(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108674
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】投影装置、制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240805BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240805BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240805BHJP
G03B 9/02 20210101ALI20240805BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G03B21/00 D
H04N5/74 A
G03B9/02 B
G03B17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013156
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】古林 琢
(72)【発明者】
【氏名】永利 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】清水 仁
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
【テーマコード(参考)】
2H080
2H101
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H080CC02
2H101EE08
2H101EE13
2H101EE25
2H101EE52
2H101EE98
2K203FA03
2K203FA22
2K203FA25
2K203FA34
2K203FA44
2K203GC19
2K203KA22
2K203KA38
2K203KA83
2K203MA11
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA12
5C058EA26
(57)【要約】
【課題】レンズ装置が交換可能な投影装置の安全性を向上させることが可能な投影装置、制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】制御装置114を備え、レンズ装置120が交換可能な投影装置110である。レンズ装置120は投影絞り123を有する。制御装置114は、レンズ装置120が装着された状態で投影装置110が起動された場合、又はレンズ装置120が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、レンズ装置が交換可能である投影装置であって、
前記レンズ装置は絞りを有し、
前記プロセッサは、前記レンズ装置が装着された状態で前記投影装置が起動された場合、又は前記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記第1制御は、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放絞りの状態にするための制御である、
投影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記第1制御は、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放絞りとは異なる第1絞りの状態にするための制御である、
投影装置。
【請求項4】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記第1制御は、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させる指示を前記レンズ装置へ出力する制御である、
投影装置。
【請求項5】
請求項1に記載の投影装置であって、
前記第1制御は、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させる操作を促すユーザへの報知を行う制御である、
投影装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の投影装置であって、
前記プロセッサは、前記レンズ装置の前記絞りの状態が開放方向に変化した後に、前記レンズ装置へ投影光が入射する状態とする、
投影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の投影装置であって、
前記プロセッサは、前記レンズ装置の前記絞りの状態が開放方向に変化した後に、前記投影光の光源を発光状態とする、
投影装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の投影装置であって、
絞りを有し、前記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
前記中継光学系の前記絞りの状態を絞る方向に変化させるための第2制御を行う、
投影装置。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載の投影装置であって、
前記プロセッサは、前記レンズ装置が装着された状態で前記投影装置が起動された場合、又は前記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、前記レンズ装置に関する情報を取得し、前記レンズ装置が所定の条件を満たしていない場合にユーザへの報知を行う、
投影装置。
【請求項10】
請求項9に記載の投影装置であって、
前記所定の条件は、前記レンズ装置の開放F値が所定値以下であることを含む、
投影装置。
【請求項11】
請求項9に記載の投影装置であって、
前記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
前記所定の条件は、前記レンズ装置の射出瞳位置と前記中継光学系の射出瞳位置との距離が所定値以下であることを含む、
投影装置。
【請求項12】
請求項9に記載の投影装置であって、
前記ユーザへの報知は、前記レンズ装置が使用できない旨の報知を含む、
投影装置。
【請求項13】
請求項12に記載の投影装置であって、
前記ユーザへの報知は、前記レンズ装置を使用可能とするための方法の報知を含む、
投影装置。
【請求項14】
請求項1に記載の投影装置であって、
絞りを有し、前記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
前記プロセッサは、前記第1制御に代えて、前記中継光学系の前記絞りの状態を絞る方向に変化させるための第2制御を行う、
投影装置。
【請求項15】
絞りを有するレンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記レンズ装置が装着された状態で前記投影装置が起動された場合、又は前記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
制御装置。
【請求項16】
レンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置による制御方法であって、
前記レンズ装置は絞りを有し、
前記制御装置が備えるプロセッサが、前記レンズ装置が装着された状態で前記投影装置が起動された場合、又は前記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
制御方法。
【請求項17】
レンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置による制御プログラムであって、
前記レンズ装置は絞りを有し、
前記制御装置が備えるプロセッサに、前記レンズ装置が装着された状態で前記投影装置が起動された場合、又は前記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、前記レンズ装置の前記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置、制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交換可能な複数種類の投影レンズと、制御部と、を備え、制御部は、投影レンズが第1の投影レンズである場合、光源の輝度を第1の投影レンズの耐熱性能に応じた最大輝度に設定し、第2の投影レンズである場合、第2投影レンズの耐熱性能に応じた最大輝度に設定することで障害を防止するプロジェクタが記載されている。
【0003】
特許文献2には、交換可能な複数種類の投射レンズと、制御部と、を有し、投影レンズの内部には開口が狭い絞りが設けられており、制御部は、装着されている投射レンズに応じて適切な冷却条件でファンを駆動して投射レンズを冷却する投射型表示装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、交換可能なレンズと、装着されたレンズの位置を変化させる駆動部と、鏡筒内でプロジェクタからの光を多く反射する絞り部分に配置された温度センサと、制御部と、を備え、制御部は、温度センサによって測定された温度に応じて駆動部を駆動し、レンズの位置を変化させることにより温度変化によるピント変動を補正するプロジェクタが記載されている。
【0005】
特許文献4には、照明光学系と、リレーレンズと、投写用レンズと、を備え、照明光学系が投写される光学像をリレーレンズの入射瞳へ転送する構成となっており、リレーレンズが光学像を投写用レンズの入射瞳に転送できる位置に配置されるとともに、光軸方向に沿って移動可能となっているプロジェクタが記載されている。
【0006】
特許文献5には、レンズマウントに対して交換可能なレンズユニットと、制御部と、を備え、レンズマウントはレンズシフト機構を介して本体に支持されており、制御部はレンズユニットが装着されるとレンズID(identification)に基づいて対応するレンズシフト可能範囲を取得し、レンズマウントの位置がレンズシフト可能範囲内にない場合、スピーカから報知音を出力させる、プロジェクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-129725号公報
【特許文献2】特開2013-242496号公報
【特許文献3】特開2016-128848号公報
【特許文献4】特開2006-276656号公報
【特許文献5】特開2018-036354号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、レンズ装置が交換可能な投影装置の安全性を向上させることが可能な投影装置、制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
プロセッサを備え、レンズ装置が交換可能である投影装置であって、
上記レンズ装置は絞りを有し、
上記プロセッサは、上記レンズ装置が装着された状態で上記投影装置が起動された場合、又は上記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
投影装置。
【0010】
(2)
(1)に記載の投影装置であって、
上記第1制御は、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放絞りの状態にするための制御である、
投影装置。
【0011】
(3)
(1)に記載の投影装置であって、
上記第1制御は、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放絞りとは異なる第1絞りの状態にするための制御である、
投影装置。
【0012】
(4)
(1)から(3)のいずれか1項に記載の投影装置であって、
上記第1制御は、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させる指示を上記レンズ装置へ出力する制御である、
投影装置。
【0013】
(5)
(1)から(3)のいずれか1項に記載の投影装置であって、
上記第1制御は、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させる操作を促すユーザへの報知を行う制御である、
投影装置。
【0014】
(6)
(1)から(5)のいずれか1項に記載の投影装置であって、
上記プロセッサは、上記レンズ装置の上記絞りの状態が開放方向に変化した後に、上記レンズ装置へ投影光が入射する状態とする、
投影装置。
【0015】
(7)
(6)に記載の投影装置であって、
上記プロセッサは、上記レンズ装置の上記絞りの状態が開放方向に変化した後に、上記投影光の光源を発光状態とする、
投影装置。
【0016】
(8)
(1)から(5)のいずれか1項に記載の投影装置であって、
絞りを有し、上記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
上記中継光学系の上記絞りの状態を絞る方向に変化させるための第2制御を行う、
投影装置。
【0017】
(9)
(1)から(5)のいずれか1項に記載の投影装置であって、
上記プロセッサは、上記レンズ装置が装着された状態で上記投影装置が起動された場合、又は上記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、上記レンズ装置に関する情報を取得し、上記レンズ装置が所定の条件を満たしていない場合にユーザへの報知を行う、
投影装置。
【0018】
(10)
(9)に記載の投影装置であって、
上記所定の条件は、上記レンズ装置の開放F値が所定値以下であることを含む、
投影装置。
【0019】
(11)
(9)に記載の投影装置であって、
上記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
上記所定の条件は、上記レンズ装置の射出瞳位置と上記中継光学系の射出瞳位置との距離が所定値以下であることを含む、
投影装置。
【0020】
(12)
(9)に記載の投影装置であって、
上記ユーザへの報知は、上記レンズ装置が使用できない旨の報知を含む、
投影装置。
【0021】
(13)
(12)に記載の投影装置であって、
上記ユーザへの報知は、上記レンズ装置を使用可能とするための方法の報知を含む、
投影装置。
【0022】
(14)
(1)に記載の投影装置であって、
絞りを有し、上記レンズ装置に投影光を中継する中継光学系を備え、
上記プロセッサは、上記第1制御に代えて、上記中継光学系の上記絞りの状態を絞る方向に変化させるための第2制御を行う、
投影装置。
【0023】
(15)
絞りを有するレンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置であって、
プロセッサを備え、
上記プロセッサは、上記レンズ装置が装着された状態で上記投影装置が起動された場合、又は上記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
制御装置。
【0024】
(16)
レンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置による制御方法であって、
上記レンズ装置は絞りを有し、
上記制御装置が備えるプロセッサが、上記レンズ装置が装着された状態で上記投影装置が起動された場合、又は上記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
制御方法。
【0025】
(17)
レンズ装置が交換可能である投影装置の制御装置による制御プログラムであって、
上記レンズ装置は絞りを有し、
上記制御装置が備えるプロセッサに、上記レンズ装置が装着された状態で上記投影装置が起動された場合、又は上記レンズ装置が装着されたことを検知した場合の少なくともいずれかの場合に、上記レンズ装置の上記絞りの状態を開放方向に変化させるための第1制御を行う、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、レンズ装置が交換可能な投影装置の安全性を向上させることが可能な投影装置、制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態の投影装置110の一例を示す図である。
【
図2】投影装置110の内部構成の一例を示す図である。
【
図3】レンズ装置120と投影装置110の位置関係を示す模式図である。
【
図4】レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】レンズの絞り値が適合していない場合の一例を示す図である。
【
図6】レンズの射出瞳位置が適合していない場合の一例を示す図である。
【
図7】投影装置110の筐体110aに設けられたLEDを用いて報知する例を示す図である。
【
図8】投影装置110からの投影画像により報知する例を示す図である。
【
図9】レンズの射出瞳位置が適合している一例を示す図である。
【
図10】リレーレンズ112gの中継絞り112eを変化させる一例を示す図である。
【
図11】レンズ装置120の撮像レンズと投影装置110のリレーレンズの間にフィールドレンズ150を配置した一例を示す図である。
【
図12】レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
【
図13】レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
【
図14】レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第3の変形例を示すフローチャートである。
【
図15】レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第4の変形例を示すフローチャートである。
【
図16】投影装置110の構成の変形例を示す図である。
【
図17】パーソナルコンピュータ200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
【0029】
<実施形態の投影装置110>
図1は、本実施形態の投影装置110の一例を示す図である。
図1に示すように、投影装置110は、例えば、箱型の筐体110aを備え、その筐体110aにレンズ装置120が交換可能に取り付けることができるように構成されている。筐体110aには、レンズ装置120を取り付けるためのレンズマウント130が設けられている。レンズ装置120は、例えば、撮像レンズを含む装置である。レンズ装置120は、その装置固有の情報、例えば、レンズ装置の型番情報や特性情報などを有している。
【0030】
<投影装置110の内部構成>
図2は、投影装置110の内部構成の一例を示す図である。
図2に示すように、投影装置110は、投影部112と、制御装置114と、レンズ通信部116と、外部通信部117と、操作受付部118と、レンズマウント130と、を備える。制御装置114は、本発明におけるプロセッサの一例である。なお、投影装置110のレンズマウント130には、上記
図1で説明したように、レンズ装置120が取り付けられる。
【0031】
投影部112、例えば液晶プロジェクタ又はLCOS(Liquid Crystal On Silicon)、DMD(Digital Micromirror Device)素子を用いたプロジェクタ等によって構成される。以下では、投影部112が液晶プロジェクタであるものとして説明する。投影部112は、光源112aと、光変調部112bと、中継光学系112cと、制御回路112dと、を備える。
【0032】
光源112aは、レーザ又はLED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)等の発光素子を含み、例えば白色光を出射する。
【0033】
光変調部112bは、光源112aから出射されて図示省略の色分離機構によって赤、青、緑の3色に分離された各色光を、画像情報に基づいて変調して各色画像を出射する3つの液晶パネル(光変調素子)と、3つの液晶パネルから出射された各色画像を混合して同一方向に出射するダイクロイックプリズムと、によって構成される。この3つの液晶パネルにそれぞれ赤、青、緑のフィルタを搭載し、光源112aから出射された白色光を、各液晶パネルにて変調して各色画像を出射させてもよい。
【0034】
光変調部112bの全範囲を透過する光によって照射される領域が、投影部112により投影可能な投影可能範囲となる。この投影可能範囲のうち、光変調部112bから実際に透過する光によって照射される領域が、投影部112の投影範囲となる。例えば、光変調部112bのうち光が透過する領域の大きさ、位置、及び形状を制御することにより、投影可能範囲における投影部112の投影範囲の大きさ、位置、及び形状を変化させることができる。
【0035】
中継光学系112cは、光源112a及び光変調部112bからの光が入射されるものであり、例えばリレーレンズを含む光学系によって構成されている。中継光学系112cは、光源112a及び光変調部112bから入射された投影光をレンズ装置120に中継することが可能な位置に配置されている。中継光学系112cは、リレーレンズに入射する投影光の量を変化させることが可能な中継絞り112eを有する。また、中継光学系112cは、光軸方向に沿って移動可能に構成されている。光軸方向は、光源112a及び光変調部112bから中継光学系112cに入射された投影光がレンズ装置120に中継される方向である。
【0036】
制御回路112dは、制御装置114から入力される制御信号に基づいて、光源112a、光変調部112b、及び中継光学系112cを制御することにより、投影光をレンズ装置120へ中継させる。また、制御回路112dは、制御装置114から入力される制御信号に基づいて、中継光学系112cにおける中継絞り112eの絞り値を変化させる。また、制御回路112dは、制御装置114から入力される制御信号に基づいて、中継光学系112cのリレーレンズを光軸方向に沿って移動させる。また、制御回路112dは、制御装置114から入力される画像データと、中継光学系112cに入射される投影光とに基づいて、スクリーン(図示省略)に投影するための投影画像を生成させる。
【0037】
レンズマウント130にはレンズ装置120と投影装置110の投影部112とを接続する接続情報端子が設けられている。レンズ装置120がレンズマウント130に取り付けられると、例えば、接続情報端子とレンズ装置120との接続状態により、取り付けられたレンズ装置120の固有情報(型番情報や特性情報など)を制御回路112dが検出できるように構成されている。
【0038】
レンズ装置120は、投影光学系121と、制御回路122と、を備える。投影光学系121は、中継光学系112cからの投影光が入射されるものであり、例えば撮像レンズを含む光学系によって構成されている。投影光学系121は、撮像レンズに入射する投影光の量を変化させることが可能な投影絞り123を有する。また、投影光学系121は、中継光学系112cで生成された投影画像を拡大する。
【0039】
制御回路122は、制御装置114から入力される制御信号に基づいて、投影光学系121における投影絞り123の絞り値を変化させる。また、制御回路122は、制御装置114から入力される制御信号に基づいて、投影光学系121を制御することにより、投影画像を所定の倍率に拡大させる。なお、制御回路122は、レンズ装置120が投影装置110のレンズマウント130に取り付けられた際に、レンズ装置120の固有情報(型番情報や特性情報など)をレンズ通信部116を介して制御装置114送信するようにしてもよい。
【0040】
制御装置114は、投影装置110における投影の制御を行う。制御装置114は、各種のプロセッサにより構成される制御部と、各部と通信するための通信インタフェース(図示省略)と、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、又はROM(Read Only Memory)等の記憶媒体114aと、を含む装置であり、投影部112を統括制御する。制御装置114における制御部の各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0041】
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。制御装置114における制御部は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0042】
例えば、制御装置114は、レンズ装置120が装着された状態で投影装置110が起動された場合に、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる制御を行う。具体的には、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にする制御を行う。開放絞りの状態とは、絞り値(F値)を最小にした状態である。また、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態とは異なる第1絞りの状態にする制御を行ってもよい。第1絞りの状態とは、中継光学系112cからの投影光が投影絞り123に照射されない範囲において投影絞り123の絞り値を最大にした状態(最小の開口になる絞り値)である。また、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる指示(制御信号)をレンズ装置120へ出力する制御を行う。また、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる操作をユーザに促す報知を行うようにしてもよい。
【0043】
制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態が開放方向に変化した後に、投影装置110からレンズ装置120へ投影光が入射する状態とする。例えば、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態が開放方向に変化した後に、投影光の光源112aを発光状態とする。また、制御装置114は、シャッター等により投影光を遮断した状態を遮断しない状態に切り替えることで、レンズ装置120へ投影光が入射するようにしてもよい。
【0044】
制御装置114は、レンズ装置120が装着された状態で投影装置110が起動された場合、レンズ装置120に関する情報を取得し、レンズ装置120が所定の条件を満たしていない場合にユーザへ報知を行う。レンズ装置120に関する情報とは、レンズの特性情報のことである。レンズの特性情報には、例えば、開放絞り値(F値)、射出瞳位置、中継光学系112cのリレーレンズと投影光学系121の撮像レンズの有効な中間像サイズ等が含まれる。中間像はリレーレンズと撮像レンズにできる像のことである。また、レンズ装置120に関する情報は、レンズの型式情報であってもよい。レンズの形式情報の場合、型式情報と特性情報との対応情報を例えばデータテーブル化して例えば記憶媒体114aに記憶しておく。
【0045】
ユーザへの報知とは、例えば、LED(Light Emitting Diode)の点灯や点滅による報知や、レンズ装置120の部材(例えば、投影絞り123)に投影されても耐光性に支障のない弱い光による投影(例えば黒背景に緑文字の投影)による報知である。また、ユーザへの報知は、投影装置110のモニタ表示による報知であってもよいし、投影装置110と通信可能な表示装置(パーソナルコンピュータ、スマートフォン、外付けディスプレイ等)による報知であってもよい。
【0046】
所定の条件には、例えば、レンズ装置120の開放絞り値が所定値以下であることが含まれる。所定値とは、例えば投影部112のリレーレンズの中間像側空間の絞り値に対応する値である。また、所定の条件には、レンズ装置120の投影光学系121の射出瞳位置と、中継光学系112cの射出瞳位置と、の距離が所定値以下であることが含まれてもよい。距離が所定値以下とは、中継光学系112cのリレーレンズの射出瞳位置と投影光学系121の撮像レンズの射出瞳位置とが近い位置であることをいう。
【0047】
ユーザへの報知は、例えば、レンズ装置120が使用できない旨の報知を含む。また、ユーザへの報知は、例えば、レンズ装置120を使用可能とするための方法の報知を含む。使用可能とするための方法には、例えば、リレーレンズと撮像レンズの間にフィールドレンズを追加すること、フィールドレンズを変更又は取り除くことなどが含まれる。
【0048】
制御装置114は、中継光学系112cの中継絞り112eの状態を絞る方向に変化させる制御を行う。また、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる制御に代えて、中継光学系112cの中継絞り112eの状態を絞る方向に変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0049】
レンズ通信部116は、レンズ装置120との間で通信が可能なインタフェースである。例えば、レンズ通信部116は、制御装置114から出力されるレンズ装置120への制御信号をレンズ装置120の制御回路122に送信する。
【0050】
外部通信部117は、外部機器との間で通信が可能なインタフェースである。例えば、外部通信部117は、制御装置114から出力されるユーザへの報知情報を外部機器に送信する。また、外部通信部117は、外部機器から送信される投影部112及びレンズ装置120を制御するための信号を制御装置114へ出力する。なお、外部通信部117は、有線通信を行う有線通信インタフェースであってもよいし、無線通信を行う無線通信インタフェースであってもよい。
【0051】
操作受付部118は、ユーザからの各種の操作を受け付けることにより、ユーザからの指示を検出する。操作受付部118は、制御装置114に設けられたボタン、キー、ジョイスティック等であってもよいし、制御装置114の遠隔操作を行うリモートコントローラからの信号を受け付ける受信部等であってもよい。操作受付部118は、ユーザからの指示操作に基づいて、例えば、投影部112及びレンズ装置120を制御することが可能である。
【0052】
上述した制御装置114から投影部112の制御回路112dに入力される制御信号及び制御装置114からレンズ装置120の制御回路122に入力される制御信号は、例えば、操作受付部118によって受け付けられるユーザからの指示操作に基づく制御信号であってもよいし、外部通信部117によって受信される外部機器からの指示操作に基づく制御信号であってもよい。
【0053】
<投影装置110とレンズ装置120の位置関係>
図3は、レンズ装置120と投影装置110の位置関係を示す模式図である。投影装置110(例えば、プロジェクタ)のレンズとして撮像レンズを含むレンズ装置120を用いる場合、撮像レンズのバックフォーカス長や射出瞳位置を適合させるために、投影装置110側にリレーレンズを含む中継光学系112cが必要になる場合がある。その場合、レンズ装置120を投影装置110に取り付けたとき、
図3に示すように、レンズ装置120の撮像レンズにおける像面位置124に、投影装置110のリレーレンズが作る像の位置が合うようにすることが必要である。
【0054】
<レンズ装置120を取り付けた投影装置110の処理>
図4は、レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の一例を示すフローチャートである。本例では、投影装置110の起動時における処理の一例を説明する。
【0055】
まず、投影装置110の制御装置114は、投影装置110のレンズマウント130に接続しているレンズ装置120の情報を取得する(ステップS11)。制御装置114は、例えば、レンズ装置120の接続状態からレンズの形式情報を検出し、型式情報と対応付けられているレンズの特性情報を記憶媒体114aから取得する。
【0056】
次に、制御装置114は、ステップS11で取得したレンズ装置120の情報に基づいて、そのレンズ装置120が使用可能なレンズ装置であるか否かを判定する(ステップS12)。使用可能であるか否かの判定は、例えば、レンズ装置120の開放絞り値がその投影装置110で定められている使用可能値より大きいか否か、レンズ装置120と投影装置110の射出瞳が使用可能な値から外れているか否か、リレーレンズと撮像レンズの有効な中間像サイズが使用可能なサイズから外れているか否か等により判定する。
【0057】
ステップS12において、使用可能なレンズ装置120ではない場合(ステップS12:No)には、制御装置114は、レンズ装置120が使用できない旨をユーザに報知(ステップS13)した後、光源112aを発光させずに本処理を終了する。ユーザへの報知は、例えば、LEDの点灯等による。
【0058】
ステップS12において、使用可能なレンズ装置120である場合(ステップS12:Yes)には、制御装置114は、レンズ装置120の使用に条件が必要であるか否かを判定する(ステップS14)。必要な使用条件は、レンズ装置120の投影絞り123の絞り値以外の条件であり、例えば、ズームレンズのズーム位置の条件、フィールドレンズの追加や変更の条件等である。
【0059】
ステップS14において、使用に条件が必要である場合(ステップS14:Yes)には、制御装置114は、必要な使用条件を適用する(ステップS15)。制御装置114は、必要な使用条件を適用した後、投影絞り123を開放させることを指示する制御信号をレンズ装置120へ出力して、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にする(F値を最小にする)(ステップS16)。
【0060】
ステップS14において、使用に条件が必要ではない場合(ステップS14:No)には、制御装置114は、そのままステップS16に進み、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にする。
【0061】
次に、制御装置114は、投影装置110の光源112aを発光(ステップS17)させて本処理を終了する。
【0062】
<使用不可のレンズ装置例>
次に、投影装置110に接続するレンズ装置120として使用することができない場合の一例を以下に説明する。
【0063】
図5は、レンズの絞り値が適合していない場合の一例を示す図である。レンズ装置120に搭載されている撮像レンズの投影絞り123の絞り値と、投影装置110の投影部112に搭載されているリレーレンズの中継絞り112eの絞り値と、が適合していない場合、
図5に示すように、投影装置110のリレーレンズから投影(投射)された光は、撮像レンズの後玉レンズ125を通過した後、その光の一部が投影絞り123に照射される。一般的に、レンズ装置120における投影絞り123の耐熱性は、投影装置110における中継絞り112eの耐熱性と比較すると一般的に、ため、リレーレンズから投影される高い光量の光が照射されることは耐熱的に好ましくない。したがって、この場合のレンズ装置120は、投影装置110に接続するレンズ装置として使用できない。
【0064】
図6は、レンズの射出瞳位置が適合していない場合の一例を示す図である。レンズ装置120に搭載されている撮像レンズの射出瞳位置と、投影装置110の投影部112に搭載されているリレーレンズの射出瞳位置と、が適合していない場合、例えば
図6に示すように、投影装置110のリレーレンズから投影された光は、リレーレンズの周辺部から投影される光の主光線が撮像レンズにおける後玉レンズ125の後部マスク126に照射される。一般的に、レンズ装置120における後部マスク126の耐熱性は、レンズ装置120における投影絞り123と同様に低いことが多いため、リレーレンズから投影される高い光量の光が照射されることは耐熱的に好ましくない。したがって、この場合のレンズ装置120は、投影装置110に接続するレンズ装置として使用できない。
【0065】
<使用不可のレンズ装置であることの報知例>
次に、接続されたレンズ装置120が投影装置110のレンズ装置として使用不可であると判定された場合の報知の一例を説明する。
【0066】
図7は、投影装置110の筐体110aに設けられたLEDを用いてレンズ装置120の使用不可を報知する例を示す図である。投影装置110は、接続されたレンズ装置120が不適合な装置であると判定した場合、LED110bを点灯あるいは点滅させることによりその旨を報知する。この場合、投影装置110は、不適合の理由ごとにLED110bの点灯色を変化させてもよい。これにより、不適合なレンズ装置が取り付けられているために投影装置110を投影できないことを容易に認識させることができる。
【0067】
図8は、投影装置110からの投影画像によりレンズ装置120の使用不可を報知する例を示す図である。投影装置110は、投影部112の光源112aからの輝度を低下させ、その低下させた光で投影画像を投影することによって、接続されたレンズ装置120が不適合な装置である旨を報知する。リレーレンズからの光束の主光線がレンズ装置120の投影絞り123や後部マスク126に照射された場合でも、その輝度が投影絞り123や後部マスク126の耐え得る程度の光であれば耐熱性の面でも問題とはならない。そこで、投影装置110は、接続されたレンズ装置120を不適合な装置であると判定した場合、光源112aからの輝度を低下させ、その低下させた光により例えば
図8に示すように投影画面140上に「不適切なレンズ装置が装着されています」などの注意情報141を表示する。その表示は、例えば、黒地(光が当たらない箇所は黒色)に視感度のよい緑色(555nm前後)で示す注意情報141を投影するようにしてもよい。また、光源112aからの輝度は、例えば、最大で太陽光の光量と同程度に低下させるようにしてもよい。これにより、不適合なレンズ装置が取り付けられているために投影装置110を投影できないことをさらに容易に認識させることができる。
【0068】
<使用可能なレンズ装置例>
次に、投影装置110に接続するレンズ装置120として使用することができる場合の一例を説明する。
【0069】
図9は、レンズの射出瞳位置が適合している一例を示す図である。レンズ装置120に搭載されている撮像レンズの射出瞳位置127と、投影装置110の投影部112に搭載されているリレーレンズの射出瞳位置112fと、が適合している場合、
図9に示すように、例えば投影装置110のリレーレンズにおける周辺部から投影された光113aの主光線113bが撮像レンズにおける後玉レンズ125の後部マスク126に照射されない。したがって、この場合のレンズ装置120は、投影装置110に接続するレンズ装置として使用できる。
【0070】
<中継光学系112cの絞り制御>
次に、投影装置110の中継光学系112cに搭載されているリレーレンズの中継絞り112eの状態を変化させることによりレンズ装置120を使用可能にする場合の一例を説明する。
【0071】
図10は、リレーレンズ112gの中継絞り112eの状態を変化させる一例を示す図である。
図10の上図に示すように、レンズ装置120に搭載されている撮像レンズの投影絞り123の絞り値と、投影装置110の中継光学系112cに搭載されているリレーレンズ112gの中継絞り112eの絞り値と、が適合していない場合、リレーレンズ112gから投影された光は、撮像レンズの後玉レンズ125を通過した後、その光の一部が投影絞り123に照射される。これは、上記
図5で説明したレンズ装置120を使用することができない場合の例と同様である。
【0072】
そこで、投影装置110は、
図10の下図に示すように、リレーレンズ112gの中継絞り112eの状態を絞る方向に変化させる。これにより、リレーレンズ112gからレンズ装置120に投影される光を絞ることができ、撮像レンズの後玉レンズ125を通過した光を投影絞り123に照射されないようにする、あるいは後玉レンズ125を通過した光のうちの投影絞り123に照射される光を減少させることができる。これにより、レンズ装置120を投影装置110に接続するレンズ装置として使用可能にすることができる。
【0073】
ただし、中継絞り112eを絞る場合において、レンズ装置120における投影絞り123の状態は、開放絞りの状態であってもよいし、開放絞りの状態とは異なる状態であってリレーレンズ112gからの光が投影絞り123に照射されない範囲の絞り値の状態であってもよい。
【0074】
<フィールドレンズによる射出瞳位置の調整>
次に、レンズ装置120の撮像レンズと投影装置110のリレーレンズの間にフィールドレンズを配置することにより射出瞳位置を変化させてレンズ装置120を使用可能にする場合の一例を説明する。
【0075】
図11は、レンズ装置120の撮像レンズと投影装置110のリレーレンズの間にフィールドレンズ150(150a,150b)を配置した一例を示す図である。フィールドレンズ150は、投影装置110に取り付けられている。フィールドレンズ150は交換可能である。
【0076】
図11の上図に示すように、接続されているレンズ装置120に対してフィールドレンズ150aを取り付けた場合、レンズ装置120に搭載されている撮像レンズの射出瞳位置と、投影装置110の投影部112に搭載されているリレーレンズの射出瞳位置と、が適合しないため、フィールドレンズ150aから投影された光は、フィールドレンズ150aの周辺部から投影される光の主光線が、撮像レンズの後玉レンズ125を支持する遮光マスク128に照射される。したがって、フィールドレンズ150aは、現在接続されているレンズ装置120に対しては不適合なフィールドレンズである。
【0077】
そこで、投影装置110は、レンズ装置120における撮像レンズの射出瞳位置と、投影装置110におけるリレーレンズの射出瞳位置とに基づいて、両射出瞳位置の距離を所定値以下とすることが可能なフィールドレンズを特定する。投影装置110は、フィールドレンズを交換すればレンズ装置120を使用することが可能になる旨をユーザに報知する。
図11の下図は、フィールドレンズ150aを特定されたフィールドレンズ150bに交換した場合を示す図である。
図11の下図に示すように、フィールドレンズ150bに交換することで、レンズ装置120の射出瞳位置と投影装置110の射出瞳位置とを適合させることができ、フィールドレンズ150bの周辺部から投影された光を、後玉レンズ125を支持する遮光マスク128に照射されないようにすること、あるいはフィールドレンズ150bの周辺部から投影された光のうち遮光マスク128に照射される光を減少させることができる。これにより、レンズ装置120を投影装置110に接続するレンズ装置として使用可能にすることができる。
【0078】
なお、本例では、配置されているフィールドレンズを交換することで射出瞳位置を適合させる場合を説明したが、これに限定されない。例えば、リレーレンズと撮像レンズの間にフィールドレンズが配置されていない状態からフィールドレンズを追加する場合、あるいは配置されているフィールドレンズを取り除く場合であってもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態における投影装置110は、レンズ装置120が装着された状態で投影装置110が起動された場合に、装着されているレンズ装置120に関する情報を取得し、そのレンズ装置120を投影装置110のレンズ装置として使用可能なものであると判定した場合、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる制御を行う。この構成によれば、投影装置110側からレンズ装置120に投影される投影光がレンズ装置120の投影絞り123に照射されないようにすることができる。このため、レンズ装置120が交換されても、投影装置110からの投影光がレンズ装置120の投影絞り123に照射されることによって生じるレンズ装置120の温度上昇を抑制することができる。
【0080】
また、投影装置110によれば、投影絞り123の状態を開放方向に変化させる制御は、投影絞り123の状態を開放絞りの状態(最小の絞り値の状態)にするための制御であってもよいし、投影絞り123の状態が開放絞りの状態まで達していない絞り状態(最小の絞り値ではない状態)であってもよい。このため、投影装置110からの投影光がレンズ装置120の投影絞り123に照射されない範囲において、レンズ装置120の投影絞り123の絞り状態を調整することが可能である。
【0081】
また、投影装置110は、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放方向に変化させる制御を行った後に投影装置110の光源112aを発光させる。この構成によれば、投影装置110からの投影光がレンズ装置120の投影絞り123に照射されることによって生じるレンズ装置120の温度上昇を確実に抑えることができる。
【0082】
また、投影装置110は、装着されているレンズ装置120に関する情報を取得し、そのレンズ装置120の開放絞り値が所定値以下である条件を満たさない場合、あるいはレンズ装置120の投影光学系121における撮像レンズの射出瞳位置と投影装置110の中継光学系112cにおけるリレーレンズの射出瞳位置との距離が所定値以下である条件を満たさない場合、そのレンズ装置120を使用できないレンズ装置であると判定し、その旨をユーザに報知する。この構成によれば、開放絞り値の条件を判定することにより、投影装置110からの投影光がレンズ装置120の投影絞り123に照射するのを防ぐことができ、射出瞳位置の条件を判定することにより、投影装置110からの投影光がレンズ装置120の撮像レンズのマスク(後部マスク126,遮光マスク128)に照射するのを防ぐことができる。
【0083】
また、投影装置110は、装着されているレンズ装置120に関する情報を取得し、そのレンズ装置120が投影装置110のレンズ装置として使用可能なものであると判定した場合、中継光学系112cにおけるリレーレンズ112gの中継絞り112eの状態を絞る方向に変化させる制御を行う。この構成によれば、リレーレンズ112gからレンズ装置120に投影される投影光を絞ることができ、撮像レンズの投影絞り123に投影光を照射されないようにすることができる。これにより、レンズ装置120の温度上昇を抑制することができる。
【0084】
また、投影装置110は、装着されているレンズ装置120に関する情報を取得し、レンズ装置120の投影光学系121における撮像レンズの射出瞳位置と投影装置110の中継光学系112cにおけるリレーレンズの射出瞳位置との距離が所定値以下である条件を満たさないと判定した場合、フィールドレンズを交換すればレンズ装置120を使用することが可能になる旨をユーザに報知する。この構成によれば、レンズ装置120の射出瞳位置と投影装置110の射出瞳位置とを適合させることができ、投影装置110からの投影光をレンズ装置120の撮像レンズのマスク(後部マスク126,遮光マスク128)に照射しないようにできる。
【0085】
<投影装置110の処理の変形例>
[第1の変形例]
図12は、レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第1の変形例を示すフローチャートである。第1の変形例は、投影装置110の起動時に行う処理の変形例である。
【0086】
図12に示すように、ステップS11からステップS15までの各処理は、
図4で説明したステップS11からステップS15までの各処理と同様であるため説明を省略する。
【0087】
次に、制御装置114は、レンズ装置120の使用に条件が必要であって必要な使用条件を適用(ステップS15)した後、及びレンズ装置120の使用に条件が必要ではない場合(ステップS14:No)、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にする(F値を最小にする)ことを促すためにユーザへの報知を行う(ステップS16A)。第1の変形例では、レンズ装置120の投影絞り123をユーザの操作により開放してもらう構成となっている。
【0088】
次に、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態が開放絞りの状態になったか否かを判定する(ステップS16B)。
【0089】
ステップS16Bにおいて、投影絞り123の状態が開放絞りの状態になっていない場合(ステップS16B:No)には、制御装置114は、開放絞りの状態になるまでステップS16Bの処理を繰り返す。ステップS16Bにおいて、投影絞り123の状態が開放絞りの状態になった場合(ステップS16B:Yes)には、制御装置114は、投影装置110の光源112aを発光(ステップS17)させて本処理を終了する。
【0090】
第1の変形例による投影装置110によれば、ユーザ操作によってもレンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にすることができ、投影装置110側からレンズ装置120に投影される投影光をレンズ装置120の投影絞り123に照射されないようにすることができる。
【0091】
[第2の変形例]
図13は、レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第2の変形例を示すフローチャートである。第2の変形例は、投影装置110の起動中に行う処理の変形例である。
【0092】
まず、投影装置110の制御装置114は、投影装置110の起動中においてレンズ装置120が取り外されたか否かを判定する(ステップS10A)。制御装置114は、レンズマウント130に対する接続状態からレンズ装置120が取り外されたか否かを判定する。
【0093】
ステップS10Aにおいて、レンズ装置120が取り外されていない場合(ステップS10A:No)には、制御装置114は、ステップS10Aの処理を繰り返す。ステップS10Aにおいて、レンズ装置120が取り外された場合(ステップS10A:Yes)には、制御装置114は、投影装置110の光源112aを消灯させる(ステップS10B)。
【0094】
次に、制御装置114は、投影装置110の起動中であって光源112aを消灯させている状態において、レンズ装置120が取り付けられたか否かを判定する(ステップS10C)。
【0095】
ステップS10Cにおいて、レンズ装置120が取り付けられていない場合(ステップS10C:No)には、制御装置114は、ステップS10Cの処理を繰り返す。ステップS10Cにおいて、レンズ装置120が取り付けられた場合(ステップS10C:Yes)には、制御装置114は、接続しているレンズ装置120の情報を取得する(ステップS11)。
【0096】
なお、
図13において、ステップS11からステップS17までの各処理は、
図4で説明したステップS11からステップS17までの各処理と同様であるため説明を省略する。また、ステップS16におけるレンズ装置120の投影絞り123の開放は、ユーザ操作により行うようにしてもよい。
【0097】
第2の変形例による投影装置110によれば、投影装置110の起動中にレンズ装置120が取り外された場合、投影装置110の光源112aが消灯されるので、投影装置110からの投影光が、レンズ装置120が外されたレンズマウント130から、外部に照射するのを防ぐことができる。
【0098】
[第3の変形例]
図14は、レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第3の変形例を示すフローチャートである。第3の変形例は、投影装置110の起動時に行う処理の変形例である。
【0099】
図14に示すように、ステップS11からステップS15までの各処理は、
図4で説明したステップS11からステップS15までの各処理と同様であるため説明を省略する。
【0100】
次に、制御装置114は、レンズ装置120の使用に条件が必要であって必要な使用条件を適用(ステップS15)した後、及びレンズ装置120の使用に条件が必要ではない場合(ステップS14:No)、レンズ装置120の投影絞り123の状態を開放絞りの状態にする(F値を最小にする)とともに、投影装置110における中継光学系112cの中継絞り112eの状態を絞る方向へ変化させる(ステップS16)。
【0101】
制御装置114は、例えば、投影絞り123の状態を開放絞りの状態にしてもその開放の状態が不足している場合に中継絞り112eを絞り、リレーレンズ112gからレンズ装置120に投影される投影光を絞ることによって、その投影光が投影絞り123に照射されないようにする。また、制御装置114は、例えば、投影絞り123の状態を開放絞りの状態まで開かずに中継絞り112eを絞り、リレーレンズ112gからレンズ装置120に投影される投影光を絞ることによって、その投影光が投影絞り123に照射されないようにしてもよい。
【0102】
次に、制御装置114は、投影装置110の光源112aを発光(ステップS17)させて本処理を終了する。
【0103】
なお、本変形例のステップS16における「中継光学系の絞りを絞る」の処理は、例えば、上述した第1の変形例及び第2の変形例において同様に行ってもよい。
【0104】
第3の変形例による投影装置110によれば、レンズ装置120の投影絞り123を開放絞りの状態にする他に、投影装置110の中継絞り112eを絞ることにより、投影装置110側からレンズ装置120に投影される投影光をレンズ装置120の投影絞り123に照射されないようにすることができる。
【0105】
[第4の変形例]
図15は、レンズ装置120を取り付けた投影装置110が行う処理の第4の変形例を示すフローチャートである。第4の変形例は、投影装置110の起動時に行う処理の変形例である。
【0106】
図15に示すように、ステップS11からステップS15までの各処理は、
図4で説明したステップS11からステップS15までの各処理と同様であるため説明を省略する。
【0107】
次に、制御装置114は、レンズ装置120の使用に条件が必要であって必要な使用条件を適用(ステップS15)した後、及びレンズ装置120の使用に条件が必要ではない場合(ステップS14:No)、投影装置110における中継光学系112cの中継絞り112eの状態を絞る方向へ変化させる(ステップS16)。すなわち、制御装置114は、レンズ装置120の投影絞り123の状態はそのまま変化させないで(開放方向に変化させずに)、中継光学系112cの中継絞り112eを絞り、リレーレンズ112gからレンズ装置120に投影される投影光を絞ることによって、その投影光が投影絞り123に照射されないようにする。
【0108】
次に、制御装置114は、投影装置110の光源112aを発光(ステップS17)させて本処理を終了する。
【0109】
なお、本変形例のステップS16における「(レンズ装置120の投影絞り123はそのままの状態にして)中継光学系の絞りを絞る」の処理は、例えば、上述した第1の変形例及び第2の変形例において同様に行ってもよい。
【0110】
第4の変形例による投影装置110によれば、レンズ装置120の投影絞り123を開放絞りの状態にすることに代えて、投影装置110の中継絞り112eを絞ることにより、投影装置110側からレンズ装置120に投影される投影光をレンズ装置120の投影絞り123に照射されないようにすることができる。
【0111】
<投影装置110の構成の変形例>
図16は、投影装置110の構成の変形例を示す図である。上述した実施形態では、投影装置110を制御する制御装置114は、投影装置110の筐体110a内に設けられていたが、これに限定されない。制御装置114は、例えば、投影装置110の外部にあるパーソナルコンピュータ200に搭載されたプロセッサ201(
図17参照)であってもよい。プロセッサ201は、投影装置110における制御装置114の機能の全部を備えるものであってもよいし、一部を備えるものであってもよい。パーソナルコンピュータ200は、信号線110cを介して投影装置110と通信可能に接続されている。パーソナルコンピュータ200は、投影装置110と無線通信可能に接続されていてもよい。
【0112】
<パーソナルコンピュータ200のハードウェア構成>
図17は、パーソナルコンピュータ200のハードウェア構成の一例を示す図である。
図16に示したパーソナルコンピュータ200は、
図17に示すように、プロセッサ201と、メモリ202、通信インタフェース203と、ユーザインタフェース204と、を備える。プロセッサ201、メモリ202、通信インタフェース203、及びユーザインタフェース204は、例えばバス209によって接続される。
【0113】
プロセッサ201は、信号処理を行う回路であり、例えばパーソナルコンピュータ200の全体の制御を司るCPUである。なお、プロセッサ201は、FPGAやDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ201は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0114】
メモリ202には、例えばメインメモリ及び補助メモリが含まれる。メインメモリは、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、プロセッサ201のワークエリアとして使用される。
【0115】
補助メモリは、例えば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリには、パーソナルコンピュータ200を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてプロセッサ201によって実行される。
【0116】
また、補助メモリは、パーソナルコンピュータ200から取り外し可能な可搬型のメモリを含んでもよい。可搬型のメモリには、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブやSD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカードや、外付けハードディスクドライブなどがある。
【0117】
通信インタフェース203は、パーソナルコンピュータ200の外部(例えば投影装置110の外部通信部117)との間で通信を行う通信インタフェースである。通信インタフェース203は、プロセッサ201によって制御される。通信インタフェース203は、有線通信を行う有線通信インタフェースであってもよいし、無線通信を行う無線通信インタフェースであってもよいし、有線通信インタフェース及び無線通信インタフェースの両方を含んでもよい。
【0118】
ユーザインタフェース204は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付ける入力デバイスや、ユーザへ情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、例えばポインティングデバイス(例えばマウス)、キー(例えばキーボード)やリモコンなどにより実現することができる。出力デバイスは、例えばディスプレイやスピーカなどにより実現することができる。また、タッチパネルなどによって入力デバイス及び出力デバイスを実現してもよい。ユーザインタフェース204は、プロセッサ201によって制御される。
【0119】
なお、前述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、制御装置に含まれるものであってもよいし、制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
110 投影装置
110a 筐体
110b LED
110c 信号線
112 投影部
112a 光源
112b 光変調部
112c 中継光学系
112d,122 制御回路
112f,127 射出瞳位置
112g リレーレンズ
113a 光
113b 主光線
114 制御装置
114a 記憶媒体
116 レンズ通信部
117 外部通信部
118 操作受付部
120 レンズ装置
121 投影光学系
124 像面位置
125 後玉レンズ
126 後部マスク
128 遮光マスク
130 レンズマウント
141 注意情報
150,150a,150b フィールドレンズ
200 パーソナルコンピュータ
201 プロセッサ
202 メモリ
203 通信インタフェース
204 ユーザインタフェース
209 バス