(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107845
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】端子保護部材及び端子保護構造体
(51)【国際特許分類】
B65D 59/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B65D59/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011982
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐造
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA32
3E066CA01
3E066FA13
3E066HA04
3E066KA02
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】端子のサイズや形状に関わらず、該端子をしっかりと覆って保護すること。
【解決手段】電線3R,3Lの先端に装着された端子4R,4Lを覆って保護する端子保護部11と、該端子保護部11を、端子4R,4Lに対して保持する挿通保持部21とが備えられ、端子保護部11は、緩衝作用を有する緩衝素材で形成され、挿通保持部21は例えば、凸状保持部22と、該凸状保持部22と凹凸嵌合する凹状保持部23とが備えられ、凸状保持部22と凹状保持部23とは、何れも端子4R,4Lに設けられた貫通孔42に挿通可能に端子保護部11に設けられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の先端に装着された端子を覆って保護する端子保護部と、
該端子保護部を、前記端子に対して保持する保持部とが備えられ、
前記端子保護部は、緩衝作用を有する緩衝素材で形成された
端子保護部材。
【請求項2】
前記保持部は、前記端子に設けられた貫通孔に挿通される挿通保持部である
請求項1に記載の端子保護部材。
【請求項3】
前記保持部は、
凸状保持部と、該凸状保持部と凹凸嵌合する凹状保持部とが備えられ、
前記凸状保持部と前記凹状保持部とが前記端子保護部に設けられた
請求項1に記載の端子保護部材。
【請求項4】
前記保持部は、
前記端子保護部に設けられた貫通孔に挿入されて係止する凸状の凸状係止部である
請求項1に記載の端子保護部材。
【請求項5】
前記凸状係止部が前記端子保護部に設けられた
請求項4に記載の端子保護部材。
【請求項6】
前記凸状係止部は前記端子保護部と別体構成された
請求項5に記載の端子保護部材。
【請求項7】
前記端子保護部は、
折り曲げて前記端子を挟み込み可能なシート状に形成された
請求項1に記載の端子保護部材。
【請求項8】
折り曲げ部で折り曲げられた前記端子保護部における前記折り曲げ部に対する少なくとも一方側に、前記保持部が設けられた
請求項7に記載の端子保護部材。
【請求項9】
前記端子保護部は、内部に前記端子を挿通可能な筒状であり、
前記保持部は、前記端子保護部に設置されるとともに、筒状の前記端子保護部の内面同士を近接させて、該端子保護部を前記端子に対して保持する構成である
請求項1に記載の端子保護部材。
【請求項10】
前記端子保護部に、軸方向に沿って切込みが設けられた
請求項9に記載の端子保護部材。
【請求項11】
前記端子保護部を形成する前記緩衝素材は、発泡ゴム素材である
請求項1乃至請求項10のうちいずれかに記載の端子保護部材。
【請求項12】
電線の先端に端子が装着された端子付き電線と、
請求項1乃至請求項10のうちいずれかに記載の端子保護部材とが備えられ、
前記端子保護部で前記端子を覆うとともに、
前記保持部で前記端子保護部が前記端子に対して保持された
端子保護構造体。
【請求項13】
電線の先端に端子が装着された端子付き電線が複数設けられ、
複数の前記端子が組付けられ、
組付けられた複数の前記端子を前記端子保護部で覆う
請求項12に記載の端子保護構造体。
【請求項14】
前記端子保護部を形成する前記緩衝素材は、発泡ゴム素材である
請求項12に記載の端子保護構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電線の先端に装着された端子を覆って保護する端子保護部材及び端子保護構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
端子を電線の先端に装着する端子装着作業、電線の先端に端子が装着された端子付き電線を梱包、運搬或いは開梱する作業、又は端子付き電線を車体に組付ける組付け作業において、端子が周辺の部材に意に反して接触することで周辺の部材や端子が損傷するおそれがある。
【0003】
このような課題に対して従来より、可撓性を有するチューブによって端子を覆うことで保護することが行われている。
しかし、車体には、様々なサイズ、形状の端子が用いられることから、各端子に適した様々なサイズのチューブを複数用意する必要がある。このため、チューブの保管、選定の手間やコストが増大するおそれがある。
【0004】
これに対して、様々なサイズ、形状の端子に対応して覆うことができる端子保護部材として特許文献1の袋状容器が提案されている。
特許文献1の袋状容器は、端子を収容する収容部を備え、該収容部を様々なサイズや形状の端子を覆うことが可能に予め余裕をもって大きく形成されている。
【0005】
しかし、袋状容器の収容部は、予め大きく形成されているが故に端子付き電線を取り回す際に、該端子を覆う収容部が車体ボディや車載部品に引っ掛かったり、端子が動くことによる反動で収容部が意に反して端子から抜け落ちるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、端子のサイズや形状に関わらず、該端子をしっかりと覆って保護することができる端子保護部材及び端子保護構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、電線の先端に装着された端子を覆って保護する端子保護部と、該端子保護部を、前記端子に対して保持する保持部とが備えられ、前記端子保護部は、緩衝作用を有する緩衝素材で形成された端子保護部材であることを特徴とする。
【0009】
この発明により、前記端子のサイズや形状に関わらず、該端子を端子保護部でしっかりと覆って保護することができる。
詳しくは、例えば、前記端子付き電線を車体に組付け時に、前記端子が車体ボディや車載部品に対して前記端子保護部を介して接触しても、前記端子を緩衝素材で形成された前記端子保護部で覆うことで、車体ボディや車載部品が傷付くことがなく保護することができる。
【0010】
さらに、前記端子保護部は、前記端子を覆った状態において前記保持部によって前記端子に対して保持されるため、該端子のサイズや形状に関わらず、前記端子をしっかりと覆った状態に保つことができる。
【0011】
前記端子保護部材は、端子を車両における取付け箇所に接続する際に、前記端子を覆った状態から取り外されるが、その後、廃棄することを前提とする使い切りタイプであってもよいし、繰り返し使用することを前提とする再利用タイプであってもよい。
【0012】
前記端子は、例えば、アース端子等のボルト締結端子、オス型端子、或いはメス型端子であってもよい。前記端子がボルト締結端子である場合には、例えば、2本を一組として構成する端子、或いは1枚の平板状の板材からなる、いわゆる丸端子であってもよい。
【0013】
前記端子保護部は、一つの前記端子に限らず、複数の前記端子を覆って保護可能な大きさに形成してもよい。
前記保持部は、前記端子保護部を保持可能であれば、例えば、スナップボタン、面ファスナ、テープ、接着剤、ホック等で形成してもよい。
前記端子に、電線が2股状に延出する2股部分を有する場合には、前記保持部は、前記端子における2股部分の電線間に挿通させることで前記端子保護部を前記端子に対して保持してもよい。
【0014】
前記緩衝素材は、緩衝作用を有していれば、発泡素材に限らず、天然繊維、人工繊維、織物、又は、非発泡のゴムや合成樹脂であってもよく、例えば、シリコンゴムやEPDMなどの合成ゴムや天然ゴムなどの弾性素材を挙げることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記保持部は、前記端子に設けられた貫通孔に挿通される挿通保持部としてもよい。
この発明により、意に反する外力が作用することによって前記端子保護部と前記端子とが相対的に位置ずれしようとしても、前記端子の貫通孔に挿通した挿通保持部と、該貫通孔の周縁とが当接することで前記端子保護部と前記端子との相対的な位置ずれを阻止することができる。
従って、前記端子保護部が前記端子に対して抜け落ちることがないように、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記保持部は、凸状保持部と、該凸状保持部と凹凸嵌合する凹状保持部とが備えられ、前記凸状保持部と前記凹状保持部とが前記端子保護部に設けられてもよい。
この発明により、前記端子保護部に設けられた前記凸状保持部と前記凹状保持部とを凹凸嵌合することによって、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0017】
詳しくは、前記保持部は、前記凸状保持部と前記凹状保持部とが備えられたため、意に反する外力により、前記端子保護部と前記端子とが相対的に位置ずれしようとしても、前記端子保護部に覆われた状態の前記端子と、凹凸嵌合した前記凸状保持部および前記凹状保持部とが当接することで、前記端子保護部と前記端子との相対的な位置ずれを阻止することができる。
【0018】
さらに、前記凸状保持部と前記凹状保持部とを凹凸嵌合することによって、前記端子保護部における、前記凸状保持部が設けられた部位と、前記凹状保持部が設けられた部位との間には、前記端子が抜け落ちる隙間を無くすことができる。
従って、前記保持部によって、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0019】
また、上述したように、前記凸状保持部と前記凹状保持部とは、前記端子保護部に設けられたため、前記端子保護部と分離して設けられた場合と比してコンパクトに形成することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記保持部は、前記端子保護部に設けられた貫通孔に挿入されて係止する凸状の凸状係止部としてもよい。
この発明により、前記端子保護部に設けられた前記貫通孔に前記凸状係止部を挿入して係止することによって、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0021】
詳しくは、意に反する外力により、前記端子保護部と前記端子とが相対的に位置ずれしようとしても、前記端子保護部に設けられた前記貫通孔に係止された前記凸状係止部と、前記端子保護部に覆われた状態の前記端子とが当接することで、前記端子保護部と前記端子との相対的な位置ずれを阻止し、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記凸状係止部が前記端子保護部に設けられてもよい。
この発明により、前記端子保護部に設けられた前記貫通孔に前記凸状係止部を挿入して係止することによって、前記端子保護部における、前記凸状係止部が設けられた部位と、前記貫通孔が設けられた部位との間には、前記端子が抜け落ちる隙間を無くすことができるため、前記端子保護部を前記端子に対してしっかりと保持することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記凸状係止部は前記端子保護部と別体構成されてもよい。
この発明により、別体構成された前記凸状係止部と前記端子保護部とを、夫々に適した材質、形状となるように形成することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記端子保護部は、折り曲げて前記端子を挟み込み可能なシート状に形成されてもよい。
この発明により、前記端子保護部を折り曲げ、前記端子を挟み込むことで前記端子保護部により前記端子を容易に覆って保護することができる。
【0025】
詳しくは、前記端子を折り曲げる前の状態の前記端子保護部における所定の配置箇所に前記端子を目視しながら配置し、その状態で前記端子保護部を折り畳むことで前記端子を前記端子保護部で挟み込むようにして容易に覆うことができる。
【0026】
またこの発明の態様として、折り曲げ部で折り曲げられた前記端子保護部における前記折り曲げ部に対する少なくとも一方側に、前記保持部が設けられてもよい。
【0027】
この発明により、前記端子保護部を折り曲げる動作によって、前記端子を覆う動作と、前記保持部により前記端子保護部を前記端子に対して保持する動作とをまとめて行うことができる。
従って、前記端子を前記保持部によって容易に保持することができるとともに、前記端子保護部によって容易に覆うことができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記端子保護部は、内部に前記端子を挿通可能な筒状であり、前記保持部は、前記端子保護部に設置されるとともに、筒状の前記端子保護部の内面同士を近接させて、該端子保護部を前記端子に対して保持する構成としてもよい。
【0029】
この発明により、前記端子を前記端子保護部の内部に挿通するだけで、該端子を筒状の前記端子保護部によってしっかりと覆うことができる。
前記端子が前記端子保護部に覆われた状態において、筒状の前記端子保護部の内面同士を近接させるだけで該端子保護部を前記端子に対して容易に保持することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記端子保護部に、軸方向に沿って切込みが設けられてもよい。
前記切込みは、前記端子保護部における前記保持部の設置箇所を除く部位に設けることができるが、前記端子保護部における前記保持部の設置箇所の付近に設けられることが、近接する前記内面同士を離間させることよって前記保持部の保持を解除し易いため好ましい。
【0031】
この発明により、前記切込みを利用して前記端子保護部を軸方向に沿って切断し、前記端子保護部の内部を露出させることで前記保持部による保持を解除し易くなるため前記端子に対して前記端子保護部を容易に取り除くことができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記端子保護部を形成する前記緩衝素材は、前記発泡ゴム素材としてもよい。
この発明により、合成ゴムの中でも発泡ゴム素材は、ウレタンフォームであり、極めて微細で独立して分散させた高密度の気泡を含むセル構造であるため、緩衝作用に優れた前記端子保護部を形成することができる。
またこの発明は、電線の先端に端子が装着された端子付き電線と、上述した端子保護部材とが備えられ、前記端子保護部で前記端子を覆うとともに、前記保持部で前記端子保護部が前記端子に対して保持された端子保護構造体であることを特徴とする。
この発明により、前記端子をサイズや形状に関わらず、前記端子保護部材でしっかりと覆って保護することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、電線の先端に端子が装着された端子付き電線が複数設けられ、複数の前記端子が組付けられ、組付けられた複数の前記端子を前記端子保護部で覆ってもよい。
この発明により、組付けられた複数の前記端子に対しても前記端子保護部材でしっかりと覆って保護することができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、端子のサイズや形状に関わらず、該端子をしっかりと覆って保護することができる端子保護部材及び端子保護構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図3】(a)は
図2中のC-C線に沿った断面図、(b)は
図2中のD-D線に沿った要部の断面図
【
図4】本実施形態の端子保護部材に組合せ型のボルト締め端子を挿入した状態を示す外観図
【
図5】(a)は
図4のE-E線に沿った端面図、(b)は
図4中のF-F線に沿った断面図
【
図6】(a)は
図1のA-A線に沿った端面図、(b)は
図1中のB-B線に沿った断面図
【
図7】(a)は近接する内面同士を剥がす様子を
図3(a)に対応して示す端面図、(b)は近接する内面同士を剥がす様子を
図3(b)に対応して示す断面図
【
図9】変形例1の端子保護構造体を
図5(a)に対応して示す端面図、(b)は同じく
図6(a)に対応して示す端面図
【
図12】変形例2の端子保護部材に組合せ型のボルト締め端子を配置した状態を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図中、矢印Xは端子保護構造体1の幅方向、矢印Yは端子保護構造体1の長手方向、矢印Zは幅方向および長手方向に直交する方向、すなわち、端子保護構造体1の厚み方向を夫々示すものとする。さらに、図中、矢印Xaは幅方向一方側、矢印Xbは幅方向他方側、矢印Yaは長手方向一方側、矢印Ybは長手方向他方側、矢印Zaは厚み方向一方側、矢印Zbは厚み方向他方側を夫々示すものとする。
【0037】
図1、
図2に示すように、本実施形態の端子保護構造体1は、端子付きアース電線5と、端子付きアース電線5に有するアース端子4R,4Lを保護する端子保護部材10とが備えられている。
【0038】
端子付きアース電線5は、アース電線3Rの先端にアース端子4Rが圧着された端子付きアース電線5Rと、アース電線3Lの先端にアース端子4Lが圧着された端子付きアース電線5Lとの2本が備えられている。
【0039】
2つのアース端子4R,4Lは、何れも車体締結部41と電線保持部45とを有している。
アース端子4R,4Lの車体締結部41は、車体パネル等の車体側に不図示のボルト等で締結可能に板状に形成されている。アース端子4Rの車体締結部41は、貫通孔42Rが形成されるとともに、アース端子4Lの車体締結部41は、貫通孔42Lが形成されている。これら貫通孔42R,42Lは、何れも平面視中央部にボルトを挿通可能に形成されている。
【0040】
アース端子4Rの電線保持部45は、芯線圧着部46と被覆圧着部47とを有している。アース端子4Rの芯線圧着部46は、アース電線3Rの芯線に圧着されるとともに、アース端子4Rの被覆圧着部47は、アース電線3Rの芯線を覆う被覆部分に圧着されている。
【0041】
アース端子4Lの電線保持部45は、車体締結部41のX方向の中心に対してXa方向の側に備えるとともに、アース端子4Rの電線保持部45は、車体締結部41のX方向の中心に対してXb方向の側に備え、何れも車体締結部41からYb方向へ向かって互いに平行に延出されている。
【0042】
上述したようなアース端子4R,4Lを組み合わせることにより、車体パネルに一括して固定できる組合せ型アース端子4となる。
【0043】
組合せ型アース端子4は、各アース端子4R,4Lの車体締結部41に設けられた貫通孔42R,42LがZ方向に互いに重なり合うことにより、車体パネルへ締結用の固定ボルトが挿通される貫通孔42を構成する。また、端子付きアース電線5における、組合せ型アース端子4のYb方向の近傍には、2本のアース電線3R,3Lが2股状に分岐している。
なお、本実施形態の組合せ型アース端子4は、例えば、M6ボルトを挿通可能な貫通孔42を有し、M6ボルトに対応する端子サイズで形成されている。
【0044】
続いて本実施形態の端子保護部材10の構成について説明するが、組合せ型アース端子4を覆って保護する前の形状、すなわち変形前の形状に基づいて
図2、
図3(a)(b)を用いて説明する。
【0045】
本実施形態の端子保護部材10は、組合せ型アース端子4を覆って保護する端子保護部11と、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対して保持する挿通保持部21とを備えている。
【0046】
端子保護部11は、組合せ型アース端子4を挿入可能に円筒状に形成され、Y方向の両側に向けて開口する内部空間11sを有している。端子保護部11は、形状、大きさが異なる様々な組合せ型アース端子4を内部空間11sに挿入、すなわち収容して覆うことが可能に大型の組合せ型アース端子のサイズに対して余裕をもって大きく形成されている。
【0047】
本実施形態の端子保護部11は、本実施形態のM6ボルトに対応する組合せ型アース端子4を収容可能であるが、M8ボルトを挿通可能な貫通孔を有する大電流対応の組合せ型アース端子も収容可能に、本実施形態の組合せ型アース端子4のサイズに対して余裕をもって大きく形成されている。
【0048】
具体的に、端子保護部材10は、組合せ型アース端子4のX方向の最大長さよりも大きな内径を有するとともに、Y方向の全長を少なくとも覆うことが可能な長さを有している。
【0049】
端子保護部11は、全体が絶縁性を有することに加えて、外力に対して緩衝作用を有する素材で所定の厚みを有する円筒状に形成されている。なお、当例では端子保護部11は、発砲ゴムで形成されている。さらに、端子保護部11は、壁部12全体が外力に対して緩衝作用を有する所定の厚みとして当例では5mm程度の厚みを確保して形成されている。
【0050】
端子保護部11は、Y方向の直交断面視で円筒形状から中心を隔てて対向する内面12a同士が近接する偏平形状となるように変形するとともに元の円筒形状に復元可能に全体が弾性変形可能に形成されている。
【0051】
図2、
図3(a)(b)に示すように、挿通保持部21は、凸状保持部22と、該凸状保持部22と凹凸嵌合する凹状保持部23とが備えられ、何れも端子保護部11に設けられている。
【0052】
凸状保持部22と凹状保持部23とは、端子保護部11とは別体で設けられている。当例では凸状保持部22と凹状保持部23とは、合成樹脂素材で形成されているが、これに限らず、金属等、端子保護部11よりも硬質な素材で形成されることが好ましい。
【0053】
凸状保持部22と凹状保持部23とは、端子保護部11のY方向の直交断面視で中心を隔てて例えば
図3(a)(b)に示すように、Z方向の各側において互いに対向するように何れも端子保護部11の内面12aに設けられている。凸状保持部22と凹状保持部23とは、何れも端子保護部11の外面12bの側から固定ピン24等の固定手段で嵌合されることにより、端子保護部11の内面に設置されている。
【0054】
凸状保持部22は、端子保護部11の内面12aから径方向内側に向けてピン形状に突出する凸部分22aを有している。凹状保持部23は、端子保護部11の内面12aから径方向内側に向けてボス形状すなわち円筒形状に突出して形成されている。凹状保持部23には、凸状保持部22の凸部分22aと凹凸嵌合する凹部分23aを有している。
【0055】
なお、凸状保持部22と凹状保持部23とを端子保護部11に固定するための固定ピン24は、端子保護部11の外面12bに備えるため、端子保護部11の外側からでも目視可能である。さらに、固定ピン24は、凸状保持部22と凹状保持部23との夫々に対して端子保護部11の周方向およびY方向に一致するため、凸状保持部22と凹状保持部23との夫々の位置を示す目印としても機能する。
【0056】
また、円筒形状の凹状保持部23とピン形状の凸状保持部22とは、何れも組合せ型アース端子4の
図2に示す貫通孔42に挿通可能に該貫通孔42の内径よりも小さな外径で形成されている。
【0057】
また
図2、
図3(a)に示すように、端子保護部11には、該端子保護部11の互いに近接する内面12a同士を離間可能な切込み28が設けられている。切込み28は、端子保護部11の周方向における、凹状保持部23を隔てた両側に一対が設けられるとともに該凹状保持部23の付近に設けられている。
【0058】
図2に示すように、切込み28は、端子保護部11のY方向の全長に亘って直線状に形成されるとともに、端子保護部11のY方向に沿って貫通部28aと非貫通部28bとが交互に配設されたミシン目形状に形成されている。
【0059】
ここで、端子保護部11の周方向における、一対の切込み28の、凹状保持部23が設置された側の間部分を分離可能部16と設定するとともに、端子保護部11の周方向における、分離可能部16以外の部分を本体部15と設定する。分離可能部16は、一対の切込み28によって本体部15に対して分離可能に形成されている。
【0060】
続いて、組合せ型アース端子4を端子保護部材10よって保護する手順について
図2、
図4、
図5(a)(b)を用いて説明する。
図2に示すように、作業者は、固定ピン24を目印として組合せ型アース端子4に対する端子保護部材10の周方向の姿勢、すなわちY方向に延びる軸回りの姿勢を調節する。なお、本実施形態においては、作業者は、凸状保持部22と凹状保持部23とに対応する2つの固定ピン24を結ぶ方向と、組合せ型アース端子4の板厚方向とが一致する姿勢に調節する。本実施形態においては、2つの固定ピン24を結ぶ方向と、組合せ型アース端子4の板厚方向とは共にZ方向で一致するように姿勢調節する。
【0061】
作業者は、組合せ型アース端子4を円筒状の端子保護部11に対してY方向の両側のうち例えば、Yb方向の側から挿入する。さらに、作業者は、固定ピン24を目印として端子保護部11の内部空間11sにおいて、
図4、
図5(a)(b)に示すように組合せ型アース端子4の貫通孔42の位置と挿通保持部21との位置が端子保護部11のY方向において一致するまで挿入する。なお、作業者は、この挿入位置で組合せ型アース端子4を端子保護部材10の例えば、凸状保持部22の付近の内面12aに配置することで組合せ型アース端子4の貫通孔42に凸状保持部22が挿通された状態で配置することができ、組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を仮保持させることができる。
【0062】
さらにまた、作業者は、凸状保持部22と凹状保持部23とを筒状の端子保護部11の外面12bから組合せ型アース端子4の板厚方向の両側から、すなわちZ方向の両側から指先等で挟み込むように摘まむことで、端子保護部11における、凹状保持部23付近の内面12aと凸状保持部22付近の内面12aとを互いに近接させる。
【0063】
これにより、
図1、
図6(a)(b)に示すように、端子保護部11は偏平形状に変形し、凸状保持部22と凹状保持部23とが組合せ型アース端子4の貫通孔42に挿通された状態で互いに凹凸嵌合させることができる。
【0064】
従って、凸状保持部22と凹状保持部23、すなわち挿通保持部21は、組合せ型アース端子4の貫通孔42の周縁に係合可能となるため、組合せ型アース端子4から端子保護部11が取り外れないように組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を保持することができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、
図3(a)(b)に示すように、端子保護部11の内面12aにおける、Za方向の側に凹状保持部23を設置するとともに、Zb方向の側に凸状保持部22を設置したが、Za方向の側に凸状保持部22を設置するとともに、Zb方向の側に凹状保持部23を設置してもよい。すなわち、端子保護部11の分離可能部16に凸状保持部22を設置するとともに、本体部15に凹状保持部23を設置してもよい。
【0066】
続いて、組合せ型アース端子4を覆う端子保護部材10を該組合せ型アース端子4から取り外す手順について説明する。
図7(b)に示すように、作業者は、分離可能部16のY方向の両端部のうち、例えばYa方向の端部側を指先で摘まむなどしてYb方向の側へと捲り上げながら移動させる。
【0067】
これにより、端子保護部11のY方向に沿って設けられた切込み28がYa方向の端部側からYb方向の側へ切断されるため、
図7(a)(b)に示すように、分離可能部16と本体部15とは、互いの内面12a同士が近接した状態から離間させることができる。
【0068】
それに伴って端子保護部11における、分離可能部16に備えた凹状保持部23と、本体部15に備えた凸状保持部22との凹凸嵌合が解除される。従って、端子保護部材10を組合せ型アース端子4から取り外すことができ、組合せ型アース端子4を、組合せ型アース端子4の貫通孔42に挿通したボルトを用いて車体パネルに締結することができる。
【0069】
上述した実施形態の端子保護部材10は、
図1に示すように、アース電線3R,3Lの先端に装着された組合せ型アース端子4を覆って保護する端子保護部11と、該端子保護部11を組合せ型アース端子4に対して保持する挿通保持部21とが備えられ、端子保護部11は、緩衝作用を有する発泡ゴム素材で形成されているため、組合せ型アース端子4のサイズや形状に関わらず、組合せ型アース端子4を端子保護部11でしっかりと覆って保護することができる。
詳しくは、組合せ型アース端子4を発泡ゴム素材で形成された端子保護部11で覆うことで、例えば、ワイヤーハーネスを車体に配索時に、端子付きアース電線5を取り回す際に、組合せ型アース端子4が車体ボディや車載部品に対して接触しても、車体ボディや車載部品が傷付くことがなく保護することができる。
【0070】
さらに、端子保護部11は、組合せ型アース端子4を覆った状態において挿通保持部21によって保持されるため、組合せ型アース端子4のサイズや形状に関わらず、組合せ型アース端子4をしっかりと覆った状態に保つことができる。
【0071】
また、
図1、
図6(a)(b)に示すように、挿通保持部21は、組合せ型アース端子4に設けられた貫通孔42に挿通可能に形成されたため、挿通保持部21や組合せ型アース端子4に意に反する外力が作用しても、組合せ型アース端子4の貫通孔42に挿通した挿通保持部21と、該貫通孔42の周縁とが当接することで端子保護部11と組合せ型アース端子4との相対的な位置ずれを阻止することができる。
従って、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対してしっかりと保持することができる。
【0072】
また、
図1、
図2、
図3(a)(b)、
図6(a)(b)に示すように、挿通保持部21は、凸状保持部22と、該凸状保持部22と凹凸嵌合する凹状保持部23とが備えられ、凸状保持部22と凹状保持部23とが端子保護部11に設けられている。
【0073】
このため、端子保護部11の内部空間11sに設けられた凸状保持部22と凹状保持部23とを凹凸嵌合することによって、挿通保持部21は、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対してしっかりと保持することができる。
【0074】
詳しくは、凸状保持部22と凹状保持部23とは、端子保護部11に設けられたため、凸状保持部22と凹状保持部23とを凹凸嵌合することによって、端子保護部11の内部空間11sにおける、凸状保持部22が設けられた部位と、凹状保持部23が設けられた部位との間には、端子保護部11が組合せ型アース端子4に対してY方向の何れか一方の側へ取り外れる隙間を無くすことができる。
【0075】
すなわち、意に反する外力が作用しても、組合せ型アース端子4の貫通孔42の周縁と、挿通保持部21とが当接することで端子保護部11と組合せ型アース端子4とのY方向の相対的な位置ずれを阻止することができる。
【0076】
また、端子保護部11から組合せ型アース端子4を引き抜く方向はY方向であるのに対して、凸状保持部22と凹状保持部23との凹凸嵌合を解除する方向は、Z方向であり、互いに異なる方向となる。
【0077】
このため、例えば、端子保護部11に対する組合せ型アース端子4の引き抜き方向の外力が意に反して加わっても凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合が不用意に解除され難くすることができる。
上述により、挿通保持部21は、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対してしっかりと保持することができる。
【0078】
また、
図2、
図3(a)(b)に示すように、端子保護部11は、内部空間11sに組合せ型アース端子4を挿通可能な筒状であり、挿通保持部21は、端子保護部11の内面12aに設置されるとともに、
図1、
図6(a)(b)に示すように、筒状の端子保護部11の内面12a同士を近接させて、該端子保護部11を組合せ型アース端子4に対して保持する構成であるため、組合せ型アース端子4を筒状の端子保護部11の内部空間11sに挿通するだけで、該端子保護部11によって覆うことができる。
【0079】
さらに、組合せ型アース端子4が端子保護部11に覆われた状態において、筒状の端子保護部11の内面12a同士を近接させることで挿通保持部21は、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対して容易に保持することができる。
【0080】
また、
図1、
図2、
図3(a)(b)に示すように、端子保護部11における挿通保持部21の設置箇所の付近に、Y方向に沿って切込み28が設けられているため、近接する端子保護部11の内面12a同士を、切込み28を利用して
図7(a)(b)に示すように、引き剥がすことで、挿通保持部21による保持を解除しながら組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を容易に取り外すことができる。
【0081】
詳述すると、上述したように、凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合を解除する方向と、端子保護部11に対する組合せ型アース端子4の引き抜き方向とが異なるため、挿通保持部21によって、端子保護部11を組合せ型アース端子4に対してしっかりと保持できる。
【0082】
しかし、その反面、組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を取り外す際に、凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合を解除しながらスムーズに取り外すことは困難である。
【0083】
ここで、近接する端子保護部11の内面12a同士を切込み28を利用して引き剥がす方向と、凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合を解除する方向とは、共にY方向で略一致する。このため本実施形態においては、近接する端子保護部11の内面12a同士を切込み28を利用して引き剥がすことで、凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合を解除しながら組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を容易に取り外すことができる。
【0084】
続いて、上述した実施形態の端子保護部材10の変形例に係る端子保護部材10a,10bについて説明する。但し、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
(変形例1)
図8に示すように、変形例1の端子保護部材10aは、上述した実施形態の挿通保持部21に代えて挿通保持部21aを備えている。変形例1の挿通保持部21aは、端子保護部11に設けられた貫通孔25と、貫通孔25に挿入されて係止する凸状の凸状係止部26とを備えている。
【0086】
貫通孔25と凸状係止部26とは、何れも端子保護部11の内面12aにおける、該端子保護部11の中心を隔てて互いに対向する部位の夫々に設けられている。すなわち、貫通孔25は、上述した実施形態の端子保護部材10の凹状保持部23に対応する部位に設けられるとともに、凸状係止部26は、同じく凸状保持部22に対応する部位に設けられている。
【0087】
貫通孔25は、凸状係止部26を挿通可能に端子保護部11の壁部12に貫通して形成されている。凸状係止部26は、端子保護部11よりも硬質な素材で端子保護部11とは別体により形成され、端子保護部11の内面12aに設置されている。凸状係止部26は、固定ピン24等の固定手段で端子保護部11に対して嵌合されている。
なお、凸状係止部26は、凸状保持部22と同様に合成樹脂により形成されているが、これに限らず、金属等の他の素材で形成してもよい。
【0088】
凸状係止部26は、端子保護部11の内面12aから径方向内側に向けてピン形状に突出する本体軸部26aと、本体軸部26aの突出方向の先端部から径方向外側ほど突出方向基端側へ折り返された係止突部26bとが一体に設けられている。凸状係止部26は、係止突部26bを含めて組合せ型アース端子4の貫通孔42および端子保護部11に設けられた貫通孔25に挿通可能に形成されている。
【0089】
続いて、組合せ型アース端子4を端子保護部材10aよって保護する手順について説明する。
作業者は、組合せ型アース端子4を円筒状の端子保護部11に対して、Y方向の両側のうち何れか一方の側から、
図9(a)に示すように、組合せ型アース端子4の貫通孔42に凸状係止部26を挿通可能な部位まで挿入する。
【0090】
さらに、作業者は、挿通保持部21aにおける凸状係止部26と貫通孔25とを筒状の端子保護部11の外面12bの側から指先等で挟み込むように押圧することで、
図9(b)に示すように、凸状係止部26の係止突部26bが端子保護部11の外面12bの側へ突き出すまで凸状係止部26を貫通孔25に挿通させる。
【0091】
これにより、凸状係止部26が貫通孔25の縁部に係合することで、変形例1の挿通保持部21aは、組合せ型アース端子4に対して端子保護部11を保持することができる。
【0092】
また、端子保護部材10aを組合せ型アース端子4から取り外す際には、作業者は、上述した実施形態の端子保護部材10の場合と同じ要領で、分離可能部16のY方向の両端部のうち、例えばYa方向の端部側をYb方向の側へと捲り上げながら移動させればよい。
【0093】
これにより、凸状係止部26の係止突部26bを貫通孔25から抜き出すことができ、凸状係止部26と貫通孔25の縁部との係合を解除することができる。従って、端子保護部材10aを組合せ型アース端子4から取り外すことができる。
【0094】
(変形例2)
変形例2の端子保護部材10bは、円筒状の端子保護部11の代わりに
図10、
図11に示すように、シート状に形成された端子保護部11bを備えている。
変形例2の端子保護部11bは、
図11に示すように、全体が絶縁性を有することに加えて、外力に対して緩衝作用を有する素材で所定の厚みを有する矩形状に形成されている。さらに、変形例2の端子保護部11bは、X方向の略中間位置において2つ折りが可能な折り曲げ部14がY方向の全長に亘って形成されている。これにより、変形例2の端子保護部11bは、折り曲げ部14で折り曲げて組合せ型アース端子4を挟み込み可能に形成されている。
端子保護部11bの折り曲げ部14に対して一方側シート部131と他方側シート部132とは、組合せ型アース端子4の全体を覆うことが可能なX方向およびY方向の長さを有している。
【0095】
端子保護部11bの折り曲げ部14に対して一方側シート部131には、凸状保持部22が設けられるとともに、端子保護部11bの折り曲げ部14に対して他方側シート部132には、凹状保持部23が設けられている。凸状保持部22と凹状保持部23とは、端子保護部11bを折り曲げ部14で折り曲げた状態においてX方向およびY方向において一致する箇所に設けられている。
続いて、組合せ型アース端子4を端子保護部材10bによって保護する手順について説明する。
図12に示すように、作業者は、組合せ型アース端子4を端子保護部11bの折り曲げ部14に対して例えば、一方側シート部131に配置する。その際、端子保護部11bの折り曲げ部14に対して一方側シート部131に設けられた凸状保持部22を組合せ型アース端子4の貫通孔42に挿通させる。
【0096】
さらに、作業者は、端子保護部11bを折り曲げ部14で谷折りすることで、折り曲げ部14に対して一方側シート部131と他方側シート部132とによって組合せ型アース端子4を挟み込むことができる。
【0097】
さらにまた、作業者は、端子保護部11bを、端子保護部11bの折り曲げ部14に対して一方側シート部131における、凸状保持部22付近の内面12aと、他方側シート部132における、凹状保持部23付近の内面12aとが互いに近接するように変形させる。
【0098】
これにより、
図10に示すように、凸状保持部22と凹状保持部23とが組合せ型アース端子4の貫通孔42に挿通された状態で互いに凹凸嵌合させることができ、上述したように、挿通保持部21によって組合せ型アース端子4から端子保護部11bが取り外れないように端子保護部11bを保持することができる。
【0099】
また、端子保護部材10bを組合せ型アース端子4から取り外す際には、作業者は、2つ折りした端子保護部11bにおける、互いに近接する一方側シート部131と他方側シート部132とを自由端側であるXa方向の端部から分離させるように捲り上げればよい。
【0100】
これにより、凸状保持部22と凹状保持部23との嵌合を解除することができる。従って、端子保護部材10bを組合せ型アース端子4から取り外すことができる。
【0101】
なお、組合せ型アース端子4から取り外した端子保護部11bは、シート状、すなわち一枚物であり、一方側シート部131と他方側シート部132とが2枚に分離しないため、廃棄処分を容易に行える。
【0102】
また、変形例2の端子保護部材10bは、挿通保持部21、すなわち凸状保持部22と凹状保持部23を設けたが、挿通保持部21a、すなわち貫通孔25と凸状係止部26を設けてもよい。
【0103】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、端子付き電線は、端子付きアース電線5R,5Lに対応し、同様に
電線は、アース電線3R,3Lに対応し、
端子は、アース端子4R,4Lに対応し、
軸方向は、Y方向に対応し、
端子保護部の内部は、内部空間11sに対応し、
組付けられた複数の端子は、組合せ型アース端子4に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0104】
例えば、本発明のボルト締め端子は、組合せ型アース端子4に限らず、1枚の平板状の丸端子でもよく、また、アース端子4R,4Lに限らず、スターターモータの端子として適用してもよい。
【0105】
また、本発明の端子保護部は、上述した筒状の端子保護部11,11a、或いはシート状の端子保護部11bに限らず、筒状のY方向の一端が封止され、他端が開口する袋状であってもよく、また、端子を挟み込むように互いに重ね合わせ可能な2枚のシート状に形成されてもよい。
【0106】
また、上述した切込み28は、例えば、端子保護部11において1つまたは3つ以上の複数が形成されてもよく、端子保護部11のY方向の全長に亘って形成される場合に限らず、少なくとも一部に形成されてもよい。また、切込み28は、円筒状の端子保護部11に限らず、変形例2の端子保護部11bに形成されてもよい。
【0107】
また、上述したように、作業者は、組合せ型アース端子4を端子保護部11の内部空間11sに挿入した際に、該組合せ型アース端子4の貫通孔42と挿通保持部21とをY方向および周方向において一致させる必要がある。
【0108】
このような貫通孔42と挿通保持部21との位置調節は、端子保護部11の内部空間11sが外部から目視困難であるが、上述したように、端子保護部11の外面12bに、内面12aに設置された挿通保持部21の位置を示す固定ピン24等の目印を利用することで容易に位置調節することができる。
【0109】
但し、凸状保持部22と凹状保持部23とを端子保護部11に固定する固定手段は、固定ピン24のように目印としての機能を有することに限定せず、固定ピン24以外の固定手段を採用してもよい。
【0110】
例えば、端子保護部11の外面12bに固定ピン24等の目印を設けていない場合には、作業者が端子保護部11の内部空間11sに挿入した組合せ型アース端子4が、凹状保持部23または凸状保持部22に当接した際の感触に基づいて挿通保持部21に対する組合せ型アース端子4の貫通孔42の位置調節を行うことができる。
すなわち、作業者は、端子保護部11の内部において、目視によらずとも組合せ型アース端子4の貫通孔42に凸状保持部22が挿通させることができる。
【符号の説明】
【0111】
1,1a,1b…端子保護構造体
3R,3L…アース電線
4R,4L…アース端子
4…組合せ型のボルト締め端子
5R,5L…アース端子付き電線
10,10a,10b…端子保護部材
11,11b…端子保護部
11s…内部空間
12a…筒状の前記端子保護部の内面
14…折り曲げ部
21,21a…挿通保持部
22…凸状保持部
23…凹状保持部
25…端子保護部に設けられた貫通孔
26…凸状係止部
28…切込み
42…貫通孔
131…端子保護部における折り曲げ部に対する一方側
132…端子保護部における折り曲げ部に対する他方側