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特開2024-108473センサ保持部材、ユニット及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108473
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】センサ保持部材、ユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240805BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G21/16 152
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012861
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】今田 高広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良州
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 卓弥
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA36
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA30
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA04
2H033CA07
2H033CA30
2H033CA45
2H171FA19
2H171FA28
2H171GA11
2H171JA12
2H171JA15
2H171KA13
2H171MA02
2H171MA03
2H171QC37
2H171WA11
2H171WA13
(57)【要約】
【課題】センサのセンサ保持部材からの脱落を良好に抑制し、かつ、センサの交換作業性を高めることができるセンサ保持部材、ユニットおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】センサたる温度検知センサ123bを保持するセンサ保持部材たるホルダ140は、ひとつのスナップフィット部で温度検知センサ123を保持している。また、ホルダ140は、温度検知センサ123bから延びるハーネスを規制する規制部たるハーネス規制部147を有している。このハーネス規制部147は、ハーネス126を規制する規制力で、温度検知センサ123bがスナップフィット部へ押し込まれるようにハーネス126を規制している。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを保持するスナップフィット部を備えたセンサ保持部材において、
前記センサを保持するスナップフィット部は、一つであり、
前記センサから延びるハーネスを規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記ハーネスを規制する規制力で、前記センサが前記スナップフィット部へ押し込まれるように前記ハーネスを規制することを特徴するセンサ保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ保持部材において、
前記スナップフィット部は、前記ハーネスの前記センサからの延び出し方向に直交する方向における前記センサの一端側を保持しており、
前記規制部は、
前記延び出し方向に直交する方向において前記スナップフィット部側とは反対側から前記センサとの接続箇所から所定距離離れた前記ハーネスの箇所に当接し、前記延び出し方向に直交する方向において前記ハーネスのコシによりスナップフィット部側とは反対側への前記ハーネスの移動を規制することを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ保持部材において、
前記センサから複数のハーネスが、前記延び出し方向に直交する方向に所定の間隔を開けて延び出しており、
前記規制部の前記ハーネスとの当接箇所は、前記延び出し方向に直交する方向において、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部側でセンサに接続されているハーネスの前記センサとの接続箇所と、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部から離れた側でセンサに接続されているハーネスの前記センサとの接続箇所との間の中央よりも前記スナップフィット部側に位置することを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ保持部材において、
前記規制部は、ボス形状であることを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサ保持部材において、
前記規制部は、壁形状であることを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサ保持部材において、
前記スナップフィット部は、前記センサが保持された状態で前記センサの側面に対向する対向面を有し、
前記スナップフィット部の対向面が、当該センサ保持部材のスナップフィット部側の側壁面よりも前記センサから離れていることを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項7】
請求項1に記載のセンサ保持部材において、
前記ハーネスを、前記センサの当該センサ保持部材へのセット方向とは反対方向に規制する第二規制部を有することを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ保持部材において、
前記セット方向から見たとき、前記第二規制部が前記規制部にオーバーラップしていることを特徴とするセンサ保持部材。
【請求項9】
請求項1に記載のセンサ保持部材を備えたことを特徴とするユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のユニットにおいて、
当該ユニットの正しい設置状態において、
前記スナップフィット部の爪部が、前記センサよりも下方に位置し、かつ、水平面と前記センサの基板面とのなす角度が、60°以下であることを特徴とするユニット。
【請求項11】
請求項9に記載のユニットにおいて、
前記センサ保持部材に保持されたセンサは、当該ユニットの外部に露出していることを特徴とするユニット。
【請求項12】
請求項9に記載のユニットにおいて、
定着部材と、
定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧部材と、
前記定着部材を加熱する熱源とを有し、
シートの画像を前記シートに定着させることを特徴とするユニット。
【請求項13】
請求項1に記載のセンサ保持部材または請求項9に記載のユニットを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ保持部材、ユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを保持するスナップフィット部を備えたセンサ保持部材が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記センサ保持部材として、2つのスナップフィット部でセンサを保持するものが記載されている。具体的には、センサからハーネスが延び出しており、一方のスナップフィット部は、ハーネスの延び出し方向に直交する方向におけるセンサの一端側を保持している。他方のスナップフィット部は、ハーネスの延び出し方向に直交する方向におけるセンサの他端側を保持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、センサのセンサ保持部材からの脱落を良好に抑制できるが、センサの交換作業性が悪いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、センサを保持するスナップフィット部を備えたセンサ保持部材において、前記センサを保持するスナップフィット部は、一つであり、前記センサから延びるハーネスを規制する規制部を有し、前記規制部は、前記ハーネスを規制する規制力で、前記センサが前記スナップフィット部へ押し込まれるように前記ハーネスを規制することを特徴するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、センサのセンサ保持部材からの脱落を良好に抑制し、かつ、センサの交換作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】定着装置の概略構成図。
図3】安全装置のブロック図。
図4】定着装置を下方から見た概略斜視図。
図5図4のA-A断面図。
図6】ホルダのサブ用温度検知センサが取り付けられる箇所の周辺を示す斜視図。
図7】ホルダにサブ用温度検知センサが取り付けられた状態を示す斜視図。
図8】スナップフィット部付近の断面斜視図。
図9】サブ用温度検知センサのセンサ基板と、ホルダとの寸法関係について説明する図。
図10】サブ用温度検知センサから延びるハーネスの這い回しについて説明する図。
図11】ハーネス規制部の規制力によるサブ用温度検知センサの傾きについて説明する図。
図12】ハーネス規制部の第一変形例を示す図。
図13】ハーネス規制部の第二変形例を示す斜視図。
図14】第二変形例におけるホルダの正面図。
図15図14のF-F断面図。
図16】変形例の定着装置の断面図。
図17】変形例の定着装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものである。以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式で画像を形成する画像形成装置について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。
画像形成装置100の装置本体40の上部には、画像読取装置50が取り付けられている。
【0010】
装置本体40の内部には、プロセスカートリッジ1が設けられている。プロセスカートリッジ1は、潜像担持体たる感光体2と、感光体2の周囲に配置され、感光体2に作用するプロセス手段としての帯電装置3、現像装置4およびクリーニング装置5などを備えている。プロセスカートリッジ1は、装置本体40に着脱可能に装着されている。感光体2、帯電装置3、現像装置4及びクリーニング装置5がプロセスカートリッジ1としてユニット化されることにより、交換やメンテナンスの作業が容易になる。また、各部材間の位置精度を高精度の維持することができ、形成される画像品質の向上を図ることができる。
【0011】
転写手段たる転写装置20は、転写ローラ21およびレジストローラ対17に一方のローラを備えており、転写ローラ21は、感光体2の周面に押圧されて当接されている。また、転写装置20の上方には、着脱ユニットたる定着装置32が設けられている。また、装置本体40には、潜像形成手段たるレーザ書込装置30が備えられている。レーザ書込装置30には、レーザ光源、走査用の回転多面鏡、ポリゴンモータ、fθレンズなどを備えている。また、装置本体は、転写紙、OHPフィルムなどのシートPを収納するシートカセット11が多段に備えられている。
【0012】
以上のような構成の装置を用いてコピーするとき、ユーザーがスタートスイッチを押す。すると、まず、画像読取装置50にセットされた原稿内容を読み取る。また、このとき同時に、感光体駆動モータで感光体2を回転し、帯電装置3で感光体2の表面を一様に帯電する。次いで画像読取装置50によって読み取った原稿内容に応じてレーザ光を照射してレーザ書込装置30を用いて書き込み工程を実行する。そして、感光体2の表面に静電潜像を形成した後、現像装置4を用いてトナーを付着させて静電潜像を可視像化(現像)する。
【0013】
また、スタートスイッチをユーザーが押すと同時に、多段のシートカセット11から選択されたシートPを呼出ローラ11aにより送り出す。次いで、分離部12で1枚ずつ分離して供給路13に送る。供給路13に送られたシートPは、レジストローラ対17に突き当てて止められる。そして、感光体2の可視像化したトナー画像と回転タイミングを合わせて、転写ローラ21が感光体2と当接して形成された転写ニップへと送り込まれる。
【0014】
転写ニップへと送り込まれたシートPは、転写ローラ21により感光体2上のトナー画像が転写される。画像転写後の感光体2上の残留トナーはクリーニング装置5で除去・清掃され、残留トナーを除去された感光体2上の残留電位は、除電装置で除去される。そして、帯電装置3から始まる次の画像形成に備える。クリーニング装置5で除去された残留トナーは、廃トナーボトへ搬送される。
【0015】
一方、画像転写された後のシートPは、定着装置32に導かれ熱と圧力を加えられてトナー画像が定着される。シートPの片面だけに画像を形成する片面画像形成時では、分岐爪14により画像定着されたシートPを、排紙ローラ33へ案内する。そして、排紙ローラ33により排紙スタック部34上に排出されてスタックされる。
【0016】
両面画像形成時においては、画像定着されたシートPは、分岐爪14により反転ローラ15へ案内され、反転ローラ15により排紙スタック部34上に配置された反転トレイ35へ搬送される。シートPの搬送方向後端が、反転ローラ15を通過する前に、反転ローラ15を逆回転させ、反転搬送路としての再供給路36にシートPをスイッチバック搬送する。再供給路36へ搬送されたシートPは、再供給路36内に配置された複数の搬送ローラによりレジストローラ対17へ搬送される。そして、上述と同様にして、転写ニップへと送り込まれ、シートの第二面である裏面にトナー画像を転写され、定着装置32を経て、排紙スタック部34上に排紙される。
【0017】
本実施形態では、定着装置32のカバー部材に再供給路36のシートをガイドするガイド部136が設けている。これにより、再供給路36を定着装置32に近接配置でき、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0018】
図2は、定着装置32の概略構成図である。
ユニットたる定着装置32は、シートPに担持された転写後のトナー像Tを熱と圧力により融解・浸透させて定着するために用いられ、加熱されながら回転可能な可撓性を有する無端状の加熱部材としての定着ベルト61を備えている。
【0019】
また、定着装置32は、定着ベルト61と当接した当接状態で定着ベルト61との間に圧力を作用させてニップ部Nを形成する加圧部材たる加圧ローラ62が設けられている。定着ベルト61の内部には、ニップ部N以外の箇所、本実施形態では、ニップ部Nと反対側を周回移動する定着ベルト61の領域を対象として加熱するハロゲンランプからなる熱源としてのメインヒータ63aとサブヒータ63bが備えられている。
【0020】
メインヒータ63aおよびサブヒータ63bは、ハロゲンヒータであり、定着ベルト61は、内周側からこれらヒータ63a,63bの輻射熱で直接加熱される。ここで、各ヒータ63a,63bは、定着ベルト61を加熱できればよく、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
【0021】
メインヒータ63aは、用紙の幅方向の中央の発熱量が幅方向両端の発熱量よりも多い発熱分布を有している。一方、サブヒータ63bは、幅方向両端の発熱量が、中央の発熱量よりも多い発熱分布を有している。
【0022】
定着ベルト61の内部には、定着ベルト61の内側に配設されたニップ形成用のベース部材であるニップ形成部材64が設けられている。また、定着ベルト61の内部には、ニップ形成部材64を支持するステー65と、ヒータ63a,63bから放射される光を定着ベルト61へ反射する反射部材66も設けられている。
【0023】
ニップ形成部材64は、ニップ部Nの形状が平坦状であるが、この形状に限らない。例えば、加圧ローラ62の周面に沿った凹状に形成してもよい。ニップ形成部材64を加圧ローラ62の周面に沿った凹状とすることで、ニップ部Nを通過するシートPの先端が加圧ローラ62側に寄るので、定着ベルト61からの分離性が向上することができる。
【0024】
定着ベルト61の内周面にフッ素グリースやシリコーンオイルなどの潤滑剤を塗布しており、ニップ形成部材64と定着ベルト61の内周面との間に潤滑剤を介在させ、摺動トルクを低減している。
【0025】
定着ベルト61の温度は、シートPがニップ部に進入する側に設けられた温度検知センサ67によって検出され、ヒータ63a,63bのフィードバック処理に用いられる。なお、図2において矢印Fは、シートPの搬送方向を示している。
【0026】
定着ベルト61は、薄肉で可撓性を有するスリーブ状に形成された無端状のベルトであり、基材とその表面に位置する離型層により構成されている。基材には、ニッケルもしくはSUS等の金属材料またはポリイミドなどの樹脂材が用いられる。また離型層には、トナーに対する離型性を有するテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが用いられる。
【0027】
加圧ローラ62は、芯金62aと、芯金62aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層62bと、弾性層62bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層62cとによって構成されている。加圧ローラ62は、加圧手段によって定着ベルト61側へ加圧され定着ベルト61と当接状態でニップ形成部材64に定着ベルト61を介して当接している。
【0028】
この加圧ローラ62と定着ベルト61とが当接する箇所では、加圧ローラ62の弾性層62bが押し潰されることで、定着ベルト61との間に圧力を受けてニップ形成部材64が所定の幅のニップ部Nを確保するようになっている。
【0029】
加圧ローラ62は、装置本体40に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ62が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト61に伝達され、定着ベルト61が従動回転するようになっている。
【0030】
本実施形態では、加圧ローラ62を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ62の内部に、輻射熱を用いるハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、加圧ローラ62を中空のローラとした場合でも、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。これは、弾性層を無くすことで、加圧ローラ62の熱容量が小さくなり、定着性は向上するが、未定着トナーを押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。そのため、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。
【0031】
中空ローラに用いられるパイプ状金属として、アルミニウム、鉄あるいはステンレスなどが選択できる。加圧ローラ62内に熱源を設ける場合には、熱源からの輻射熱により支持体が加熱されるのを抑制するために、支持体表面に断熱層を設けることや鏡面処理による熱線反射面を設けることが望ましい。この場合の熱源には、上述したハロゲンヒータに限らず、IHヒータや抵抗発熱体、あるいはカーボンヒータを用いることも可能である。
【0032】
図2に示すように、定着装置32には、トナー像Tが転写されたシートPをニップ部Nに案内する定着入口ガイド部131と、ニップ部でトナー像が定着されたシートPをガイドする一対の定着出口ガイド部132a,132bとを有している。これらガイド部131,132a,132bは、樹脂からなる定着カバー部材130に一体成型される構成、定着カバー部材130とは別体の構成、いずれでも構わない。
【0033】
定着装置32は、定着ベルト61の外部に、定着ベルト61の表面温度の異常を検知してヒータへの電力供給を停止させる電力遮断手段たる安全装置を有している。
【0034】
図3は、安全装置120のブロック図である。
安全装置120は、メインヒータ63aへの電力供給を遮断する第一メイン用保護部を構成するメイン用サーモスタット121aと、第二メイン用保護部122aとを有している。また、安全装置120は、サブヒータ63bへの電力供給を遮断する第一サブ用保護部を構成するサブ用サーモスタット121b、第二サブ用保護部122bとを有している。
【0035】
メイン用サーモスタット121aは、電源部150の電力をメインヒータ63aへ供給するメイン電気回路に設けられている。メイン用サーモスタット121aは、定着ベルト61の温度が規定温度以上となると、メインヒータ63aへの電力供給を遮断する。
【0036】
サブ用サーモスタット121bは、電源部150の電力をサブヒータ63bへ供給するサブ電気回路に設けられており、定着ベルト61の温度が規定温度以上となるのと、サブヒータ63bへの電力供給を遮断する。
【0037】
第二メイン用保護部122aは、メイン用温度検知センサ123aと、制御部124とメイン電気回路に設けられたリレースイッチ125aとで構成されている。メイン用温度検知センサ123aが、定着ベルト61の温度が規定温度以上であることを検知したら、制御部124はリレースイッチ125aをOFFにして、メインヒータ63aへの電力供給を遮断する。
【0038】
第二サブ用保護部122bは、サブ用温度検知センサ123bと、制御部124とサブ電気回路に設けられたリレースイッチ125bとで構成されている。サブ用温度検知センサ123bが、定着ベルト61の温度が規定温度以上であることを検知したら、制御部124はリレースイッチ125bをOFFにして、サブヒータ63bへの電力供給を遮断する。
【0039】
本実施形態の安全装置120は、一つのヒータに対して2つの保護部を有している。これにより、2つの保護部のうち、ひとつが故障しても、もう一方の保護部が機能し、ヒータへの電力を遮断することができる。これにより、一つのヒータに対して保護部がひとつの場合に比べて、より確実に、装置の保護を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、一つのヒータに対して、サーモスタットの保護部と、温度検知センサを用いた保護部とを用いているが、保護部の組み合わせは、これに限られない。例えば、温度ヒューズの保護部と温度検知センサを用いた保護部の組み合わせ等、装置の構成によって適宜組み合わせればよい。
【0041】
温度検知センサを用いた保護部は、温度検知センサが規定温度以上であることを検知した時点で、ヒータの電力供給を遮断できる。従って、サーモスタットや温度ヒューズに比べて定着ベルト61の温度が規定温度以上となってからヒータの電力供給を遮断するまでの時間が短い。特に、熱容量が少なく、省エネ性が向上した定着装置であるほど、定着ベルト61の昇温速度が速いため、定着ベルト61の温度が規定温度以上となった場合により早くヒータの電力供給を遮断しなければ安全性を確保できないおそれがある。
【0042】
よって、2つの保護部のうち少なくとも一方を、温度検知センサを用いた保護部とすることで、定着ベルト61の温度が規定温度以上となって場合にすばやくヒータの電力供給を遮断することができ、高い安全性を確保することが可能となり好ましい。
【0043】
図4は、定着装置32を下方から見た概略斜視図であり、図5は、図4のA-A断面図である。
定着装置32は、定着ベルト61と加圧ローラ62とを覆う樹脂成型品である定着カバー部材130を有している。定着カバー部材130は、二次転写ニップを通過した後のシートPが搬入される搬入部130cと、トナー画像が定着されたシートPが排出される排出部130dを有している。
【0044】
定着カバー部材130には、安全装置120のサブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bが保持されるホルダ140が取り付けられている。なお、ホルダ140を定着カバー部材130と一体成型で設けるようにしてもよい。ホルダ140を定着カバー部材130と一体成型で設けることで、部品点数を削減できるというメリットがある。また、定着装置32の一番外側の定着カバー部材にホルダ40を一体成型することで、後述するように、温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bを、定着装置32の外部に露出する構成を容易に得ることができるというメリットもある。
ホルダ140は、樹脂材からなり、下方が開口した箱型形状をしており、このホルダ140内に、サブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bが保持されている。
【0045】
図5に示すように、サブ用温度検知センサ123bの検知部123b1が、ホルダ140を貫通して保持されている。サブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、メイン用温度検知センサ123aについても、同様に検知部がホルダ140を貫通して保持されている。
【0046】
サブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、サブ用温度検知センサ123bおよびメイン用温度検知センサ123aは、異常をより早く検出する必要がある。そのため、これらは、定着ベルト61の表面温度が通常最も高温になる箇所に対向配置している。具体的には、定着ベルト61の最もヒータ63a,63bに近い領域と対向するようにサブ用サーモスタット121b、メイン用サーモスタット121a、サブ用温度検知センサ123bおよびメイン用温度検知センサ123aを配置している。
【0047】
上述したようにメインヒータ63aは、用紙の幅方向の中央の発熱量が幅方向両端の発熱量よりも多い発熱分布を有しており、サブヒータ63bは、幅方向両端の発熱量が、中央の発熱量よりも多い発熱分布を有している。従って、図4に示すように、サブ用サーモスタット121bおよびサブ用温度検知センサ123bを軸方向(ホルダ140の長手方向でもある)両側に配置している。そして、メイン用サーモスタット121aおよびメイン用温度検知センサ123aを軸方向(ホルダ140の長手方向)の中央に配置している。
【0048】
本実施形態では、図4に示すように、安全装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bは、定着装置32の外部に露出するように設けられている。これにより、完成状態で安全装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bが正しく組み付けられているか否かを目視で確認することができる。
【0049】
また、外側から安全装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bの取り付け、取り外しを行うことができる。これにより、温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bのうちの少なくとも一つが適正に組み付けられていない場合、容易に組み付けなおしを行うことができる。また、容易に安全装置120の温度検知センサ123a,123bおよびサーモスタット121a,121bの交換を行うことができ、交換作業性を高めることができる。
【0050】
本実施形態では、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bは、外部に露出しているため環境温度の影響を受けやすく、環境温度の影響で精度のよい温度検知ができないおそれがある。そのため、本実施形態では、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bとして、温度補償機能付きのサーミスタを用いている。温度補償機能付きのサーミスタは、定着ベルトの表面温度を検出する検出部と、サーミスタの周囲温度を検出する補償検出部と有している。そして、検出部の定着ベルトの温度に応じた検出出力信号の周囲温度による変動を、補償検出部の周囲温度に応じた補償出力信号に基づいて補正する。具体的には、温度検知センサの制御回路で、定着ベルトの温度に応じた検出出力信号を、補償検出部の周囲温度に応じた補償出力信号に基づいて補正する。
これにより、メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bが外部に露出していても、精度よく定着ベルトの温度を検出することができる。
【0051】
また、温度検知センサから検出出力信号と、補償出力信号とを制御部124に出力し、制御部124で、検出出力信号と補償出力信号とに基づいて定着ベルトの温度を特定するようにしてもよい。
【0052】
メイン用温度検知センサ123aおよびサブ用温度検知センサ123bは、スナップフィットによりホルダ140に取り付けられている。一方、メイン用サーモスタット121aおよびサブ用サーモスタット121bは、ネジによりホルダ140に組み付けられている。各温度検知センサ123a,123bをスナップフィットで固定することで、安価な構成で、簡単に各温度検知センサ123a,123bを下カバー部材に取り付けることができる。
【0053】
図6は、ホルダ140のサブ用温度検知センサ123bが取り付けられる箇所の周辺を示す斜視図である。
図6に示すように、箱型形状のホルダ140の底部140aには、サブ用温度検知センサ123bの検知部123b1(図5参照)が貫通する貫通孔部141が設けられている。また、ホルダ140の底部140aには、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2(図5参照)が突き当たり、サブ用温度検知センサ123bを、センサのセット方向に位置決めする位置決め突起142,145が設けられている。
【0054】
また、ホルダ140は、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の長手方向の一端(図中右端)を保持する保持部143を有している。また、ホルダ140は、センサ基板123b2の長手方向の他端側(図中左側)を保持するスナップフィット部144を有している。さらに、ホルダ140は、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の長手方向の他端(図中左端)に対向し、サブ用温度検知センサ123bを長手方向(図中左右方向)に位置決めする位置決め壁部146を有している。
【0055】
図7は、ホルダ140にサブ用温度検知センサ123bが取り付けられた状態を示す斜視図であり、図8は、スナップフィット部144付近の断面斜視図である。
サブ用温度検知センサ123bをホルダ140に取り付けるときは、まず、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の長手方向の一端(図7の右端)を、保持部143と底部140aとの間に挿入する。次に、センサ基板123b2の長手方向の他端を図8の矢印Dに示すように、底部140a側を押し込んでいく。すると、スナップフィット部144が図中矢印E方向に弾性変形する。これにより、センサ基板123b2の長手方向の他端側(図中左側)が、スナップフィット部144の爪部144aを乗り越え、センサ基板123b2の長手方向の他端側が、スナップフィット部144により保持される。
【0056】
ホルダ140は、スナップフィット部144が容易に弾性変形可能なように、樹脂材で構成している。また、ホルダを樹脂材で構成することで、絶縁性を容易に確保できる。
【0057】
本実施形態では、サブ用温度検知センサ123bを保持するスナップフィット部144は、一つである。これにより、以下の理由により、サブ用温度検知センサ123bを容易にホルダ140から取り外すことができ、サブ用温度検知センサ123bの交換作業性を高めることができる。すなわち、サブ用温度検知センサ123bを保持するスナップフィット部が二つある場合、片方の手で2つのスナップフィット部を押し拡げながら、もう片方の手でサブ用温度検知センサ123bを掴んでホルダ140から取り外すことになる。片手で2つのスナップフィット部を押し拡げるのは、困難であり、サブ用温度検知センサ123bをホルダ140から取り外すのは困難である。
【0058】
一方、本実施形態のようにサブ用温度検知センサ123bを保持するスナップフィット部が一つの場合は、片方の手でひとつのスナップフィット部のみを押し広げればよい。従って、サブ用温度検知センサ123bを保持するスナップフィット部が二つある場合に比べて、容易にスナップフィット部を押し拡げて、サブ用温度検知センサ123bをホルダ140から取り外すことができる。これにより、サブ用温度検知センサ123bを保持するスナップフィット部が二つある場合に比べて、サブ用温度検知センサ123bの交換作業性を高めることができる。
【0059】
なお、メイン用温度検知センサ123aについても、サブ用温度検知センサ123bと同様に、長手方向の一端側が、保持部に保持され、長手方向の他端側が、スナップフィット部に保持される。メイン用温度検知センサ123aについても、サブ用温度検知センサ123bと同様、メイン用温度検知センサ123aを保持するスナップフィット部が一つであるので、メイン用温度検知センサ123aについても、交換作業性を高めることができる。
【0060】
図9は、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2と、ホルダ140との寸法関係について説明する図である。
図9では、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2と、ホルダ140との寸法関係について説明するが、メイン用温度検知センサ123aとホルダ140との寸法関係も同様である。
【0061】
図9(a)に示すように、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の短手方向の長さをB、ホルダ140内部の短手方向の長さ(ホルダ140の長手方向に平行に一方の内壁面140bから他方の内壁面140cまでの距離)をAとする。また、図9(b)に示すように、スナップフィット部144の高さ(ホルダの他方の内壁面140cから爪部144aの頂点までの長さ)をCとする。このとき、サブ用温度検知センサ123bを、ホルダ140に保持するための必要条件は、以下の式(1)、式(2)で表すことができる。
A>B・・・・(式1)
B>A-C・・・(式2)
【0062】
式1の関係を満たすことで、サブ用温度検知センサ123bを、箱型形状のホルダ140内に入れることができる。また、上記式2の関係を満たすことで、スナップフィット部144の爪部144aを、センサ基板123b2とセンサセット方向で対向させることができる。これにより、スナップフィット部144によりサブ用温度検知センサ123b(センサ基板の長手方向他端側)を保持することができる。
【0063】
また、図9(b)に示すように、スナップフィット部144のセンサ基板123b2とホルダ140の短手方向で対向する対向面部144bが、ホルダ140の他方の内壁面140cよりもDmm、センサ基板123b2から離れて形成されている。
【0064】
上記Cの寸法が長いほど、製造誤差等によりセンサ基板123b2の短手方向の寸法Bが変動しても、上記式2の関係を満たすことができ、スナップフィット部144によりサブ用温度検知センサ123bを保持することができる。しかしながら、上記Cの寸法が長いほど、上記寸法Bが基準よりも長い温度検知センサを組み付けるときのスナップフィット部144の図8の矢印E方向の弾性変形量が多くなる。その結果、スナップフィット部144の根元が折れるおそれがある。また、温度検知センサをホルダ140から取り外すとき、スナップフィット部144を大きく拡げる必要があり、交換作業性が悪くなるおそれもある。
【0065】
上記Cの寸法を短くすることで、上記寸法Bが基準よりも長い温度検知センサを組み付けるときのスナップフィット部144の弾性変形量を少なくでき、スナップフィット部144の破損を抑制できる。また、スナップフィット部144を大きく拡げる必要がないため、容易に温度検知センサをホルダ140に着脱することができる。これにより、温度検知センサの交換作業性を高めることができる。しかし、上記C寸法を短くすると、センサ基板123b2の短手方向の長さBが基準よりも短い場合に、上記式(2)の関係を満たさなくなってしまう。
【0066】
センサ基板123b2の短手方向の長さBが基準よりも短く、B<A-Cとなった場合、温度検知センサのホルダ140内での短手方向のガタツキにより、センサ基板123b2が、スナップフィット部144の爪部144aと対向しなくなるおそれがある。センサ基板123b2が、スナップフィット部144の爪部144aと対向しなくなると、温度検知センサがホルダ140から脱落するおそれがある。
【0067】
特に、本実施形態では、図5に示すように、ホルダ140の底部140aが、センサ基板123b2よりも上方に位置し、温度検知センサは、保持部143とスナップフィット部144の爪部144aとで支持される構造である。そのため、上記(式2)の関係を満たさず、爪部144aがセンサ基板123b2と対向しない状態が発生すると、温度検知センサの自重でホルダ140から脱落するおそれが高い。図5に示すように、センサ基板123b2と水平面とのなす角度θが、60°以下の場合は、上記(式2)の関係を満たさない場合に、温度検知センサの自重でホルダ140から脱落するおそれが高まる。
【0068】
そこで、本実施形態では、温度検知センサから延びるハーネスをスナップフィット部側へ押し込んで規制する規制部としてのハーネス規制部を設け、ハーネスを介して、温度検知センサをスナップフィット部側へ押し込むようにした。これにより、上記(式2)の関係を満たさない場合に、爪部144aがセンサ基板123b2と対向しない状態が発生するのを抑制でき、温度検知センサのホルダ140からの脱落を抑制することができる。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて具体的に説明する。
【0069】
図10は、サブ用温度検知センサ123bから延びるハーネス126の這い回しについて説明する図である。
なお、以下の説明では、サブ用温度検知センサ123bについて説明するが、メイン用温度検知センサ123aから延びるハーネス126の這い回は、サブ用温度検知センサ123bと同様である。
図10に示すようにサブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の長手方向の他端(図中左端)から3本のハーネス126が延び出している。ホルダ140のスナップフィット部144側とは反対側の内壁面140b(図10の上側の内壁面)から、スナップフィット部側の内壁面140c(図10の下側の内壁面)に向けて延び出した壁形状の規制部としてのハーネス規制部147が設けられている。ハーネス規制部147は、サブ用温度検知センサ123bを長手方向(図中左右方向)に位置決めする位置決め壁部146の近傍に設けられている。
【0070】
ハーネスに当接してハーネスのスナップフィット側とは反対側への移動を規制するハーネス規制部147の先端を、図中上下方向(ハーネスのセンサ基板からの延び出し方向と直交する方向であり、センサ基板およびホルダの短手方向でもある)において、次のような位置に位置させている。すなわち、複数のハーネスのうち図中の最上部のハーネス(最もスナップフィット部から離れた箇所でセンサ基板から延び出すハーネス)のセンサ基板123b2との接続箇所から、複数のハーネスのうち図中の最下部のハーネス(最もスナップフィット部に近い箇所でセンサ基板から延び出すハーネス)のセンサ基板123b2との接続箇所までの間の半分の位置O1よりも、スナップフィット部144側に、ハーネス規制部147の先端を位置させているのである。
【0071】
また、ホルダ140には、サブ用温度検知センサ123bのホルダ140へのセット方向とは反対方向にハーネス126を規制する第二規制部としての2つの第二ハーネス規制部148を有している。
【0072】
図10に示すように、センサ基板123b2から延び出した3本のハーネス126のうち、少なくとも図中の最上部のハーネスのセンサとの接続部から所定距離離れた箇所は、ハーネス規制部147によりスナップフィット側に寄せられる。これにより、スナップフィット部144から最も離れた箇所でセンサ基板123b2から延び出す図中最上部のハーネス126は、ハーネス規制部147により大きくスナップフィット部側に曲げられる。これにより、このハーネスは、ハーネスのコシによるスナップフィット部側とは反対側への移動がハーネス規制部147により規制される。その結果、ハーネス126のスナップフィット部側とは反対側への移動を規制するハーネス規制部147の規制力が、ハーネスを介してサブ用温度検知センサ123bに伝わる。これにより、サブ用温度検知センサ123bの長手方向(加圧ローラの軸方向でもある)の他端側(図中左側端部)がスナップフィット部側へ押し込まれる。その結果、図11の破線に示すように、サブ用温度検知センサ123bの長手方向の他端側が、スナップフィット部側に寄るような形で傾く。これにより、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の短手方向の寸法Bが基準よりも短く、B<A-Cの関係となっても、爪部144aがセンサ基板123b2と対向させることができる。よって、サブ用温度検知センサ123bのホルダ140からの脱落を良好に抑制することができる。
【0073】
また、ハーネス規制部147は、ハーネス126がスナップフィット部144側に寄るようにハーネスを規制しているだけであり、容易にハーネスをハーネス規制部147から取り外すことができる。また、ハーネス126のハーネス規制部147の規制を解除した後、スナップフィット部144を拡げて、サブ用温度検知センサ123bをホルダ140から取り外すことができる。このように、スナップフィット部144の拡径と、ハーネス規制部147の規制解除とを同時に行わずとも、サブ用温度検知センサ123bをホルダ140から取り外すことができる。よって、2つのスナップフィット部を同時に拡げながら、温度検知センサをホルダから取り外す特許文献1の構成に比べて、温度検知センサの交換を容易に行うことができ、温度検知センサの交換作業性を高めることができる。
【0074】
また、ハーネス規制部147の規制力によりサブ用温度検知センサ123bの長手方向の他端側が、ホルダ140の短手方向にガタつくのを抑制することができる。よって、センサ基板123b2の長手方向の他端側が、図11の上方に動いて、爪部144aがセンサ基板123b2と対向しない状態が発生するのを抑制できる。その結果、サブ用温度検知センサ123bのホルダ140からの脱落を良好に抑制することができる。
【0075】
また、センサ基板の寸法のばらつきで、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の短手方向の寸法Bが基準よりも短くなっても、上記(式2)の関係を満たすように爪部144aの高さ寸法Cを設定する必要がなくなる。よって、センサ基板の短手方向の寸法Bが基準の寸法のときに、ぎりぎり上記(式2)の関係を満たすように爪部144aの高さ寸法Cを設定することが可能となる。これにより、センサ基板の寸法のばらつきで、サブ用温度検知センサ123bのセンサ基板123b2の短手方向の寸法Bが基準よりも短くなっても、上記(式2)の関係を満たすように爪部144aの高さ寸法Cを設定する場合に比べて、爪部144aの高さ寸法Cを短くすることができる。その結果、温度検知センサの組み付け時のスナップフィット部144の弾性変形量を少なくでき、スナップフィット部144の破損を抑制でき、かつ、温度検知センサの交換作業性を高めることができる。
【0076】
また、図9(b)に示したように、センサ基板123b2とホルダ140の短手方向(ハーネスのセンサ基板からの延び出し方向に直交する方向)で対向するスナップフィット部144の対向面部144bが、ホルダ140の他方の内壁面140cよりもDmm、センサ基板123b2から離れている。これにより、対向面部144bとセンサ基板123b2との短手方向の距離が、ホルダ140の他方の内壁面140cとセンサ基板123b2との短手方向の距離と同一の場合に比べて、以下の利点を得ることができる。すなわち、ハーネス規制部147の規制力によりサブ用温度検知センサ123bの長手方向の他端側(ハーネスが延び出す側)を、よりスナップフィット部側に寄せることができる。その結果、サブ用温度検知センサ123bの長手方向の他端側を、より深く爪部144aに食い込ませることができ、サブ用温度検知センサ123bのホルダ140からの脱落を良好に抑制することができるという利点である。
なお、上記本実施形態では、対向面部144bが、ホルダの他方の内壁面140cよりも1(D=1)mmだけセンサ基板123b2から離れて形成されている。
【0077】
また、本実施形態では、図10に示すように、2つの第二ハーネス規制部148により、ハーネス126をサブ用温度検知センサ123bのホルダ140へのセット方向とは反対方向に規制している。これにより、以下の効果を得ることができる。すなわち、例えば、ハーネス126先端に設けられたコネクタを制御部等に接続するなど、装置への組み付け時にハーネス126の先端がサブ用温度検知センサ123bのセット方向と逆方向に引っ張られる場合がある。このとき、第二ハーネス規制部148がストッパとなり、ハーネス126を介してサブ用温度検知センサ123bにセンサセット方向とは逆方向に力が加わるのを抑制できる。これにより、組み立て時に、サブ用温度検知センサ123bがホルダ140から脱落するのを抑制することができる。
【0078】
次に、ハーネス規制部の変形例について、説明する。
[変形例1]
図12は、ハーネス規制部147の第一変形例を示す図である。
なお、図12は、サブ用温度検知センサ123bから延び出すハーネスの規制について図示しているが、メイン用温度検知センサ123aについても以下に説明する第一変形例を採用することができる。
【0079】
図12に示すように、この第一変形例のハーネス規制部147は、形状がボス形状となっている。この第一変形例では、ハーネス規制部147のホルダの短手方向(ハーネスのセンサからの延び出し方向に直交する方向)において、最もスナップフィット部に近い箇所にハーネスが当接してハーネスのスナップフィット部側とは反対側の移動を規制する。
【0080】
そして、この第一変形例でも、ハーネス規制部147のハーネスが当接する最もスナップフィット部に近い箇所が、ホルダの短手方向において、次の位置に位置している。すなわち、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部から離れた箇所でセンサ基板から延び出すハーネスのセンサ基板123b2との接続箇所から、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部に近い箇所でセンサ基板から延び出すハーネスのセンサ基板123b2との接続箇所までの間の半分の位置O1よりも、スナップフィット部144側に、ハーネス規制部147の最もスナップフィット部に近い箇所を位置させている。
【0081】
よって、この第一変形例の構成においても、少なくとも、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部から離れた箇所でセンサ基板から延び出すハーネスのセンサ基板付近をハーネス規制部147の規制によりスナップフィット部側に曲げることができる。その結果、ハーネスのコシによるスナップフィット部側とは反対側(図中上側)へのハーネスの移動を規制するハーネス規制部147の規制力によりサブ用温度検知センサ123bの長手方向の他端側をスナップフィット部側に寄るような形で傾かせることができる。よって、センサ基板123b2のばらつきによってセンサ基板123b2の短手方向の寸法Bが基準よりも短く、上記(式2)の関係を満たさなくなっても、スナップフィット部144によりサブ用温度検知センサ123bの他端側を良好に保持できる。これにより、サブ用温度検知センサ123bのホルダ140からの脱落を良好に抑制できる。また、センサ基板の短手方向の寸法Bが基準の寸法のときに、ぎりぎり上記(式2)の関係を満たすように爪部144aの高さ寸法Cを設定でき、スナップフィット部144の破損を抑制でき、かつ、温度検知センサの交換作業性を高めることができる。
【0082】
また、ハーネス規制部147をボス形状とすることで、ハーネス規制部147が壁形状の図10に示す構成に比べて、ホルダ140を形成する樹脂材量の低減を図ることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0083】
なお、図10に示すように、ハーネス規制部147を壁形状とすることで、ハーネス規制部147がボス形状の変形例に比べて、以下の利点を得ることができる。すなわち、図12に示す変形例においては、誤ってハーネス規制部147に対してスナップフィット部側と反対側にハーネス126を這い回してしまうおそれがある。一方、ハーネス規制部147を図10に示すような壁形状とすることで、変形例の構成のようなハーネスの誤這い回しが生じることがないという利点である。
【0084】
[変形例2]
図13は、ハーネス規制部147の第二変形例を示す斜視図であり、図14は、第二変形例におけるホルダ140の正面図であり、図15は、図14のF-F断面図である。なお、図13図15では、メイン用温度検知センサ123aから延び出すハーネスの規制について図示しているが、サブ用温度検知センサ123bについても以下に説明する第二変形例を採用することができる。
【0085】
第二変形例のハーネス規制部147は、メイン用温度検知センサ123aを長手方向(図中左右方向)に位置決めする位置決め壁部146の先端から延び出すように形成されている。具体的には、この第二変形例のハーネス規制部147は、ハーネス規制部147の先端にいくに連れてメイン用温度検知センサ123aからホルダの長手方向(図中左右方向)で離間するように斜め方向に位置決め壁部146の先端から延び出している。そして、メイン用温度検知センサ123aのホルダ140へのセット方向とは反対側にメイン用温度検知センサ123aのハーネス126を規制する第二ハーネス規制部148に一部がオーバーラップしている(ホルダの短手方向で第二ハーネス規制部148と重なっている)。
【0086】
さらに、第二変形例のハーネス規制部では、ハーネス規制部の先端側が、第二ハーネス規制部148よりもメイン用温度検知センサ123a側とは反対側にEmm延び出している(図14参照)。
【0087】
かかる構成により、図13図14に示すように、メイン用温度検知センサ123aから延びるハーネス126は、ハーネス規制部147をホルダ140の長手方向において、回り込むようにして、第二ハーネス規制部148に這い回される。これにより、例えば、ハーネス126の先端に設けられたコネクタの制御部への接続時等、装置への組み立て時にハーネス126の先端側が引っ張られたときに、ハーネス126のメイン用温度検知センサ123aの付近の這い回しが変更されるのを抑制することができる。これにより、ハーネス規制部147でしっかりとハーネス126を規制することができ、ハーネス規制部147の規制が外れるのを良好に抑制することができる。
【0088】
メイン用温度検知センサ123aから延びるハーネスの規制、サブ用温度検知センサ123bから延びるハーネスの規制は、上述した図10図11に示した形状、図12に示した第一変形例、図13図15に示した第二変形例を、適宜採用すればよい。しかし、メイン用温度検知センサ123aから延びるハーネスの規制、サブ用温度検知センサ123bから延びるハーネスの規制ともに、図13図15に示す第二変形例を採用するのが好ましい。これは、メイン用、サブ用の両方に図13図15に示す第二変形例を採用することで、メイン用、サブ用の少なくとも一方に図10図11に示した構成を採用した場合に比べて、ホルダの長手方向において、装置の小型化を図ることができるからである。
【0089】
次に、定着装置の変形例について、説明する。
図16は、変形例の定着装置230の断面図であり、図17は、変形例の定着装置230の分解斜視図である。
変形例の定着装置230は、ヒータ231、リフレクタ232、ステー233、定着ベルト236、加圧ローラ237、ニップ形成部材240等を備えている。ニップ形成部材240は、パッド部材234、摺動シート238等を備えている。
【0090】
定着ベルト236は、所定の内径を有し、シートPの幅よりも長い幅を有する無端状ベルトである。定着ベルト236は、可撓性を有する材料で形成され、例えば、基材層と、基材層の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層とを有している。
【0091】
基材層は、SUSやNi等の金属で形成され、弾性層は、シリコーンゴム等で形成さ、離型層は、PFAチューブ等で形成されている。定着ベルト236の両端部は、定着ハウジングに回転可能に支持されている。
【0092】
定着ベルト236の中空部の下部には、ステー233が設けられている。ステー233は、定着ベルト236の幅方向Xの長さよりも長く、上面が開口したチャンネル状(断面U字形状)の部材であり、ステー233の両端部が定着ハウジングに支持されている。ステー233には、幅方向Xに所定の間隔を開けて3つの位置決め孔239が形成されている。この位置決め孔239にニップ形成部材240のパッド部材234の位置決めピン234bが嵌まり込んで、ニップ形成部材240がステー233に位置決めされる。ステー233の上面には、リフレクタ232が支持されている。
【0093】
ヒータ231(例えばハロゲンヒータ)は、定着ベルト236の回転軸方向に沿う長さと同等の長さを有している。ヒータ231は、定着ベルト236の中空部の上部(ステー233の上方)に配置され、両端部が定着ハウジングに支持されている。
【0094】
ヒータ231は、定着ベルト236の内周面(主に上側の半周よりもやや狭い部分)に輻射熱を放射し、定着ベルト236を加熱する。ヒータ231から下方に放射された輻射熱は、リフレクタ232によって定着ベルト236の内周面に反射される。ヒータ231は制御部により制御される。
【0095】
加圧ローラ237は、芯金と、芯金の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層と、を有している。弾性層は、シリコーンゴム等で形成される。離型層は、PFAチューブ等で形成される。
【0096】
加圧ローラ237は、定着ベルト236に対向配置されて、定着ハウジングに支持されている。加圧ローラ237は、定着ベルト236の外周面に接触して、加圧ローラ237と定着ベルト236との間にニップ部Nを形成する。加圧ローラ237は、例えば制御部により制御されるモータに接続して回転駆動される。加圧ローラ237が図16の反時計回り方向に回転すると、定着ベルト236は、加圧ローラ237に従動して加圧ローラ237の回転方向とは反対の時計回り方向に回転する。この結果、シートPがニップ部Nを通過する。
【0097】
ニップ形成部材240のパッド部材234は、定着ベルト236の幅方向Xに長い扁平な略直方体状の部材であり、例えば金属材料や樹脂材料で形成されている。パッド部材234を形成する樹脂材料としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、PAI(ポリアミドイミド)などのスーパーエンプラを用いることができる。パッド部材234のステー233に対向する面には、複数個(18個)の突起234aと、複数本(7本)の固定ピン234cと、複数本(3本)の位置決めピン234bと、が所定の位置に立設されている。
【0098】
摺動シート238は、パッド部材234の幅と等しい幅で、パッド部材234に一周巻き付け可能な長さを有するシート状の部材であり、一例として、PTFE繊維とPPS繊維を編み込んで形成されている。
【0099】
摺動シート238は、両端部がパッド部材234のステー233に対向する面のシート搬送方向中央に位置するように、パッド部材234に一周巻き付けられている。摺動シート238のステー233に対向する面に巻き付けられる箇所には、パッド部材234の突起234aが貫通する貫通孔238aが設けられている。また、摺動シート238は、両端部を組み合わせて形成される固定ピン234cが嵌まる固定孔238bと、位置決めピン234bが嵌まる位置決め孔238cとが設けられている。
【0100】
摺動シート238に潤滑剤(オイル、グリース)を含浸させ、摺動シート238により、定着ベルト236の内周面に潤滑剤を塗布するようにしてもよい。
【0101】
かかる構成の変形例の定着装置32は、図2に示した本実施形態の定着装置32と同様の動作により、トナー像をシートPに定着することができる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、二成分現像ユニットのトナー濃度を検知する磁気センサ等のトナー濃度センサを保持するセンサ保持部材、感光体や中間転写ベルトなどの像担持体に形成したトナー像のトナー付着量を検知する光学センサ等の付着量検知センサを保持するセンサ保持部材に本発明を適用することができる。
【0103】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
温度検知センサ123a,123bなどのセンサを保持するスナップフィット部144を備えたセンサ保持部材などのホルダ140において、センサを保持するスナップフィット部144は、一つであり、センサから延びるハーネス126を規制するハーネス規制部147などの規制部を有し、規制部は、ハーネス126を規制する規制力で、センサがスナップフィット部144へ押し込まれるようにハーネス126を規制する。
特許文献1に記載のように、ハーネスのセンサからの延び出し方向に直交する方向におけるセンサの一端側と他端側とをそれぞれスナップフィット部により保持される構成の場合、センサの交換時、ハーネスの延び出し方向と直交する方向に2つのスナップフィット部を同時に拡げながら、センサをセンサ保持部材から取り外す必要があり、センサの交換作業が困難となる。
一方、態様1では、センサは、一つのスナップフィット部により保持されているため、一つのスナップフィット部を拡げるだけで、センサをセンサ保持部材から取り外すことができる。これにより、特許文献1に記載の構成に比べて、センサの交換作業性を高めることができる。
一つのスナップフィット部でセンサを保持する構成は、2つのスナップフィット部でセンサを保持する場合に比べて、センサがスナップフィット部から離間する方向にガタつくなどして、センサがスナップフィット部の爪部と対向しなくなるおそれがあり、センサ保持部材から脱落しやすいという課題がある。
しかし、態様1では、規制部のハーネスを規制する規制力で、センサをスナップフィット部へ押し込むので、センサがスナップフィット部から離間する方向にガタつくのを抑制することができる。これにより、センサがスナップフィット部の爪部としっかりと係合させることができ、センサのセンサ保持部材からの脱落を良好に抑制することができる。
また、規制部のハーネスを規制する規制力で、センサをスナップフィット部へ押し込むには、規制部はハーネスのセンサから離れた箇所を、ハーネスのコシによりハーネスのセンサからの延び出し方向に直交する方向において、スナップフィット部側と反対側に移動しないようにハーネスを規制すればよい。このように規制部は、ハーネスをいずれの方向にも移動しないように拘束しておく必要がないため、容易にハーネスを規制部から取り外すことができる。また、ハーネスの規制部の規制を解除した後、一つのスナップフィット部を拡げて、センサをセンサ保持部材から取り外すことができる。このように、スナップフィット部の拡径と、規制部の規制解除とを同時に行わずとも、センサをセンサ保持部材から取り外すことが可能である。よって、2つのスナップフィット部を同時に拡げながら、センサをセンサ保持部材から取り外す必要がある、特許文献1に比べてセンサを容易に交換することができる。
【0104】
(態様2)
態様1において、スナップフィット部144は、ハーネス126の温度検知センサ123a,123bなどのセンサからの延び出し方向(ホルダおよびセンサ基板の長手方向)に直交する方向(ホルダおよびセンサ基板の短手方向)におけるセンサの一端側を保持しており、ハーネス規制部147などの規制部は、延び出し方向に直交する方向においてスナップフィット部側とは反対側からセンサとの接続箇所から所定距離離れたハーネスの箇所に当接し、延び出し方向に直交する方向においてハーネスのコシによりスナップフィット部側とは反対側へのハーネスの移動を規制する。
これによれば、実施形態で説明したように、ハーネス規制部147などの規制部のハーネスを規制する規制力を、ハーネスを介してセンサに作用させることができ、規制力でセンサをスナップフィット部144へ押し込むことができる。
【0105】
(態様3)
態様2において、温度検知センサ123a,123bなどのセンサから複数のハーネス126が、延び出し方向に直交する方向に所定の間隔を開けて延び出しており、ハーネス規制部147などの規制部のハーネス126との当接箇所(ハーネス規制部147のスナップフィット側端部)は、延び出し方向に直交する方向において、複数のハーネス126のうち最もスナップフィット部側でセンサに接続されているハーネスのセンサとの接続箇所と、複数のハーネスのうち最もスナップフィット部から離れた側でセンサに接続されているハーネスのセンサとの接続箇所との間の中央よりもスナップフィット部側に位置する。
これによれば、実施形態で説明したように、少なくとも最もスナップフィット部から離れた側でセンサに接続されているハーネスのセンサ付近をハーネス規制部147等の規制部により、スナップフィット部側に曲げることができる。これにより、ハーネス126に復元力の反力が規制力となり、センサをスナップフィット部側に押し込むことができる。
【0106】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、ハーネス規制部147などの規制部は、ボス形状である。
これによれば、図12を用いて説明したように、ハーネス規制部147などの規制部が壁形状の場合に比べて、ホルダ140などのセンサ保持部材を形成する樹脂材量の低減を図ることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0107】
(態様5)
態様1乃至3いずれかにおいて、ハーネス規制部147などの規制部は、壁形状である。
これによれば、実施形態で説明したように、規制部は、ボス形状である場合に比べて、ハーネスの誤這い回しを防止できる。
【0108】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、スナップフィット部144は、温度検知センサなどのセンサが保持された状態でセンサの側面に対向する対向面部144bなどの対向面を有し、スナップフィット部144の対向面が、ホルダ140などの当該センサ保持部材の他方の内壁面140cなどのスナップフィット部側の側壁面よりもセンサから離れている。
これによれば、実施形態で説明したように、温度検知センサなどのセンサを、ハーネス規制部147などの規制部の規制力でスナップフィット部側に押し込んだときに、深くスナップフィット部144の爪部144aにセンサを食い込ませることができ、センサの脱落を良好に抑制することができる。
【0109】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、ハーネス126を、温度検知センサなどのセンサのホルダ140などの当該センサ保持部材へのセット方向とは反対方向に規制する第二ハーネス規制部148などの第二規制部を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、ハーネス126の先端がサブ用温度検知センサ123bのセット方向と逆方向に引っ張られたときに、第二ハーネス規制部148などの第二規制部がストッパとなり、ハーネス126を介して温度検知センサなどのセンサにセンサセット方向とは逆方向に力が加わるのを抑制できる。これにより、センサの脱落を抑制することができる。
【0110】
(態様8)
態様7において、セット方向から見たとき、第二ハーネス規制部148などの第二規制部がハーネス規制部147などの規制部にオーバーラップしている。
これによれば、図13図15を用いて説明したように、ハーネス126は、ハーネス規制部147などの規制部を回り込むようにして、第二ハーネス規制部148などの第二規制部に這い回される。これにより、ハーネス126の先端が引っ張られたときに、ハーネス126のセンサ付近の這い回しが変更されるのを抑制することができる。よって、規制部でしっかりとハーネス126を規制することができ、規制部の規制が外れるのを良好に抑制することができる。
【0111】
(態様9)
定着装置32などのユニットは、態様1乃至8いずれかのホルダ140などのセンサ保持部材を備えた。
これによれば、センサの交換を容易に行うことができ、かつ、センサの脱落を抑制することができる。
【0112】
(態様10)
態様9において、定着装置32などの当該ユニットの正しい設置状態において、スナップフィット部144の爪部144aが、温度検知センサなどのセンサよりも下方に位置し、かつ、水平面とセンサの基板面とのなす角度が、60°以下である。
これによれば、実施形態で説明したように、正しい設置状態でセンサの自重でホルダ140からセンサが脱落しやすい場合でも、良好にセンサの脱落を抑制することができる。
【0113】
(態様11)
態様9または10において、ホルダ140などのセンサ保持部材に保持された温度検知センサなどのセンサは、定着装置32などのユニットの外部に露出している。
これによれば、実施形態で説明したように、完成状態で温度検知センサなどのセンサが正しく組み付けられているか否かを目視で確認することができる。また、外側からセンサの取り付け、取り外しを行うことができる。これにより、容易にセンサの交換を行うことができ、交換作業性を高めることができる。
【0114】
(態様12)
態様9乃至11いずれかにおいて、定着ベルト61などの定着部材と、定着部材を加圧して定着ニップを形成する加圧ローラ62などの加圧部材と、定着部材を加熱するヒータなどの熱源とを有し、シートの画像をシートに定着させる。
【0115】
(態様13)
画像形成装置は、態様1乃至8いずれかのセンサ保持部材または態様9乃至12いずれかのユニットを有する。
【符号の説明】
【0116】
32 :定着装置
61 :定着ベルト
62 :加圧ローラ
63a :メインヒータ
63b :サブヒータ
64 :ニップ形成部材
65 :ステー
66 :反射部材
67 :温度検知センサ
100 :画像形成装置
120 :安全装置
121a :メイン用サーモスタット
121b :サブ用サーモスタット
122a :第二メイン用保護部
122b :第二サブ用保護部
123a :メイン用温度検知センサ
123b :サブ用温度検知センサ
123b1 :検知部
123b2 :センサ基板
124 :制御部
125a :リレースイッチ
125b :リレースイッチ
126 :ハーネス
140 :ホルダ(センサ保持部材)
140a :底部
140b :内壁面
140c :内壁面
141 :貫通孔部
142 :位置決め突起
143 :保持部
143b2 :センサ基板
144 :スナップフィット部
144a :爪部
144b :対向面部
145 :位置決め突起
146 :位置決め壁部
147 :ハーネス規制部(規制部)
148 :第二ハーネス規制部(第二規制部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特開2020-51774号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17