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特開2024-109198ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109198
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 81/02 20060101AFI20240806BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20240806BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C08L81/02
C08L23/06
C08L23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013865
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】姫野 芳英
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03Y
4J002BB10W
4J002BG04X
4J002BG05X
4J002CN01W
4J002CN02W
4J002CN03W
4J002FB090
4J002FD010
4J002FD160
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
(57)【要約】

【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂の本来有する耐熱性を損なうことなく、誘電特性や部分放電開始電圧に優れ、引張破断強度や耐衝撃性等の靭性、溶融特性にも優れ、特に絶縁被覆に適するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B)15~50重量部、260℃における溶融張力が100mN以上、かつGPC法による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量/数平均分子量が9以上であるポリエチレン樹脂(C)5~40重量部を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B)15~50重量部、260℃における溶融張力が100mN以上、かつGPC法による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量/数平均分子量が9以上であるポリエチレン樹脂(C)5~40重量部を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項2】
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度290℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が1000~10000ポイズであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項3】
反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B)が、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項4】
ポリエチレン樹脂(C)が、高圧法低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項5】
ポリエチレン樹脂(C)が、加熱溶融処理高圧法低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項6】
JIS C-2565に準拠して、測定温度23℃、測定周波数2GHzにて測定した比誘電率が2.8以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の押出成形体であることを特徴とする絶縁性被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の本来有する耐熱性を損なうことなく、誘電特性や部分放電開始電圧に優れ、引っ張り破断強度や耐衝撃性等の靭性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、押出成形により製造される成形性や絶縁耐電圧に優れた被覆材、樹脂配管の用途に特に有用なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用途など電動車両に搭載される多くのモータや発電機において高効率化、小型化および軽量化のための要素技術開発が自動車業界全体で進められている。中でも、高出力化を達成するための一つの方法としては、ステータコア内におけるコイルの占有率を高めることが挙げられている。このコイルの占積率を高める方策として、コイル用の電線としてこれまで一般に用いられてきた丸線に代わって断面矩形の平角線を適用することが挙げられる。
【0003】
そして、この際の絶縁電線用被覆材としては、長期にわたる耐熱性以外にも耐絶縁破壊強さ、特に高い部分放電開始電圧が求められ、部分放電開始電圧と比誘電率との関係は下記式(1)(Dakinの式)で示されることが知られている(例えば非特許文献1参照。)。式(1)によれば電線として高い部分放電開始電圧を持つためには、絶縁被覆材である樹脂組成物に対して低い比誘電率であることが求められている。
V=163(t/εr)0.46 (1)
(ここで、Vは部分放電開始電圧(Vrms)、tは絶縁層の厚さ(μm)、εrは絶縁層の比誘電率のそれぞれを示す。)
また、このような用途で用いられる電線は押出成形である電線成形加工にて連続的に電線を成形後に曲げ加工して、電線端面をスポット溶接で電気的に接続させ一つの長いワイヤとして用いられる。絶縁被膜である樹脂組成物に対しても電線の曲げ加工での柔軟性および導線との密着性が求められている。
【0004】
このような絶縁被覆に用いられる樹脂組成物またはそれを用いて製造される絶縁電線としては、導体と絶縁層とを備え、絶縁層は、内層と、内層の外周に設けられる外層とを有し、内層は、主鎖に芳香環を有する熱可塑性樹脂(a1)を含むベースポリマ(A)を含有するノンハロゲン樹脂組成物から形成され、外層は、ポリオレフィン成分を含むベースポリマ(B)とノンハロゲン難燃剤とを含むノンハロゲン難燃性樹脂組成物を架橋させた架橋物から形成された絶縁電線(例えば特許文献1参照。)が提案されている。
【0005】
また、同様の樹脂組成物またはそれを用いた絶縁電線としては、(A)ポリフェニレンスルフィド、(B)ポリオレフィン系樹脂、及び(C)繊維状のチタン酸アルカリ金属塩のそれぞれを特定量含む樹脂組成物を導体に被覆してなる被覆電線(例えば特許文献2参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-041700号公報
【特許文献2】特許第5712076号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】古河電工時報 133号(2014年) p11-18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、2の提案においては、その溶融特性・加工性、例えば溶融粘度、溶融張力等に関して何ら検討されておらず、電線成形時にその絶縁被覆層の厚さが薄くかつ生産速度が早い場合には被覆層が未被覆となる等の課題を有するものであった。また、特許文献2においては繊維状の無機化合物を配合するため、柔軟性が低下し、成形品を曲げ加工したときにクラックなどが発生する可能性がある。
【0009】
そこで、耐熱性、絶縁性、機械特性に優れることは無論、電線等の成形時にその絶縁被覆層の厚さが薄い場合、生産速度が早い場合においても被覆に課題を発生せず、押出成形品の成形後の曲げ加工を実施する場合に、クラックを生じることなく加工可能となる材料が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂、特定のエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、特定のポリエチレン樹脂を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、耐熱性、耐薬品性、絶縁破壊強さおよび低誘電率を有し、成形後の曲げ加工などでもクラックを発生しないものとなりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、単にPAS樹脂と記す場合がある。)(A)100重量部に対して、反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(以下、単に共重合体と記す場合がある。)(B)15~50重量部、260℃における溶融張力が100mN以上、かつGPC法による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量/数平均分子量が9以上であるポリエチレン樹脂(C)5~40重量部を含むことを特徴とするPAS樹脂組成物に関するものである。
【0012】
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
【0013】
本発明のPAS樹脂組成物を構成するPAS樹脂(A)としては、一般にPAS樹脂と称される範疇に属するものであればよく、該PAS樹脂としては、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該PAS樹脂の具体的例示としては、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、単にPPSと記す場合がある。)、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度特性に優れるPAS樹脂組成物となることから、PPSであることが好ましい。
【0014】
該PAS樹脂(A)の製造方法としては、PAS樹脂の製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロ芳香族化合物を重合することにより得る事が可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げる事ができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げる事ができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロ芳香族化合物としては、例えばp-ジクロロベンゼン、p-ジブロモベンゼン、p-ジヨードベンゼン、m-ジクロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、m-ジヨードベンゼン、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロジフェニルエーテル、4,4’-ジクロロビフェニル等を挙げる事ができる。
【0015】
また、PAS樹脂(A)としては、直鎖状のもの、酸素中で加熱処理を施して架橋又は分岐構造を導入したもの、重合時にトリハロ以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したもの、PAS樹脂の分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基等の官能基により変性したもの、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものなどが挙げられ、さらにこれらPAS樹脂の混合物であってもかまわない。その中でも、反応性化合物、特に場合によっては反応性官能基を共重合成分として含む共重合体(B)との反応性に優れ、耐衝撃性等の靭性に優れたPAS樹脂組成物がより容易に得られることから、PAS樹脂の分子鎖の一部をアミノ基により変性したものであることが好ましい。また、該PAS樹脂は、酸洗浄、熱水洗浄あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってナトリウム原子、PASのオリゴマー、食塩、4-(N-メチル-クロロフェニルアミノ)ブタノエートのナトリウム塩などの不純物を低減させたものであってもよい。
【0016】
該PAS樹脂(A)としては、PAS樹脂組成物とした際の成形加工性に優れるものとなることから、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が200~3000ポイズのものであることが好まく、電線被覆成形のような押出成形加工用の樹脂組成物としては、500~2000ポイズのものが好ましい。
【0017】
本発明のPAS樹脂組成物を構成する共重合体(B)としては、反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、該共重合体を構成するα、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基としては、例えばアクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸プロピル残基、アクリル酸ヘキシル残基、アクリル酸オクチル残基、アクリル酸グリシジルエステル残基、メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸プロピル残基、メタクリル酸ヘキシル残基、メタクリル酸オクチル残基、メタクリル酸グリシジルエステル残基等を挙げることができる。また、反応性官能基としては、無水マレイン酸基、エポキシ基、カルボン酸基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられ、このうち、適度な反応性を有することから、自己反応による共重合体(B)の高分子量化凝集体の生成が抑制でき、表面外観に優れるものとなることから、無水マレイン酸基を含有する共重合体が好ましい。
【0018】
そして、該共重合体(B)としては、特に耐衝撃性、柔軟性に優れるPAS樹脂組成物となることから、反応性官能基を共重合成分として含むエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体としては、例えばエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体等が挙げられ、特にエチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体が好ましく、更にエチレン-アクリル酸エチルエステル-無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。また、共重合体(B)としては、その柔軟性、耐冷熱衝撃性に優れるPAS樹脂組成物となることから、そのガラス転移温度が低い共重合体であることが好ましい。ここで、反応性官能基を有さないものである場合、得られる樹脂組成物は、靭性に劣るものとなる。
【0019】
そして、共重合体(B)の市販品としては、無水マレイン酸含有エチレン共重合体として、SK global chemical社製の(商品名)Lotader AX5500、(商品名)BONDINE AX8390、LX4110、TX8030などが挙げられ、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル(-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル)共重合体として、SK global chemical社製の(商品名)Lotader AX8700、AX8750、住友化学株式会社製の(商品名)ボンドファースト 7M、7Lなどが挙げられる。
【0020】
また、共重合体(B)は、目的とする製品形状、樹脂層の厚さ、成形加工温度、配合組成などに応じて本発明の目的を逸脱しない範囲で共重合体の種類あるいは共重合比率などを任意に決めることができ、共重合体(B)は、その目的に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。
【0021】
該共重合体(B)の配合量としては、耐衝撃性等の靭性と樹脂組成物としての耐熱性とのバランスに優れたPAS樹脂組成物とすることが可能となることから、該PAS樹脂100重量部に対して、15~50重量部であり、特に20~40重量部であることが好ましい。該共重合体(B)の配合量が15重量部未満の場合、樹脂組成物は靭性に乏しく、絶縁電線としたときの後加工や耐冷熱衝撃性などの物性が劣るものとなる。一方、50重量部を越える場合、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、成形加工におけるボイド(材料欠陥)が発生しやすくなる。
【0022】
本発明のPAS樹脂組成物を構成するポリエチレン樹脂(C)としては、260℃における溶融張力が100mN以上であり、GPC法による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比として表されるMw/Mn(分子量分布)が9以上のポリエチレン樹脂であれば如何なるものを用いることができ、中でも、特に粘度、溶融張力など成形性の観点から優れる樹脂組成物となることから溶融張力が100mN以上400mN以下、Mw/Mnが9以上13以下のポリエチレン樹脂が望ましい。高溶融張力、広分子量分布のポリエチレン樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン樹脂、長鎖分岐型エチレン(共)重合体が知られている。そして、ポリエチレン樹脂(C)として調製する際には、例えば特開2013-136718号公報、特開2014-129443号公報に提案されているように、市販の高圧法低密度ポリエチレンン樹脂、長鎖分岐型エチレン(共)重合体(ペレット)を二軸押出機またはバンバリミキサーなどを用いて酸素存在下で加熱下(例えば130℃以上220℃以下)、溶融混練することにより、架橋(酸素架橋)を促進することにより調製可能である。なお、溶融張力は、例えば毛管粘度計により測定することができる。
【0023】
ポリエチレン樹脂(C)は、メルトマスフローレート(MFR)によらず、溶融張力が高いという特徴を持つ。このことからポリエチレン樹脂(C)の配合により電線被覆成形等の押出成形時のPAS樹脂組成物の溶融張力が向上し、また、反応性官能基を共重合成分として含むポリオレフィン共重合体と合わせてポリアリーレンスルフィド樹脂と溶融混練させることで、ポリエチレン樹脂(C)の微分散が可能となり、成形速度が速い条件でも良好な成形性を有し、被覆層が薄く均一に成形可能である。さらには、PAS樹脂組成物の柔軟性が高くなり、被覆層成形後の曲げ加工でも剥離やクラックが生じることなく母材への追従が可能となる。ここで、溶融張力が100mN未満のものである場合、得られる組成物は張力が低く被覆性に劣るものとなる。一方、Mw/Mnが9未満のものである場合、得られる組成物は流動性に劣り薄肉性に劣るものとなる。
【0024】
該ポリエチレン樹脂(C)の配合量としては、PAS樹脂(A)100重量部に対して、5~40重量部を含むものであり、特に成形加工性と低誘電性のバランスに優れる被覆層を形成するものとなることから10~35重量部であることが好ましく、15~30重量部がより好ましい。ここで、ポリエチレン樹脂(C)の配合量が5重量部未満である場合、得られる組成物は溶融張力が不足し、被覆層成形速度が速い条件では母材の未被覆が生じる。一方、40重量部を越えるものである場合、溶融張力が高すぎることで成形時に被覆層が一部未被覆となるまたはその膜厚が不均一と場合がある。
【0025】
本発明のPAS樹脂組成物の溶融粘度としては、溶融成形加工が可能であればよく、中でも、特に電線等の被覆材、絶縁耐電圧用配管等の中空成形体としての成形加工性に優れることから、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度290℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が1000~10000ポイズであることが好ましく、特に2000~7000ポイズであることが好ましい。
【0026】
また、本発明のPAS樹脂組成物は、優れた誘電特性、部分放電開始電圧を有するものであり、中でも、その性能に優れた被覆材、配管等の電子・電気用部材の材料となることから、70mm×3mm×1mm厚の平板試験片とし、JIS C-2565に準拠して、測定周波数2GHzにて測定した比誘電率が3.0以下、特に比誘電率が2.8以下のものであることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、特に電線等の被覆材、中空製品として適用した際の柔軟性に優れたものとなることから、JISK 7161に準拠し、測定した引張破断ひずみが8%以上、特に15%以上のものであることが好ましい。
【0028】
本発明のPAS樹脂組成物は、繊維状充填材、非繊維状充填材等の充填材を含んでいてもよく、繊維状充填材としては、例えばガラス繊維;PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;グラファイト化繊維;窒化珪素ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、ボロンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー;ステンレス繊維等の金属繊維;ロックウール、ジルコニア、アルミナシリカ、チタン酸バリウム、炭化珪素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の無機系繊維;全芳香族ポリアミド繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の有機系繊維;ワラステナイト、マグネシウムオキシサルフェート等の鉱物系繊維等が挙げられる。また、非繊維状充填材としては、例えばワラストナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、パイロフィライト、タルク、アルミナシリケート等の珪酸塩;酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム等の窒化物;ガラスフレーク、ガラスビーズ等を例示できる。また、該充填材は、イソシアネート系化合物、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、エポキシ化合物等で表面処理したものであってもよい。
【0029】
また、本発明のPAS樹脂組成物は、靭性等に優れるものとなることからシランカップリング剤を含んでいてもよく、該シランカップリング剤としては、グリシジル基を有するトリアルコキシシランカップリング剤及び/又はアミノ基を有するトリアルコキシシランカップリング剤からなるシランカップリング剤を挙げることでき、その具体的な例として、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0030】
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、成形品とする際の外観を改良するために離型剤を含有してもよい。該離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アマイド系ワックスが好適に用いられる。該ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスとしては、一般的な市販品を用いることができる。また、該脂肪酸アマイド系ワックスとは、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸及びジアミンからなる重縮合物でありこの範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH-255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
【0031】
本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種添加剤を混合して使用することができ、例えば従来公知のポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線防止剤;発泡剤などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。さらに、各種熱硬化性樹脂;反応性官能基を有しない熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアルキレンオキサイド等の熱可塑性樹脂の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
【0032】
本発明のPAS樹脂組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練を用いることができる。例えば単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練法が挙げられ、特に混練能力と生産性に優れた二軸押出機による溶融混練が好ましい。さらに、PAS樹脂(A)と共重合体(B)、さらにポリエチレン樹脂(C)との混練、場合によっては反応を十分なものとし、その結果、耐冷熱サイクル性や靭性に優れたPAS樹脂組成物を容易に製造することが可能となることから、スクリュ長さ(L)とスクリュ直径(D)の比(L/D)が、30以上のものが望ましい。また、押出機のニーディングゾーンのシリンダー温度を260~310℃に設定することが好ましく、特に260~300℃に設定することが好ましい。さらに、スクリュの周速度は50~400mm/秒であることが好ましく、特に150~300mm/秒が好ましい。また、押出機内の溶融樹脂の滞留時間としては、30~100秒が好ましい。
【0033】
本発明のPAS樹脂組成物は、射出成形機、押出成形機、ブロー成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機等を用いて任意の形状に成形することができ、電気・電子部品、自動車部品等の各種製品、部品とすることができ、特に電気絶縁特性、誘電特性にすぐれることから、絶縁電線の被覆材、電線等を集束する絶縁中空配管、絶縁継手とすることができる。このうち、絶縁電線として成形する場合は連続生産性に優れることから押出成形が好ましい。また、中空配管とする際には射出ブロー成形、押出成形、ブロー成形が好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂が有する耐熱性、絶縁破壊強さなどを損なうことなく、低い比誘電率を有し、冷熱衝撃サイクル性や成形後の後加工などに対応する高い靭性を併せ持つものであり、電気・電子部品又は自動車部品などの用途、特に絶縁電線の被覆材、絶縁配管部品や継手などの中空成形品などの用途に好適に用いることが出来ると共に、本発明のPAS樹脂組成物を用いた絶縁電線によるモータ、発電機またはリアクトルはモータ効率や発電効率を改善することが出来、電気自動車やハイブリッド自動車の省エネルギー化、小型化および軽量化に期待されるものである。
【実施例0035】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
【0036】
実施例及び比較例において用いた、PAS樹脂(A)、共重合体(B)、ポリエチレン樹脂(C)を以下に示す。
【0037】
<PAS樹脂(A)>
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-1)と記す。):溶融粘度1120ポイズ。
【0038】
<共重合体(B)>
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸エチルエステル-無水マレイン酸共重合体(B-1)(以下、単に共重合体(B-1)と記す。);SK global chemical社製、(商品名)ボンダインAX8390、反応性基:無水マレイン酸、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=69.7:29:1.3。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸ブチルエステル-メタクリル酸グリシジルエステル共重合体(B-2)(以下、単に共重合体(B-2)と記す。);SK global chemical社製、(商品名)Lоtader AX8700、反応性基:エポキシ基、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:メタクリル酸グリシジルエステル残基単位(重量比)=67:25:8。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸ブチルエステル共重合体(B’-3);SK global chemical社製、(商品名)LOTRYL 35BA40T、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=65:35、反応性官能基無。
【0039】
<ポリエチレン樹脂(C)>
特開2013-136718号公報に記載の方法を参考に調製を行った。噛合型スクリュ、異方向回転型の二軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル2D25S型)を用い、メルトマスフローレート1.6g/10分、密度919kg/mの高圧法低密度ポリエチレン樹脂(C’-2)(東ソー株式会社製、(商品名)ペトロセン360;溶融張力75mN、Mw/Mn値8.1)を、混練温度160℃、吐出量1.7kg/時、スクリュ回転数60rpm、酸素濃度21%、充満率80%の条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、ストランドカッター(株式会社誠和鉄工所製)を用いてポリエチレン樹脂(C-1)ペレットを得た。
【0040】
その際のスクリュは多条フライト型逆リード付(2S25R型)のものを用いた。得られたポリエチレン樹脂(C-1)は、Mw/Mn値が10.0、溶融張力が172mNであった。
【0041】
合成例1
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)を6214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17000g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを7278g、3,5-ジクロロアニリンを11.7g、N-メチル-2-ピロリドンを5000g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのアミノ基置換ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。次いで、乾燥したアミノ基置換ポリ(p-フェニレンスルフィド)を、バッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、空気雰囲気下240℃で2時間硬化処理を行うことによって、溶融粘度1120ポイズ、フェニル基に対するアミノ基の含有量0.1モル%のPPS(A-1)を得た。
【0042】
実施例及び比較例による評価・測定方法を以下に示す。
【0043】
<溶融粘度>
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター(島津製作所製)にて、荷重10kgの条件下で測定した。
【0044】
<溶融張力>
23℃に設定した恒温室内において、温度を260℃に設定し、長さが8mm、直径が2.095mm、流入角が90°のダイスを装着したバレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、樹脂、組成物のペレット18gを充填し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を4.7に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力として測定した。
【0045】
<分子量、分子量分布>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した。
測定試料を秤量後、HPLC級1,2,4-トリクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製) に酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業(株)製)を0.1%添加した溶媒に加えて、140℃で1時間振とうして溶解させたものを試料溶液とした。
測定装置(東ソー(株)製、(商品名)HLC-8121GPC/HT)を用い、以下のようにして測定した。分離カラムとしてTSKgelGMHHR-H(20)HT(東ソー(株)製、内径7.8mm、長さ30cm)を3本連結して使用した。移動層にはHPLC級1,2,4-トリクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)に酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業(株)製)を0.05%添加したものを使用し、140℃に保持した分離カラム中を流速1.0ml/分で移動させた。これに1.0mg/mlに濃度を調整した試料溶液を0.3ml注入し、示差屈折計で分離された試料成分を検出した。標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を使用して作成した5次近似曲線を検量線として使用し、分子量分布曲線、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0046】
<曲げ特性>
得られた樹脂組成物をシリンダー温度320℃、金型温度60℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE75)を用いて射出成形し、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率、曲げ破断ひずみ)を評価するための試験片を作製した。ここで曲げ特性の試験はJISK7171に準拠した。その際、曲げ破壊ひずみが20%以上のPAS樹脂組成物を電線被覆材として良好な柔軟性を有するとし、特に25%以上のものを優れるものと判断した。
【0047】
<比誘電率>
得られた樹脂組成物をシリンダー温度320℃、金型温度60℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE75)を用いて射出成形にて平板試験片(70mm×70mm×1mm厚)を成形し、この平板からの比誘電率測定用試験片(70mm×3mm×1mm厚)を切削加工にて作製した。この試験片にて、比誘電率測定装置((株)エーイーティー製、(商品名)空洞共振器)を用い、JIS C-2565に準拠して、測定周波数2GHzにて比誘電率、誘電正接を測定した。その際、比誘電率が3.0以下のもの一定の部分放電開始電圧を有する材料とし、特に2.8以下のものを優れるものと判断した。
【0048】
実施例1
合成例1で得られたPPS(A-1)100重量部に対し、共重合体(B-1)46重量部、ポリエチレン樹脂(C-1)8重量部を予め均一に混合し、ニーディングゾーンを3か所有する二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、(商品名)TEX-25αIII、L/D=55)のホッパーに投入し、ニーディングゾーンのシリンダー温度を270℃に加熱した条件で原料供給速度12kg/h、スクリュ回転数250rpm(周速 327mm/秒)にて溶融混練し、滞留時間50秒にてダイより流出する溶融PAS樹脂組成物を冷却後裁断してペレット状のPAS樹脂組成物を作製した。
【0049】
得られたPAS樹脂組成物を上記した方法により測定・評価した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例2~6
PAS(A)、共重合体(B-1,2)、ポリエチレン樹脂(C-1)の配合割合を表1に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状のPAS樹脂組成物を作製した。
【0052】
実施例1と同様の方法により各物性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0053】
比較例1~6
PAS(A-1)、共重合体(B-1,B’-3)、ポリエチレン樹脂(C-1,C’-2)の配合割合を表2に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状の樹脂組成物を作製した。
【0054】
実施例1と同様の方法により各物性を評価し、結果を表2に示した。
【0055】
比較例1のポリエチレン樹脂(C)を用いない樹脂組成物では、その溶融張力が低いことから押出成形ができない、または比誘電率が高く絶縁性能が劣る。
【0056】
また、比較例2のようにポリエチレン樹脂(C)が多い樹脂組成物では、樹脂組成物の曲げひずみが低く柔軟性に劣るため絶縁電線や配線などには向かない。また、その溶融張力が高く、成形時の樹脂圧力が上昇し、押出成形時に成形ダイス内での溶融樹脂に圧力損失が大きく、膜厚を均一とすることが困難である。
【0057】
比較例3のように、溶融張力が低いポリエチレン(LDPE)を用いた樹脂組成物では、その溶融張力が低いことから、押出成形することができない。
【0058】
比較例4のように、反応性官能基を共重合成分として含まないエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B)を用いた樹脂組成物では、樹脂組成物としての曲げひずみが低く柔軟性に劣るため絶縁電線や配線などには不適である。
【0059】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂が有する耐熱性、絶縁破壊強さなどを損なうことなく、低い比誘電率を有し、冷熱衝撃サイクル性や成形後の後加工などに対応する高い靭性を併せ持つものであり、電気・電子部品又は自動車部品などの用途、特に絶縁電線の被覆材、絶縁配管部品や継手などの中空成形品などの用途に好適に用いることが出来る。これらを用いたモータ、発電機またはリアクトルはモータ効率や発電効率を改善することが出来るため、電気自動車やハイブリッド自動車の省エネルギー化、小型化および軽量化に寄与するである。