(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107521
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】電子部品取付構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20240802BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240802BHJP
H01R 13/639 20060101ALN20240802BHJP
H01R 33/74 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
H05K7/12 A
H02G3/16
H05K7/12 H
H01R13/639 Z
H01R33/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011481
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】元 慎
(72)【発明者】
【氏名】中里 秀樹
【テーマコード(参考)】
4E353
5E021
5E024
5G361
【Fターム(参考)】
4E353AA02
4E353BB02
4E353CC32
4E353CC36
4E353DD05
4E353DR13
4E353GG21
4E353GG29
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB03
5E021FC31
5E021HC07
5E021HC35
5E024CA21
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】電子部品を収容部材に取り付けた後であっても容易に取り外すことが可能な電子部品取付構造を提供する。
【解決手段】電子部品取付構造は、電子部品10と、収容部材20と、ロック部材40と、を備える。電子部品10は、第1係止部13を備える。収容部材20は、電子部品10を収容可能である。ロック部材40は、収容部材20に取付可能である。収容部材20は、第1係合部23と、第2係止部24と、を備える。第1係合部23は、第1係止部13と係合する。ロック部材40は、抑制部42と、第2係合部43と、を備える。抑制部42は、第1係止部13と第1係合部23との係合を解除することを抑制する。第2係合部43は、電子部品10が収容部材20に収容された状態で、第2係止部24に対して着脱可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1係止部を備える電子部品と、
前記電子部品を収容可能な収容部材と、
前記収容部材に取付可能なロック部材と、
を備え、
前記収容部材は、
前記第1係止部と係合する第1係合部と、
第2係止部と、
を備え、
前記ロック部材は、
前記第1係止部と前記第1係合部との係合を解除することを抑制する抑制部と、
前記電子部品が前記収容部材に収容された状態で、前記第2係止部に対して着脱可能な第2係合部と、
を備えることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記第1係止部と前記第1係合部が係合されている状態において、前記第2係止部が前記第2係合部と係合可能であることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記第2係止部及び前記第2係合部は、前記第1係止部及び前記第1係合部よりも、前記電子部品の外側に位置することを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項4】
請求項2に記載の電子部品取付構造であって、
前記第2係止部と前記第2係合部との係合が解除されることにより、前記抑制部による抑制が解除され、前記第1係止部と前記第1係合部との係合が解除可能となることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項5】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記電子部品は、相手端子と接続する部品端子を備え、
前記収容部材は、前記相手端子を収容し、当該相手端子と前記部品端子との接続により、前記電子部品を保持することを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項6】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記第1係止部は突起形状であり、
前記第1係合部は、弾性変形することで前記第1係止部と係合し、弾性変形することで前記第1係止部との係合を解除可能であることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項7】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記第2係止部は突起形状であり、
前記第2係合部は、弾性変形することで前記第2係止部と係合し、弾性変形することで前記第2係止部との係合を解除可能であることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項8】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記ロック部材は、前記電子部品と前記収容部材の取付状態を確認するための参照部を備え、
前記第1係止部と前記第1係合部が係合した正常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときの前記参照部と前記電子部品の位置関係と、
前記第1係止部と前記第1係合部が係合していない異常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときの前記参照部と前記電子部品の位置関係と、
が異なることを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項9】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記第1係止部と前記第1係合部が係合していない異常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときに、前記ロック部材と前記収容部材とが干渉することを特徴とする電子部品取付構造。
【請求項10】
請求項1に記載の電子部品取付構造であって、
前記収容部材に対する前記電子部品の取外し方向は鉛直方向下向きであり、
前記ロック部材は、前記第1係合部の鉛直方向下側に位置する保持部を備えることを特徴とする電子部品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、電子部品が収容部材に取り付けられた電子部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子部品であるリレーを保持するリレー保持構造を開示する。リレー保持構造は、リレー本体と、リレーハウジングと、ロック部材と、を備える。リレー本体には、係止突起が設けられている。リレーハウジングには、係止腕が設けられている。係止突起は、係止腕に設けられた係止爪と係合する。リレー本体をリレーハウジングに取り付ける際には、リレー本体とリレーハウジングの間にロック部材が配置される。ロック部材は、係止腕の揺動を規制する。これにより、リレー本体がリレーハウジングから外れにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のリレー保持構造では、リレー本体とリレーハウジングの間にロック部材を配置するため、リレー本体とリレーハウジングの取付後において、ロック部材が取り外せない構造である。従って、リレー本体がリレーハウジングから容易に外れにくい。そのため、リレー本体を誤って組み付けた場合又はリレー本体を交換する場合において、リレー本体をリレーハウジングから容易に取り外すことができない。この課題は、リレーに限られず、ヒューズ等の他の電子部品に対しても生じる。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、電子部品を収容部材に取り付けた後であっても容易に取り外すことが可能な電子部品取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の電子部品取付構造が提供される。即ち、電子部品取付構造は、電子部品と、収容部材と、ロック部材と、を備える。前記電子部品は、第1係止部を備える。前記収容部材は、前記電子部品を収容可能である。前記ロック部材は、前記収容部材に取付可能である。前記収容部材は、第1係合部と、第2係止部と、を備える。前記第1係合部は、前記第1係止部と係合する。前記ロック部材は、抑制部と、第2係合部と、を備える。前記抑制部は、前記第1係止部と前記第1係合部との係合を解除することを抑制する。前記第2係合部は、前記電子部品が前記収容部材に収容された状態で、前記第2係止部に対して着脱可能である。
【0008】
これにより、ロック部材の第2係合部は、電子部品が収容部材に収容された状態で第2係止部に対して着脱可能である。そのため、初めにロック部材を取り外すことにより、収容部材から電子部品を容易に取り外すことができる。
【0009】
前記の電子部品取付構造においては、前記第1係止部と前記第1係合部が係合されている状態において、前記第2係止部が前記第2係合部と係合可能であることが好ましい。
【0010】
これにより、電子部品を収容部材に取り付けた後に、ロック部材が収容部材に取り付けられることになる。そのため、その後にロック部材を取り外す作業を容易に行うことができる。
【0011】
前記の電子部品取付構造においては、前記第2係止部及び前記第2係合部は、前記第1係止部及び前記第1係合部よりも、前記電子部品の外側に位置することが好ましい。
【0012】
これにより、作業し易い位置にロック部材が位置するため、ロック部材を取り外す作業を容易に行うことができる。
【0013】
前記の電子部品取付構造においては、前記第2係止部と前記第2係合部との係合が解除されることにより、前記抑制部による抑制が解除され、前記第1係止部と前記第1係合部との係合が解除可能となることが好ましい。
【0014】
これにより、ロック部材を取り外すことにより、収容部材から電子部品をより確実に取り外すことができる。
【0015】
前記の電子部品取付構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記電子部品は、相手端子と接続する部品端子を備える。前記収容部材は、前記相手端子を収容し、当該相手端子と前記部品端子との接続により、前記電子部品を保持する。
【0016】
これにより、部品端子と相手端子の接続を用いて電子部品を更に強固に収容部材に保持できる。
【0017】
前記の電子部品取付構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1係止部は突起形状である。前記第1係合部は、弾性変形することで前記第1係止部と係合し、弾性変形することで前記第1係止部との係合を解除可能である。
【0018】
これにより、ロック部材を取り付ける前においても、第1係止部と第1係合部を容易に係合したり、係合を解除したりできる。
【0019】
前記の電子部品取付構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2係止部は突起形状である。前記第2係合部は、弾性変形することで前記第2係止部と係合し、弾性変形することで前記第2係止部との係合を解除可能である。
【0020】
これにより、第2係止部と第2係合部を容易に係合したり、係合を解除したりできる。
【0021】
前記の電子部品取付構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ロック部材は、前記電子部品と前記収容部材の取付状態を確認するための参照部を備える。前記第1係止部と前記第1係合部が係合した正常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときの前記参照部と前記電子部品の位置関係は、前記第1係止部と前記第1係合部が係合していない異常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときの前記参照部と前記電子部品の位置関係とは、異なる。
【0022】
これにより、参照部を見て電子部品との位置関係を確認するだけで、電子部品と収容部材の取付状態を把握できる。
【0023】
前記の電子部品取付構造においては、前記第1係止部と前記第1係合部が係合していない異常状態で、前記ロック部材を前記収容部材に取り付けたときに、前記ロック部材と前記収容部材とが干渉することが好ましい。
【0024】
これにより、第1係止部と第1係合部が係合していない異常状態で、ロック部材が収容部材に取り付けられることを抑制できる。
【0025】
前記の電子部品取付構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記収容部材に対する前記電子部品の取外し方向は鉛直方向下向きである。前記ロック部材は、前記第1係合部の鉛直方向下側に位置する保持部を備える。
【0026】
これにより、電子部品の自重に起因して第1係合部と第1係止部の破損を保持部により抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品取付構造の斜視図。
【
図2】収容部材に電子部品を取り付ける様子を示す斜視図。
【
図3】収容部材に電子部品を取り付けた状態の斜視図。
【
図4】収容部材に電子部品を取り付けた状態の側面図。
【
図6】ロック部材を収容部材に取り付ける様子を示す断面斜視図。
【
図7】ロック部材を収容部材に取り付けた状態の断面斜視図。
【
図8】電子部品と収容部材が係合した正常状態でロック部材を取り付ける様子を示す断面図。
【
図9】電子部品と収容部材が係合していない異常状態でロック部材を取り付ける様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品取付構造1の斜視図である。
【0029】
電子部品取付構造1は、電子部品10を取り付けて、当該電子部品を保持する構造である。電子部品取付構造1は、例えば車両に設けられる電気接続箱の一部を構成する。ただし、電子部品取付構造1の用途は車両の電気接続箱に限られない。
図1に示すように、電子部品取付構造1は、電子部品10と、収容部材20と、ロック部材40と、を備える。
【0030】
図2に示すように、電子部品10は、電子部品本体11と、部品端子12と、第1係止部13と、を備える。
【0031】
電子部品本体11は、他の部品と電気的に接続されて、電流に関する処理又は電気信号に関する処理を行う。電子部品本体11は、例えば、リレー又はヒューズである。電子部品10は直方体状である。本明細書において直方体状は、厳密な直方体の形状だけでなく、略直方体の形状を含む。また、電子部品本体11は立方体上に限られず、例えば円柱状であってもよい。
【0032】
部品端子12は、電子部品本体11と電気的に接続されている端子である。部品端子12は、後述の相手端子30と接続される。
【0033】
第1係止部13は、電子部品10を収容部材20に取り付けるための部分である。本実施形態の第1係止部13は、突起である。第1係止部13は、電子部品10の側面に1つ又は複数設けられる。
【0034】
収容部材20は、電子部品10を収容する部材である。収容部材20は、樹脂製である。収容部材20を構成する樹脂は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、又は他の樹脂であり、これらの樹脂を組み合わせた合成樹脂であってもよい。
図2に示すように、収容部材20は、電子部品収容部21と、端子収容部22と、第1係合部23と、第2係止部24と、外壁部25と、を備える。
【0035】
電子部品収容部21は、電子部品10を収容する。具体的には、電子部品収容部21は、端子面(ベース面)21aと、電子部品本体11の4つの側面を覆う壁部21bと、を含む。端子面21aには、端子収容部22が形成されており、電子部品10のうち部品端子12が形成される面と接触又は対向する。電子部品収容部21は、電子部品10を収容可能であれば、本実施形態とは異なる形状であってもよい。
【0036】
端子収容部22は、部品端子12に接続される相手端子30を収容する部分である。詳細には、端子収容部22は、
図2に示すように端子面21aに設けられた貫通孔と、
図4に示すように相手端子30を覆う部分と、を備える。また、電子部品取付構造1が電気接続箱の一部を構成する場合、相手端子30は、電気接続箱に設けられる基板に取り付けられた端子である。
【0037】
部品端子12と相手端子30は、端子収容部22の貫通孔を介して接続される。そのため、部品端子12と相手端子30の接続の保持力により、電子部品10の保持を補助できる。
【0038】
第1係合部23は、電子部品10を収容部材20に保持するための部分である。第1係合部23は、電子部品10の第1係止部13と係合可能である。具体的には、第1係合部23は、弾性変形可能な板部23aと、当該板部23aに形成された貫通孔23bと、を備える。電子部品10を収容部材20に取り付ける際には、電子部品10を
図2の矢印方向(鉛直方向上向き)に移動させる。このとき、電子部品10の第1係止部13が、第1係合部23の板部23aを押圧することにより、第1係合部23が弾性変形する。その状態で更に電子部品10を押圧することにより、第1係止部13が第1係合部23の貫通孔23bに入り込む。これにより、第1係止部13と第1係合部23が係合する(
図3を参照)。なお、第1係合部23は貫通孔23bに限られず凹部であってもよい。また、第1係止部13が貫通孔23bで第1係合部23が突起であってもよい。電子部品取付構造1は、1組の第1係止部13及び第1係合部23を備えるが、複数組の第1係止部13及び第1係合部23を備えてもよい。
【0039】
第2係止部24は、外壁部25に形成された突起である。第2係止部24及び外壁部25は、第1係合部23の外側に配置されている。外側とは、電子部品10を収容する収容空間側を内側として、その反対側である。外壁部25は、第1係合部23の一部を覆うが、第1係合部23の全体を覆ってはいない。そのため、作業者は、第1係合部23を弾性変形させることにより、第1係止部13と第1係合部23の係合を解除し、収容部材20から電子部品10を取り外すことができる。第2係止部24は、外壁部25に限られず、壁部21bに設けてもよい。
【0040】
ロック部材40は、樹脂製である。ロック部材40を構成する樹脂は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、又は他の樹脂であり、これらの樹脂を組み合わせた合成樹脂であってもよい。
図5に示すように、ロック部材40は、本体部41を備える。本体部41は平板状である。本体部41には、抑制部42と、第2係合部43と、参照部44と、が設けられている。
図6に示すように、ロック部材40は、収容部材20に取り付けられる。
【0041】
抑制部42は、第1係止部13と第1係合部23との係合を解除することを抑制する。ロック部材40を収容部材20に取り付けることにより、抑制部42は、第1係合部23の近傍に位置する(
図7を参照)。詳細には、抑制部42は、第1係止部13と第1係合部23の係合を解除するために第1係合部23を弾性変形させるための空間に位置する。これにより、第1係合部23を十分に弾性変形させることができないため、第1係止部13と第1係合部23との係合を解除することが抑制される。そのため、ロック部材40を収容部材20に取り付けた状態では、第1係止部13と第1係合部23の係合が解除できない。これにより、電子部品10を強固に収容部材20に保持することができる。
【0042】
また、
図5に示すように、抑制部42は2つのリブ42aを備える。これにより、2つのリブ42aで囲まれる溝形状の空間が形成される。本実施形態では、この溝形状の空間に第1係合部23の少なくとも一部が位置する。これにより、抑制部42が適切に位置決めされるため、第1係止部13と第1係合部23との係合の解除を抑制する効果をより的確に発揮できる。
【0043】
また、
図5に示すように、抑制部42は、段差形状の保持部42bを備える。
図7に示すように、保持部42bは、第1係合部23の鉛直方向の下側を覆う。詳細には、保持部42bは、第1係合部23に接触するか、又は、接触しない場合でも第1係合部23の近傍に位置する。これにより、電子部品10の荷重を第1係合部23が受けた場合でも、第1係合部23の変形量が低減される。その結果、第1係合部23の破損が抑制でき、安定して電子部品10を収容部材20に保持することができる。
【0044】
本実施形態の抑制部42は、溝形状かつ段差形状であるが、他の形状であってもよい。例えば、抑制部42は平板状であってもよい。抑制部42が平板状であっても、第1係合部23を弾性変形させるための空間に抑制部42が位置していれば、第1係止部13と第1係合部23との係合の解除を抑制できる。
【0045】
第2係合部43は、本体部41のうち、抑制部42とは反対側(裏側)に形成されている。第2係合部43は、弾性変形可能な板部43aと、当該板部43aに形成された貫通孔43bと、を備える。電子部品10を収容部材20に取り付けた状態において、次にロック部材40が収容部材20に取り付けられる。初めに作業者は、ロック部材40を外壁部25の内側に挿入するようにして、
図6の矢印方向(鉛直方向上向き)に移動させる。このとき、収容部材20の第2係止部24が、第2係合部43の板部43aを押圧することにより、第2係合部43が弾性変形する。その状態で更にロック部材40を押圧することにより、第2係止部24が第2係合部43の貫通孔43bに入り込む。これにより、第2係止部24と第2係合部43が係合する(
図7を参照)。また、第2係止部24が貫通孔43bで第2係合部43が突起であってもよい。電子部品取付構造1は、1組の第2係止部24及び第2係合部43を備えるが、複数組の第2係止部24及び第2係合部43を備えてもよい。
【0046】
このように、本実施形態では、電子部品10を収容部材20に取り付けた状態においても、ロック部材40を取り付けるための部分が露出している。そのため、初めに収容部材20に電子部品10を取り付け、その後に収容部材20にロック部材40を取り付けることができる。
【0047】
第2係合部43は、電子部品取付構造1の外部に露出している。作業者は、第2係合部43を弾性変形させることにより、第2係止部24と第2係合部43の係合を解除できる。これにより、作業者は、収容部材20からロック部材40を取り外すことができる。その後、作業者は、第1係合部23を弾性変形させることにより、第1係止部13と第1係合部23の係合を解除する。以上により、作業者は収容部材20から電子部品10を取り外すことができる。
【0048】
参照部44は、電子部品10と収容部材20の取付状態が正常か否かを確認するために作業者に依って参照される部分である。参照部44は、本体部41の端部(取付方向の反対側の端部)を折り曲げた形状である。
【0049】
図8に示すように、電子部品10の第1係止部13と収容部材20の第1係合部23が係合している正常状態では、ロック部材40を取り付けることにより、参照部44と電子部品本体11の上面の間に隙間が生じる。作業者は、隙間が生じていることを見て、電子部品10と収容部材20の取付状態が正常であると確認できる。
【0050】
次に、
図9に示すように、電子部品10の第1係止部13と収容部材20の第1係合部23が係合していない異常状態を考える。
図9には、電子部品10の取付方向の移動が小さいことに起因して、第1係止部13が第1係合部23の貫通孔23bに入り込んでいない状態が示されている。この異常状態では、ロック部材40を取り付けることにより、保持部42bが第1係止部13と干渉するため、ロック部材40の挿入量が限られる。その結果、参照部44と電子部品本体11の上面の間に隙間が生じない(あるいは隙間が著しく小さくなる)。作業者は、隙間が生じないこと、又は、隙間が著しく小さいことを見て、電子部品10と収容部材20の取付状態が異常であると確認できる。
【0051】
なお、上記では、保持部42bと第1係止部13が干渉すると説明したが、参照部44と電子部品本体11が干渉してもよいし、本体部41が第2係止部24と干渉してもよい。何れの場合であっても、ロック部材40の挿入量が限られため、参照部44と電子部品本体11の上面の間に隙間が生じない(あるいは隙間が著しく小さくなる)。
【0052】
なお、
図9に示す例よりも、電子部品10の取付方向の移動が僅かに大きい場合は、第1係合部23が弾性変形している状態(半係合状態)となる。この状態でロック部材40を取り付ける場合は、外側に弾性変形した第1係合部23とロック部材40が干渉するため、ロック部材40を挿入することができない。そのため、半係合状態が生じている際に、ロック部材40が収容部材20に取り付けられることを抑制できる。なお、半係合状態でロック部材40と干渉するのは第1係合部23に限られず、電子部品10又は収容部材20の別の部分であってもよい。
【0053】
なお、参照部44の形状は一例であり、他の形状であってもよい。ただし、参照部44は、電子部品10に対するロック部材40の相対位置(特に取付方向における位置)が一見して把握可能な形状であることが好ましい。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の電子部品取付構造1は、電子部品10と、収容部材20と、ロック部材40と、を備える。電子部品10は、第1係止部13を備える。収容部材20は、電子部品10を収容可能である。ロック部材40は、収容部材20に取付可能である。収容部材20は、第1係合部23と、第2係止部24と、を備える。第1係合部23は、第1係止部13と係合する。ロック部材40は、抑制部42と、第2係合部43と、を備える。抑制部42は、第1係止部13と第1係合部23との係合を解除することを抑制する。第2係合部43は、電子部品10が収容部材20に収容された状態で、第2係止部24に対して着脱可能である。
【0055】
これにより、ロック部材40の第2係合部43は、電子部品10が収容部材20に収容された状態で第2係止部24に対して着脱可能である。そのため、初めにロック部材40を取り外すことにより、収容部材20から電子部品10を容易に取り外すことができる。
【0056】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第1係止部13と第1係合部23が係合されている状態において、第2係止部24が第2係合部43と係合可能である。
【0057】
これにより、電子部品10を収容部材20に取り付けた後に、ロック部材40が収容部材20に取り付けられることになる。そのため、その後にロック部材40を取り外す作業を容易に行うことができる。
【0058】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第2係止部24及び第2係合部43は、第1係止部13及び第1係合部23よりも、電子部品10の外側に位置する。
【0059】
これにより、作業し易い位置にロック部材40が位置するため、ロック部材40を取り外す作業を容易に行うことができる。
【0060】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第2係止部24と第2係合部43との係合が解除されることにより、抑制部42による抑制が解除され、第1係止部13と第1係合部23との係合が解除可能となる。
【0061】
これにより、ロック部材40を取り外すことにより、収容部材20から電子部品10をより確実に取り外すことができる。
【0062】
本実施形態の電子部品取付構造1において、電子部品10は、相手端子30と接続する部品端子12を備える。収容部材20は、相手端子30を収容し、相手端子30と部品端子12との接続により、電子部品10を保持する。
【0063】
これにより、部品端子12と相手端子30の接続を用いて電子部品10を更に強固に収容部材20に保持できる。
【0064】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第1係止部13は突起形状である。第1係合部23は、弾性変形することで第1係止部13と係合し、弾性変形することで第1係止部13との係合を解除可能である。
【0065】
これにより、ロック部材40を取り付ける前においても、第1係止部13と第1係合部23を容易に係合したり、係合を解除したりできる。
【0066】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第2係止部24は突起形状である。第2係合部43は、弾性変形することで第2係止部24と係合し、弾性変形することで第2係止部24との係合を解除可能である。
【0067】
これにより、第2係止部24と第2係合部43を容易に係合したり、係合を解除したりできる。
【0068】
本実施形態の電子部品取付構造1において、ロック部材40は、電子部品10と収容部材20の取付状態を確認するための参照部44を備える。第1係止部13と第1係合部23が係合した正常状態で、ロック部材40を収容部材20に取り付けたときの参照部44と電子部品10の位置関係は、第1係止部13と第1係合部23が係合していない異常状態で、ロック部材40を収容部材20に取り付けたときの参照部44と電子部品10の位置関係とは、異なる。
【0069】
これにより、参照部44を見て電子部品10との位置関係を確認するだけで、電子部品10と収容部材20の取付状態を把握できる。
【0070】
本実施形態の電子部品取付構造1において、第1係止部13と第1係合部23が係合していない異常状態で、ロック部材40を収容部材20に取り付けたときに、ロック部材40と収容部材20とが干渉する。
【0071】
これにより、第1係止部13と第1係合部23が係合していない異常状態で、ロック部材40が収容部材20に取り付けられることを抑制できる。
【0072】
本実施形態の電子部品取付構造1において、収容部材20に対する電子部品10の取外し方向は鉛直方向下向きである。ロック部材40は、第1係合部23の鉛直方向下側に位置する保持部42bを備える。
【0073】
これにより、電子部品10の自重に起因して第1係合部23が破損することを、保持部42bにより抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
1 電子部品取付構造
10 電子部品
13 第1係止部
20 収容部材
23 第1係合部
24 第2係止部
40 ロック部材
42 抑制部
43 第2係合部