(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108407
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】可動装置の台座、可動システム、画像投影装置、距離測定装置、音響装置および振動子
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20240805BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240805BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240805BHJP
H04R 1/22 20060101ALI20240805BHJP
H03H 9/24 20060101ALI20240805BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B81B3/00
G02B26/10 104Z
G01C3/06 120Q
H04R1/22 310
H04R1/22 320
H03H9/24 Z
B81B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012755
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】藤島 正幸
【テーマコード(参考)】
2F112
2H045
3C081
5D018
5J108
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112CA05
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2H045AB01
2H045AB73
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3C081AA13
3C081BA21
3C081BA28
3C081BA44
3C081BA48
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5D018AA10
5D018BA03
5J108AA07
5J108AA08
5J108BB08
5J108CC04
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5J108CC11
5J108EE03
5J108EE04
5J108EE07
5J108EE13
(57)【要約】
【課題】可動部の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置の共振周波数変化を低減可能な可動装置の台座を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る可動装置の台座は、可動部と、前記可動部を支持する支持部と、を有する可動装置が配置される可動装置の台座であって、基板と、前記基板上に配置される柱状部材と、を有し、前記基板は、上面視において、第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁部と、上面視において、前記一対の梁部が内側に配置される枠部と、上面視において、前記枠部の内側に配置され、前記一対の梁部と前記枠部とを接続する梁接続部と、を有し、前記柱状部材は、上面視において、前記第1軸と交差する第2軸に沿う方向を長手として前記一対の梁部上に配置され、前記柱状部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数よりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、前記可動部を支持する支持部と、を有する可動装置が配置される可動装置の台座であって、
基板と、
前記基板上に配置される柱状部材と、を有し、
前記基板は、
上面視において、第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁部と、
上面視において、前記一対の梁部が内側に配置される枠部と、
上面視において、前記枠部の内側に配置され、前記一対の梁部と前記枠部とを接続する梁接続部と、を有し、
前記柱状部材は、上面視において、前記第1軸と交差する第2軸に沿う方向を長手として前記一対の梁部上に配置され、
前記柱状部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数よりも大きい、可動装置の台座。
【請求項2】
前記支持部は、上面視において、一対の固定部を介して前記可動部を内側に支持し、
前記第1軸は、前記一対の固定部同士を結ぶ固定軸に沿っている、請求項1に記載の可動装置の台座。
【請求項3】
前記基板は、前記枠部の中心に対して対称に配置される偶数対の梁部を含む、請求項1に記載の可動装置の台座。
【請求項4】
第1から第4の柱状部材を含む4つの前記柱状部材を有し、
前記基板は、前記枠部の中心に対して対称に配置される四対の梁部を有し、
前記第1の柱状部材と前記第2の柱状部材は、上面視において、前記第2軸に対して対称に配置され、
前記第3の柱状部材と前記第4の柱状部材は、上面視において、前記第1軸に対して対称に配置される、請求項1に記載の可動装置の台座。
【請求項5】
前記一対の梁部と前記柱状部材は、上面視において、二等辺三角形の枠体を構成している、請求項1に記載の可動装置の台座。
【請求項6】
前記基板は、前記第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁接続部を含み、
前記一対の梁部と前記一対の梁接続部は、上面視において、菱形枠体を構成している、請求項1に記載の可動装置の台座。
【請求項7】
第1から第4の柱状部材を含む4つの前記柱状部材を有し、
前記基板は、第1から第4の菱形枠体を含む4つの前記菱形枠体を有し、
前記第1の柱状部材と前記第2の柱状部材は、上面視において、前記第2軸に対して対称に配置され、
前記第3の柱状部材と前記第4の柱状部材は、上面視において、前記第1軸に対して対称に配置され、
前記第1の菱形枠体と前記第2の菱形枠体は、上面視において、前記第2軸に対して対称に配置され、
前記第3の菱形枠体と前記第4の菱形枠体は、上面視において、前記第1軸に対して対称に配置される、請求項6に記載の可動装置の台座。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の可動装置の台座と、
前記台座に配置される可動装置と、
前記台座と前記可動装置との間に配置されるスペーサ部と、を有する、可動システム。
【請求項9】
前記スペーサ部は、前記梁部の梁接続部と反対側の端部を含む、請求項8に記載の可動システム。
【請求項10】
前記スペーサ部は、前記柱状部材を含む、請求項8に記載の可動システム。
【請求項11】
前記可動部は、第1から第4の固定部を介して接続する前記支持部により支持され、
上面視において、前記第1の固定部と前記第2の固定部を結ぶ軸は、前記第3の固定部と前記第4の固定部を結ぶ軸と交差する、請求項8に記載の可動システム。
【請求項12】
請求項8に記載の可動システムを有する、画像投影装置。
【請求項13】
請求項8に記載の可動システムを有する、距離測定装置。
【請求項14】
請求項8に記載の可動システムを有する、音響装置。
【請求項15】
請求項8に記載の可動システムを有する、振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動装置の台座、可動システム、画像投影装置、距離測定装置、音響装置および振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術の発達に伴い、シリコンやガラスを微細加工して製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)装置等の可動装置が知られている。また、可動装置を外部装置に固定するための可動装置の台座、並びに可動装置と可動装置の台座とを含む可動システムが知られている。
【0003】
可動装置として、静電振動子の共振周波数を広い温度範囲で一定に保つために、振動体への圧接箇所に傾斜面を備えた出っ張り状の振動体圧接部を有し、膨張または収縮による振動体圧接部の変化によって振動体の振動範囲の長さが変化する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、振動体の振動範囲の長さが変化することにより、振動体等の可動部の変位量が変化する場合がある。
【0005】
本発明は、可動部の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置の共振周波数変化を低減可能な可動装置の台座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る可動装置の台座は、可動部と、前記可動部を支持する支持部と、を有する可動装置が配置される可動装置の台座であって、基板と、前記基板上に配置される柱状部材と、を有し、前記基板は、上面視において、第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁部と、上面視において、前記一対の梁部が内側に配置される枠部と、上面視において、前記枠部の内側に配置され、前記一対の梁部と前記枠部とを接続する梁接続部と、を有し、前記柱状部材は、上面視において、前記第1軸と交差する第2軸に沿う方向を長手として前記一対の梁部上に配置され、前記柱状部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可動部の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置の共振周波数変化を低減可能な可動装置の台座を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図3】一対の梁部および柱状部材を示す上面図である。
【
図4】一対の梁部および柱状部材の形状変化の第1例を示す上面図である。
【
図5】一対の梁部および柱状部材の形状変化の第2例を示す上面図である。
【
図6】第2実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図12】第4実施形態に係る菱形枠体の一例を示す上面図である。
【
図13】第5実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図15】第5実施形態に係る菱形枠体の一例を示す上面図である。
【
図16】第6実施形態に係る可動システムの一例を示す斜視図である。
【
図19】実施形態に係る画像投影装置を搭載した自動車の一例の図である。
【
図20】実施形態に係る画像投影装置の一例の図である。
【
図21】実施形態に係る距離測定装置を搭載した自動車の一例の図である。
【
図22】実施形態に係る距離測定装置を搭載した自動車の他の例の図である。
【
図23】実施形態に係る距離測定装置の一例の図である。
【
図24】実施形態に係る音響装置の一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
各図面において、方向表現として、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標を用いる。Z軸に沿うZ方向を上下方向とする。上下方向は、実施形態に係る可動装置における可動部の変位方向である。+Z方向を上、-Z方向を下とする。本明細書では、上面視とは、特段の指定がない限り、+Z方向から対象を視ることをいう。Z方向に直交する面内において、直交する2方向をX方向およびY方向とする。但し、これら方向表現は、本発明の実施形態の方向を限定するものではない。
【0011】
[第1実施形態]
(可動システム100の構成例)
図1および
図2を参照し、第1実施形態に係る可動システムの構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る可動システム100の一例を示す斜視図である。
図2は、可動システム100の分解斜視図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、可動システム100は、台座1と、台座1に固定される可動装置2と、台座1と可動装置2との間に配置されるスペーサ部材3と、を有する。
【0013】
可動装置2は、可動部21と支持部22とを有する。支持部22は、可動部21を支持する。
図1および
図2に示す例では、支持部22は、上面視において、略矩形の外形形状と、略矩形の支持部開口23と、を有する矩形枠状の部分である。支持部22は、固定部220-1および固定部220-2を含む一対の固定部220を介し、上面視において、可動部21を内側に支持する。固定軸210は、固定部220-1と固定部220-2とを結ぶ軸である。
図1に示す例では、固定軸210はY軸に沿っている。
【0014】
可動装置2は、例えば半導体プロセスにより製作されたMEMS装置である。可動装置2は、シリコン、ガラス等を含んで構成される。本明細書で例示する可動装置2は、可動部21の両端が支持部22により支持される両持ち梁構造を有する。可動装置2は、駆動電圧が印加されることにより、可動部21の中央部分が上下方向(Z方向)に往復変位、すなわち振動する振動装置である。可動装置2では、可動装置2の共振周波数で可動部21を振動させることにより、共振周波数で振動させない場合と比較して、単位駆動電圧当たりの振動振幅(変位量)を大きくすることができる。
【0015】
可動装置2は、可動部21の振動を音波に、又は音波を可動部21の振動に変換する音響装置の一例である。この音響装置は、スピーカー、イヤホン、マイク等として利用できる。また、可動装置2は、高い周波数精度で発振する振動子としても使用できる。このような振動子は、高周波無線機器のフィルタ等に使用できる。可動装置2は、高周波電力を供給される場合には、高周波電力を超音波振動に変換する超音波振動子としても使用できる。但し、可動装置2は、振動装置に限定されず、可動部が揺動する揺動装置、反射面を含む可動部が揺動する揺動ミラー装置等であってもよい。また、可動装置2は、反射面に限らず、回折格子、フォトダイオード、ヒータ(例えば、窒化珪素を用いたヒータ)、光源(例えば、面発光型レーザ)等を有してもよい。また、可動装置2は、両持ち支持構造に限らず、可動部21の一端が支持部22により支持される片持ち梁構造を有してもよいし、可動部21が3つ以上の固定部を介して支持部22により支持される構造であってもよい。
【0016】
台座1は、可動装置2を外部装置に固定する場合に、可動装置2と外部装置との間に配置される。ここでの外部装置は、可動装置2が搭載される画像投影装置、距離測定装置等である。台座1を介することにより、可動装置2を外部装置に直接配置する場合と比較して、外部装置への可動装置2の配置を行いやすくすることができる。
【0017】
台座1は、基板11と、柱状部材12と、柱状部材13と、を有する。柱状部材12および柱状部材13は、基板11上に配置される。基板11は、枠部111と、一対の梁部112と、一対の梁部113と、梁接続部114と、を有する。
【0018】
枠部111は、上面視において、梁接続部114を内側に支持する枠状の部分である。
図1および
図2に示す例では、枠部111は、上面視において、略矩形の外形形状と、略矩形の枠部開口115と、を有する矩形枠状の部分である。
【0019】
本実施形態では、一対の梁部112は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している。一対の梁部113は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している。梁接続部114は、上面視において、枠部111の内側に配置される一対の梁部112および一対の梁部113と、枠部111と、を接続する。一対の梁部112および一対の梁部113は、
図2に示す枠部111の中心116に対して対称に配置される偶数対(ここでは二対)の梁部に対応する。
【0020】
実施形態に係る一対の梁部の個数は、二対に限定されるものではない。また、実施形態に係る一対の梁部の個数は、偶数個に限定されず、奇数個であってもよい。また、実施形態に係る一対の梁部は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されれば、枠部111の中心116に対して必ずしも対称に配置されなくてもよい。
【0021】
本実施形態では、一対の梁部112は、梁部112-1と梁部112-2とを含む。梁部112-1および梁部112-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部112-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部112-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部112-1および梁部112-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部112-1および梁部112-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁接続部114に接続している。梁部112-1および梁部112-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0022】
本実施形態では、一対の梁部113は、梁部113-1と梁部113-2とを含む。梁部113-1および梁部113-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部113-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部113-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部113-1および梁部113-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部113-1および梁部113-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁接続部114に接続している。梁部113-1および梁部113-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0023】
本実施形態では、柱状部材12は、上面視において、第1軸110yと交差する第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部112上に配置されている。柱状部材12は、梁部112-1および梁部112-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。柱状部材12上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0024】
本実施形態では、柱状部材13は、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部113上に配置されている。柱状部材13は、梁部113-1および梁部113-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。柱状部材13上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0025】
本実施形態では、柱状部材12の線膨張係数は、基板11の線膨張係数よりも大きい。柱状部材13の線膨張係数は、基板11の線膨張係数よりも大きい。例えば、基板11は、線膨張係数が15ppm(parts per million)であるFR-4グレードのガラスエポキシ基板である。柱状部材12および柱状部材13のそれぞれは、線膨張係数が24ppmのアルミニウムにより構成される。但し、基板11、柱状部材12および柱状部材13の材質は、上記に限定されず、柱状部材12および柱状部材13の線膨張係数が基板11の線膨張係数よりも大きければ、様々なものを選択可能である。
【0026】
スペーサ部材3は、台座1と可動装置2との間に配置されるスペーサ部の一例である。可動装置2が台座1に固定された状態において、可動装置2における可動部21が変位する空間を確保するために、台座1と可動装置2との間に配置される。なお、スペーサ部はスペーサ部材3に限らず、台座1の一部分または可動装置2の一部分であってもよい。
【0027】
図1および
図2に示す例では、スペーサ部材3は、柱状部材12および柱状部材13を含む。換言すると、柱状部材12および柱状部材13のそれぞれは、スペーサ部材3の機能を有する。なお、
図2では、柱状部材12および柱状部材13のそれぞれがスペーサ部材3の機能を有するため、柱状部材12および柱状部材13のそれぞれの符号と、スペーサ部材3の符号を併記している。
【0028】
柱状部材12および柱状部材13は、スペーサ部材3の機能を有さず、例えば、基板11における可動装置2が配置される側とは反対側に配置されてもよい。なお、基板11における可動装置2が配置される側とは反対側に柱状部材12および柱状部材13が固定される場合には、-Z方向が「上」に対応する。また、この場合には、基板11の-Z方向は、柱状部材12および柱状部材13が配置される「基板11上」に対応する方向となり、上面視は-Z方向から対象を視ることに対応する。
【0029】
(台座1および可動システム100の主な作用効果)
図3~
図5を参照して、可動システム100の主な作用効果について説明する。
図3は、可動システム100における一対の梁部112および柱状部材12を示す上面図である。
図4は、温度変化に伴う一対の梁部112および柱状部材12の形状変化の第1例を示す上面図である。
図5は、温度変化に伴う一対の梁部112および柱状部材12の形状変化の第2例を示す上面図である。
【0030】
例えば、
図3は、可動システム100の温度変化前における一対の梁部112および柱状部材12を示している。
図4は、
図3の状態から可動システム100の温度が上昇し、一対の梁部112および柱状部材12のそれぞれが伸長した状態を示している。
図5は、
図3の状態から可動システム100の温度が低下し、一対の梁部112および柱状部材12のそれぞれが収縮した状態を示している。
図3~
図4に示すように、一対の梁部112と柱状部材12は、上面視において、二等辺三角形の枠体Eを構成している。
【0031】
可動装置では、支持部が可動部を支持する一対の固定部同士を結ぶ固定軸に沿う方向に可動部が伸縮すると、可動装置の共振周波数が変化し、所望の変位量が得られなくなる場合がある。一方、上記の固定軸と交差する方向に可動部が伸縮した場合には、固定軸に沿って伸縮する場合と比較して、可動装置の共振周波数の変化は小さい。
【0032】
本実施形態では、柱状部材12は、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部112上に配置され、一対の梁部112に固定される。
図3~
図5に示す例では、柱状部材12は、一対の梁部112において、梁接続部114に接続する端部T1とは反対側の端部T2上に固定されている。端部T1は、梁接続部114に固定されているため、柱状部材12が伸縮してもほぼ動かない。一方、端部T2は、柱状部材12に固定されているため、柱状部材12の伸縮に応じて動くことができる。柱状部材12の線膨張係数は、基板11の線膨張係数よりも大きい。このため、柱状部材12は基板11と比較して、温度変化に応じて伸縮しやすい。
【0033】
図4では、柱状部材12は、温度上昇に応じて第2軸110xに沿う方向に伸長している。破線で示した柱状部材12および一対の梁部112は、温度上昇前のものを表し、実線で示した柱状部材12'および一対の梁部112'は、温度上昇後のものを表している。端部T2は、柱状部材12の伸長に応じて第2軸110xに沿う方向に動いている。
【0034】
温度上昇に伴う一対の梁部112の伸長量は、温度上昇に伴う柱状部材12の伸長量よりも小さい。柱状部材12の伸長に連動することにより、一対の梁部112では、第2軸110xに沿う方向への伸長が支配的となる。従って、一対の梁部112は、柱状部材12の伸長に応じて、第2軸110xに沿う方向に主に伸長し、第1軸110yに沿う方向への伸長は低減される。そして、第1軸110yに対する一対の梁部112の傾斜角度θ1は、温度上昇前の傾斜角度θ0よりも大きくなる。
【0035】
一対の梁部112の第1軸110yに沿う方向への伸長が低減されることにより、
図1に示した可動装置2では、可動部21の固定軸210に沿う方向への伸長が低減される。これにより、本実施形態では、温度上昇に応じた可動装置2の共振周波数の変化を低減することができる。一方で、可動部21の可動範囲は、温度上昇の前後で変わらないため、可動部21の変位量が変化することはない。なお、本明細書における「変位量の変化」に関し、変位量に差があった場合にも、この差が誤差と認められる程度の差である場合には、「変位量の変化」があったとは見做さないものとする。誤差と認められる程度の差は、例えば振動振幅等の可動部に求められる所定の変位量の1/10以下の差である。
【0036】
一方、
図5において、柱状部材12は、温度低下に応じて第2軸110xに沿う方向に収縮する。破線で示した柱状部材12および一対の梁部112は、温度低下前のものを表し、実線で示した柱状部材12''および一対の梁部112''は、温度低下後のものを表している。端部T2は、柱状部材12の収縮に応じて第2軸110xに沿う方向に動いている。
【0037】
温度低下に伴う一対の梁部112の収縮量は、柱状部材12の収縮量よりも小さい。柱状部材12の収縮に連動することにより、一対の梁部112では、第2軸110xに沿う方向への収縮が支配的となる。従って、一対の梁部112は、柱状部材12の収縮に応じて、第2軸110xに沿う方向に主に収縮し、第1軸110yに沿う方向への収縮は低減される。そして、第1軸110yに対する一対の梁部112の傾斜角度θ2は、温度上昇前の傾斜角度θ0よりも小さくなる。
【0038】
一対の梁部112の第1軸110yに沿う方向への収縮が低減されることにより、
図1に示した可動装置2では、可動部21の固定軸210に沿う方向への収縮が低減される。これにより、本実施形態では、温度低下に応じた可動装置2の共振周波数の変化を低減することができる。一方で、可動部21の可動範囲は、温度低下の前後で変わらないため、可動部21の変位量が変化することはない。
【0039】
以上により、本実施形態では、可動部21の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減可能な可動装置2の台座1を提供することができる。また、台座1を含み、外部装置への可動装置2の配置を行いやすい可動システム100において、上記と同じ効果を得ることができる。
【0040】
柱状部材12が一対の梁部112上に配置される位置は、
図3~
図5に示した端部T2上に限定されず、一対の梁部112上における端部T1と端部T2との間の任意の位置であってもよい。但し、柱状部材12が第2軸110xに沿う方向に伸縮する力を小さくする観点では、柱状部材12は一対の梁部112上で端部T2に近い位置に配置されることが好ましい。
【0041】
図4および
図5に示した梁部112-2の第1軸110yに対する傾斜角度θ0の絶対値は、柱状部材12が伸長した場合の傾斜角度変化の余裕と、柱状部材12が収縮した場合の傾斜角度変化の余裕を均等にする観点では、略45度であることが好ましい。このことは、以降に示す他の梁部の第1軸110yまたは第2軸110xに対する傾斜角度においても同様である。
【0042】
また、本実施形態では、支持部22は、上面視において、一対の固定部220を介して可動部21を内側に支持し、第1軸110yは、一対の固定部220同士を結ぶ固定軸210に沿っている。この構成により、固定軸210に沿う方向における可動部21の伸縮を低減し、可動部21の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減可能な可動装置2の台座1を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態では、基板11は、枠部111の中心116に対して対称に配置される一対の梁部112および一対の梁部113、すなわち二対(偶数対)の梁部を含む。この構成により、例えば
図2における中心116よりも-Y方向側での可動部21の第1軸110yに沿う方向への伸縮を、一対の梁部112および柱状部材12を用いて低減できる。また、中心116よりも+Y方向側での可動部21の第1軸110yに沿う方向への伸縮を一対の梁部113および柱状部材13を用いて低減できる。この結果、可動部21の第1軸110yに沿う方向への伸縮の低減効果を高くし、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化の低減効果を高くすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、梁部112-1および梁部112-2と柱状部材12は、上面視において、二等辺三角形の枠体Eを構成している。これにより、第2軸110xに沿う方向において、梁部112-1と梁部112-2を近づけて配置できる。この結果、梁部112-1および梁部112-2を配置する面積を小さくして台座1を小型化しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減可能な可動装置2の台座1を提供できる。但し、一対の梁部112と柱状部材12は、上面視において、必ずしも二等辺三角形の枠体Eを構成しなくてもよい。例えば梁部112-1および梁部113-2は、第2軸110xに沿う方向における異なる位置において梁接続部114に接続されることで、上面視において、二等辺三角形の枠体Eを構成しないように配置されてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、スペーサ部材3は、柱状部材12および柱状部材13を含む。これにより、スペーサ部材3と、柱状部材12および柱状部材13と、を別々に配置しなくてもよいため、可動システム100を小型化するとともに、可動システム100のコストを低減することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る可動システムについて説明する。なお、既に説明した実施形態および変形例と同一の名称、符号については、同一もしくは同質の部材又は構成部を示しており、詳細説明を適宜省略する。この点は、以降に示す他の実施形態においても同様とする。
【0047】
第2実施形態に係る可動システムは、第1から第4の柱状部材を含む4つの柱状部材を有し、基板は、枠部の中心に対して対称に配置される四対の梁部を含み、第1の柱状部材と第2の柱状部材は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置され、第3の柱状部材と第4の柱状部材は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置される点が、第1実施形態と主に異なる。
【0048】
図6および
図7を参照して、第2実施形態に係る可動システムについて説明する。
図6は、第2実施形態に係る可動システム100aの一例を示す斜視図である。
図7は、可動システム100aの分解斜視図である。
【0049】
可動システム100aは、台座1aを有する点が可動システム100と異なる。台座1aは、基板11aと、第1の柱状部材12aと、第2の柱状部材13aと、第3の柱状部材14aと、第4の柱状部材15aと、を有する点が台座1と異なる。第1の柱状部材12a、第2の柱状部材13a、第3の柱状部材14aおよび第4の柱状部材15aは、基板11a上に配置される。基板11aは、一対の梁部112aと、一対の梁部113aと、一対の梁部117aと、一対の梁部118aと、梁接続部114a-1と、梁接続部114a-2と、を有する点が基板11と異なる。
【0050】
本実施形態では、一対の梁部112aは、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している。一対の梁部113aは、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している。一対の梁部117aは、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置され、それぞれが第2軸110xに対して傾斜している。一対の梁部118aは、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置され、それぞれが第2軸110xに対して傾斜している。梁接続部114a-1および梁接続部114a-2は、上面視において、枠部111の内側に配置される一対の梁部112a、一対の梁部113a、一対の梁部117aおよび一対の梁部118aと、枠部111と、を接続する。一対の梁部112a、一対の梁部113a、一対の梁部117aおよび一対の梁部118aは、
図7に示す枠部111の中心116に対して対称に配置される偶数対(ここでは四対)の梁部に対応する。
【0051】
本実施形態では、一対の梁部112aは、梁部112a-1と梁部112a-2とを含む。梁部112a-1および梁部112a-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部112a-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部112a-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部112a-1および梁部112a-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部112a-1および梁部112a-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁接続部114a-1および梁接続部114a-2に接続している。梁部112a-1および梁部112a-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0052】
本実施形態では、一対の梁部113aは、梁部113a-1と梁部113a-2とを含む。梁部113a-1および梁部113a-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部113a-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部113a-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部113a-1および梁部113a-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部113a-1および梁部113a-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁接続部114a-1および梁接続部114a-2に接続している。梁部113a-1および梁部113a-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0053】
本実施形態では、一対の梁部117aは、梁部117a-1と梁部117a-2とを含む。梁部117a-1および梁部117a-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁部117a-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁部117a-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁部117a-1および梁部117a-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部117a-1および梁部117a-2のそれぞれの+X方向側の端部は、梁接続部114a-1および梁接続部114a-2に接続している。梁部117a-1および梁部117a-2のそれぞれの-X方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0054】
本実施形態では、一対の梁部118aは、梁部118a-1と梁部118a-2とを含む。梁部118a-1および梁部118a-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁部118a-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁部118a-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁部118a-1および梁部118a-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部118a-1および梁部118a-2のそれぞれの-X方向側の端部は、梁接続部114a-1および梁接続部114a-2に接続している。梁部118a-1および梁部118a-2のそれぞれの+X方向側の端部は、枠部111から離隔している。
【0055】
本実施形態では、第1の柱状部材12aは、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部112a上に配置されている。第1の柱状部材12aは、梁部112a-1および梁部112a-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第1の柱状部材12a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0056】
本実施形態では、第2の柱状部材13aは、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部113a上に配置されている。第2の柱状部材13aは、梁部113a-1および梁部113a-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第2の柱状部材13a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0057】
本実施形態では、第3の柱状部材14aは、上面視において、第1軸110yに沿う方向を長手として一対の梁部117a上に配置されている。第3の柱状部材14aは、梁部117a-1および梁部117a-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第3の柱状部材14a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0058】
本実施形態では、第4の柱状部材15aは、上面視において、第1軸110yに沿う方向を長手として一対の梁部117a上に配置されている。第4の柱状部材15aは、梁部118a-1および梁部118a-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第4の柱状部材15a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0059】
本実施形態では、第1の柱状部材12aと第2の柱状部材13aは、第2軸110xに対して対称に配置される。第3の柱状部材14aと第4の柱状部材15aは、第1軸110yに対して対称に配置される。換言すると、第1の柱状部材12aと第2の柱状部材13aは、上面視において、第1軸110yに沿って配置される。第3の柱状部材14aと第4の柱状部材15aは、上面視において、第2軸110xに沿って配置される。
【0060】
本実施形態では、第1の柱状部材12aの線膨張係数は、基板11aの線膨張係数よりも大きい。第2の柱状部材13aの線膨張係数は、基板11aの線膨張係数よりも大きい。第3の柱状部材14aの線膨張係数は、基板11aの線膨張係数よりも大きい。第4の柱状部材15aの線膨張係数は、基板11aの線膨張係数よりも大きい。例えば、基板11aは、線膨張係数が15ppm(parts per million)であるFR-4グレードのガラスエポキシ基板である。第1の柱状部材12a、第2の柱状部材13a、第3の柱状部材14aおよび第4の柱状部材15aのそれぞれは、線膨張係数が24ppmのアルミニウムにより構成される。但し、基板11a、第1の柱状部材12a、第2の柱状部材13a、第3の柱状部材14aおよび第4の柱状部材15aの材質は、上記に限定されず、第1の柱状部材12a、第2の柱状部材13a、第3の柱状部材14aおよび第4の柱状部材15aの線膨張係数が基板11aの線膨張係数よりも大きければ、様々なものを選択可能である。
【0061】
(台座1aおよび可動システム100aの主な作用効果)
以上説明したように、本実施形態では、台座1aは、基板11aと、第1の柱状部材12aと、第2の柱状部材13aと、第3の柱状部材14aと、第4の柱状部材15aと、を有する。基板11aは、枠部の中心に対して対称に配置される一対の梁部112a、一対の梁部113a、一対の梁部117aおよび一対の梁部118aを含む。第1の柱状部材12aと第2の柱状部材13aは、第2軸110xに対して対称に配置される。第3の柱状部材14aと第4の柱状部材15aは、第1軸110yに対して対称に配置される。以上の構成により、第1軸110yに沿う方向および第2軸110xに沿う方向のそれぞれにおいて、温度変化に応じた一対の梁部112a、一対の梁部113a、一対の梁部117aおよび一対の梁部118aそれぞれの伸縮を低減できる。本実施形態では、交差する2方向において梁部の伸縮を低減することにより、温度低下に応じた可動装置2の共振周波数の変化の低減効果を高くすることができる。一方で、可動部21の可動範囲は、温度上昇の前後で変わらないため、可動部21の変位量が変化することはない。
【0062】
以上により、本実施形態では、可動部21の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減可能な可動装置2の台座1aを提供できる。また、台座1aを含み、外部装置への可動装置2の配置を行いやすい可動システム100aにおいて、上記と同じ効果を得ることができる。なお、上記以外の効果は、第1実施形態とほぼ同じである。
【0063】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る可動システムについて説明する。第3実施形態では、可動部は、第1から第4の固定部を介して接続する支持部により支持され、上面視において、第1の固定部と第2の固定部を結ぶ軸は、第3の固定部と第4の固定部を結ぶ軸と交差する点が、第2実施形態と主に異なる。
【0064】
図8および
図9を参照して、第3実施形態に係る可動システムについて説明する。
図8は、第3実施形態に係る可動システム100bの一例を示す斜視図である。
図9は、可動システム100bの分解斜視図である。
【0065】
可動システム100bは、可動装置2bを有する点が可動システム100aと異なる。可動装置2bは、可動部21bと、支持部22bと、を有する点が可動装置2aと異なる。可動部21bは、第1の固定部220b-1、第2の固定部220b-2、第3の固定部220b-3および第4の固定部220b-4のそれぞれを介して接続する支持部22bにより支持される。軸A1は、第1の固定部220b-1と第2の固定部220b-2を結ぶ軸である。軸A2は、第3の固定部220b-3と第4の固定部220b-4を結ぶ軸である。上面視において、軸A1は軸A2と交差する。
【0066】
可動装置2bは、駆動電圧が印加されることにより、可動部21bの中央部分が上下方向(Z方向)に往復変位、すなわち振動する振動装置である。可動装置2bのように、交差する2方向において可動部が支持部に接続する構成では、温度変化に応じた、交差する2方向における可動部の伸縮により、可動装置の共振周波数が変化する場合がある。
【0067】
本実施形態では、第1の柱状部材12aと第2の柱状部材13aは、第2軸110xに対して対称に配置される。第3の柱状部材14aと第4の柱状部材15aは、第1軸110yに対して対称に配置される。この構成により、第1軸110yに沿う方向および第2軸110xに沿う方向のそれぞれにおいて、温度変化に応じた一対の梁部112a、一対の梁部113a、一対の梁部117aおよび一対の梁部118aそれぞれの伸縮を低減できる。交差する2方向における可動部21bの温度変化に応じた伸縮を低減できるため、可動装置2bの共振周波数の変化を低減することができる。一方で、可動部21bの可動範囲は、温度変化の前後で変わらないため、可動部21bの変位量が変化することはない。
【0068】
以上により、本実施形態では、可動部21bの変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2bの共振周波数変化を低減可能な可動装置2bの台座1aを提供できる。また、台座1aを含み、外部装置への可動装置2bの配置を行いやすい可動システム100bにおいて、上記と同じ効果を得ることができる。なお、上記以外の効果は、第1および第2実施形態とほぼ同じである。
【0069】
また、本実施形態では、可動部21bは、折り返し構造24をさらに介して、支持部22bに接続する。可動装置2bでは、可動部21bが折り返し構造24を介して支持部22bに接続することで、折り返し構造24を介さない場合と比較して、可動部21bの変位量を大きくすることができる。但し、可動装置2bは、折り返し構造24を介さずに支持部22bに接続してもよい。
【0070】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る可動システムについて説明する。第4実施形態では、台座は、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している一対の梁接続部を含み、一対の梁部と一対の梁接続部は、上面視において、菱形枠体を構成している点が第1実施形態と主に異なる。
【0071】
図10~
図12を参照して、第4実施形態に係る可動システムについて説明する。
図10は、第4実施形態に係る可動システム100cの一例を示す斜視図である。
図11は、可動システム100cの分解斜視図である。
図12は、第4実施形態に係る菱形枠体の一例を示す上面図である。
【0072】
可動システム100cは、台座1cを有する点が可動システム100と異なる。台座1cは、基板11cを有する点が台座1と異なる。基板11cは、一対の梁部112cと、一対の梁部113cと、一対の梁接続部114cと、一対の梁接続部119cと、を有する点が基板11と異なる。
【0073】
本実施形態では、一対の梁部112cは、梁部112c-1と梁部112c-2とを含む。梁部112c-1および梁部112c-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部112c-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部112c-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部112c-1および梁部112c-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部112c-1および梁部112c-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁部113c-1および梁部113c-2の-Y方向側の端部に接続している。梁部112c-1および梁部112c-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁接続部114c-1および梁接続部114c-2に接続している。
【0074】
本実施形態では、一対の梁部113cは、梁部113c-1と梁部113c-2とを含む。梁部113c-1および梁部113c-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部113c-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部113c-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部113c-1および梁部113c-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部113c-1および梁部113c-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁部112c-1および梁部112c-2の+Y方向側の端部に接続している。梁部113c-1および梁部113c-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁接続部119c-1と梁接続部119c-2に接続している。
【0075】
本実施形態では、一対の梁接続部114cは、梁接続部114c-1と梁接続部114c-2とを含む。梁接続部114c-1および梁接続部114c-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁接続部114c-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁接続部114c-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁接続部114c-1および梁接続部114c-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部114c-1および梁接続部114c-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁部112c-1および梁部112c-2の-Y方向側の端部に接続している。梁接続部114c-1および梁接続部114c-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0076】
本実施形態では、一対の梁接続部119cは、梁接続部119c-1と梁接続部119c-2とを含む。梁接続部119c-1および梁接続部119c-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁接続部119c-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁接続部119c-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁接続部119c-1および梁接続部119c-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部119c-1および梁接続部119c-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁部113c-1および梁部113c-2の+Y方向側の端部に接続している。梁接続部119c-1および梁接続部119c-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0077】
図12に示すように、本実施形態では、一対の梁部112cと一対の梁接続部114cは、上面視において、菱形枠体F1を構成している。一対の梁部113cと一対の梁接続部119cは、上面視において、菱形枠体F2を構成している。
【0078】
図11に示すように、柱状部材12は、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部112c上に配置されている。柱状部材12は、梁部112c-1および梁部112c-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。柱状部材12c上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0079】
柱状部材13は、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部113c上に配置されている。柱状部材13は、梁部113c-1および梁部113c-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。柱状部材13上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0080】
(台座1cおよび可動システム100cの主な作用効果)
以上説明したように、本実施形態では、台座1cは、第1軸110yに対して対称に配置され、それぞれが第1軸110yに対して傾斜している一対の梁接続部114cを含む。一対の梁部112cと一対の梁接続部114cは、上面視において、菱形枠体F1を構成している。温度変化に応じた柱状部材12の第2軸110xに沿う方向への伸縮によって動く一対の梁部112cの端部は、一対の梁接続部114cを介して枠部111に接続している。これにより、Z方向、すなわち可動部21の変位方向への力が一対の梁部112cに加えられた場合にも、一対の梁部112cがZ方向へ変位することを低減できるため、振動や衝撃に対する基板11cの耐性を高くすることができる。
【0081】
上面視において、菱形枠体F2を構成する一対の梁部113cと一対の梁接続部119cにおいても、一対の梁部112cと一対の梁接続部114cと同様の効果が得られる。
【0082】
また、本実施形態では、菱形枠体F1と菱形枠体F2は、第2軸100x対して対称に配置され、一対の梁部112cおよび一対の梁部113cの端部同士が接続している。これにより、菱形枠体F1および菱形枠体F2は、上面視において、枠部111の内側に支持される両持ち梁構造を構成する。この結果、1つの菱形枠体が片持ち梁構造で枠部111の内側に支持される場合と比較して、振動や衝撃に対する基板11cの耐性を高くすることができる。
【0083】
上記以外の効果は、第1実施形態とほぼ同じである。
【0084】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る可動システムについて説明する。第5実施形態では、台座は第1から第4の柱状部材を含む4つの柱状部材を有し、基板は第1から第4の菱形枠体を含む4つの菱形枠体、を有する。第1の柱状部材と第2の柱状部材は、上面視において、第2軸に対して対称に配置され、第3の柱状部材と第4の柱状部材は、上面視において、第1軸に対して対称に配置される。第1の菱形枠体と第2の菱形枠体は、上面視において、第2軸に対して対称に配置され、第3の菱形枠体と第4の菱形枠体は、上面視において、第1軸に対して対称に配置される。これらの点が第4実施形態と主に異なる。
【0085】
図13~
図15を参照して、第5実施形態に係る可動システムについて説明する。
図13は、第5実施形態に係る可動システム100dの一例を示す斜視図である。
図14は、可動システム100dの分解斜視図である。
図15は、第5実施形態に係る菱形枠体の一例を示す上面図である。
【0086】
可動システム100dは、台座1dを有する点が可動システム100と異なる。台座1dは、基板11dを有する点が台座1cと異なる。基板11dは、一対の梁部112dと、一対の梁部113dと、一対の梁部117dと、一対の梁部118dと、一対の梁接続部114dと、一対の梁接続部119dと、一対の梁接続部201dと、一対の梁接続部202dと、を有する点が基板11cと異なる。
【0087】
本実施形態では、一対の梁部112dは、梁部112d-1と梁部112d-2とを含む。梁部112d-1および梁部112d-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部112d-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部112d-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部112d-1および梁部112d-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部112d-1および梁部112d-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁部113d-1および梁部113d-2の-Y方向側の端部、梁部117d-1および梁部117d-2の+X方向側の端部、並びに、梁部118d-1および梁部118d-2の-X方向側の端部に接続している。梁部112d-1および梁部112d-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁接続部114d-1および梁接続部114d-2に接続している。
【0088】
本実施形態では、一対の梁部113dは、梁部113d-1と梁部113d-2とを含む。梁部113d-1および梁部113d-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁部113d-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁部113d-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁部113d-1および梁部113d-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部113d-1および梁部113d-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁部112d-1および梁部112d-2の+Y方向側の端部、梁部117d-1および梁部117d-2の+X方向側の端部、並びに、梁部118d-1および梁部118d-2の-X方向側の端部に接続している。梁部113d-1および梁部113d-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁接続部119d-1と梁接続部119d-2に接続している。
【0089】
本実施形態では、一対の梁部117dは、梁部117d-1と梁部117d-2とを含む。梁部117d-1および梁部117d-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁部117d-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁部117d-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁部117d-1および梁部117d-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部117d-1および梁部117d-2のそれぞれの+X方向側の端部は、梁部118d-1および梁部118d-2の-X方向側の端部、梁部112d-1および梁部112d-2の+Y方向側の端部、並びに、梁部113d-1および梁部113d-2の-Y方向側の端部に接続している。梁部117d-1および梁部117d-2のそれぞれの-X方向側の端部は、梁接続部201d-1および梁接続部201d-2に接続している。
【0090】
本実施形態では、一対の梁部118dは、梁部118d-1と梁部118d-2とを含む。梁部118d-1および梁部118d-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁部118d-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁部118d-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁部118d-1および梁部118d-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁部118d-1および梁部118d-2のそれぞれの-X方向側の端部は、梁部117d-1および梁部117d-2の+X方向側の端部、梁部112d-1および梁部112d-2の+Y方向側の端部、並びに、梁部113d-1および梁部113d-2の-Y方向側の端部に接続している。梁部118d-1および梁部118d-2のそれぞれの+X方向側の端部は、梁接続部202d-1および梁接続部202d-2に接続している。
【0091】
本実施形態では、一対の梁接続部114dは、梁接続部114d-1と梁接続部11d-2とを含む。梁接続部114d-1および梁接続部114d-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁接続部114d-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁接続部114d-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁接続部114d-1および梁接続部114d-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部114d-1および梁接続部114d-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、梁部112d-1および梁部112d-2の-Y方向側の端部に接続している。梁接続部114d-1および梁接続部114d-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0092】
本実施形態では、一対の梁接続部119dは、梁接続部119d-1と梁接続部119d-2とを含む。梁接続部119d-1および梁接続部119d-2は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置されている。梁接続部119d-1は、第1軸110yに対して-X方向側に配置され、梁接続部119d-2は、第1軸110yに対して+X方向側に配置されている。梁接続部119d-1および梁接続部119d-2のそれぞれは、上面視において、第1軸110yに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部119d-1および梁接続部119d-2のそれぞれの-Y方向側の端部は、梁部113d-1および梁部113d-2の+Y方向側の端部に接続している。梁接続部119d-1および梁接続部119d-2のそれぞれの+Y方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0093】
本実施形態では、一対の梁接続部201dは、梁接続部201d-1と梁接続部201d-2とを含む。梁接続部201d-1および梁接続部201d-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁接続部201d-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁接続部201d-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁接続部201d-1および梁接続部201d-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部201d-1および梁接続部201d-2のそれぞれの+X方向側の端部は、梁部117d-1および梁部117d-2の-X方向側の端部に接続している。梁接続部201d-1および梁接続部201d-2のそれぞれの-X方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0094】
本実施形態では、一対の梁接続部202dは、梁接続部202d-1と梁接続部202d-2とを含む。梁接続部202d-1および梁接続部202d-2は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置されている。梁接続部202d-1は、第2軸110xに対して-Y方向側に配置され、梁接続部202d-2は、第2軸110xに対して+Y方向側に配置されている。梁接続部202d-1および梁接続部202d-2のそれぞれは、上面視において、第2軸110xに対して傾斜している。この傾斜角度の絶対値は、0度よりも大きく90度未満であってもよい。梁接続部202d-1および梁接続部202d-2のそれぞれの-X方向側の端部は、梁部118d-1および梁部118d-2の+X方向側の端部に接続している。梁接続部202d-1および梁接続部202d-2のそれぞれの+X方向側の端部は、枠部111に接続している。
【0095】
図15に示すように、本実施形態では、一対の梁部112dと一対の梁接続部114dは、上面視において、第1の菱形枠体F11を構成している。一対の梁部113dと一対の梁接続部119dは、上面視において、第2の菱形枠体F12を構成している。一対の梁部117dと一対の梁接続部201dは、上面視において、第3の菱形枠体F13を構成している。一対の梁部118dと一対の梁接続部202dは、上面視において、第4の菱形枠体F14を構成している。第1の菱形枠体F11と第2の菱形枠体F12は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置される。第3の菱形枠体F13と第4の菱形枠体F14は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置される。
【0096】
図14に示すように、第1の柱状部材12aは、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部112d上に配置されている。第1の柱状部材12aは梁部112d-1および梁部112d-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第1の柱状部材12a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0097】
第2の柱状部材13aは、上面視において、第2軸110xに沿う方向を長手として一対の梁部113d上に配置されている。第2の柱状部材13aは、梁部113d-1および梁部113d-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第2の柱状部材13a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0098】
第3の柱状部材14aは、上面視において、第1軸110yに沿う方向を長手として一対の梁部117d上に配置されている。第3の柱状部材14aは、梁部117d-1および梁部117d-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第3の柱状部材14a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0099】
第4の柱状部材15aは、上面視において、第1軸110yに沿う方向を長手として一対の梁部118d上に配置されている。第4の柱状部材15aは、梁部118d-1および梁部118d-2それぞれの上に、接着または接合によって固定される。第4の柱状部材15a上には、可動装置2の支持部22が接着または接合によって固定される。
【0100】
(台座1dおよび可動システム100dの主な作用効果)
以上説明したように、本実施形態では、台座1dは、第1の柱状部材12a、第2の柱状部材13a、第3の柱状部材14aおよび第4の柱状部材15aを有し、基板11dは、第1の菱形枠体F11、第2の菱形枠体F12、第3の菱形枠体F13および第4の菱形枠体F14を含む4つの菱形枠体を有する。第1の柱状部材12aと第2の柱状部材13aは、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置され、第3の柱状部材14aと第4の柱状部材15aは、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置される。第1の菱形枠体F11と第2の菱形枠体F12は、上面視において、第2軸110xに対して対称に配置され、第3の菱形枠体F13と第4の菱形枠体F14は、上面視において、第1軸110yに対して対称に配置される。
【0101】
上記構成により、第1軸110yに沿う方向および第2軸110xに沿う方向のそれぞれにおいて、温度変化に応じた一対の梁部112d、一対の梁部113d、一対の梁部117dおよび一対の梁部118dそれぞれの伸縮を低減できる。交差する2方向において、梁部の伸縮を低減することにより、本実施形態では、温度低下に応じた可動装置2の共振周波数変化の低減効果を高くすることができる。一方で、可動部21の可動範囲は、温度上昇の前後で変わらないため、可動部21の変位量が変化することはない。
【0102】
以上により、本実施形態では、可動部21の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減可能な可動装置2の台座1dを提供できる。また、台座1dを含み、外部装置への可動装置2の配置を行いやすい可動システム100dにおいて、上記と同じ効果を得ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、Z方向、すなわち可動部21の変位方向への力が一対の梁部112cに加えられた場合にも、一対の梁部112cがZ方向へ変位することを低減できるため、振動や衝撃に対する基板11cの耐性を高くすることができる。
【0104】
上記以外の効果は、第4実施形態とほぼ同じである。
【0105】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る可動システムについて説明する。第6実施形態に係る可動システムは、第3実施形態における可動装置2bと、第5実施形態における台座1dと、を組み合わせたものである。
【0106】
図16は、第6実施形態に係る可動システム100eの一例を示す斜視図である。
図17は、可動システム100eの分解斜視図である。可動システム100eは、可動装置2bと台座1dと、を有する。
【0107】
台座1dでは、第1軸110yに沿う方向および第2軸110xに沿う方向のそれぞれにおいて、温度変化に応じた一対の梁部112d、一対の梁部113d、一対の梁部117dおよび一対の梁部118dそれぞれの伸縮を低減できる。これにより、本実施形態では、可動部21bの変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2bの共振周波数変化を低減することができる。また、台座1dを含み、外部装置への可動装置2bの配置を行いやすい可動システム100eにおいて、上記と同じ効果を得ることができる。なお、上記以外の効果は、第3および第5実施形態とほぼ同じである。
【0108】
図18は、スペーサ部の変形例を示す図である。
図18に示すように、スペーサ部3aは、梁部112-1における梁接続部と反対側の端部に設けられた、梁部112-1の一部分である。スペーサ部3aは、梁部112-1と一体化されている。
【0109】
[その他の好適な実施形態]
(画像投影装置)
次に、
図19および
図20を参照して、実施形態に係る可動システムを適用した画像投影装置について説明する。
図19は、実施形態に係る画像投影装置500を搭載した自動車400の実施形態に係る概略図である。
図20は画像投影装置500の一例の概略図である。
【0110】
画像投影装置500は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置である。自動車400は、実施形態に係る画像投影装置が搭載される移動体の一例である。
【0111】
画像投影装置500は、可動システム100fを有する。可動システム100fは、揺動軸回りに揺動可能な可動部を有する可動装置と、実施形態に係る台座と、を有する。実施形態に係る台座は、上述した台座1、台座1a、台座1cおよび台座1dのいずれであってもよい。可動装置における可動部は、反射面14を有する。可動システム100fは、反射面14に入射する光の反射方向を、可動部を揺動させることによって変化させ、反射面14による反射光を走査させることができる。
【0112】
図19に示すように、画像投影装置500は、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。画像投影装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。これにより、運転者402は、画像投影装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
【0113】
図20に示すように、画像投影装置500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R、501G、501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメータレンズ502、503、504と、2つのダイクロイックミラー505、506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する可動システム100fにて偏向される。そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。なお、上記画像投影装置500では、レーザ光源501R、501G、501B、コリメータレンズ502、503、504、ダイクロイックミラー505、506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
【0114】
画像投影装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
【0115】
レーザ光源501R、501G、501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ502、503、504で略平行光とされ、2つのダイクロイックミラー505、506により合成される。ダイクロイックミラー505、506は、それぞれ合成部の一例である。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する可動システム100fによって二次元走査される。可動システム100fで二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
【0116】
可動システム100fは、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この可動システム100fの駆動制御は、レーザ光源501R、501G、501Bの発光タイミングに同期して行われる。
【0117】
以上、画像投影装置は、反射面14を有した可動システム100fにより光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
【0118】
画像投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボット等の非移動体に搭載されてもよい。
【0119】
このように、実施形態に係る可動システムを画像投影装置に適用することにより、温度変化に伴う可動装置の共振周波数変化を低減させ、可動装置により安定して光走査可能な画像投影装置を提供できる。
【0120】
(距離測定装置)
次に、
図21~
図23を参照して、実施形態に係る可動システムを適用した距離測定装置について詳細に説明する。
図21および
図22は、実施形態に係る距離測定装置を、自動車の前照灯を搭載する灯部ユニットに搭載した自動車の概略図である。また、
図23は実施形態に係る距離測定装置の一例の概略図である。
【0121】
距離測定装置700は、対象方向の物体までの距離を測定する装置であり、例えばレーザレーダ装置である。
図21および
図22に示すように、距離測定装置700は、例えば自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702までの距離を測定する。自動車701は、実施形態に係る距離測定装置が搭載される移動体の一例である。
【0122】
距離測定装置700は、可動システム100fを有する。可動システム100fの構成は、画像投影装置500における可動システム100fの構成と同じである。
【0123】
図23に示すように、光源装置12Aから出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメータレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する可動システム100fで1軸もしくは2軸方向に走査される。そして、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12Aおよび可動システム100fは、制御装置により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。すなわち、反射光は入射光検出受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理装置708に出力する。信号処理装置708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
【0124】
測距回路710は、光源装置12Aがレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
【0125】
反射面14を有する可動システム100fは多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。このようなレーザレーダ装置は、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を測定することができる。
【0126】
距離測定装置は、反射面14を有した可動システム100fを制御装置で制御することにより光走査を行い、光検出器により反射光を受光することで被対象物702までの距離を測定する装置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証や、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナの構成部材等にも同様に適用することができる。
【0127】
このように、実施形態に係る可動システムを距離測定装置に適用することにより、温度変化に伴う可動装置の共振周波数変化を低減させ、可動装置により安定して光走査可能な距離測定装置を提供できる。
【0128】
(音響装置)
図24は、実施形態に係る音響装置の一例の図である。
図24において、音響装置800は、例えばワイヤレスイヤホンである。音響装置800における部分801の内側に、実施形態に係る可動装置を有する。実施形態に係る可動装置は、例えば
図1および
図2に示した可動装置2である。音響装置800は、可動装置2における可動部21の振動を音波に、又は音波を可動部21の振動に変換することができる。音響装置800は、可動装置2を有することにより、可動部21の変位量の変化を低減しつつ、温度変化に伴う可動装置2の共振周波数変化を低減し、可動部21の振動を音波に、又は音波を可動部21の振動に、安定して変換することができる。
【0129】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0130】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 可動部と、上面視において、前記可動部を内側に支持する枠状の支持部と、を有する可動装置が配置される可動装置の台座であって、基板と、前記基板上に配置される柱状部材と、を有し、前記基板は、上面視において、第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁部と、上面視において、前記一対の梁部が内側に配置される枠部と、上面視において、前記枠部の内側に配置され、前記一対の梁部と前記枠部とを接続する梁接続部と、を有し、前記柱状部材は、上面視において、前記第1軸と交差する第2軸に沿う方向を長手として前記一対の梁部上に配置され、記柱状部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数よりも大きい、可動装置の台座である。
<2> 前記支持部は、上面視において、一対の固定部を介して前記可動部を内側に支持し、前記第1軸は、前記一対の固定部同士を結ぶ固定軸に沿っている、前記<1>に記載の可動装置の台座である。
<3> 前記基板は、前記枠部の中心に対して対称に配置される偶数対の梁部を含む、前記<1>または前記<2>に記載の可動装置の台座である。
<4> 第1から第4の柱状部材を含む4つの前記柱状部材を有し、前記基板は、前記枠部の中心に対して対称に配置される四対の梁部を有し、前記第1の柱状部材と前記第2の柱状部材は、上面視において、前記第2軸に対して対称に配置され、前記第3の柱状部材と前記第4の柱状部材は、上面視において、前記第1軸に対して対称に配置される、前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載の可動装置の台座である。
<5> 前記一対の梁部と前記柱状部材は、上面視において、二等辺三角形の枠体を構成している、前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の可動装置の台座である。
<6> 前記基板は、前記第1軸に対して対称に配置され、それぞれが前記第1軸に対して傾斜している一対の梁接続部を含み、前記一対の梁部と前記一対の梁接続部は、上面視において、菱形枠体を構成している、前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の可動装置の台座である。
<7> 第1から第4の菱形枠体を含む4つの前記菱形枠体を有し、前記第1の菱形枠体と前記第2の菱形枠体は、上面視において、前記第2軸に対して対称に配置され、前記第3の菱形枠体と前記第4の菱形枠体は、上面視において、前記第1軸に対して対称に配置される、前記<6>に記載の可動装置の台座である。
<8> 前記<1>から前記<7>のいずれか1つに記載の可動装置の台座と、前記台座に配置される可動装置と、前記台座と前記可動装置との間に配置されるスペーサ部と、を有する、可動システムである。
<9> 前記スペーサ部は、前記梁部の梁接続部と反対側の端部を含む、前記<8>に記載の可動システムである。
<10> 前記スペーサ部は、前記柱状部材を含む、前記<8>に記載の可動システムである。
<11> 前記可動部は、第1から第4の固定部を介して接続する前記支持部により支持され、上面視において、前記第1の固定部と前記第2の固定部を結ぶ軸は、前記第3の固定部と前記第4の固定部を結ぶ軸と交差する、前記<8>から前記<10>のいずれか1つに記載の可動システムである。
<12> 前記<8>から前記<11>のいずれか1つに記載の可動システムを有する、画像投影装置である。
<13> 前記<8>から前記<11>のいずれか1つに記載の可動システムを有する、距離測定装置である。
<14> 前記<8>から前記<11>のいずれか1つに記載の可動システムを有する、音響装置である。
<15> 前記<8>から前記<11>のいずれか1つに記載の可動システムを有する、振動子である。
【符号の説明】
【0131】
1、1a、1c、1d 台座
11、11a、11c、11d 基板
110x 第2軸
110y 第1軸
111 枠部
112、113 一対の梁部
112-1、112-2、113-1、113-2 梁部
112a、113a 一対の梁部
112a-1、112a-2、113a-1、113a-2 梁部
112c、113c 一対の梁部
112c-1、112c-2、113c-1、113c-2 梁部
112d、113d 一対の梁部
112d-1、112d-2、113d-1、113d-2 梁部
114、114a-1、114a-2 梁接続部
114c、119c 一対の梁接続部
114c-1、114c-2、119c-1、119c-2 梁接続部
114d、119d 一対の梁接続部
114d-1、114d-2、119d-1、119d-2 梁接続部
115 枠部開口
116 中心
117、118 一対の梁部
117-1、117-2、118-1、118-2 梁部
117a、118a 一対の梁部
117a-1、117a-2、118a-1、118a-2 梁部
117d、118d 一対の梁部
117d-1、117d-2、118d-1、118d-2 梁部
201d、202d 一対の梁接続部
201d-1、201d-2、202d-1、202d-2 梁接続部
12、13 柱状部材
12a 第1の柱状部材
13a 第2の柱状部材
14a 第3の柱状部材
15a 第4の柱状部材
2、2b 可動装置
21b 可動部
22b 支持部
210 固定軸
220 一対の固定部
220-1、220-2 固定部
220b-1 第1の固定部
220b-2 第2の固定部
220b-3 第3の固定部
220b-4 第4の固定部
23 支持部開口
24 折り返し構造
3 スペーサ部材(スペーサ部の一例)
3a スペーサ部
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f 可動システム
500 画像投影装置
700 距離測定装置
A1、A2 軸
E 二等辺三角形の枠体
F1、F2 菱形枠体
F11 第1の菱形枠体
F12 第2の菱形枠体
F13 第3の菱形枠体
F14 第4の菱形枠体
θ0、θ1、θ2 傾斜角度
T1、T2 端部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0132】