(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108421
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物、化合物由来の構成単位を有する重合体、重合体を含むレジスト組成物、レジストパターン形成方法、シラン化合物
(51)【国際特許分類】
C08G 77/20 20060101AFI20240805BHJP
C07F 7/08 20060101ALI20240805BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20240805BHJP
C08F 30/08 20060101ALI20240805BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240805BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
C08G77/20
C07F7/08 Y CSP
C07F7/18 J
C08F30/08
G03F7/075 511
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012776
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 芙美
(72)【発明者】
【氏名】村田 貴朗
【テーマコード(参考)】
2H225
4H039
4H049
4J100
4J246
【Fターム(参考)】
2H225AC60
2H225AN39P
2H225AN59P
2H225CA11
2H225CA30
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC13
4H039CA92
4H039CF20
4H049VN01
4H049VP01
4H049VP11
4H049VQ03
4H049VQ21
4H049VQ30
4H049VQ79
4H049VR21
4H049VR22
4H049VR42
4H049VR43
4H049VT17
4H049VU20
4H049VU36
4H049VW32
4J100AL08P
4J100AL65P
4J100BA10P
4J100BA15P
4J100BA80P
4J100CA01
4J246AA03
4J246AB07
4J246BA12X
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA64X
4J246CA65X
4J246FA081
4J246FA131
4J246FA431
4J246FB271
4J246GA01
4J246GA02
4J246GB04
4J246GC45
4J246GD08
4J246HA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現像液溶解性が良好な、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物を提供する。
【解決手段】式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物。
(RmSiO
1.5)
n・・・(式1)
(式1)において、nは3~30の整数であり、RmはRa、Rbを含み、Raは下記(式2)で表される構造であり、Rbはラジカル重合性官能基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物。
(RmSiO
1.5)
n ・・・(式1)
(式1において、nは3~30の整数であり、RmはRa、Rbを含み、Raは下記式2で表される構造であり、Rbはラジカル重合性官能基である。)
【化2】
(上記式2中、Yは炭素数1~6の炭化水素鎖、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R
1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R
2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R
2同士が結合して環を形成してもよく、kは2~6の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物由来の構成単位を有する重合体。
【請求項3】
酸解離性基を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する請求項2に記載の重合体。
【請求項4】
フェノール性水酸基を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する請求項2に記載の重合体。
【請求項5】
ラクトン骨格を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する請求項2に記載の重合体。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の重合体を含むレジスト組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法。
【請求項8】
下記式3で表されるシラン化合物。
【化3】
(上記式3中、Zはカルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R
1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R
2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R
2同士が結合して環を形成してもよく、R
3は炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、kは2~6の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物、該化合物由来の構成単位を有する重合体、該重合体を含むレジスト組成物及び該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かご構造を有するシルセスキオキサンは、その硬直なポリシロキサン骨格とサブナノレベルの分子サイズから、高い透明性、耐熱性、表面硬度・耐擦傷性、機械強度等を有しており、ハードコート材料、耐熱材料、レジスト材料等の用途が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む、リソグラフィー用のレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/056928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレジスト組成物では、エチル基やイソブチル基などの炭化水素系側鎖を有するシルセスキオキサンに起因して現像液溶解性が充分でなく、微細パターンにおいて解像性に課題が残る場合があった。
そこで、本発明はこれらの問題点を解決することを目的とし、現像液溶解性が良好な、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物、前記化合物由来の構成単位を有する重合体、前記重合体を含むレジスト組成物、および前記レジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
【0006】
[1].下記式1で表される、かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
(式1において、nは3~30の整数であり、RmはRa、Rbを含み、Raは下記式2で表される構造であり、Rbはラジカル重合性官能基である。)
【0007】
【化2】
(上記式2中、Yは炭素数1~6の炭化水素鎖、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R
1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R
2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R
2同士が結合して環を形成してもよく、kは2~6の整数である。)
【0008】
[2].[1]に記載の化合物由来の構成単位を有する重合体。
【0009】
[3].酸解離性基を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する[2]に記載の重合体。
【0010】
[4].フェノール性水酸基を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する[2]又は[3]に記載の重合体。
【0011】
[5].ラクトン骨格を含むモノマー由来の構成単位をさらに有する[2]~[4]のいずれかに記載の重合体。
【0012】
[6].[2]~[5]のいずれかに記載の重合体を含むレジスト組成物。
【0013】
[7].[6]に記載のレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法。
【0014】
[8].下記式3で表されるシラン化合物。
【0015】
【化3】
(上記式3中、Zはカルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R
1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R
2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R
2同士が結合して環を形成してもよく、R
3は炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、kは2~6の整数である。)
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記式2で表される構造を有することにより、容易にかご型シルセスキオキサンを得られる点に加え、酸素原子を有する極性基により露光によって生じた酸拡散を適度に抑制することができ、また、現像液良溶解性の効果と合わせて、更なる解像性の向上が達成されることを見出して成し得た。
本発明によれば、現像液溶解性が良好であり、パターン解像性に優れるかご構造を有するシルセスキオキサンからなる重合体、前記重合体を含むレジスト組成物、および前記レジスト組成物を用いたパターン形成方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を一実施形態に基づいて説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
[かご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物]
本発明の一実施形態のかご構造を有するシルセスキオキサンを含む化合物(以下、本化合物ともいう。)は、下記式1で表されるものである。
(RmSiO1.5)n ・・・(式1)
【0019】
式1中、nは3~30の整数であり、RmはRa、Rbを含み、Raは下記式2で表される構造であり、Rbはラジカル重合性官能基である。
【0020】
上記式1中、nは、微細なパターンを形成するために、分子サイズが小さく分子鎖の絡まり合いが弱いのが好ましく、その観点から、nは30以下が好ましく、20以下がより好ましい。また、構造の安定性の観点から、nは3以上が好ましく、6以上がより好ましい。
【0021】
【0022】
上記式2中、Yは炭素数1~6の炭化水素鎖、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R2同士が結合して環を形成してもよく、kは2~6の整数である。
【0023】
本化合物の質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算)は、微細なパターンを形成できる点で1.0~2.0が好ましく、1.0~1.8がより好ましい。
質量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、800~10000が好ましく、1300~6000がより好ましい。
数平均分子量(Mn)は、特に限定するものではないが、800~10000が好ましく、1300~6000がより好ましい。
【0024】
本化合物のかご構造を有するシルセスキオキサンは、(SiO1.5)nで表現される頂点の数がn個のかご構造である。係るかご構造は、完全かご型シルセスキオキサン構造であっても、不完全かご型シルセスキオキサン構造であってもよい。例えば完全かご型シルセスキオキサン構造としては以下の化合物が挙げられる。
【0025】
【0026】
ここで、各頂点は置換基をそれぞれ1個含有する珪素原子であり、各辺はSi-O-Si結合を表す。
【0027】
本化合物では、剛直な化学構造を有する有機ケイ素化合物を含むことにより、例えば、ドライエッチング耐性に優れたものとなる。
【0028】
本化合物において、前記シルセスキオキサンのRmは、Ra、Rbを含み、Raは、下記式2で表される構造を含むものである。
【0029】
【0030】
上記式2中、Yは、炭素数1~6の炭化水素鎖、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、その中でも炭素数1~3の炭化水素鎖またはカルボニル基が好ましい。
【0031】
一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖としては、以下の式4又は式5の構造を例示することができる。
【0032】
【0033】
【0034】
R1は、水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、その中でも直鎖または分岐アルキル基が好ましい。
【0035】
R2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R2同士が結合して環を形成してもよい。この中でもアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が好ましい。
【0036】
R2同士が結合して環を形成する構造としては、例えば、以下の式6を挙げることができる。
【0037】
【0038】
kは、2~6の整数であり、その中でも2~4が好ましい。
【0039】
Rbは、ラジカル重合性官能基を表し、ラジカル重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、α-メチルスチリル基、ビニル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、スチリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0040】
本化合物において、RaとRbとの導入割合は、シルセスキオキサンを含む化合物およびその重合体の分子量分布を小さくできることから、通常モル比4:1~14:1であり、好ましくは5:1~12:1であり、特に好ましくは6:1~10:1である。
【0041】
Raを有するシラン化合物の一例として、下記式3で表されるシラン化合物を挙げることができる。
【0042】
【0043】
上記式3中、Zはカルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖であり、R1は水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基であり、R2は水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり、R2同士が結合して環を形成してもよく、R3は炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、kは2~6の整数である。
【0044】
上記式3において、Zはカルボニル基であるのが好ましく、R1は直鎖または分岐アルキル基であるのが好ましく、R2はアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基であるのが好ましく、R3は炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるのが好ましい。また、kは2~4であるのが好ましい。
【0045】
[重合体]
本発明の一実施形態の重合体(以下、本重合体ともいう。)は、本化合物由来の構成単位を有するものである。
本重合体は、本化合物を重合させた重合体でもよいが、2種以上の構成単位を有する共重合体であることが好ましい。つまり、本重合体は、本化合物として示したシルセスキオキサン骨格を含む構成単位以外の他の構成単位の1種以上を含むことが好ましく、他の構成単位の1~5種を含むことがより好ましい。
他の構成単位としては、化学増幅型レジスト組成物において公知の構成単位を用いることができる。例えば、酸解離性基を含む構成単位、フェノール性水酸基を含む構成単位、ラクトン骨格を含む構成単位等が挙げられる。
【0046】
本重合体中の、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位は1種でもよく2種以上でもよい。シルセスキオキサン骨格を含む構成単位以外の構成単位とのバランスの点から、シルセスキオキサン骨格を含む構成単位は3種以下が好ましい。
本重合体の全構成単位に対するシルセスキオキサン骨格を含む構成単位の含有量は1~50モル%が好ましく、1~40モル%がより好ましく、1~30モル%であることがさらに好ましい。
本重合体の質量平均分子量は、1000~100000が好ましく、3000~50000がより好ましく、5000~30000がさらに好ましい。
【0047】
<酸解離性基を含む構成単位>
本重合体は、上記したとおり、酸解離性基を含むモノマー由来の構成単位の1種以上を有することが好ましい。酸解離性基とは、酸の作用によってアルカリ溶解性が向上する基を意味する。
酸解離性基を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。酸解離性基を含む単量体の具体例としては、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-アミル(メタ)アクリレート、1,1-ジエチルプロピル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-t-ブチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
酸解離性基を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本重合体の全構成単位に対する酸解離性基を含む構成単位の含有量は5~80モル%が好ましく、10~70モル%がより好ましく、20~65モル%であることがさらに好ましい。
【0049】
<フェノール性水酸基を含む構成単位>
本重合体は、フェノール性水酸基を含むモノマー由来の構成単位の1種以上を有することが好ましい。
フェノール性水酸基を含む単量体としては、スチレン化合物または(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。フェノール性水酸基を含む単量体の具体例としては、4-ヒドロキシスチレン、2-ヒドロキシスチレン、3-ヒドロキシスチレン、2,3-ジヒドロキシスチレン、3,4-ジヒドロキシスチレン、3,5-ジヒドロキシスチレン、4-イソプロペニルフェノール、2-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、4-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、5-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
フェノール性水酸基を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本重合体の全構成単位に対するフェノール性水酸基を含む構成単位の含有量は5~90モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましく、20~70モル%であることがさらに好ましい。
【0051】
<ラクトン骨格を含む構成単位>
本重合体は、ラクトン骨格を含むモノマーの構成単位を1種以上有してもよい。ラクトン骨格とは、-O-C(=O)-を有する環を含む単環または多環の原子団を意味する。前記-O-C(=O)-を有する環は、-C(=O)-O-C(=O)-を有する環でもよい。
ラクトン骨格は、4~20員環が好ましく、5~10員環がより好ましい。
ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に芳香族または非芳香族の、炭化水素環または複素環が縮合していてもよい。
ラクトン骨格を含む単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。特に、基板等への密着性に優れる点から、置換または無置換のδ-バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および置換または無置換のγ-ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ-ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-δ-バレロラクトン、4,4-ジメチル-2-メチレン-γ-ブチロラクトン、β-(メタ)アクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン、β-(メタ)アクリロイルオキシ-β-メチル-γ-ブチロラクトン、α-(メタ)アクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン、2-(1-(メタ)アクリロイルオキシ)エチル-4-ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5-(メタ)アクリロイルオキシ-2,6-ノルボルナンカルボラクトン、8-メタクリロキシ-4-オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3-オン、9-メタクリロキシ-4-オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-3-オン等が挙げられる。
【0052】
ラクトン骨格を含む単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本重合体がラクトン骨格を含む単量体単位を有する場合、その含有量は、全構成単位に対して1~70モル%が好ましく、5~60モル%がより好ましく、10~50モル%であることがさらに好ましい。
【0053】
[レジスト組成物]
本発明の一実施形態のレジスト組成物(以下、本レジスト組成物ともいう。)は、本重合体と、レジスト溶媒と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを含むことが好ましい。本重合体は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶媒現像用のレジスト組成物であってもよい。
レジスト組成物(溶剤を除く)に対して、本重合体の含有量は、特に限定されないが、70~99.9質量%が好ましい。
【0054】
レジスト溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などが挙げられる。レジスト溶媒は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト溶媒の使用量は、形成するレジスト膜の厚みにもよるが、本重合体100質量部に対して100~10000質量部の範囲が好ましい。
【0055】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、本重合体100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0056】
本レジスト組成物は、必要に応じて、含窒素化合物、酸化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体)、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものを使用できる。
【0057】
[本化合物の製造方法]
次に、本化合物の製造方法の一例を示す。
本化合物のかご構造を有するシルセスキオキサン化合物は、Ra及び/又はRbを含むRmを有するシラン化合物を公知の方法により加水分解・共縮合することにより得られる。なお、本発明において、加水分解・共縮合とは、2種類以上のシラン化合物と所定量の水および触媒を混合し、アルコキシシリル基の加水分解と、これに続くシラノール基の縮合反応により、所望のシルセスキオキサン化合物を製造する一連の反応のことである。
【0058】
Rmを有するシラン化合物の加水分解・共縮合の触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ化水素酸などの無機酸、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが好適である。
これらの中でも、フッ化水素酸、アンモニウムフルオリドは、かご構造を特異的に生成するため、特に好ましい。
【0059】
触媒量は、Rmを有するシラン化合物の加水分解性アルコキシ基モル数の理論量合計の0.001~1倍が好ましく、0.005~0.5倍がより好ましい。0.001倍以上では十分な触媒活性を得ることができる。また、1倍以下ならば、ゲル化を抑制することができる。
【0060】
Rmを有するシラン化合物の加水分解に使用する水量は、加水分解性アルコキシ基モル数の理論量合計の0.1~10倍が好ましく、1~3倍がより好ましい。
加水分解・共縮合の反応温度は、0~100℃が好ましく、20~50℃がより好ましい。0℃以上ならば十分に反応が進行する。100℃以下ならば副反応の誘発やゲル化の可能性が少ない。
【0061】
加水分解・共縮合時には、有機溶媒を使用することが好ましい。有機溶媒としては、Rmを有するシラン化合物を溶解できるものであれば特に限定はないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1-メトキシ-2-プロパノール、アセトニトリルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0062】
Raを有するシラン化合物は、下記式2で表される構造を有するものであり、例えば、ヒドロシラン化合物と下記式7または8で表される不飽和結合を有する化合物とのヒドロシリル化反応により製造することができる。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
ヒドロシラン化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリクロロシランなどが挙げられる。
【0067】
上記式7で表される不飽和結合を有する化合物としては、炭素数1~6の2価の鎖式炭化水素鎖、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖(Y)、水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基(R1)、水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり(R2)、R2同士が結合して環を形成してもよく、kは2~6である構造を有する化合物である。
【0068】
上記式8で表される不飽和結合を有する化合物としては、カルボニル基、または一部がエーテル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種のヘテロ基に置換された炭素数1~6の炭化水素鎖(Z)、水素原子、直鎖または分岐アルキル基、ヒドロキシメチレン基、アルコキシメチレン基、アリールオキシメチレン基、アラルキルオキシメチレン基、アルキルカルボニルオキシメチレン基、アリールカルボニルオキシメチレン基(R1)、水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であり(R2)、R2同士が結合して環を形成してもよく、kは2~6である構造を有する化合物である。
【0069】
上記式7で表される不飽和結合を有する化合物の具体例としては、トリメチロールメタンモノアリルエーテル誘導体、トリメチロールエタンモノアリルエーテル誘導体、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル誘導体、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル誘導体、ジメチロールプロピオン酸アリル誘導体、2,2-ジメチロール酪酸アリルなどが挙げられる。
【0070】
上記式8で表される不飽和結合を有する化合物の具体例としては、ジメチロールプロピオン酸アリル誘導体、2,2-ジメチロール酪酸アリル誘導体などが挙げられる。
中でも、シルセスキオキサン化合物の現像液溶解性に優れることから、ジメチロールプロピオン酸アリル誘導体、2,2-ジメチロール酪酸アリル誘導体が好ましく、その中でも入手容易性の観点からジメチロールプロピオン酸アリル誘導体が特に好ましい。
【0071】
上記式7または8で表される不飽和結合を有する化合物は、公知の手法にて合成することが可能である。
例えば、上記式7で表される不飽和結合を有する化合物は、まず、下記構造式Aに示す化合物Aを公知の手法により合成する。そして、反応式1に示すように、化合物Aと、末端に二重結合を有し、所望の鎖式炭化水素鎖を有するハロゲン化物とを反応させる手法が挙げられる。
【0072】
【0073】
【0074】
また、上記式8で表される不飽和結合を有する化合物は、まず、下記構造式Bに示す化合物Bを公知の手法により合成する。そして、反応式2に示すように、かかる化合物Bと、末端に二重結合を有し、所望の鎖式炭化水素鎖を有するハロゲン化物とを反応させる手法が挙げられる。
【0075】
【0076】
【0077】
ヒドロシリル化反応は触媒として一般に用いられている白金触媒、ルテニウム触媒、ロジウム触媒等を用いることができ、特に白金触媒としては塩化白金酸、ジクロロビス(アセトニトリル)白金(II)、ジクロロジエチレン白金(II)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体、白金(0)-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体等が挙げられる。
触媒の使用量は不飽和結合を有する化合物に対して1×10-7~1×10-3モルであることが好ましく、1×10-6~1×10-4モルであることがさらに好ましい。
【0078】
ヒドロシリル化反応は無溶媒で行ってもよいし、溶媒を用いることもできる。溶媒の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3-メトキシブチルアセテート、2-エチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン、2-メトキシエチルアセテート、2-エトキシエチルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、2-フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。また、その使用量は適宜、決めればよい。
【0079】
ヒドロシラン化合物と、不飽和結合を有する化合物との反応モル比は、未反応物を少なくできることから、不飽和結合を有する化合物1モルに対してヒドロシラン化合物1~8モルが好ましく、1~5モルがより好ましい。
【0080】
ヒドロシリル化反応の温度は、0~100℃が好ましく、15~50℃がより好ましい。0℃以上ならば、反応を十分進行させることができる。また、100℃以下ならば、副生成物の生成を抑制することができる。
ヒドロシリル化反応の時間は、0.5~60時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。0.5時間以上ならば、反応を十分進行させることができる。60時間以内ならば、副生成物の生成を抑制することができる。
【0081】
本付加反応終了後の精製方法については、生成物の物性、原料、溶剤の有無等を考慮して、分液、水洗、蒸留、晶析、濾過等の公知の精製方法を、適宜組み合わせることができる。
【0082】
Rbを有するシラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリエトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン、トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン等が挙げられる。これらの中でも3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0083】
[本重合体の製造方法]
本重合体は、例えば、本化合物を単体又は本化合物と他の構成単位を有するモノマーとを適宜割合で混合し、重合溶媒の存在下で、重合開始剤を使用し、ラジカル重合させる溶液重合法で製造することができる。
【0084】
[本重合体の用途]
本重合体は、本レジスト組成物に含ませることができ、例えば、半導体基板のレジストパターンを形成することができる。
以下、パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、シリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、本レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
ついで、レジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する(露光)。照射光としては、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザーまたは電子線が好ましく、EUVエキシマレーザーまたは電子線が特に好ましい。
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜に現像液を接触させてレジスト膜の一部を溶解する。現像液は適宜選択されるが、アルカリ現像液または有機系現像液を用いることが好ましい。
ポジ型現像プロセスではアルカリ現像液で露光部を溶解して除去し、ネガ型現像プロセスでは有機系現像液で未露光部を溶解して除去する。
【0085】
アルカリ現像液としてはアルカリ性水溶液が用いられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類;等の水溶液が挙げられる。
【0086】
有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
【0087】
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0088】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルなどが挙げられる。
【0089】
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2-メトキシエチルアルコール、2-エトキシエチルアルコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0090】
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0091】
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0092】
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどが挙げられる。
【0093】
これらの中で、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液であることが好ましい。また、これらの溶剤は単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
【0094】
現像は、公知の方法で行えばよく、現像液が満たされた槽の中に基板を一定時間浸漬する方法、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法、基板表面に現像液を噴霧する方法、一定速度で回転させている基板上に一定速度でノズルを走査しながら現像液を吐出する方法等が挙げられる。
現像後、基板を純水や有機溶剤等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
【0095】
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にドライエッチングする。
ドライエッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
【実施例0096】
以下、本発明の一実施例を説明する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
なお、シルセスキオキサン化合物の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
【0097】
<シラン化合物の合成(A1)>
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、ジメチロールプロピオン酸5.02g(37mmol)、無水酢酸7.4mL(78mmol)、ピリジン9.0mL(112mmol)を加え、0℃で0.5時間、続いて室温で1時間反応させた。反応終了後、1M塩酸40mLを加え、クロロホルム50mLで抽出した。水層をさらにクロロホルム30mLで2回抽出した後、合わせた有機層を1M塩酸30mLで2回洗浄した。濃縮、減圧乾燥して下記式9に示す化合物7.75gを白色固体として収率95%で得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ4.24ppm(d、2H)、2.04ppm(s、6H)、1.28ppm(s、3H)。
【0098】
【0099】
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、上記式9で表される化合物1.00g(4.6mmol)、DMF7.6mL、炭酸カリウム0.67g(4.8mmol)を加えた後、臭化アリル0.47mL(5.5mmol)を滴下し、室温で2時間反応させた。反応終了後、ろ過し、酢酸エチル15mLを加え、水15mLで洗浄した。酢酸エチル15mLで抽出した後、得られた有機層を合わせて飽和食塩水10mLで洗浄した。濃縮、減圧乾燥して下記式10に示す化合物1.16gを淡黄色液体として収率98%で得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ5.88ppm(m、1H)、5.27ppm(m、2H)、4.62ppm(d、2H)、4.23ppm(d、4H)、2.04ppm(s、6H)、1.22ppm(s、3H)。
【0100】
【0101】
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、上記式10で表される化合物0.50g(1.9mmol)、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(2%キシレン溶液)2.3mg(0.097μmol)、トリメトキシシラン0.30mL(2.3mmol)を加えた後、室温で3時間反応させた。反応終了後、濃縮、減圧乾燥して下記式11に示すシラン化合物(A1)0.68gを無色液体として収率93%で得た。1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ4.22ppm(m、4H)、4.09ppm(t、2H)、3.57ppm(s、9H)、2.05ppm(s、6H)、1.73ppm(m、2H)、1.23ppm(s、3H)、0.63ppm(t、2H)。
【0102】
【0103】
<シルセスキオキサン骨格を含む化合物(SQ1)の合成>
撹拌子、温度計を備えたフラスコに、シラン化合物(A1)0.24g(0.62mmol)、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.023g(0.089mmol)、テトラヒドロフラン1.2mlを加え溶解させ、3.2%アンモニウムフルオリド水溶液0.072gを滴下した。室温で5.5時間攪拌した後、濃縮した。
酢酸エチル5mLを加え、水5mLで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮、減圧乾燥して、下記式12に示すシルセスキオキサン骨格を含む重合性単量体(SQ1)0.21gを無色粘調液体として収率101%で得た。
【0104】
Mn2680、Mw/Mn1.15であり、下記化学式中、mは8~10と推測される。なお、1H-NMRの積分比より、シラン化合物(A1)由来の側鎖(Ra)と3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン由来の側鎖(Rb)はモル比7.1:0.9であった。1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ6.10ppm(s、1H)、5.55ppm(s、1H)、4.23ppm(m、4H)、4.09ppm(brt、2H)、2.04ppm(s、6H)、1.73ppm(brm、2H)、1.23ppm(s、3H)、0.67ppm(brt、2H)。
【0105】
【0106】
<実施例1>
得られたSQ1をレジスト溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に室温で所定の濃度に溶解させて溶解性を評価した。
【0107】
<実施例2>
実施例1のPGMEAをエステル系有機系現像液としての酢酸ブチルに代えた以外は実施例1と同様にして溶解性を評価した。
【0108】
<比較例1、2>
実施例1、2において、SQ1に代えてメタクリロイルオキシプロピルヘプタイソブチル-T8-シルセスキオキサンとし、濃度を表1に示すように代えた以外は実施例1、2と同様にして溶解性を評価した。
【0109】
(溶解性の評価)
実施例1、2、比較例1、2の溶解性を評価した。
溶解性の評価は、所望の濃度でシルセスキオキサンと溶媒を容器に入れ、室温で軽く振り混ぜた。得られた溶液を目視にて観察した結果、完全溶解し、均一溶液となった場合を溶解、溶け残りがあった場合を不溶と評価した。その結果を下記表1に示す。
【0110】
【0111】
表1に示されるように、実施例1、2のシルセスキオキサンからなる重合性単量体は、各溶媒に50wt%溶解し、実用可能なものであった。
これに対し、比較例1、2のレジスト組成物は、2.2wt%で不溶であり、実用には改善の余地があることが分かった。