(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107938
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】投写用光学系および投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/16 20060101AFI20240802BHJP
G02B 13/04 20060101ALI20240802BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240802BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G02B13/16
G02B13/04
G03B21/00 D
G03B21/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012146
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永利 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】川名 正直
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA03
2H087LA27
2H087MA07
2H087PA13
2H087PA15
2H087PA18
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB16
2H087PB17
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA45
2K203FA03
2K203FA06
2K203FA23
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA34
2K203FA43
2K203FA62
2K203GC04
2K203GC05
2K203GC20
2K203HA02
2K203HA82
2K203HB22
2K203HB25
2K203MA04
2K203MA27
2K203MA32
(57)【要約】
【課題】明るく大きな投写像をスクリーン近傍から投写可能な小型の投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供する。
【解決手段】投写用光学系は、縮小側の表示素子の表示面に表示される画像を拡大側の投写面に投写し、パワーを有する反射面を含まず、光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含む。投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までの全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHe、表示面における最大有効光線の光軸からの高さをImax、投写用光学系の焦点距離をfとした場合、投写用光学系は、ΣTHe<70mm、および1.7<Imax/|f|を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小側の表示素子の表示面に表示される画像を拡大側の投写面に投写する投写用光学系であって、
パワーを有する反射面を含まず、
前記投写用光学系の光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含み、
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれる全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHe、
前記表示面における最大有効光線の光軸からの高さをImax、
前記投写用光学系の焦点距離をf、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はfを広角端における値とし、
mmを長さの単位のミリメートルとした場合、
ΣTHe<70mm (1)
1.7<Imax/|f| (2)
で表される条件式(1)および(2)を満足する投写用光学系。
【請求項2】
前記投写用光学系の光路内に前記光路偏向面を2つのみ含み、
拡大側の前記光路偏向面から縮小側の前記光路偏向面までの光軸上の距離をd1、
縮小側の前記光路偏向面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をd2、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はd1およびd2を広角端における値とした場合、
d1<70mm (3)
d2<100mm (4)
で表される条件式(3)および(4)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項3】
前記表示素子における前記画像を表示可能な最大領域の最長の径をDLとした場合、
Imax/DL<0.78 (5)
で表される条件式(5)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項4】
前記投写面における最大有効光線の光軸からの高さをYmax、
拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の前記投写用光学系の近軸像倍率をβ、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はβを広角端における値とした場合、
-0.05<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.05 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項5】
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHpw、
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する光学素子のうち、d線に対する屈折率が1.8以上の全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTH18とした場合、
0.27<ΣTH18/ΣTHpw<0.5 (7)
で表される条件式(7)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項6】
前記投写用光学系の内部に中間像が形成される請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項7】
前記投写用光学系の光路内に前記光路偏向面を2つのみ含み、
拡大側の前記光路偏向面と、縮小側の前記光路偏向面の縮小側に隣接する面との間の光路に前記中間像が形成される請求項6に記載の投写用光学系。
【請求項8】
前記中間像より縮小側に開口絞りを含み、
前記開口絞りの実像が前記中間像より拡大側の前記投写用光学系の内部に存在し、
縮小側の有効像円の最外周から発して拡大側へ向かい前記開口絞りの中心を通過した光線が前記中間像より拡大側で光軸と交差する位置をEnp(Imax)、
前記開口絞りの近軸像の位置をEnp(0)、
Enp(0)からEnp(Imax)までの光軸上の空気換算距離をDifE、
DifEの符号は、Enp(0)を基準として縮小側の距離を正、拡大側の距離を負とし、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はDifEを広角端における値とした場合、
-3<DifE/Imax<-0.2 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項6に記載の投写用光学系。
【請求項9】
最も拡大側のレンズは、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項10】
前記光路偏向面の少なくとも1つは反射ミラーの面である請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項11】
前記光路偏向面の少なくとも1つはプリズムの面である請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項12】
30mm<ΣTHe<70mm (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項13】
2<Imax/|f|<3.5 (2-1)
で表される条件式(2-1)を満足する請求項1に記載の投写用光学系。
【請求項14】
10mm<d1<50mm (3-1)
で表される条件式(3-1)を満足する請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項15】
20mm<d2<75mm (4-1)
で表される条件式(4-1)を満足する請求項2に記載の投写用光学系。
【請求項16】
0.65<Imax/DL<0.72 (5-1)
で表される条件式(5-1)を満足する請求項3に記載の投写用光学系。
【請求項17】
-0.03<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.03 (6-1)
で表される条件式(6-1)を満足する請求項4に記載の投写用光学系。
【請求項18】
0.3<ΣTH18/ΣTHpw<0.4 (7-1)
で表される条件式(7-1)を満足する請求項5に記載の投写用光学系。
【請求項19】
-2.5<DifE/Imax<-0.5 (8-1)
で表される条件式(8-1)を満足する請求項8に記載の投写用光学系。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の投写用光学系を備えた投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、投写用光学系、および投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型表示装置に適用可能な光学系として下記の特許文献1および特許文献2に記載の光学系が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6939469号明細書
【特許文献2】特開2022-124901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリーン近傍から大画面を投写可能な投写用光学系が要望されている。大画面を投写するためには、明るい投写型表示装置であることが求められる。また、様々な場所で投写可能なように、小型に構成されて携帯性に優れた投写型表示装置が求められている。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みなされたものであり、明るく大きな投写像をスクリーン近傍から投写可能な小型の投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、縮小側の表示素子の表示面に表示される画像を拡大側の投写面に投写する投写用光学系であって、パワーを有する反射面を含まず、投写用光学系の光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含み、投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれる全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHe、表示面における最大有効光線の光軸からの高さをImax、投写用光学系の焦点距離をf、投写用光学系が変倍光学系の場合はfを広角端における値とし、mmを長さの単位のミリメートルとした場合、
ΣTHe<70mm (1)
1.7<Imax/|f| (2)
で表される条件式(1)および(2)を満足する。
【0007】
上記態様の投写用光学系は、
30mm<ΣTHe<70mm (1-1)
2<Imax/|f|<3.5 (2-1)
で表される条件式(1-1)および(2-1)の少なくとも一方を満足することが好ましい。
【0008】
上記態様の投写用光学系は、投写用光学系の光路内に光路偏向面を2つのみ含み、拡大側の光路偏向面から縮小側の光路偏向面までの光軸上の距離をd1、縮小側の光路偏向面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をd2、投写用光学系が変倍光学系の場合はd1およびd2を広角端における値とした場合、
d1<70mm (3)
d2<100mm (4)
で表される条件式(3)および(4)を満足することが好ましい。
【0009】
上記態様の投写用光学系は、条件式(3)および(4)を満足した上で
10mm<d1<50mm (3-1)
20mm<d2<75mm (4-1)
で表される条件式(3-1)および(4-1)の少なくとも一方を満足することがより好ましい。
【0010】
表示素子における画像を表示可能な最大領域の最長の径をDLとした場合、上記態様の投写用光学系は、
Imax/DL<0.78 (5)
で表される条件式(5)を満足することが好ましく、
0.65<Imax/DL<0.72 (5-1)
で表される条件式(5-1)を満足することがより好ましい。
【0011】
投写面における最大有効光線の光軸からの高さをYmax、拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の投写用光学系の近軸像倍率をβ、投写用光学系が変倍光学系の場合はβを広角端における値とした場合、上記態様の投写用光学系は、
-0.05<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.05 (6)
で表される条件式(6)を満足することが好ましく、
-0.03<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.03 (6-1)
で表される条件式(6-1)を満足することがより好ましい。
【0012】
投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHpw、投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する光学素子のうち、d線に対する屈折率が1.8以上の全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTH18とした場合、上記態様の投写用光学系は、
0.27<ΣTH18/ΣTHpw<0.5 (7)
で表される条件式(7)を満足することが好ましく、
0.3<ΣTH18/ΣTHpw<0.4 (7-1)
で表される条件式(7-1)を満足することがより好ましい。
【0013】
投写用光学系の内部に中間像が形成されることが好ましい。
【0014】
上記態様の投写用光学系は、投写用光学系の光路内に光路偏向面を2つのみ含み、拡大側の光路偏向面と、縮小側の光路偏向面の縮小側に隣接する面との間の光路に中間像が形成されることが好ましい。
【0015】
上記態様の投写用光学系は、中間像より縮小側に開口絞りを含み、開口絞りの実像が中間像より拡大側の投写用光学系の内部に存在し、縮小側の有効像円の最外周から発して拡大側へ向かい開口絞りの中心を通過した光線が中間像より拡大側で光軸と交差する位置をEnp(Imax)、開口絞りの近軸像の位置をEnp(0)、Enp(0)からEnp(Imax)までの光軸上の空気換算距離をDifE、DifEの符号は、Enp(0)を基準として縮小側の距離を正、拡大側の距離を負とし、投写用光学系が変倍光学系の場合はDifEを広角端における値とした場合、
-3<DifE/Imax<-0.2 (8)
で表される条件式(8)を満足することが好ましく、
-2.5<DifE/Imax<-0.5 (8-1)
で表される条件式(8-1)を満足することが好ましい。
【0016】
最も拡大側のレンズは、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有するように構成してもよい。
【0017】
光路偏向面の少なくとも1つは反射ミラーの面であるように構成してもよい。光路偏向面の少なくとも1つはプリズムの面であるように構成してもよい。
【0018】
本開示の別の態様は、上記態様の投写用光学系を備える投写型表示装置である。
【0019】
なお、本明細書の「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、マスク、フィルタ、カバーガラス、平面ミラー、およびプリズム等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0020】
複合非球面レンズ(レンズ(例えば球面レンズ)と、そのレンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する屈折力の符号および面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域のものを用いる。条件式で用いている「光軸上の距離」は、特に断りが無い限り、幾何学的距離である。条件式で用いている「焦点距離」は、近軸焦点距離である。条件式で用いている値は、d線を基準とした場合の値である。条件式で用いている「mm」は、長さの単位のミリメートルである。
【0021】
本明細書に記載の「d線」、「C線」、および「F線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)として扱う。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、明るく大きな投写像をスクリーン近傍から投写可能な小型の投写用光学系、およびこの投写用光学系を備えた投写型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1の投写用光学系に対応し、一実施形態に係る投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図3】
図1の投写用光学系の光路を展開した断面図において、Enp(0)およびEnp(Imax)を示す図である。
【
図4】
図3の部分拡大図においてDifEを示す図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)、および
図5(C)は、回転対称な形状の一部が欠落したレンズの形状の例を示す図である。
【
図7】実施例2の投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図9】実施例3の投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図10】
図9の投写用光学系の光路を展開した構成および光束を示す断面図である。
【
図11】実施例3の投写用光学系の各収差図である。
【
図12】実施例4の投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図13】実施例4の投写用光学系の各収差図である。
【
図14】実施例5の投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図15】実施例5の投写用光学系の各収差図である。
【
図16】実施例6の投写用光学系の構成および光束を示す断面図である。
【
図17】実施例6の投写用光学系の各収差図である。
【
図18】一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【
図19】別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【
図20】さらに別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について説明する。
【0025】
図1に、本開示の一実施形態に係る投写用光学系の構成および光束の断面図を示す。
図1では、光束として、軸上光束、および最大画角の光束を示す。
図1に示す例は後述の実施例1の投写用光学系に対応している。
【0026】
図1では、投写用光学系が投写型表示装置に搭載されることを想定して、投写用光学系の縮小側に光学部材PP、およびライトバルブの表示面Simを配置した例を示す。ライトバルブは光学像を出力する表示素子であり、この光学像は表示面Simに画像として表示される。ライトバルブとしては、例えば、液晶表示素子、又はDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:登録商標)等の画像表示素子を用いることができる。光学部材PPは、フィルタ、カバーガラス、および色合成プリズム等を想定した部材である。光学部材PPは屈折力を有しない部材である。光学部材PPの材料、長さ、および部品数を適宜変更することは可能であり、また、光学部材PPを省略した構成も可能である。
【0027】
投写用光学系は、例えば、投写型表示装置に搭載されて、縮小側の表示素子の表示面Simに表示される画像を拡大側の投写面に投写する。投写型表示装置においては、表示面Simで画像情報を与えられた光束が光学部材PPを介して投写用光学系に入射され、投写用光学系により投写面であるスクリーンScrに投写される。すなわち、表示面SimとスクリーンScrとは光学的に共役な位置にある。表示面Simが縮小側共役面に対応し、スクリーンScrが拡大側共役面に対応する。なお、本明細書において「スクリーンScr」は、投写用光学系が形成する投写像が投写される対象物を意味する。スクリーンScrとしては、専用のスクリーンの他、部屋の壁面、床面、天井、および建物の外壁等でもよい。
【0028】
また、本明細書の説明において、「拡大側」は光路上でのスクリーンScr側を意味し、「縮小側」は光路上での表示面Sim側を意味する。本明細書では、「拡大側」および「縮小側」は、光路に沿って決められるものである。また、構成要素の配置に関する「隣接」は、光路上における並び順として隣り合っていることを意味する。以下では、説明が冗長になるのを避けるため、「拡大側から縮小側へ光路に沿って順に」を「拡大側から縮小側へ順に」と記すことがある。
【0029】
一例として、
図1の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L12と、反射ミラーMr1と、レンズL13と、反射ミラーMr2と、レンズL14~L17と、開口絞りStと、レンズL18~L21とを含む。
図1に示す開口絞りStは、大きさおよび形状を示すのではなく、光軸方向の位置を示す。
【0030】
反射ミラーMr1および反射ミラーMr2は、光路を折り曲げる光路偏向部材である。反射ミラーMr1は平面状の反射面R1を有する。反射ミラーMr2は平面状の反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面である。反射面R1および反射面R2それぞれにおいて光路が90度折り曲げられる。
【0031】
本開示の投写用光学系は、パワーを有する反射面を含まないように構成される。パワーを有する反射面を含む投写用光学系では一般に、この反射面で反射された光軸近傍の光束が投写型表示装置によって遮光されて投写像の形成に用いることができない。そこで、この遮光を避けるべく表示面Simの画像の中心位置を投写用光学系の光軸Zからシフトさせるように構成することになり、このシフト量が大きくなることが多い。そのため、パワーを有する反射面を含む投写用光学系では、パワーを有する反射面のサイズが大きくなりがちであり、小型化が困難である。これに対して、本開示の投写用光学系は、パワーを有する反射面を含まないため、光軸近傍の光束も投写像の形成に使用可能となり、上記シフトを行う場合でもシフト量を小さくすることができる。シフト量を小さくすることによって各光学素子の小型化が可能となるため、光学系全体の小型化に繋げることができる。
【0032】
本開示の投写用光学系は、投写用光学系の光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含む。光路を折り曲げることによって光学系をコンパクトに構成することができるため、小型化に寄与することができる。なお、上記の「90度」は、本開示の技術が属する技術分野で実用上許容される誤差を含む。誤差は例えば-1度以上かつ+1度以下となる範囲とすることができる。
【0033】
光路偏向面の少なくとも1つは反射ミラーの面であってもよい。このようにした場合は、軽量化に有利となる。反射ミラーは、金属ミラーでもよく、誘電体多層膜ミラーでもよい。光路偏向面の少なくとも1つはプリズムの面であってもよい。このようにした場合は、組立の際の性能確保に有利となる。反射膜が形成されたプリズムの面を光路偏向面としてもよく、全反射を用いることによってプリズムの面を光路偏向面としてもよい。
【0034】
図1の例の投写用光学系は、光路を90度折り曲げる光路偏向面を2つ含む。
図1の例では、反射面R1および反射面R2が光路偏向面に対応する。
【0035】
本開示の投写用光学系は、投写用光学系の内部に中間像MIが形成されることが好ましい。投写用光学系の焦点距離を短くして広角化をする場合、投写用光学系に必要なバックフォーカスを確保しつつ要求される光学性能を実現しようとすると、拡大側のレンズが巨大になりやすい。内部に中間像MIが形成されるリレー光学系にすることによって、中間像MIより拡大側の光学系のバックフォーカスを短くすることが可能になり、また、拡大側のレンズ径を小さくすることができるので、小型化に有利となる。
【0036】
図1の例では、レンズL13と反射ミラーMr2との間に中間像MIが形成されている。表示面Sim上の画像と、中間像MIと、スクリーンScr上の投写像とは光学的に共役な関係にある。なお、
図1では中間像MIを概念的に点線で示しており、
図1の中間像MIの形状は正確ではない。
【0037】
投写用光学系がその光路内に光路偏向面を2つのみ含む場合、拡大側の光路偏向面と、縮小側の光路偏向面の縮小側に隣接する面との間の光路に中間像MIが形成されることが好ましい。このようにした場合は、互いに垂直な2つの方向における投写用光学系のサイズを抑制することに有利となる。ここでいう「互いに垂直な2つの方向」とは例えば、
図1の上下方向と左右方向である。
【0038】
次に、本開示の投写用光学系の条件式に関する好ましい構成および可能な構成について述べる。以下の条件式に関する説明では、冗長な説明を避けるため、定義が同じものには同じ記号を用いて記号の重複説明を省略する。また、以下では、冗長な説明を避けるため「本開示の投写用光学系」を単に「投写用光学系」ともいう。
【0039】
投写用光学系は、下記条件式(1)を満足することが好ましい。ここでは、投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれる全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHeとしている。投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までにレンズ以外の光学素子、例えばプリズムが配置されている場合は、上記の「全ての光学素子」は、このプリズムも含む。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、投写用光学系の光学素子の材料の内部吸収に起因する透過率が低くなり過ぎないため、光学エンジンの明るさ確保が容易になる。本開示の投写用光学系は、下記条件式(1-1)を満足することがより好ましい。条件式(1-1)の下限以下とならないようにすることによって、各光学素子の厚みが薄くなり過ぎないため、超広角の光学系における収差補正、特に歪曲収差の補正および像面湾曲の補正、が容易になる。
ΣTHe<70mm (1)
30mm<ΣTHe<70mm (1-1)
【0040】
投写用光学系は、下記条件式(2)を満足することが好ましい。ここでは、表示面Simにおける最大有効光線の光軸Zからの高さをImaxとしている。投写用光学系の焦点距離をfとしている。投写用光学系が変倍光学系の場合は、fは広角端における値とする。有効光線は投写像の形成に用いられる光線である。最大有効光線は、投写像の形成に用いられる光線のうち、径方向において最も光軸Zから離れた光線である。縮小側を像側とした場合、上記の高さImaxは、投写用光学系の最大像高である。条件式(2)の下限以下とならないようにすることによって、投写用光学系とスクリーンScrとの距離が短い状態で大画面の投写像を投写することが可能になる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(2-1)を満足することがより好ましい。条件式(2-1)の上限以上とならないようにすることによって、投写型表示装置の小型化と、投写性能との両立が容易になる。
1.7<Imax/|f| (2)
2<Imax/|f|<3.5 (2-1)
【0041】
投写用光学系がその光路内に光路偏向面を2つのみ含む場合、投写用光学系は下記条件式(3)を満足することが好ましい。ここでは、拡大側の光路偏向面から縮小側の光路偏向面までの光軸上の距離をd1としている。投写用光学系が変倍光学系の場合は、距離d1は広角端における値とする。条件式(3)の上限以上とならないようにすることによって、距離d1の方向(
図1では上下方向)における投写用光学系の長大化を抑制できるため、小型化が容易となる。距離d1の方向を投写型表示装置の厚さ方向とした場合は、投写型表示装置の薄型化に有利となる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(3-1)を満足することがより好ましい。条件式(3-1)の下限以下とならないようにすることによって、投写型表示装置本体と投写像との干渉を抑制でき、また、最も拡大側の光学素子から拡大側の光路偏向面までの光学素子と、表示素子から縮小側の光路偏向面までの光学素子との干渉を抑制できる。
d1<70mm (3)
10mm<d1<50mm (3-1)
【0042】
投写用光学系がその光路内に光路偏向面を2つのみ含む場合、投写用光学系は下記条件式(4)を満足することが好ましい。ここでは、縮小側の光路偏向面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をd2としている。投写用光学系が変倍光学系の場合は、距離d2は広角端における値とする。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、距離d2の方向(
図1では左右方向)における投写用光学系の長大化を抑制できるため、小型化が容易となる。距離d2の方向を投写型表示装置の設置面に平行な方向とした場合は、投写型表示装置の設置に必要な面積をより小さくすることに有利となる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(4-1)を満足することがより好ましい。条件式(4-1)の下限以下とならないようにすることによって、光学系の全長を極度に短縮しなくてもよいため、広角化の際に像面湾曲の補正に有利となる。
d2<100mm (4)
20mm<d2<75mm (4-1)
【0043】
投写用光学系がその光路内に光路偏向面を2つのみ含む場合、投写用光学系は条件式(3)および(4)を満足することが好ましい。投写用光学系は条件式(3)および(4)を満足することによって、投写型表示装置の小型化を促進することができる。また、さらなる小型化および良好な特性のためには、投写用光学系は、条件式(3)および(4)を満足した上で条件式(3-1)および(4-1)の少なくとも一方を満足することがより好ましい。
【0044】
投写用光学系は下記条件式(5)を満足することが好ましい。ここでは、表示素子における画像を表示可能な最大領域の最長の径をDLとしている。条件式(5)の上限以上とならないようにすることによって、光学系全体が大きくなることを抑制でき、特に、拡大側のレンズが大きくなることを抑制できるため、小型化が容易となる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(5-1)を満足することがより好ましい。条件式(5-1)の下限以下とならないようにすることによって、投写像が投写型表示装置本体によって遮光されることを防止することが容易になる。
Imax/DL<0.78 (5)
0.65<Imax/DL<0.72 (5-1)
【0045】
以下に、DLについて説明する。以下のDLの説明では、説明の便宜上、「表示素子における画像を表示可能な最大領域」を表示最大領域という。本明細書におけるDLは、光軸Zに垂直な面内において、表示最大領域の重心と、この重心から最も離れた表示最大領域内の点との距離の2倍の値を意味する。例えば、表示最大領域が矩形の場合は、この矩形の対角線の長さがDLとなる。例えば、表示最大領域が正円の場合は、この正円の直径がDLとなる。例えば、表示最大領域が楕円の場合は、この楕円の長径がDLとなる。
【0046】
一例として
図2に、矩形の表示最大領域DAと、この表示最大領域DAの最長の径DLを示す。
図2の例では、表示最大領域DAの対角線長が最長の径DLとなる。
図2は、光軸Zに垂直な面における図であり、一例として、縮小側の有効像円IC、および上記の高さImaxも示している。
【0047】
投写用光学系は下記条件式(6)を満足することが好ましい。ここでは、投写面における最大有効光線の光軸Zからの高さをYmaxとしている。拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の投写用光学系の近軸像倍率をβとしている。投写用光学系が変倍光学系の場合は、βは広角端における値とする。拡大側を物体側とした場合、上記の高さYmaxは、投写用光学系の最大物体高である。投写型表示装置には目視レベルにおいて歪みの無い投写像を投写することが要望される。条件式(6)を満足することによって、歪曲収差を抑制できるため、上記要望に対応することができる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(6-1)を満足することがより好ましい。
-0.05<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.05 (6)
-0.03<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.03 (6-1)
【0048】
投写用光学系は下記条件式(7)を満足することが好ましい。ここでは、投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHpwとしている。投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する光学素子のうち、d線に対する屈折率が1.8以上の全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTH18としている。条件式(7)の下限以下とならないようにすることによって、上記のパワーを有する全ての光学素子のうち、d線に対する屈折率が1.8以上の光学素子が占める割合が低くなり過ぎないため、小型化を図りながら球面収差等の諸収差を良好に補正することに有利となる。但し、d線に対する屈折率が1.8以上の光学材料は透過率が低いものが多い。そこで、条件式(7)の上限以上とならないようにすることによって、上記割合が高くなり過ぎないため、透過率の低下を抑制できる。これによって、光学エンジンの明るさ確保に有利となる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(7-1)を満足することがより好ましい。
0.27<ΣTH18/ΣTHpw<0.5 (7)
0.3<ΣTH18/ΣTHpw<0.4 (7-1)
【0049】
投写用光学系の内部に中間像MIが形成される場合、投写用光学系は中間像MIより縮小側に開口絞りStを含み、開口絞りStの実像が中間像MIより拡大側の投写用光学系の内部に存在し、投写用光学系が下記条件式(8)を満足することが好ましい。ここでは、縮小側の有効像円の最外周から発して拡大側へ向かい開口絞りStの中心を通過した光線が中間像MIより拡大側で光軸Zと交差する位置をEnp(Imax)としている。中間像MIより拡大側の投写用光学系の内部における、開口絞りStの近軸像の位置をEnp(0)としている。位置Enp(Imax)および位置Enp(0)は光軸方向における位置である。位置Enp(0)から位置Enp(Imax)までの光軸上の空気換算距離をDifEとしている。上記の空気換算距離DifEの符号は、位置Enp(0)を基準として縮小側の距離を正、拡大側の距離を負とする。投写用光学系が変倍光学系の場合は、上記の空気換算距離DifEは広角端における値とする。条件式(8)の下限以下とならないようにすることによって、投写用光学系の全長の短縮に有利となる。条件式(8)の上限以上とならないようにすることによって、最も拡大側のレンズの大径化を抑制できる。より良好な特性を得るためには、投写用光学系は、下記条件式(8-1)を満足することがより好ましい。
-3<DifE/Imax<-0.2 (8)
-2.5<DifE/Imax<-0.5 (8-1)
【0050】
一例として、
図3および
図4に
図1の投写用光学系における位置Enp(Imax)および位置Enp(0)を示す。なお、
図3では理解を容易にするために直線状の光路になるように光路を展開した図を示す。
図4には、位置Enp(Imax)および位置Enp(0)を含む部分の拡大図を示し、上記の空気換算距離DifEも示す。一例として、
図1の投写用光学系では、レンズL7とレンズL8との間に位置Enp(Imax)および位置Enp(0)が存在する。
図3および
図4では、位置Enp(Imax)および位置Enp(0)をそれぞれ点線および二点鎖線で示し、縮小側の有効像円の最外周から発して拡大側へ向かい開口絞りStの中心を通過した光線2を一点鎖線で示す。
【0051】
本開示の投写用光学系は、最も拡大側から縮小側へ光路に沿って順に連続して、3枚の負レンズを含むことが好ましい。このようにした場合は、広角化に有利となる。より広角化を図るためには、本開示の投写用光学系は、最も拡大側から縮小側へ光路に沿って順に連続して、4枚の負レンズを含むことが好ましい。
【0052】
本開示の投写用光学系においては、拡大側から2番目および3番目のレンズは、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズであることが好ましい。このようにした場合は、広角化と良好な収差補正との両立に有利となる。
【0053】
本開示の投写用光学系においては、光軸上で中間像MIに最も近いレンズは正レンズであることが好ましい。このようにした場合は、小型化に有利となる。
【0054】
本開示の投写用光学系は、縮小側がテレセントリックに構成されていることが好ましい。近年、小型で高精細な投写型表示装置を実現するために画素をシフトさせて表示素子の画素数の2倍又は4倍の解像度を達成する、いわゆる画素シフト方式が増えており、その際の解像度を確保する目的でテレセントリック光学系とすることが望ましい。
【0055】
なお、上記の「縮小側がテレセントリックに構成されている」は、本開示の技術が属する技術分野で実用上許容される誤差を含む。誤差は例えば、拡大側から縮小側へ光線追跡した場合に表示面Simに入射する主光線と光軸Zとのなす角度が、-3度以上かつ+3度以下となる範囲としてもよい。開口絞りStを含まない系では、拡大側から縮小側へ向かう方向に光束を見た場合に、表示面Sim上の点に集光する光束の断面において上側の最大光線と下側の最大光線との二等分角線を主光線の代用としてテレセントリック性を判断してもよい。
【0056】
本開示の投写用光学系の最も拡大側のレンズは、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有するように構成してもよい。広角の画像を投写する投写用光学系では、通常、有効径が最大になるのは最も拡大側のレンズである。よって、投写用光学系内でレンズ径が最大になりやすい最も拡大側のレンズのうち、投写像の形成に使用されない部分を欠落部分とすれば、小型化が可能になる。
図1のレンズL1は、光軸Zより下方において回転対称な形状の一部が欠落した形状を有しており、
図1ではこの欠落部分を点線で示している。
【0057】
図5(A)、
図5(B)、および
図5(C)に、回転対称な形状の一部が欠落したレンズの光軸Zに垂直な面における形状の例を示す。
図5(A)、
図5(B)、および
図5(C)の例はいずれも、光軸Zに垂直な面において非円形形状とされている。このような非円形形状とすることによって、小型化および軽量化を図ることができる。なお、回転対称な形状の一部が欠落したレンズの形状は、
図5(A)、
図5(B)、および
図5(C)に示す例に限定されず、他の形状としてもよい。
【0058】
本開示の投写用光学系においては、合焦の際に光軸Zに沿って移動する合焦群を含むことが好ましい。合焦群が光軸Zに沿って移動することによって合焦が行われる。合焦群は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。一例として、
図1の例では、合焦群はレンズL4~L6からなる。
図1のレンズL4~L6の下の括弧と光軸Zに平行な方向の両矢印は、レンズL4~L6が合焦群を構成することを示す。
【0059】
条件式に関する構成も含め上述した好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本開示の技術においては、投写用光学系に含まれるレンズの枚数およびレンズの形状は
図1の例と異なっていてもよく、光路偏向面が配置される箇所も
図1の例と異なっていてもよい。
【0060】
一例として、本開示の好ましい一態様は、縮小側の表示素子の表示面Simに表示される画像を拡大側の投写面に投写する投写用光学系であって、パワーを有する反射面を含まず、投写用光学系の光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含み、上記条件式(1)および(2)を満足する。
【0061】
次に、本開示の投写用光学系の実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施例の断面図に付された参照符号は、参照符号の桁数の増大に伴う説明および図面の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。従って、異なる実施例の図面において共通の参照符号が付されていても、必ずしも共通の構成ではない。
【0062】
[実施例1]
実施例1の投写用光学系の構成と光束の断面図は
図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L12と、反射ミラーMr1と、レンズL13と、反射ミラーMr2と、レンズL14~L17と、開口絞りStと、レンズL18~L21とを含む。反射ミラーMr1および反射ミラーMr2はそれぞれ反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIはレンズL13と反射ミラーMr2との間に形成されている。合焦群はレンズL4~L6からなる。
【0063】
実施例1の投写用光学系について、基本レンズデータを表1に、諸元を表2に、可変面間隔を表3に、非球面係数を表4に示す。
【0064】
基本レンズデータの表は以下のように記載されている。Snの列には、最も拡大側の面を第1面とし縮小側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示す。rの列には、各面の曲率半径を示す。dの列には、各面とその縮小側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。ndの列には、各構成要素のd線に対する屈折率を示す。νdの列には、各構成要素のd線基準のアッベ数を示す。
【0065】
基本レンズデータの表では、拡大側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を正、縮小側に凸形状を向けた面の曲率半径の符号を負としている。面番号の欄のうち、拡大側の光路偏向面に相当する面、縮小側の光路偏向面に相当する面、および開口絞りStに相当する面にはそれぞれ、(R1)、(R2)、および(St)という語句も記載している。基本レンズデータの表では、合焦の際の可変面間隔についてはDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の拡大側の面番号を付してDの欄に記入している。
【0066】
表2に、焦点距離の絶対値|f|、空気換算距離でのバックフォーカスBf、FナンバーFNo.、最大全画角2ω、ならびに上記条件式で用いたImaxおよびDLをd線基準で示す。2ωの欄の[°]は単位が度であることを示す。
【0067】
表3に、各投写距離における可変面間隔を示す。投写距離は、拡大側共役面(
図1ではスクリーンScrに対応)から最も拡大側のレンズ面までの光軸上の距離である。
【0068】
基本レンズデータでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸曲率半径の値を記載している。表4において、Snの行には非球面の面番号を示し、KAおよびAm(m=3、4、5、6、・・・、20)の行には各非球面についての非球面係数の数値を示す。表4の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。KAおよびAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h2/{1+(1-KA×C2×h2)1/2}+ΣAm×hm
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸Zに垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸Zからレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0069】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
図6に、投写距離が0.25m(メートル)の状態における実施例1の投写用光学系の各収差図を示す。
図6では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。球面収差図では、d線、C線、およびF線に関する収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線に関する収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線に関する収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線に関する収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、およびF線に関する収差をそれぞれ長破線、および短破線で示す。球面収差図では「FNo.=」の後にFナンバーの値を示す。その他の収差図では「ω=」の後に最大半画角の値を示す。
【0075】
上記の実施例1および変形例に関する各データの記号、意味、記載方法、および図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても基本的に同様であるので、以下では重複説明を省略する。なお、以下の実施例の断面図ではスクリーンScrの図示を省略している。
【0076】
[実施例2]
実施例2の投写用光学系の構成と光束の断面図を
図7に示す。実施例2の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L7と、反射ミラーMr1と、レンズL8~L11と、反射ミラーMr2と、レンズL12~L14と、開口絞りStと、レンズL15~L17とを含む。反射ミラーMr1および反射ミラーMr2はそれぞれ反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIは反射ミラーMr2とレンズL12との間に形成されている。合焦群はレンズL5からなる。
【0077】
実施例2の投写用光学系について、基本レンズデータを表5に、諸元を表6、可変面間隔を表7に、非球面係数を表8に、各収差図を
図8に示す。各収差図は、投写距離が0.279m(メートル)の状態におけるものである。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
[実施例3]
実施例3の投写用光学系の構成と光束の断面図を
図9に示す。光路が直線状になるように実施例3の投写用光学系の光路を展開した図を
図10に示す。実施例3の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L10と、プリズムPrと、レンズL11~L13と、開口絞りStと、レンズL14~L16とを含む。プリズムPrは光路を折り曲げる光路偏向部材である。プリズムPrは2つの反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIは反射面R1と反射面R2との間に形成されている。合焦群はレンズL5からなる。レンズL1~L4は、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有する。
図9ではこの欠落部分の図示は省略しており、
図10ではこの欠落部分を点線で示している。
【0083】
実施例3の投写用光学系について、基本レンズデータを表9に、諸元を表10に、可変面間隔を表11に、非球面係数を表12に、各収差図を
図11に示す。各収差図は、投写距離が0.237m(メートル)の状態におけるものである。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
[実施例4]
実施例4の投写用光学系の構成と光束の断面図を
図12に示す。実施例4の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L12と、反射ミラーMr1と、レンズL13と、反射ミラーMr2と、レンズL14~L17と、開口絞りStと、レンズL18~L21とを含む。反射ミラーMr1および反射ミラーMr2はそれぞれ反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIはレンズL13と反射ミラーMr2との間に形成されている。合焦群はレンズL4~L6からなる。レンズL1は、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有する。
図12ではこの欠落部分の図示は省略している。
【0089】
実施例4の投写用光学系について、基本レンズデータを表13に、諸元を表14に、可変面間隔を表15に、非球面係数を表16に、各収差図を
図13に示す。各収差図は、投写距離が0.212m(メートル)の状態におけるものである。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
[実施例5]
実施例5の投写用光学系の構成と光束の断面図を
図14に示す。実施例5の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L11と、反射ミラーMr1と、レンズL12と、反射ミラーMr2と、レンズL13~L15と、開口絞りStと、レンズL16~L19とを含む。反射ミラーMr1および反射ミラーMr2はそれぞれ反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIは反射ミラーMr1とレンズL12との間に形成されている。合焦群はレンズL7~L8からなる。レンズL1は、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有する。
図14ではこの欠落部分の図示は省略している。
【0095】
実施例5の投写用光学系について、基本レンズデータを表17に、諸元を表18に、可変面間隔を表19に、非球面係数を表20に、各収差図を
図15に示す。各収差図は、投写距離が0.279m(メートル)の状態におけるものである。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
[実施例6]
実施例6の投写用光学系の構成と光束の断面図を
図16に示す。実施例6の投写用光学系は、拡大側から縮小側へ光路に沿って順に、レンズL1~L7と、反射ミラーMr1と、レンズL8~L11と、反射ミラーMr2と、レンズL12~L14と、開口絞りStと、レンズL15~L17とを含む。反射ミラーMr1および反射ミラーMr2はそれぞれ反射面R1および反射面R2を有する。反射面R1および反射面R2は、パワーを有しない面であり、それぞれが光路を90度折り曲げる光路偏向面として機能する。光軸近傍の中間像MIは反射ミラーMr2とレンズL12との間に形成されている。合焦群はレンズL5からなる。
【0101】
実施例6の投写用光学系について、基本レンズデータを表21に、諸元を表22に、可変面間隔を表23に、非球面係数を表24に、各収差図を
図17に示す。各収差図は、投写距離が0.279m(メートル)の状態におけるものである。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
表25に実施例1~6の投写用光学系について、条件式(1)~(8)の対応値、条件式(6)の対応値の計算に用いたβ、および各βの値におけるYmaxの値を示す。
【表25】
【0107】
実施例1~6の投写用光学系は、広角端における全画角が120度以上あり、広い画角を有している。実施例1~6の投写用光学系は、Fナンバーが2.1以下であり、小さなFナンバーを有している。また、実施例1~6の投写用光学系は、小型に構成されながらも、諸収差が良好に補正されて高い光学性能を実現している。
【0108】
次に、本開示の実施形態に係る投写型表示装置について説明する。
図18は、本開示の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図18に示す投写型表示装置100は、本開示の実施形態に係る投写用光学系10と、光源15と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしての透過型表示素子11a~11cとを有する。また、投写型表示装置100は、色分解のためのダイクロイックミラー12、13と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14と、コンデンサレンズ16a~16cと、光路を偏向するための全反射ミラー18a~18cとを有する。なお、
図18では、投写用光学系10は概略的に図示している。また、光源15とダイクロイックミラー12の間にはインテグレーターが配されているが、
図18ではその図示を省略している。
【0109】
光源15からの白色光は、ダイクロイックミラー12、13で3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に分解された後、それぞれコンデンサレンズ16a~16cを経て各色光光束にそれぞれ対応する透過型表示素子11a~11cに入射して変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成された後、投写用光学系10に入射する。投写用光学系10は、透過型表示素子11a~11cにより変調された変調光に基づく光学像をスクリーン105上に投写する。
【0110】
図19は、本開示の別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図19に示す投写型表示装置200は、本開示の実施形態に係る投写用光学系210と、光源215と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしてのDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)素子21a~21cとを有する。また、投写型表示装置200は、色分解および色合成のためのTIR(Total Internal Reflection)プリズム24a~24cと、照明光と投写光を分離する偏光分離プリズム25とを有する。なお、
図19では投写用光学系210を概略的に図示している。また、光源215と偏光分離プリズム25の間にはインテグレーターが配されているが、
図19ではその図示を省略している。
【0111】
光源215からの白色光は、偏光分離プリズム25内部の反射面で反射された後、TIRプリズム24a~24cにより3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ対応するDMD素子21a~21cに入射して変調され、再びTIRプリズム24a~24cを逆向きに進行して色合成された後、偏光分離プリズム25を透過して、投写用光学系210に入射する。投写用光学系210は、DMD素子21a~21cにより変調された変調光に基づく光学像をスクリーン205上に投写する。
【0112】
図20は、本開示のさらに別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図20に示す投写型表示装置600は、本開示の実施形態に係る投写用光学系66と、光源61と、各色光に対応し光学像を出力するライトバルブとしてのDMD素子64とを有する。また、投写型表示装置600は、カラーホイール62と、導光光学系63と、TIRプリズム65とを有する。なお、
図20では、投写用光学系66は概略的に図示している。
【0113】
カラーホイール62は、円周上に緑色、青色、および赤色の3色のフィルタが設けられており、カラーホイール62が回転すると光路上に各色のフィルタが順次挿入される。光源61からの白色光は、回転するカラーホイール62に入射することにより3つの色光光束(Green光、Blue光、Red光)に時分割される。時分割後の各色光光束は導光光学系63およびTIRプリズム65を経由した後、DMD素子64に入射して変調され、再びTIRプリズム65を経由して、投写用光学系66に入射する。投写用光学系66は、DMD素子64により変調された変調光に基づく光学像をスクリーン67上に投写する。
【0114】
以上、実施形態および実施例を挙げて本開示の技術について説明したが、本開示の技術は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、および非球面係数等は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
【0115】
また、本開示の技術に係る投写型表示装置も、上記構成のものに限定されず、例えば、光束分離又は光束合成に用いられる光学部材、およびライトバルブは、種々の態様の変更が可能である。ライトバルブは、光源からの光を画像表示素子により空間変調して、画像データに基づく光学像として出力する態様に限定されず、自発光型の画像表示素子から出力された光自体を、画像データに基づく光学像として出力する態様であってもよい。自発光型の画像表示素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)又はOLED(Organic Light Emitting Diode)等の発光素子が2次元配列された画像表示素子が挙げられる。ライトバルブは3板方式に限らず、単板方式であってもよく、ライトバルブが単板方式のものに対応するように構成することによって、光学エンジンの小型化が可能である。
【0116】
以上の実施形態および実施例に関し、さらに以下の付記項を開示する。
[付記項1]
縮小側の表示素子の表示面に表示される画像を拡大側の投写面に投写する投写用光学系であって、
パワーを有する反射面を含まず、
前記投写用光学系の光路内に光路を90度折り曲げる光路偏向面を少なくとも1つ含み、
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれる全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHe、
前記表示面における最大有効光線の光軸からの高さをImax、
前記投写用光学系の焦点距離をf、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はfを広角端における値とし、
mmを長さの単位のミリメートルとした場合、
ΣTHe<70mm (1)
1.7<Imax/|f| (2)
で表される条件式(1)および(2)を満足する投写用光学系。
[付記項2]
前記投写用光学系の光路内に前記光路偏向面を2つのみ含み、
拡大側の前記光路偏向面から縮小側の前記光路偏向面までの光軸上の距離をd1、
縮小側の前記光路偏向面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をd2、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はd1およびd2を広角端における値とした場合、
d1<70mm (3)
d2<100mm (4)
で表される条件式(3)および(4)を満足する付記項1に記載の投写用光学系。
[付記項3]
前記表示素子における前記画像を表示可能な最大領域の最長の径をDLとした場合、
Imax/DL<0.78 (5)
で表される条件式(5)を満足する付記項1又は付記項2に記載の投写用光学系。
[付記項4]
前記投写面における最大有効光線の光軸からの高さをYmax、
拡大側を物体側、縮小側を像側とした場合の前記投写用光学系の近軸像倍率をβ、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はβを広角端における値とした場合、
-0.05<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.05 (6)
で表される条件式(6)を満足する付記項1から付記項3のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項5]
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTHpw、
前記投写用光学系の最も拡大側のレンズ面から前記投写用光学系の最も縮小側のレンズ面までに含まれるパワーを有する光学素子のうち、d線に対する屈折率が1.8以上の全ての光学素子の光軸上の厚みの和をΣTH18とした場合、
0.27<ΣTH18/ΣTHpw<0.5 (7)
で表される条件式(7)を満足する付記項1から付記項4のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項6]
前記投写用光学系の内部に中間像が形成される付記項1から付記項5のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項7]
前記投写用光学系の光路内に前記光路偏向面を2つのみ含み、
拡大側の前記光路偏向面と、縮小側の前記光路偏向面の縮小側に隣接する面との間の光路に前記中間像が形成される付記項6に記載の投写用光学系。
[付記項8]
前記中間像より縮小側に開口絞りを含み、
前記開口絞りの実像が前記中間像より拡大側の前記投写用光学系の内部に存在し、
縮小側の有効像円の最外周から発して拡大側へ向かい前記開口絞りの中心を通過した光線が前記中間像より拡大側で光軸と交差する位置をEnp(Imax)とし、
前記開口絞りの近軸像の位置をEnp(0)とし、
Enp(0)からEnp(Imax)までの光軸上の空気換算距離をDifEとし、
DifEの符号は、Enp(0)を基準として縮小側の距離を正、拡大側の距離を負とし、
前記投写用光学系が変倍光学系の場合はDifEを広角端における値とした場合、
-3<DifE/Imax<-0.2 (8)
で表される条件式(8)を満足する付記項6又は付記項7に記載の投写用光学系。
[付記項9]
最も拡大側のレンズは、回転対称な形状の一部が欠落した形状を有する付記項1から付記項8のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項10]
前記光路偏向面の少なくとも1つは反射ミラーの面である付記項2又は付記項7に記載の投写用光学系。
[付記項11]
前記光路偏向面の少なくとも1つはプリズムの面である付記項2又は付記項7に記載の投写用光学系。
[付記項12]
30mm<ΣTHe<70mm (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する付記項1から付記項11のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項13]
2<Imax/|f|<3.5 (2-1)
で表される条件式(2-1)を満足する付記項1から付記項12のいずれか1項に記載の投写用光学系。
[付記項14]
10mm<d1<50mm (3-1)
で表される条件式(3-1)を満足する付記項2に記載の投写用光学系。
[付記項15]
20mm<d2<75mm (4-1)
で表される条件式(4-1)を満足する付記項2に記載の投写用光学系。
[付記項16]
0.65<Imax/DL<0.72 (5-1)
で表される条件式(5-1)を満足する付記項3に記載の投写用光学系。
[付記項17]
-0.03<(Imax-β×Ymax)/(β×Ymax)<0.03 (6-1)
で表される条件式(6-1)を満足する付記項4に記載の投写用光学系。
[付記項18]
0.3<ΣTH18/ΣTHpw<0.4 (7-1)
で表される条件式(7-1)を満足する付記項5に記載の投写用光学系。
[付記項19]
-2.5<DifE/Imax<-0.5 (8-1)
で表される条件式(8-1)を満足する付記項8に記載の投写用光学系。
[付記項20]
付記項1から付記項19のいずれか1項に記載の投写用光学系を備えた投写型表示装置。
【符号の説明】
【0117】
2 光線
10 投写用光学系
11a~11c 透過型表示素子
12 ダイクロイックミラー
13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
15 光源
16a~16c コンデンサレンズ
18a~18c 全反射ミラー
21a~21c DMD素子
24a~24c TIRプリズム
25 偏光分離プリズム
61 光源
62 カラーホイール
63 導光光学系
64 DMD素子
65 TIRプリズム
66 投写用光学系
67 スクリーン
100 投写型表示装置
105 スクリーン
200 投写型表示装置
205 スクリーン
210 投写用光学系
215 光源
600 投写型表示装置
d1 距離
d2 距離
DA 表示最大領域
DifE 空気換算距離
DL 最長の径
Enp(0) 位置
Enp(Imax) 位置
IC 有効像円
Imax 高さ
L1~L21 レンズ
MI 中間像
Mr1 反射ミラー
Mr2 反射ミラー
PP 光学部材
Pr プリズム
R1 反射面
R2 反射面
Scr スクリーン
Sim 表示面
St 開口絞り
Ymax 高さ
Z 光軸