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  • 特開-シート剥離装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107852
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】シート剥離装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20240802BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012002
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】下舘一輝
(72)【発明者】
【氏名】西東洋輔
(72)【発明者】
【氏名】緑川瑠樹
(72)【発明者】
【氏名】高井直樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野翔
【テーマコード(参考)】
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
3F108GA10
3F108GB01
3F108HA02
4F211AA10
4F211AC03
4F211AD06
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH53
4F211AR07
4F211AR12
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SJ11
4F211SN13
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】装置全体の横幅(フットプリント)を大きくすることなく、ラミネート定着装置と連結でき、かつ、排出されるラミネート済みのシートをまとめて回収できるシート剥離装置を提供する。
【解決手段】2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートの2枚のシートを剥離し、2枚のシートの間に少なくとも1枚のシート状媒体を挿入するシート剥離装置に関する。
本発明のシート剥離装置は、シート剥離装置シート状媒体を挟持した2枚重ねシートをラミネート処理するラミネート定着装置を搭載可能な上面と、ラミネート定着装置の排出口から排出されるラミネート処理されたシート状媒体を挟持した2枚重ねシートを積載する、上面に設置された排紙トレイと、ラミネート定着装置と連結し、シート剥離装置から、シート状媒体を挟持した2枚重ねシートをラミネート定着装置に搬送する搬送部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートの前記2枚のシートを剥離し、前記2枚のシートの間に少なくとも1枚のシート状媒体を挿入するシート剥離装置であって、
前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートをラミネート処理するラミネート定着装置を搭載可能な上面と、
前記ラミネート定着装置の排出口から排出されるラミネート処理された前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートを積載する、前記上面に設置された排紙トレイと、
前記ラミネート定着装置と連結し、シート剥離装置から、前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートを前記ラミネート定着装置に搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記シート剥離装置の前記上面に対する、前記ラミネート定着装置の高さを調整する高さ調整機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
前記ラミネート定着装置の前記排出口に対する、前記排紙トレイのシート排出方向における位置を調整する位置調整機構を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート剥離装置。
【請求項4】
前記ラミネート定着装置は、前記シート剥離装置の前記上面に着脱可能に搭載されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
ラミネート処理は、従来、ユーザが一連の作業を手作業で行っていたため、多数枚のラミネート処理を行う場合、大変手間が掛かっていた。
【0004】
そのため、回転部材に2枚重ねシートを巻き付け、幾何学的な関係から内周側シートと外周側シートの間に巻き付け周長差を生じさせることで、2枚重ねシートの2枚のシートを剥離するシート剥離装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ラミネート処理を自動化する目的で、フィルムの2枚のシートを分離する装置に、ラミネート加工装置を直列に連結させた構成も提案されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の構成は、シートを分離する装置の搬送方向下流にラミネート加工装置が水平に配置されているため、横幅(フットプリント)が大きいという問題があった。
【0007】
また、ユーザがラミネート処理済みのシートを1枚ごとに取り除く構成であり、多数枚のラミネート処理を行う場合、作業性が悪くなるという問題もあった。
【0008】
そこで本発明は、装置全体の横幅(フットプリント)を大きくすることなく、ラミネート定着装置と連結でき、かつ、排出されるラミネート済みのシートをまとめて回収できるシート剥離装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートの前記2枚のシートを剥離し、前記2枚のシートの間に少なくとも1枚のシート状媒体を挿入するシート剥離装置であって、前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートをラミネート処理するラミネート定着装置を搭載可能な上面と、前記ラミネート定着装置の排出口から排出されるラミネート処理された前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートを積載する、前記上面に設置された排紙トレイと、前記ラミネート定着装置と連結し、シート剥離装置から、前記シート状媒体を挟持した2枚重ねシートを前記ラミネート定着装置に搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするシート剥離装置によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート剥離装置は、その上面にラミネート定着装置を搭載できるため、装置全体の横幅(フットプリント)を大きくすることなく、一連のラミネート処理を実施できる。また、その上面に設置された排紙トレイにより、排出されるラミネート済みのシートをまとめて回収できる。したがって、従来に比べて作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るシート剥離装置の構成を示す正面図である。
図2図1のシート剥離装置を上から見た平面図である。
図3】ラミネート定着装置の高さを調整する高さ調整機構を示す正面図であって、(a)は高さ調整前の状態を示し、(b)は高さ調整後の状態を示す。
図4】排紙トレイの位置調整機構を示す正面図であって、(a)は位置調整前の状態を示し、(b)は位置調整後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係るシート剥離装置の構成を示す正面図であり、図2図1のシート剥離装置を上から見た平面図である。本実施形態のシート剥離装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内に中紙Pを挿入して挟持させるものである。
【0013】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0014】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0015】
本実施形態のシート剥離装置100は、その上面100aに、中紙Pを挟持したシートS(以下、シートSpという)をラミネート処理するラミネート定着装置20と、ラミネート処理されたシートSpを積載する排紙トレイ40とを備える。また、シート剥離装置100は、ラミネート定着装置20と連結し、シート剥離装置100から、シートSpをラミネート定着装置20に搬送する搬送部30を備える。
【0016】
ラミネート定着装置20は、シート剥離装置100の上面100aに着脱可能に搭載できる。また、シート剥離装置100とは別筐体(ラミネータ、又はラミネート機器)であってもよい。また、排紙トレイ40は、ラミネート定着装置20のシート排出方向下流に配置されており、ラミネート定着装置20の排出口23から排出されるシートSpを積載する。
【0017】
搬送部30は、シート剥離装置100の搬送方向下流に配置されており、シートSpを180°反転させてラミネート定着装置20へ搬送する搬送路32を有する。したがって、ラミネート定着装置20の搬送方向Cは、シート剥離装置100の搬送方向Aに対し、反対方向である。
【0018】
続いて、本実施形態のシート剥離装置100による、シートSの給送、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を説明する。
【0019】
ここで、本出願人は、シートSを剥離する技術(回転部材に2枚重ねシート(シートS)を巻き付け、幾何学的な関係から内周側シートと外周側シートの間に巻き付け周長差を生じさせることで、2枚重ねシートの2枚のシートを剥離する)について、特許文献1として出願済みである。以下では、本発明に必要な構成及び動作について説明する。
【0020】
シート剥離装置100は、シートSを積載するシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、入口ローラ対108とを備える。またシート剥離装置100は、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0021】
さらにシート剥離装置100は、ピックアップローラ105及びピックアップローラ106の下流に、入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109及び従動ローラ110とからなるローラ対と、出口ローラ対113などを備える。
【0022】
本実施形態のシート剥離装置100は、図1に示すように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載する。ここで、シートSは、シートトレイ102上にシートSの2枚のシートが接合された一部がそのシートSにおけるピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流流側に位置するように積載する。
【0023】
シート剥離装置100は、シートSをピックアップローラ105にてピックし、巻付けローラ109と従動ローラ110とからなるローラ対によって矢印Aの方向へ搬送し、出口ローラ対113に送る。
【0024】
次に、出口ローラ対113と巻付けローラ109は回転方向を反転し、シートSを矢印Bの方向へ搬送する。矢印B方向へ搬送されたシートSは巻付けローラ109に巻き付けられる。シートSを巻付けローラ109に1周以上巻き付けると、シートSの搬送方向先端(シートの接合されていない側)は、巻付けローラ109に対し固定される。
【0025】
さらにシートを巻付けローラ109に巻き付けると、シートの2枚のシートである内周側にあるシートと外周側にあるシートに周長差(巻き付け量の差)が生じ、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間で、シートSが剥離し始める。
【0026】
そして、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間に、内周側シートの弛みが集まることで、内周側シートと外周側シートの間に隙間(空間)を生じさせることができる。
【0027】
この後、シート剥離装置100は、シートSに生じた隙間に対し、両側から剥離爪(不図示)を挿入し、更に搬送を続けることで、シートSを大きく開口させる。
【0028】
次いで、シート剥離装置100は、入口ローラ対108を回転し、シートトレイ102から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送方向A方向に向けて搬送する。そして、中紙Pは、シートSに接合部に突き当たるように挿入される。そして、シート剥離装置100は、出口ローラ対113を時計回りに回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0029】
中紙Pが挿入されたシートS(シートSp)は、シート剥離装置100の排出口115から搬送部30内の搬送路32を通過して、ラミネート定着装置20へ搬送される。
【0030】
なお、シート剥離装置100の一連の動作(シートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作)についての詳細な説明は、特許文献1(段落[0035]~[0056]など)を参照されたい。
【0031】
ラミネート定着装置20は、ラミネート(熱定着)するシートの入口であるシート挿入口21と、加熱手段を有する熱加圧ローラ対22などを備える。熱加圧ローラ対22によって、シートSpは加熱及び加圧(ラミネート処理)される。
【0032】
2枚重ねシートがラミネートフィルムである場合、フィルムの内側に塗布された糊剤(材質はEVA)が融点に達して溶融し、互いに接着される。このようにしてラミネート処理されたシートSpは、排出ローラを介してラミネート定着装置20から排出される。
【0033】
ラミネート定着装置20は、シート剥離装置100とは別筐体であり、市販の(既存の)いわゆるラミネート機器を用いることができる。また、ラミネート機器は、様々なメーカから市販されており、サイズ及び/又はラミネート(定着)処理速度も様々なものがある。処理速度に関しては、例えば、1分あたり1枚~3枚のものが主流である。
【0034】
ラミネート定着装置20から排出されたラミネート処理済みのシートSpは、排紙トレイ40の上に積載される。この排紙トレイ40は、多数枚のラミネート処理済みシートSpを連続して積載できる。そのため、従来のラミネート機器のように、ユーザが1枚1枚排出されたシートを取り除く必要がなく、作業性を向上できる。
【0035】
このように、本実施形態のシート剥離装置100は、シートSの給送、剥離、中紙Pの挿入、熱加圧による接着、及び、ラミネート処理済みシートのスタックまでの一連の動作を、人手を介さずに自動で実施でき、従来技術よりも作業性を向上できる。
【0036】
また、本実施形態のシート剥離装置100は、その上面にラミネート定着装置20を搭載可能であるため、装置全体の横幅(フットプリント)が大きくならず、有利である。
【0037】
続いて、本発明の有利な構成について説明する。
【0038】
(その1)
図3は、ラミネート定着装置の高さを調整する高さ調整機構を示す正面図であって、(a)は高さ調整前の状態を示し、(b)は高さ調整後の状態を示す。なお、図3において、図1と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0039】
シート剥離装置100には、既存のラミネート定着装置(ラミネータ)を搭載可能であるが、その機種によっては、高さが合わずに、シート剥離装置100からのシートSを受け入れられないケースがある。
【0040】
すなわち、搬送部30の搬送路32の出口と、ラミネート定着装置20aのシート挿入口21との高さが異なると、搬送部30からのシートSpをラミネート定着装置20a内に搬送できない(図3(a))。
【0041】
その場合、シート剥離装置100の上面100aに設けた高さ調整機構50によって、ラミネート定着装置20a(のシート挿入口21)の高さ(上面100aに対する高さ)を調整する(図3(b))。
【0042】
高さ調整機構50は、例えば、高さ調整用レール52に沿って装置保持部材54が上下方向に移動可能な機構である。この装置保持部材54にラミネート定着装置20aを設置し、ラミネート定着装置20aのシート挿入口21と、搬送部30の搬送路32の出口との高さを調整することで、安定したシートSpの搬送ができる。
【0043】
なお、高さ調整機構50の一例として、ラック&ピニオンを用いる(高さ調整用レール52をラックで構成し、装置保持部材54にピニオンギアを設ける)ことができる。手動又はモータ駆動によってピニオンギアを回転することで、装置保持部材54を高さ調整用レール52に沿って移動できる。
【0044】
(その2)
図4は、排紙トレイの位置調整機構を示す正面図であって、(a)は位置調整前の状態を示し、(b)は位置調整後の状態を示す。なお、図4において、図1と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0045】
図4(a)に示すように、シート剥離装置100に搭載したラミネート定着装置20bが水平方向に長いと、ラミネート処理済みシートが排紙トレイ40上に適切に積載されないケースがある。これは、ラミネート定着装置が水平方向に短い場合でも同様である。
【0046】
そのような場合、図4(b)に示すように、シート剥離装置100の上面100aに設けた位置調整機構56によって、排紙トレイ40をシート排出方向(又は、その反対方向)に移動し、ラミネート定着装置20aの排出口23に対する位置を調整する。
【0047】
位置調整機構56は、例えば、レールなどの支持部材を有し、排紙トレイ40を支持するとともに、水平方向に移動できる機構である。
【0048】
したがって、ラミネート処理後のシートSpを安定して排紙トレイ40へ排出することができる。また、ラミネート処理済みのシートSpに不必要な外力を与えることなくスタック(積載)できるので、シートにカールが発生することを抑制でき、品質を安定させることができる。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、有利な構成(その1、2)を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
20、20a、20b ラミネート定着装置
21 シート挿入口
22 熱加圧ローラ対
23 排出口
30 搬送部
32 搬送路
40 排紙トレイ
50 高さ調整機構
52 高さ調整用レール
54 装置保持部材
56 位置調整機構
100 シート剥離装置
100a 上面
102 シートトレイ
103 給紙トレイ
105、106 ピックアップローラ
108 入口ローラ対
109 巻付けローラ
110 従動ローラ
113 出口ローラ対
115 排出口
P 中紙
S シート
Sp 中紙Pを挟持したシートS
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2020-121868号公報
【特許文献2】特開2011-68115号公報
図1
図2
図3
図4