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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010919
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/56 20100101AFI20240118BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240118BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20240118BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240118BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240118BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L33/56
H01L33/62
H01L33/54
H01L23/30 R
H01L23/30 F
C08L83/05
C08L83/07
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112518
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甘利 紘一
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰典
(72)【発明者】
【氏名】市川 博史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 洋
【テーマコード(参考)】
4J002
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4J002CP04X
4J002CP13W
4J002CP14W
4J002DA116
4J002DB006
4J002DD076
4J002FD206
4J002GF00
4J002GP00
4J002GQ00
4J002GQ05
4M109AA01
4M109EA11
4M109EB04
4M109GA01
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD49
5F142CE06
5F142CE13
5F142CE15
5F142CE16
5F142CE23
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG13
5F142CG23
5F142CG24
5F142CG26
5F142CG32
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA14
5F142DA73
5F142DB02
5F142FA12
5F142FA14
5F142FA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光素子と配線基板間の接合の信頼性の高い発光装置の製造方法及び発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100Aの製造方法は、下面に正負の素子電極22を有する発光素子20と、配線層12を有する配線基板10と、素子電極と配線層とを電気的に接続する導電部材30とを有し、素子電極、配線層及び導電部材の少なくとも一つがAuを含む中間体を準備する工程と、発光素子の下面と配線基板との間に、(成分A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物、(成分B)1分子中の両末端にSiH基を有し側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物、(成分C)ヒドロシリル化反応用触媒、を含む液状の樹脂組成物40を配置する工程と、Auを含む部材と接する樹脂組成物中の成分Bを酸化させる酸化工程と、酸化工程の後に、Auを含む部材と接しない樹脂組成物を加熱して硬化させる硬化工程と、を含む。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、配線層を有する配線基板と、前記素子電極と前記配線層とを電気的に接続する導電部材とを有し、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材の少なくとも一つがAuを含む中間体を準備する工程と、
前記発光素子の下面と前記配線基板との間に、
(成分A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物と、
(成分B)1分子中の両末端にSiH基を有し、かつ、側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物と、
(成分C)ヒドロシリル化反応用触媒と、
を含む液状の樹脂組成物を配置する工程と、
前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接する前記樹脂組成物中の前記成分Bを酸化させる酸化工程と、
前記酸化工程の後に、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接しない前記樹脂組成物を加熱して硬化させる硬化工程と、
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物を配置する工程において、前記樹脂組成物を配置する温度は10℃以上30℃以下である、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記酸化工程は、10℃以上30℃以下で所定の時間保持する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記硬化工程の後に、前記第2部分の上面に封止部材を配置する工程を含む、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
基材と配線層とを含む配線基板と、
前記配線基板上に配置され、下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、
前記配線層と前記素子電極とを電気的に接続する導電部材と、
前記配線層、前記導電部材及び前記素子電極に接する液状の第1部分と、前記第1部分の周囲に配置される硬化状態の第2部分と、を有する樹脂部材と、
を有する発光装置。
【請求項6】
前記配線層、前記導電部材及び前記素子電極のうち少なくとも1つは、Auを含み、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記配線層、前記素子電極及び前記導電部材は、Auを含む、請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1部分は、SiH基を有さないシロキサン化合物を含み、
前記第2部分は、シルエチレン構造を有するシロキサン化合物を含む、請求項5に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1部分は、1分子中の両末端にSiOH基を有し、かつ、側鎖にメチル基又はフェニル基を有するシロキサン化合物を含む、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は、前記下面と、前記下面の反対側に位置する上面と、前記下面と前記上面との間に位置する側面と有し、
前記第2部分は、前記発光素子の側面と接する、請求項5に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第2部分の上端は、前記発光素子の上面と同じ、又は、前記発光素子の上面より低い位置にある、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2部分の上面を覆う封止部材を有する、請求項5に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板上に導電部材を介して発光素子が配置された発光装置において、配線基板と発光素子間の接合強度を確保するために、配線基板と発光素子間にアンダーフィルを充填させることが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-203874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発光素子と配線基板間の接合の信頼性に改善の余地がある。本開示の一態様は、発光素子と配線基板間の接合の信頼性の高い発光装置の製造方法及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態の発光装置の製造方法は、下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、配線層を有する配線基板と、前記素子電極と前記配線層とを電気的に接続する導電部材とを有し、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材の少なくとも一つがAuを含む中間体を準備する工程と、前記発光素子の下面と前記配線基板との間に、(成分A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物と、(成分B)1分子中の両末端にSiH基を有し、かつ、側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物と、(成分C)ヒドロシリル化反応用触媒と、を含む液状の樹脂組成物を配置する工程と、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接する前記樹脂組成物中の前記成分Bを酸化させる酸化工程と、前記酸化工程の後に、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接しない前記樹脂組成物を加熱して硬化させる硬化工程と、を含む。
【0006】
本開示の一実施形態の発光装置は、基材と配線層とを含む配線基板と、前記配線基板上に配置され、下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、前記配線層と前記素子電極とを電気的に接続する導電部材と、前記配線層、前記導電部材及び前記素子電極に接する液状の第1部分と、前記第1部分の周囲に配置される硬化状態の第2部分と、を有する樹脂部材と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、発光素子と配線基板間の接合の信頼性の高い発光装置の製造方法及び発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の一状態を模式的に示す断面図(その1)である。
図2】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の一状態を模式的に示す断面図(その2)である。
図3】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の一状態を模式的に示す断面図(その3)である。
図4】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の一状態を模式的に示す断面図(その4)である。
図5A】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
図5B図5AのVB-VB線における断面図である。
図6A】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
図6B図6AのVIB-VIB線における断面図である。
図7】第2実施形態に係る発光装置の別例(その1)を模式的に示す断面図である。
図8】第2実施形態に係る発光装置の別例(その2)を模式的に示す断面図である。
図9】第2実施形態に係る発光装置の別例(その3)を模式的に示す断面図である。
図10】第3実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法及び発光装置について詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を指す。
【0010】
更に、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための発光装置の製造方法及び発光装置を例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、図面が示す部材の大きさおよび位置関係等は、説明を明確にするため誇張している場合がある。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や別例にも適用可能である。さらに、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりすることがある。
【0011】
<第1実施形態>
[発光装置の製造方法]
以下、図面を参照しながら、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図1図4は、第1実施形態にかかる発光装置の製造方法の一状態を模式的に示す断面図である。
【0012】
(中間体を準備する工程)
図1に示すように、中間体1000を準備する。中間体1000は、下面20a側に正負の素子電極22を有する発光素子20と、配線層12を有する配線基板10と、素子電極22と配線層12とを電気的に接続する導電部材30とを有する。
中間体1000は、例えば、配線基板10の配線層12上に導電部材30を配置し、その後、発光素子20をフリップチップ実装することで形成される。このとき、発光素子20の下面20aと配線基板10との間に、後述する樹脂組成物40aを配置可能であり且つ外部と繋がる空間が存在する。但し、これに限らず、中間体1000は、発光素子20の正負の素子電極22のそれぞれに導電部材30を配置し、その後、導電部材30を備えた発光素子20を配線基板10にフリップチップ実装することで形成してもよい。
中間体1000は、上述したような方法で形成することで準備してもよいし、購入によって準備してもよい。
中間体1000は、素子電極22、配線層12及び導電部材30の少なくとも一つがAuを含む。本実施形態において、素子電極22、配線層12及び導電部材30がAuを含む。素子電極22、配線層12及び導電部材30に含まれるAuは、素子電極22、配線層12及び導電部材30のそれぞれにおける後述する樹脂組成物40aと接する表面に含まれていればよい。例えば、素子電極22、配線層12及び導電部材30の表面に位置するめっき層にAuを含むことができる。
【0013】
(樹脂組成物を配置する工程)
図2に示すように、発光素子20の下面20aと配線基板10との間に樹脂組成物40aを配置する。図2に示す例では、樹脂組成物40aは、発光素子20の周囲にも配置される。樹脂組成物40aは、上面視において、発光素子20と重なる部分(図2で示す第1部分41)と、第1部分41の周囲に位置する部分(図2で示す第2部分42)とを有するように配置される。
【0014】
樹脂組成物40aは、液状であり、熱硬化性を有する。樹脂組成物40aは、以下の成分A、成分B及び成分Cを含む。
(成分A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物
(成分B)1分子中の両末端にSiH基を有し、かつ、側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物
(成分C)ヒドロシリル化反応用触媒
【0015】
成分Aは、下記一般式(1)で表されるシロキサン化合物である。
【0016】
【化1】
前記式(1)中、Rはそれぞれ独立し、少なくとも2個は、アルケニル基(例えば、ビニル基)である。残りのRはメチル基又はフェニル基である。nは、10以上10000以下の整数である。
【0017】
成分Aは、樹脂組成物40aの主成分である。成分Aは、ヒドロシリル化反応可能な官能基であるアルケニル基を有する。成分Aは、主鎖にシロキサン結合を有し、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物である。
【0018】
成分Aの分子構造は、前記式(1)では、直鎖状である。但し、成分Aの分子構造は、これに限らず、分岐状、環状であり、これらを組み合せた構造でもよい。また、成分Aの2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状の成分Aと分岐状の成分Aとを併用することもできる。
アルケニル基としては、1分子中に少なくとも2個あればその結合位置は限定されない。例えば、アルケニル基の結合位置としては、1分子中の末端および側鎖のうちのいずれか一方または両方が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられ、特に容易にヒドロシリル化反応することから、ビニル基が好適である。
【0019】
成分Bは、下記一般式(2)で表されるシロキサン化合物である。
【0020】
【化2】
前記式(2)中、Rはそれぞれ独立し、Rはメチル基又はフェニル基である。nは、1~2000である。
【0021】
成分Bは、架橋剤となる成分である。成分Bは、アルケニル基と反応可能な官能基であるSiH基を有するシロキサン化合物である。具体的には、成分Bは、両末端にSiH基を有し、かつ、側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物である。成分Bの一例としては、両末端にSiH基を有し、一部の側鎖にメチル基を有し、残りの側鎖にフェニル基を有するシロキサン化合物が挙げられる。成分Bは、前記式(2)に示すように、鎖式化合物である。鎖式化合物としては、直鎖または分岐しているものである。
【0022】
(成分C)
成分Cは、成分Aと成分Bとがヒドロシリル化反応するためのヒドロシリル化反応用触媒である。成分Cは、例えば、白金、ロジウム又はパラジウムの白金族金属を含む化合物である。
【0023】
樹脂組成物40aを配置する温度は、樹脂組成物40aの熱硬化が開始する温度未満である。樹脂組成物40aの配置する温度は、室温でもよいし、室温より高く50℃以下の温度でもよい。ここで、本明細書において室温とは、10℃以上30℃以下のいずれかの温度を意味する。室温より高く50℃以下の温度であれば、樹脂組成物40aの熱硬化を抑制しつつ、樹脂組成物40aを塗布によって配置する場合に発光素子20と配線基板10との間に樹脂組成物40aが流れやすくなる。また、室温であれば、樹脂組成物40aを配置する際に樹脂組成物40aが硬化するのを確実に抑制することができる。
樹脂組成物40aを配置する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法又はジェットディスペンス法を用いることができる。
【0024】
(酸化工程)
次に、図3に示すように、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接する樹脂組成物40a中の成分Bを酸化させる。
素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接する樹脂組成物40a中の成分Bは、以下の式(3)に示す酸化反応を起こす。
【0025】
【化3】
前記式(3)中、Rはそれぞれ独立し、Rはメチル基又はフェニル基である。nは、1以上2000以下の整数である。
【0026】
この酸化反応は、成分Bが、大気中及び/又は樹脂組成物40a中に含まれる水分(HO)と反応することによって起こると考えられる。また、この酸化反応は、素子電極22、配線層12及び導電部材30の少なくとも1つの部材に含まれるAuが酸化触媒として働くことで酸化反応が促進されるものと考えられる。
【0027】
この酸化反応により、成分B´が得られる。成分B´は、SiH基を有さないシロキサン化合物である。前記式(3)に示す例では、成分B´は、1分子中の両末端にSiOH基を有し、かつ、側鎖にメチル基又はフェニル基を有するシロキサン化合物である。したがって、酸化反応後において、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接する樹脂組成物は、成分A、成分B´及び成分Cを含む樹脂組成物40bとなる。
【0028】
本実施形態において、素子電極22、配線層12及び導電部材30はAuを含む。素子電極22同士の距離、配線層12同士の距離、及び、素子電極22と配線層12との距離を短くすることで、第1部分において、素子電極22、配線層12、導電部材と接する領域及びその内部で樹脂組成物が酸化反応しやすくなるため、図3の例に示すように、第1部分41に含まれる成分Bを酸化させることができる。図3の例では、第1部分41は、樹脂組成物40bである。樹脂組成物40bは液状である。
【0029】
一方、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接しない樹脂組成物中の成分Bは、酸化されにくい。図3の例では、第2部分42が素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接しない樹脂組成物であるため、第2部分42の樹脂組成物中の成分Bは、酸化されにくい。したがって、第2部分42は、成分A、成分B及び成分Cを含む樹脂組成物40aである。樹脂組成物40aは液状である。
【0030】
酸化工程は、樹脂組成物40aの熱硬化が開始する温度未満で所定の時間保持する。「所定の時間」とは、上記酸化反応が完了する(すなわち、成分BのSiH基がSiOH基に置き換わる)までの時間を意味する。酸化反応が完了したことを確認するには、後述の硬化工程で、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接する樹脂組成物が硬化していないことを目視で確認することができる。酸化工程において、樹脂組成物40aを所定の温度で保持する時間は、例えば、30分以上である。
樹脂組成物40aの成分Bを酸化させる温度は、樹脂組成物40aを配置する温度と同様に、室温でもよいし、室温より高く50℃以下の温度でもよい。樹脂組成物40aの成分Bを酸化させる温度は、樹脂組成物40aを配置する時の温度と同じにすることができる。
樹脂組成物40aの成分Bを酸化させる温度は、所定の時間保持する際に、一定でもよいし、樹脂組成物40aの熱硬化が開始しない温度以下の範囲で変動させてもよい。
【0031】
(硬化工程)
酸化工程の後に、図4に示すように、樹脂組成物40b、40cを加熱する。これにより、樹脂組成物40cを硬化させる。樹脂組成物40cは、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接しない樹脂組成物である。
素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接しない樹脂組成物中の成分Aは、成分Bと式(4)のようなヒドロシリル化反応を起こす。この反応において、成分Cは触媒として機能する。なお、式(4)では、成分Aの一例として、末端と側鎖にビニル基を有するものを挙げている。
【0032】
【化4】
前記式(4)中、Rはそれぞれ独立し、Rはメチル基又はフェニル基である。K+lは、10以上10000以下の整数である。nは、1以上2000以下の整数である。
【0033】
この反応によって、シルエチレン構造を有するシロキサン化合物(成分D)が得られる。したがって、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接しない樹脂組成物は、成分Dを含む樹脂組成物40cとなる。上述した式(4)で得られる成分Dは、末端にSiH基が存在する。このSiH基は再度成分Aとヒドロシリル化反応を起こすことができる。ヒドロシリル化反応が起こることで、樹脂組成物40cは硬化状態となる。
本実施形態では、図4の例に示すように、第2部分42が樹脂組成物40cである。
【0034】
一方、素子電極22、配線層12及び導電部材30のうちAuを含む部材と接する樹脂組成物は、加熱されても、硬化せずに、液状を維持する。これは、酸化反応後の樹脂組成物40bには、SiH基を有するシロキサン化合物(成分B)が含まれていないので、ヒドロシリル化反応が起こらないためであると考えられる。
【0035】
以上により、第1実施形態にかかる発光装置100Aを作製することができる。
【0036】
[発光装置]
上記第1実施形態の製造方法により得られた発光装置は、以下の構成を有する。図5Aは、第1実施形態にかかる発光装置を模式的に示す斜視図である。図5Bは、図5AのVB-VB線における断面図である。
【0037】
第1実施形態にかかる発光装置100Aは、基材11と配線層12とを含む配線基板10と、配線基板10上に配置され、下面20a側に正負の素子電極22を有する発光素子20と、配線層12と素子電極22とを電気的に接続する導電部材30と、配線層12、導電部材30及び素子電極22に接する液状の第1部分41と、第1部分41の周囲に配置される硬化状態の第2部分42と、を有する樹脂部材40と、を有する。
【0038】
発光装置100Aであれば、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aを例えばはんだリフローによって実装基板に実装する際に、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができる。この結果、発光素子20が配線基板10から剥離することを低減することができる。
【0039】
以下、発光装置100Aの各構成について説明する。
【0040】
(配線基板10)
配線基板10は、発光装置100Aを構成する各部材を支持するためのものである。配線基板10は、図5Bに示すように、基材11の上面に、発光素子20の素子電極22と電気的に接続するための配線層12が配置される。図5の例では、基材11の下面に、外部の電源と発光装置100Aとを電気的に接続するための外部接続電極13を備える。但し、外部接続電極13は基材11の下面に限らず、基材11の上面に備えることができる。配線基板10は、配線層12と、外部接続電極13とを、電気的に接続する、ビア配線等を備えている。
基材11の材料としては、発光素子20からの光や外光が透過しにくい絶縁性材料を用いることが好ましく、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、LTCC等の無機材料、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド等の樹脂材料が挙げられる。また、絶縁性材料と金属部材との複合材料を用いることもできる。なお、配線基板の基材の材料として樹脂を用いる場合、必要に応じてガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上や熱膨張率の低減、光反射率の向上を図ることができる。なお、基板の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さとすることができる。
【0041】
配線層12は、例えば、基材11側からCu層、Ni層、Au層の順に積層された積層体である。各層は、例えば、めっきを用いて形成することができる。 配線層12は、発光素子20の下方に配置されている。平面視において、配線層12は、発光素子20の外縁より内側に配置されてもよいし、発光素子20の外縁より外側に延在して配置されてもよい。図5Bの例では、平面視において、配線層12は、発光素子20の外縁の内側に配置され、発光素子20の外縁の外側に延在して配置されていない。このため、硬化工程において樹脂部材40の第1部分41は液状のままで、第2部分42は硬化状態となる。
【0042】
(発光素子20)
発光素子20は、一例として直方体形状である。発光素子は、配線基板10側に位置する下面20aと、下面20aの反対側に位置する上面20bと、下面20aと上面20bとの間に位置する4つの側面20cと、を有する。発光素子20は、半導体構造体21と、半導体構造体21と電気的に接続される素子電極22と、を有する。発光素子20は、発光素子20の下面側に正負の素子電極22を有する。
【0043】
半導体構造体21は、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層と、を含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。半導体構造体21は、窒化物半導体からなる複数の半導体層を含む。窒化物半導体は、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。活性層の発光ピーク波長は、目的に応じて適宜選択することができる。活性層は、例えば可視光または紫外光を発光可能に構成されている。
【0044】
半導体構造体21は、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層と、を含む発光部を複数含んでいてもよい。半導体構造体が複数の発光部を含む場合、それぞれの発光部において、発光ピーク波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、5nm以下のばらつきがある場合も含む。複数の発光部の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば、半導体構造体が2つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせが挙げられる。
例えば、半導体構造体21が3つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光、緑色光、及び赤色光とする組み合わせが挙げられる。各発光部は、他の井戸層と発光ピーク波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
【0045】
素子電極22は、例えば、半導体構造体21側からTi層、Pt層、Au層の順に積層された積層体である。各層はめっきを用いて形成するができる。
【0046】
発光素子20の上面視の大きさは、例えば、1mm×1mmである。素子電極22、配線層12及び導電部材30がAuを含む場合、発光素子20の下面20aから上面20bまでの厚みは、例えば、110μmである。
【0047】
(導電部材30)
導電部材30は、発光素子20の素子電極22と配線基板10の配線層12とを電気的に接続させるための部材である。
導電部材30の材料は、例えば、Au又はAu合金を用いることができる。導電部材30の形状は、例えば、球状、半球状、円柱状、角柱状、円錐台状又は角錐台状が挙げられる。Sn-Cu、Sn-Ag-Cu、Au-Snなどのハンダ材料を用いることができる。
【0048】
導電部材30の厚みは、例えば、1μm以上10μm以下が好ましい。第1部分41の厚みを厚くしすぎないことで、第1部分41を液状に維持することができる。導電部材30の厚みは、例えば、8μmとすることができる。
【0049】
配線層12、素子電極22及び導電部材30のすべてがAuを含むのが好ましい。これにより、各部材においてAuを含むもの同士で接続可能となるため、配線層12と導電部材30間及び素子電極22と導電部材30間の接合を良好にすることができる。さらに、配線層12、素子電極22及び導電部材30がAuを含むことにより、配線層12、素子電極22及び導電部材30のいずれかがAuを含む場合と比べて、Auを含む部材と接する樹脂部材40の面積が増えるため、加熱後に硬化しない領域すなわち液状の部分を増やすことができる。これにより、樹脂部材40が熱膨張した際に、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができる。
【0050】
(樹脂部材40)
樹脂部材40は、発光素子20と配線基板10間の接合強度を高めるための部材である。樹脂部材40は、配線基板10上に配置される。樹脂部材40は、配線層12、導電部材30及び素子電極22に接する液状の第1部分41と、第1部分41の周囲に配置される硬化状態の第2部分42と、を有する。
【0051】
第1部分41は、前述した樹脂組成物40bで構成される。すなわち、第1部分41は、SiH基を有さないシロキサン化合物を含む。一例としては、第1部分41は、1分子中の両末端にSiOH基を有し、かつ、側鎖にメチル基又はフェニル基を有するシロキサン化合物を含む。
第2部分42は、前述した樹脂組成物40cで構成される。すなわち、第2部分は、シルエチレン構造を有するシロキサン化合物を含む。
【0052】
図5Bに示す例では、第2部分42の樹脂部材40は、発光素子20の4つの側面20cと接する。これにより、第1部分41の樹脂部材40が第2部分42の外側に流れ出るのを抑制することができる。
第2部分42の樹脂部材40は、発光素子20の各側面20cに対して側面20c全体に接していてもよいし、側面20cの一部に接していてもよい。
【0053】
樹脂部材40に、光反射材(例えば、酸化チタン)を含むことができる。これにより、発光素子20から配線基板10側に進む光を樹脂部材40で反射させることができるため、光取り出し効率が高まる。光反射材の含有量は、樹脂部材40に含まれる樹脂に対して、例えば、30phr(per hundred resin)以上100phr以下である。
樹脂部材40に、光反射材を含む場合、第2部分42の上端は、発光素子20の上面20bと同じ、又は、発光素子20の上面20bより低い位置にあるのが好ましい。これにより、発光素子20の上面20bから出射される光が第2部分42で遮断されないため、発光装置100Aから出射される光を広配光化させることができる。
【0054】
樹脂部材40の第2部分42の上面は、図5Bの例では、発光素子20から離れるに従って高さが低くなるような傾斜面である。この傾斜面は、断面視において、直線でもよいし、配線基板10側に窪んだ曲線でもよいし、配線基板10側と反対側に盛り上がった曲線でもよい。
【0055】
<第2実施形態>
図6A及び図6Bに示すように、発光装置は、樹脂部材40の第2部分42の上面に透光性の封止部材50Aを配置して発光装置100Bとしてもよい。図6Aは、第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。図6Bは、図6AのVIB-VIB線における断面図である。なお、既に説明した部材は同じ符号を付して説明を適宜省略する。後述する実施形態も同様である。
【0056】
発光装置100Bは、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができるため、封止部材50Aの変形を低減することができる。これにより、発光装置100Bにおいて、所望の配光特性を得ることができる。
【0057】
(封止部材50A)
封止部材50Aは、発光素子20及び樹脂部材40を外部環境から保護するための部材である。封止部材50Aは、図6Bに示す例では、発光素子20と樹脂部材40の第2部分42の上面に配置されている。封止部材50Aは、半球状に形成されている。封止部材50Aの中心軸は、発光素子20の中心軸に一致するように配置されている。
【0058】
封止部材50Aの材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂等の耐候性に優れた透光性樹脂、ガラスが挙げられる。封止部材50Aの材料は、樹脂部材40の材料と同じでもよいし、異なってもよい。封止部材50Aは、拡散材等のフィラーを含有してもよい。封止部材50Aがフィラーを含有することで、配光変化を小さくすることができる。フィラーとしては、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等が挙げられる。封止部材50Aは、蛍光体を含有してもよいし、含有していなくてもよい。蛍光体は公知のものを用いることができる。
【0059】
発光装置100Bの製造方法は、前述した硬化工程の後に、樹脂組成物40cの上面に封止部材50Aを配置する工程を含む。樹脂部材40の第2部分42が固体状態であることで、封止部材50が配置される際に、封止部材50Aが樹脂部材40と混ざることを低減することができる。
図6Bに示す例では、封止部材50Aは、樹脂組成物40c(第2部分42)の上面と、発光素子20の上面20bと、配線基板10の上面とに配置される。
封止部材50Aを配置する方法は、公知の方法が用いられる。例えば、封止部材50Aが樹脂の場合は、圧縮成形によって封止部材を形成することができる。圧縮成形後、例えば、オーブンで150℃、4時間で加熱することで封止部材50を硬化させることができる。
【0060】
<第2実施形態の別例(その1)>
図7は、第2実施形態の別例(その1)を模式的に示す断面図である。図7の例で示すように、発光装置は、発光素子20の上面20bに透光性部材60を配置させ、透光性部材を覆う封止部材50Aを配置させた発光装置100Cとしてもよい。
【0061】
発光装置100Cは、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができるため、封止部材50Aの変形を低減することができる。これにより、発光装置100Cにおいて、所望の配光特性を得ることができる。
【0062】
透光性部材60の材料として、例えば、樹脂、ガラス、セラミックスを用いることができる。透光性部材60は、波長変換材料を含むことができる。波長変換材料は、例えば、蛍光体である。例えば、発光素子20が青色を発し、透光性部材に含有された蛍光体が発光素子20からの光を吸収し、黄色を発する場合、発光装置100Cから白色の光が取り出される。
【0063】
透光性部材60は、発光素子20の上面20bと対向する下面と、下面と反対側に位置する上面と、下面と上面との間に位置する側面と、を有する。図7に示す例では、透光性部材60の下面の幅は、発光素子20の上面20bの幅より大きい。但し、これに限らず、透光性部材60の下面の幅は、発光素子20の上面の幅と同じでもよいし、小さくてもよい。
透光性部材60の断面視形状は、図7に示す例では、矩形である。但し、これに限らず、凸形状でもよい。
透光性部材60は、発光素子20に直接接合してもよいし、接着剤を介して接合してもよい。
【0064】
<第2実施形態の別例(その2)>
図8は、第2実施形態の別例(その2)を模式的に示す断面図である。図8の例で示すように、発光装置は、発光素子20の上面20bに光反射膜70を配置させた発光装置100Dとしてもよい。
【0065】
発光装置100Dは、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができるため、封止部材50Aの変形を低減することができる。これにより、発光装置100Dにおいて、所望の配光特性を得ることができる。
【0066】
発光装置100Dであれば、発光素子20の上面から出射する光が光反射膜70で反射され、発光素子20の直上の光量が抑制され、バットウィング配光を得ることができる。
光反射膜70は、銀、銅等の金属膜、誘電体多層膜(DBR)、白色樹脂、又は、これらの組み合わせ等のいずれかを有してもよい。
光反射膜70は、発光素子20の発光波長に対して、入射角に対する反射率角度依存性を有していることが好ましい。具体的には、光反射膜70の反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低くなるように設定することが好ましい。これにより、発光素子20直上における輝度の変化が緩やかになり、発光素子20直上が暗点になる等、極端に暗くなることを低減することができる。
【0067】
<第2実施形態の別例(その3)>
図9は、第2実施形態の別例(その3)を模式的に示す断面図である。図9の例で示すように、発光装置は、封止部材の断面視形状をバットウィング配光可能な形状とした封止部材50Bを有する発光装置100Eとしてもよい。
【0068】
発光装置100Eは、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができるため、封止部材50Bの変形を低減することができる。これにより、発光装置100Eにおいて、所望の配光特性を得ることができる。
【0069】
封止部材50Bは、発光素子20の上面中心付近に窪みを有した形状である。封止部材50Bは、例えば、滴下法で形成することができる。
【0070】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態を模式的に示す断面図である。図10の例で示すように、発光装置は、発光素子20の上面20bに透光性部材60を配置し、樹脂部材40の第2部分42の上面に光反射性の封止部材50Cを配置させた発光装置100Fとしてもよい。第3実施形態の発光装置の封止部材50Cが光反射性である点が、第2実施形態の発光装置100A~100Eと異なる。
発光装置100Fは、樹脂部材40の第1部分41が液状であるため、発光装置100Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、樹脂部材40が熱膨張しても、樹脂部材40の第1部分41が発光素子20を押し上げることを低減することができるため、透光性部材60が封止部材50Cから離れることを低減することができる。これにより、封止部材50Cが透光性部材60に接する状態を維持できるため、透光性部材60(発光領域)と封止部材50C(非発光領域)とのコントラストが高い、「見切り」の良好な発光装置100Fを得ることができる。
【0071】
封止部材50Cは、例えば、シリコーン樹脂と光反射材とを含む。封止部材50Cは、図10の例では、樹脂部材40の第2部分42の上面、発光素子20の側面20c及び透光性部材60の側面に配置される。透光性部材60の上面は、封止部材50Cから露出している。封止部材50Cの上面は、図10の例では、平坦である。但し、これに限らず、発光装置の中央から外側にむかって高さが低くなるように傾斜してもよい。
【0072】
また、透光性部材60の上面に、反射防止膜を配置させることができる。反射防止膜として、例えば、SiOを用いることができる。
【0073】
本明細書は、以下の実施形態を含む。
1.下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、配線層を有する配線基板と、前記素子電極と前記配線層とを電気的に接続する導電部材とを有し、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材の少なくとも一つがAuを含む中間体を準備する工程と、
前記発光素子の下面と前記配線基板との間に、
(成分A)1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有するシロキサン化合物と、
(成分B)1分子中の両末端にSiH基を有し、かつ、側鎖にSiH基を有さないシロキサン化合物と、
(成分C)ヒドロシリル化反応用触媒と、
を含む液状の樹脂組成物を配置する工程と、
前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接する前記樹脂組成物中の前記成分Bを酸化させる酸化工程と、
前記酸化工程の後に、前記素子電極、前記配線層及び前記導電部材のうちAuを含む部材と接しない前記樹脂組成物を加熱して硬化させる硬化工程と、
を含む、発光装置の製造方法。
2.前記樹脂組成物を配置する工程において、前記樹脂組成物を配置する温度は10℃以上30℃以下のいずれかの温度である、上記1に記載の発光装置の製造方法。
3.前記酸化工程は、10℃以上30℃以下のいずれかの温度で所定の時間保持する、上記1又は2に記載の発光装置の製造方法。
4.前記硬化工程の後に、前記第2部分の上面に封止部材を配置する工程を含む、、上記1から3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
5.基材と配線層とを含む配線基板と、
前記配線基板上に配置され、下面側に正負の素子電極を有する発光素子と、
前記配線層と前記素子電極とを電気的に接続する導電部材と、
前記配線層、前記導電部材及び前記素子電極に接する液状の第1部分と、前記第1部分の周囲に配置される硬化状態の第2部分と、を有する樹脂部材と、
を有する発光装置。
6.前記配線層、前記導電部材及び前記素子電極のうち少なくとも1つは、Auを含み、、上記5に記載の発光装置。
7.前記配線層、前記素子電極及び前記導電部材は、Auを含む、、上記5又は6に記載の発光装置。
8.前記第1部分は、SiH基を有さないシロキサン化合物を含み、
前記第2部分は、シルエチレン構造を有するシロキサン化合物を含む、、上記5から7のいずれかに記載の発光装置。
9.前記第1部分は、1分子中の両末端にSiOH基を有し、かつ、側鎖にメチル基又はフェニル基を有するシロキサン化合物を含む、、上記8に記載の発光装置。
10.前記発光素子は、前記下面と、前記下面の反対側に位置する上面と、前記下面と前記上面との間に位置する側面と有し、
前記第2部分は、前記発光素子の側面と接する、請求項5に記載の発光装置。
11.前記第2部分の上端は、前記発光素子の上面と同じ、又は、前記発光素子の上面より低い位置にある、、上記5から10のいずれかに記載の発光装置。
12.前記第2部分の上面を覆う封止部材を有する、上記5から11のいずれかに記載の発光装置。
【符号の説明】
【0074】
中間体:1000
発光装置:100A~100F
基板:10
基材:11
配線層:12
外部接続電極:13
発光素子:20
下面:20a
上面:20b
側面:20c
半導体構造体:21
素子電極:22
導電部材:30
樹脂部材:40
第1部分:41
第2部分:42
樹脂組成物:40a、40b、40c
封止部材:50A、50B、50C
透光性部材:60
光反射膜:70
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10