(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108467
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】開閉装置、シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240805BHJP
B65H 3/66 20060101ALI20240805BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
B65H3/66
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012853
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】北岡 真也
(72)【発明者】
【氏名】高井 真哉
(72)【発明者】
【氏名】森崎 良平
(72)【発明者】
【氏名】島津 岳久
(72)【発明者】
【氏名】久保 宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 公治
【テーマコード(参考)】
2H012
3F343
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CA02
2H012CB12
2H012CC11
3F343FA03
3F343FC09
3F343FC10
3F343HA01
3F343KB08
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC22
5C062AD02
5C072AA01
5C072BA05
5C072BA20
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA25
5C072EA04
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業性を向上することができる開閉装置、シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉装置たる給紙カバーユニット120は、装置本体に対して開閉自在に設けられたカバー部材たる給紙カバー121と、ユーザーが操作する操作部たる取っ手部131を備え給紙カバー121を閉位置でロックするロック機構とを備えている。ロック機構は、給紙カバー121とは別の部材であるガイド部材122に保持されている。また、給紙カバーユニット120は、ロック機構の取っ手部131を収納する凹部141を有し、ガイド部材122にネジ止めされた凹部部材140を有している。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して開閉自在に設けられたカバー部材と、
ユーザーが操作する操作部を備え前記カバー部材を閉位置でロックするロック機構と、を有する開閉装置において、
前記ロック機構は、前記カバー部材とは別の部材に保持されており、
前記操作部を収納する凹部を有し、前記カバー部材とは別の部材に取り付けられた凹部部材を設けたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、
シートをガイドするガイド部材を有し、
前記ロック機構は、前記ガイド部材に保持されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記ロック機構は、前記装置本体の被ロック部に引っ掛けて閉位置でロックするロック部と、前記操作部の操作を前記ロック部に伝達する軸部と、を有し、
前記凹部部材は、前記軸部が通る孔または溝を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記カバー部材は、前記凹部および前記凹部に収納された前記操作部が露出するための開口部を有し、
前記凹部の縁と、前記開口部の縁とを重ね合わせて、前記開口部を前記凹部に組み合わせることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉装置において、
前記開口部の縁は、前記凹部側に折れ曲がった形状をしており、
前記凹部の縁は段差形状であり、
前記凹部の縁が、前記開口部の縁の外周面と、前記開口部の縁の凹部側端部とに重なり合うようにして、前記開口部が前記凹部に組み合わさることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記凹部部材は、ネジにより前記別の部材に固定されており、
前記凹部には、前記ネジの固定部と、ユーザーが前記操作部にアクセスするための空間とを仕切る仕切り壁が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
シート搬送路を開閉する開閉装置を備えたシート搬送装置において、
前記開閉装置として請求項1に記載の開閉装置を用いたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
原稿シート搬送部と、
前記原稿シート搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部とを備えた画像読取装置において、
前記原稿シート搬送部として、請求項7に記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成装置において、
請求項1に記載の開閉装置、請求項7に記載のシート搬送装置および請求項8に記載の画像読取装置の少なくとも一つを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置、シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対して開閉自在に設けられたカバー部材と、ユーザーが操作する操作部を備えカバー部材を閉位置でロックするロック機構とを有する開閉装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記開閉装置として、原稿自動搬送装置の原稿搬送経路を開閉するものが記載されている。カバー部材たる給紙カバーには、ロック機構の操作部たるラッチレバーを収納する凹部が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ラッチレバーなどの操作部を収納する凹部を給紙カバーなどのカバー部材に設け、ロック機構を、カバー部材とは別の部材に保持する構成とした場合に、カバー部材を取り外して、開閉装置内部を開放してメンテナンスを行うときの作業性がよくなかった。そこで、メンテナンス作業性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、装置本体に対して開閉自在に設けられたカバー部材と、ユーザーが操作する操作部を備え前記カバー部材を閉位置でロックするロック機構と、を有する開閉装置において、前記ロック機構は、前記カバー部材とは別の部材に保持されており、前記操作部を収納する凹部を有し、前記カバー部材とは別の部材に取り付けられた凹部部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、メンテナンス作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】原稿自動搬送装置の要部構成をスキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【
図4】固定画像読取部の電気回路の要部を示すブロック図。
【
図6】給紙カバーユニットの開閉について説明する図。
【
図8】
図7(a)の矢印B方向から見たロック機構の概略構成図。
【
図10】従来の給紙カバーユニットの不具合について説明する図。
【
図11】本実施形態の給紙カバーユニットの概略構成図。
【
図12】給紙カバーを取り外した給紙カバーユニットの概略構成図。
【
図15】凹部部材を備えた本実施形態の給紙カバーユニットの開閉について説明する図。
【
図16】開閉カバーユニットを備えた複写機の概略構成図。
【
図17】開閉カバーユニットを備えた複写機の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものである。以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式の複写機(以下、単に複写機1という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機1の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機1を示す概略構成図である。複写機1は、画像形成手段としての画像形成部3と、転写紙給紙部7と、原稿搬送読取ユニット6とを備えている。原稿搬送読取手段としての原稿搬送読取ユニット6は、画像形成部3の上に固定された原稿読取装置であるスキャナ4と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置5とを有している。
【0010】
転写紙給紙部7は、カットシート状の転写紙Pを積層状態でそれぞれ収納可能な複数段の転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)を有している。個々の転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)には、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの転写紙P(例えば白紙)が、縦又は横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
転写紙給紙部7は、転写紙給紙カセット21(21a、21b、21c)に収納された転写紙Pをそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する転写紙給紙装置22(22a、22b、22c)を有している。転写紙給紙部7には、さらに、各種の搬送ローラ23等が設けられており、これらによって、個々の転写紙給紙装置22(22a、22b、22c)から給紙された転写紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する転写紙給紙経路24が形成されている。
【0011】
画像形成部3は、潜像形成手段である露光装置31と、潜像担持体であるドラム状の感光体32(K,Y,M,C)とを備える。さらに、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色のトナーが充填された現像装置33(K,Y,M,C)を備えている。また、画像形成部3は、中間転写体である中間転写ベルト34と、中間転写ベルト34上のトナー像を転写紙Pに転写する二次転写装置35と、トナー像が転写された転写紙Pにトナー像を定着させる定着装置36とを備えている。
【0012】
露光装置31は、例えば、スキャナ4で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光Lによって各色の感光体32(K,Y,M,C)を露光して、個々の感光体32(K,Y,M,C)の表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
【0013】
現像装置33(K,Y,M,C)は、それぞれ対向する感光体32(K,Y,M,C)に薄層状のトナーを近接させ、感光体32(K,Y,M,C)の表面上の静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像を行うようになっている。
画像形成部3では、個々の感光体32(K,Y,M,C)上に現像されたトナー像を中間転写ベルト34に重ねて一次転写して中間転写ベルト34上にカラートナー像を形成する。このカラートナー像は、中間転写ベルト34の下方に配置された二次転写装置35の転写搬送ベルト35bと中間転写ベルト34と当接する二次転写ニップで、中間転写ベルト34上から転写紙Pに二次転写される。カラートナー像が転写された転写紙P上は、二次転写装置35の転写搬送ベルト35bによって定着装置36に搬送される。定着装置36で加熱・加圧されることで転写紙P上のカラートナー像が溶融し、転写紙Pにカラートナー像が定着され、転写紙P上にカラー画像を記録する。
【0014】
画像形成部3は、転写紙給紙部7から転写紙給紙経路24を経て搬入された転写紙Pを二次転写ニップに向けて搬送する転写紙搬送経路39aを有している。この転写紙搬送経路39aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙Pの搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙Pは、中間転写ベルト34及び転写搬送ベルト35bのベルト速度に同期した状態で二次転写ニップおよび定着装置36を通過した後、排紙ローラ対90によって排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0015】
画像形成部3は、手差トレイ25上に載置される転写紙Pをレジストローラ対37よりも上流側の転写紙搬送経路39a内に給紙する転写紙手差給紙経路39bを有している。
二次転写装置35及び定着装置36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等を備えるスイッチバック搬送路39c及び反転搬送路39dが配設されている。
スイッチバック搬送路39cは、転写紙Pの両面に画像を形成する場合に、転写紙Pの一方の面に画像定着が済んだ転写紙Pを一端(
図1中の左側端部)から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
反転搬送路39dは、スイッチバック搬送路39cによりスイッチバック搬送された転写紙Pの表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
【0016】
これらのスイッチバック搬送路39c及び反転搬送路39dにより、一方の面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pは、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙Pは、他方の面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
【0017】
スキャナ4は、照明ユニットとミラー部材を搭載した第一キャリッジ41と、ミラー部材を搭載した第二キャリッジ42と、結像レンズ43と、撮像部44と、第一コンタクトガラス45とを備えている。さらに、原稿Sが載置される第二コンタクトガラス46と、原稿Sの一辺の突当ておよび位置決めを行う突当部材47を備える。スキャナ内部に配置されている第一キャリッジ41と、第二キャリッジ42と、結像レンズ43と、撮像部44は、第一コンタクトガラス45上に搬送される原稿Sの第一面の画像の読み取りをする第一面読取部40として機能する。ここにいう第一面とは、自動搬送される原稿Sの片面、例えば表側の画像面である。
【0018】
第一キャリッジ41は、第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46の下方に、
図1中の左右方向に移動可能に及び位置制御可能に設けられている。そして、照明ユニットが備える光源からの照明光をミラー部材で反射して原稿Sの露光面側に照射する。
原稿Sの露光面で反射した反射光は、第一キャリッジ41および第二キャリッジ42に搭載された各ミラー部材を経由して結像レンズ43に入射し、結像レンズ43により結像され、撮像部44にてその結像した画像が読み取られる。
【0019】
スキャナ4は、光源点灯状態で第一キャリッジ41及び第二キャリッジ42を例えば「2:1」の速度比で移動させつつ、第二コンタクトガラス46上に置いた原稿Sの画像面を露光走査する。そして、スキャナ4は、この露光走査時に撮像部44により原稿画像を読み取る。このようにスキャナ4は、固定原稿読取機能(いわゆるフラットベッドスキャナ機能)を発揮できる。
【0020】
スキャナ4は、第一キャリッジ41を第一コンタクトガラス45の直下の定位置に停止させる。そして、スキャナ4は、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、自動搬送中の原稿Sの第一面の画像を読み取る。このように、スキャナ4は、移動原稿読取機能(いわゆるDFスキャナ機能)も発揮できる。
【0021】
さらに、複写機1は、スキャナ4における第一面読取部40に加えて、原稿自動搬送装置5に内蔵された第二面読取部48を備えている。第二面読取部48は、第一コンタクトガラス45の上を通過した後の原稿Sの第二面、例えば裏側の画像面を走査するようになっている。
【0022】
原稿自動搬送装置5は、複写機1の画像形成部3の上部に配置されたスキャナ4に対してヒンジ機構を介して開閉動作可能に連結されている。原稿自動搬送装置5は、スキャナ4における第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46を露出させる開放位置と、第一コンタクトガラス45及び第二コンタクトガラス46を覆う閉鎖位置との間で回動操作されるようになっている。
【0023】
次に、原稿自動搬送装置5について説明する。
図2は、原稿自動搬送装置5の要部構成をスキャナ4の上部とともに示す拡大構成図である。原稿自動搬送装置5は、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。本実施形態の原稿自動搬送装置5の原稿搬送部54は、分離給送部Bの下流側の突き当てセンサ72による検知位置から、読取入口ローラ対97までの原稿Sが搬送される経路を構成する部分である。
【0024】
原稿自動搬送装置5を備える原稿搬送読取ユニット6は、被読み取り記録媒体である原稿Sを固定の読み取り装置部である第一面読取部40及び第二面読取部48に搬送し所定の速度で搬送しながら画像読み取りを行う。
【0025】
原稿セット部Aは、原稿Sの第一面が上方となるように原稿Sの束がセットされる原稿載置台53を有している。分離給送部Bは、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85等を備え、原稿載置台53にセットされた原稿Sの束から原稿Sを一枚ずつ分離して給送するものである。
【0026】
レジスト部Cは、給送された原稿Sを一次突き当て整合する働きと、整合した後の原稿Sを引き出して搬送する働きとを有するものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で搬送される原稿Sを折り返しながらその上下が反転するようにターンさせて、原稿Sの第一面を下方の第一面読取部40(
図1参照)に向けるように搬送するものである。
【0027】
第一読取搬送部Eでは、プラテンガラスからなる第一コンタクトガラス45の上で原稿Sが搬送される。そして、搬送しながら、第一コンタクトガラス45の下方からスキャナ4の内部に配設されている第一面読取部40に原稿Sの第一面を読み取らせる。
【0028】
第二読取搬送部Fは、第一面読取部40による読取位置を通過した原稿Sを色基準部材としての白基準ガイド板96によりガイドしながら、原稿Sの第二面を第二面読取部48に読み取らせるものである。
また、排紙部Gは、第一面読取部40による読取位置、及び、第二面読取部48による読取位置を通過した原稿Sを機外のスタック部Hに向けて排出するものである。スタック部Hは、読取完了後の原稿Sを原稿スタック台55の上に積載保持するものである。
【0029】
図3は、原稿自動搬送装置5全体の制御ブロック図である。原稿自動搬送装置5の制御部であるコントローラ100は、各モータ、各種センサ部及び固定画像読取部500の、一連の動作を制御する。各モータ(101~105)は、原稿の搬送動作の駆動を行う駆動部であり、固定画像読取部500は第一面読取部40または第二面読取部48である。
【0030】
図4は、固定画像読取部500の電気回路の要部を示すブロック図である。固定画像読取部500は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206及びインターフェイス回路(以下、I/F回路107と呼ぶ)等から構成されている。
【0031】
光源部200は、LEDアレイ、蛍光灯、または冷陰極管等を備える。センサチップ201は、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に複数並べて配置されている。複数のOPアンプ回路202は、複数のセンサチップ201のそれぞれに個別に接続されている。複数のA/Dコンバータ203は、複数のOPアンプ回路202のそれぞれに個別に接続されている。
【0032】
センサチップ201は、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。固定画像読取部500による読取位置に原稿Sが進入するのに先立って、コントローラ100から光源部200に点灯信号が送られる。これにより、光源部200が点灯し、その光を原稿の表面(第一面読取部40の場合は第一面、第二面読取部48の場合は第二面)に向けて照射する。
【0033】
原稿Sの表面で反射した反射光は、複数のセンサチップ201において、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。それぞれのセンサチップ201で読み取られた画像情報は、OPアンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタル化され画像データに変換される。
【0034】
このようにして得られた画像データは、画像処理部204に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ205に一時記憶される。その後、画像データは、出力制御回路206によって本体制御部111(複写機1本体の制御部)に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路107を経由して本体制御部111に出力される。
【0035】
コントローラ100からは原稿Sの先端が固定画像読取部500による読取位置に到達するタイミングを知らせるためのタイミング信号や光源の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。原稿Sの先端が読取位置に到達するタイミングを知らせるためのタイミング信号は、そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる。
【0036】
読取を行う原稿Sの束は、第一面が上向きとなるように載せられた状態で原稿載置台53上にセットされる。原稿載置台53は、原稿Sの先端側を支持し、原稿Sの束の厚みに応じて
図2中の矢印a-b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿Sの後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成されている。
【0037】
また、原稿載置台53には、原稿Sの幅方向(原稿Sの搬送方向に直交する方向で、
図2の紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ突き当たる、サイドガイドが設けられている。そして、原稿Sが原稿載置台53にセットされたときには、原稿Sの幅方向の両端に対してそれぞれサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における原稿Sの位置決めがなされる。
【0038】
可動原稿テーブル53bの上方には、レバー部材であるセットフィラー62が揺動可能に配設されている。原稿載置台53に原稿Sがセットされていない状態では、セットフィラー62は、
図2中の破線で示す位置にある。この位置は、原稿セットセンサ63による検知位置であり、原稿セットセンサ63がセットフィラー62を検知することで、原稿載置台53に原稿Sがセットされていないことが分かる。
【0039】
原稿載置台53に原稿Sがセットされると、原稿Sの先端がセットフィラー62を押し上げる。これに伴って、原稿セットセンサ63の検知位置からセットフィラー62が移動し、原稿セットセンサ63がセットフィラー62を検知しなくなることで、原稿Sがセットされたことを検知する。そして、この検知信号を原稿セットセンサ63が、コントローラ100に送信する。この検知信号は、
図3に示すように、コントローラ100からI/F回路107を介して原稿搬送読取ユニット6の本体制御部111に送信される。
【0040】
図2に示す固定原稿テーブル53aには、原稿Sの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサまたは原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の原稿長さセンサ58(58a、58b、58c)が配置されている。これらの原稿長さセンサにより、原稿Sの搬送方向の長さの概略が判定される。複数の原稿長さセンサ58としては、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要である。
【0041】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。ピックアップローラ80は、給紙モータ102(
図3参照)から駆動が伝達されることによって回転駆動する。また、分離部としての分離ニップを構成する分離ベルト84及びリバースローラ85は、給紙モータ102から駆動が伝達されることによって回転駆動する。
【0042】
可動原稿テーブル53bは、底板上昇モータ105(
図3参照)の駆動により、駆動するカム機構によって
図2中の矢印a-b方向に揺動する。原稿Sが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62及び原稿セットセンサ63によって検知すると、コントローラ100(
図3参照)は、底板上昇モータ105を正転させる。
【0043】
底板上昇モータ105を正転させることで、可動原稿テーブル53bが
図2中の矢印a方向に回動し、可動原稿テーブル53bの自由端側(
図2中の左側)が上昇する。可動原稿テーブル53bの自由端側とともに原稿載置台53にセットされた原稿Sの束も上昇し、原稿Sの束の最上面がピックアップローラ80と接触する。
【0044】
ピックアップローラ80は、ピックアップブラケット252の一端(
図2中の右端)に回転可能に支持されている。また、ピックアップブラケット252は、その他端部側(
図2中の左端部側)の原稿給紙ユニット駆動軸253を中心に
図2中の矢印c-d方向に回動可能となっている。
【0045】
ピックアップブラケット252は、分離ベルト84を張架する給紙駆動ローラ82と給紙従動ローラ83とを回転自在に支持している。ピックアップ昇降モータ101(
図3参照)によって駆動するカム機構によって、
図2中の矢印c-d方向に回動する構成である。そして、ピックアップブラケット252が、
図2中の矢印c-d方向に回動することによって、ピックアップローラ80が
図2中の矢印c-d方向に移動する構成となっている。
【0046】
また、ピックアップローラ80を支持するピックアップブラケット252は、ブラケット被検知部254を備えている。さらに、ピックアップブラケット252の上方となる位置には、テーブル上昇センサ59が原稿自動搬送装置5本体のフレームに配置されている。
【0047】
テーブル上昇センサ59は、その検知位置におけるブラケット被検知部254の有無を検知することにより、ピックアップローラ80が上昇した位置にあるか否かを検出するセンサである。発光部と受光部との間の検知位置で発光部から発した光が遮られたか否かを検知する光透過型の光センサである。そして、ブラケット被検知部254が検知位置で光を遮ることで、テーブル上昇センサ59の検知位置にブラケット被検知部254が有ることを検知する。
【0048】
ピックアップローラ80は、
図2中の矢印d方向に回動して下降した状態で、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿Sの上面により押されると、図中の矢印c方向に回動して上昇する。これをテーブル上昇センサ59で検知することにより、可動原稿テーブル53bが上限まで上昇したことを検知可能となっている。可動原稿テーブル53bが上限まで上昇したことを検知することにより、ピックアップ昇降モータ101(
図3参照)が停止するとともに底板上昇モータ105が停止し、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との間で原稿Sが狭持される。
【0049】
テーブル上昇センサ59は、底板が上限まで上昇したことを検出して原稿Sの束の上面が適正な給紙高さに保たれていることを検出するセンサである。テーブル上昇センサ59がブラケット被検知部254を検知するONの状態となると底板である可動原稿テーブル53bの上昇を停止し、給紙を繰り返す。給紙を繰り返すことで原稿Sの束の上面位置が下がり、テーブル上昇センサ59の検知状態がOFFになると、可動原稿テーブル53bを上昇させてテーブル上昇センサ59が再びONとなるように制御を繰り返す。このような制御により、原稿Sの束の上面位置を常に給紙に適した高さに維持することができる。
【0050】
原稿載置台53にセットされた原稿Sが全て給紙されると、底板上昇モータ105(
図3参照)を逆転させて、次の原稿Sの束をセットできるようにホームポジション位置へと可動原稿テーブル53bを下降させる。可動原稿テーブル53bがホームポジション位置まで下降すると、可動原稿テーブル53bの下部に設けたフィラーをホームポジションセンサ60が検知する。
【0051】
本実施形態では、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との両方に昇降機構を備えている。しかし、原稿Sを狭持する機構としては、可動原稿テーブル53bとピックアップローラ80との何れか一方のみに昇降機構を備える構成であってもよい。
【0052】
使用者は、両面読取モードか片面読取モードかを指定し、原稿Sを原稿載置台53にセットした状態で、操作部108(
図3参照)のコピースタートボタンを押下する。コピースタートボタンが押下されると、本体制御部111からI/F回路107を介して原稿自動搬送装置5の制御部であるコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が正転方向に駆動する。給紙モータ102の正転駆動によってピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には一枚)の原稿Sをピックアップする。このときのピックアップローラ80の回転方向は、原稿載置台53上の原稿Sの束の最上位の原稿Sを後述する分離ニップに向けて搬送する方向(
図2中の時計回り方向)である。
【0053】
ここで両面読取モードか片面読取モードかを設定する際、原稿載置台53上にセットされた原稿Sに対して全て同じように設定しても良いし、(一枚目、二枚目、・・・n枚目の)それぞれの原稿Sに対して異なる設定をしても良い。異なる設定としては、例えば、全十枚の原稿Sのうち、一枚目と十枚目との原稿Sは両面読取モードとし、その他の原稿Sは片面読取モードとする設定等である。
【0054】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿Sは、分離ベルト84とリバースローラ85との当接位置である分離ニップの分離入口49に送り込まれる。分離ベルト84は、給紙駆動ローラ82と給紙従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102(
図3参照)の正転に伴う給紙駆動ローラ82の回転によって給紙方向(
図2中の時計回り方向)に無端移動される。
【0055】
分離ベルト84の下部張架面にはリバースローラ85が当接している。リバースローラ85は、給紙モータ102の正転によって給紙方向とは逆方向(
図2中の時計回り方向)に回転する駆動が伝達される。このように、分離ベルト84とリバースローラ85との分離ニップにおける表面移動方向が逆方向であることにより、原稿Sの束の最上位の原稿Sとその下の原稿Sとを分離し、最上位の一枚の原稿Sのみを給紙できる構成となっている。
【0056】
詳しくは、分離ベルト84とリバースローラ85との当接部である分離ニップにおいては、分離ベルト84の表面が給紙方向に移動する。一方、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部にはトルクリミッタを備える。このため、リバースローラ85の表面が給紙方向に向かう力がトルクリミッタの上限のトルクよりも大きいと、リバースローラ85は給紙方向に表面移動するように
図2中の反時計回り方向に回転する。
【0057】
リバースローラ85は、分離ベルト84に所定の圧力で当接している。リバースローラ85は、分離ベルト84に直接当接している状態、または、原稿Sの一枚だけを介して分離ベルト84に当接している状態(分離ニップに原稿Sが一枚だけ挟み込まれている状態)では、分離ベルト84または原稿Sに連れ回る。すなわち、リバースローラ85が、給紙方向である
図2中の反時計回り方向に回転する。
【0058】
一方、分離ニップに二枚以上の原稿Sが挟み込まれたときには、連れ回り力がトルクリミッタの上限のトルクよりも低くなるように、トルクリミッタが設定されている。このため、リバースローラ85は連れ回り方向とは逆方向である、
図2中の時計回り方向に回転駆動する。リバースローラ85が連れ回り方向とは逆方向に回転駆動することで、分離ニップに向けて搬送された原稿Sのうち、最上位の原稿S以外の原稿Sには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与される。これにより、余分な原稿Sが押し戻され、複数枚の原稿Sから最上位の原稿Sだけが分離され、重送が防止される。
【0059】
分離ベルト84とリバースローラ85との作用によって一枚に分離された原稿Sは、レジスト部Cに進入する。そして、この原稿Sは分離ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知され、更に進んで、回転が停止しているプルアウトローラ対86に原稿Sの先端が突き当たる。このとき駆動している給紙モータ102は、突き当てセンサ72による原稿Sの先端の検知から所定時間だけ駆動させて、その後停止させる。これにより、原稿Sが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られる。そして、結果的には、原稿Sがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で分離ベルト84による原稿Sの搬送が停止する。
【0060】
突き当てセンサ72によって原稿Sの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることで、ピックアップローラ80を原稿Sの上面から退避させ原稿Sを分離ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿Sの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、原稿Sの先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0061】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿Sを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対である。給紙モータ102を逆転駆動するこで、プルアウトローラ対86を構成する二つのローラのうちの一方が回転駆動し、原稿Sを搬送する。
【0062】
給紙モータ102を逆転駆動するときには、プルアウトローラ対86と中間ローラ対66とに駆動が入力され、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85には駆動が入力されない。すなわち、給紙モータ102を正転させたときには、ピックアップローラ80、分離ベルト84及びリバースローラ85に駆動を伝達し、給紙モータ102を逆転させたときには、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66に駆動を伝達する構成となっている。
【0063】
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿Sは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(
図2の紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサである。そして、どの紙検知センサが原稿Sを検知するかに基づいて、原稿Sの幅方向のサイズを検出する。
【0064】
また、原稿Sの搬送方向の長さは、原稿Sの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿Sが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿Sの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検出する。
【0065】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によって搬送される原稿Sは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対97によって搬送されるターン部Dに進入する。
【0066】
原稿自動搬送装置5では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿Sが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定している。これにより、原稿Sを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0067】
原稿Sの先端が読取入口センサ67により検知されると、給紙モータ102の減速を開始する。これと同時に、読取モータ103を正転駆動する。読取モータ103(
図3参照)を正転駆動することで読取入口ローラ対97、読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ回転駆動する。
【0068】
給紙モータ102を減速することで、給紙モータ102によって回転駆動する中間ローラ対66の回転速度を減速する。これにより、原稿Sの先端が読取入口ローラ対97の上下のローラによって形成されるニップに進入する前に、原稿Sの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にする。
【0069】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿Sの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動速度を減速する。これにより、原稿Sの搬送速度が所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一面読取部40によって原稿Sの第一面の画像を読み取る第一読取位置700の手前で、原稿Sを一時停止させるように制御する。さらに、この一時停止の制御と共に、コントローラ100は、本体制御部111にI/F回路107を介してレジストローラ対37を停止させる信号を送信する(
図3参照)。
【0070】
続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、読取モータ103の駆動を開始する。このとき、レジストローラ対37で停止していた原稿Sの原稿先端が第一読取位置700に到達するまでに、原稿Sの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿Sは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置700に向かって搬送される。
【0071】
次に、読取モータ103のパルスカウントに基づいて算出された原稿Sの先端が第一読取位置700に到達するタイミングの検出が成される。そして、検出されたタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿Sの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿Sの後端が第一読取位置700を抜け出るまで続けられ、原稿Sの第一面が第一面読取部40によって読み取られる。
【0072】
また、
図2に示すように、突当部材47の上面は左端側の高さが低くなるように傾斜している。これにより、第一読取位置700を通過した原稿Sの先端は、突当部材47の傾斜にすくい上げられ、読取出口ローラ対92のニップに向かう。
【0073】
第一読取搬送部Eを通過した原稿Sは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、第二読取搬送部Fへと搬送され、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
【0074】
原稿Sの片面(第一面)のみを読み取る片面読取モードの場合には、第二面読取部48による原稿Sの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104(
図3参照)の正転駆動が開始され、原稿排紙ローラ対94における
図2中の上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。
【0075】
また、排紙センサ61によって原稿Sの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿Sの後端が原稿排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿Sの後端が原稿排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度の減速を開始する。この減速の制御により、原稿スタック台55の上に排出される原稿Sが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0076】
一方、原稿Sの両面(第一面及び第二面)を読み取る両面読取モードの場合には、次のように制御がなされる。すなわち、排紙センサ61によって原稿Sの先端が検知された後、第二面読取部48に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿Sの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号の送信は、原稿Sの後端が第二面読取部48による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿Sの第二面が第二面読取部48によって読み取られる。
【0077】
画像読取部としての第二面読取部48は、密着型イメージセンサ(CIS)からなる。原稿Sに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦スジを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。
【0078】
また、原稿Sが通過するシート搬送路を挟んで第二面読取部48に対向する位置には、色基準部材としての白基準ガイド板96が配設されている。この白基準ガイド板96は、第二読取位置での第二面読取部48に対する原稿Sの浮きを抑えるとともに、第二面読取部48における補正データとしてのシェーディングデータを生成するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0079】
また、本実施形態では、搬送される原稿Sの画像を読み取る搬送原稿読取手段として、第一面読取部40及び第二面読取部48の二つの固定画像読取部500を備えている。原稿Sの両面の画像を読み取る構成としては、固定画像読取部500を二つ備える構成に限らない。一つの固定画像読取部500でおもて面の読み取りがなされた原稿Sをスイッチバックさせて、再び固定画像読取部500の読取位置を通過するときに裏面の読み取りを行う構成であっても良い。
【0080】
図5は、原稿自動搬送装置5の斜視図であり、
図6は、給紙カバーユニット120の開閉について、説明する図である。
本実施形態の原稿自動搬送装置5は、原稿自動搬送装置5内の原稿搬送部54を開閉する開閉装置たる給紙カバーユニット120を備えている。給紙カバーユニット120は、カバー部材たる給紙カバー121と、給紙カバーユニット120を閉位置でロックするロック機構130(
図7参照)とを備えている。また、給紙カバーユニット120は、分離ニップを通過した原稿を、ターン部Dの中間位置までガイドする上ガイド部122aが設けられたガイド部材122を保持している。
【0081】
ガイド部材122は、ピックアップローラ80と、分離ベルト84を張架する給紙駆動ローラ82と給紙従動ローラ83とを回転自在に支持するピックアップブラケット252を保持している。また、ガイド部材122は、プルアウトローラ対86の上方に配置されたローラ、中間ローラ対66の上方に配置されたローラ、突き当てセンサ72および原稿幅センサ73などを保持している。
給紙カバーユニット120は、原稿自動搬送装置本体に回転自在に支持される支持軸120aを有している。
【0082】
図5に示すように、ロック機構130の操作部としての取っ手部131が、上部が開口した凹部141に収納され、外部に露出している。ユーザーが凹部141に指を差し込んで、取っ手部131を上に引き上げることで、給紙カバーユニット120の装置本体に対するロックが解除され、給紙カバーユニット120を開位置へ回動可能となる。そして、そのまま取っ手部131を掴んで引き上げることで、
図6(b)に示すように、給紙カバーユニット120が支持軸120aを支点にして回動し、給紙カバーユニット120が開かれる。
【0083】
給紙カバーユニット120が開かれることで、原稿搬送部54の分離給送部B、レジスト部Cおよびターン部Dの原稿搬送方向上流側が開放される。これにより、分離給送部B、レジスト部Cおよびターン部Dでジャムした原稿Sを容易に取り除くことができる。
【0084】
次に、給紙カバーユニット120を閉位置でロックするロック機構130について説明する。
図7は、ロック機構130の概略構成図であり、
図8は、
図7(a)の矢印B方向から見たロック機構130の概略構成図である。
【0085】
ロック機構130は、操作部たる取っ手部131と、軸部たる取っ手軸132と、ロック部たるフック部133とを有している。取っ手部131は、取っ手軸132と一体で回転するように設けられており、
図8に示すように、フック部133は、取っ手軸132の両端に取っ手軸132と一体で回転するように設けられている。フック部133には、本体フレームのボス部151が嵌まる溝部133bが設けられている。また、フック部133の下端133aは、ボス部151側が上方に位置にするような傾斜形状となっている。
【0086】
取っ手軸132は、原稿自動搬送装置5の原稿幅方向(搬送ローラの軸方向でもある)の一端側から他端側まで延びている。取っ手軸132は、両側がガイド部材122に回動自在に保持されている。
【0087】
ボス部151は、原稿自動搬送装置5の本体フレームの原稿幅方向に直交する両側板150aに設けられている。各フック部133は、
図7に示すように、付勢部材たるバネ134により、フック部133がボス部151に引っ掛けられる方向に付勢されている。
【0088】
給紙カバーユニット120が閉じられているときは、バネ134の付勢力により各フック部133の溝部133bに、本体フレームのボス部151が嵌まって、各フック部133がボス部151に引っ掛けられている。これにより、給紙カバーユニット120が、閉じ位置でロックされる。
【0089】
ユーザーが凹部141に指を差し込んで、取っ手部131を上に引き上げることで、取っ手部131とともに、取っ手軸132及びフック部133が、バネ134の付勢力に抗して
図7(b)に示す矢印A方向に回転する。これにより、フック部133のボス部151との引っ掛かりが解除され、給紙カバーユニット120の装置本体とのロックが解除される。
【0090】
本実施形態では、
図8に示すように、ロック機構130は、カバー部材たる給紙カバーとは、別の部材であるガイド部材122に保持している。ガイド部材122は、上述したように、原稿を搬送する複数の搬送部材を保持している。具体的には、ピックアップローラ80、分離ベルト84、プルアウトローラ対86の一方のローラおよび中間ローラ対66の一方のローラである。
【0091】
ロック機構130のフック部133を本体フレームのボス部151に引っ掛けてロックすることで、分離ベルト84とリバースローラ85との分離ニップ圧、プルアウトローラ対86および中間ローラ対の搬送ニップ圧が決まる。また、ガイド部材122の上ガイド部122aと、この上ガイド部に対向する装置本体に設けられた下ガイド部との搬送ギャップが決まる。さらには、ピックアップローラ80を原稿載置台53上にセットされた原稿Sに当接させたときの原稿当接圧も決まってくる。
【0092】
ロック機構130を給紙カバー121に保持した場合は、給紙カバー121の寸法公差が積み上がる。その結果、ロック機構130のフック部133を本体フレームのボス部151に引っ掛けてロックしたときの分離ニップ圧、各搬送ニップ圧、搬送ギャップおよび原稿当接圧が、公差の積み上がりにより所望通りにならないおそれがある。
【0093】
これに対し、ロック機構130を、ガイド部材122に保持することで、ガイド部材122の上ガイド部122a、および、ガイド部材122に保持された搬送部材(ピックアップローラ80、分離ベルト84、プルアウトローラ対86の一方のローラおよび中間ローラ対66の一方のローラ)と、ロック機構130との位置関係精度を、給紙カバー121にロック機構130を保持した場合に比べて、高めることができる。これにより、分離ニップ圧、各搬送ニップ圧、搬送ギャップおよび原稿当接圧を所望通りにすることができ、原稿を良好に搬送することができる。
【0094】
サービスエンジニアがメンテナンスで給紙カバー121を給紙カバーユニット120から取り外し、給紙カバーユニット120内を開放して作業する場合がある。従来は、取っ手部131を収納する凹部141は、樹脂製の給紙カバー121に一体成型されていた。給紙カバー121を給紙カバーユニット120から取り外すには、ガイド部材122に保持されているロック機構を分解する必要があり、メンテナンス作業性が悪い。
【0095】
そのため、ロック機構130を分解することなく、ガイド部材122に保持した状態で、給紙カバー121を給紙カバーユニットから取り外し可能なように従来では次の構成を有していた。すなわち、
図9に示すように凹部141に取っ手部131を通すための穴部142を設ける構成である。これにより、図中破線Cに示すように、図中右方向の給紙カバー121をスライドさせることで取っ手部131が凹部141を通過し、ロック機構130をガイド部材122に保持した状態で(分解せずに)給紙カバー121を給紙カバーユニット120から取り外すことができる。
【0096】
しかしながら、取っ手部131を凹部141に通す作業がしづらく、給紙カバー121の給紙カバーユニット120からの取り外しが困難であった。また、メンテナンス作業終了後の給紙カバー121の組み付け時において、取っ手部131を凹部141に通す作業がしづらいため、給紙カバー121の給紙カバーユニット120への組み付けも困難であった。そのため、
図9に示す従来構成でもメンテナンス作業性が悪かった。
【0097】
また、製造工程においても、ロック機構130をガイド部材122に組み付けた後に給紙カバー121を組み付ける場合は、取っ手部131を凹部141に通す作業が生じる。そのため、製造工程での組み立て作業も悪くなるおそれがある。
【0098】
また、取っ手部131を操作するためにユーザーが、凹部141に指を差し込んだ際に、
図10の破線Fに示す穴部142のエッジ状の縁に指が触れて痛みを感じるおそれがあった。さらには、
図10に示すように、凹部141の穴部142から給紙カバーユニット120内部に異物が入り込むおそれもあった。
【0099】
そこで、本実施形態では、凹部141を給紙カバー121とは別体の凹部部材に設け、この凹部部材を給紙カバー121とは別の部材に取り付けるようにした。以下、本実施形態の特徴部を、図面を用いて説明する。
【0100】
図11は、本実施形態の給紙カバーユニット120の概略構成図である。また、
図12は、給紙カバー121を取り外した給紙カバーユニット120の概略構成図であり、
図13は、
図12のA-A断面図である。
【0101】
本実施形態では、凹部141を備えた凹部部材140を有しており、この凹部部材140は、ガイド部材122にネジ145により取り付けられている。具体的には、ガイド部材122には、凹部部材140を支える4本の支柱122dが設けられている。これら4本の支柱122dで、凹部部材140の原稿搬送方向上流側(図中右側)の原稿幅方向の両側と、原稿搬送方向下流側(図中左側)の原稿幅方向の両側とを支えている。これら4本の支柱のうち、凹部部材140の原稿搬送方向下流側(図中左側)の2本の支柱に凹部部材140がネジ145によりネジ止めされている。
【0102】
給紙カバー121は、凹部141および凹部141に収納された取っ手部131が外部に露出するための開口部121aが設けられている。開口部121aの縁は、下側に折り曲げられたような形状となっている。一方、凹部141の縁は、段差形状となっており、開口部121aの縁に上下方向で対向する面と、開口部の縁の外周面に対向する面とを有している。そして、凹部141の縁が、開口部121aの縁の下端および開口部121aの縁の外周面に重なり合うようにして、開口部121aが凹部141に組み合わされる。かかる構成とすることで、凹部141と給紙カバー121との隙間が入り組んだ形状となり、凹部141と給紙カバー121との隙間から給紙カバーユニット120内に異物が進入するのを抑制できる。
【0103】
また、凹部141には、ネジ145の頭部が露出しているネジ固定部と、ユーザーの指が差し込まれる空間部と仕切る仕切り壁143が設けられている。このように、仕切り壁143により凹部141内の空間をネジ固定部と、ユーザーの指が差し込まれる空間部とに仕切ることで、ユーザーの指先がネジ145の頭部に触れるのを防止できる。これにより、例えば、ユーザーが指を凹部141に勢いよく突っ込んで、ネジ145の頭部にぶつかって痛みを感じるという不具合の発生を防止できる。
【0104】
このように、本実施形態では、凹部141を、給紙カバー121と別体の凹部部材140に設けることで、
図12に示すように、凹部141をロック機構130とともに、給紙カバーユニット120に残した状態で、給紙カバー121を給紙カバーユニット120から取り外すことができる。これにより、
図12に示す破線の矢印Gに示すように、給紙カバー121を上方に移動させることで、ロック機構130をガイド部材122に保持した状態で、給紙カバー121を給紙カバーユニット120から容易に取り外すことができる。また、給紙カバー121を下方に移動させることで、給紙カバー121を給紙カバーユニット120に組み付けることができる。このように、容易に給紙カバー121を組み付け、取り外しを行うことができるので、給紙カバー121を取り外してメンテナンスを行うメンテナンス作業性を向上させることができる。
【0105】
また、凹部141に取っ手部131を通すための比較的大きな穴が不要となる。よって、給紙カバーユニット内への異物進入を良好に抑制できる。また、ユーザーが、凹部141に指を差し込んだ際に、指に痛みが生じるのも防止できる。
【0106】
図14(a)は、ロック機構130の取っ手部131と取っ手軸132とが別部材の場合の凹部部材140を示す概略構成図であり、
図14(b)は、取っ手部131と取っ手軸132とが一体物の場合の凹部部材140を示す概略構成図である。
【0107】
凹部部材140の凹部141の原稿幅方向に直交する側壁面には、ロック機構130の取っ手軸132を通すための形状を設ける必要がある。
図14(a)に示すように、取っ手部131と取っ手軸132とが別体の場合は、凹部141の側壁面の取っ手軸132を通すための形状として、貫通孔146を設ける。貫通孔146の場合は、まず、取っ手部131を凹部141に収納した後に、取っ手軸132を凹部141の貫通孔146に通すとともに、ガイド部材122の保持孔または保持溝に取っ手軸132を通す。そして、取っ手軸132の両側にフック部133を取り付けることで、ロック機構130が組み付けられる。これにより、凹部141に取っ手部131を通すための穴部を設けることなく、ロック機構の取っ手部131を凹部に収納することができる。
【0108】
図14(b)に示すように、取っ手部131と取っ手軸132とが樹脂の一体成型で成型されているなど、取っ手部131と取っ手軸132とが一体物の場合は、凹部の側壁面の取っ手軸132を通すための形状として、溝部147を設ける。この構成の場合は、
図14(b)の破線の矢印Hに示すように、取っ手部131が凹部141に収まるように、上から取っ手軸132を溝部に差し込む。そして、取っ手軸132の両側にフック部133を取り付けることで、ロック機構130が組み付けられる。これにより、凹部141に取っ手部131を通すための穴部を設けることなく、ロック機構の取っ手部131を凹部に収納することができる。
【0109】
なお、取っ手部131と取っ手軸132とが別部材の場合でも、取っ手軸132を通すための形状を、
図14(b)に示す溝部147を採用することができる。
図14(b)の構成を採用することで、
図14(a)の貫通孔146の構成に比べて、ロック機構130の組み立て作業性を向上することができる。
【0110】
図15は、凹部部材140を備えた本実施形態の給紙カバーユニットの開閉について説明する図である。
図15に示すように、本実施形態の給紙カバーユニットの開閉は、上述と同様に行うことができる。すなわち、ユーザーが凹部部材140の凹部141に指を差し込んで、取っ手部131を上に引き上げることで、取っ手部131とともに、取っ手軸132及びフック部133が、バネ134の付勢力に抗して図中反時計回り回転する。これにより、フック部133のボス部151との引っ掛かりが解除され、給紙カバーユニット120の装置本体とのロックが解除される。
【0111】
そして、そのまま取っ手部131を掴んで引き上げることで、
図15(b)に示すように、給紙カバーユニット120が支持軸120aを支点にして回動し、給紙カバーユニット120が開かれる。
【0112】
一方、
図15(c)に示すように、給紙カバーユニット120を閉じるときは、フック部133の傾斜形状の下端133aがボス部151に突き当たる。そして、ボス部151からの反力によりバネ134の付勢力に抗して取っ手部131、取っ手軸132及びフック部133が図中反時計に回動する。そして、ボス部151がフック部の傾斜形状の下端133aを乗り越えると、バネ134の付勢力により取っ手部131、取っ手軸132及びフック部133が図中反時計に回動する。これにより、ボス部151がフック部133の溝部133bに嵌まり、給紙カバーユニット120が閉じ位置でロックされる。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0114】
例えば、
図16、
図17に示す画像形成装置たる複写機1のシート搬送経路を開閉する開閉装置としての開閉カバーユニット220に本発明を適用することができる。開閉カバーユニット220には、再供給路221を搬送されるシートをガイドするガイド部材、再供給路221のシートを搬送する搬送ローラ対、転写ユニット250などを保持している。
【0115】
図17に示すように、ロック機構の取っ手部231を操作して、開閉カバーユニット220のロックを解除することで、開閉カバーユニット220が開き可能となる。そして、開閉カバーユニット220を下部に設けられた回転軸220a(
図16参照)を支点にして開くことで、給紙路から定着装置36出口までのシート搬送路が開放され、ジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0116】
この開閉カバーユニット220に本発明を適用し、取っ手部231が収納された凹部241を、側面カバー222とは別体とする。これにより、側面カバー222を容易に開閉カバーユニット220からとり外すことができ、開閉カバーユニット220のメンテナンス作業性を向上することができる。
【0117】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
装置本体に対して開閉自在に設けられた給紙カバー121などのカバー部材と、ユーザーが操作する取っ手部131などの操作部を有しカバー部材を閉位置でロックするロック機構130と、を備えた給紙カバーユニット120などの開閉装置において、ロック機構130は、ガイド部材122などのカバー部材とは別の部材に保持されており、操作部を収納する凹部141を有し、カバー部材とは別の部材に取り付けられた凹部部材140を設けた。
図9に示した従来構成は、ロック機構を、給紙カバーなどのカバー部材とは別の部材に保持し、ロック機構の操作部が収納される凹部がカバー部材に設けられた特許文献1に記載のカバー部材と同構成のカバー部材を用いたものである。この
図9に示す従来構成では、次の構成として、ロック機構を別の部材に保持した状態で、カバー部材を取り外し可能としていた。すなわち、カバー部材の凹部の底部や側壁に操作部を通すための比較的大きな穴を設ける構成である。これにより、カバー部材を取り外すときは、その穴に操作部を通すことで、ロック機構を分解せずに別の部材に保持した状態で、カバー部材を取り外すことができる。しかし、カバー部材の取り外し時や、メンテナンス後のカバー部材の組付け時の操作部を凹部の穴にくぐらせる作業がしづらく、開閉装置内部を開放してメンテナンスを行う場合のメンテナンス作業性がよくない。
一方、態様1では、操作部を収納する凹部を有する凹部部材を、カバー部材とは別に設け、この凹部部材を、カバー部材以外の別の部材に取り付けている。これにより、ロック機構の操作部が凹部に収納された状態で、カバー部材の取り外しおよび組み付けを行うことができる。よって、開閉装置内部を開放してメンテナンスを行う場合のメンテナンス作業性を向上することができる。
【0118】
(態様2)
態様1において、原稿S等シートをガイドするガイド部材122を有し、ロック機構130は、ガイド部材122に保持されている。
これによれば、実施形態で説明したように、給紙カバー121などのカバー部材にロック機構130を保持した場合に比べて、寸法公差の積み上げを抑制でき、ロック機構130により給紙カバーユニット120などの開閉装置を閉じ位置でロックしたときのガイド部材122のガイド部と、このガイド部材122に対向する装置本体のガイド部との搬送ギャップを所望のギャップにすることができる。
【0119】
(態様3)
態様1または2において、ロック機構130は、装置本体のボス部151などの被ロック部に引っ掛けて前記閉位置でロックするフック部133などのロック部と、取っ手部131などの操作部の操作をロック部に伝達する取っ手軸132などの軸部と、を有し、凹部部材140は、軸部が通る貫通孔146など孔または溝部147などの溝を有する。
これによれば、
図14を用いて説明したように、凹部141に取っ手部131などの操作部を通すための穴部を設けることなく、操作部を凹部141に収納することができる。
【0120】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、給紙カバー121などのカバー部材は、凹部141および凹部141に収納された取っ手部131などの操作部が露出するための開口部121aを有し、凹部141の縁と、開口部121aの縁とを重ね合わせて、開口部121aを凹部141に組み合わせる。
これによれば、実施形態で説明したように、凹部141と給紙カバー121などのカバー部材との間の隙間から異物が進入するのを抑制することができる。
【0121】
(態様5)
態様4において、開口部121aの縁は、凹部側に折れ曲がった形状をしており、凹部141の縁は段差形状であり、凹部141の縁が、開口部121aの縁の外周面と、開口部121aの縁の凹部側端部とに重なり合うようにして、開口部121aが凹部141に組み合わさる。
これによれば、実施形態で説明したように、凹部141と給紙カバー121などのカバー部材との隙間が入り組んだ形状となり、凹部141とカバー部材との隙間からの異物進入を抑制できる。
【0122】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、凹部部材140は、ネジ145によりガイド部材122などの別の部材に固定されており、凹部141には、ネジ145の固定部と、ユーザーが取っ手部131などの操作部にアクセスするための空間とを仕切る仕切り壁143が設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、ユーザーが取っ手部131などの操作部を操作するために凹部141に指を差し込んだときに、ユーザーの指先がネジ145の頭部に触れるのを防止できる。これにより、例えば、ユーザーが指を凹部141に勢いよく突っ込んで、ネジ145の頭部にぶつかって痛みを感じるという不具合の発生を防止できる。
【0123】
(態様7)
シート搬送路を開閉する給紙カバーユニット120などの開閉装置を備えた原稿自動搬送装置5などのシート搬送装置において、開閉装置として態様1乃至6いずれかの開閉装置を用いた。
これによれば、メンテナンス作業性を向上することができる。
【0124】
(態様8)
原稿自動搬送装置5などの原稿シート搬送部と、原稿シート搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部とを備えた、原稿搬送読取ユニット6などの画像読取装置において、原稿シート搬送部として、態様7のシート搬送装置を用いた。
これによれば、画像読取装置のメンテナンス作業性を向上することができる。
【0125】
(態様9)
シートに画像を形成する画像形成装置において、態様1乃至6いずれかの開閉装置、態様7のシート搬送装置および態様8の画像読取装置の少なくとも一つを備える。
これによれば、メンテナンス作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 :複写機(画像形成装置)
5 :原稿自動搬送装置(シート搬送装置)
6 :原稿搬送読取ユニット(画像読取装置)
40 :第一面読取部
53 :原稿載置台
53a :固定原稿テーブル
53b :可動原稿テーブル
54 :原稿搬送部
55 :原稿スタック台
66 :中間ローラ対
72 :突き当てセンサ
73 :原稿幅センサ
80 :ピックアップローラ
82 :給紙駆動ローラ
83 :給紙従動ローラ
84 :分離ベルト
85 :リバースローラ
86 :プルアウトローラ対
90 :排紙ローラ対
92 :読取出口ローラ対
93 :第二読取出口ローラ対
94 :原稿排紙ローラ対
97 :読取入口ローラ対
120 :給紙カバーユニット
120a :支持軸
121 :給紙カバー
121a :開口部
122 :ガイド部材
122a :上ガイド部
122d :支柱
130 :ロック機構
131 :取っ手部
131a :貫通孔
132 :取っ手軸
133 :フック部
133a :下端
133b :溝部
134 :バネ
140 :凹部部材
141 :凹部
142 :穴部
143 :仕切り壁
145 :ネジ
146 :貫通孔
147 :溝部
150a :両側板
151 :ボス部
220 :開閉カバーユニット
220a :回転軸
221 :再供給路
222 :側面カバー
231 :取っ手部
241 :凹部
250 :転写ユニット
252 :ピックアップブラケット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】