(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109323
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】計測装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/61 20060101AFI20240806BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01N21/61
H01L31/10 Z
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014053
(22)【出願日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真之
【テーマコード(参考)】
2G059
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC04
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2G059GG01
2G059GG02
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(57)【要約】
【課題】高精度な測定を可能にする計測装置及び制御方法が提供される。
【解決手段】計測装置(1)は、発光部(30)と、発光部から出射された光を受光する受光部(11)と、受光部と接触して配置されるペルチェ素子(12)と、受光部からの信号を取得し、発光部及びペルチェ素子の動作を制御する制御部(20)と、を備え、制御部は、ペルチェ素子の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されていて、受光部からの信号を取得している間に、モードを切り替えないようにペルチェ素子の動作を制御し、発光部が光の出射について少なくとも出射量が異なる2つの状態を有し、発光部の複数の状態のそれぞれにおいて受光部からの信号を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部から出射された光を受光する受光部と、
前記受光部と接触して配置されるペルチェ素子と、
前記受光部からの信号を取得し、前記発光部及び前記ペルチェ素子の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ペルチェ素子の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されていて、前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを切り替えないように前記ペルチェ素子の動作を制御し、
前記発光部が前記光の出射について少なくとも出射量が異なる2つの状態を有し、前記発光部の複数の前記状態のそれぞれにおいて前記受光部からの信号を取得する、計測装置。
【請求項2】
前記発光部の前記状態は第1の状態と第2の状態とを含み、
前記制御部は、前記発光部が前記第2の状態を挟んで前記第1の状態となる場合に、前記発光部が前記第1の状態となったそれぞれの場合に対応する前記受光部からの信号及び前記発光部が前記第2の状態となった場合に対応する前記受光部からの信号を用いて、計測の演算を実行する、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記複数のモードは、前記ペルチェ素子に第1の方向に電流が流れる第1のモード、前記ペルチェ素子に前記第1の方向と反対の方向である第2の方向に電流が流れる第2のモード及び前記ペルチェ素子に電流が流れない第3のモードを含む、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを前記第3のモードに維持する、請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記ペルチェ素子に流す電流量の変化も抑制する、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記電流量の変化の大きさを、前記電流量の大きさの30%以下に抑制する、請求項5に記載の計測装置。
【請求項7】
前記制御部が前記受光部からの信号を取得する期間である取得期間は、3秒以下である、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項8】
前記取得期間と次の前記取得期間との間の期間を非取得期間として、前記取得期間を前記非取得期間で割った値が1/10以下である、請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記受光部が備える抵抗の抵抗値に基づいて前記受光部の温度情報を取得する、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項10】
前記受光部は量子型赤外線センサである、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項11】
赤外線の波長が2μm~12μmである、請求項10に記載の計測装置。
【請求項12】
前記発光部から出射された光が受光部に届くまでの光路中に、波長を制限する波長制限部を更に備える、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項13】
受光部は樹脂封止されており、前記ペルチェ素子は受光部を封止する樹脂と接触して配置されている、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項14】
前記発光部は、前記受光部を封止する樹脂と同一の樹脂パッケージに封止されている、請求項13に記載の計測装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記ペルチェ素子の制御を変更している期間の信号は演算に用いない、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項16】
発光部と、前記発光部から出射された光を受光する受光部と、前記受光部と接触して配置されるペルチェ素子と、前記受光部からの信号を取得し、前記発光部及び前記ペルチェ素子の動作を制御する制御部と、を備える計測装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記ペルチェ素子の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されていて、前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを切り替えないように前記ペルチェ素子の動作を制御することと、
前記発光部が前記光の出射について少なくとも出射量が異なる2つの状態を有し、前記発光部の複数の前記状態のそれぞれにおいて前記受光部からの信号を取得することと、を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は計測装置及び制御方法に関する。本開示は特にペルチェ素子を備える計測装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に波長が2μm以上の長波長帯の赤外線は、その熱的効果及びガスによる赤外線吸収の効果から、人体を検知する人感センサ、非接触温度センサ及びガスセンサ等に使用されている。例えばガスセンサは、大気環境の監視、保護、さらに火災の早期検知などにも使用可能であり、近年注目されている。例えばガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりそのガス濃度を測定するNDIR(Non-Dispersive InfraRed)型のガスセンサが使用される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6530652号公報
【特許文献2】特開2002-318158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなガスセンサの構成部品として、赤外線を検出する赤外線センサモジュール又は赤外線センサが用いられる。赤外線センサは、一般に温度特性が大きく、所定の温度を外れるとSNR(信号ノイズ比)が劣化し得る。そのため、赤外線センサの使用では、冷却又は昇温が必要になる場合がある。ここで、密閉構造において、ペルチェ素子を用いて温度調整することが提案されている(例えば特許文献2)。ただし、ペルチェ素子を流れる電流に基づく電磁波が赤外線センサのノイズ源となる問題がある。一方で、ノイズを発生させないようにペルチェ素子を停止すると、ペルチェ素子の発熱面側から熱が流入してしまうため、温度変化を引き起こす。これらを考慮して、測定が行われる必要がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、高精度な測定を可能にする計測装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る計測装置は、
発光部と、
前記発光部から出射された光を受光する受光部と、
前記受光部と接触して配置されるペルチェ素子と、
前記受光部からの信号を取得し、前記発光部及び前記ペルチェ素子の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ペルチェ素子の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されていて、前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを切り替えないように前記ペルチェ素子の動作を制御し、
前記発光部が前記光の出射について少なくとも出射量が異なる2つの状態を有し、前記発光部の複数の前記状態のそれぞれにおいて前記受光部からの信号を取得する。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記発光部の前記状態は第1の状態と第2の状態とを含み、
前記制御部は、前記発光部が前記第2の状態を挟んで前記第1の状態となる場合に、前記発光部が前記第1の状態となったそれぞれの場合に対応する前記受光部からの信号及び前記発光部が前記第2の状態となった場合に対応する前記受光部からの信号を用いて、計測の演算を実行する。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、
前記複数のモードは、前記ペルチェ素子に第1の方向に電流が流れる第1のモード、前記ペルチェ素子に前記第1の方向と反対の方向である第2の方向に電流が流れる第2のモード及び前記ペルチェ素子に電流が流れない第3のモードを含む。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(3)において、
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを前記第3のモードに維持する。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記ペルチェ素子に流す電流量の変化も抑制する。
【0011】
(6)本開示の一実施形態として、(5)において、
前記制御部は、
前記受光部からの信号を取得している間に、前記電流量の変化の大きさを、前記電流量の大きさの30%以下に抑制する。
【0012】
(7)本開示の一実施形態として、(1)から(6)のいずれかにおいて、
前記制御部が前記受光部からの信号を取得する期間である取得期間は、3秒以下である。
【0013】
(8)本開示の一実施形態として、(7)において、
前記取得期間と次の前記取得期間との間の期間を非取得期間として、前記取得期間を前記非取得期間で割った値が1/10以下である。
【0014】
(9)本開示の一実施形態として、(1)から(8)のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記受光部が備える抵抗の抵抗値に基づいて前記受光部の温度情報を取得する。
【0015】
(10)本開示の一実施形態として、(1)から(9)のいずれかにおいて、
前記受光部は量子型赤外線センサである。
【0016】
(11)本開示の一実施形態として、(10)において、
赤外線の波長が2μm~12μmである。
【0017】
(12)本開示の一実施形態として、(1)から(11)のいずれかにおいて、
前記発光部から出射された光が受光部に届くまでの光路中に、波長を制限する波長制限部を更に備える。
【0018】
(13)本開示の一実施形態として、(1)から(12)のいずれかにおいて、
受光部は樹脂封止されており、前記ペルチェ素子は受光部を封止する樹脂と接触して配置されている。
【0019】
(14)本開示の一実施形態として、(13)において、
前記発光部は、前記受光部を封止する樹脂と同一の樹脂パッケージに封止されている。
【0020】
(15)本開示の一実施形態として、(1)から(14)のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記ペルチェ素子の制御を変更している期間の信号は演算に用いない。
【0021】
(16)本開示の一実施形態に係る制御方法は、
発光部と、前記発光部から出射された光を受光する受光部と、前記受光部と接触して配置されるペルチェ素子と、前記受光部からの信号を取得し、前記発光部及び前記ペルチェ素子の動作を制御する制御部と、を備える計測装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記ペルチェ素子の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されていて、前記受光部からの信号を取得している間に、前記モードを切り替えないように前記ペルチェ素子の動作を制御することと、
前記発光部が前記光の出射について少なくとも出射量が異なる2つの状態を有し、前記発光部の複数の前記状態のそれぞれにおいて前記受光部からの信号を取得することと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、高精度な測定を可能にする計測装置及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る計測装置の一構成例のブロック図である。
【
図2】
図2は、光デバイスの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る計測装置の制御方法を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、信号取得の期間を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る計測装置の別の構成例のブロック図である。
【
図7】
図7は、光デバイスの別の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、光デバイスの別の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、光デバイスの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る計測装置及び制御方法が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0025】
(計測装置)
図1は、本実施形態に係る計測装置1の構成例を示す図である。計測装置1は、計測対象における被検出物の濃度などを計測する装置である。計測装置1は、発光部30と、発光部30から出射された光を検出する光デバイス10と、光デバイス10からの信号を取得して、被検出物の濃度などを演算する制御部20と、を備える。制御部20は、発光部30などの動作も制御する。本実施形態において、計測装置1は、被検出ガスのガス濃度を計測するNDIR型のガスセンサである。NDIR型のガスセンサは、ガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりガス濃度を測定する。測定対象のガスは例えばアルコール、二酸化炭素などであるが、これらに限定されない。本実施形態において、上記の「光デバイス10からの信号」が、被検出ガスによって吸収された後の赤外線量を示す信号に対応する。ここで、計測装置1はガスセンサに限定されない。計測装置1は、例えば粒子計測器、放射温度計、水分計測器、炎検知器、光パワーメーターなどであってよい。
【0026】
(発光部)
発光部30は、被検出ガスによって吸収される波長を含む光を出力する。発光部30は例えば発光素子によって実現される。発光部30は、具体例としてLED(light emitting diode)、MEMS(micro electro mechanical systems)光源、レーザー又はランプであってよい。本実施形態において、発光部30は赤外線LEDである。
【0027】
ここで、赤外線の波長は2μm~12μmであってよい。2μm~12μmの領域は、各種ガスに固有の吸収帯が数多く存在し、ガスセンサに用いるのに特に適した波長帯である。例えば3.3μmの波長にメタン、4.3μmの波長に二酸化炭素、9.5μmの波長にアルコール(エタノール)の吸収帯が存在する。
【0028】
(光デバイス)
本実施形態において、光デバイス10は、受光部11と、ペルチェ素子12と、温度測定部13と、を備える。
図2は、光デバイス10の構成例を示す断面図である。
図2に示すように、光デバイス10は、受光部11とペルチェ素子12とが接触するように配置されて、金属製又は樹脂製のパッケージ31で覆われて構成され得る。パッケージ31には、赤外線を透過させるように、例えば窓材32が設けられていてよい。また、この窓材32は波長制限部で構成されていてよく、波長を制限する機能を持たせることで、装置の温度特性改善、S/N向上に寄与することができる。波長制限部は、発光部30から出射された光が受光部11に届くまでの光路中で波長を制限する部材であって、例えば光学フィルタである。ここで、受光部11とペルチェ素子12とが接触するとは、直接的な接触だけでなく、
図2に示すように熱を伝える部材を間に挟んで配置されることによって熱伝導が阻害されない状態を含む。つまり、接触には、例えば受光部11とペルチェ素子12との物理的な接触だけでなく、例えば、はんだ、再配線層、接着剤又はグリスなどを介しての接触なども含まれる。
【0029】
(受光部)
受光部11は、発光部30から出射された光を受光する。受光部11は例えば受光素子によって実現される。本実施形態において、受光部11は量子型赤外線センサである。量子型赤外線センサは、半導体に赤外線が照射されるとその光量子によって発生する電子又は正孔を利用して、赤外線を検出するセンサである。受光部11は量子型赤外線センサに限定されず、例えば熱型赤外線センサなどの他の種類のセンサであってよい。ただし、量子型赤外線センサは、熱型赤外線センサに比べて高感度で応答速度が速いため、受光部11が量子型赤外線センサであることが好ましい。受光部11は、受光した光量(本実施形態において赤外線量)に応じた信号を出力する。出力する信号は例えば電流値であってよい。さらなる小型化を可能にするため、例えばInSb、InGaAs、InAs、AlInSb又はInAsSbなどの材料を含む赤外線センサが用いられてよいが、赤外線センサの材料は特定のものに限定されない。ただし、赤外線センサは、材料としてインジウム及びガリウムの少なくとも1つ並びにヒ素及びアンチモンの少なくとも1つを含み、少なくともP型半導体とN型半導体の2種類の層からなるダイオード構造を有することが好ましい。
【0030】
(ペルチェ素子)
ペルチェ素子12は、受光部11が好ましい温度で使用されるように、受光部11と接触して配置されて、受光部11の昇温及び冷却を行う。ペルチェ素子12は、特定の種類に限定されず、公知の構成のものが用いられてよい。例えばペルチェ素子12は、ビスマス・テルルを基本材料とするP型半導体とN型半導体を、金属電極を介して接合した構成であってよい。本実施形態において、ペルチェ素子12は、第1の方向に電流が流れると、受光部11と接触する側の面が冷やされて、受光部11を冷却する。また、ペルチェ素子12は、第1の方向と反対の方向である第2の方向に電流が流れると、受光部11と接触する側の面が加熱されて、受光部11を昇温する。ここで、例えばペルチェ素子12がP型半導体とN型半導体を、金属電極を介して接合した構成である場合に、第1の方向は、電流がP型半導体からN型半導体側に流れる方向であってよい。
【0031】
また、ペルチェ素子12の表面は、受光部11の読み出しを行うための再配線層を備えていてよい(
図8参照)。再配線層を介して受光部11とペルチェ素子12は接触していてよい。受光部11と再配線層は、はんだで接合されてよいし、ワイヤーボンディングによって接続されてよい。また、再配線層が無い場合に受光部11に対してワイヤーでの配線が行われてよいし(
図7参照)、再配線層が有る場合に再配線層に対してワイヤーでの配線が行われてよい(
図8参照)。
【0032】
(温度測定部)
温度測定部13は、受光部11及びペルチェ素子12の少なくとも1つの温度を測定する。温度測定部13は、測定した温度を示す信号である温度情報を出力する。温度情報は、直接的に温度を示してよいし、温度に応じた値(一例として温度に比例して変化する電圧値)であってよい。温度測定部13は、特定の種類に限定されず、公知の構成のものが用いられてよい。本実施形態において、温度測定部13はサーミスタである。本実施形態において、温度測定部13は受光部11の温度を測定するように設けられるが、ペルチェ素子12の温度を測定してよい。また、温度測定部13は複数であってよい。
【0033】
(制御部)
本実施形態において、制御部20は、信号処理部21と、ペルチェ素子動作制御部22と、温度情報取得部23と、駆動部24と、を備える。制御部20は、制御に特化したハードウェア、演算及び制御を実行するプロセッサを備える装置などであってよく、例えばマイコン(Micro Controller Unit)によって実現されてよい。
【0034】
信号処理部21、ペルチェ素子動作制御部22、温度情報取得部23及び駆動部24の機能は、ソフトウェアによって実現されてよく、ハードウェアによって実現されてよい。例えば制御部20が備えるプロセッサによってアクセス可能な記憶装置に、1つ以上のプログラムが記憶されていてよい。記憶装置に記憶されたプログラムは、制御部20が備えるプロセッサによって読み込まれると、制御部20を信号処理部21、ペルチェ素子動作制御部22、温度情報取得部23及び駆動部24として機能させてよい。
【0035】
(信号処理部)
信号処理部21は、受光部11からの信号に基づいて、受光部11によって検出された赤外線量を算出する。本実施形態において、信号処理部21は、受光部11からの信号を間欠的に取得する。ここで、間欠的に取得する手法は限定されない。例えば信号処理部21は、受光部11から連続的に出力される信号を得た後に処理に用いる信号を間欠的な形で抽出してよいし、受光部11から間欠的に出力される信号をそのまま取得してよい。信号処理部21は、例えば定期的な検出がされる場合などに、後述する1サイクルのうち所定の期間において、信号を取得してよい。所定の期間は、以下「取得期間」と称されることがある。また、取得期間と次の取得期間との間の期間は、以下「非取得期間」と称されることがある。
【0036】
また、信号処理部21は、受光部11によって検出された赤外線量に基づいてガス濃度の演算(計測の演算)を実行する。信号処理部21は、被検出ガスによって吸収される波長の光の受光量を演算し、測定対象のガスが存在しない場合の受光量と比較することによって、ガス濃度を演算できる。
【0037】
ここで、受光部11は、量子型赤外線センサであるがゆえに、一般的に温度特性が大きく、所定の温度を外れるとSNRが劣化し得る。そのため、信号処理部21は、温度情報取得部23から得られる温度情報に基づいて、受光部11の温度が目標温度近傍になった場合に、受光部11からの信号を取得してよい。
【0038】
(ペルチェ素子動作制御部)
ペルチェ素子動作制御部22は、ペルチェ素子12の動作を制御する。ペルチェ素子動作制御部22は、温度情報取得部23から得られる温度情報に基づいて受光部11の現在の温度を判定する。そして、ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度(一例として40℃)になるように、ペルチェ素子12を制御する。つまり、ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度より低い場合に、ペルチェ素子12によって受光部11の温度が上昇するように制御する。また、ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度より高い場合に、ペルチェ素子12によって受光部11の温度が低下するように制御する。
【0039】
ここで、ペルチェ素子12の電流が流れる方向又は流れないことに対応して複数のモードが設定されている。本実施形態において、ペルチェ素子動作制御部22は、ペルチェ素子12の動作を制御するための3つのモードを有する。具体的にはペルチェ素子動作制御部22は、ペルチェ素子12に第1の方向に電流が流れる第1のモード、ペルチェ素子12に第1の方向と反対の方向である第2の方向に電流が流れる第2のモード及びペルチェ素子12に電流が流れない第3のモードを有する。第1のモードは、受光部11を冷却させる制御である。第2のモードは、受光部11を昇温させる制御である。第3のモードは、ペルチェ素子12の動作を停止させる制御である。ペルチェ素子の動作を停止することによって、電磁的なノイズの発生は抑えられるが、ペルチェ素子の発熱面から熱が移動し、ペルチェ素子が急激に温度変化してしまう。
【0040】
ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度となるように、3つのモードを切り替えて、ペルチェ素子12の動作を制御する。ペルチェ素子動作制御部22は、3つのモードの制御において、例えば電圧制御を行ってよいし、例えば電流制御を行ってよく、特定の制御手法に限定されない。ペルチェ素子動作制御部22が実行する制御の詳細については後述する。
【0041】
(温度情報取得部)
温度情報取得部23は、受光部11及びペルチェ素子12の少なくとも1つの温度情報を取得する。温度情報は、温度測定部13によって測定された温度を示す信号である。温度情報取得部23は、取得した温度情報が受光部11の温度を直接的に示すものでない場合に、温度情報を更新してよい。つまり、温度情報取得部23は、受光部11の温度を算出して、算出した温度を新たな温度情報として、信号処理部21及びペルチェ素子動作制御部22に出力してよい。例えば取得した温度情報がペルチェ素子12の測定温度である場合に、温度情報取得部23は、過去の実験などで測定されたペルチェ素子12と受光部11の温度の関係を示す実績データに基づいて、受光部11の温度を算出し、新たな温度情報として出力してよい。
【0042】
(駆動部)
駆動部24は、発光部30に駆動信号を出力して、発光部30を所定の明るさで発光させる。駆動信号は、例えばパルス状の信号であって、信号レベルが高い場合に発光部30に駆動電流が流れて発光する。駆動部24によって発光が制御される発光部30は、光の出射について少なくとも2つの状態(出射量が異なる2つの状態)を有する。本実施形態において、発光部30は、光を出射するON状態と、光を出射しないOFF状態を少なくとも有する。詳細について後述するが、本実施形態において、信号処理部21は発光部30の複数の状態の受光部11からの信号を取得する。本実施形態において、信号処理部21はそれぞれの状態の信号を取得するが、例えば発光部の状態が安定しないとき等にいくつかの信号を取得しなくてよい。
【0043】
ガス検知においては、発光部から射出された光がどの程度ガスに吸収されたかを知る必要がある。その吸収量は光の伝搬長に依存する。光の伝搬長が短い時には、吸収量が小さいため、環境による受光部のオフセット成分を差し引くためにも、2つの状態の出力の差分をとる事が望ましい。
【0044】
ここで、ガスセンサである計測装置1は、
図3に示すように上記の構成部材が、必要な光学部材とともにPCB(プリント基板)に実装された構成であってよい。また、例えば計測装置1は、上記の構成部材の他に、導光部17及びフィルタ16を備えてよい(
図11参照)。導光部17は、発光部30から出射された光を反射して光デバイス10の受光部11に入射させる。導光部17の反射面は例えば凹面鏡であってよい。導光部17の反射面は、例えばアルミ及び金などの高い反射率を有する金属で構成されてよい。フィルタ16は、発光部30、受光部11及び導光部17の少なくとも1つ(すなわち光路上)に設けられて、光の波長を制限する。フィルタ16は例えばバンドパスフィルタであってよい。ここで、
図3の例において、制御部20は1つのIC(Integrated Circuit)であるように示されているが、このような形態に限定されない。別の例として、制御部20は駆動部24とその他の部分とが異なるICで実現されてよい。この場合に、駆動部24以外の部分を含むICが光デバイス10に組み込まれる構成であってよい。
【0045】
(制御方法)
図2に示すように、ペルチェ素子12は、受光部11を昇温及び冷却できるように、受光部11の近くに配置される。また、受光部11から出力される電流が例えば数nAであるのに対して、動作中のペルチェ素子12を流れる電流は、例えば数百mA~数Aであり得る。このため、ペルチェ素子12を流れる電流の変化時に生じる電磁波が、受光部11のノイズ源となり得る。ペルチェ素子12によって受光部11は目標温度で動作することができ、温度の影響によるSNRの劣化を抑制して検出精度を高めることができるが、受光部11の検出時に上記の電磁波が影響すると、高めた検出精度を低下させることになる。本実施形態に係る計測装置1は、ペルチェ素子動作制御部22が以下に説明する処理を実行することによって、ペルチェ素子12の電流変化で生じる電磁波の影響を抑えることができる。また、ペルチェ素子の停止によって発生する発熱面からの熱流入による温度変化の影響を簡単に補正することが可能となる。また、計測装置1は、ペルチェ素子12の動作に合わせて、計測の演算において用いられる受光部11からの信号を以下に説明するように取得することによって、高精度な測定を可能にする。
【0046】
図4は、本実施形態に係る計測装置1の制御方法を示すフローチャートである。まず、ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度を目標温度とする温度制御を実行する(ステップS1)。具体的に述べると、ペルチェ素子動作制御部22は、温度情報に基づいて受光部11の現在の温度を判定し、3つのモードのいずれかを選択して、ペルチェ素子12の動作を制御する。例えばペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度より高い場合に、第1のモードを選択して、受光部11を冷却させる。また、例えばペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度より低い場合に、第2のモードを選択して、受光部11を昇温させる。それぞれのモードでの電流値は一定値である必要がない。冷却又は昇温がなされれば、どのような値も取りうることができる。
【0047】
ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度でない場合に(ステップS2のNO)、ステップS1の処理に戻る。ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度である場合に(ステップS2のYES)、ステップS3の処理に進む。
【0048】
ここで、信号処理部21は、温度情報取得部23から得られる温度情報に基づいて、受光部11の温度が目標温度であれば、受光部11からの信号を取得する。信号処理部21は、受光部11からの信号を取得する場合に、すなわち、上記の非取得期間から取得期間に切り替わる場合に、通知のための信号(以下「通知信号」と称される)をペルチェ素子動作制御部22に出力してよい。
【0049】
ペルチェ素子動作制御部22は、通知信号などに基づいて、信号処理部21が受光部11からの信号を取得する(取得期間である)と判定する場合に(ステップS3のYES)、モードを切り替えずに維持する(ステップS4)。ペルチェ素子動作制御部22は、信号処理部21が受光部11からの信号の取得を完了するまで、モードを切り替えずに維持し続ける(ステップS5のNO)。
【0050】
ペルチェ素子動作制御部22によって、信号処理部21が受光部11からの信号を取得する間に、モードが維持されるので、ペルチェ素子12を流れる電流の方向が切り替わることがない。そのため、ペルチェ素子12の電流変化で生じる電磁波の影響を抑えて、高精度な赤外線の検出が可能になる。ここで、ペルチェ素子動作制御部22は、信号処理部21が受光部11からの信号を取得している間に、ペルチェ素子12に流す電流量の変化も抑制することが好ましい。電流の方向だけでなく、電流量についても変化を抑制することによって、ペルチェ素子12の電流変化で生じる電磁波の影響をさらに抑えることができる。ペルチェ素子動作制御部22は、取得期間における電流量の変化の大きさを、電流量の大きさの30%以下に抑制することが好ましく、10%以下に抑制することがさらに好ましい。
【0051】
さらに、ペルチェ素子動作制御部22は、取得期間に切り替わる時にモードを第3モードにして、取得期間の間に第3のモードを維持する、すなわち、取得期間の間にペルチェ素子12が停止するように制御してよい。このとき、取得期間におけるペルチェ素子12の電流変化が完全に無くなり、電磁波の影響を最大限に抑えて、高精度な赤外線の検出が可能になる。
【0052】
一方で、ペルチェ素子動作制御部22が取得期間においてモードを切り替えずに維持することは、取得期間において温度制御が行われないこと、すなわち、取得期間において受光部11の温度が目標温度から外れていくことを意味する。特に、ペルチェ素子を停止すると、急激な速度で発熱面から吸熱面に熱が移し、目標温度から大きく外れうる。目標温度から外れると、SNRが劣化するため、取得期間は短いことが好ましい。ここで、量子型赤外線センサである受光部11は、熱型赤外線センサに比べて応答速度が速いため、検出精度が低下しない程度に取得期間を短くすることが可能である。例えば取得期間を3秒以下とすることができる。取得期間は1秒以下であることがさらに好ましい。
【0053】
また、赤外線量の変化を測定するような場合に、受光部11によって定期的に検出が行われることがある。1つの取得期間と1つの非取得期間とを合わせた期間を1サイクルとして、複数サイクルでの検出が行われる。ここで、取得期間は、非取得期間を基準として短い期間であるように設定されてよい。例えば取得期間を非取得期間で割った値が1/10以下であるように設定されてよい。取得期間を非取得期間で割った値は少なくとも1/5以下であるように設定されることが好ましい。
【0054】
ペルチェ素子動作制御部22は、信号処理部21が受光部11からの信号を取得しないと判定する場合に(ステップS3のNO)、ステップS1の処理に戻る。また、ペルチェ素子動作制御部22は、モードが維持されて、信号処理部21が受光部11からの信号の取得を完了した場合に(ステップS5のYES)、再びステップS1の処理を実行する。
【0055】
ここで、信号処理部21が受光部11からの信号の取得を完了するまでモードが維持されるが、上記のように、信号処理部21は発光部30の複数の状態のそれぞれにおいて受光部11からの信号を取得する。信号処理部21は、1つのOFF状態における受光量と1つのON状態における受光量を得ることができれば、ガス濃度の演算が可能である。ただし、上記のように、ペルチェ素子12のモードが維持されている間に温度が上昇して目標温度から外れていく。そのため、本実施形態に係る計測装置1は、例えば
図5に示すようなタイミングで受光部11からの信号を取得する。
【0056】
図5は、信号処理部21の信号取得時刻とその期間を説明するための図である。発光部30の状態は、第1の状態と第2の状態とを含み、
図5の例において第1の状態がOFF状態、第2の状態がON状態である。信号処理部21は、発光部30が第1の状態であるうち(A)で信号を取得し、第2の状態であるうち(B)で信号を取得し、さらに、第1の状態であるうち(C)で信号を取得する。この間に、ペルチェ素子12のモードは維持されている。ここで、
図5は一例であって、ペルチェ素子12のモードが、Aの開始時からCの終了時まで連続して維持されなくてよい。すなわち、
図5のA~Cで示された期間において、ペルチェ素子12のモードが同じであればよく、例えばAの期間とBの期間の間でペルチェ素子12のモードが変化することが許容される。また、発光部30の状態は、さらに第3の状態を含んでよい。第3の状態は、例えば発光部30がON状態より低輝度で発光する状態である。
【0057】
図5の例では、発光部30が第2の状態(ON状態)を挟んで第1の状態(OFF状態)となる。この場合に、信号処理部21は、発光部30が第1の状態となったそれぞれの場合に対応する受光部11からの信号及び発光部30が第2の状態となった場合に対応する受光部11からの信号を用いて、計測の演算を実行する。信号処理部21は、例えば以下の式(1)に従って赤外線量を算出する。
【0058】
【0059】
ここで、式(1)のBは、
図5のBの期間で取得されたOFF状態における受光量である。また、式(1)のA、Cは、それぞれ
図5のA、Cの期間で取得されたOFF状態における受光量である。α及びβは係数であって、例えばα=β=0.5である。αとβの合計は1であってよいが、これに限定されない。
【0060】
ここで、ペルチェ素子12が停止した場合の受光部11の温度変化は、短時間であれば線形的な近似が可能である。そのため、
図5におけるBの期間における温度の平均は、AとCの期間の温度の平均として得られる。信号処理部21は、式(1)によって、ペルチェ素子12のモードが維持されている間の温度上昇を補正した赤外線量を求めることができる。信号処理部21は、さらにBの期間における温度に基づいて、例えば以下の式(2)に従って温度補正を加えた赤外線量を算出してよい。
【0061】
【0062】
ここで、式(2)のfは温度補正の関数である。温度補正の関数は公知の手法に従うものであってよい。また、TBはBの期間における温度である。この場合に、信号処理部21は、さらに正確に赤外線量を算出できる。ここからわかるように、AからCそれぞれの期間の温度をそれぞれ必要としなくなり、少なくともBの時点での温度がわかっていれば赤外線量を算出できる。つまり、A及びCの時点での温度測定、また演算を省略することができるので、簡単に赤外線量を求めることが可能となる。
【0063】
また、信号処理部21は、上記の説明において、発光部30の第1の状態をON状態、第2の状態をOFF状態として適用してよい。つまり、第1の状態及び第2の状態と、OFF状態及びON状態との対応は限定されない。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る計測装置1及び制御方法は、上記の構成及び処理によって、ペルチェ素子12を流れる電流の影響を抑制して、モードが維持される際の温度上昇を打ち消すように計測の演算を実行することによって、高精度な測定を可能にする。
【0065】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0066】
例えば上記の実施形態において、ペルチェ素子動作制御部22は、3つのモードでペルチェ素子12の動作を制御するが、第3のモードを含む少なくとも2つのモードを用いて、温度制御を行ってよい。例えばペルチェ素子動作制御部22は、第1のモード(受光部11の冷却に対応)と、ペルチェ素子12を停止させる第3のモードだけを用いて、温度制御を行ってよい。このとき、ペルチェ素子動作制御部22によるペルチェ素子12の動作の制御をより単純化することができる。
【0067】
例えば上記の実施形態において、温度測定部13が受光部11及びペルチェ素子12の少なくとも1つの温度を測定するが、光デバイス10は、温度測定部13を省略した構成であってよい。
図6は、温度測定部13が省略された、計測装置1の別の構成例のブロック図である。
図6に示すように、温度情報取得部23は、受光部11が備える抵抗の抵抗値に基づく受光部11の温度情報を取得してよい。このとき、温度情報取得部23は、受光部11の温度を直接的に取得できる。また、温度測定部13が省略されることによって、計測装置1のさらなる小型化が可能になる。
【0068】
また、
図4のフローチャートは一例であって、様々なペルチェ素子12の動作制御方法が実行され得る。例えば、
図4において、ペルチェ素子動作制御部22は、ステップS5でYESと判定した後にステップS1の処理に戻るが、受光部11の温度を直ちに調整するために、ステップS1でなくステップS2の処理に戻ってよい。
【0069】
また、連続的な測定が行われる場合に、ペルチェ素子動作制御部22は、ステップS5でYESと判定した後に、ステップS3の処理に戻ってよい。そして、ペルチェ素子動作制御部22は、連続的な測定が所定回数実行されてから(ステップS3へ戻る処理が所定回数繰り返されてから)、ステップS5でYESと判定した後にステップS1の処理に戻ってよい。
【0070】
また、ステップS3~ステップS5の処理の実行と並行して、温度測定が実行されてよい。このとき、ペルチェ素子動作制御部22によって温度制御が直ちに行われることがないが、次の制御に向けて定期的な温度測定が継続される。
【0071】
また、光路中に、様々な態様で波長を制限する波長制限部(光学フィルタ)が設けられてよい。例えば
図2に示される窓材32のうち、発光部30から出射された光が受光部11に届くまでの光路の部分において波長制限部が設けられてよい。発光部30と受光部11の間に波長制限部を搭載することで、受光部11の温度特性がさらに緩和される。
【0072】
また、受光部11が樹脂封止されており、ペルチェ素子12は受光部11を封止する樹脂と接触して配置されていてよい(
図9参照)。ペルチェ素子12は、受光部11を封止する樹脂の1つの面の全体(全面)と接触してよいし、一部と接触してよい。また、さらに再配線層が備えられていてよい(
図10参照)。さらに、発光部30が、受光部11を封止する樹脂と同一の樹脂パッケージに封止されている構成であってよい(
図11参照)。例えば発光部30であるLEDと受光部11であるセンサが1つの半導体パッケージに入っている構成であってよい。この場合に、光源を冷やすことができ、全体のパッケージも小さくすることができる。
【0073】
また、制御部20は、ペルチェ素子12の制御を変更している期間の信号を演算に用いなくてよい。制御の変更時に、受光部11であるセンサにノイズが乗ることが多いためである。ここで、
図5の例において、発光部30がOFF-ON-OFF又はON-OFF-ONを同じ間隔で繰り返すように描かれているが、繰り返しのパターンはこれに限定されない。例えばON状態の期間、OFF状態の期間はそれぞれ任意に設定され得る。
【0074】
上記の実施形態において、ペルチェ素子動作制御部22は、受光部11の温度が目標温度(一例として40℃)になるように、ペルチェ素子12を制御すると説明したが、以下のように制御されてよい。例えばペルチェ素子動作制御部22は、S/Nを向上させるために、第1の温度(一例として50℃)以下となるように制御してよい。また、例えばペルチェ素子動作制御部22は、結露防止の観点から、第2の温度(一例として40℃)以上となるように制御してよい。例えばペルチェ素子動作制御部22は、これらを組み合わせて、第1の温度以下かつ第2の温度以上となるように制御してよい。
【符号の説明】
【0075】
1 計測装置
10 光デバイス
11 受光部
12 ペルチェ素子
13 温度測定部
16 フィルタ
17 導光部
20 制御部
21 信号処理部
22 ペルチェ素子動作制御部
23 温度情報取得部
24 駆動部
30 発光部
31 パッケージ
32 窓材