(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109209
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】端子保持構造、保持部材及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20240806BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240806BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240806BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240806BHJP
H01R 11/12 20060101ALI20240806BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H01R13/42 B
H01M50/296
H01M50/503
H01M50/50 101
H01R13/42 D
H01R11/12 E
H01M50/55 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013882
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 文孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 義和
【テーマコード(参考)】
5E087
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087FF13
5E087GG14
5E087GG15
5E087MM05
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR25
5H040DD03
5H040DD05
5H043AA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043FA04
5H043JA01F
5H043LA02F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】容易かつ確実に接続端子を保持できる端子保持構造、保持部材及び電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】端子保持構造7は、接続端子70と、接続端子70を保持する端子保持部80とで構成され、接続端子70は、平板状の平板部71と、被覆電線50と接続される電線接続部72とが備えられ、平板部71に、高さ方向Hの一方に突出する段差形状を形成する段差部732とが設けられ、端子保持部80は、平板部71を収容する収容部81を有し、収容部81に、段差部732の先端側LAに設けられた第一突出部83と、高さ方向Hの一方に段差部732の板厚だけ第一突出部83と間隔を隔てて設けられた第二突出部84とが備えられ、第一突出部83の少なくとも一部は、第二突出部84よりも基端側LBに配置されており、第一突出部83及び第二突出部84の間隔が、段差部732の先端側LAに沿った長さよりも短い。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と電気的に接続される接続端子と、
前記接続端子を保持する保持部材とで構成され、
前記接続端子は、
板厚方向に貫通する貫通孔を有する平板状の平板部と、
前記電線と接続される電線接続部とが備えられ、
前記平板部に、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部とが設けられ、
前記保持部材は、
少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、
前記端子収容部に、
前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、
前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、
前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも前記延出方向の反対方向に配置され、
前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成された
端子保持構造。
【請求項2】
前記第一突出部の前記延出方向に沿った長さが、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも長い
請求項1に記載の端子保持構造。
【請求項3】
前記第二突出部は、前記第一突出部に接近するに伴い、前記反対方向に向けて傾斜する傾斜案内部を有する
請求項1又は請求項2に記載の端子保持構造。
【請求項4】
前記第一突出部における前記反対方向の端部が、傾斜する前記傾斜案内部に沿って延出させた仮想傾斜面よりも前記反対方向に配置された
請求項3に記載の端子保持構造。
【請求項5】
前記延出方向及び前記板厚方向に直交する方向を幅方向とし、
前記第二突出部は、前記幅方向に沿って設けられた前記第一突出部の両端から所定の間隔を隔てて対となって設けられた
請求項1に記載の端子保持構造。
【請求項6】
前記平板部の前記段差部と対向する位置に、端部から前記一方に向けて立設する立設部が備えられ、
前記端子収容部に、前記立設部を係止する係止部が備えられた
請求項1又は請求項2に記載の端子保持構造。
【請求項7】
前記第二突出部と前記係止部とは、前記板厚方向に沿った高さが等しい
請求項6に記載の端子保持構造。
【請求項8】
前記係止部は、前記端子収容部の前記反対方向に向けて弾性変形する
請求項6に記載の端子保持構造。
【請求項9】
電線と電気的に接続される接続端子を保持する保持部材であって、
前記電線と接続される電線接続部と、板厚方向に貫通する貫通孔を有し、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部が設けられた平板状の平板部とを有する前記接続端子の少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、
前記端子収容部に、
前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、
前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、
前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも前記延出方向の反対方向に配置され、
前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成された
保持部材。
【請求項10】
並列配置された複数の電池と、
前記電池と電気的に接続されたワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスから分岐された電線と電気的に接続される接続端子と、
前記接続端子を保持する保持部材とで構成され、
前記接続端子は、
板厚方向に貫通する貫通孔を有する平板状の平板部と、
前記電線と接続される電線接続部とが備えられ、
前記平板部に、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部とが設けられ、
前記保持部材は、
少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、
前記端子収容部に、
前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、
前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、
前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも前記延出方向の反対方向に配置され、
前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成された
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電線と電気的に接続される接続端子を保持部材で保持した端子保持構造、保持部材及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電線を介して電池から電子機器類に電力を供給する電池モジュールが、電気車両やハイブリッド車両に搭載される。この電池モジュールの一例として、接続端子を収容可能に構成された端子収容部と、接続端子に接続された電線を収容する電線収容部とを備えた保持部材を有する構造が特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されている電池モジュールは、保持部材における端子収容部に接続端子を収容した後に、接続端子を電池などの接続対象部材に接続する構成である。しかしながら、接続端子を端子収容部に収容する作業は煩雑であるため、接続端子を容易に保持して収容できる保持構造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明は、容易かつ確実に接続端子を保持できる端子保持構造、保持部材及び電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電線と電気的に接続される接続端子と、前記接続端子を保持する保持部材とで構成され、前記接続端子は、板厚方向に貫通する貫通孔を有する平板状の平板部と、前記電線と接続される電線接続部とが備えられ、前記平板部に、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部とが設けられ、前記保持部材は、少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、前記端子収容部に、前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも、前記延出方向の反対方向に配置され、前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成された端子保持構造であることを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、電線と電気的に接続される接続端子を保持する保持部材であって、前記電線と接続される電線接続部と、板厚方向に貫通する貫通孔を有し、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部が設けられた平板状の平板部とを有する前記接続端子の少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、前記端子収容部に、前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも前記延出方向の反対方向に配置され、前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
さらにまたこの発明は、並列配置された複数の電池と、前記電池と電気的に接続されたワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスから分岐された電線と電気的に接続される接続端子と、前記接続端子を保持する保持部材とで構成され、前記接続端子は、板厚方向に貫通する貫通孔を有する平板状の平板部と、前記電線と接続される電線接続部とが備えられ、前記平板部に、端部から延出するとともに、前記板厚方向の一方に突出する段差形状を形成する段差部とが設けられ、前記保持部材は、少なくとも前記平板部を収容する端子収容部を有し、前記端子収容部に、前記段差部の延出方向に設けられた第一突出部と、前記板厚方向の一方に前記段差部の板厚だけ前記第一突出部と間隔を隔てて設けられた第二突出部とが備えられ、前記第一突出部の少なくとも一部は、前記第二突出部よりも前記延出方向の反対方向に配置され、前記第一突出部及び前記第二突出部における前記反対方向の端部同士の間隔が、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも短くなるように構成された電池モジュールであることを特徴とする。
【0009】
前記段差形状とは、前記平板部の端部から板厚方向の一方側に立ち上がるとともに、前記平板部と段差部とを連結する立上部を介して階段状の段差形状を形成している状態をさす。なお、前記段差部と前記電線接続部とは、反対方向に沿って対向するように設けられている場合の他、互いに交差するように設けられていてもよい。
【0010】
前記第一突出部は、前記平板部を収容する収容空間に設けられており、例えば、前記端子収容部における前記延出方向に設けられた内面から前記反対方向に向けて突出している場合や、前記端子収容部における前記延出方向と交差する内面から収容空間に向けて突出している場合などを含む。
【0011】
また、前記第一突出部及び前記第二突出部は、前記端子収容部における延出方向に設けられていればよく、例えば、前記第一突出部及び前記第二突出部が前記端子収容部における前記延出方向の内面から収容空間に向けて突出する構成の他、前記第一突出部及び前記第二突出部の少なくとも一方が、前記端子収容部における前記延出方向の内面以外の内面から収容空間に向けて突出している構造などを含む。
【0012】
前記第一突出部と前記第二突出部は、前記延出方向に沿って一部分が重なり合ってもよいし、所定の間隔を隔ててもよい。
また、前記第一突出部と前記第二突出部は、前記延出方向及び前記板厚方向と直交する方向に沿って、一部分が重なり合ってもよいし、所定の間隔を隔ててもよい。
【0013】
この発明によると、接続端子を端子収容部に収容する際に、第二突出部よりも反対方向に配置されている第一突出部の一部に段差部を当接させることができるため、第一突出部に配置された段差部を延出方向に向けて滑らせて移動させることができる。また、段差部の延出方向に沿った長さが、第一突出部及び第二突出部における反対方向の端部同士の間隔よりも長いため、第一突出部と第二突出部との間に、第一突出部に沿って滑らせた段差部を確実に取り付けることができる。
【0014】
このように、第一突出部に配置した段差部を延出方向に移動させるだけで、段差部を第一突出部と第二突出部とで挟み込んで保持できるため、容易かつ確実に、平板部を端子収容部に収容した状態で接続端子を保持できる。
【0015】
この発明の態様として、前記第一突出部の前記延出方向に沿った長さが、前記段差部の前記延出方向に沿った長さよりも長くしてもよい。
この発明によると、接続端子が延出方向に移動した場合に、平板部から立ち上がるとともに、平板部と段差部を連結する立上部が第一突出部と干渉し、接続端子の延出方向に沿った移動を規制できる。すなわち、端子収容部における所定の位置に平板部を配置できるとともに、延出方向に沿った接続端子の位置ズレを抑制できる。したがって、接続対象部材と接続端子とを確実に接続させることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記第二突出部は、前記第一突出部に接近するに伴い、前記反対方向に向けて傾斜する傾斜案内部を有してもよい。
この発明により、第一突出部と接近するように段差部を傾斜案内部に沿って移動させることで、確実に段差部を第一突出部に案内することができる。したがって、平板部を端子収容部に収容する際に、段差部によって覆われているために目視しにくい第一突出部に段差部を確実に配置できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記第一突出部における前記反対方向の端部が、傾斜する前記傾斜案内部に沿って延出させた仮想傾斜面よりも前記反対方向に配置されてもよい。
この発明により、傾斜案内部に沿って段差部を第一突出部に向けて移動させるだけで、仮想傾斜面よりも内側に配置された第一突出部に配置されるように、より確実に段差部を第一突出部に案内できる。したがって、容易かつ確実に段差部を第一突出部と第二突出部との間に配置でき、端子収容部に平板部を収容させる作業の作業効率をより向上させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記延出方向及び前記板厚方向に直交する方向を幅方向とし、前記第二突出部は、前記幅方向に沿って設けられた前記第一突出部の両端から所定の間隔を隔てて対となって設けられてもよい。
【0019】
この発明により、段差部における幅方向の両端部分が、第一突出部と第二突出部との隙間に配置され、第一突出部と第二突出部とで段差部を確実に挟持できる。したがって、第一突出部と第二突出部とで確実に段差部を保持し、接続端子の板厚方向へのガタツキを確実に規制できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記平板部の前記段差部と対向する位置に、端部から前記一方に向けて立設する立設部が備えられ、前記端子収容部に、前記立設部を係止する係止部が備えられてもよい。
この発明により、段差部を第一突出部と第二突出部との間に配置しながら、段差部と対向する立設部を係止部で係止できるため、端子収容部に平板部を安定して収容できる。また、段差部と対向するように備えられた立設部を係止部で係止することにより、反対方向に沿った平板部の位置ズレを規制できる。
【0021】
さらにまた、第一突出部の反対方向に沿った長さが、段差部の延出方向に沿った長さよりも長い場合には、延出方向及び反対方向において、接続端子の延出方向に沿った位置ズレをより確実に抑制できるため、接続端子を端子収容部における所定の位置に収容して保持できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記第二突出部と前記係止部とは、前記板厚方向に沿った高さが等しくてもよい。
この発明により、平板部を水平な状態で端子収容部に収容できる。したがって、接続端子を接続対象部材に確実に接続させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記係止部は、前記端子収容部の前記反対方向に向けて弾性変形してもよい。
この発明によると、第一突出部に配置した段差部を延出方向に向けて移動させる場合に、反対方向に配置された立設部が係止部と当接して係止部を反対方向に向けて弾性変形させることができる。これにより、立設部を板厚方向の他方側に容易に移動させることができる。したがって、平板部を端子収容部に収容することが容易にでき、作業効率を向上させることができる。
【0024】
また、接続端子が反対方向に移動した場合に、弾性変形した係止部が立設部を支持できるため、接続端子の反対方向への移動を規制することができる。すなわち、接続端子の反対方向への位置ズレをより確実に抑制できる。したがって、容易かつ確実に接続端子を接続対象部材に接続させることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、容易かつ確実に接続端子を端子収容部に収容できる端子保持構造、保持部材及び電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図8】接続端子を端子収容部に取り付ける取付方法の説明図。
【
図9】接続端子を端子収容部に取り付ける取付方法の説明図。
【
図10】接続端子を端子収容部に取り付ける取付方法の説明図。
【
図11】接続端子を端子収容部に取り付ける取付方法の説明図。
【
図12】接続端子を端子収容部に取り付けた状態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を、以下
図1乃至
図12とともに説明する。
図1は電池モジュール1の概略斜視図を示し、
図2は電池モジュール1の概略分解斜視図を示す。
図3はバスバー60の説明図を示し、
図4は接続端子70の説明図を示し、
図5乃至
図7は端子保持部80の説明図を示す。
図8乃至
図11は接続端子70を端子保持部80に取り付ける取付方法の説明図を示す。
図12は接続端子70を端子保持部80に取り付けた取付状態の概略断面図を示す。
【0028】
図3乃至
図11について詳述する。
図3(a)は第一枝線5bが接続されたバスバー60の概略斜視図を示し、
図3(b)はバスバー60の概略平面図を示す。
図4(a)は第二枝線5cが接続された接続端子70の概略平面図を示し、
図4(b)は
図4(a)におけるA-A矢視断面図を示す。
【0029】
図5(a)は
図1と異なる方向から視たハーネス収容部41の概略拡大斜視図を示し、
図5(b)はハーネス収容部41の概略平面図を示す。
図6(a)は端子保持部80の概略拡大平面図を示し、
図6(b)は
図6(a)におけるB-B矢視断面図を示し、
図6(c)は
図6(a)におけるC-C矢視断面図を示し、
図7(a)は
図6(a)におけるD-D矢視断面図を示し、
図7(b)は
図7(a)に示す端子保持部80の先端側LAの拡大断面図を示す。
【0030】
図8(a)は接続端子70に端子保持部80を取り付ける前の概略断面図を示し、
図8(b)は段差部732を案内面841に滑らせた状態の概略断面図を示し、
図9(a)は段差部732を第一突出部83に当接させた状態の概略断面図を示し、
図9(b)及び
図10(a)は段差部732を第一突出部83と第二突出部84との間に挿入する過程の概略断面図を示す。
図10(b)は接続端子70に端子保持部80を取り付けた状態の概略断面図を示す。また、
図11は段差部732を案内面841に沿って滑らせた状態の概略拡大断面図を示す。
なお、
図8乃至
図11は
図6(a)におけるD-D矢視断面に対応する概略断面図を示し、
図12は
図6(a)におけるC-C矢視断面に対応する概略断面図を示す。
【0031】
ここで、
図4(a)における左右方向を延出方向Lとし、上下方向を幅方向Wとし、
図4(b)における上下方向を高さ方向Hとする。なお、延出方向Lと幅方向Wと高さ方向Hとは互いに直交している。また、
図4(a)において、延出方向Lに沿って左方側を先端側LAとし、右方側を基端側LBとする。同様に、
図4(a)において幅方向Wに沿って下方側を前方側WFとし、上方側を後方側WBとし、
図4(b)において、高さ方向Hに沿って下方側を下側HDとし、上方側を上側HUとする。
図5乃至
図12において、上述の方向と対応する方向は同様に定義する。
【0032】
電池モジュール1は、
図1及び
図2に示すように、複数の電池セル20が積層方向に沿って並列配置された電池ユニット2と、電池セル20と電気的に接続される端子付きハーネス3と、端子付きハーネス3を保持するバスバー保持部材4とで構成されている。
【0033】
電池ユニット2は、
図1及び
図2に示すように、並列配置された複数の電池セル20を備えている。換言すると、電池ユニット2において、電池セル20は所定の方向に沿って積層されている。
【0034】
電池セル20は、扁平な略箱状に形成された電池本体21と、電池本体21の上面から上側HUに突出するボルト形状の正極端子22と負極端子23とを備えている。なお、正極端子22と負極端子23とは、電池本体21における横幅方向の両端部分からそれぞれ上側HUに突出している(
図2参照)。
【0035】
このように構成された電池セル20は、所定の方向に沿って積層されている。詳述すると、複数の電池セル20は、電池本体21の上面が同一平面状となるとともに、積層された電池本体21同士の正極端子22と負極端子23とが互いに隣り合うように積層方向に沿って並んで配置している。換言すると、電池セル20は、正極端子22と負極端子23とが交互に逆向きとなるように、電池本体21が積層方向に沿って並んで配置されている(
図2参照)。
【0036】
端子付きハーネス3は、ワイヤーハーネス5と、バスバー保持部材4に保持された導通部材6とで構成されている。
ワイヤーハーネス5は、複数の被覆電線50を束ねて構成されており、
図2に示すように、積層方向の一方側において二股に分岐される幹線5aと、幹線5aから分岐する各被覆電線50で構成され複数の第一枝線5bと、幹線5aの積層方向の一方側から分岐された第二枝線5cが設けられている。
【0037】
被覆電線50は、中心に配置された導体51と、導体51の外側を覆う絶縁被覆52とで構成されている。被覆電線50の先端は絶縁被覆52の一部を剥がしてあるため、導体51が露出している(
図3参照)。
【0038】
導通部材6は、
図2に示すように、電池セル20の横幅方向に二股に分岐された幹線5aに沿って並列された複数のバスバー60と、第二枝線5cと接続される接続端子70が備えられている。
【0039】
バスバー60は、
図3に示すように、導電性を有する板状体を折り曲げて形成されている。詳述すると、バスバー60は、互いに平行に配列された第一バスバー61と第二バスバー62、第一バスバー61及び第二バスバー62の基端部分を連結するバスバー連結部63とで構成されている。
【0040】
第一バスバー61は、適当な幅長を有する導電性の板材を折り曲げて構成され、電池本体21と接続される第一接続部611と、第一中間部612と、第一枝線5bが溶接される導体溶接部613とが外側から内側に向けてこの順で設けられている。
【0041】
このように構成された第一バスバー61は、第一接続部611、第一中間部612及び導体溶接部613とで階段状に形成され、第一接続部611の中央部分には、正極端子22を挿通するための正極貫通孔614が設けられている。
【0042】
第二バスバー62は、第一バスバー61と略同じ形状をしている。すなわち、第二バスバー62は、適当な幅長を有する導電性の板材を折り曲げて構成され、電池本体21と接続される第二接続部621と、第二中間部622と、導体溶接部613に対応する被配置部623とが外側から内側に向けてこの順で設けられている。
【0043】
このように構成された第二バスバー62は、第二接続部621、第二中間部622及び被配置部623とで階段状に形成され、第二接続部621の中央部分には、負極端子23を挿通するための負極貫通孔624が設けられている。
【0044】
接続端子70は、中央部分にボルトを挿入可能な貫通孔711が設けられた、いわゆるLA端子であり、
図4(a)に示すように、平板状の平板部71と、第二枝線5cと接続される電線接続部72とが備えられている。
【0045】
平板部71は、中央部分に高さ方向Hに向けて貫通する貫通孔711を有する略円環状で形成された、導電性を有する平板であり、平板部71の先端部分には、幹線5aから第二枝線5cが延出する先端側LAに沿って延出するとともに、平板部71に対して上側HUに突出する段差形状を形成する段差形成部73が設けられている。一方で、平板部71の先端側LAの反対方向である基端側LBの端部には、上側HUに向けて立設する立設部74が設けられている。
【0046】
段差形成部73は、平板部71から延出する導電性の板材を階段状となるように、上側HUに折り曲げて形成されている。すなわち、段差形成部73は、平板部71における先端側LAの端部から上側HUに向けて立ち上がる立上部731と、導体接続部721の先端から先端側LAに向けて延出する平板状の段差部732とで構成されている。
【0047】
立上部731は、
図4(b)に示すように、平板部71の主面に対して直交するように、平板部71の先端から湾曲しながら上側HUに向けて立設している。
段差部732は、立上部731の上端部分から湾曲しながら先端側LAに向けて延出しており、先端部分が平板部71と平行となるように構成されている。このように構成された段差部732は、高さ方向Hに沿って立設する立上部731に対して直交する延出方向Lに向けて所定の長さだけ延出している。ここで、段差部732の先端側LAに沿った長さを、延出長L1とする。
【0048】
立設部74は、平板部71の基端側LBの端部における幅方向Wの中央よりも後方側WBから延出する平板を上側HUに折り曲げて形成されている。このように上側HUに立ち上がる立設部74の先端は、段差部732の上側HUの主面と同じ高さとなっている。すなわち、立設部74は、立上部731と対向するように立ち上がっている。
【0049】
第二枝線5cと接続される電線接続部72は、立設部74の前方側WFにおいて、平板部71から基端側LBに向けて延出している。詳述すると、電線接続部72は、平板部71から基端側LBに向けて延出する導体接続部721と、導体接続部721の基端側LBに配置された被覆圧着部722と、導体接続部721と被覆圧着部722とを連結する連結部723とで構成されている。
【0050】
導体接続部721及び被覆圧着部722はいわゆるオープンバレル構造をしており、導体51を導体接続部721、絶縁被覆52を被覆圧着部722にそれぞれ配置して圧着することで、被覆電線50を保持した状態で電線接続部72と被覆電線50とを電気的に接続することができる。
このように構成された平板部71と電線接続部72とは、導電性を有する一枚の板材から形成されている。
【0051】
バスバー保持部材4は、端子付きハーネス3を保持するハーネス収容部41と、ハーネス収容部41に形成された開口Dを覆うカバー42とを有する(
図2参照)。
ハーネス収容部41は、電池セル20の横幅方向に並んで配置された一対のハーネス収容部本体411と、ハーネス収容部本体411から幅方向Wの外側に向けて延出する複数のバスバー保持部412と、接続端子70を保持する端子保持部80とが備えられている。
【0052】
ハーネス収容部本体411は、電池セル20の積層方向に沿って幹線5aを収容できるとともに、
図5に示すように、積層方向に沿って上側HUが開口する開口Dを有する断面凹状に形成されている。なお、カバー42は、ハーネス収容部本体411の上方に設けた開口Dを蓋う。
【0053】
ハーネス収容部本体411における電池セル20の横幅方向の外壁には、
図5(a)に示すように、幹線5aから分岐する第一枝線5bが挿通できる挿通口413が積層方向に所定の間隔を隔てて複数設けられている。換言すると、ハーネス収容部本体411における電池セル20の横幅方向の外壁は、積層方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた挿通口413で分断されている。また、隣接する挿通口413の間には、カバー42に設けられた係止片421を係止固定する係止枠414が所定の位置に設けられている。
【0054】
ここで、電池セル20の横幅方向の一方に配置されたハーネス収容部本体411(ハーネス収容部本体411Lとする。)に設けられて挿通口413と、電池セル20の横幅方向の他方に配置されたハーネス収容部本体411(ハーネス収容部本体411Rとする。)に設けられた挿通口413とは、電池セル20における正極端子22と隣接する負極端子23との間隔だけズラして設けられている。
【0055】
幅方向Wに並列配置されたハーネス収容部本体411同士は、積層方向の両端部分、及び、積層方向の中央部分における所定箇所で互いに連結されている。そして、ハーネス収容部41の一方側を連結する連結部位には、幹線5aを挿通するためのハーネス挿通孔415が設けられている。
【0056】
また、ハーネス収容部本体411における電池セル20の横幅方向の外壁には、
図5及び
図6に示すように、積層方向に沿ってバスバー保持部412が挿通口413に対応するように複数並んで配置されているとともに、ハーネス収容部本体411の一方側に角部分から電池セル20の横幅方向の外壁に向けて端子保持部80が突出するように設けられている。
【0057】
バスバー保持部412は、
図5(a)に示すように、導電性を有する板状体を折り曲げて形成されたバスバー60の一部分、より具体的には、導体溶接部613及び被配置部623をそれぞれ配置できる第一配置部412a及び第二配置部412bとで構成されている。
なお、挿通口413に対応する箇所に第一配置部412aが設けられ、第一配置部412aの電池セル20の積層方向の他方側に第二配置部412bが設けられている。
【0058】
端子保持部80は、幹線5aから分岐された第二枝線5cと接続された接続端子70を収容できるように構成されている。
詳述すると、端子保持部80は、
図6(a)に示すように、平板部71を収容する収容空間Sを形成する収容部81と、電線接続部72を載置する載置部82とを有する。
【0059】
収容部81は、高さ方向Hに貫通する略矩形状の収容空間Sを形成する枠状体である。詳述すると、収容部81は、先端側LAの内周壁を形成する前壁部811と、延出方向Lに沿った内周壁を形成する第一側壁部812と、第一側壁部812と対向する内周壁を形成する第二側壁部813と、第二側壁部813と連結する後壁部814と、後壁部814の上側HUを覆う上面部815で構成されている。
【0060】
前壁部811は、平板部71の外径と略同じ幅長さを有しており、収容部81における先端側LAにおいて、収容空間Sを形成する幅方向Wに沿った内周壁を構成している。また、前壁部811の幅方向Wの両端部分には、基端側LBに向けて第一側壁部812及び第二側壁部813が連結されている。
【0061】
このように構成された前壁部811には、基端側LBに向けて突出する第一突出部83と、第一突出部83の幅方向Wの外側において基端側LBに向けて突出する第二突出部84と、第二突出部84の幅方向Wの外側において基端側LBに向けて突出する位置決め部85とが設けられている。
【0062】
第一突出部83は、
図6(a)乃至
図6(c)に示すように、前壁部811の幅方向W中央部分から基端側LBに向けて突出する平板であり、段差部732の延出方向Lに沿った長さである延出長L1よりも長くなるように構成されている。すなわち、前壁部811から第一突出部83の先端までの長さを突出長L2とした場合に、突出長L2は延出長L1よりも長くなる。なお、第一突出部83の上側HUの先端部分は角取している。
【0063】
第二突出部84は、前壁部811から収容空間Sに向けて突出する側面視略直角三角形状のリブであり、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、平面視において第一突出部83の幅方向Wの外側端部と所定の間隔を隔てて配置されている。
【0064】
詳述すると、第二突出部84は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、上端が前壁部811の上面と面一となっているとともに、下側HDに向かうに伴い基端側LBに傾斜する案内面841を上側HUに有する略直角三角形状をしており、下側HDに延出方向Lに沿った下端面842が形成されている。この下端面842は、第一突出部83の上端面よりも段差部732の板厚と同じ間隔だけ上側HUに配置されている。
【0065】
また、前壁部811から基端側LBに向けて突出する第二突出部84の先端は、第一突出部83の先端よりも先端側LAに配置されている。詳述すると、第一突出部83の先端は、
図7(b)に示すように、下側HDに向かうに伴い基端側LBに向けて傾斜する案内面841に沿って延出させた仮想傾斜面Xよりも基端側LBに配置されている。
【0066】
なお、第二突出部84の延出方向Lに沿った長さは、延出方向Lに沿った段差部732の先端部分と略同じ長さである。すなわち、下端面842の先端と第一突出部83の先端との延出方向Lに沿った間隔は、段差部732の延出方向Lに沿った長さ(延出長L1)よりも短くなるように構成されている。
【0067】
位置決め部85は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、前壁部811の高さ方向Hに沿った長さと同じ高さを有するリブであり、第二突出部84の幅方向Wの外側端部と連結するように設けられている。なお、位置決め部85の延出方向Lに沿った長さは、突出長L2よりも長い。
このように前壁部811の中央部分の両端に設けられた一対の位置決め部85の間隔は、段差部732の幅方向Wの長さと略等しい。
【0068】
第一側壁部812は、前壁部811の前方側WFと連結しており、収容空間Sを形成する前方側WFの内周壁を構成する。また、第一側壁部812の基端部分(基端側LBの端部分)は、載置部82の前方側WFの端部と連結しているとともに、ハーネス収容部本体411の外壁と連結している。なお、第一側壁部812の基端部分は、電線接続部72の幅方向Wへの移動を規制する側壁を形成している。
【0069】
第一側壁部812と対向する第二側壁部813は、前壁部811の後方側WBと連結しており、収容空間Sを形成する後方側WBの内周壁を構成する。この第二側壁部813の基端は、載置部82の先端(先端側LA側の端部)よりもわずかに基端側LBに配置されている(
図6(a)参照)。
【0070】
後壁部814は、
図6(a)に示すように、基端側LBに窪ませた平面視略凹状に構成されている。このように平面視略凹状の後壁部814の前方側WFの端部は、第二側壁部813の基端と同じ位置となるように構成されており、後壁部814の前方側WFの側壁部分は、載置部82の後方側WBの端部と連結し、電線接続部72の幅方向Wへの移動を規制する側壁を形成している。
【0071】
このように構成された後壁部814の上側HUは、上面部815によって塞がれている。換言すると、上面部815の下側HDには、後壁部814と上面部815とで囲われた空洞Cが形成されている(
図7(a)参照)。そして、上面部815の先端側LAの端部には、下側HDに向けて延出する係止部86が設けられている。
【0072】
係止部86は、上面部815における幅方向Wの略中央部分から、下側HDに向けて延出する板状体の本体部861と、下側HDに向かうに伴い先端側LAに向けて突出する傾斜部862と、傾斜部862の先端から本体部861とを連結して形成された係止爪部863とで構成されている。
【0073】
本体部861は、上面部815の先端から延出された所定の板厚を有する平板であり、前壁部811の高さ方向Hの長さと略同じ高さを有する。このように構成された本体部861の基端側LBには、上面部815の下側HDに形成された空洞Cが設けられている。すなわち、係止部86は基端側LBに向けて弾性変形可能に構成されている。
【0074】
傾斜部862は、
図7(a)に示すように、本体部861の先端側LAの端面に形成された傾斜面であり、下側HDに向かうに伴い先端側LAに向けて突出している。この傾斜部862の下端は、下端面842と同じ高さに配置されている。
係止爪部863は、傾斜部862の下端から本体部861に向けて延出する平面部分である。すなわち、係止爪部863は、本体部861に対して直交する平面を形成している。
【0075】
載置部82は、第一側壁部812と後壁部814との下側HDの端部を連結した、延出方向Lに沿って水平に形成された平面である。この載置部82の幅方向Wに沿った長さは、電線接続部72の幅方向Wの長さよりもわずかに長くなるように構成されており、収容部81に平板部71を収容させた状態において、電線接続部72を載置可能に構成されている。なお、載置部82における基端側LBの端部はハーネス収容部本体411の底面と連結している。
【0076】
次に、このように構成された端子保持部80に対して接続端子70を取り付ける方法について、
図8乃至
図11に基づいて、簡単に説明する。
はじめに、ハーネス収容部本体411に幹線5aを配索するとともに、電線接続部72と接続された第二枝線5cが載置部82に沿うように、端子保持部80の上側HUに接続端子70を配置する(
図8(a)参照)。そして、端子保持部80の上側HUに配置した接続端子70の先端部分を下側HDに向けて傾けた状態で、段差部732が一対の位置決め部85の間に位置するように接続端子70を下側HDに移動させ、段差部732の先端部分を案内面841に当接させる(
図8(b)参照)。この際、第一突出部83及び第二突出部84の先端部分(基端側LBの端部)は、段差部732によって覆われるため、作業者は上側HUから目視できないこととなる。
【0077】
ここで、第一突出部83の先端部分は、案内面841に沿って下側HDに延長させた仮想傾斜面Xよりも基端側LBにある。そのため、案内面841に段差部732を押し付けた状態で、案内面841に沿って段差部732を滑らせながら接続端子70を下側HDに移動させることで、目視できない第一突出部83に対して段差部732を確実に案内することができる(
図11参照)。これにより、段差部732の先端部分を第一突出部83と第二突出部84との間に配置することができる(
図9(a)参照)。
【0078】
そして、第一突出部83と第二突出部84との間に配置された段差部732の先端部分を基点として、平板部71の基端部分を下側HDに回動させることで、平板部71の基端から延出する立設部74が傾斜部862と当接することとなる(
図9(b)及び
図10(a)参照)。
【0079】
このように傾斜部862に立設部74が当接することにより、上面部815との連結部分を基点として、係止部86は基端側LBに弾性変形する。このため、高さ方向Hに沿った間隔が平板部71の板厚と同じである第一突出部83と第二突出部84との間に段差部732を挿入させながら、平板部71の基端部分を下側HDに回動させることができる(
図10(b)参照)。
【0080】
そして、下側HDに移動させた立設部74の上側HUの端部が、傾斜部862の先端を越えることで、弾性変形している係止部86が元の位置に戻り、係止爪部863で立設部74を係止するとともに、電線接続部72を載置部82に載置することができる。
【0081】
このように係止部86が弾性変形することにより、段差部732を第一突出部83と第二突出部84の間に挿入させながら、接続端子70を端子保持部80に容易に取り付けることができ、接続端子70を端子保持部80に取り付けた取付状態において、接続端子70の上側HUへの移動を規制しつつ、接続端子70の基端側LBへの移動を規制することができる。
【0082】
加えて、段差部732の延出方向Lに沿った長さ(延出長L1)が、第一突出部83の延出方向Lに沿った長さ(突出長L2)よりも短いため、接続端子70を端子保持部80に取り付けた取付状態において、接続端子70の先端側LAへの移動を規制することができる。
【0083】
また、端子保持部80に接続端子70が取り付けられた取付状態では、高さ方向Hに沿った間隔が平板部71の板厚と同じである第一突出部83と第二突出部84とで、段差部732を挟持できるため、接続端子70を端子保持部80に確実に取り付けることができる。
【0084】
さらに、
図12に示すように、幅方向Wに沿って間隔を隔てた第一突出部83と第二突出部84とを跨ぐように、段差部732は第一突出部83と第二突出部84とに挟持されているため、段差部732における幅方向Wの端部が高さ方向Hに沿って移動することを規制できる。
このように端子保持部80で接続端子70を保持した構造を、端子保持構造7とする(
図10(b)参照)。
【0085】
このように接続端子70を及び端子保持部80に取り付けた状態で、それぞれのバスバー60をバスバー保持部412に配置し、ハーネス挿通孔415から幹線5aを引き出したのちに、開口Dを塞ぐようにカバー42をハーネス収容部41に組み付けることで、端子付きハーネス3をバスバー保持部材4に組み付けることができる。さらに、電池セル20の正極端子22及び負極端子23をバスバー60に接続することで、電池モジュール1とすることができる。
【0086】
このように端子保持構造7は、被覆電線50と電気的に接続される接続端子70と、接続端子70を保持する端子保持部80を有するバスバー保持部材4とで構成されている。接続端子70は、高さ方向Hに貫通する貫通孔711を有する平板状の平板部71と、被覆電線50と接続される電線接続部72とが備えられ、平板部71に、端部から延出するとともに、高さ方向Hの一方に突出する段差形状を形成する段差部732とが設けられている。端子保持部80は、少なくとも平板部71を収容する収容部81を有し、収容部81に、段差部732の先端側LAに設けられた第一突出部83と、高さ方向Hの一方に段差部732の板厚だけ第一突出部83と間隔を隔てて設けられた第二突出部84とが備えられている。そして、第一突出部83の少なくとも一部は、第二突出部84よりも、先端側LAの反対方向である基端側LBに配置されており、第一突出部83及び第二突出部84における反対方向である基端側LBの端部同士の間隔が、段差部732の先端側LAに沿った長さよりも短くなるように構成されている。
【0087】
また、電池モジュール1は、並列配置された複数の電池セル20と、電池セル20と電気的に接続されたワイヤーハーネス5と、ワイヤーハーネス5から分岐された被覆電線50と電気的に接続される接続端子70と、接続端子70を保持する端子保持部80を有するバスバー保持部材4とで構成されている。
【0088】
このように構成された端子保持構造7は、接続端子70を端子保持部80に収容する際に、第二突出部84よりも基端側LBに配置されている第一突出部83の一部に段差部732を当接させることができるため、第一突出部83に配置された段差部732を先端側LAに向けて滑らせて移動させることができる(
図8乃至
図10参照)。そして、段差部732の先端側LAに沿った長さ(延出長L1)が、第一突出部83及び第二突出部84における基端側LBの端部同士の間隔よりも長いため、第一突出部83と第二突出部84との間に、第一突出部83に沿って滑らせた段差部732を確実に取り付けることができる。
【0089】
このように、第一突出部83に配置した段差部732を先端側LAに移動させるだけで、段差部732を第一突出部83と第二突出部84とで挟み込んで保持できるため、容易かつ確実に、平板部71を収容部81に収容した状態で接続端子70を保持できる。
【0090】
また、第一突出部83の先端側LAに沿った長さ(突出長L2)が、段差部732の先端側LAに沿った長さ(延出長L1)よりも長いことにより、接続端子70が先端側LAに移動した場合に、平板部71から立ち上がるとともに、平板部71と段差部732を連結する立上部731が第一突出部83と干渉し、接続端子70の先端側LAに沿った移動を規制できる。
【0091】
すなわち、収容部81における所定の位置に平板部71を配置できるとともに、先端側LAに沿った接続端子70の位置ズレを抑制できる。したがって、確実に接続対象部材と接続端子70とを確実に接続させることができる。
【0092】
また、第二突出部84は、第一突出部83に接近するに伴い、基端側LBに向けて傾斜する案内面841を有している。これにより、第一突出部83と接近するように段差部732を案内面841に沿って移動させることで、確実に段差部732を第一突出部83に案内することができる。したがって、平板部71を収容部81に収容する際に、段差部732によって覆われているために目視できない第一突出部83に段差部732を確実に配置できる。
【0093】
さらにまた、第一突出部83における基端側LBの端部が、傾斜する案内面841に沿って延出させた仮想傾斜面Xよりも基端側LBに配置されている。これにより、案内面841に沿って段差部732を第一突出部83に向けて移動させるだけで、仮想傾斜面Xよりも内側に配置された第一突出部83に配置されるように、より確実に段差部732を第一突出部83に案内できる。したがって、容易かつ確実に段差部732を第一突出部83と第二突出部84との間に配置でき、収容部81に平板部71を収容させる作業の作業効率をより向上させることができる。
【0094】
また第二突出部84は、幅方向Wに沿って設けられた第一突出部83の両端から所定の間隔を隔てて対となって設けられている(
図12参照)。これにより、段差部732における幅方向Wの両端部分が、第一突出部83と第二突出部84との隙間に配置され、第一突出部83と第二突出部84とで段差部732を確実に挟持できる。したがって、第一突出部83と第二突出部84とで確実に段差部732を保持し、接続端子70の高さ方向Hへのガタツキを確実に規制できる。
【0095】
さらにまた、平板部71の段差部732と対向する位置に、端部から一方に向けて立設する立設部74が備えられ、収容部81に、立設部74を係止する係止部86が備えられている。これにより、段差部732を第一突出部83と第二突出部84との間に配置しながら、段差部732と対向する立設部74を係止部86で係止できるため、収容部81に平板部71を安定して収容できる。また、段差部732と対向するように備えられた立設部74を係止部86で係止することにより、基端側LBに沿った平板部71の位置ズレを規制できる。
【0096】
さらにまた、第一突出部83の基端側LBに沿った長さ(突出長L2)が、段差部732の先端側LAに沿った長さよりも長い(延出長L1)ため、先端側LA及び基端側LBにおいて、接続端子70の先端側LAに沿った位置ズレをより確実に抑制できる。したがって、接続端子70を収容部81における所定の位置に収容して保持できる。
【0097】
また、第二突出部84と係止部86とは、高さ方向Hに沿った高さが等しいことにより、平板部71を水平な状態で収容部81に収容できる。したがって、接続端子70を接続対象部材に確実に接続させることができる。
【0098】
さらにまた、係止部86は、収容部81の基端側LBに向けて弾性変形する。これにより、
図8乃至
図9に示すように、第一突出部83に配置した段差部732を先端側LAに向けて移動させた際に、基端側LBに配置された立設部74が係止部86と当接して係止部86を基端側LBに向けて弾性変形させることができる。これにより、立設部74を下側HDに容易に移動させることができる。したがって、平板部71を収容部81に収容することが容易にでき、作業効率を向上させることができる。
【0099】
また、例えば振動などにより接続端子70が基端側LBに移動した場合であっても、弾性変形した係止部86が立設部74を支持できるため、接続端子70の基端側LBへの移動を規制することができる。すなわち、接続端子70の基端側LBへの位置ズレをより確実に抑制できる。したがって、容易かつ確実に接続端子70を接続対象部材に接続させることができる。
【0100】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の電線は、被覆電線50に対応し、
以下同様に、
接続端子は、接続端子70に対応し、
保持部材は、バスバー保持部材4に対応し、
貫通孔は、貫通孔711に対応し、
平板部は、平板部71に対応し、
電線接続部は、電線接続部72に対応し、
延出方向は、先端側LAに対応し、
板厚方向は、高さ方向Hに対応し、
段差部は、段差部732に対応し、
端子収容部は、収容部81に対応し、
第一突出部は、第一突出部83に対応し、
第二突出部は、第二突出部84に対応し、
端子保持構造は、端子保持構造7に対応し、
傾斜案内部は、案内面841に対応し、
仮想傾斜面は、仮想傾斜面Xに対応し、
幅方向は、幅方向Wに対応し、
立設部は、立設部74に対応し、
係止部は、係止部86に対応し、
電池は、電池セル20に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス5に対応し、
電池モジュールは、電池モジュール1に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0101】
例えば、この実施形態において、収容部81における先端側LAに設けられた内面(前壁部811)から基端側LBに向けて突出しているが、これに限らず、例えば第一側壁部812及び第二側壁部813を幅方向Wに沿って連結する、あるいは、第一側壁部812及び第二側壁部813の少なくとも一方から収容空間Sに向けて突出していてもよい。
【0102】
また、第一突出部83及び第二突出部84は、段差部732が突出する方向に対応する、収容部81における先端側LAに設けられていればよく、第一突出部83及び第二突出部84が収容部81における先端側LAの内面である前壁部811から収容空間Sに向けて突出する構成の他、第一突出部83及び第二突出部84の少なくとも一方が前壁部811以外の内面(第一側壁部812や第二側壁部813)から、収容空間Sに向けて突出していてもよい。
【0103】
さらにまた、第一突出部83と第二突出部84は、先端側LAに沿って一部分が重なり合っているが、延出方向Lに沿って所定の間隔を隔ててもよい。また、第一突出部83と第二突出部84は、幅方向Wに沿って一部分が重なり合ってもよい。
【0104】
また例えば、この実施形態において、段差形成部73は先端側LAに配置されているが、基端側LBに配置されていてもよいし、幅方向Wなど延出方向Lと交差する方向に沿って設けられていてもよい。
さらにまた、本実施形態において、立設部74の高さは、段差部732の上側HUの主面の高さと同じとしているが、必ずしも同じ高さとする必要はない。
【符号の説明】
【0105】
1…電池モジュール
4…バスバー保持部材
5…ワイヤーハーネス
7…端子保持構造
20…電池セル
50…被覆電線
70…接続端子
71…平板部
72…電線接続部
74…立設部
80…端子保持部
81…収容部
83…第一突出部
84…第二突出部
86…係止部
711…貫通孔
732…段差部
841…案内面
H…高さ方向
W…幅方向
X…仮想傾斜面
LA…先端側