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特開2024-107977シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107977
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/16 20060101AFI20240802BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
B65H45/16
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012198
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108BB12
3F108BB14
3F108CC01
3F108EA06
3F108EA19
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】本体胴内に異なるシート処理機能を実現するユニットを同居させる構成において、装置の小型化と部品コストの削減を可能にするシート処理装置を提供する。
【解決手段】上流側の装置に対し着脱自在に設置され、当該上流側の装置から排出されたシート状の媒体に対し所定のシート処理を実行して下流側の装置に当該媒体を排出するシート処理装置において、シート処理を実行する複数のローラ対と、下流側の装置に設置されているシート検知センサによる媒体の検知結果に基づいて、シート処理を実行するために媒体の状態を判定する制御部と、を備え、制御部は、複数のローラ対の正転又は逆転の時機をシート検知センサからの媒体の検知結果に基づいて制御するシート折り装置による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の装置に対し着脱自在に設置され、当該上流側の装置から排出されたシート状の媒体に対し所定のシート処理を実行して下流側の装置に当該媒体を排出するシート処理装置であって、
前記シート処理を実行する複数のローラ対と、
前記下流側の装置に設置されているシート検知センサによる前記媒体の検知結果に基づいて、前記シート処理を実行するために前記媒体の状態を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数のローラ対の正転又は逆転の時機を前記シート検知センサからの前記媒体の検知結果に基づいて制御する、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記上流側の装置の筐体に設けられた空洞部に対し、着脱自在に設置される、
請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記シート検知センサは、前記下流側の装置における最上流側に設置されている、
請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記シート検知センサは、前記下流側の装置が備えるシート搬送路における、前記媒体の搬送方向において最上流に配置されるローラ対よりも上流に設置されている、
請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記シート検知センサにおける検知位置に前記媒体の端部が到達した時機において、前記複数のローラ対の一部を逆転させて前記シート処理を実行する、
請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記シート検知センサにおける検知位置に前記媒体の端部が到達した時機において前記ローラ対の一部を逆転させて前記シート処理を実行し、当該媒体が前記シート検知センサにおいて検知されなくなった時機において逆転していた前記ローラ対を正転させる、
請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に収容されてシートに画像を形成する画像形成部と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成部によって画像が形成された前記媒体を折る請求項1に記載のシート処理装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された複数の前記媒体に対し複数のローラ対を用いたシート処理を実行する請求項1に記載のシート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折り)に折るための折り処理を実行するシート処理装置が知られている。また、画像形成装置に、シート処理装置と同等の機能を組み込むことで、画像が形成されたシートに対する折り処理を実行する画像形成装置も知られている。そして、画像形成装置とシート処理装置を連携させて構成する画像形成システムも知られている。
【0003】
旧来のシート処理装置は、既存の画像形成装置に対し後付けして連携させるものであって、画像形成装置のシート排出口の下流側に別の筐体に収められた形態にて設置可能であるが、システム全体が大型化するという課題があった。
【0004】
システム全体の大型化を抑制するために、画像形成装置の装置筐体外壁の一部に切り欠いて形成された空間に、シート処理装置と同様のシート処理を実行可能とするシート処理ユニットを設置する構成が知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
また、シート処理装置にて実行される折り処理において、シートの折り位置のズレを抑制する目的で、シート処理装置の内部に設けられる折りローラ対の一方のローラ部材が折り部形成手段方向に移動する構成が知られている(特許文献2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構成は、元のシート処理機能と追加可能なシート処理機能を実現する各々の装置において、シートの動きを検知するためのシートセンサを、それぞれの装置内に設置する必要があり、部品コストが増大するという課題がある。また、特許文献2に記載の構成では、本体とは別体で、折り処理機能を実現する構成を設ける必要があるので、装置全体の大型化という課題が解決されない。
【0007】
本発明は、本体胴内に異なるシート処理機能を実現するユニットを同居させる構成において、装置の小型化と部品コストの削減を可能にするシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、上流側の装置に対し着脱自在に設置され、当該上流側の装置から排出されたシート状の媒体に対し所定のシート処理を実行して下流側の装置に当該媒体を排出するシート処理装置であって、前記シート処理を実行する複数のローラ対と、前記下流側の装置に設置されているシート検知センサによる前記媒体の検知結果に基づいて、前記シート処理を実行するために前記媒体の状態を判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のローラ対の正転又は逆転の時機を前記シート検知センサからの前記媒体の検知結果に基づいて制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体胴内に異なるシート処理機能を実現するユニットを同居させる構成において、装置の小型化と部品コストの削減を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の外観図。
図2】シート折りユニット及びシート綴じユニットの内部構成を示す図。
図3】主搬送路上のシートに直交する方向(A)及びシートの幅方向(B)からシート折りユニットを見た図。
図4】シート折りユニットのハードウェア構成図。
図5】シート折りユニットで実現可能な折り方のバリエーションを説明する図。
図6】三つ折り処理のフローチャート。
図7】第一折り位置でシートを折る前のシート折りユニットの状態を示す図。
図8】第一折り位置でシートを折るときのシート折りユニットの状態を示す図。
図9】第二折り位置でシートを折る前のシート折りユニットの状態を示す図。
図10】第二折り位置でシートを折った後のシート折りユニットの状態を示す図。
図11】三つ折り処理後の折リシートを下流に搬送するシーと排出の状態を示す図。
図12】二つ折り処理のフローチャート。
図13】二つ折り処理の過程における前のシート折りユニットの状態を示す図。
図14】画像形成システムの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置10について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置10の外観図である。画像形成装置10は、シート状の記録媒体に画像を形成する装置である。なお、本実施形態において記録媒体の例として「シートS」を用いることとする。シートSは、典型的には「普通紙(用紙)」であるが、本実施形態に係る所定の処理の対応可能なものであれば、これに限定されるものではない。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置10は、筐体11と、画像形成部12と、を備える。画像形成装置は、いわゆる胴内型であって、画像形成部12で画像形成処理が施されたシートSがその胴内空間13に向けて排出される。
【0013】
筐体11は、画像形成装置10の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、胴内空間13は、画像形成装置10の外部からアクセス可能な形態で筐体11に形成されている。胴内空間13は、例えば、筐体11の上下方向の中央よりやや上方に位置していて、画像形成部12において画像形成がなされたシートSの排出方向に向かって空間が開放されている。胴内空間13は、筐体11の外側壁が切り欠かれて、外部に露出されている。さらに、胴内空間13には、所定のシート処理を実行可能な、シート折りユニット20(シート折り装置)、シート綴じユニット30(後処理部)が取り付け可能になっている。
【0014】
画像形成部12は、トレイに収容されたシートSに画像を形成し、画像を形成したシートSを、シート折りユニット20、又はシート綴じユニット30に排出する。画像形成部12は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成部12の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0015】
シート処理装置としてのシート折りユニット20は、画像形成部12からシート綴じユニット30に至るシートSの搬送経路(図1に破線の矢印で示す経路)のうち、画像形成部12よりも下流側であって、かつ、シート綴じユニット30よりも上流側において、画像形成装置10の空洞部としての胴内空間13に着脱自在に取り付けられる。すなわち、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、まずシート折りユニット20に引き渡されて後述する折り処理が施され、その後にシート綴じユニット30に引き渡されて整合処理や綴じ処理が施される。
【0016】
また、シート折りユニット20は、画像形成装置10に着脱可能に構成されている。シート折りユニット20が取り外されると、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、直接シート綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理や綴じ処理が施される。シート折りユニット20を取り外した場合、その位置に、シートSに穿孔処理をするパンチ孔穿設ユニットを装着してもよい。パンチ孔穿設ユニットが取り付けられると、画像形成部12によって画像が形成されたシートSは、まずパンチ孔穿設ユニットに引き渡されて穿設処理が施され、その後にシート綴じユニット30に引き渡されて綴じ処理が施される。なお、胴内空間13のシート折りユニット20が取り外された位置には、パンチ孔穿設ユニットに限定されず、シートSに任意の処理を施すユニットを取り付け可能である。
【0017】
[シート折りユニット20及びシート綴じユニット30の内部構成]
図2は、シート折りユニット20及びシート綴じユニット30の内部構成を示す図である。シート折りユニット20及びシート綴じユニット30は、各々がユニット化されており、シートSの入出力インタフェースが接続可能になっている。すなわち、シート折りユニット20の入力インタフェースINは、画像形成部12の出力インタフェースに接続可能に構成されている。また、シート綴じユニット30の入力インタフェースは、画像形成部12の出力インタフェース及びシート折りユニット20の出力インタフェースOUTに接続可能に構成されている。
【0018】
画像形成装置10にシート折りユニット20及びシート綴じユニット30が装着されたとき、これら入力インタフェースINと出力インタフェースOUTが接続されることで、相互の動作情報や制御情報を通信可能になる。そして、動作情報及び制御情報の通信により、後述する各種処理が実行可能となっている。
【0019】
シート折りユニット20は、上流側の装置としての画像形成部12によって画像が形成されたシートSを所定の形状(例えば、Z折り、外三つ折り、二つ折り)に折る折り処理を実行する。図2に示すように、シート折りユニット20は、折り筐体21と、複数のローラ対としての搬送ローラ対22(搬送部)と、第一折りローラ23と、第二折りローラ24と、第三折りローラ25と、ガイド板26(ガイド部材)と、第一ストッパ27a及び第二ストッパ27b(図3参照)と、駆動力伝達機構28(図3参照)とを備える。
【0020】
折り筐体21は、シート折りユニット20の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、折り筐体21の内部空間には、シートSが通過する空間である主搬送路Ph1及び還流搬送路Ph2が形成されている。主搬送路Ph1は、画像形成部12に接続される入力インタフェースINからシート綴じユニット30に接続される出力インタフェースOUTに至る搬送路である。以下、主搬送路Ph1上において、入力インタフェースINから出力インタフェースOUTに向かう方向を「搬送方向」と表記する。還流搬送路Ph2は、分岐位置Aで主搬送路PH1から分岐し、合流位置Bで主搬送路Ph1に合流する環状の搬送路である。還流搬送路Ph2によって、シートSは、主搬送路Ph1を上流から下流へと搬送されて、分岐位置Aから還流搬送路Ph2に沿って搬送され、合流位置Bから主搬送路Ph1の上流側へと戻るようには搬送される。すなわち、合流位置Bは、分岐位置Aよりも搬送方向の上流側に位置している。
【0021】
搬送ローラ対22は、主搬送路Ph1に沿ってシートSを搬送方向に搬送する。搬送ローラ対22は、分岐位置Aよりも搬送方向の上流側で且つ合流位置Bよりも搬送方向の下流側(すなわち、分岐位置A及び合流位置Bの間)において、主搬送路Ph1を挟んで対向配置された駆動ローラ22a及び従動ローラ22bで構成されている。駆動ローラ22a及び従動ローラ22bは、折り筐体21に回転可能に支持されている。駆動ローラ22aは、搬送モータ22c(図4参照)の駆動力が伝達されて、シートSを搬送方向に搬送する方向(図2に正対したときの時計回り)に回転する。この回転を、「順回転」とする。
【0022】
従動ローラ22bは、主搬送路Ph1を挟んで駆動ローラ22aに対向配置され、駆動ローラ22aの回転に伴って回転する(従動する)。そして、駆動ローラ22a及び従動ローラ22bがシートSを挟持した状態で、搬送モータ22cが駆動されることによって、シートSが主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送される。
【0023】
第一折りローラ23は、主搬送路Ph1に対面する位置において、折り筐体21に回転可能に支持されている。第二折りローラ24は、主搬送路Ph1及び還流搬送路Ph2の両方に対面する位置において、折り筐体21に回転可能に支持されている。第三折りローラ25は、還流搬送路Ph2に対面する位置において、折り筐体21に回転可能に支持されている。また、第一折りローラ23及び第二折りローラ24は、分岐位置Aよりも搬送方向の下流側において、主搬送路Ph1を挟んで対向配置されている。さらに、第二折りローラ24及び第三折りローラ25は、分岐位置A及び合流位置Bの間において、還流搬送路Ph2を挟んで対向配置されている。
【0024】
第一折りローラ23は、第一折りモータ23a(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第一折りローラ23の順回転は、主搬送路Ph1上のシートSを搬送方向に搬送する向きの回転である。第一折りローラ23の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第一折りモータ23aは、第一折りローラ23を順回転させる正転と、第一折りローラ23を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0025】
第二折りローラ24は、第二折りモータ24a(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第二折りローラ24の順回転は、主搬送路Ph1上のシートSを搬送方向に搬送すると共に、還流搬送路Ph2上のシートSを合流位置Bから分岐位置Aに向けて搬送する向きの回転である。第二折りローラ24の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第二折りモータ24a(モータ)は、第二折りローラ24を順回転させる正転と、第二折りローラ24を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0026】
第三折りローラ25は、第三折りモータ25a(図4参照)の駆動力が伝達されることによって、順回転及び逆回転する。第三折りローラ25の順回転は、還流搬送路Ph2上のシートSを合流位置Bから分岐位置Aに向けて搬送する向きの回転である。第三折りローラ25の逆回転は、順回転と逆向きの回転である。第三折りモータ25aは、第三折りローラ25を順回転させる正転と、第三折りローラ25を逆回転させる逆転とが可能に構成されている。
【0027】
ガイド板26は、分岐位置Aの近傍において、折り筐体21に回転可能に支持されている。ガイド板26は、図7(B)及び図10(B)に示す第一姿勢と、図8(B)及び図9(B)に示す第二姿勢とに回動可能に構成されている。第一姿勢は、主搬送路Ph1上をシートSが搬送方向に搬送されるのを許容すると共に、主搬送路Ph1上を搬送方向に搬送されるシートSが分岐位置Aを通じて還流搬送路Ph2に進入するのを阻止するガイド板26の姿勢である。一方、第一姿勢のガイド板26は、還流搬送路Ph2上のシートSが分岐位置Aを通じて主搬送路Ph1に進入することは許容する。第二姿勢は、分岐位置Aを通じて主搬送路Ph1及び還流搬送路Ph2の一方から他方にシートSが搬送されるのを許容するガイド板26の姿勢である。
【0028】
[シート折りユニット20の構成]
ここで、シート折りユニット20における折り処理機構を図3に例示する。図3は、主搬送路Ph1上のシートSに直交する方向(A)及びシートSの幅方向(B)からシート折りユニット20を見た図である。図3に示すように、第一折りローラ23、第二折りローラ24、第三折りローラ25、及びガイド板26の回転軸23x、24x、25x、26xは、シートSの幅方向に延設されている。そして、回転軸23x、24x、25x、26xは、折り筐体21の内部に設けられた隔壁21aを貫通している。そして、駆動力伝達機構28は、隔壁21aを挟んで第一折りローラ23、第二折りローラ24、第三折りローラ25、及びガイド板26と反対側に配置されている。
【0029】
駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの駆動力を第二折りローラ24及びガイド板26に分配することによって、第二折りローラ24及びガイド板26を連動して駆動させる。より詳細には、駆動力伝達機構28は、第二折りローラ24が順回転するのに連動して、ガイド板26を第二姿勢から第一姿勢に向けて回転させる。また、駆動力伝達機構28は、第二折りローラ24が逆回転するのに連動して、ガイド板26を第一姿勢から第二姿勢に向けて回転させる。図3に示すように、駆動力伝達機構28は、例えば、トルクリミッタ28aと、従動ギヤ28bとで構成される。
【0030】
第二折りモータ24aの出力軸は、第二折りローラ24の回転軸24xに接続されている。トルクリミッタ28aは、第二折りローラ24の回転軸24xに取り付けられて、第二折りローラ24と一体回転する。従動ギヤ28bは、ガイド板26の回転軸26xに取り付けられて、ガイド板26と一体回転する。そして、トルクリミッタ28a及び従動ギヤ28bは、互いに噛合されている。
【0031】
これにより、第二折りモータ24aの駆動力は、第二折りローラ24に伝達されると共に、トルクリミッタ28a及び従動ギヤ28bを通じてガイド板26に伝達される。より詳細には、第二折りモータ24aが正転することによって、第二折りローラ24が順回転すると共に、ガイド板26が第二姿勢から第一姿勢に向けて回動する。一方、第二折りモータ24aが逆転することによって、第二折りローラ24が逆回転すると共に、ガイド板26が第一姿勢から第二姿勢に向けて回動する。
【0032】
また、トルクリミッタ28aは、回転トルクが閾値未満(すなわち、ガイド板26が第一ストッパ27a及び第二ストッパ27bから離間している)のときに、第二折りモータ24aの駆動力を従動ギヤ28b(換言すれば、ガイド板26)に伝達する。一方、トルクリミッタ28aは、回転トルクが閾値以上(すなわち、ガイド板26が第一ストッパ27a及び第二ストッパ27bに当接している)のときに、第二折りモータ24aから従動ギヤ28b(換言すれば、ガイド板26)への駆動力の伝達を解除(すなわち、空転)する。駆動力の伝達及び伝達解除を切り替えるトルクリミッタ28aの構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0033】
さらに、トルクリミッタ28aの歯数Z1は、従動ギヤ28bの歯数Z2よりも多くなっている(Z1>Z2)。その結果、駆動力伝達機構28は、第二折りモータ24aの回転を増速して、ガイド板26に伝達する。より詳細には、第二折りモータ24aが1回転したとき、第二折りローラ24が第一回転数(例えば、1回転)だけ回転するのに対して、ガイド板26は第二回転数よりも多い第二回転数(例えば、Z1/Z2)だけ回転する。これにより、ガイド板26を素早く姿勢変化させることができる。
【0034】
シート折りユニット20は、主搬送路Ph1上または還流搬送路Ph2上の所定位置にシートSが到達したことを検知するために、下流側の装置としてのシート綴じユニット30の搬送路Ph3(シート搬送路)に設置されているシート検知センサ29を用いる(図2)。すなわち、シート折りユニット20は、折り筐体21の外にあって、主搬送路Ph1におけるシートSの位置を検知可能な位置に設置されている外部のシート検知センサ29の検知結果に基づいて、折り処理を実行する。そして、シート折りユニット20は、各ローラ22a、23、24、25の回転数を検知するロータリエンコーダ22z、23z、24z、25z(図4参照)を備える。
【0035】
後述するコントローラ100は、シート検知センサ29の検知結果と、各ローラ22a、23、24、25の回転数を検知するロータリエンコーダ22z、23z、24z、25zの検知結果とに基づいて、主搬送路Ph1及び還流搬送路Ph2におけるシートSの位置を判定し、折り処理を制御する。
【0036】
より詳細には、コントローラ100は、シート検知センサ29によってシートSが検知されてから、ロータリエンコーダ22z、23z、24z、25zから出力されたパルス信号の数に基づいて、シートSの位置を把握する。これにより、後述するステップS602、S604、S606、S1202、S1204、S1206のタイミングを検知する。
【0037】
なお、シート検知センサ29の設置位置は、シート綴じユニット30は、搬送路Ph3において最上流に相当する位置であって、搬送ローラ対33よりも上流側である。また、シート検知センサ29は、シート綴じユニット30においてシート折りユニット20との連結位置近傍であって、シート折りユニット20から搬送されてくるシートSの端部を、以下において説明する折り処理において検知可能な位置に設置される。このシート検知センサ29の設置位置が、シートSの検知位置に相当する。なお、シート検知センサ29は一箇所に限定されず、処理機能の実現のための条件を具備する位置であれば、複数個所に設置されてもよい。
【0038】
[シート綴じユニット30]
図2に戻る。シート綴じユニット30は、画像形成部12によって画像が形成された複数のシートS(以下、「シート束Sb」と表記する。)を束ねて綴じる綴じ処理(後処理)を施す。本実施形態では、後処理部の一例としてシート綴じユニット30を説明するが、後処理部(後処理)の具体例はこれに限定されない。シート綴じユニット30は、筐体31と、排出トレイ32と、複数の搬送ローラ対33、34、35、36と、内部トレイ37と、叩きコロ38と、戻しコロ39と、エンドフェンス40L、40Rと、サイドフェンス41L、41Rと、綴じ処理部42とを備える。
【0039】
筐体31は、シート綴じユニット30の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体31の内部空間には、シートSが通過する空間である搬送路Ph3が形成されている。排出トレイ32は、筐体31の外側面に支持されている。排出トレイ32は、搬送ローラ対33~36によって搬送されたシートSまたはシート束Sbを支持する。
【0040】
搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph3上に所定の間隔を隔てて配置されている。搬送ローラ対33~36は、搬送路Ph3に沿ってシートSを搬送する。搬送ローラ対33~36の基本的な構成は、シート折りユニット20の搬送ローラ対22と共通する。但し、搬送ローラ対36は、駆動ローラ36aと、駆動ローラ36aに接離可能な従動ローラ36bとで構成される。また、搬送ローラ対35は、シートSを幅方向にずらして排出トレイ32に排出するソート処理を実現するために、幅方向にスライド可能に構成されていてもよい。
【0041】
内部トレイ37は、搬送路Ph3上を順番に搬送される複数のシートSを一時的に支持(積載)する。叩きコロ38は、内部トレイ37の上方において、回動アームの先端に支持されている。叩きコロ38は、回動アームが回動することによって、搬送ローラ対36に挟持されたシートSを内部トレイ37に供給する。戻しコロ39は、内部トレイ37に支持されたシートSの上面に当接して回転することによって、シートSをエンドフェンス40L、40Rに向けて案内する。
【0042】
エンドフェンス40L、40Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの搬送方向の下流側の端部に当接して、シートSの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス41L、41Rは、内部トレイ37に支持されたシートSの幅方向の両端部に当接して、当該シートSの幅方向の位置を揃える。綴じ処理部42は、内部トレイ37に支持されたシート束Sbを綴じる綴じ処理を実行する。綴じ処理部42が実行する綴じ処理は、シート束Sbに綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ処理でもよいし、シート束Sbを加圧変形させて綴じる圧着綴じ処理でもよい。また、シート綴じユニット30は、幅方向に離間した位置で互いに独立して動作可能な、針綴じ処理を実行する針綴じ処理部と、圧着処理を実行する圧着綴じ処理部とを備えていてもよい。
【0043】
また、筐体31の綴じ処理部42に対面する位置には、マニュアルステープル用スリットが設けられていてもよい。そして、ユーザは、マニュアルステープル用スリットを通じてシート束を綴じ処理部42に挿入して、後述する操作パネル110のマニュアルステープルボタン押下することによって、綴じ処理部42に綴じ処理を実行させることができるように構成されていてもよい。
【0044】
[シート折りユニット20の制御ブロック]
次に、シート折りユニット20の折り処理を制御する制御構成について説明する。図4は、シート折りユニット20の制御を行う制御ブロックのハードウェア構成図である。図4に示すように、シート折りユニット20は、制御手段としてのコントローラ100を備えている。コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0045】
CPU101は演算手段であり、シート折りユニット20全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0046】
シート折りユニット20は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、シート折りユニット20の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、シート折りユニット20に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、シート折りユニット20の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、シート折りユニット20の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0047】
I/F105は、搬送モータ22c、第一折りモータ23a、第二折りモータ24a、第三折りモータ25a、ロータリエンコーダ22z、23z、24z、25z、操作パネル110及びシート検知センサ29を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、シート綴じユニット30側の入力インタフェースINからI/F105を通じてシート検知センサ29から情報を取得し、また、I/F105を介してロータリエンコーダ22z、23z、24z、25z、操作パネル110から情報を取得し、搬送モータ22c、第一折りモータ23a、第二折りモータ24a、第三折りモータ25aを動作させる。
【0048】
なお、図4にはシート折りユニット20における折り処理に用いられる構成部品のみを図示しているが、コントローラ100は、画像形成部12及びシート綴じユニット30のその他の動作も制御してもよい。また、コントローラ100は、画像形成部12の動作を制御する制御手段、及びシート綴じユニット30の動作を制御する制御手段と相互に通信することによって、画像形成部12及びシート綴じユニット30と連動してシート折りユニット20を動作させてもよい。
【0049】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてオペレータから情報を取得し、ディスプレイを通じてオペレータに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0050】
図5は、シート折りユニット20で実現可能な折り方のバリエーションを説明する図である。図5(A)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/4の第一折り位置C1と、先端からL/2(すなわち、第一折り位置よりも搬送方向の上流側)の第二折り位置C2とで互いに逆向きに折ることによって、所謂「Z折り」を行った場合のシートSを例示する図である。図5(B)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/3の第一折り位置C1と、先端から2L/3(すなわち、第一折り位置よりも搬送方向の上流側)の第二折り位置C2とで互いに逆向きに折ることによって、所謂「外三つ折り」を行った場合のシートSを例示する図である。図5(C)は、搬送方向の全長LのシートSを、先端からL/2の折り位置Cで折ることによって、所謂「二つ折り」を行った場合のシートSを例示する図である。
【0051】
[三つ折り処理フロー]
次に、図6図10を参照して、シートSを三つ折りする三つ折り処理を説明する。図6は、三つ折り処理のフローチャートである。図7は、第一折り位置C1でシートSを折る前のシート折りユニット20の状態を示す図である。図8は、第一折り位置C1でシートSを折るときのシート折りユニット20の状態を示す図である。図9は、第二折り位置C2でシートSを折る前のシート折りユニット20の状態を示す図である。図10は、第二折り位置C2でシートSを折った後のシート折りユニット20の状態を示す図である。
【0052】
なお、図7から図10において、シートSが順送又は逆送される様子を例示するが、図面上に表現されているシートSの長さは、図面表記上の便宜上表現したものであって、具体的な折り処理の場合とは異なる。
【0053】
図4において示したコントローラ100は、入力インタフェースINを通じて画像形成部12からシートSが供給されたことに応じて、図6に示す三つ折り処理を開始する。なお、シートSの折り方(換言すれば、搬送方向における折り位置C1、C2の場所)は、操作パネル110を通じてユーザから指示されてもよいし、通信ネットワークを通じて外部装置から指示されてもよい。すなわち、折り位置C1、C2を搬送方向にずらせば、図5(A)に示すZ折りと、図5(B)に示す外三つ折りの両方が実現できる。
【0054】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させて、シートSをシート折りユニット20に受け入れる(S601)。これにより、図7に示すように、ガイド板26は、第一姿勢に姿勢変化する。また、入力インタフェースINを通じて供給されたシートSは、主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送されて、ユニット30の搬送路Ph3に向かって搬送される。コントローラ100は、シート検知センサ29がシートSの先端側を検知するまで、言い換えると主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送されるシートSの搬送量が第一指定搬送量に達するまで(S602:NO)、ステップS601の処理を継続する。
【0055】
ここで、「第一指定搬送量」とは、シートSにおける第一折り位置C1が分岐位置Aに到達するタイミングになるまでの搬送量に相当する。すなわち、本実施形態では、搬送路Ph3上に配置されているシート検知センサ29においてシートSの先端(搬送方向の先頭の端部)が検知される位置にまでシートSが至ると、第一折り位置C1が分岐位置Aに到達しているものとする。シート検知センサ29の位置と分岐位置Aとの距離が、シートSの搬送方向先端から第一折り位置C1までの距離と同等になるものとする。
【0056】
なお、シートSの搬送方向の長さは、シートSのサイズによって様々であり、シートSの搬送方向先端から第一折り位置C1までの距離も、シートSのサイズに応じて様々となる。したがって、コントローラ100は、シートSのサイズから算出されるシートSの搬送方向先端から第一折り位置C1までの距離に基づいて、S602の判定基準を変更してもよい。具体的には、シート検知センサ29の設置位置においてシートSの先端が検知されてから、さらに搬送方向下流へとシートSが搬送され、その搬送量が第一指定搬送量に相当したとき、コントローラ100は、シートSにおける第一折り位置C1が分岐位置Aに到達したと判定するように、第一指定搬送量を調整すればよい。
【0057】
次に、コントローラ100は、シート検知センサ29の検知結果に基づいて、シートSの搬送方向先端が第一指定搬送量に相当する位置に至ったタイミングで、すなわち、第一折り位置C1が分岐位置Aに到達したタイミングで(S602:Yes)、搬送ローラ対22を順回転させる。また同じタイミングで、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25を逆回転させる(S603)。これにより、図8に示すように、ガイド板26は、第二姿勢に姿勢変化する。また、シートSは、第一折り位置C1を先頭にして還流搬送路Ph2に進入して、第二折りローラ24及び第三折りローラ25に挟持される。その結果、シートSは、第一折り位置C1で折られる。
【0058】
そして、図9に示すように、コントローラ100は、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置から、シートSの先端までの距離D1と、第二折り位置C2までの距離D2とが等しくなるまで(S604:No)、ステップS603の処理を継続する。このとき、コントローラ100は、シートSの逆走を開始してから、シート検知センサ29においてシートSを検知しなくなったタイミングと、各折りローラを回転させた回転量に基づいてシートSが第二指定搬送量に相当する位置に至った否かを判定する。
【0059】
ここで、「第二指定搬送量」とは、コントローラ100が、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25の逆回転により、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置から、シートSの先端までの距離D1と、第二折り位置C2までの距離D2とが等しくなるまでの、シートSの搬送量である。この第二指定搬送量に到達したタイミングの判定は、シート検知センサ29がシートSを検知しなくなったタイミングを基点にし、その後の各折りローラの回転量を検知することで可能である。
【0060】
次に、コントローラ100は、シート検知センサ29の検知結果に基づいて、シートSが第二指定搬送量に相当する位置まで逆送されたタイミングで、すなわち、距離D1、D2が等しくなったタイミングで(S605:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させる(S605)。これにより、図10に示すように、ガイド板26は、第一姿勢に姿勢変化する。また、シートSは、シートSの先端と第二折り位置C2とを先頭にして第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置に進入する。その結果、シートSは、第二折り位置C2で折られて、三つ折り(Z折り)が完成する。
【0061】
そして、コントローラ100は、S605においてシートSの搬送方向が順方向に切り変わった後に、シート検知センサ29においてシートSの検知をしてから、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の回転量に基づいて、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したか否かを判定する(S606)。
シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで(S606:No)、すなわち、図11に示すように、三つ折りされたシートSの排出が完了するまで、ステップS605の処理を継続する。
【0062】
そして、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したと判定されたとき(S606:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を停止させて、三つ折り処理を終了する。
【0063】
[二つ折り処理]
次に、図12及び図13を参照して、シートSを二つ折りする二つ折り処理を説明する。図12は、二つ折り処理のフローチャートである。図13は、二つ折り処理の過程におけるシート折りユニット20の状態を示す図である。なお、三つ折り処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0064】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させる(S1201)。これにより、図13(A)に示すように、ガイド板26が第一姿勢に姿勢変化する。そして、コントローラ100は、入力インタフェースINを通じて供給され、主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送されるシートSの先端がシート検知センサ29に検知されるまで、言い換えると主搬送路Ph1に沿って搬送方向に搬送されるシートSの搬送量が第一指定搬送量に達するまで(S1202:NO)、ステップS1201の処理を継続する。すなわち、コントローラ100は、折り位置Cが分岐位置Aに到達するまで、ステップS1201の処理を継続する。
【0065】
次に、コントローラ100は、シート検知センサ29の検知結果に基づいて、シートSの搬送方向先端が第一指定搬送量に相当する位置に至ったタイミングで、すなわち、折り位置Cが分岐位置Aに到達したタイミングで(S1202:Yes)、搬送ローラ対22を順回転させ、第一折りローラ23、第二折りローラ24、及び第三折りローラ25を逆回転させる(S1203)。これにより、図13(B)~図13(D)に示すように、ガイド板26が第二姿勢に姿勢変化し、シートSが折り位置Cを先頭にして還流搬送路Ph2に進入する。そして、シートSが第二折りローラ24及び第三折りローラ25に挟持されることによって、折り位置Cで二つ折りされる。そして、コントローラ100は、シートSの後端が第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置を通過して、シートSに対して、還流搬送路Ph2において第二指定搬送量に相当する搬送されるまで(S1204:No)、ステップS1203の処理を継続する。
【0066】
次に、コントローラ100は、シートSの後端が第二折りローラ24及び第三折りローラ25の挟持位置を通過したタイミング、すなわち、図13(D)に示すように、第三指定搬送量の搬送がなされたタイミングで(S1204:Yes)、第一折りローラ23及び第二折りローラ24を順回転させる(S1205)。また、コントローラ100は、搬送ローラ対22の順回転を継続する。これにより、図13(E)及び図13(F)に示すように、ガイド板26が第一姿勢に姿勢変化し、シートSが折り位置Cを先頭にして第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を通過する。
【0067】
そして、コントローラ100は、S1205においてシートSの搬送方向が順方向に切り変わった後に、シート検知センサ29においてシートSの検知をしてから、第一折りローラ23及び第二折りローラ24の回転量に基づいて、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したか否かを判定する(S1206)。シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで(S1206:No)、すなわち、二つ折りされたシートSの排出が完了するまで、ステップS1205の処理を継続する。
【0068】
さらに、コントローラ100は、シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過したタイミングで(S1206:Yes)、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を停止させて、二つ折り処理を終了する。
【0069】
なお、コントローラ100は、画像形成部12によって画像が形成された全てのシートSに対して、三つ折り処理または二つ折り処理を実行する必要はない。シートSを折らずに排出する場合、コントローラ100は、入力インタフェースINを通じて画像形成部12からシートSが供給されたことに応じて、当該シートSの後端が第一折りローラ23及び第二折りローラ24の挟持位置を搬送方向に通過するまで、搬送ローラ対22、第一折りローラ23、及び第二折りローラ24を順回転させればよい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るシート折りユニット20では、コントローラ100において実行される制御、すなわち、画像形成部12によって画像が形成されたシートSを、シート折りユニット20で折ってからシート綴じユニット30に引き渡す制御において、シート折りユニット20の筐体外の別ユニットが有するシート検知センサ29の検知結果を用いることができる。これによって、シート折りユニット20における部品点数を削減できる。
【0071】
なお、シート折りユニット20のコントローラ100は、画像形成部12によって画像が形成されたシートSを、シート折りユニット20で折らずにシート綴じユニット30に引き渡す制御も実行可能である。そして、コントローラ100は、操作パネル110を通じたユーザからの指示、または通信ネットワークを通じた外部装置からの指示に基づいて、制御の内容を切替可能に構成されていてもよい。
【0072】
[変形例]
図14は、画像形成システム1の外観図である。図14に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置10と、シート折り装置20’と、シート綴じ装置30’とで構成される。画像形成装置10、シート折り装置20’、及びシート綴じ装置30’は、各々が独立して動作可能な装置であると共に、相互に接続可能に構成されている。また、シート折り装置20’の構成は前述したシート折りユニット20と共通し、シート綴じ装置30’の構成は前述したシート綴じユニット30と共通する。
【0073】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0074】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>
上流側の装置に対し着脱自在に設置され、当該上流側の装置から排出されたシート状の媒体に対し所定のシート処理を実行して下流側の装置に当該媒体を排出するシート処理装置であって、
前記シート処理を実行する複数のローラ対と、
前記下流側の装置に設置されているシート検知センサによる前記媒体の検知結果に基づいて、前記シート処理を実行するために前記媒体の状態を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数のローラ対の正転又は逆転の時機を前記シート検知センサからの前記媒体の検知結果に基づいて制御する、
ことを特徴とするシート処理装置である。
<2>
前記上流側の装置の筐体に設けられた空洞部に対し、着脱自在に設置される、
前記<1>に記載のシート処理装置である。
<3>
前記シート検知センサは、前記下流側の装置における最上流側に設置されている、前記<1>又は<2>に記載のシート処理装置である。
<4>
前記シート検知センサは、前記下流側の装置が備えるシート搬送路における、前記媒体の搬送方向において最上流に配置されるローラ対よりも上流に設置されている、
前記<3>に記載のシート処理装置である。
<5>
前記制御部は、前記シート検知センサにおける検知位置に前記媒体の端部が到達した時機において、前記複数のローラ対の一部を逆転させて前記シート処理を実行する、
前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<6>
前記制御部は、前記シート検知センサにおける検知位置に前記媒体の端部が到達した時機において前記ローラ対の一部を逆転させて前記シート処理を実行し、当該媒体が前記シート検知センサにおいて検知されなくなった時機において逆転していた前記ローラ対を正転させる、
前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載のシート処理装置である。
<7>
筐体と、
前記筐体に収容されてシートに画像を形成する画像形成部と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成部によって画像が形成された前記媒体を折る前記<1>乃至前記<6>のいずれか一つに記載のシート処理装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
<8>
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された複数の前記媒体に対し複数のローラ対を用いたシート処理を実行する前記<1>乃至前記<6>のいずれか一つに記載のシート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【符号の説明】
【0075】
1 :画像形成システム
10 :画像形成装置
20 :シート折りユニット
21 :折り筐体
22 :搬送ローラ対
23 :第一折りローラ
24 :第二折りローラ
25 :第三折りローラ
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2009-113975号公報
【特許文献2】特開2014-162637号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14