(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107520
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】バスバー、電装品ボックス、及びバスバー製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/58 20060101AFI20240802BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240802BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240802BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H01R4/58 C
H02G3/16
H05K7/20 H
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H05K7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011479
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】河原 周平
【テーマコード(参考)】
5E322
5G361
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB08
5E322BB03
5E322EA10
5E322FA04
5G361BA03
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】放熱性が高いバスバーを提供する。
【解決手段】バスバー20は、複数の接続部21と、連結部22と、を備える。接続部21は、相手端子と接続するための部分である。連結部22は、複数の接続部21同士を連結する。連結部22の少なくとも一方の面には、複数の凹部24又は凸部23が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体であるバスバーにおいて、
相手端子と接続するための複数の接続部と、
複数の前記接続部同士を連結する連結部と、
を備え、
前記連結部の少なくとも一方の面には、複数の凹部又は凸部が形成されていることを特徴とするバスバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバーであって、
前記接続部のうち前記相手端子と接触する側の面である第1面には、複数の凸部が形成されていることを特徴とするバスバー。
【請求項3】
請求項1に記載のバスバーであって、
前記連結部の両面には、複数の前記凸部又は前記凹部が形成されていることを特徴とするバスバー。
【請求項4】
請求項2に記載のバスバーであって、
前記接続部の前記第1面の裏面である第2面には、複数の前記凹部が形成されていることを特徴とするバスバー。
【請求項5】
請求項1に記載のバスバーであって、
前記バスバーはアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記連結部の少なくとも一部がアルマイト処理されていることを特徴とするバスバー。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容する筐体と、
前記筐体に接触するように、かつ、前記バスバーに接触するように配置される伝熱体と、
を備えることを特徴とする電装品ボックス。
【請求項7】
請求項1から5までの何れか一項に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容し、絶縁性を有する絶縁部を含む筐体と、
を備え、
前記バスバーが前記筐体の前記絶縁部に接触することを特徴とする電装品ボックス。
【請求項8】
請求項1から5までの何れか一項に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容する筐体と、
を備え、
前記筐体には、当該筐体の内部と外部との間で空気を循環させる開口部が形成されていることを特徴とする電装品ボックス。
【請求項9】
請求項1から5までの何れか一項に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容する筐体と、
前記筐体に配置され、前記筐体内において空気の流れを発生させる送風機構と、
を備えることを特徴とする電装品ボックス。
【請求項10】
請求項9に記載の電装品ボックスであって、
前記送風機構は、前記バスバーの前記凹部又は前記凸部が形成された領域に向けて送風することを特徴とする電装品ボックス。
【請求項11】
請求項1から5までの何れか一項に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容する筐体と、
を備え、
前記筐体は、
前記バスバーを直接又は伝熱体を介して支持する第1収容体と、
前記第1収容体とともに前記バスバーを覆う第2収容体と、
を備え、
前記第2収容体はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、前記筐体の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されていることを特徴とする電装品ボックス。
【請求項12】
請求項5に記載のバスバーと、
前記バスバーを収容する筐体と、
を備え、
前記筐体はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、前記筐体の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されており、
前記バスバーのうちアルマイト処理されている面と、前記筐体のうちアルマイト処理されている面と、が間隔を空けて対向していることを特徴とする電装品ボックス。
【請求項13】
導電体であるバスバーを製造するバスバー製造方法において、
前記バスバーは、材料である金属板に対して順送加工を行うことで製造され、
前記順送加工の工程には、
前記金属板にプレス加工を行って、相手端子と接続するための複数の接続部と、複数の前記接続部同士を連結する連結部と、を形成するプレス工程と、
前記連結部の表面に複数の凹部又は凸部を形成する凹凸形成工程と、
が含まれることを特徴とするバスバー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、導電体としてのバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のリレーを備える電気接続箱を開示する。リレーには、バスバーと放熱板とが接続されている。リレーで発生した熱は、バスバー及び放熱板を介して放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバーは、バスバー自体に流れる電流の抵抗熱や、他の端子との接触抵抗による抵抗熱によって発熱する。また、バスバーに接続される電気部品からバスバーに熱が伝わることもある。しかし、特許文献1では、リレーで発生した熱を放熱する構成について記載されているだけであり、バスバーの熱を放熱する構成については記載されていない。また、放熱部材のみを用いて放熱性を向上させる場合、放熱部材が複雑化又は大型化するため、バスバー自体の放熱性を向上させることが求められていた。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、放熱性が高いバスバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のバスバーが提供される。導電体であるバスバーは、複数の接続部と、連結部と、を備える。前記接続部は、相手端子と接続するための部分である。前記連結部は、複数の前記接続部同士を連結する。前記連結部の少なくとも一方の面には、複数の凹部又は凸部が形成されている。
【0008】
これにより、連結部に凹部又は凸部が形成されているため表面積が大きくなり、バスバーの放熱性を向上させることができる。
【0009】
前記のバスバーにおいては、前記接続部のうち前記相手端子と接触する側の面である第1面には、複数の凸部が形成されていることが好ましい。
【0010】
これにより、相手端子との接触圧が高くなるため、電気的接続の信頼性を向上できる。
【0011】
前記のバスバーにおいては、前記連結部の両面には、複数の前記凸部又は前記凹部が形成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、連結部の一方の面を押圧するだけで両面の加工が可能であるため、加工作業を簡易に行うことができる。
【0013】
前記のバスバーにおいては、前記接続部の前記第1面の裏面である第2面には、複数の前記凹部が形成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、接続部の第2面を押圧するだけで両面の加工が可能であるため、加工作業を簡易に行うことができる。
【0015】
前記のバスバーにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記バスバーはアルミニウム製又はアルミニウム合金製である。前記連結部の少なくとも一部がアルマイト処理されている。
【0016】
アルマイト処理により輻射率が高くなるため、放熱性を一層向上させることができる。
【0017】
前記の電装品ボックスにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、電装品ボックスは、バスバーと、筐体と、伝熱体と、を備える。前記筐体は、前記バスバーを収容する。前記伝熱体は、前記筐体に接触するように、かつ、前記バスバーに接触するように配置される。
【0018】
これにより、バスバーの熱の一部を伝熱体を介して筐体に伝え、筐体から放熱できる。そのため、バスバーの放熱性を一層向上させることができる。
【0019】
前記の電装品ボックスにおいては、前記バスバーが前記筐体の前記絶縁部に接触することが好ましい。
【0020】
これにより、バスバーの熱の一部を筐体に伝え、筐体から放熱できる。そのため、バスバーの放熱性を一層向上させることができる。
【0021】
前記の電装品ボックスにおいては、前記筐体には、当該筐体の内部と外部との間で空気を循環させる開口部が形成されていることが好ましい。
【0022】
これにより、筐体内に生じたバスバーの熱が外部に排出されるので、バスバーの放熱性を一層向上させることができる。
【0023】
前記の電装品ボックスにおいては、前記筐体に配置され、前記筐体内において空気の流れを発生させる送風機構を備えることが好ましい。
【0024】
これにより、強制対流を発生させることができるので、バスバーの放熱性を一層向上させることができる。
【0025】
前記の電装品ボックスにおいては、前記送風機構は、前記バスバーの前記凹部又は前記凸部が形成された領域に向けて送風することが好ましい。
【0026】
これにより、バスバーの凹部又は凸部による放熱を促進できるので、バスバーの放熱性を一層向上させることができる。
【0027】
前記の電装品ボックスにおいては、前記筐体は、前記バスバーを直接又は伝熱体を介して支持する第1収容体と、前記第1収容体とともに前記バスバーを覆う第2収容体と、を備える。前記第2収容体はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、前記筐体の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。
【0028】
筐体がアルマイト処理されていることにより筐体の吸熱性が高くなるので、バスバーから筐体への伝熱性を一層向上させることができる。
【0029】
前記の電装品ボックスにおいては、前記筐体はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、前記筐体の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。前記バスバーのうちアルマイト処理されている面と、前記筐体のうちアルマイト処理されている面と、が間隔を空けて対向している。
【0030】
筐体がアルマイト処理されていることにより筐体の吸熱性が高くなり、更に、バスバーがアルマイト処理されていることに筐体への放熱性が高くなるので、バスバーから筐体への伝熱性を一層向上させることができる。
【0031】
本発明の第2の観点によれば、以下のバスバー製造方法が提供される。即ち、バスバー製造方法では、バスバーは、材料である金属板に対して順送加工を行うことで製造される。順送加工の工程には、プレス加工と、凹凸形成加工と、が含まれる。前記プレス加工では、前記金属板にプレス加工を行って、相手端子と接続するための複数の接続部と、複数の前記接続部同士を連結する連結部と、を形成する。前記凹凸形成工程では、前記連結部の表面に複数の凹部又は凸部を形成する。
【0032】
これにより、順送加工の工程の一部として凹部又は凸部を形成することができるので、バスバーを手間なく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態の電装品ボックスの断面斜視図。
【
図3】バスバーの接続部の断面図(AA断面図)とバスバーの連結部の断面図(BB断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態の電装品ボックス1の断面斜視図である。
【0035】
電装品ボックス1は、自動車に設けられている。電装品ボックス1には、複数の電装品が設けられている。電装品ボックス1は、例えば電気接続箱である。電気接続箱とは、内部に複数のリレー及びヒューズが設けられており、バッテリーや発電機から供給された電力を分配して各車載機器に供給するものである。なお、電装品ボックス1は、バッテリーボックスであってもよい。バッテリーボックスとは、内部にバッテリー及び保護回路等が設けられており、電気接続箱又は車載機器に電力を供給するものである。また、電装品ボックス1の設置先は、自動車に限られない。
【0036】
図1に示すように、電装品ボックス1は、筐体10と、バスバー20と、伝熱体30と、を備える。なお、リレー、ヒューズ、又はバッテリー等の電装品については図示を省略する。
【0037】
第1実施形態の筐体10は金属製の箱状の部材である。筐体10の内部には、収容空間が形成される。この収容空間に電装品、バスバー20、及び伝熱体30が配置される。詳細には、筐体10は、第1収容体11と、第2収容体12と、を備える。第1収容体11と第2収容体12を組み付けることにより、収容空間が形成される。本明細書では、バスバー20を支持する側の収容体を第1収容体11とし、他方の収容体を第2収容体12とする。なお、第1実施形態では第1収容体11と第2収容体12は何れも容器状(箱状)であるが、第1収容体11と第2収容体12の何れか一方が蓋状であってもよい。
【0038】
バスバー20は、導電体であり、金属製の板状の部材を加工して製造される部材である。詳細には、バスバー20は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、又は、アルミニウム合金製である。第1実施形態のバスバー20は、折曲げの無い平板状の部材であるが、折曲げが形成されていてもよい。
図2に示すように、バスバー20は、2つの接続部21と、連結部22と、を備える。
【0039】
2つの接続部21には、それぞれ別の端子(以下、相手端子)が電気的及び機械的に接続される。相手端子は、例えば、リレー、ヒューズ、バッテリー、電線、又は車載機器に接続される端子である。第1実施形態の接続部21は、端子を接続するための丸孔である。ただし、接続部21は丸孔に限られず、例えば、スタッドボルト等の突出形状であってもよい。2つの接続部21は同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。バスバー20は、3つ以上の接続部21を備えていてもよい。連結部22は、2つの接続部21を連結する。第1実施形態の連結部22は平板状であるが、金属板に折曲げを形成した立体形状であってもよい。
【0040】
バスバー20は金属板を加工して製造されるため、厚み方向と、厚み方向に垂直な2つの面と、を特定可能である。これらの2つ面のうち一方を第1面20aと称し、その反対側の面を第2面20bと称する。本明細書では、相手端子が接続部21に接触する側の面を第1面20aと定義する。
【0041】
図2及び
図3に示すように、バスバー20の第1面20a及び第2面20bは凹凸面が形成されている。以下、凹凸面について詳細に説明する。
【0042】
図3のAA断面は、接続部21を厚み方向に平行な面で切った断面図である。
図3に示すように、接続部21の第1面20aに複数の凸部23が形成されており、接続部21の第2面20bには複数の凹部24が形成されている。上述したように、第1面20aは、相手端子が接触する面である。そのため、第1面20aに複数の凸部23が形成されることにより、相手端子との間の接触面積が減るため単位面積あたりの押圧力(接触圧)が高くなる。その結果、相手端子と接続部21とが強固に接続されるので、電気的接続の信頼性が高くなる。
【0043】
図3のBB断面は、連結部22を厚み方向に平行な面で切った断面図である。
図3に示すように、連結部22の第1面20aに複数の凸部23が形成されており、連結部22の第2面20bには複数の凹部24が形成されている。このように、連結部22に両側に凹凸面を形成することにより、表面積が大きくなるため、放熱性が高くなる。なお、放熱性の高さ及び製造の容易さ(詳細な製造方法は後述)を考慮すると、第1面20aと第2面20bの両方を凹凸面にすることが好ましいが、何れか一方の面のみが凹凸面であってもよい。
【0044】
本実施形態の凸部23は半球状の突出形状である。ただし、この形状は一例であり、直方体状の突出形状であってもよいし、波状であってもよい。凹部24の形状についても同様に変更可能である。また、接続部21の凹凸面と、連結部22の凹凸面と、は同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、両面が凹凸面であることは必須ではなく、片面のみに凸部23又は凹部24が形成されていてもよい。
【0045】
伝熱体30は、筐体10の内面に接触するとともに、バスバー20に接触する。言い換えれば、バスバー20は、伝熱体30を介して筐体10に支持されている。伝熱体30は良好な熱伝導性を有する部材であり、例えば、放熱シートである。伝熱体30は固体に限られず、例えばグリスであってもよい。
【0046】
また、第1実施形態では、筐体10が金属製であるため、筐体は導電性を有している。そのため、筐体10とバスバー20が電気的に接続されることを避ける必要がある。そのため、第1実施形態では、絶縁性を有する伝熱体30が用いられる。なお、バスバー20のうち伝熱体30と接触する箇所に絶縁処理がされている場合、伝熱体30が導電性を有していてもよい。
【0047】
このように伝熱体30を設けることにより、バスバー20で発生した熱を筐体10に伝達できる。筐体10は金属製であるため、放熱性が高い。以上により、第1実施形態では、バスバー20の凹凸面と、筐体10を介した放熱と、により高い放熱性を実現できる。なお、筐体10を介した放熱は必須ではなく、筐体10とバスバー20が熱伝導性の低い部材を介して連結されていてもよい。
【0048】
次に、
図4を参照して、第2実施形態の電装品ボックス1について説明する。
図4は、第2実施形態の電装品ボックス1の断面図である。なお、以後の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0049】
第2実施形態の電装品ボックス1は、筐体10に開口部13が形成されている点と、筐体10に絶縁部14が形成されている点と、において第1実施形態とは異なる。
【0050】
バスバー20で熱が発生することにより、対流が発生する。ここで、筐体10に開口部13が形成されていることにより、熱を含む対流が開口部13を介して収容空間の外部に移動する。以上により、第2実施形態では、収容空間の温度(バスバー20の周囲温度)が高くなり過ぎない。その結果、バスバー20の放熱性を高くすることができる。なお、開口部13は、通気性を有する部材(フィルター又はシート等)で塞がれていてもよい。これにより、防水性又は防塵性を有しつつ、バスバー20の放熱性を高くすることができる。
【0051】
また、筐体10に形成された絶縁部14は、例えば、金属製の筐体10に絶縁処理を行うことで形成してもよいし、筐体10に絶縁体を取り付けてもよいし、筐体10自体を絶縁体で構成してもよい。
【0052】
絶縁部14には、バスバー20が接触するように配置される。これにより、バスバー20と筐体10が電気的に接続されることを抑制しつつ、バスバー20で発生した熱を筐体10に伝達することができる。その結果、バスバー20の放熱性を高くすることができる。
【0053】
なお、筐体10に開口部13が形成されている点と、筐体10に絶縁部14が形成されている点と、は個別の特徴であり、何れか一方のみを採用してもよい。
【0054】
次に、
図5を参照して、第3実施形態の電装品ボックス1について説明する。
図5は、第3実施形態の電装品ボックス1の断面図である。
【0055】
第3実施形態では、筐体10及びバスバー20は、何れも、アルミニウム製かアルミニウム合金製である。また、アルミニウム製かアルミニウム合金製の部材に対して、アルマイト処理を行うことにより、熱輻射率を高くすることができる。アルマイト処理は酸化被膜を生成させる表面処理である。アルマイト処理は公知であるため詳細な説明は省略する。アルマイト処理を行うことにより表面の導電性が低下する。そのため、バスバー20にアルマイト処理を行う場合は、接続部21ではなく連結部22に行うことが好ましい。
【0056】
第3実施形態では、筐体10の第1収容体11のうち内側(収容空間側)を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。これにより、筐体10にはアルマイト処理部15が形成される。つまり、筐体10のうち、バスバー20の支持面側である第1収容体11側にアルマイト処理部15が形成される。また、バスバー20の連結部22の所定の面にもアルマイト処理がされている。これにより、バスバー20にはアルマイト処理部25が形成される。
【0057】
第3実施形態では、筐体10のアルマイト処理部15と、バスバー20のアルマイト処理部25と、は間隔を空けて対向するように配置される。対向するとは、例えば、アルマイト処理部15の法線がアルマイト処理部25を通り、かつ、アルマイト処理部25の法線がアルマイト処理部15を通ることである。なお、法線が定義できない場合は、アルマイト処理部15(又はアルマイト処理部25)の一部を厚み方向に延長したものが、アルマイト処理部25(又はアルマイト処理部15)を通ればよい。別の観点から説明すると、アルマイト処理部25をアルマイト処理部15側の面に投影した場合に、アルマイト処理部25の投影体がアルマイト処理部15の少なくとも一部と重なっていればよい。
【0058】
この種の位置関係を実現することにより、以下の効果を奏することができる。即ち、アルマイト処理部25の高い輻射率を有するため、バスバー20で発生した熱は輻射熱としてアルマイト処理部25から放出され易い。一方、バスバー20から放出された輻射熱は、アルマイト処理部15で吸収され易い。以上により、バスバー20から筐体10への熱移動を十分に行うことができるので、バスバー20の放熱性を高くすることができる。
【0059】
なお、バスバー20にアルマイト処理部25を形成し、筐体10にアルマイト処理を行わない構成であっても、バスバー20から熱が放出され易いという効果は発揮可能である。また、バスバー20にアルマイト処理を行わず、筐体10にアルマイト処理部15を形成する場合であっても、バスバー20で発生した熱が筐体10に吸収され易いという効果は発揮可能である。つまり、バスバー20にアルマイト処理部25を形成する点と、筐体10にアルマイト処理部15を形成する点と、は単独で採用されてもよい。
【0060】
次に、
図6を参照して、第4実施形態の電装品ボックス1について説明する。
図6は、第4実施形態の電装品ボックス1の断面図である。
【0061】
第4実施形態は、送風機構40を備える点と、アルマイト処理部15がバスバー20の支持面とは異なる面(即ち、第2収容体12側)に形成されている点と、において上記実施形態とは異なる。
【0062】
送風機構40は、筐体10内において空気の流れを発生させる。本実施形態の送風機構40は、複数の羽根を有し、羽根を回転させることにより送風することができるファンである。なお、送風機構40は、ファンに限られず、送風ダクト又はコンプレッサであってもよい。第4実施形態の送風機構40は、バスバー20に向けて送風を行う。具体的には、送風機構40を送風方向に延長した仮想線がバスバー20を通る。これにより、強制対流を発生させることができるので、バスバー20の放熱を促進することができる。
【0063】
なお、送風機構40の向きは一例であり、バスバー20以外を向いていてもよい。この場合であっても、収容空間内に空気の流れが形成されるため、バスバー20の放熱を向上させることができる。
【0064】
第4実施形態では、バスバー20に形成されたアルマイト処理部25は、バスバー20の支持面とは異なる面に形成されている。言い換えれば、第1収容体11にバスバー20が支持されるとともに、第2収容体12にアルマイト処理部15が形成されている。この場合であっても、バスバー20で発生した熱はアルマイト処理部15によって吸収され易くなるので、バスバー20の放熱性を高くすることができる。
【0065】
なお、送風機構40を備える点と、アルマイト処理部15がバスバー20の支持面とは異なる面に形成されている点と、は個別の特徴であり、何れか一方のみを採用してもよい。
【0066】
上述した各実施形態の様々な特徴は適宜組み合わせることができる。例えば、第2実施形態の筐体10に開口部13を形成する特徴と、第4実施形態の送風機構40を備える特徴と、を組み合わせることができる。これにより、バスバー20で発生した熱が強制対流で運ばれて、筐体10の外部に排出され易くなる。このとき、送風機構40は、バスバー20に向けてもよいし、開口部13に向けてもよい。送風機構40を開口部13に向けることにより、バスバー20で発生した熱を外部に積極的に排出できる。
【0067】
次に、
図7を参照して、バスバー20の製造工程について説明する。
図7は、バスバー20の製造工程を示す説明図である。
【0068】
図7に示すように、バスバー20は、材料である金属板50に対して順送加工を行うことで製造される。順送加工とは、自動機が一連の作業として複数の加工を行うことである。順送加工では、オペレータが材料をセットし直すことが不要となるので、大量のバスバー20を手間なく製造できる。自動機が行う順送加工は、プレス工程と、凹凸形成工程と、を含む。
【0069】
プレス工程は、プレス金型を用いてプレス加工を行うことにより、金属板50の打ち抜き、折曲げ、孔開け等を行う工程である。プレス工程を行うことにより、仕掛品51が製造される。
【0070】
凹凸形成工程は、仕掛品51に凹凸面を形成する工程である。凹凸形成工程は、例えば、凹凸形状の加工部材を仕掛品51に押し付ける工程である。これにより、仕掛品51の一方の面に凸部23が形成され、他方の面に凹部24が形成される。以上により、バスバー20が製造される。
【0071】
なお、凹凸形成工程は、例えばレーザ加工機を用いて行うこともできる。この場合、レーザ加工機は、仕掛品51に所定間隔でレーザを照射することにより、凹凸面を形成する。あるいは、化成処理を行うことにより、表面粗さを高くして凹凸面を形成してもよい。この場合、接続部21の導電性を維持するために、接続部21をマスキングして化成処理を行うことが好ましい。
【0072】
以上に説明したように、上記実施形態のバスバー20は、複数の接続部21と、連結部22と、を備える。接続部21は、相手端子と接続するための部分である。連結部22は、複数の接続部21同士を連結する。連結部22の少なくとも一方の面には、複数の凹部24又は凸部23が形成されている。
【0073】
これにより、連結部22に凹部24又は凸部23が形成されているため表面積が大きくなり、バスバー20の放熱性を向上させることができる。
【0074】
上記実施形態のバスバー20において、接続部21のうち相手端子と接触する側の面である第1面20aには、複数の凸部23が形成されている。
【0075】
これにより、相手端子との接触圧が高くなるため、電気的接続の信頼性を向上できる。
【0076】
上記実施形態のバスバー20において、連結部22の両面には、複数の凸部23又は凹部24が形成されている。
【0077】
これにより、連結部22の一方の面を押圧するだけで両面の加工が可能であるため、加工作業を簡易に行うことができる。
【0078】
上記実施形態のバスバー20において、接続部21の第1面20aの裏面である第2面20bには、複数の凹部24が形成されている。
【0079】
これにより、接続部21の第2面20bを押圧するだけで両面の加工が可能であるため、加工作業を簡易に行うことができる。
【0080】
上記実施形態のバスバー20はアルミニウム製又はアルミニウム合金製である。連結部22の表面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。
【0081】
アルマイト処理により輻射率が高くなるため、放熱性を一層向上させることができる。
【0082】
上記実施形態の電装品ボックス1は、バスバー20と、筐体10と、伝熱体30と、を備える。筐体10は、バスバー20を収容する。伝熱体30は、筐体10に接触するように、かつ、バスバー20に接触するように配置される。
【0083】
これにより、バスバー20の熱の一部を伝熱体30を介して筐体10に伝え、筐体10から放熱できる。そのため、バスバー20の放熱性を一層向上させることができる。
【0084】
上記実施形態の電装品ボックス1において、バスバー20が筐体10の絶縁部14に接触する。
【0085】
これにより、バスバー20の熱の一部を筐体10に伝え、筐体10から放熱できる。そのため、バスバー20の放熱性を一層向上させることができる。
【0086】
上記実施形態の電装品ボックス1において、筐体10には、筐体10の内部と外部との間で空気を循環させる開口部13が形成されている。
【0087】
これにより、筐体10内に生じたバスバー20の熱が外部に排出されるので、バスバー20の放熱性を一層向上させることができる。
【0088】
上記実施形態の電装品ボックス1は、筐体10に配置され、筐体10内において空気の流れを発生させる送風機構40を備える。
【0089】
これにより、強制対流を発生させることができるので、バスバー20の放熱性を一層向上させることができる。
【0090】
上記実施形態の電装品ボックス1において、送風機構40は、バスバー20の凹部24又は凸部23が形成された領域に向けて送風する。
【0091】
これにより、バスバー20の凹部又は凸部による放熱を促進できるので、バスバー20の放熱性を一層向上させることができる。
【0092】
上記実施形態の電装品ボックス1において、筐体10は、バスバー20を直接又は伝熱体30を介して支持する第1収容体11と、第1収容体11とともにバスバーを覆う第2収容体12と、を備える。第2収容体12はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、筐体10の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。
【0093】
筐体10がアルマイト処理されていることにより筐体10の吸熱性が高くなるので、バスバー20から筐体10への伝熱性を一層向上させることができる。
【0094】
上記実施形態の電装品ボックス1において、筐体10はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、筐体10の内側を向く面の少なくとも一部がアルマイト処理されている。バスバー20のうちアルマイト処理されている面と、筐体10のうちアルマイト処理されている面と、が間隔を空けて対向している。
【0095】
筐体10がアルマイト処理されていることにより筐体10の吸熱性が高くなり、更に、バスバー20がアルマイト処理されていることに筐体10への放熱性が高くなるので、バスバー20から筐体10への伝熱性を一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 電装品ボックス
10 筐体
11 第1収容体
12 第2収容体
20 バスバー
20a 第1面
20b 第2面
21 接続部
22 連結部
23 凸部
24 凹部
30 伝熱体
40 送風機構