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特開2024-108855メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108855
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20240805BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01R43/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013465
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】八木 三郎
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
【Fターム(参考)】
5E051LA03
5E051LA04
5E051LB03
5E085BB02
5E085BB11
5E085BB21
5E085DD04
5E085FF08
5E085HH12
5E085JJ06
5E085JJ50
(57)【要約】
【課題】電線を接続する工程で、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】メス型端子10は、オス型端子6のブレード7に当接するバネ部材20と、バネ部材20が固定される基台部30と、電線3が接続される電線接続板部40とを有し、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40との溶接部60が設けられた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス型端子に当接するバネ部材と、
前記バネ部材が固定される基台部と、
電線が接続される電線接続板部とを有し、
前記バネ部材が固定された状態の前記基台部と前記電線が接続された状態の前記電線接続板部との溶接部が設けられた
メス型端子。
【請求項2】
前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部の重畳部分に設けられた
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項3】
前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部の突合形状に沿って設けられた
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項4】
前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部とが突合される突合方向及び板厚方向の垂線に対し、少なくとも一部が交差する方向に延びる前記突合形状に沿って設けられた
請求項3に記載のメス型端子。
【請求項5】
前記溶接部は、前記垂線に対し、少なくとも一部が交差する方向に往復する所定の波形となる前記突合形状に沿って設けられた
請求項4に記載のメス型端子。
【請求項6】
前記バネ部材と前記基台部と前記電線接続板部が銅又は銅合金で成形され、前記電線の芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金で成形された
請求項1に記載のメス型端子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のメス型端子と、
前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられた
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のメス型端子と、
前記メス型端子の前記電線接続板部に接続される前記電線とが備えられた
端子付き電線。
【請求項9】
請求項8に記載の端子付き電線と、
前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられた
コネクタ付き電線。
【請求項10】
請求項8に記載の端子付き電線が備えられた
ワイヤーハーネス。
【請求項11】
請求項9に記載のコネクタ付き電線が備えられた
ワイヤーハーネス。
【請求項12】
前記メス型端子と、前記メス型端子の前記電線接続板部に接続される前記電線とが備えられた端子付き電線の生産方法であって、
前記バネ部材が前記基台部に固定される第一工程と、
前記電線が前記電線接続板部に接続される第二工程と、
前記バネ部材が固定された状態の前記基台部と前記電線が接続された状態の前記電線接続板部とが溶接される第三工程とを備える
端子付き電線の生産方法。
【請求項13】
前記バネ部材と前記基台部と前記電線接続板部が銅又は銅合金で成形され、前記電線の芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、
前記第二工程は、前記電線と前記電線接続板部とを超音波接合を用いて接合する
請求項12に記載の端子付き電線の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大電流が流れる電気回路のメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器は、電動装置や電源装置をワイヤーハーネスによって接続することで電気回路を構成している。ワイヤーハーネスと電動装置ならびにワイヤーハーネスと電源装置は、それぞれに装着されたコネクタを介して互いに接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1のコネクタは、コネクタハウジングにメス型端子を収容したものである。かかるメス型端子は、オス型端子に当接するバネ部材と、バネ部材が固定される基台部とを有しており、バネ部材と基台部とは、脱落の防止と導電性の向上を目的として溶接が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-040741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなメス型端子は、基台部に対して電線を接続する際に、いわゆる超音波接合を用いることが考えられる。しかし、電線の接続に超音波接合を用いた場合、その振動が基台部を通じてバネ部材に伝わることとなり、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼす可能性があった。
【0006】
この発明は、電線を接続する工程で、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、オス型端子に当接するバネ部材と、前記バネ部材が固定される基台部と、電線が接続される電線接続板部とを有し、前記バネ部材が固定された状態の前記基台部と前記電線が接続された状態の前記電線接続板部との溶接部が設けられたメス型端子であることを特徴とする。
【0008】
なお、本発明における溶接部は、その溶接方法を問わないものとする。つまりは、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等の溶接方法を問わないものとする。また、ろう付けやはんだ付け等のろう接合も溶接の概念に含まれるものとする。
【0009】
またこの発明は、前記メス型端子と、前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ、ならびに前記メス型端子と、前記メス型端子の前記電線接続板部に接続される前記電線とが備えられた端子付き電線であることを特徴とする。
【0010】
さらにこの発明は、前記端子付き電線と、前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ付き電線、ならびに前記端子付き電線及び前記コネクタ付き電線のうちの少なくとも一方が備えられたワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0011】
この発明により、電線を接続する工程で、基台部とバネ部材との溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。
詳述すると、例えば、電線と電線接続板部との接続に超音波接合を用いても、かかる工程においては未だ基台部と電線接続板部とが分離している状態であるため、超音波接合の振動が基台部を通じてバネ部材に伝わることがない。したがって、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。また、バネ部材が固定された状態の基台部と電線が接続された状態の電線接続板部とを溶接する構成であるため、基台部と電線接続板部に互換性が生じることとなる。そのため、バネ部材が固定された基台部に対し、複数種類のうちのいずれかの電線が接続された電線接続板部を接続することが可能となる。あるいは電線が接続された電線接続板部に対し、複数種類のうちのいずれかのバネ部材が固定された基台部を接続することが可能となる。
【0012】
この発明の態様として、前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部の重畳部分に設けられてもよい。
この発明により、基台部における板部と電線接続板部の重畳面積に応じて溶接部の溶接長さを確保できる。そのため、溶接長さを長く確保した場合は、溶接部における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部における板部と電線接続板部の重畳部分の形状が限定されないため、基台部と電線接続板部に互換性が生じることとなる。さらに、基台部における板部と電線接続板部が重なり合うため、この部分の高剛性化、ひいてはメス型端子の高剛性化を図ることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部の突合形状に沿って設けられてもよい。
この発明により、基台部における板部と電線接続板部の突合長さに応じて溶接部の溶接長さを確保できる。そのため、溶接長さを長く確保した場合は、溶接部における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部における板部と電線接続板部の突合形状を統一することにより、基台部と電線接続板部に互換性が生じることとなる。さらに、基台部における板部と電線接続板部が突き合わされて幅方向に厚みが増さないため、この部分の小型化、ひいてはメス型端子の小型化を図ることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記溶接部は、前記基台部における板部と前記電線接続板部とが突合される突合方向及び板厚方向の垂線に対し、少なくとも一部が交差する方向に延びる前記突合形状に沿って設けられてもよい。
この発明により、基台部における板部と電線接続板部の突合長さが長くなる。そのため、溶接部の溶接長さを長く確保できる。したがって、溶接部における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部における板部と電線接続板部の板厚方向に荷重が作用し、突合方向及び板厚方向の垂線に沿って曲げられようとしても、かかる垂線から離間した位置に突合形状の一部が形成されて溶接部が設けられており、さらに溶接部の一部が垂線に対して交差する方向に延びているため、この部分の高剛性化、ひいてはメス型端子の高剛性化を図ることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記溶接部は、前記垂線に対し、少なくとも一部が交差する方向に往復する所定の波形となる前記突合形状に沿って設けられてもよい。
この発明により、基台部における板部と電線接続板部の突合長さがより長くなる。そのため、溶接部の溶接長さを長く確保できる。したがって、溶接部における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部における板部と電線接続板部の板厚方向に荷重が作用し、突合方向及び板厚方向の垂線に沿って曲げられようとしても、かかる垂線から離間した位置に突合形状の一部が形成されて溶接部が設けられており、さらに溶接部の一部が垂線に対して交差する方向に複数回延びているため、この部分のさらなる高剛性化、ひいてはメス型端子のさらなる高剛性化を図ることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記バネ部材と前記基台部と前記電線接続板部が銅又は銅合金で成形され、前記電線の芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金で成形されてもよい。
この発明により、全体重量のうちの大きな割合を占める電線について軽量化を図ることができる。また、コストの低減を図ることができる。
【0017】
加えてこの発明は、前記メス型端子と、前記メス型端子の前記電線接続板部に接続される前記電線とが備えられた端子付き電線の生産方法であって、前記バネ部材が前記基台部に固定される第一工程と、前記電線が前記電線接続板部に接続される第二工程と、前記バネ部材が固定された状態の前記基台部と前記電線が接続された状態の前記電線接続板部とが溶接される第三工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
この発明により、例えば、電線と電線接続板部との接続に超音波接合を用いても、かかる第二工程においては未だ基台部と電線接続板部とが分離している状態であるため、超音波接合の振動が基台部を通じてバネ部材に伝わることがない。したがって、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記バネ部材と前記基台部と前記電線接続板部が銅又は銅合金で成形され、前記電線の芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、前記第二工程は、前記電線と前記電線接続板部とを超音波接合を用いて接合してもよい。
【0020】
この発明により、第二工程にて両金属の各接合界面における表面酸化被膜を排斥して新生面を露出させ、原子間力によって互いを接合することができる。このとき、電線接続板部に接続される電線の芯線について素線の数が多いものであったとしても、電線接続板部に接していない素線の表面酸化被膜をも排斥して新生面を露出させるので、確実に接合することができる。
【発明の効果】
【0021】
電線を接続する工程で、基台部とバネ部材の溶接部分やバネ部材そのものに悪影響を及ぼすことを防止できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】コネクタを示す全体斜視図。
図2】メス型端子の分解斜視図。
図3】メス型端子の斜視図。
図4図3における矢印Xの方向から視た正面図。
図5図3における矢印Yの方向から視た側面図。
図6図3における矢印Zの方向から視た平面図。
図7図6におけるA-A断面図。
図8図6におけるB-B断面図。
図9】メス型端子の内側にブレードが挿入された状態のB-B断面図。
図10】バネ部材が基台部に固定される第一工程を示す説明図。
図11】電線が電線接続板部に接続される第二工程を示す説明図。
図12】バネ部材が固定された状態の基台部と電線が接続された状態の電線接続板部とが溶接される第三工程を示す説明図。
図13】他の実施形態に係るメス型端子の側面図。
図14】他の実施形態に係るメス型端子の側面図。
図15】他の実施形態に係るメス型端子の側面図。
図16】他の実施形態に係るメス型端子の側面図と平面図。
図17】他の実施形態に係るメス型端子の側面図と平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の一実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1はコネクタ1を示す全体斜視図である。図1においては、内部のメス型端子10が見えるようにコネクタハウジング2を透過状態で表している。図2はメス型端子10の分解斜視図である。
【0024】
また、図3はメス型端子10の斜視図である。図4図3における矢印Xの方向から視た正面図であり、図5図3における矢印Yの方向から視た側面図であり、図6図3における矢印Zの方向から視た平面図である。図7図6におけるA-A断面図であり、図8図6におけるB-B断面図である。
【0025】
さらに、図9はメス型端子10の内側にブレード7が挿入された状態のB-B断面図である。図10はバネ部材20が基台部30に固定される第一工程を示す説明図であり、図11は電線3が電線接続板部40に接続される第二工程を示す説明図であり、図12はバネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40とが溶接される第三工程を示す説明図である。
【0026】
図1に示すように、コネクタ1は、コネクタハウジング2の内部に二つのメス型端子10を収容したものである。以下に、コネクタ1について簡単に説明し、その後にメス型端子10について詳しく説明する。
【0027】
コネクタハウジング2は、略直方体形状の筐体部2aと、筐体部2aから延びる電線挿通部2bとを有している。筐体部2aには、二つのメス型端子10が互いに対して並行に収容され、それぞれのメス型端子10から延びる電線3が電線挿通部2bに挿通、保持されている。
【0028】
電線3は、芯線4を絶縁被覆5で被覆した大電流用の丸電線である。芯線4は、銅又は銅合金で形成された素線4w(図2及び図3参照)を束ねて構成されている。但し、芯線4は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された素線4wを束ねて構成されていてもよい。あるいは材質を問わず、いわゆる単線であってもよい。
【0029】
このようにして、コネクタ1は、ワイヤーハーネスにおける幹線の末端部分を構成する。あるいはワイヤーハーネスの幹線から分岐した枝線の末端部分を構成する。そして、コネクタハウジング2に対して図示省略する相手側のコネクタハウジングが接続されると、メス型端子10の内側にオス型端子6のブレード7(図9参照)が挿入され、両端子が電気的に接続される。
【0030】
図2及び図3に示すように、メス型端子10は、オス型端子6のブレード7(図9参照)に当接するバネ部材20と、バネ部材20が固定される基台部30と、電線3が接続される電線接続板部40とを有している。メス型端子10の機能区分としては、オス型端子6のブレード7(図9参照)が接続される端子接続部11と、電線3が接続される電線接続部12とに分けることができる。そして、端子接続部11と電線接続部12とで端子本体15を構成している。
【0031】
なお、以下の説明においては、端子接続部11と電線接続部12とを直列配置した方向を長手方向Lとし、端子接続部11が設けられた側を先端側Lt、その逆側を基端側Lbと表している。また、長手方向Lに直交する方向を高さ方向Hとし、後述する挿入空間12Xが開口された側を上方側Hu、その逆側を下方側Hdと表している。さらに、長手方向Lと高さ方向Hに直交する方向を幅方向Wとし、電線接続部12につながった側壁31の側を奥側Wb、その逆側を手前側Wfと表している。
【0032】
端子接続部11は、オス型端子6のブレード7(図9参照)が接続される部位を指す。端子接続部11は、所定間隔を隔てて配置された一対の側壁31を有しており、それぞれの側壁31は、長手方向Lかつ高さ方向Hに広がった平板状に形成されている。こうして、それぞれの側壁31と、これら側壁31をつなぐ底壁32との間には、オス型端子6のブレード7(図9参照)が挿入可能な挿入空間12Xが形成されている。
【0033】
電線接続部12は、電線3が接続される部位を指す。電線接続部12は、基台部30の奥側Wbの側壁31から基端側Lbに向かって延設された延設板部33と、延設板部33に溶接された電線接続板部40とを有しており、これら延設板部33と電線接続板部40は、長手方向Lかつ高さ方向Hに広がった平板状に形成されている。そして、電線接続板部40の手前側Wfの内面には、電線3の芯線4が押し潰された状態で接合されている。
【0034】
図2から図6に示すように、バネ部材20は、一対の側壁31のそれぞれに取り付けられることにより、互いに対向して配置される。これらバネ部材20は、二つ一組で使用され、挿入空間12Xに挿入されたブレード7(図9参照)を挟み込むように付勢力が作用する構成とされている(図9における矢印F参照)。以下に、バネ部材20について詳しく説明する。
【0035】
バネ部材20は、長手方向Lから視て下方側Hdが開口する逆U字状に形成されている。バネ部材20は、側壁31の内面側に配置される内側沿設板21と、側壁31の外面側に配置される外側沿設板22と、側壁31の頂面側に配置されて内側沿設板21及び外側沿設板22を連接する連接沿設板23と、挿入されたブレード7(図9参照)に当接するアームバネ24とを有している。
【0036】
また、バネ部材20は、外側沿設板22から長手方向Lに延設された延設部分を垂直に折り曲げることによって形成した止板25を有している。そのため、バネ部材20を奥側Wbの側壁31に装着すると、かかる側壁31における先端側Ltの端面に止板25が当接することとなる。反対に、バネ部材20を手前側Wfの側壁31に装着すると、かかる側壁31における基端側Lbの端面に止板25が当接することとなる。このように、止板25は、バネ部材20の位置決め用途に利用される(図3から図7参照)。
【0037】
さらに、バネ部材20は、その外側沿設板22に貫通孔22hが設けられている。貫通孔22hは、外側沿設板22における高さ方向Hの中央部分よりも上方側Huで、外側沿設板22における長手方向Lの中央部分に一つ設けられている。貫通孔22hは、長手方向Lに長い略矩形状とされ、側壁31の貫通孔31hと重なることによって開口部分を構成する。かかる開口部分には、コネクタハウジング2(図1参照)の係合爪が係合する。このようにすることで、メス型端子10をガタつきなく保持することができる。
【0038】
さらに、図7から図9に示すように、バネ部材20は、側壁31の内面に対して僅かな隙間を隔てて内側沿設板21が配置されており、かかる内側沿設板21の下方側端縁にアームバネ24が設けられている。それぞれのアームバネ24は、挿入空間12Xの開口から下方側Hdに向かうにつれて対向する側壁31に対して徐々に近接するアーム部241と、アーム部241の所定箇所から折り曲げられて徐々に離間するアーム先端部242とを有している。そして、アーム部241とアーム先端部242の境界部分には、対向する側壁31に向かって突出する電気接点部243が形成されている。かかる電気接点部243は、挿入されたブレード7の側面に対して当接する(図9参照)。
【0039】
加えて、図7から図9に示すように、バネ部材20には、長手方向Lに沿って互いに所定間隔を隔てつつ、十枚のアームバネ24が設けられている。それぞれのアームバネ24は、その基端部分24b(内側沿設板21との連接部分と同義)が高さ方向Hにズレなく一致しており、基端部分24bから先端部分24tまでのアーム長さも全て等しいものとされている。但し、長手方向Lの基端側Lbから先端側Ltに向かって順に並ぶアームバネ24をアームバネ24A~24Jとした場合に、アームバネ24A,24Jの幅寸法が大きく設定され、アームバネ24B,24Iの幅寸法が中程度に設定され、アームバネ24C~24Hの幅寸法が小さく設定されている。このようにしたのは、アームバネ24の一群全体として、ブレード7に対して高い追従性を発揮させるためである(図9参照)。
【0040】
なお、アームバネ24A~24Jは、その基端部分24bが高さ方向Hにズレなく一致しているものの、長手方向Lの両側Lb,Ltから中央に向かってアーム長さが徐々に長く又は短くなっていてもよい。あるいは交互に長短を繰り返してもよい。さらに、アームバネ24A~24Jは、その基端部分24bが高さ方向Hにズレているとしてもよい。この場合においても、アーム長さが全て等しくてもよいし、徐々に長く又は短くなっていてもよい。あるいは交互に長短を繰り返してもよい。
【0041】
ところで、このようなメス型端子10は、以下の生産工程を経て完成される。すなわち、バネ部材20が基台部30に固定される第一工程と、電線3が電線接続板部40に接続される第二工程と、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40とが溶接される第三工程とを経て完成される。
【0042】
まず、図10を用いて、第一工程について説明する。第一工程では、バネ部材20が一対の側壁31のそれぞれに取り付けられる(図10(a)参照)。その後、外側沿設板22と側壁31とが溶接される(図10(b)参照)。具体的には、ファイバレーザ溶接機Lwを用いて溶接される(溶接部50参照)。このため、バネ部材20と基台部30とを一体化することができる。
【0043】
溶接部50は、バネ部材20の脱落の防止とバネ部材20と基台部30の導電性の向上とを目的に設けられる。溶接部50は、長辺が長手方向Lに対して平行で短辺が垂直となる長方形状に形成された外側溶接部分50aと、その外側溶接部分50aの内側に同じく長方形状に形成された内側溶接部分50bとで構成されている。これら溶接部分50a,50bは、それぞれ実線状かつ直線状の溶接線で形成されている。
【0044】
この点、これら溶接部分50a,50bの少なくとも一部の溶接態様が異なっていてもよい。具体的には、溶接部分50a,50bの少なくとも一部が実線状ではなく、点線状あるいは点群状であってもよい。また、溶接部分50a,50bの少なくとも一部が直線状ではなく、曲線状あるいは折線状であってもよい。さらに、溶接部分50a,50bの少なくとも一部が円形等の細かなパターンを描きながら走査する、いわゆるウォブリング溶接やウィービング溶接等であってもよい。もちろん溶接部50は、溶接部分50a,50bで構成されることに限定されず、単純な線や円、あるいは複雑な幾何学模様等としてもよい。
【0045】
次に、図11を用いて、第二工程について説明する。第二工程では、電線3の芯線4における周面と電線接続板部40の手前側Wfの内面とが接するように配置される(図11(a)参照)。その後、芯線4と電線接続板部40が接合される(図11(b)参照)。具体的には、超音波接合機Ujを用いて接合される。このため、電線3と電線接続板部40とを一体化することができる。
【0046】
ここで、超音波接合機Ujについて簡単に説明する。超音波接合機Ujは、接合対象である二つの金属物を挟み込んだ状態で、これら金属物に対して超音波振動Vを伝えるものである。このようにすることで、両金属の各接合界面における表面酸化被膜を排斥して新生面を露出させ、原子間力によって互いを接合することができる。つまりは、金属表面に形成された酸化層等を破壊して排斥し、その内部の金属原子同士の直接的な接触によって発生する金属間結合を利用して、両金属を固相で接合することができる。
【0047】
この点、金属原子に生じる引力によって互いを接合するのであるから、いわゆる異種金属接合も可能である。つまりは、電線接続板部40が銅又は銅合金で形成され、電線3の芯線4がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていても、これらを接合することができる。もちろん電線接続板部40がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、電線3の芯線4が銅又は銅合金で形成されていても、これらを接合することができる。さらには、芯線4について素線4wの数が多いものであったとしても、電線接続板部40に接していない素線4wの表面酸化被膜をも排斥して新生面を露出させるので、確実に接合することができる。
【0048】
次に、図12を用いて、第三工程について説明する。第三工程では、基台部30における延設板部33の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが長手方向Lに突き合わされて配置される(図12(a)参照)。その後、延設板部33と電線接続板部40とが溶接される(図12(b)参照)。具体的には、ファイバレーザ溶接機Lwを用いて溶接される(溶接部60参照)。このため、基台部30と電線接続板部40とを一体化することができる。
【0049】
溶接部60は、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40との接続を目的に設けられる。溶接部60は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから下方側Hdに向かうにつれて先端側Ltに向かって傾斜して形成されているため、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lv(図6参照)に対して交差する方向に延びることとなる。かかる溶接部60は、突合形状に沿って実線状かつ直線状に延びている。
【0050】
この点、溶接部60の少なくとも一部の溶接態様が異なっていてもよい。具体的には、溶接部60の少なくとも一部が実線状ではなく、点線状であってもよい。また、溶接部60の少なくとも一部が円形等の細かなパターンを描きながら走査する、いわゆるウォブリング溶接やウィービング溶接等であってもよい。そして、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとの突合形状が他の形状である場合、溶接部60は、その突合形状に沿って設けられることとなる。以下に、考え得る突合形状と、突合形状に沿って設けられる溶接部60について説明する。
【0051】
図13(a)は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから先端側Ltに向かって傾斜して形成され、その末端部Paから基端側Lbに向かって傾斜して形成された突合形状である場合を示している。この場合、溶接部60は、かかる突合形状に沿って設けられることとなる。そのため、溶接部60は、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lvに対して交差する方向に延びることとなる。もちろん突合形状を高さ方向Hに沿う仮想線(例えば垂線Lv)の線対称とし、かかる突合形状に沿って溶接部60を設けるとしてもよい。
【0052】
図13(b)は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから下方側Hdに向かって形成され、その末端部Paから基端側Lbに向かって形成され、その末端部Pbから下方側Hdに向かって形成された突合形状である場合を示している。この場合、溶接部60は、かかる突合形状に沿って設けられることとなる。そのため、溶接部60は、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lvに対して交差する方向に延びることとなる。もちろん突合形状を高さ方向Hに沿う仮想線(例えば垂線Lv)の線対称とし、かかる突合形状に沿って溶接部60を設けるとしてもよい。
【0053】
図14(a)は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから基端側Lbに向かって傾斜して形成され、その末端部Paから先端側Ltに向かって傾斜して形成され、その末端部Pbから基端側Lbに向かって傾斜して形成された波形を少なくとも一つ有する、いわゆる三角波状の突合形状である場合を示している。この場合、溶接部60は、かかる突合形状に沿って設けられることとなる。そのため、溶接部60は、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lvに対して交差する方向に延びることとなる。もちろん突合形状を高さ方向Hに沿う仮想線(例えば垂線Lv)の線対称とし、かかる突合形状に沿って溶接部60を設けるとしてもよい。
【0054】
図14(b)は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから下方側Hdに向かって形成され、その末端部Paから基端側Lbに向かって形成され、その末端部Pbから下方側Hdに向かって形成され、その末端部Pcから先端側Ltに向かって形成された波形を少なくとも一つ有する、いわゆる矩形波状の突合形状である場合を示している。この場合、溶接部60は、かかる突合形状に沿って設けられることとなる。そのため、溶接部60は、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lvに対して交差する方向に延びることとなる。もちろん突合形状を高さ方向Hに沿う仮想線(例えば垂線Lv)の線対称とし、かかる突合形状に沿って溶接部60を設けるとしてもよい。
【0055】
図15(a)は、基台部30(詳しくは延設板部33)の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとが、上方側Huから徐々に基端側Lbに向かうように湾曲して形成され、その末端部Paから徐々に下方側Hdに向かうように湾曲して形成され、その末端部Pbから徐々に先端側Ltに向かうように湾曲して形成され、その末端部Pcから徐々に下方側Hdに向かうように湾曲して形成された波形を少なくとも一つ有する、いわゆる正弦波状の突合形状である場合を示している。この場合、溶接部60は、かかる突合形状に沿って設けられることとなる。そのため、溶接部60は、長手方向L及び幅方向Wの垂線Lvに対して交差する方向に延びることとなる。もちろん突合形状を高さ方向Hに沿う仮想線(例えば垂線Lv)の線対称とし、かかる突合形状に沿って溶接部60を設けるとしてもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るメス型端子10は、オス型端子6のブレード7に当接するバネ部材20と、バネ部材20が固定される基台部30と、電線3が接続される電線接続板部40とを有し、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40との溶接部60が設けられたメス型端子10であることを特徴とする。
【0057】
このようなメス型端子10によれば、例えば、電線3と電線接続板部40との接続に超音波接合を用いても、かかる工程においては未だ基台部30と電線接続板部40とが分離している状態であるため、超音波接合の振動が基台部30を通じてバネ部材20に伝わることがない。したがって、基台部30とバネ部材20の溶接部50やバネ部材20そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。また、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40とを溶接する構成であるため、基台部30と電線接続板部40に互換性が生じることとなる。そのため、バネ部材20が固定された基台部30に対し、複数種類のうちのいずれかの電線3が接続された電線接続板部40を接続することが可能となる。あるいは電線3が接続された電線接続板部40に対し、複数種類のうちのいずれかのバネ部材20が固定された基台部30を接続することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、溶接部60は、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の突合形状に沿って設けられている。
このようなメス型端子10によれば、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の突合長さに応じて溶接部60の溶接長さを確保できる。そのため、溶接長さを長く確保した場合は、溶接部60における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の突合形状を統一することにより、基台部30と電線接続板部40に互換性が生じることとなる。さらに、基台部30における延設板部33と電線接続板部40が突き合わされて幅方向に厚みが増さないため、この部分の小型化、ひいてはメス型端子10の小型化を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、溶接部60は、基台部30における延設板部33と電線接続板部40とが突合される突合方向(長手方向L)及び板厚方向(幅方向W)の垂線Lvに対し、少なくとも一部が交差する方向に延びる突合形状に沿って設けられている。
このようなメス型端子10によれば、基台部30と電線接続板部40の突合長さが長くなる。そのため、溶接部60の溶接長さを長く確保できる。したがって、溶接部60における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の板厚方向(幅方向W)に荷重が作用し、突合方向(長手方向L)及び板厚方向(幅方向W)の垂線Lvに沿って曲げられようとしても、かかる垂線Lvから離間した位置に突合形状の一部が形成されて溶接部60が設けられており、さらに溶接部60の一部が垂線Lvに対して交差する方向に延びているため、この部分の高剛性化、ひいてはメス型端子10の高剛性化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、溶接部60は、垂線Lvに対し、少なくとも一部が交差する方向に往復する所定の波形となる突合形状に沿って設けられてもよい。
このようなメス型端子10によれば、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の突合長さがより長くなる。そのため、溶接部60の溶接長さを長く確保できる。したがって、溶接部60における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の板厚方向(幅方向W)に荷重が作用し、突合方向(長手方向L)及び板厚方向(幅方向W)の垂線Lvに沿って曲げられようとしても、かかる垂線Lvから離間した位置に突合形状の一部が形成されて溶接部60が設けられており、さらに溶接部60の一部が垂線Lvに対して交差する方向に複数回延びているため、この部分のさらなる高剛性化、ひいてはメス型端子10のさらなる高剛性化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るメス型端子10において、バネ部材20と基台部30と電線接続板部40が銅又は銅合金で成形され、電線3の芯線4がアルミニウム又はアルミニウム合金で成形されてもよい。
このようなメス型端子10によれば、全体重量のうちの大きな割合を占める電線3について軽量化を図ることができる。また、コストの低減を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る端子付き電線の生産方法は、バネ部材20が基台部30に固定される第一工程と、電線3が電線接続板部40に接続される第二工程と、バネ部材20が固定された状態の基台部30と電線3が接続された状態の電線接続板部40とが溶接される第三工程とを備えることを特徴とする。
【0063】
このような端子付き電線の生産方法によれば、例えば、電線3と電線接続板部40との接続に超音波接合を用いても、かかる第二工程においては未だ基台部30と電線接続板部40とが分離している状態であるため、超音波接合の振動が基台部30を通じてバネ部材20に伝わることがない。したがって、基台部30とバネ部材20の溶接部分やバネ部材20そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0064】
また、本願発明に係る端子付き電線の生産方法において、バネ部材20と基台部30と電線接続板部40が銅又は銅合金で成形され、電線3の芯線4がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、第二工程は、電線3と電線接続板部40とを超音波接合を用いて接合してもよい。
【0065】
このような端子付き電線の生産方法によれば、両金属の各接合界面における表面酸化被膜を排斥して新生面を露出させ、原子間力によって互いを接合することができる。このとき、電線接続板部40に接続される電線3の芯線4について素線4wの数が多いものであったとしても、電線接続板部40に接していない素線4wの表面酸化被膜をも排斥して新生面を露出させるので、確実に接合することができる。
【0066】
なお、前述したように、本実施形態に係るメス型端子10においては、バネ部材20と基台部30の溶接(溶接部50)ならびに基台部30と電線接続板部40の溶接(溶接部60)がファイバレーザ溶接機Lwを用いて施される。レーザの波長は、近赤外域のみならず、遠赤外域、可視域、その他の波長、あるいは多波長を組み合わせたものでもよい。レーザの発振形態は、CW、パルス、CWのパルス変調でもよい。
【0067】
また、スパッタを抑制するための回析光学素子ならびにそれに類する集光ビームパターン制御を用いてもよい。レーザの掃引には、ガルバノスキャナを用いた溶接、もしくは加工ヘッドを固定し、メス型端子10をステージングして溶接、あるいはガルバノスキャナとロボットを組み合わせたオンザフライ溶接でもよい。そして、レーザの代わりに電子ビームを用いて溶接を行うとしてもよいし、アーク溶接機等を用いて溶接を行うとしてもよい。ろう付けやはんだ付け等のろう接合も溶接の概念に含むものとする。
【0068】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
コネクタはコネクタ1に対応し、
コネクタハウジングはコネクタハウジング2に対応し、
電線は電線3に対応し、
オス型端子はオス型端子6に対応し、
メス型端子はメス型端子10に対応し、
バネ部材はバネ部材20に対応し、
基台部は基台部30に対応し、
板部は延設板部33に対応し、
電線接続板部は電線接続板部40に対応し、
溶接部は溶接部60に対応し、
突合方向は長手方向Lに対応し、
板厚方向は幅方向Wに対応し、
垂線は垂線Lvに対応するも、
前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0069】
例えば、本実施形態に係るメス型端子10は、基台部30における延設板部33の基端側Lbの端面30bと電線接続板部40の先端側Ltの端面40tとを突き合せて構成されている。しかしながら、基台部30における延設板部33の基端側Lbの一部と電線接続板部40の先端側Ltの一部とを幅方向Wに重ね合わせて構成されるとしてもよい(図16(a)及び図17(a)参照)。
【0070】
この場合、図16(b)に示すように、溶接部60は、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の重畳部分に設けられる。溶接部60は、実線状、点線状あるいは点群状であってもよいし、曲線状あるいは折線状であってもよい。さらには、単純な線や円、あるいは複雑な幾何学模様等としてもよい。
【0071】
このようなメス型端子10によれば、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の重畳面積に応じて溶接部の溶接長さを確保できる。そのため、溶接長さを長く確保した場合は、溶接部60における破損の防止と導電性の向上を実現することができる。また、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の重畳部分の形状が限定されないため、基台部30と電線接続板部40に互換性が生じることとなる。さらに、基台部30における延設板部33と電線接続板部40が重なり合うため、この部分の高剛性化、ひいてはメス型端子10の高剛性化を図ることができる。
【0072】
あるいは、図17(a)及び図17(b)に示すように、溶接部60は、基台部30における延設板部33の手前側Wfの内面と電線接続板部40の先端側Ltの端面との角部に、いわゆる隅肉溶接として設けられてもよい。さらには、基台部30における延設板部33の基端側Lbの端面と電線接続板部40の奥側Wbの外面との角部に、いわゆる隅肉溶接として設けられてもよい。
【0073】
このようなメス型端子10によれば、溶接部60が延設板部33と電線接続板部40の重畳部分に設けられたものに比べ、溶接部60が適正に施されたものであるか否かの評価が容易となる。つまりは、基台部30における延設板部33と電線接続板部40の溶接部分を外部から観察することができ、かかる溶接部分における溶け込み具合を確認することができるので、溶接部60が適正に施されたものであるか否かの評価が容易となる。さらに、溶接部60が基台部30における延設板部33と電線接続板部40の重畳部分にも設けられれば、より確実に破損の防止と導電性の向上を実現することができる。
【0074】
なお、本願の発明には、メス型端子10と、メス型端子10を収容するコネクタハウジング2とが備えられたコネクタ1(図1参照)、ならびにメス型端子10と、メス型端子10の基台部30に接続される電線3とが備えられた端子付き電線が含まれるものとする。さらには、端子付き電線と、端子付き電線を収容するコネクタハウジング2とが備えられたコネクタ付き電線、ならびに端子付き電線及びコネクタ付き電線のうちの少なくとも一方を備えたワイヤーハーネスが含まれるものとする。これらにおいても、本願発明に係るメス型端子10と同様の効果を奏する。すなわち、電線3と電線接続板部40との接続に超音波接合を用いても、超音波接合の振動が基台部30を通じてバネ部材20に伝わることがない。したがって、基台部30とバネ部材20の溶接部50やバネ部材20そのものに悪影響を及ぼすことを防止できる。
【符号の説明】
【0075】
1…コネクタ
2…コネクタハウジング
3…電線
6…オス型端子
10…メス型端子
20…バネ部材
30…基台部
33…延設板部
40…電線接続板部
60…溶接部
L…長手方向
W…幅方向
Lv…垂線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17