した気泡を振動させて、互いに隣接する気泡同士を接合させる。接合した気泡は大きな気泡となり、充填剤Fの外部に排出(脱気)される。このようにして、気泡除去装置5(より具体的には、振動装置10)は、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去することができる。
【0027】
図4(a)は充填剤を積層ウエハに塗布する様子を示す図であり、
図4(b)は積層ウエハに塗布された充填剤のサイズを示す図である。基板製造装置は、基板保持装置1、塗布装置2、および気泡除去装置5のそれぞれの動作を制御する制御装置40を備えている。制御装置40は、基板保持装置1および塗布装置2を操作して、積層ウエハWsを回転させ、かつ、供給ノズル4を通じて積層ウエハWsの上方から充填剤Fを供給させる。
【0028】
積層ウエハWsを回転させながら、充填剤Fを供給させることにより、積層ウエハWsの隙間は、積層ウエハWsの全周にわたって、充填剤Fで満たされる(
図4(a)参照)。本実施形態では、
図4(b)に示すように、供給ノズル4から塗布される充填剤FのサイズD(すなわち、線幅)は、0.2~0.3mmであり、積層ウエハWsの隙間のサイズに対応している。
【0029】
制御装置40は、充填剤Fの、積層ウエハWsの隙間への塗布時において、気泡除去装置5(より具体的には、振動装置10)を操作して、積層ウエハWsを振動させることにより、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去する。制御装置40は、気泡が充填剤Fから除去されるまで、振動装置10による振動を継続する。充填剤Fを積層ウエハWsの隙間に塗布した後、第1ウエハW1または第2ウエハW2を研削(薄化)する研削プロセスが実行される。
【0030】
本実施形態によれば、気泡除去装置5は、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去することができる。したがって、基板製造装置は、充填剤Fに混入した気泡に起因して、ナイフエッジ部NEに割れや欠けなどの欠陥が生じることを防止することができる。
【0031】
図5は、気泡除去装置の他の実施形態を示す図である。
図5に示すように、気泡除去装置5は、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fに加圧流体を噴射する流体噴射装置15,16を備えている。加圧流体は、運動エネルギーが付与された流体である。本実施形態では、加圧流体は、充填剤Fから気泡を除去するのに必要な圧力まで加圧された気体(例えば、窒素ガス)を意味する。
【0032】
図5に示す実施形態では、流体噴射装置15,16は、互いに上下方向に隣接して配置されており、積層ウエハWsの隙間上の充填剤Fに局所的に加圧流体を噴射するように構成されている。一実施形態では、気泡除去装置5は、流体噴射装置15,16のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0033】
図6(a)および
図6(b)は、積層ウエハの隙間に加圧流体を噴射する様子を示す図である。制御装置40は、流体噴射装置15,16のそれぞれに電気的に接続されており、流体噴射装置15,16のそれぞれを独立して制御することができる。
図6(a)に示すように、積層ウエハWsの隙間上の充填剤Fに局所的に加圧流体を噴射することにより、充填剤Fが圧縮される。
【0034】
図6(b)に示すように、充填剤Fに混入する気泡は、充填剤Fとともに圧縮され、やがて、ナイフエッジ部NEに悪影響を及ぼさない程度まで小さくなる。加圧流体の噴射により縮小された気泡のサイズは、元のサイズに戻ることはない。このようにして、気泡除去装置5は、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fから気泡を除去することができる。
【0035】
図7は、塗布装置の他の実施形態を示す図である。
図7に示すように、塗布装置2は、充填剤Fが充填されたシリンジ本体20と、支持アーム3を通じてシリンジ本体20内の充填剤Fを供給ノズル4に導入する導入部21と、導入部21内の充填剤Fを供給ノズル4に押し出すロッド22と、シリンジ本体20内の充填剤に加圧流体(例えば、窒素ガス)を噴射する噴射ノズル23と、を備えてもよい。
【0036】
シリンジ本体20内の充填剤Fには、すでに気泡が混入している場合がある。そこで、
図7に示す実施形態では、噴射ノズル23は、供給ノズル4に供給される充填剤F(すなわち、シリンジ本体20内の充填剤F)に加圧流体を噴射して、積層ウエハWsの隙間に塗布される前の充填剤Fから気泡を除去するように構成されている。
【0037】
制御装置40は、噴射ノズル23の動作を制御可能に構成されている。より具体的には、制御装置40は、噴射ノズル23を通じて加圧流体を供給する流体供給源(図示しない)に電気的に接続されている。加圧流体を噴射ノズル23から噴射することにより、シリンジ本体20内の充填剤Fに混入する気泡は、充填剤Fとともに圧縮され、やがて、ナイフエッジ部NEに悪影響を及ぼさない程度まで小さくなる(
図6(a)および
図6(b)参照)。
【0038】
制御装置40は、ロッド22の動作を制御可能に構成されている。より具体的には、制御装置40は、ロッド22を上下動させる上下動装置(図示しない)に電気的に接続されている。ロッド22の一例として、ピストンロッドを挙げることができる。
【0039】
シリンジ本体20内の充填剤Fから気泡が除去された状態で、ロッド22を上下動することにより、導入部21内の充填剤Fは、供給ノズル4を通じて積層ウエハWsの隙間に向けて供給される。
【0040】
本実施形態によれば、積層ウエハWsの隙間に塗布される前の充填剤Fから気泡を除去することができるので、充填剤Fに混入した気泡に起因して、ナイフエッジ部NEに割れや欠けなどの欠陥が生じることを防止することができる。
【0041】
図3に示す実施形態と、
図5に示す実施形態と、
図7に示す実施形態と、は、必要に応じて、適宜、組み合わせ可能である。このような組み合わせにより、充填剤Fに混入する気泡をより効果的に除去することができる。なお、基板製造装置は、気泡除去装置5(
図3および
図5参照)を備える代わりに、
図7に示す実施形態に係る構成のみを備えてもよい。
【0042】
図8は、積層ウエハの隙間に塗布された充填剤を硬化させる硬化装置を示す図である。
図8に示すように、基板製造装置は、積層ウエハWsの隙間に塗布された充填剤Fを硬化させる硬化装置30を備えてもよい。制御装置40は、硬化装置30に電気的に接続されており、硬化装置30の動作を制御可能である。
【0043】
一実施形態では、紫外線の照射によって硬化する充填剤Fを採用する場合には、硬化装置30は、紫外線を充填剤Fに照射して、充填剤Fを硬化させる紫外線照射装置であってもよい。一実施形態では、湿気によって硬化する充填剤Fを採用する場合には、硬化装置30は、ミストを充填剤Fに供給して、充填剤Fを硬化させるミスト供給装置であってもよい。一実施形態では、硬化装置30は、充填剤Fに高温(すなわち、充填剤Fを硬化させるために必要な温度)の気体を供給して、充填剤Fを加熱するヒーターであってもよい。充填剤Fを硬化させるために必要な温度は、言い換えれば、硬化温度である。
【0044】
図8に示すように、基板製造装置は、塗布装置2と、気泡除去装置5(より具体的には、振動装置10)と、硬化装置30と、を備えてもよい。このような構成により、充填剤Fの塗布、気泡の除去、および充填剤Fの硬化を短時間で行うことができ、結果として、積層ウエハWsのプロセス時間の短縮を実現することができる。図示しないが、基板製造装置は、供給ノズル4に供給される充填剤Fに加圧流体を噴射する噴射ノズル23(
図7参照)をさらに備えてもよい。
【0045】
図9は、気泡除去装置としての流体噴射装置と、硬化装置と、の組み合わせを示す図である。
図9に示すように、基板製造装置は、流体噴射装置15,16と、硬化装置30と、を備えてもよい。図示しないが、基板製造装置は、供給ノズル4に供給される充填剤Fに加圧流体を噴射する噴射ノズル23(
図7参照)をさらに備えてもよい。
【0046】
図9に示す実施形態では、硬化装置30は、積層ウエハWsの回転方向において、流体噴射装置15,16の下流側に配置されている。言い換えれば、流体噴射装置15,16は、積層ウエハWsの回転方向において、供給ノズル4と硬化装置30との間に配置されている。このような配置により、供給ノズル4から供給された充填剤Fは、その内部の気泡が除去された後、速やかに、硬化される。結果として、積層ウエハWsのプロセス時間の短縮を実現することができる。第1ウエハW1または第2ウエハW2を研削(薄化)する研削プロセスは、充填剤Fが硬化された後に実行される。
【0047】
一実施形態では、流体噴射装置15,16のうちの少なくとも1つは、硬化装置30と同一の機能を備えてもよい。例えば、積層ウエハWsの回転方向において、流体噴射装置15の下流側に配置された流体噴射装置16は、加熱された流体を噴射するように構成されてもよい。このような構成により、供給ノズル4から供給された充填剤F内の気泡は流体噴射装置15によって除去され、その後、充填剤Fは速やかに硬化される。図示しないが、気泡除去装置5は、流体噴射装置15,16のみならず、振動装置10をも備えてもよい。
【0048】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 基板保持装置
2 塗布装置
3 支持アーム
4 供給ノズル
5 気泡除去装置
10 振動装置
15,16 流体噴射装置
20 シリンジ本体
21 導入部
22 ロッド
23 噴射ノズル
30 硬化装置
40 制御装置