(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108844
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】振動制御装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/31 20060101AFI20240805BHJP
F16F 15/131 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F16F15/31 G
F16F15/131
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013446
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(71)【出願人】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】田川 泰敬
(72)【発明者】
【氏名】田上 将治
(57)【要約】
【課題】制御方法を改善した振動制御装置を提供する。
【解決手段】被制御物100に取付けられて、被制御物の振動を抑制する振動制御装置1であって、被制御物に取付けられる支持部材10と、支持部材に取付けられ、第1面28aA上で第1軸O1回りの第1向きD1に回転する第1錘15Aと、支持部材に取付けられ、第1面と平行な第2面28aB上で第2軸O2回りの第1向きとは反対の第2向きD2に回転し、第1錘の質量に等しい質量を有する第2錘15Bと、被制御物の状態を検出する検出部20と、第1錘及び第2錘を回転駆動する制御部25と、を備え、制御部は、検出部の検出した被制御物の状態の変化に応じて作成した制御信号を用いて、第1錘及び第2錘の回転を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御物に取付けられて、前記被制御物の振動を抑制する振動制御装置であって、
前記被制御物に取付けられる支持部材と、
前記支持部材に取付けられ、第1面上で第1軸回りの第1向きに回転する第1錘と、
前記支持部材に取付けられ、前記第1面と平行な第2面上で第2軸回りの前記第1向きとは反対の第2向きに回転し、前記第1錘の質量に等しい質量を有する第2錘と、
前記被制御物の状態を検出する検出部と、
前記第1錘及び前記第2錘を回転駆動する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出部の検出した前記被制御物の前記状態の変化に応じて作成した制御信号を用いて、前記第1錘及び前記第2錘の回転を制御する、振動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出部が検出した検出信号の正負に応じて被制御2値信号を出力する被制御2値化部と、
前記第1錘及び前記第2錘の回転に応じて、前記制御信号である錘2値信号を出力する錘2値化部と、
前記第1錘及び前記第2錘の回転速度を制御する速度制御部と、
前記被制御2値信号及び前記錘2値信号が互いに一致するように、前記速度制御部により前記第1錘及び前記第2錘の回転速度を制御する一致制御部と、
を有する、請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項3】
前記第1軸と前記第1錘との第1距離を調節する第1調節部と、
前記第2軸と前記第2錘との第2距離を調節する第2調節部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1調節部及び前記第2調節部を制御し、前記第1距離及び前記第2距離が互いに等しい状態を保ちつつ変化するように制御する、請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項4】
前記支持部材に取付けられ、第3面上で第3軸回りの前記第1向きに回転する第3錘と、
前記支持部材に取付けられ、前記第3面と平行な第4面上で第4軸回りの前記第2向きに回転し、前記第3錘の質量に等しい質量を有する第4錘と、
を備え、
前記制御部は、前記第1錘に対する前記第3錘の位相差と、前記第2錘に対する前記第4錘の位相差とが、互いに等しくなるように、前記第1錘、前記第2錘、前記第3錘、及び前記第4錘の回転を制御する、請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項5】
前記第1軸と前記第1錘との距離と、前記第2軸と前記第2錘との距離とが互いに等しい、請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
自身の前記第1面上で前記第1錘を載置し、前記第1軸回りを回転する第1支持部材と、
自身の前記第2面上で前記第2錘を載置し、前記第2軸回りを回転する第2支持部材と、
を有する、請求項1又は3に記載の振動制御装置。
【請求項7】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、外周に外歯を有する円板であり、
前記第1支持部材の前記外歯と前記第2支持部材の前記外歯とが嵌め合うことで、互いに連動する、請求項6に記載の振動制御装置。
【請求項8】
前記第1錘と前記第2錘とは、前記第1軸と前記第2軸を含む面に垂直な面に対し面対称に位置する、請求項1に記載の振動制御装置。
【請求項9】
前記被制御物の前記状態は、前記被制御物の変位、速度、及び加速度の少なくとも一つである、請求項1に記載の振動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高層建物等の振動を抑制する代表的な振動制御装置として、屋上等に可動質量(錘)を設置しその反力で建物の振動を抑えるマスダンパ(Mass Damper)がある。マスダンパは、可動質量をばねとダンパを介して制振対象と接続するTuned Mass Damper(以下ではTMDと言う)と、可動質量をアクチュエータを介して制振対象と接続する Active Mass Damper(以下ではAMDと言う)とに分類される。
【0003】
AMDでは、可動質量がアクチュエータで駆動するため、TMDより大きな反力を発生できる。このため、AMDでは、より高い制振効果を実現できる。AMDは、可動質量、アクチュエータ、制御装置、制御を行うためのセンサ等から構成される。
また、TMDとAMDの両方の特徴を合わせもつ、Semiactive Mass Damper、あるいは、Hybrid Mass Damper等も提案されている。いずれも可動質量は、リニアガイドに代表される直動機構を有している(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、リニアガイドにより可動質量を往復移動させている。
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示された振動制御装置では、リニアガイドにおける移動範囲の第1端まで可動質量が移動すると、可動質量をリニアガイドにおける移動範囲の第2端に向かって移動させなければならず、被制御物の制振を連続的に行うことができないという問題がある。
【0005】
そこで、発明者等は、一対の錘をそれぞれ所定の軸回りに逆向きに回転させる振動制御装置を提案した(例えば、非特許文献2参照)。具体的には、所定の平面上で、第1錘を第1軸回りに回転させるとともに、第2錘を第2軸回りに、第1錘と同じ回転速度で逆回りに回転させる。一対の錘が回転する位相を調節することで、前記平面上において、一対の軸が並ぶ方向に対して直交する方向に、被制御物の制振を連続的に行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Akira Nishitani, Yutaka Inoue, “Overview of the application of active/semiactive control to building structures in Japan”, Earthquake Engineering and Structural Dynamics, 2001, 30, p.1565-1574
【非特許文献2】法華津依吹、田川泰敬、「遠心力を利用したアクティブ動吸振器による構造物の制振」、一般社団法人 日本機械学会、Dynamics and Design Conference 2018 講演論文集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献2の振動制御装置における制御方法には、改善の余地がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、制御方法を改善した振動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、被制御物に取付けられて、前記被制御物の振動を抑制する振動制御装置であって、前記被制御物に取付けられる支持部材と、前記支持部材に取付けられ、第1面上で第1軸回りの第1向きに回転する第1錘と、前記支持部材に取付けられ、前記第1面と平行な第2面上で第2軸回りの前記第1向きとは反対の第2向きに回転し、前記第1錘の質量に等しい質量を有する第2錘と、前記被制御物の状態を検出する検出部と、前記第1錘及び前記第2錘を回転駆動する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部の検出した前記被制御物の前記状態の変化に応じて作成した制御信号を用いて、前記第1錘及び前記第2錘の回転を制御する、振動制御装置である。
【0010】
(2)本発明の態様2は、前記制御部は、前記検出部が検出した検出信号の正負に応じて被制御2値信号を出力する二値化部と、前記第1錘及び前記第2錘の回転に応じて、前記制御信号である錘2値信号を出力する二値化信号出力と、前記第1錘及び前記第2錘の回転速度を制御する速度制御部と、前記被制御2値信号及び前記錘2値信号が互いに一致するように、前記速度制御部により前記第1錘及び前記第2錘の回転速度を制御する一致制御部と、を有する、(1)に記載の振動制御装置であってもよい。
【0011】
(3)本発明の態様3は、前記第1軸と前記第1錘との第1距離を調節する第1調節部と、前記第2軸と前記第2錘との第2距離を調節する第2調節部と、を備え、前記制御部は、前記第1調節部及び前記第2調節部を制御し、前記第1距離及び前記第2距離が互いに等しい状態を保ちつつ変化するように制御する、(1)に記載の振動制御装置であってもよい。
【0012】
(4)本発明の態様4は、前記支持部材に取付けられ、第3面上で第3軸回りの前記第1向きに回転する第3錘と、前記支持部材に取付けられ、前記第3面と平行な第4面上で第4軸回りの前記第2向きに回転し、前記第3錘の質量に等しい質量を有する第4錘と、を備え、前記制御部は、前記第1錘に対する前記第3錘の位相差と、前記第2錘に対する前記第4錘の位相差とが、互いに等しくなるように、前記第1錘、前記第2錘、前記第3錘、及び前記第4錘の回転を制御する、(1)に記載の振動制御装置であってもよい。
【0013】
(5)本発明の態様5は、前記第1軸と前記第1錘との距離と、前記第2軸と前記第2錘との距離とが互いに等しい、(1)から(4)のいずれか一に記載の振動制御装置であってもよい。
(6)本発明の態様6は、前記制御部は、自身の前記第1面上で前記第1錘を載置し、前記第1軸回りを回転する第1支持部材と、自身の前記第2面上で前記第2錘を載置し、前記第2軸回りを回転する第2支持部材と、を有する、(1)から(5)のいずれか一に記載の振動制御装置であってもよい。
【0014】
(7)本発明の態様7は、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、外周に外歯を有する円板であり、前記第1支持部材の前記外歯と前記第2支持部材の前記外歯とが嵌め合うことで、互いに連動する、(6)に記載の振動制御装置であってもよい。
(8)本発明の態様8は、前記第1錘と前記第2錘とは、前記第1軸と前記第2軸を含む面に垂直な面に対し面対称に位置する、(1)から(7)のいずれか一に記載の振動制御装置であってもよい。
【0015】
(9)本発明の態様9は、前記被制御物の前記状態は、前記被制御物の変位、速度、及び加速度の少なくとも一つである、(1)から(8)のいずれか一に記載の振動制御装置であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の振動制御装置では、制御方法を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態の振動制御装置の斜視図である。
【
図2】同振動制御装置における要部の平面図である。
【
図3】同振動制御装置における制御部の制御ブロックを示す図である。
【
図4】各信号を示す図であり、(A)は被制御2値信号であり、(B)は錘2値信号であり、(C)は被制御2値信号と錘2値信号との重ね合わせである。
【
図5】検出信号及び被制御2値信号の一例を示す図である。
【
図6】時間に対する、ロータリーエンコーダのカウント値及び錘2値信号の変化を示す図である。
【
図7】時間に対する、被制御2値信号及び錘2値信号の変化を示す図である。
【
図8】時間に対する、各種加速度の変化を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態の振動制御装置の要部の平面図である。
【
図10】同振動制御装置における制御部の制御ブロックを示す図である。
【
図11】同振動制御装置において、錘が移動したときの平面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態の振動制御装置の要部の平面図である。
【
図13】同振動制御装置における制御部の制御ブロックを示す図である。
【
図14】角度θ
0が0度の場合における、発生力及び合力を示す図である。
【
図15】角度θ
0が60度の場合における、発生力及び合力を示す図である。
【
図16】角度θ
0が120度の場合における、発生力及び合力を示す図である。
【
図17】角度θ
0が180度の場合における、発生力及び合力を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態の変形例における振動制御装置の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る振動制御装置の第1実施形態を、
図1から
図8を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の振動制御装置1は、実験用として、多層建築物等に見立てた被制御物100に取付けられている。以下では、まず、被制御物100について説明する。
被制御物100の構成は、限定されない。例えば、被制御物100は、支持材101と、複数の平行平板102と、を備える。
例えば、支持材101は、平面視で矩形状を呈する板状に形成されている。
複数の平行平板102は、薄板状に形成されている。複数の平行平板102は、平面視における支持材101の各隅部から上方に向かって延びている。
【0019】
被制御物100は、架台105により、基台の上面等の支持面F1上で支持されている。
架台105の構成は、限定されない。例えば、架台105は、複数の梁106と、複数の柱107と、を有する。
複数の梁106は、水平面に沿う所定の面上で、額縁状に配置されている。複数の平行平板102の上端部は、複数の梁106に固定されている。
複数の柱107は、複数の梁106の各隅部から下方に向かって延びている。複数の柱107の下端部は、支持面F1に固定されている。
被制御物100及び架台105は、例えば鋼材等で形成される。
【0020】
なお、振動制御装置1は、実際には、被制御物としての多層建築物110の屋上や最上層(階)に取付けられる。
図1では、被制御物110を二点鎖線で示している。以下では、架台105により支持された被制御物100に取付けられた振動制御装置1について説明する。
【0021】
振動制御装置1は、被制御物100の振動を抑制する。
図1及び
図2に示すように、振動制御装置1は、支持部材10と、第1錘15Aと、第2錘15Bと、検出部20と、制御部25と、を備える。
支持部材10の構成は、限定されない。支持部材10は、被制御物100に取付けられる。この例では、支持部材10は、天板11と、一対の脚部12と、を有する。
天板11は、平面視で矩形状を呈する板状に形成されている。天板11は、被制御物100の支持材101の上方に、支持材101に沿って配置されている。
一対の脚部12は、平面視における天板11の一対の隅部から下方に向かって延びている。一対の脚部12の下端部は、支持材101に取付けられている。
【0022】
第1錘15Aの質量及び第2錘15Bの質量は、互いに等しい。言い換えれば、第2錘15Bは、第1錘15Aの質量に等しい質量を有する。第1錘15Aの形状及び第2錘15Bの形状は、互いに等しいことが好ましい。
図1に示すように、検出部20は、被制御物100の状態を検出するセンサである。ここで言う被制御物100の状態とは、被制御物100の変位(振動)、速度、加速度等の少なくとも一つを意味する。検出部20には、公知の加速度センサ等を用いることができる。例えば、検出部20は、被制御物100の支持材101の上面に取付けられている。検出部20は、検出した検出信号を、制御部25に送る。
【0023】
制御部25は、第1錘15A及び第2錘15Bを回転駆動する。
図1及び
図3に示すように、制御部25は、駆動部26と、被制御2値化部36と、錘2値化部37と、一致制御部38と、速度制御部39と、を有する。
図1及び
図2に示すように、駆動部26は、モータ27と、第1支持円板(第1支持部材)28Aと、第2支持円板(第2支持部材)28Bと、支持軸29と、を有する。
モータ27には、ステッピングモータ、サーボモータ等が用いられる。モータ27は、本体27aと、出力軸(ロータ)27bと、を有する。
本体27aは、支持部材10の天板11の下面に固定されている。本体27aは、出力軸27bを、出力軸27bの軸線回りの所定の向きに回転させる。
出力軸27bは、本体27aから上方に向かって、延びている。出力軸27bは、天板11よりも上方に突出している。
モータ27には、出力軸27bの回転角度を検出する、図示しないロータリーエンコーダが設けられている。ロータリーエンコーダは、制御部25の後述する錘2値化部37に接続されている。
【0024】
第1支持円板28A及び第2支持円板28Bは、互いに同一の形状である。第1支持円板28Aの側面、及び第2支持円板28Bの側面には、図示しない外歯が形成されている。すなわち、第1支持円板28A及び第2支持円板28Bは、それぞれ外周に外歯を有する円板である。第1支持円板28A及び第2支持円板28Bは、水平面に沿う所定の面上に配置され、互いに嵌め合っている。第1支持円板28Aの外歯と第2支持円板28Bの外歯とが嵌め合うことで、第1支持円板28A及び第2支持円板28Bが互いに連動する。
第1支持円板28Aは、モータ27の出力軸27bの上端部に、出力軸27bと同軸に固定されている。第1支持円板28A及び出力軸27bそれぞれの中心軸が、第1軸O1である。
【0025】
第1錘15Aは、第1支持円板28Aの上面である第1面28aAにおける外縁側に固定されている。第1錘15Aの重心は、第1軸O1から離間している。第1錘15Aは、第1支持円板28A及びモータ27を介して、支持部材10の天板11に取付けられている。第1支持円板28Aは、自身の第1面28aA上で第1錘15Aを載置し、第1軸O1回りを回転する。
第2錘15Bは、第2支持円板28Bの上面である第2面28aBにおける外縁側に固定されている。第2面28aBは、第1面28aAと平行である。第1面28aA及び第2面28aBは、同一面上に配置されていることが好ましい。
【0026】
支持軸29の上端部は、第2支持円板28Bに取付けられている。支持軸29は、第2支持円板28Bと同軸に配置されている。第2支持円板28B及び支持軸29それぞれの中心軸が、第2軸O2である。支持軸29は、公知の機構により、第2支持円板28Bを第2軸O2回りに回転可能に支持している。第2軸O2は、第1軸O1と平行である。
第2錘15Bと第2軸O2との距離は、第1錘15Aと第2軸O2第1軸O1との距離に等しい。
支持軸29の下端部は、天板11に固定されている。第2錘15Bは、第2支持円板28B及び支持軸29を介して支持部材10の天板11に取付けられている。第2支持円板28Bは、自身の第2面28aB上で第2錘15Bを載置し、第2軸O2回りを回転する。
第1錘15Aは、第1面28aA上で第1軸O1回りの第1向きD1に回転する。第2支持円板28Bは第1支持円板28Aに歯車などを介して嵌め合っているため、第2錘15Bは、第2面28aB上で第2軸O2回りの第1向きD1とは反対の第2向きD2に回転する。
【0027】
ここで、
図2に示すように、第1軸O1及び第2軸O2からそれぞれ等しい距離に配置された面を、基準面S1と規定する。基準面S1は、第1軸O1と第2軸O2を含む面に垂直な面である。第1錘15A及び第2錘15Bは、基準面S1に対して面対称になるように配置されている(面対称に位置する)。
第1錘15Aの第1軸O1回りの回転速度、及び第2錘15Bの第2軸O2回りの回転速度は、互いに同一である。
【0028】
例えば、モータ27を駆動すると、
図2に示すように、第1錘15A、第2錘15Bは、基準面S1に対して面対称になるように配置されている状態を保ちつつ、面28aA,28aB上で第1向きD1、第2向きD2にそれぞれ回転する。このため、錘15A,15Bの遠心力による合力としては、基準面S1に直交する方向の力は打ち消され、面28aA,28aB上であって、基準面S1に沿う合力F6が作用する。
錘15A,15B、支持円板28A,28Bにより、二重反転偏心重錘機構が構成される。
【0029】
図3に示すように、被制御2値化部36は、LPF(低域通過フィルタ)、及びヒステリシスコンパレータを有する。検出部20が検出した検出信号は、重畳する雑音を除去するためLPFにより処理される。その後、検出信号は、不感帯を持つヒステリシスコンパレータにより正値が1、負値が0となるよう2値化される。この2値化された信号が、
図4(A)に示す被制御2値信号(加速度パルス信号、制御信号)L1である。なお、
図4(A)における横軸は、時間(s:秒)である。
被制御2値化部36は、検出部20が検出した検出信号の正負に応じて被制御2値信号L1を出力する。
【0030】
図3に示すように、錘2値化部37は、パルス再現器37aと、疑似微分器37bと、を有する。パルス再現器37aは、モータ27のロータリーエンコーダから得られるモータ27の出力軸27bの回転角度に基づいて、
図4(B)に示す錘2値信号(再現回転パルス信号)L2、及び回転速度情報を作り出す。錘2値信号L2は、例えば、偏心した錘15A,15Bの1回転を1周期とするパルス信号である。錘15A,15Bが所定の向きを向いたとき錘2値信号L2が1となり、そこから半回転後に錘2値信号L2が0となる。
回転速度情報は、疑似微分器37bにより得られる。
【0031】
図3に示すように、一致制御部38は、平滑化器38aと、PI制御器38bと、を有する。
平滑化器38aの入口で、
図4(C)に示すように、被制御2値信号L1と錘2値信号L2との差(以下では、差分信号と言う)を取る。例えば、差分信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号となる。差分信号を、低域通過フィルタを有する平滑化器38aで平滑化する。
【0032】
平滑化された差分信号を位相差フィードバック信号とし、被制御2値信号L1と錘2値信号L2との目標位相差と、位相差フィードバック信号との差を、PI制御器38bに与える。PI制御器38bは、PI(Proportional-Integral)制御を行う。
また、この例では、目標位相差を0とした。これは、被制御2値信号L1と錘2値信号L2とを一致させる(位相差を0にする)ためである。
錘2値化部37は、第1錘15A及び第2錘15Bの回転に応じて、錘2値信号L2を出力する。
PI制御器38bの出力(位相差)を、モータ27の目標回転速度とする。モータ27の回転速度は、前記疑似微分器37bから得られる。
【0033】
速度制御部39は、PID制御器39aと、モータドライバ39bと、を有する。
PID制御器39aは、モータ27の目標回転速度、及びモータ27の回転速度の2つから、PID(Proportional-Integral-Differential)制御により、モータ27の回転速度をフィードバック制御する。なお、第1錘15A及び第2錘15Bを適切に回転制御できれば、PI制御器38bにおける制御はPID制御でなくてもよい。
モータドライバ39bは、PID制御器39aからの出力に基づいて、モータ27を駆動して、第1錘15A及び第2錘15Bの回転速度を制御する。
【0034】
一致制御部38は、被制御2値信号L1及び錘2値信号L2が互いに一致するように、速度制御部39により第1錘15A及び第2錘15Bの回転速度を制御する。
制御部25は、検出部20の検出した状態の変化に応じて作成した錘2値信号L2を用いて、第1錘15A及び第2錘15Bの回転を制御する。
【0035】
被制御2値信号L1及び錘2値信号L2が互いに一致すると、被制御物100には、その速度とは逆方向に、錘15A,15Bによる遠心力が作用する。このため、被制御物100は、減衰する。
【0036】
〔実験結果〕
ここで、振動制御装置1による実験結果について説明する。
図5において、線L6は、検出部20が検出した加速度である検出信号である。線L7は、被制御2値信号L1である。検出信号が正値の場合には被制御2値信号L1は1であり、検出信号が負値の場合には被制御2値信号L1は0であることが分かる。
図6に、パルス再現器37aの動作を示す。実線による線L9は、モータ27のロータリーエンコーダのカウント値である。例えば、ロータリーエンコーダは、出力軸27bが1回転すると、8192パルスをカウントする。
点線による線L10は、このカウント値の上半分の値(4096~8192)では0を、下半分の値(0~4095)では1を取るようにした信号を表している。線L10が、錘2値信号L2となる。
【0037】
図7に、疑似微分器37bにより、線L7による被制御2値信号L1と、線L10による錘2値信号L2と、が同期していく様子を示す。実験開始後、0秒(s)から3秒程度までは、2値信号L1,L2の位相は、全く同期していない。しかし、3秒から8秒程度で、2値信号L1,L2の位相が揃いはじめ、8秒以降では、2値信号L1,L2の位相はほぼ完全に同期している(重なっている)。
【0038】
図8に、振動制御装置1による効果の一例を示す。なお、
図8では、線を間引いて示している。
線L13は、振動制御装置1による制御を行わない場合の、被制御物100の加速度を表す。線L14は、被制御物100の質量の1%程度の質量を有する錘15A,15Bを備える振動制御装置1を用いて制御した場合の、被制御物100の加速度を表す。線L15は、被制御物100の質量の3%程度の質量を有する錘15A,15Bを備える振動制御装置1を用いて制御した場合の、被制御物100の加速度を表す。
振動制御装置1による制御を行わない場合には、線L13で示すように、被制御物100の振動の減衰が大変遅いことが分かる。
一方で、振動制御装置1による制御を行わない場合には、線L14,L15で示すように、振動減衰時間が大幅に短縮されることが分かる。そして、錘15A,15Bの質量が大きいほど、振動減衰時間が短縮されることが分かる。
【0039】
〔振動制御装置の運動解析〕
振動制御装置1の運動方程式は、(1)式で表される。
【0040】
【0041】
ここで、(1)式中の記号の定義は、以下のようである。
Jは、二重反転偏心重錘機構の重心周りの慣性モーメントである。Jmは、モータ27のロータの慣性モーメントである。nは、モータ27と二重反転偏心重錘機構との間の歯車減速機の速度伝達比である。rは、軸O1,O2と錘15A,15Bとの距離である。mは、二重反転偏心重錘機構の質量である。φは、二重反転偏心重錘機構の回転角度である。
x・・(「x」の上に「・・」が記載された記号。以下の表記も同様とする。)は、支持面F1に対する被制御物100の相対加速度である。x・・
dは、地震動等による支持面F1の絶対加速度である。Tは、二重反転偏心重錘機構に加わるモータ27のトルクである。Cmは、モータ27の軸受部の粘性減衰係数である。
【0042】
さらに、二重反転偏心重錘機構を含む被制御物100の運動方程式は、(2)式となる。被制御物100の変位が微小な場合は、その運動は、ばね-質量-ダンパ系の運動方程式と等価な微分方程式となる。このため、ここではそのように置き換えて扱っている。
【0043】
【0044】
ここで、(2)式中の記号の定義は、以下のようである。
Mは、被制御物100の質量である。Cは、粘性減衰係数である。Kは、ばね定数である。
(2)式の右辺の第1項が、二重反転偏心重錘機構によって加えられる力を表している。錘15A,15Bの回転速度が一定値に落ち着いた後は、φ・・はゼロになる。
(2)式は、被制御物100には回転速度の自乗で決まる大きさの力が回転角度に応じて作用することを示している。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の振動制御装置1では、制御部25は、検出部20の検出結果に位相が一致するように作成した錘2値信号L2を用いて、第1錘15A及び第2錘15Bの回転を制御する。従って、フィードバック制御により第1錘15A及び第2錘15Bの回転を制御するため、振動制御装置1における制御方法を改善することができる。
制御部25は、駆動部26、被制御2値化部36、錘2値化部37、一致制御部38、及び速度制御部39を有する。このため、被制御2値信号L1及び錘2値信号L2に基づいて、一致制御部38及び速度制御部39により、2値信号L1、L2の位相を効率的に一致させることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図9から
図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9及び
図10に示すように、本実施形態の振動制御装置2は、振動制御装置1の各構成において、さらに第1調節部45A、第2調節部45Bを備え、また、制御部25に代わる制御部50を備えている。
図示はしないが、例えば、第1調節部45Aは、リニアガイド、モータ等で構成されている。
図9に示すように、第1調節部45Aは、第1支持円板28Aの第1面28aAに固定されている。第1調節部45Aは、第1軸O1と第1錘15Aとの第1距離D6を調節する。
第2調節部45Bは、第1調節部45Aと同様に構成されている。第2調節部45Bは、第2支持円板28Bの第2面28aBに固定されている。第2調節部45Bは、第2軸O2と第2錘15Bとの第2距離D7を調節する。
本実施形態では、二重反転偏心重錘機構には、調節部45A,45Bが含まれる。
【0047】
図9では、錘15A,15Bは、面28aA,28aBにおける外縁側にそれぞれ配置されている。
一方で、
図11では、調節部45A,45Bにより移動されることで、錘15A,15Bは、面28aA,28aBにおける軸O1,O2外縁側にそれぞれ配置されている。
二重反転偏心重錘機構で発生する力は、(2)式の右辺の第1項で与えられる。(2)式より、距離rを変更することで振動制御力を調整できる。
【0048】
図10に示すように、制御部50は、制御部25の各構成に加えて、距離制御部51を有する。距離制御部51は、調節部45A,45Bを駆動して、第1距離D6及び第2距離D7をそれぞれ調節する。距離制御部51には、目標位相差と位相差フィードバック信号との差に関する、PI制御器38bの出力(位相差)が入力される。
距離制御部51による距離D6,D7の調節は、モータ27による錘15A,15Bによる回転速度の調節と、独立して行うことができる。
【0049】
例えば、振動制御装置2による制御の当初では、距離D6,D7を比較的短くする。これは、錘15A,15Bの回転の位相と被制御物100の振動の位相とが一致するまでは、振動制御装置2による制御が加振力となってしまうため、振動制御装置2(二重反転偏心重錘機構)による力の発生は抑えたいためである。
例えば、距離制御部51は、PI制御器38bの出力が、予め定められた位相差閾値よりも小さくなると(被制御2値信号L1と錘2値信号L2とが一致すると)、調節部45A,45Bを駆動して距離D6,D7を長くする。
【0050】
以上のように、制御部50は、第1調節部45A及び第2調節部45Bを制御し、第1距離D6及び第2距離D7が互いに等しい状態を保ちつつ変化するように制御する。
検出部20等により、被制御物100の振動が十分に小さくなったことが検出された場合には、制御部50による制御(モータ27の駆動)を停止する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の振動制御装置2では、振動制御装置2における制御方法を改善することができる。
さらに、被制御物100の振動等に応じて、振動制御装置3により生じる振動制御力を調整することができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図12から
図17を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12及び
図13に示すように、本実施形態の振動制御装置3は、振動制御装置1の各構成において、さらに第3錘15C、第4錘15Dを備え、また、制御部25に代えて、制御部55を備える。
図12に示すように、第3錘15C及び第4錘15Dは、第1錘15Aと同様に構成されている。すなわち、第4錘15Dは、第3錘15Cの質量に等しい質量を有する。
【0053】
制御部55は、制御部25の駆動部26に代えて、駆動部56を有する。
駆動部56は、駆動部26の各構成に加えて、第3支持円板28C、第4支持円板28Dを有する。第3支持円板28C及び第4支持円板28Dは、第1支持円板28Aと同様に構成されている。
支持円板28C,28Dは、支持円板28A,28Bと同一の面上に配置され、互いに嵌め合っている。第3支持円板28Cの上面である第3面28aCは、第4支持円板28Dの上面である第4面28aDと平行である。
第3支持円板28Cには、図示しないギア機構により、モータ27による駆動力が伝達される。
【0054】
第3錘15Cは、第3支持円板28Cの第3面28aCにおける外縁側に固定されている。第3錘15Cは、第3支持円板28C及び図示しない支持軸を介して、支持部材10の天板11に取付けられている。
第4錘15Dは、第4支持円板28Dの第4面28aDにおける外縁側に固定されている。第4錘15Dは、第4支持円板28D及び図示しない支持軸を介して支持部材10の天板11に取付けられている。
第3錘15Cは、第3面28aC上で、第3支持円板28Cの中心軸である第3軸O3回りの第1向きD1に回転する。第4錘15Dは、第4面28aD上で、第4支持円板28Dの中心軸である第4軸O4回りの第2向きD2に回転する。
【0055】
ここで、第3軸O3及び第4軸O4からそれぞれ等しい距離に配置された面を、基準面S2と規定する。第3錘15C及び第4錘15Dは、基準面S2に対して面対称になるように配置されている。基準面S2は、基準面S1と平行である。
第3錘15Cの第3軸O3回りの回転速度、及び第4錘15Dの第4軸O4回りの回転速度は、第1錘15Aの第1軸O1回りの回転速度と同一である。
ここで、第1軸O1と第1錘15Aとを結ぶ線と、第3軸O3と第3錘15Cとを結ぶ線とのなす角度を、θCと規定する。第2軸O2と第2錘15Bとを結ぶ線と、第4軸O4と第4錘15Dとを結ぶ線とのなす角度を、θDと規定する。
角度θC及び角度θDは、互いに等しい(以下では、角度θ0と言う)。
【0056】
以下では、錘15A,15Bをマスター錘と言い、錘15C,15Cをスレーブ錘と言う。
本実施形態では、二重反転偏心重錘機構は、錘15A,15B,15C,15D、支持円板28A,28B,28C,28Dにより構成される。
【0057】
二重反転偏心重錘機構で発生する力は、(2)式の右辺の第1項で与えられる。
錘15A,15B,15C,15Dの回転速度が一定値であったとすると、φ・・が0であるのため、二重反転偏心重錘機構で発生する力は、(5)式で与えられる。
【0058】
【0059】
錘15A,15Bと錘15C,15Dとの間に角度θ0をつけた場合、錘15A,15B,15C,15Dを有する二重反転偏心重錘機構で発生する力は、(6)式となる。
【0060】
【0061】
ここで、角度θ0を180度とすると、(7)式となる。
【0062】
【0063】
これにより、二重反転偏心重錘機構で発生する力の大きさをゼロにすることができる。
【0064】
図13に示すように、制御部55は、制御部25の各構成に加えて、位相制御部61を有する。位相制御部61は、スレーブ速度制御器62と、疑似微分器63と、マスター-スレーブ位相差制御器64と、を有する。
錘15A,15B,15C,15Dの回転速度を同一にするため、PI制御器38bからの出力が分岐されている。
スレーブ速度制御器62は、速度制御部39と同様に構成されている。疑似微分器63は、疑似微分器37bと同様に構成されている。
【0065】
本実施形態では、マスター錘である錘15A,15Bの回転角度φ1と、スレーブ錘である錘15C,15Cの回転角度φ2との差である(φ1-φ2)を角度θ0に一致させる必要がある。
そこで、(φ1-φ2)をフィードバック信号、角度θ0を目標値とする、マスター-スレーブ位相差制御器(CPhase)64を、位相制御部61が有するとした。スレーブ位相差制御器64の出力は、スレーブ速度制御器62のモータドライバへの入力に足し込まれる。
(φ1-φ2)が角度θ0に一致すると、スレーブ位相差制御器64の出力がゼロとなる。振動制御装置3は、マスター錘及びスレーブ錘の2系統の独立した回転速度制御系として動作する。
【0066】
制御部55は、第1錘15Aに対する第3錘15Cの位相差(角度θC)と、第2錘15Bに対する第4錘15Dの位相差(角度θDとが、互いに等しくなるように、第1錘15A、第2錘15B、第3錘15C、及び第4錘15Dの回転を制御する。
【0067】
図14から
図17に、角度θ
0を0度から180度まで60度刻みで変えた場合の、二重反転偏心重錘機構の発生力(1Hzで振幅1Nの正弦波)と、その合成の結果を示す。
図14から
図17において、(A)はマスター錘及びスレーブ錘それぞれによる発生力を表し、(B)はマスター錘の発生力とスレーブ錘の発生力との合力を表す。
図14から
図17から、角度θ
0を調整することで振幅を2N~0Nまで任意に調整できることが分かる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の振動制御装置4では、振動制御装置4における制御方法を改善することができる。
さらに、位相差を調整することで、振動制御装置4の発生力を調整することができる。
【0069】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、
図18に示す振動制御装置4のように、振動制御装置1において、第1錘70A及び第2錘70Bの質量をそれぞれ調整できるように構成してもよい。
【0070】
(変形例)
第1錘70Aは、複数の第1錘片70aAにより構成されている。複数の第1支持円板28Aは、上下方向に重ねて配置されている。各第1錘片70aAは、第1支持円板28Aの第1面28aAにおける外縁側に固定されている。
上下方向に隣り合う一対の第1支持円板28Aは、クラッチ71Aにより接続されている。クラッチ71Aは、一対の第1支持円板28Aの第1軸O1回りの相対的な回転を固定した固定状態と、一対の第1支持円板28Aの第1軸O1回りの相対的な回転を許容した可動状態と、とに切り替えることができる。クラッチ71Aを固定状態にすると、モータ27により回転される第1錘片70aAの数が増える。
【0071】
第2錘70Bも、第1錘70Aと同様に、複数の第2錘片70aBにより構成されている。
【0072】
例えば、前記第1実施形態から第3実施形態及び変形例では、制御信号は、被制御2値信号L1に限定されず、アナログ信号等でもよい。この場合、制御部は、被制御2値化部36及び錘2値化部37を有さない。
【符号の説明】
【0073】
1,2,3,4 振動制御装置
10 支持部材
15A,70A 第1錘
15B,70B 第2錘
15C 第3錘
15D 第4錘
20 検出部
25,50,55 制御部
28aA 第1面
28aB 第2面
28A 第1支持円板(第1支持部材)
28B 第2支持円板(第2支持部材)
36 被制御2値化部
37 錘2値化部
38 一致制御部
39 速度制御部
45A 第1調節部
45B 第2調節部
100,110 被制御物
D1 第1向き
D2 第2向き
L2 錘2値信号(制御信号)
O1 第1軸
O2 第2軸
S1 基準面(第1軸と第2軸を含む面に垂直な面)