(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108638
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理装置の作動方法及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20240805BHJP
【FI】
G16H15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013097
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 晶路
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】読影レポートに記載された所見情報と電子カルテに記載された診療情報とを相互に有効に活用することができる医用情報処理装置、医用情報処理装置の作動方法及び医用情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】プロセッサと、プロセッサに実行させるプログラムを記憶する1以上のメモリと、を備える医用情報処理装置である。プロセッサは、同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得し、読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、1以上の第1病変情報と、複数の第2病変情報のうち1以上の第1病変情報と同一の病変を示す第2病変情報とを対応づけし、対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐付ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、前記プロセッサに実行させるプログラムを記憶する1以上のメモリと、を備え、
前記プロセッサは、
同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得し、
前記読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、
前記電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、
前記1以上の第1病変情報と、前記複数の第2病変情報のうち前記1以上の第1病変情報と同一の病変を示す前記第2病変情報とを対応づけし、
前記読影レポートの前記所見情報のうち前記対応づけした前記第1病変情報に関連する第1記述部分と、前記電子カルテの前記診療情報のうち前記対応づけした前記第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐付ける、
医用情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記紐付けた前記読影レポートの前記第1記述部分と前記電子カルテの第2記述部分とを関連付けて前記メモリに記憶させる、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記読影レポートをディスプレイに表示させ、
前記第1記述部分の入力を受け付けると、前記第1記述部分に対して紐付けられた前記電子カルテの前記第2記述部分を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記電子カルテをディスプレイに表示させ、
前記第2記述部分の入力を受け付けると、前記第2記述部分に対して紐付けられた前記読影レポートの前記第1記述部分を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記読影レポートに記載された所見情報を自然言語処理することにより前記1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワードを抽出し、
前記1以上の第1キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成し、
前記1以上の第1構造化情報に基づいて前記1以上の第1病変情報に対応する1以上の第1記述範囲を決定し、
前記電子カルテに記載された前記診療情報を自然言語処理することにより前記複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、
前記複数の第3キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成し、
前記複数の第2構造化情報に基づいて前記診療情報のうち前記複数の第2病変情報に対応する複数の第2記述範囲を決定し、
前記1以上の第1構造化情報及び前記複数の第2構造化情報のうち同一の病変を示す前記第1構造化情報と前記第2構造化情報とを対応づけし、
前記読影レポートの前記所見情報のうち前記対応づけられた前記第1構造化情報に関連する前記第1記述範囲と、前記電子カルテの前記診療情報のうち前記対応づけられた前記第2構造化情報に関連する前記第2記述範囲とを紐付ける、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記第1構造化情報及び前記第2構造化情報は、それぞれ病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状を示す病変の属性情報のうち1以上の属性情報を含む、
請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記読影レポートに記載された所見情報を自然言語処理することにより前記1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワードを抽出し、
前記読影レポートの前記所見情報について、前記1以上の第1キーワードと関係のある第2キーワードを特定し、前記1以上の第1病変情報ごとに前記第1キーワード及び前記第2キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成し、
前記電子カルテに記載された前記診療情報を自然言語処理することにより前記複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、
前記電子カルテの前記診療情報について、前記複数の第3キーワードと関係のある第4キーワードを特定し、前記複数の第2病変情報ごとに前記第3キーワード及び前記第4キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成し、
前記1以上の第1構造化情報と前記複数の第2構造化情報とに基づいて、前記所見情報のうち前記第1記述部分と前記診療情報のうち前記第2記述部分とを紐付ける、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記第1構造化情報及び前記第2構造化情報は、それぞれ病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状を示す病変の属性情報のうち1以上の属性情報を含む、
請求項7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記読影レポートの作成の際に参照された医用画像を取得し、
前記医用画像中から病変を検出し、検出された病変のタイプと位置に関する情報を特定し、
前記特定した前記病変のタイプと位置に関する情報に基づいて前記読影レポートの前記病変に関する所見情報と、前記電子カルテの前記病変に関する診療情報と、前記医用画像中の病変とを紐付ける、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記医用画像をディスプレイに表示させ、
前記医用画像中の前記病変を示す入力を受け付けると、前記病変に紐付けた前記所見情報、及び前記診療情報を強調表示する、
請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサと、前記プロセッサに実行させるプログラムを記憶する1以上のメモリと、を備えた医用情報処理装置の作動方法であって、
前記プロセッサは、
同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得し、
前記読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、
前記電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、
前記1以上の第1病変情報と、前記複数の第2病変情報のうち前記1以上の第1病変情報と同一の病変を示す前記第2病変情報とを対応づけし、
前記読影レポートの前記所見情報のうち前記対応づけした前記第1病変情報に関連する第1記述部分と、前記電子カルテの前記診療情報のうち前記対応づけした前記第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐付ける、
医用情報処理装置の作動方法。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記紐付けた前記読影レポートの前記第1記述部分と前記電子カルテの第2記述部分とを関連付けて前記メモリに記憶させる、
請求項11に記載の医用情報処理装置の作動方法。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記読影レポートをディスプレイに表示させ、
前記第1記述部分の入力を受け付けると、前記第1記述部分に対して紐付けられた前記電子カルテの前記第2記述部分を前記ディスプレイに表示させる、
請求項11に記載の医用情報処理装置の作動方法。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記電子カルテをディスプレイに表示させ、
前記第2記述部分の入力を受け付けると、前記第2記述部分に対して紐付けられた前記読影レポートの前記第1記述部分を前記ディスプレイに表示させる、
請求項11に記載の医用情報処理装置の作動方法。
【請求項15】
同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得させる機能と、
前記読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出させる機能と、
前記電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出させる機能と、
前記1以上の第1病変情報と、前記複数の第2病変情報のうち前記1以上の第1病変情報と同一の病変を示す前記第2病変情報とを対応づける機能と、
前記読影レポートの前記所見情報のうち前記対応づけした前記第1病変情報に関連する第1記述部分と、前記電子カルテの前記診療情報のうち前記対応づけした前記第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐付ける機能と、
をコンピュータに実現させる医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用情報処理装置、医用情報処理装置の作動方法及び医用情報処理プログラムに係り、特に読影レポートと電子カルテの医用情報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線科医は、医用画像の他に過去の読影レポート、電子カルテ中の診療情報(臨床所見、治療歴、病理検査結果等)を参考にして読影レポートを作成し、主治医は、読影レポート及び電子カルテ中の診療情報の双方を比較し、治療方針を決定する場合がある。
【0003】
しかしながら、放射線科医は、読影レポートの作成に参考にする電子カルテ中の診療情報を探すのに手間がかかり、主治医は、読影レポートから参考になる所見を探すのに手間がかかり、それぞれ画像診断時及び治療方針の決定時の負担となっている。
【0004】
特許文献1には、ディープラーニング等の機械学習に使用される学習用データを収集する医用情報収集装置が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の医用情報収集装置は、診療内容の経歴を示す入力を受け付けると、診療内容の記録を示す電子カルテ情報を患者ごとに管理するデータベースから、入力を受け付けた経歴に適合する電子カルテ情報を取得し、取得した電子カルテ情報に関連づけられた読影レポートで特定される医用画像を収集する。
【0006】
また、特許文献2には、医療従事者に対して読影レポートの内容の確認を促す病院情報システムが記載されている。
【0007】
特許文献2に記載の病院情報システムは、患者を検査した際に作成される読影レポートに含まれる検査情報及び所見を検査結果番号に関連づけてデータベースに登録し、医療従事者から読影レポートの情報の表示要求を受け付けると、表示要求に対応する検査情報と所見とをデータベースから検索、取得する。そして、取得した所見に予め定められたキーワードが含まれるか否かを判定し、キーワードが含まれている場合には、表示の対象となる所見及び検査情報とともに、キーワードに関係する警告を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-154630号公報
【特許文献2】特開2019-020929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1には、読影レポートと電子カルテ情報との関連づけに関する記載があるが、読影レポートの所見の記述と診療内容を示す電子カルテ情報の記述とを紐づけることについては開示されていない。
【0010】
また、特許文献2には、電子カルテの画面から患者単位で紐づいている読影レポートの表示要求を行う記載があるが、読影レポートの所見の記述と電子カルテに記載の診療情報の記述とを紐づけることについては開示されていない。
【0011】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、読影レポートに記載された所見情報と電子カルテに記載された診療情報とを相互に活用することができる医用情報処理装置、医用情報処理装置の作動方法及び医用情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1態様に係る発明は、プロセッサと、プロセッサに実行させるプログラムを記憶する1以上のメモリと、を備え、プロセッサは、同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得し、読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、1以上の第1病変情報と、複数の第2病変情報のうち1以上の第1病変情報と同一の病変を示す第2病変情報とを対応づけし、読影レポートの所見情報のうち対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、電子カルテの診療情報のうち対応づけした第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐づける、医用情報処理装置である。
【0013】
本発明の第1態様によれば、読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、一方、同一の患者に対して作成された電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、同一の病変を示す第1病変情報と第2病変情報とを対応づける。そして、読影レポートの所見情報のうち対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、電子カルテの診療情報のうち対応づけした第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐づける。紐づけられた読影レポートの第1記述部分と電子カルテの診療情報の第2記述部分とは、同一の病変に関連する記述部分であり、放射線科医は、読影レポートの作成に参考になる電子カルテの診療情報中の記述部分(第2記述部分)を容易に取得することができ、また、主治医は、診療情報の作成、及び診断、治療方針の決定に参考になる読影レポートの所見情報中の記述部分(第1記述部分)を容易に取得することができる。
【0014】
本発明の第2態様に係る医用情報処理装置は、第1態様において、プロセッサは、紐づけた読影レポートの第1記述部分と電子カルテの第2記述部分とを関連づけてメモリに記憶させることが好ましい。これにより、メモリにより読影レポートの第1記述部分と電子カルテの第2記述部分とを紐づけて管理することができる。
【0015】
本発明の第3態様に係る医用情報処理装置は、第1態様又は第2態様において、プロセッサは、読影レポートをディスプレイに表示させ、第1記述部分の入力を受け付けると、第1記述部分に対して紐づけられた電子カルテの第2記述部分をディスプレイに表示させることが好ましい。これにより、新規の読影レポートを作成する場合、同一患者の過去の読影レポートの第1記述部分に紐づけられた電子カルテの第2記述部分を参考にすることができる。
【0016】
本発明の第4態様に係る医用情報処理装置は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、プロセッサは、電子カルテをディスプレイに表示させ、第2記述部分の入力を受け付けると、第2記述部分に対して紐づけられた読影レポートの第1記述部分をディスプレイに表示させることが好ましい。これにより、電子カルテに診療情報を追記したり、診断、治療方針を決定する場合に、同一患者の電子カルテの第2記述部分に紐づけられた読影レポートの第1記述部分を参考にすることができる。
【0017】
本発明の第5態様に係る医用情報処理装置は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、プロセッサは、読影レポートに記載された所見情報を自然言語処理することにより1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワードを抽出し、1以上の第1キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成し、1以上の第1構造化情報に基づいて1以上の第1病変情報に対応する1以上の第1記述範囲を決定し、電子カルテに記載された診療情報を自然言語処理することにより複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、複数の第3キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成し、複数の第2構造化情報に基づいて診療情報のうち複数の第2病変情報に対応する複数の第2記述範囲を決定し、1以上の第1構造化情報及び複数の第2構造化情報のうち同一の病変を示す第1構造化情報と第2構造化情報とを対応づけし、読影レポートの所見情報のうち対応づけられた第1構造化情報に関連する第1記述範囲と、電子カルテの診療情報のうち対応づけられた第2構造化情報に関連する第2記述範囲とを紐づけることが好ましい。
【0018】
本発明の第5態様によれば、読影レポートに記載された所見情報及び電子カルテに記載された診療情報をそれぞれ自然言語処理することにより1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワード及び複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、1以上の第1キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報、及び複数の第3キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成する。生成した1以上の第1構造化情報及び複数の第2構造化情報のうち同一の病変を示す第1構造化情報と第2構造化情報とを対応づけし、読影レポートの所見情報のうち対応づけられた第1構造化情報に関連する第1記述範囲と、電子カルテの診療情報のうち対応づけられた第2構造化情報に関連する第2記述範囲とを紐づける。尚、第1記述範囲及び第2記述範囲は、それぞれ第1記述部分及び第2記述部分を含めることができる。
【0019】
本発明の第6態様に係る医用情報処理装置は、第5態様において、第1構造化情報及び第2構造化情報は、それぞれ病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状を示す病変の属性情報のうち1以上の属性情報を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の第7態様に係る医用情報処理装置は、第1態様から第6態様のいずれかにおいて、プロセッサは、読影レポートに記載された所見情報を自然言語処理することにより1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワードを抽出し、読影レポートの所見情報について、1以上の第1キーワードと関係のある第2キーワードを特定し、1以上の第1病変情報ごとに第1キーワード及び第2キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成し、電子カルテに記載された診療情報を自然言語処理することにより複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、電子カルテの診療情報について、複数の第3キーワードと関係のある第4キーワードを特定し、複数の第2病変情報ごとに第3キーワード及び第4キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成し、1以上の第1構造化情報と複数の第2構造化情報とに基づいて、所見情報のうち第1記述部分と診療情報のうち第2記述部分とを紐づけることが好ましい。
【0021】
本発明の第7態様によれば、第1構造化情報及び第2構造化情報は、それぞれ第1病変情報を示す第1キーワード、及び第2病変情報を示す第3キーワードのみに限らず、第1キーワードと関係のある第2キーワード、及び第3キーワードと関係のある第4キーワードにより構造化され、構造化された1以上の第1構造化情報と複数の第2構造化情報とに基づいて、所見情報のうち第1記述部分と診療情報のうち第2記述部分とを紐づける。
【0022】
本発明の第8態様に係る医用情報処理装置は、第7態様において、第1構造化情報及び第2構造化情報は、それぞれ病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状を示す病変の属性情報のうち1以上の属性情報を含むことが好ましい。
【0023】
本発明の第9態様に係る医用情報処理装置は、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、プロセッサは、読影レポートの作成の際に参照された医用画像を取得し、医用画像中から病変を検出し、検出された病変のタイプと位置に関する情報を特定し、特定した病変のタイプと位置に関する情報に基づいて読影レポートの病変に関する所見情報と、電子カルテの病変に関する診療情報と、医用画像中の病変とを紐づけることが好ましい。
【0024】
本発明の第10態様に係る医用情報処理装置は、第9態様において、プロセッサは、医用画像をディスプレイに表示させ、医用画像中の病変を示す入力を受け付けると、病変に紐づけた所見情報、及び診療情報を強調表示することが好ましい。
【0025】
第11態様に係る発明は、プロセッサと、プロセッサに実行させるプログラムを記憶する1以上のメモリと、を備えた医用情報処理装置の作動方法であって、プロセッサは、同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得し、読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し、電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出し、1以上の第1病変情報と、複数の第2病変情報のうち1以上の第1病変情報と同一の病変を示す第2病変情報とを対応づけし、読影レポートの所見情報のうち対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、電子カルテの診療情報のうち対応づけした第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐づける、医用情報処理装置の作動方法である。
【0026】
本発明の第12態様に係る医用情報処理装置の作動方法は、第11態様において、プロセッサは、紐づけた読影レポートの第1記述部分と電子カルテの第2記述部分とを関連づけてメモリに記憶させることが好ましい。
【0027】
本発明の第13態様に係る医用情報処理装置の作動方法は、第11態様又は第12態様において、プロセッサは、読影レポートをディスプレイに表示させ、第1記述部分の入力を受け付けると、第1記述部分に対して紐づけられた電子カルテの第2記述部分をディスプレイに表示させることが好ましい。
【0028】
本発明の第14態様に係る医用情報処理装置の作動方法は、第11態様から第13態様のいずれかにおいて、プロセッサは、電子カルテをディスプレイに表示させ、第2記述部分の入力を受け付けると、第2記述部分に対して紐づけられた読影レポートの第1記述部分をディスプレイに表示させることが好ましい。
【0029】
第15態様に係る発明は、同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得させる機能と、読影レポートに記載された所見情報から1以上の第1病変情報を抽出させる機能と、電子カルテに記載された診療情報から複数の第2病変情報を抽出させる機能と、1以上の第1病変情報と、複数の第2病変情報のうち1以上の第1病変情報と同一の病変を示す第2病変情報とを対応づける機能と、読影レポートの所見情報のうち対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、電子カルテの診療情報のうち対応づけした第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐づける機能と、をコンピュータに実現させる医用情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、それぞれ同一の病変に関する読影レポートに記載された所見情報の第1記述部分と、電子カルテに記載された診療情報の第2記述部分とを紐づけることにより、所望の記述部分を容易に確認することができ、読影レポートに記載された所見情報と電子カルテに記載された診療情報とを相互に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係る医用情報処理装置を含む電子カルテシステムのハードウェア構成の実施形態を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、診療科端末のディスプレイに表示される電子カルテの画面イメージの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、放射線科端末のディスプレイに表示される読影レポートの画面イメージの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る医用情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る医用情報処理装置による処理内容の概要を示す図である。
【
図6】
図6は、医用情報処理装置の第1実施形態を示す図であり、特に電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報とを示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報のうち病変情報に対応する記述範囲を点線で示した図である。
【
図8】
図8は、医用情報処理装置の第1実施形態を示す図であり、特に電子カルテの診療情報の記述範囲、及び読影レポートの所見情報の記述範囲から抽出した病変に関する属性情報を示す図である。
【
図9】
図9は、医用情報処理装置の第1実施形態を示す図であり、特に相互に紐づけられる電子カルテの診療情報の記述範囲と読影レポートの所見情報の記述範囲とを示す概念図である。
【
図10】
図10は、医用情報処理装置の第2実施形態の要部の処理を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る医用情報処理装置の作動方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、放射線科医が読影レポートの作成時に電子カルテの診療情報を利用する実施形態を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、診療医が読影レポートの所見情報を利用する実施形態を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、同一の患者の病名ごとの診療記録、病理検査、読影レポート、及び投薬記録の有無を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に従って本発明に係る医用情報処理装置、医用情報処理装置の作動方法及び医用情報処理プログラムの好ましい実施形態について説明する。
【0033】
[電子カルテシステムのハードウェア構成]
図1は、本発明に係る医用情報処理装置を含む電子カルテシステムのハードウェア構成の実施形態を示すブロック図である。
【0034】
図1に示す電子カルテシステム1は、例えば、放射線科を含む総合病院等に適用されるシステムであり、医用情報処理装置100と、放射線科を除く他の診療科の診療科端末200A、放射線科端末200Bを含む複数の端末200と、電子カルテ管理装置300と、読影レポート管理装置400と、画像サーバ500と、CT(Computed Tomography)装置600A、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置600B、及びX線撮影装置600C等の各種のモダリティ600とが、LAN(Local area network)等のネットワーク700を介して相互に接続されて構成されている。
【0035】
また、本例では、電子カルテ管理装置300は電子カルテDB(data base)300Aを備え、読影レポート管理装置400は読影レポートDB400Aを備え、画像サーバ500は、画像DB500Aを備えている。尚、電子カルテDB300A、読影レポートDB400A、及び画像DB500Aの一部又は全部は、ネットワーク700を通じてアクセス可能な外部のデータセンタ等に設け、電子カルテシステムをクラウド型としてもよい。
【0036】
医用情報処理装置100は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等により構成することができる。本例の医用情報処理装置100は、複数の端末200とは別に設けられているが、複数の端末200の一部又は全部が、医用情報処理装置100の機能を備えていてもよい。
【0037】
診療科端末200Aは、コンピュータ本体の他に、各種の表示を行うディスプレイ、及びキーボード、マウス等の操作部とからなるユーザインターフェースを備え、診療医(主治医)がユーザインターフェースを使用して患者の診察、検査、治療(投薬など)の履歴等の診療情報を電子カルテとして記録する電子カルテ作成機能、読影レポートDB400Aで管理されている放射線科医が作成した読影レポートを、読影レポート管理装置400を通じて読み出して参照する機能、及び検査のオーダー情報を作成して放射線科のオーダシステム(図示せず)に送信する検査オーダー機能等が組み込まれている。
【0038】
これらの機能は、診療科端末200Aのプロセッサが、予めインストールされているプログラムを実行することにより実現される。
【0039】
図2は、診療科端末のディスプレイに表示される電子カルテの画面イメージの一例を示す図である。
【0040】
診療科端末200Aのディスプレイに表示される電子カルテの画面310には、
図2に示すように患者の氏名、青年月日、年齢、性別、連絡先などを表示する基本情報フィールド311、受診日ごとの受診歴を表示する受診歴フィールド312、本日の診療情報が入力される本日カルテ&入力フィールド313、過去の診療情報等を表示する過去カルテフィールド314、及びメニューフィールド315等が設けられている。尚、受診歴フィールド312及び過去カルテフィールド314は、それぞれ受診歴、及び過去の診療情報等をスクロール表示できるように構成されている。
【0041】
診療医は、診療科端末200Aのユーザインターフェースを使用して、本日カルテ&入力フィールド313に本日の患者の診療情報を入力する。また、診療医は、必要に応じて放射線科医が作成した読影レポートを画面310にポップアップ表示させ、又は画面を切り替えて表示させ、あるいは読影レポートの診察対象となった医用画像を表示させ、患者の診察又は診療情報の入力の参考に使用することができる。
【0042】
電子カルテの本日の診療情報の入力が終了すると、その電子カルテに対応する患者の電子カルテを更新すべく、診療科端末200Aは、ネットワーク700を介して本日の診療情報等を電子カルテ管理装置300に転送し、その診療情報等の電子カルテDB300Aへの登録を要求する。電子カルテ管理装置300は、診療情報等の登録要求を受け付けると、その診療情報等を更新した電子カルテを電子カルテDB300Aに登録する。
【0043】
放射線科端末200Bは、診療科端末200Aと同様にコンピュータ本体の他に、各種の表示を行うディスプレイと、キーボード、マウス等の操作部とからなるユーザインターフェースを備え、放射線科医による操作部での入力に応じて、画像サーバ500に対して読影対象の医用画像の閲覧を要求し、画像サーバ500から受信した医用画像をディスプレイに表示させ、読影レポート管理装置400に対して作成した読影レポートの登録を要求し、読影レポート管理装置400から受信した読影レポートをディスプレイに表示させる、各種の機能を備えている。
【0044】
放射線科医は、放射線科端末200Bのディスプレイに表示させた読影対象の医用画像を読影し、ユーザインターフェースを使用して読影レポートを作成する。また、放射線科医は、読影レポートを作成する際に、放射線科端末200Bが備えている、医用画像中の病変候補領域の自動検出及び強調表示する支援機能を使用し、あるいは読影レポートのオーダー対象の患者の電子カルテの診療情報等をディスプレイに表示させて参照することができる。
【0045】
放射線科端末200Bの上記の各機能は、放射線科端末200Bのプロセッサが、予めインストールされているプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
図3は、放射線科端末のディスプレイに表示される読影レポートの画面イメージの一例を示す図である。
【0047】
放射線科端末200Bのディスプレイに表示される読影レポートの画面410は、
図3に示すように患者ID(identification)、検査ID,検査日等の読影対象の医用画像に付属する付属情報を表示する付属情報フィールド410A、所見を表示する所見フィールド410B、読影対象の医用画像の縮小画像412を表示する画像フィード410C等が設けられている。縮小画像412には、元画像である医用画像へのリンク情報を貼り付けることができ、放射線科端末200Bは、縮小画像412がクリックされると、医用画像をディスプレイの画面にポップアップ表示し、あるいは読影レポートと医用画像とを2画面に分割表示することができる。
【0048】
放射線科医は、放射線科端末200Bのユーザインターフェースを使用して、医用画像を読影した放射線科医の所見を示す文字情報(所見情報)を、所見フィールド410Bに入力する。
【0049】
図3に示す読影レポートの例では、読影対象の医用画像は、胸部のCT画像であり、所見情報は、胸部のCT画像から読影した病変のタイプ、位置、サイズ等を示す病変の属性情報を含んでいる。胸部のCT画像は、CT装置600Aにより体軸方向に位置を変えながら胸部を輪切りに撮影した画像である。
【0050】
上記の診療科端末200A及び放射線科端末200Bの機能は、既存の端末も備えている機能である。
[医用情報処理装置]
図4は、本発明に係る医用情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0051】
図4に示す医用情報処理装置100は、
図1に示した電子カルテシステム1を構成するもので、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等により構成され、プロセッサ110、メモリ120、入出力インターフェース130、ディスプレイ140、及び操作部150等を備える。
【0052】
プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、医用情報処理装置100の各部を統括制御するとともに、メモリ120に記憶された医用情報処理プログラムを実行することで、後述する各種の機能を実現させる。
【0053】
メモリ120は、フラッシュメモリ、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク装置等を含む1以上のメモリである。フラッシュメモリ、ROM及びハードディスク装置は、オペレーションシステム、及び本発明に係る医用情報処理プログラムを含む各種のプログラム等を記憶する不揮発性メモリである。
【0054】
RAMは、プロセッサ110による処理の作業領域として機能し、また、不揮発性メモリに格納された医用情報処理プログラム、及び電子カルテDB300A及び読影レポートDB400Aからそれぞれ取得した(読み出した)同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテ等を一時的に記憶する。尚、プロセッサ110が、メモリ120の一部(RAM)を内蔵していてもよい。
【0055】
入出力インターフェース130は、ネットワーク700と接続可能な通信部、及び外部機器と接続可能な接続部等を含む。外部機器と接続可能な接続部としては、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(HDMIは登録商標)等を適用することができる。
【0056】
プロセッサ110は、入出力インターフェース130及びネットワーク700を介して電子カルテ管理装置300及び読影レポート管理装置400との間で通信し、電子カルテDB300A及び読影レポートDB400Aから同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテを取得する他、メモリ120に記憶させる医用情報処理プログラムを、その医用情報処理プログラムを提供する図示しないインターネット上のサーバから取得することができる。
【0057】
ディスプレイ140は、医用情報処理装置100が、診療科端末200A、あるいは放射線科端末200Bとして兼用される場合、前述したように診療科端末200A、放射線科端末200Bのディスプレイとして機能し、また、ディスプレイ140及び操作部150は、診療科端末200A、放射線科端末200Bのユーザインターフェースとして機能する。
【0058】
また、医用情報処理装置100は、後述するように同一の病変に関する読影レポートに記載された所見情報の記述部分(第1記述部分)と、電子カルテに記載された診療情報の記述部分(第2記述部分)とを紐づける機能を備えるが、ディスプレイ140及び操作部150は、ユーザ(医師)が所見情報の第1記述部分と診療情報の第2記述部分とを紐づける場合のユーザインターフェースとして使用することができる。
【0059】
尚、最小限の機能を備えた医用情報処理装置100の場合、ディスプレイ140及び操作部150は省略することができる。
【0060】
[医用情報処理装置の概要]
図5は、本発明に係る医用情報処理装置による処理内容の概要を示す図である。
【0061】
医用情報処理装置100は、同一の患者の電子カルテと読影レポートを取得する(
図5(A))。
【0062】
電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報とを病変ごと整理(構造化)し、整理した情報間の関係性(同一病変に関する記述か)を判定し、同一病変に関する記述同士を紐づけて管理する(
図5(B))。
【0063】
また、別途、読影レポートの読影対象となった医用画像も紐づけるようにしてもよい(
図5(C))。
【0064】
同一病変に関して紐づけた記述同士のうち、読影レポートの記述をクリックすると、電子カルテの診療情報の記述を表示し、電子カルテの診療情報の記述をクリックすると、読影レポートの記述を表示する。
【0065】
一般に放射線科医は、過去の読影レポート、電子カルテ中の診療情報(臨床所見、治療歴、病理検査結果等)を参考に画像診断を行い、診療医も双方を参考にして治療方針を決定するが、電子カルテ中の診療情報(診療歴、病理レポート)の記述と読影レポートの所見の記述が互いに紐づいておらず、放射線科医による画像診断時、及び診療医による資料方針決定時の負担となっている。
【0066】
本発明によれば、同一病変に関する電子カルテ中の診療情報の記述と読影レポートの所見の記述とが互いに紐づけられているため、所望の記述部分を容易に確認することができ、読影レポートに記載された所見情報と電子カルテに記載された診療情報とを相互に活用することができる。
【0067】
[医用情報処理装置の第1実施形態]
図6から
図9は、本発明に係る医用情報処理装置の第1実施形態を示す図であり、特に
図4に示したプロセッサ110の処理内容に関して示している。
【0068】
例えば、プロセッサ110は、放射線科医が放射線科端末200Bを用いて読影レポートを作成し、作成した読影レポートを、読影レポート管理装置400を通じて読影レポートDB400Aに登録する場合、その読影レポートを取得するとともに、同一の患者の電子カルテを取得する。
【0069】
図6は、電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報とを示す図であり、
図6(A1)は、電子カルテの診療情報を示し、
図6(A2)は、読影レポートの所見情報を示している。
【0070】
図6(A1)に示す電子カルテの診療情報は、過去カルテの診療情報のうち直近の複数の受診歴における診療情報とすることができる。古い過去カルテの診療情報は、新規の読影レポートの所見情報と関係しなくなるからである。
【0071】
図6(A2)に示す読影レポートの所見情報は、放射線科医が所見フィールド410Bに入力した放射線科医の所見を示す文字情報である(
図3参照)。
【0072】
プロセッサ110は、同一患者の電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報とを取得すると、読影レポートの所見情報から1以上の病変情報(第1病変情報)を抽出し、電子カルテの診療情報から複数の病変情報(第2病変情報)を抽出する。
【0073】
具体的には、プロセッサ110は、読影レポートに記載された所見情報を入力し、所見情報を自然言語処理(固有表現抽出)することにより、病変(第1病変情報)に関する1以上のキーワード(第1キーワード)を抽出し、同様に電子カルテに記載された診療情報を入力し、診療情報を自然言語処理することにより、病変(第2病変情報)に関する複数のキーワード(第3キーワード)を抽出する。
【0074】
したがって、プロセッサ110が実行する医用情報処理プログラムは、自然言語処理プログラムを含むことが好ましく、特に自然言語処理プログラムは、病変情報に関するキーワードの抽出に適したプログラムであることが好ましい。
【0075】
図6(A2)に示した読影レポートの所見情報から抽出された1以上の第1キーワードは、実線の枠で囲んだ「原発巣」と「すりガラス影」であり、1以上の第1病変情報に対応する。
【0076】
また、
図6(A1)に示した電子カルテの診療情報から抽出された複数の第3キーワードは、実線の枠で囲んだ「左上葉肺癌」と「術後の肺炎」であり、複数の第2病変情報に対応する。
【0077】
図7は、
図6に示した電子カルテの診療情報と読影レポートの所見情報のうち病変情報に対応する記述範囲を点線で示した図である。
【0078】
プロセッサ110は、抽出した1以上の第1キーワードに基づいて読影レポートの所見情報のうち、1以上の第1病変情報に対応する1以上の記述範囲(1以上の第1記述範囲)を決定し、同様に抽出した複数の第3キーワードに基づいて電子カルテの診療情報のうち、複数の第2病変情報に対応する複数の記述範囲(複数の第2記述範囲)を決定する。
【0079】
図7(A1)に示す例では、電子カルテの診療情報のうち、「左上葉肺癌」に対応する記述範囲と、「術後の肺炎」に対応する記述範囲とが決定され、2つの記述範囲が点線の枠で示されている。
【0080】
また、
図7(A2)に示す例では、読影レポートの所見情報のうち、「原発巣」に対応する第1記述範囲と、「すりガラス影」に対応する記述範囲とが決定され、2つの記述範囲が点線の枠で示されている。
【0081】
図8は、電子カルテの診療情報の記述範囲、及び読影レポートの所見情報の記述範囲から抽出した病変に関する属性情報を示す図である。
【0082】
プロセッサ110は、決定した電子カルテの診療情報の記述範囲ごとに病変に関する属性情報を抽出し、同様に決定した読影レポートの読影情報の記述範囲ごとに病変に関する属性情報を抽出する。
【0083】
ここで、病変に関する属性情報とは、病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状等を示す情報である。
【0084】
図8(B1)に示す例では、電子カルテの診療情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲から抽出された属性情報は、「部位」が「左上葉」、「タイプ」が「肺がん」であり、下段の記述範囲から抽出された属性情報は、「部位」が「記載なし」、「タイプ」が「肺炎」である。
【0085】
また、
図8(B2)に示す例では、読影レポートの所見情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲から抽出された属性情報は、「部位」が「左上葉S3」、「タイプ」が「肺がん」であり、下段の記述範囲から抽出された属性情報は、「部位」が「右肺」、「タイプ」が「すりガラス影」である。
【0086】
プロセッサ110は、電子カルテの診療情報の複数の記述範囲、及び読影レポートの所見情報の1以上の記述範囲からそれぞれ抽出した病変に関する属性情報(
図8に示す例では、病変のタイプ、部位)に基づいて、電子カルテの診療情報の複数の記述範囲のうち何れの記述範囲と、読影レポートの所見情報の1以上の記述範囲のうち何れの記述範囲とが対応するかを判断する。
【0087】
本例では、プロセッサ110は、電子カルテの診療情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲から抽出された属性情報と、読影レポートの所見情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲から抽出された属性情報とが一致するため、電子カルテの診療情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲と読影レポートの所見情報の2つの記述範囲のうち上段の記述範囲とは対応すると判定する。
【0088】
一方、プロセッサ110は、電子カルテの診療情報の2つの記述範囲のうち下段の記述範囲から抽出された属性情報と、読影レポートの所見情報の2つの記述範囲のうち下段の記述範囲から抽出された属性情報とは、病変の「タイプ」が必ずしも一致しておらず、また、電子カルテの診療情報の下段の記述範囲からは病変の「部位」が抽出できないため、病変の「部位」は不一致とし、電子カルテの診療情報の下段の記述範囲と読影レポートの所見情報の下段の記述範囲とは対応しないと判定する。
【0089】
プロセッサ110は、上記のように各記述範囲から抽出した病変に関する属性情報に基づいて、電子カルテの診療情報の複数の記述範囲と読影レポートの所見情報の1以上の記述範囲との間の対応する記述範囲を判定(決定)すると、決定した読影レポートの記述範囲(第1記述範囲)と、これに対応する電子カルテの診療情報の記述範囲(第2記述範囲)とを紐づける。
【0090】
図9は、相互に紐づけられる電子カルテの診療情報の記述範囲と読影レポートの所見情報の記述範囲とを示す概念図である。
【0091】
図9に示す例では、
図7(A1)に示した電子カルテの診療情報の2つの記述範囲のうち点線で囲んだ上段の記述範囲と、
図7(A2)に示した読影レポートの所見情報の2つの記述範囲のうち点線で囲んだ上段の記述範囲とが相互に紐づけられている。
【0092】
電子カルテの記述範囲に対応する読影レポートの記述範囲の紐づけは、電子カルテの記述範囲内のテキスト情報(例えば、病変に関するキーワード)等の情報資源の中に、読影レポートの記述範囲の識別情報あるいは所在情報等を示すリンク情報を埋め込む(ハイパーリンクを貼る)ことで行うことができる。同様に、読影レポートの記述範囲に対応する電子カルテの記述範囲の紐づけは、読影レポートの記述範囲内のテキスト情報(例えば、病変に関するキーワード)に電子カルテの記述範囲の識別情報あるいは所在情報等を示すハイパーリンクを貼ることで行うことができる。尚、ハイパーリンクが貼られたキーワードは、そのキーワードの文字の色や書体を他の文字と変えて表示し、ハイパーリンクが貼られていることが視認できるようにすることが好ましい。
【0093】
プロセッサ110は、上記のようにして読影レポート及び電子カルテにハイパーリンクを貼り付けることで、読影レポート及び電子カルテをそれぞれ更新し、更新した読影レポート及び電子カルテを、それぞれ読影レポート管理装置400及び電子カルテ管理装置300を介して読影レポートDB400A及び電子カルテDB300Aに登録させる。また、プロセッサ110は、読影レポート及び電子カルテにハイパーリンクを貼り付ける場合に限らず、紐づけた読影レポートの第1記述部分である第1記述範囲と電子カルテの第2記述部分である第2記述範囲とを関連づけてメモリ120に記憶させ、必要に応じて互いに関連する記述範囲の情報を読み出せるようにしてもよい。
【0094】
[医用情報処理装置の第2実施形態]
図10は、医用情報処理装置の第2実施形態の要部の処理を示す図である。
【0095】
図10に示す第2実施形態の医用情報処理装置は、以下に示す構造化情報を生成し、生成した構造化情報に基づいて、読影レポートの所見情報の記述範囲とこの記述範囲に対応する電子カルテの診療情報の記述範囲とを相互に紐づける点で、
図6から
図9に示した2実施形態の医用情報処理装置と相違する。
【0096】
プロセッサ110は、それぞれ同一患者の読影レポートの所見情報と電子カルテの診療情報とをそれぞれ取得し、所見情報を自然言語処理することにより、第1病変情報に関する1以上の第1キーワードを抽出し、同様に診療情報を自然言語処理することにより、第2病変情報に関する複数の第3キーワードを抽出する。ここまでの処理は、第1実施形態と共通する。
【0097】
続いて、プロセッサ110は、読影レポートの所見情報から抽出した1以上の第1キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成し、同様に電子カルテの診療情報から抽出した複数の第3キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成する。
【0098】
ここで、第1構造化情報及び第2構造化情報は、それぞれ病変のタイプ、部位、サイズ、及び形状を示す病変の属性情報のうち1以上の属性情報を含む。
【0099】
プロセッサ110は、生成した1以上の第1構造化情報及び複数の第2構造化情報のうち同一の病変を示す第1構造化情報と第2構造化情報とを対応づける。そして、読影レポートの所見情報のうち、対応づけられた第1構造化情報に関連する記述範囲(第1記述範囲)と、電子カルテの診療情報のうち、対応づけられた第2構造化情報に関連する記述範囲(第2記述範囲)とを紐づける。
【0100】
次に、第1構造化情報及び第2構造化情報の生成方法の具体例について説明する。
【0101】
プロセッサ110は、読影レポートに記載された所見情報を自然言語処理することにより1以上の第1病変情報を示す1以上の第1キーワードを抽出し、抽出した1以上の第1キーワードと関係のあるキーワード(第2キーワード)を特定する。
【0102】
第1キーワードに関係のある第2キーワードは、第1病変情報を示すキーワードではないが、第1病変情報に関する周辺の所見情報から特定されるキーワードである。
【0103】
図10(B)に示す例では、読影レポートに記載された所見情報から抽出される第1キーワードは、病変の部位を示す「左肺上葉S3」、病変のタイプを示す「肺癌原発巣」、病変のサイズを示す「1.2cm(変化なし)」であり、第1キーワードと関連のある第2キーワードは、「小葉間隔壁肥厚」、「すりガラス影」である。
【0104】
同様にプロセッサ110は、電子カルテに記載された診療情報を自然言語処理することにより複数の第2病変情報を示す複数の第3キーワードを抽出し、抽出した複数の第3キーワードと関係のあるキーワード(第4キーワード)を特定する。
【0105】
図10(B)に示す例では、電子カルテに記載された診療情報から抽出される第3キーワードは、病変の部位を示す「左肺上葉」、病変のタイプを示す「肺癌」であり、第3キーワードと関連のある第4キーワードは、診療歴である「CT/MR検査」、治療歴である「サイバーナイフ」である。尚、病理結果は、「なし」と判定されている。
【0106】
したがって、プロセッサ110は、読影レポートの所見情報から抽出した1以上の第1キーワードから1以上の第1構造化情報を生成する場合に限らず、1以上の第1キーワード及び第2キーワードにより構造化した1以上の第1構造化情報を生成することができ、同様に電子カルテの診療情報から抽出した複数の第3キーワードから複数の第2構造化情報を生成する場合に限らず、複数の第3キーワード及び第4キーワードにより構造化した複数の第2構造化情報を生成することができる。
【0107】
プロセッサ110は、このようにして生成した1以上の第1構造化情報及び複数の第2構造化情報のうち同一の病変を示す第1構造化情報と第2構造化情報とを対応づけ(
図10(B)参照)、読影レポートの所見情報のうち、対応づけた第1構造化情報に関連する第1記述範囲と、電子カルテの診療情報のうち、対応づけた第2構造化情報に関連する第2記述範囲とを紐づけることができる。
【0108】
[医用情報処理装置の第3実施形態]
本発明に係る医用情報処理装置の第3実施形態は、主に読影レポートの作成の際に参照された医用画像から病変のタイプと位置に関する情報を特定する点と、特定した病変のタイプと位置の情報(属性情報)に基づいて読影レポートの病変に関する所見情報と、電子カルテの病変に関する診療情報と、医用画像中の病変とを紐づける点で、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
【0109】
即ち、プロセッサ110は、読影レポートとともに、その読影レポートの作成の際に参照された医用画像を取得する。読影レポートには、
図3に示したように縮小画像412に貼り付けられたリンク情報に基づいて読影レポートの作成の際に参照された医用画像を取得することができる。
【0110】
続いて、プロセッサ110は、取得した医用画像から病変のタイプと位置に関する情報を特定する。
【0111】
プロセッサ110は、医用画像に基づいて医用画像に含まれる病変領域の位置、及び病変領域における病変のタイプを認識する認識器としての機能を備える。プロセッサ110は、例えば、学習モデルの一つである畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)を実行し、入力する医用画像に写っている病変領域等をピクセル単位、もしくはいくつかのピクセルを一塊にした単位で領域分類(セグメンテーション)することで病変の領域(位置)を認識し、また、認識した病変領域の病変のクラスを分類することで病変のタイプを認識する。
【0112】
プロセッサ110は、取得した読影レポート及び電子カルテと、上記のようにして医用画像から特定した病変のタイプと位置に関する情報に基づいて、
図5(B)及び(C)に示すように同一の病変のタイプと位置の情報を含む読影レポートの病変に関する所見情報と、電子カルテの病変に関する診療情報とを紐づけ、更に医用画像中の病変も紐づけることが好ましい。
【0113】
[医用情報処理装置の作動方法]
図11は、本発明に係る医用情報処理装置の作動方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0114】
図11に示す医用情報処理装置の作動方法の各ステップの処理は、
図4に示した医用情報処理装置100のプロセッサ110により行われる処理に対応する。
【0115】
図11において、プロセッサ110は、同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得する(ステップS10、ステップS20)。プロセッサ110は、放射線科医が読影レポートを作成し、作成した読影レポートを読影レポートDB400Aに登録する場合、又は診療医が電子カルテに新たな診療情報を追加して電子カルテを更新し、更新した電子カルテを電子カルテDB300Aに登録する場合をトリガーにして同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得してもよいし、ユーザが、ユーザインターフェースを使用して紐づける読影レポート又は電子カルテを指示した場合に同一の患者に対して作成された読影レポート及び電子カルテをそれぞれ取得してもよい。
【0116】
続いて、プロセッサ110は、読影レポートの所見情報から1以上の第1病変情報を抽出し(ステップS30)、同様に電子カルテの診療情報から複数の第2病変情報を抽出する(ステップS40)。具体的には、プロセッサ110は、読影レポートに記載された所見情報を入力し、所見情報を自然言語処理することにより、病変に関する1以上の第1キーワードを特定して1以上の第1病変情報を抽出し(
図6(A2)参照)、同様に電子カルテに記載された診療情報を入力し、診療情報を自然言語処理することにより、病変に関する複数の第3キーワードを特定して複数の第2病変情報を抽出する(
図6(A1)参照)。
【0117】
次に、プロセッサ110は、それぞれ抽出した1以上の第1病変情報及び複数の第2病変情報のうち、同一の病変を示す第1病変情報と第2病変情報とを対応づける(ステップS50)。
図6に示す例では、読影レポートの所見情報から抽出した「左肺S3の原発巣」と、電子カルテの診療情報から抽出した「左上葉肺癌」とは、それぞれ病変の位置及びタイプが同一の病変情報(第1病変情報、第2病変情報)であるため、これらの第1病変情報と第2病変情報とが対応づけられる。
【0118】
プロセッサ110は、対応づけした第1病変情報と第2情報とに基づいて、読影レポートの所見情報のうち対応づけした第1病変情報に関連する第1記述部分と、電子カルテの診療情報のうち対応づけした第2病変情報に関連する第2記述部分とを紐づける(ステップS60)。第1記述部分と第2記述部分との紐づけは、それぞれの記述部分に他方の記述部分に対するリンク情報を貼り付けることで行うことができる。
【0119】
<放射線科医が電子カルテの診療情報を利用する実施形態>
図12は、放射線科医が読影レポートの作成時に電子カルテの診療情報を利用する実施形態を示すフローチャートである。
【0120】
放射線科医は、モダリティ600により撮影された医用画像の他に、同一の患者の過去の読影レポート、電子カルテ中の診療情報(臨床所見、治療歴、病理検査結果等)を参考にして読影レポートを作成する場合があるが、放射線科医が電子カルテ中の診療情報を参考にする場合について説明する。
【0121】
放射線科医は、放射線科端末200Bを使用して新規の読影レポートを作成する場合、新規の読影レポートの他に、同一患者の過去の読影レポートを放射線科端末200Bのディスプレイに表示させる(ステップS100)。
【0122】
放射線科医は、ディスプレイに表示された過去の読影レポートに記載された所見情報の病変に関連する記述部分(第1記述部分)と紐づけられた、電子カルテに記載された診療情報の記述部分(第2記述部分)を参照する場合、所見情報の第1記述部分をクリックする。
【0123】
放射線科端末200Bは、所見情報の第1記述部分の入力(クリック)を受け付けたか否かを判別し(ステップS110)、入力を受け付けた場合には、第1記述部分に対して紐づけられた電子カルテの第2記述部分をディスプレイに表示させる(ステップS120)。第2記述部分のディスプレイへの表示は、ポップアップ表示、あるいはハイライト表示等により強調表示することが好ましい。
【0124】
例えば、
図9に示す例の場合、読影レポートの所見情報のうち点線で囲んだ第1記述部分(
図9(A2))がクリックさせると、第1記述部分に紐づけられた電子カルテの診療情報のうち点線で囲んだ第2記述部分(
図9(A1))がディスプレイにポップアップ表示される。
【0125】
尚、読影レポートの第1記述部分(又は第1記述部分に含まれる第1病変情報)には、電子カルテの第2記述部分へのハイパーリンクが貼られているため、ハイパーリンクにしたがって電子カルテの第2記述部分を読み出してディスプレイにポップアップ表示させることができる。
【0126】
続いて、放射線科端末200Bは、電子カルテの第2記述部分の表示(ポップアップ表示)を終了するか否かを判別し、終了させると判別すると、ステップS110に遷移させる(ステップS130)。尚、第2記述部分の表示は、ポップアップ表示してから一定の時間が経過した場合、又は再度クリック等の入力があった場合に終了させることができる。
【0127】
一方、ステップS110において、所見情報の第1記述部分の入力を受け付けていない場合には、ステップS140に遷移させ、ここで参照する読影レポートの表示を終了させるか否かを判別する(ステップS140)。参照する読影レポートの表示を終了させるか否かの判別は、放射線科端末200Bの操作に基づいて行うことができる。
【0128】
放射線科端末200Bは、読影レポートの表示を終了させると判別すると、参照する読影レポートの表示を終了させ、終了させないと判別すると、ステップS110に遷移させる。
【0129】
これにより放射線科医は、放射線科端末200Bのディスプレイに表示された過去の読影レポートに記載された所見情報のうち病変に関連する所望の第1記述部分をワンクリックすることで、電子カルテに記載された診療情報のうち同じ病変に関連づけて記述された第2記述部分をディスプレイにポップアップ表示させることができ、新規の読影レポートの作成時の参考にすることができる。
【0130】
<診療医が読影レポートの所見情報を利用する実施形態>
図13は、診療医が読影レポートの所見情報を利用する実施形態を示すフローチャートである。
【0131】
診療医は、治療方針を決定する場合、電子カルテに診療情報を入力する場合、電子カルテの過去の診療情報(臨床所見、治療歴、病理検査結果等)の他に読影レポートを参照する場合があるが、診療医が読影レポートの所見情報を参考にする場合について説明する。
【0132】
診療医は、担当の患者の治療方針の決定等を行う場合、担当の患者の電子カルテを診療科端末200Aのディスプレイに表示させる(ステップS200)。
【0133】
診療医は、ディスプレイに表示された電子カルテ(
図2参照)の過去カルテフィールド314における診療情報の病変に関連する記述部分(第2記述部分)と紐づけられた、読影レポートに記載された所見情報の記述部分(第1記述部分)を参照する場合、診療情報の第2記述部分をクリックする。
【0134】
診療科端末200Aは、診療情報の第2記述部分の入力(クリック)を受け付けたか否かを判別し(ステップS210)、入力を受け付けた場合には、第2記述部分に対して紐づけられた読影レポートの第1記述部分をディスプレイに表示させる(ステップS220)。第1記述部分のディスプレイへの表示も、ポップアップ表示、あるいはハイライト表示等により強調表示することが好ましい。
【0135】
例えば、
図9に示す例の場合、電子カルテの診療情報のうち点線で囲んだ第2記述部分が読影レポートの所見情報のうち点線で囲んだ第2記述部分(
図9(A1))がクリックさせると、第2記述部分に紐づけられた読影レポートの診療情報のうち点線で囲んだ第1記述部分(
図9(A2))がディスプレイにポップアップ表示される。
【0136】
尚、電子カルテの第2記述部分(又は第2記述部分に含まれる第2病変情報)には、読影レポートの第1記述部分へのハイパーリンクが貼られているため、ハイパーリンクにしたがって読影レポートの第1記述部分を読み出してディスプレイにポップアップ表示させることができる。
【0137】
続いて、診療科端末200Aは、読影レポートの第1記述部分の表示(ポップアップ表示)を終了するか否かを判別し、終了させると判別すると、ステップS210に遷移させる(ステップS230)。尚、第1記述部分の表示は、ポップアップ表示してから一定の時間が経過した場合、又は再度クリック等の入力があった場合に終了させることができる。
【0138】
これにより診療医は、診療科端末200Aのディスプレイに表示された過去カルテに記載された診療情報のうち病変に関連する所望の第2記述部分をワンクリックすることで、読影レポートに記載された所見情報のうち同じ病変に関連づけて記述された第1記述部分をディスプレイにポップアップ表示させることができ、これにより、読影レポートに記載された所見情報のうち同じ病変に関連づけて記述された第1記述部分を治療方針の決定に使用したり、本日カルテ&入力フィールド313に本日分の診療情報を入力する際の参考に使用することができる。
【0139】
また、診療科端末200Aは、読影レポートに記載された所見情報のうち同じ病変に関連づけて記述された第1記述部分とともに、その読影レポートの診察対象となった医用画像を表示させ、更に医用画像上で病変に紐づけられた病変の位置をバウンディングボックス等の指標により表示することができる(
図5(C)参照)。
【0140】
本実施形態では、互いに紐づけられた読影レポートの第1記述部分と電子カルテの診療情報の第2記述部分とは、記述範囲の決定処理で決定した第1記述範囲と第2記述範囲における記述そのものに限らず、
図10(B)に示したように構造化情報を紐づけるようにしてもよい。即ち、第1記述範囲における第1キーワードにより構造化した第1構造化情報、又は第1キーワード及び第1キーワードと関連のある第2キーワードにより構造化した第1構造化情報と、第2記述範囲における第3キーワードにより構造化した第2構造化情報、又は第3キーワード及び第3キーワードと関連のある第4キーワードにより構造化した第2構造化情報とを紐づける。
【0141】
そして、読影レポートの第1記述部分をポップアップ表示する場合、第1構造化情報(例えば、
図10(B)の下段の構造化情報)をポップアップ表示し、同様に電子カルテの第2記述範囲をポップアップ表示する場合、第2構造化情報(例えば、
図10(B)の上段の構造化情報)をポップアップ表示してもよい。尚、この場合、互いに紐づけられた第1構造化情報と第2構造化情報とは、メモリ120等に関連づけて記憶させておき、適宜読み出して表示できるようにすることが好ましい。
【0142】
[その他]
医用画像から病変を検出し、検出された病変のタイプと位置に関する情報を特定し、特定した病変のタイプと位置に関する情報に基づいて読影レポートの病変に関する所見情報と、電子カルテの病変に関する診療情報と、医用画像中の病変とを紐づけた場合、プロセッサは、医用画像をディスプレイに表示させ、医用画像中の病変を示す入力を受け付けると、病変に紐づけた所見情報、及び診療情報を強調表示するようにしてもよい。
【0143】
図14は、同一の患者の病名ごとの診療記録、病理検査、読影レポート、及び投薬記録の有無を示す一覧表である。
【0144】
図2に示した電子カルテの受診歴フィールド312の受診歴のように、医用情報処理装置100は、
図14に示すように電子カルテの診療情報、及び読影レポートの所見情報の各項目を病変ごとにまとめ上げ、互いに紐づけることで、「一覧表のセルをクリックすると、病変の記述部分にジャンプする」といった機能を実装するようにしてもよい。
【0145】
また、診療科端末200A及び放射線科端末200Bを含む端末200は、医用情報処理装置100としての機能が追加されたものでもよい。
【0146】
更に、本実施形態において、例えば、CPU等の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0147】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0148】
また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0149】
更に、本発明は、コンピュータにインストールされることにより、コンピュータを本発明に係る医用情報処理装置として機能させる医用情報処理プログラム、及びこの医用情報処理プログラムが記録された不揮発性の記憶媒体を含む。
【0150】
更にまた、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0151】
1 電子カルテシステム
100 医用情報処理装置
110 プロセッサ
120 メモリ
130 入出力インターフェース
140 ディスプレイ
150 操作部
200 端末
200A 診療科端末
200B 放射線科端末
300 電子カルテ管理装置
300A 電子カルテDB
310 画面
311 基本情報フィールド
312 受診歴フィールド
313 本日カルテ&入力フィールド
314 過去カルテフィールド
315 メニューフィールド
400 読影レポート管理装置
400A 読影レポートDB
410 画面
410A 付属情報フィールド
410B 所見フィールド
410C 画像フィード
412 縮小画像
500 画像サーバ
500A 画像DB
600 モダリティ
600A CT装置
600B MRI装置
600C X線撮影装置
700 ネットワーク
S10-S60、S100-S140、S200-S230 ステップ