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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110118
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物、及び合成皮革
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20240807BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240807BHJP
   C08L 99/00 20060101ALI20240807BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08L75/04
C08L99/00
D06N3/14 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014490
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】上口 美和
(72)【発明者】
【氏名】千々和 宏之
(72)【発明者】
【氏名】坂元 保
(72)【発明者】
【氏名】豊村 恭一
【テーマコード(参考)】
4F055
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055BA10
4F055BA13
4F055EA24
4F055FA21
4F055FA39
4F055GA02
4F055GA11
4F055GA32
4J002AB05X
4J002AJ00X
4J002CK03W
4J002CK04W
4J002CK05W
4J002GC00
4J002GF00
4J002GN00
4J034BA03
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA14
4J034CA15
4J034CA16
4J034CA17
4J034CB02
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC37
4J034CC45
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CD09
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC12
4J034DC35
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG14
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA02
4J034JA12
4J034JA32
4J034LB02
4J034MA26
4J034QA03
4J034QB19
4J034QD04
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物、及び合成皮革を提供する。
【解決手段】ウレタン樹脂(A)と、カカオハスク(B)とを含有するウレタン樹脂組成物であって、前記ウレタン樹脂(A)が、ポリオール化合物(a1)及びポリイソシアネート化合物(a2)を必須原料とするものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物を用いる。また、少なくとも基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、前記接着層(ii)及び/又は前記表皮層(iii)が、前記ウレタン樹脂組成物により形成されるものであることを特徴とする合成皮革を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン樹脂(A)と、
カカオハスク(B)とを含有するウレタン樹脂組成物であって、
前記ウレタン樹脂(A)が、ポリオール化合物(a1)及びポリイソシアネート化合物(a2)を必須原料とするものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記カカオハスク(B)が、粒度径500μm以下の範囲の粉砕物である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記カカオハスク(B)が、脱脂処理をしたものである請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記カカオハスク(B)の使用量が、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1~30質量部の範囲である請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
少なくとも基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、
前記接着層(ii)及び/又は前記表皮層(iii)が、請求項1~4の何れか1項記載のウレタン樹脂組成物により形成されるものであることを特徴とする合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂組成物、及び合成皮革に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂組成物は、優れた機械的強度、弾性、接着性等を有すること、及び良好な風合いを発現することから、合成皮革(人工皮革を含む。)の接着層や表皮層に広く用いられている。また、近年、地球温暖化や石油資源枯渇の問題を背景に、植物などのバイオマス原料を用いた環境負荷低減型の材料に対する需要や、食品廃棄物等の未活用資源の活用に対する需要が世界的に高まっている。
【0003】
前記ウレタン樹脂組成物として、特に、車輛内装材用の合成皮革等長期間使用される部材に用いられる場合においては、高い耐久性が要求される。また、異臭が発生しやすい場所や、異臭が蓄積されやすい場所などで使用する場合においては、優れた消臭性が要求される。
【0004】
前記高い耐久性を有する合成皮革用ウレタン樹脂組成物としては、ポリイソシアネートとポリオールと鎖伸長剤とを含有する合成皮革用ポリウレタン樹脂組成物において、前記ポリオールが二塩基酸成分中にセバシン酸を60~100モル%使用するポリエステルポリオールを含有することを特徴とする合成皮革用ポリウレタン樹脂組成物が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、消臭性に関しては、今後ますます高まる要求特性を満足するものではなく、昨今の市場要求に対し十分なものではなかった。
【0005】
そこで、優れた消臭性を有する材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-51973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物、及び合成皮革を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のウレタン樹脂と、カカオハスクとを含有するウレタン樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ウレタン樹脂(A)と、カカオハスク(B)とを含有するウレタン樹脂組成物であって、前記ウレタン樹脂(A)が、ポリオール化合物(a1)及びポリイソシアネート化合物(a2)を必須原料とするものであることを特徴とするウレタン樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のウレタン樹脂組成物は、優れた消臭性を有することから、コーティング剤や接着剤として用いることができ、特に、合成皮革の接着層や表皮層に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)と、カカオハスク(B)とを含有するものであることを特徴とする。
【0012】
前記ウレタン樹脂(A)としては、ポリオール化合物(a1)及びポリイソシアネート化合物(a2)を必須原料とするものを用いる。
【0013】
前記ポリオール化合物(a1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアクリルポリオール、シリコン変性ポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。なお、これらのポリオール化合物は、石化由来のものでもバイオマス由来のものであってもよい。
【0014】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらのポリエールポリオールは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0015】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0016】
前記多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル化物、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタン-トリカルボン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル化物などが挙げられる。これらの多価カルボン酸又はそのエステル化物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0017】
前記多価アルコールとしては、例えば、ベンゼンジメタノール、トルエンジメタノール、キシレンジメタノール等の芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロピレンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコールエチレングリコール等の脂肪族ポリオールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0018】
前記ポリエステルポリオールを製造する際のエステル化反応においては、エステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、2-エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。これらのエステル化触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0019】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、水酸基を2個以上有する化合物との反応物等が挙げられる。
【0020】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの炭酸エステルは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0021】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、3-メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0022】
前記ポリオール化合物(a1)の数平均分子量としては、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、500~5,000の範囲が好ましい。なお、本発明において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0023】
前記ポリオール化合物(a1)の含有量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂(A)の原料中に50~95質量%の範囲が好ましく、70~90質量%の範囲がより好ましい。
【0024】
前記ポリイソシアネート化合物(a2)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0025】
前記ポリイソシアネート化合物(a2)の含有量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂(A)の原料中に5~50質量%の範囲が好ましく、10~30質量%の範囲がより好ましい。
【0026】
前記ウレタン樹脂(A)は、必要に応じて、原料として、鎖伸長剤(a3)を用いることもできる。
【0027】
前記鎖伸長剤(a3)としては、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、分子量が500未満のものが好ましい。なお、前記鎖伸長剤(a3)の分子量は、化学構造式から算出される値を示す。
【0028】
前記鎖伸長剤(a3)としては、例えば、水酸基を有する鎖伸長剤、アミノ基を有する鎖伸長剤等が挙げられる。これらの鎖伸長剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などが挙げられる。これらの鎖伸長剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0030】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。これらの鎖伸長剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0031】
前記鎖伸長剤(a3)の使用量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂組成物の固形分中に0.2~20質量%の範囲が好ましく、0.5~10質量%の範囲がより好ましい。
【0032】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、前記ポリオール化合物(a1)と前記ポリイソシアネート化合物(a2)と、必要に応じて前記鎖伸長剤(a3)とを仕込み、反応させることによって製造する方法等が挙げられる。これらの反応は、30~130℃の温度で概ね3~10時間行うことが好ましい。
【0033】
前記ポリオール化合物(a1)、前記ポリイソシアネート化合物(a2)及び前記鎖伸長剤(a3)の反応割合は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ポリオール化合物(a1)が有する水酸基、並びに前記鎖伸長剤(a3)が有する水酸基及びアミノ基の合計モル数と、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基のモル数とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]が、0.3~3.5となる範囲が好ましく、0.7~2.5となる範囲がより好ましい。
【0034】
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いることもできる。
【0035】
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、sec-ブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0036】
前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、優れた消臭性を有することから、2,000~500,000の範囲が好ましく、4,000~300,000の範囲がより好ましく、6,000~150,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、前記ポリオール化合物(a1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0037】
前記カカオハスク(B)とは、本発明おいては、焼成したカカオ豆の外皮を示す。
【0038】
前記カカオハスク(B)の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、焼成したカカオ豆を砕いたのち、砕かれたカカオ豆に風を当てることでカカオニブ(実)との重量差により、カカオニブ(実)とカカオハスク(外皮)に分別し得る方法等が挙げられる。
【0039】
前記焼成の条件としては、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、80~180℃で15~180分間焼成することが好ましい。
【0040】
前記カカオハスク(B)としては、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、粒度径500μm以下の粉砕物が好ましく、粒度径150μm以下の粉砕物がより好ましく、粒度径5~50μmの範囲の粉砕物がさらに好ましい。なお、粉砕の方法は、公知の粉砕方法を用いることができる。
【0041】
前記カカオハスク(B)としては、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、脱脂処理したものを用いることもできる。前記脱脂の方法としては、例えば、前記カカオハスクを有機溶剤に浸漬した後、ろ過し乾燥させる方法等が挙げられる。
【0042】
前記カカオハスク(B)の使用量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1~30質量部の範囲が好ましく、3~20質量部の範囲がより好ましい。
【0043】
本発明のウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤(C1)、水性媒体(C2)、その他の添加剤を含有することもできる。
【0044】
前記有機溶剤(C1)としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0045】
前記有機溶剤(C1)を用いる場合、本発明のウレタン樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよいが、例えば、前記ウレタン樹脂(A)と、前記カカオハスク(B)と、前記有機溶剤(C1)とを混合して得る方法等が挙げられる。
【0046】
前記ウレタン樹脂(A)と、前記カカオハスク(B)と、前記有機溶剤(C1)との混合の方法としては、例えば、撹拌翼を備えた反応釜;ニーダー、コンテイニアスニーダー、テーパーロール、単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、万能混合機、プラストミル、ボデーダ型混練機等の混練機;ホモミキサー、スタティックミキサー、フィルミックス、エバラマイルダー、クレアミックス、ウルトラターラックス、キャビトロン、バイオミキサー等の回転式分散混合機;超音波式分散装置;インラインミキサー等の可動部がなく、流体自身の流れによって混合できる装置などを用いることにより行う方法等が挙げられる。
【0047】
前記有機溶剤(C1)の使用量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して5~200質量部の範囲が好ましい。
【0048】
前記水性媒体(C2)としては、例えば、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。これらの水性媒体は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0049】
前記水性媒体(C2)を用いる場合、本発明のウレタン樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよいが、例えば、前記ウレタン樹脂(A)と、前記カカオハスク(B)と、前記水性媒体(C2)とを混合して得る方法等が挙げられる。
【0050】
前記ウレタン樹脂(A)と、前記カカオハスク(B)と、前記水性媒体(C2)との混合の方法としては、例えば、撹拌翼を備えた反応釜;ニーダー、コンテイニアスニーダー、テーパーロール、単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、万能混合機、プラストミル、ボデーダ型混練機等の混練機;ホモミキサー、スタティックミキサー、フィルミックス、エバラマイルダー、クレアミックス、ウルトラターラックス、キャビトロン、バイオミキサー等の回転式分散混合機;超音波式分散装置;インラインミキサー等の可動部がなく、流体自身の流れによって混合できる装置などを用いることにより行う方法等が挙げられる。
【0051】
前記水性媒体(C2)の使用量は、優れた消臭性を有するウレタン樹脂組成物が得られることから、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して5~200質量部の範囲が好ましい。
【0052】
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、アミン架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。前記架橋剤の使用量としては、例えば、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、3~15質量部の範囲が好ましく、5~12質量部の範囲がより好ましい。
【0054】
本発明の合成皮革としては、少なくとも、基布(i)、接着層(ii)、及び表皮層(iii)を有するものであり、前記接着層(ii)及び前記表皮層(iii)の何れか一方又は両方が、本発明のウレタン樹脂組成物により形成されたものを用いる。
【0055】
本発明の合成皮革としては、例えば、以下、(1)~(4)の構成等が挙げられる。
【0056】
合成皮革(1):基布(i)、接着層(ii)、表皮層(iii)
合成皮革(2):基布(i)、接着層(ii)、中間層、表皮層(iii)
合成皮革(3):基布(i)、多孔層、接着層(ii)、表皮層(iii)
合成皮革(4):基布(i)、多孔層、接着層(ii)、中間層、表皮層(iii)
【0057】
前記基布(i)としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物などが挙げられる。
【0058】
前記接着層(ii)としては、本発明のウレタン樹脂組成物により形成されたもの、又は公知の接着層(ii)を形成する材料(以下、「接着層形成用樹脂」と称することがある。)を用いる。
【0059】
前記接着層形成用樹脂としては、例えば、公知の水性ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
前記接着層(ii)の厚さは、例えば、30~60μmの範囲が挙げられる。
【0061】
前記表皮層(iii)としては、本発明のウレタン樹脂組成物により形成されたもの、又は公知の前記表皮層(iii)を形成する材料(以下、「表皮層形成用樹脂」と称することがある。)としては、例えば、公知の水性ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
なお、前記表皮層(iii)の上には、傷つき防止等のため、更に表面処理層を設けることもできる。前記表面処理層を形成する材料としては、例えば、公知の水系ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0063】
前記多孔層としては、溶剤系ウレタン樹脂組成物を公知の湿式製膜法により形成されたもの;水系ウレタン樹脂組成物を公知の方法により多孔化したもの;無溶剤ウレタン樹脂組成物を公知の方法により発泡させたもの等を用いることができる。
【0064】
前記中間層を形成する材料としては、例えば、公知の水系ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0065】
前記合成皮革の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、離型処理された基材上に、表皮層形成用樹脂を塗工し、乾燥・工程することにより、表皮層(iii)を得、次いで、この表皮層(iii)上に、本発明の水性ウレタン樹脂組成物を塗工し、乾燥させ、接着層(ii)を形成し、これを基布(i)と貼り合わせる方法(1)、離型処理された基材上に、表皮層形成用樹脂を塗工し、乾燥・工程することにより、表皮層(iii)を得、次いで、この表皮層(iii)上に、本発明の水性ウレタン樹脂組成物を塗工し、これを基布(i)と貼り合わせた後に乾燥させ、接着層(ii)を形成する方法(2)等が挙げられる。
【0066】
前記表皮層形成用樹脂及び前記水性ウレタン樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ロールコーター、スプレーコーター、T-ダイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等を使用した方法などが挙げられる。
【0067】
前記合成皮革を製造した後は、必要に応じて、例えば、30~100℃で1~10日エージングすることもできる。
【実施例0068】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例及び比較例で用いたウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0070】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0071】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0072】
(合成例1:ウレタン樹脂(1)の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールを原料とするもの、[C6]=100、数平均分子量;2,000、以下「PC1」と略記する。)を640質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)を2205質量部と1,4-ブタンジオール(以下、「BG」と略記する。)を58質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)を247質量部を加え、80℃で3時間反応させ、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(1)を得た。このウレタン樹脂(1)の重量平均分子量は、100,000であった。
【0073】
(合成例2:ウレタン樹脂(2)の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールと1,5-ペンタンジオールを原料とするもの、[C6]/[C5]=50/50、数平均分子量;2,000、以下「PC2」と略記する。)を447質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記する。)を320質量部加え、十分に撹拌した。撹拌後、トルエンジイソシアネート(以下「TDI」と略記する。)を32質量部を加え、70℃で3時間反応させ、不揮発分60質量%のウレタン樹脂(2)を得た。このウレタン樹脂(2)の重量平均分子量は、40,000であった。
【0074】
(合成例3:ウレタン樹脂(3)の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000、以下「PPG」と略記する。)を230質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、MEKを250質量部及びBGを4質量部、2,2‘―ジメチロールプロピオン酸(以下「DMPA」と略記する。)を6質量部加え、十分に攪拌した。攪拌後、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDA」と略記する。)を64質量部加え、70℃で3時間反応させ、ウレタン樹脂のMEK溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にトリエチルアミン4.5質量部を混合させた後に、イオン交換水を1290質量部を加えて転相乳化させることで乳化液を得た。次いで、前記乳化液からMEKを留去することによって、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(3)を得た。このウレタン樹脂(3)の重量平均分子量は、80,000であった。
【0075】
(合成例4:ウレタン樹脂(4)の合成)
攪拌機、還流冷却管及び温度計を有する窒素置換された4ツ口フラスコに、PPGを300質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、MEKを450質量部及びBGを19質量部、2,2‘―ジメチロールプロピオン酸(以下「DMPA」と略記する。)を12質量部加え、十分に攪拌した。攪拌後、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDA」と略記する。)を110質量部加え、70℃で3時間反応させた後、ジエタノールアミンを9質量部加え、さらに70℃で2時間反応させ、ウレタン樹脂のMEK溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にトリエチルアミン10質量部を混合させた後に、イオン交換水を790質量部を加えて転相乳化させることで乳化液を得た。次いで、前記乳化液からMEKを留去することによって、不揮発分45質量%のウレタン樹脂(4)を得た。このウレタン樹脂(4)の重量平均分子量は、35,000であった。
【0076】
(実施例1:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-1))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)20質量部、DMFを40質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-1)(以下、「SK-1」と称することがある。)を得た。
【0077】
(実施例2:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-2))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)20質量部、DMFを40質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を5質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-2)(以下、「SK-2」と称することがある。)を得た。
【0078】
(実施例3:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-3))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)20質量部、DMFを40質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を20質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-3)(以下、「SK-3」と称することがある。)を得た。
【0079】
(実施例4:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-4))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)10質量部、DMFを40質量部加え、カカオハスク(粒度50μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-4)(以下、「SK-4」と称することがある。)を得た。
【0080】
(実施例5:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-5))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)10質量部、DMFを40質量部加え、カカオハスク(粒度150μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-5)(以下、「SK-5」と称することがある。)を得た。
【0081】
(実施例6:表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-6))
合成例3で得られたウレタン樹脂(3)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC HS-9540)20質量部、会合型増粘剤(DIC株式会社製「ハイドラン アシスター T10」)を1質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-6)(以下、「SK-6」と称することがある。)を得た。
【0082】
(実施例7:接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-1))
合成例2で得られたウレタン樹脂(2)100質量部、架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体、以下「HDIアダクト」と略記する。)10質量部、触媒(DIC株式会社製「クリスボン アクセル T-81E」)1質量部、MEKを60質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-1)(以下、「AD-1」と称することがある。)を得た。
【0083】
(実施例8:接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-2))
合成例4で得られたウレタン樹脂(4)100質量部、ポリイソシアネート系架橋剤(DIC株式会社製「バーノック DNW―5500」10質量部、会合型増粘剤(DIC株式会社製「ハイドラン アシスター T10」)を1質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-2)(以下、「AD-2」と称することがある。)を得た。
【0084】
(実施例9:接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-3))
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、PPGを150質量部、芳香族ポリエステルポリオール(1,6-ヘキサンジオール、及びオルトフタル酸を反応させたもの、数平均分子量;2、000、以下「PEs-1」と略記する。)を300質量部、脂肪族ポリエステルポリオール(1,4-ブタンジオール、及びアジピン酸を反応させたもの、数平均分子量;2,000、以下「PEs-2」と略記する。)を300質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。次いで、フラスコ内を90℃に冷却し、70℃で溶融したMDIを220質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させ、接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-3)(以下、「AD-3」と称することがある。)を得た。
【0085】
(調製例1:表皮層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(SK-7))
合成例1で得たウレタン樹脂(1)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC L-1770S」)20質量部、DMFを40質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(SK-7)(以下、「SK-7」と称することがある。)を得た。
【0086】
(調製例2:表皮層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(SK-8))
合成例3で得られたウレタン樹脂(3)100質量部に、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC HS-9540)20質量部、会合型増粘剤(DIC株式会社製「ハイドラン アシスター T10」)を1質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて表皮層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(SK-8)(以下、「SK-8」と称することがある。)を得た。
【0087】
(調製例3:接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-4))
合成例2で得られたウレタン樹脂(2)100質量部、架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体、以下「HDIアダクト」と略記する。)10質量部、触媒(DIC株式会社製「クリスボン アクセル T-81E」)1質量部、MEKを60質量部加え、カカオハスク(粒度5μm、脱脂処理がされたもの)を10質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-4)(以下、「AD-4」と称することがある。)を得た。
【0088】
(調製例4:接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-5))
合成例4で得られたウレタン樹脂(4)100質量部、ポリイソシアネート系架橋剤(DIC株式会社製「バーノック DNW―5500」10質量部、会合型増粘剤(DIC株式会社製「ハイドラン アシスター T10」)を1質量部加え、メカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間撹拌し、次いで真空脱泡機を使用して脱泡させて接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-5)(以下、「AD-5」と称することがある。)を得た。
【0089】
(調製例5:接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-6))
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、PPGを150質量部、芳香族ポリエステルポリオール(1,6-ヘキサンジオール、及びオルトフタル酸を反応させたもの、数平均分子量;2、000、以下「PEs-1」と略記する。)を300質量部、脂肪族ポリエステルポリオール(1,4-ブタンジオール、及びアジピン酸を反応させたもの、数平均分子量;2,000、以下「PEs-2」と略記する。)を300質量部加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。次いで、フラスコ内を90℃に冷却し、70℃で溶融したMDIを220質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させ、接着層用カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物(AD-6)(以下、「AD-6」と称することがある。)を得た。
【0090】
(実施例10:合成皮革(1)の作製)
離型紙(リンテック株式会社製「EK-100D」)上に、実施例1で得た表皮層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(SK-1)を真空脱泡機を使用して脱泡させて固形分膜厚が30μmとなるようにナイフコーターにて塗布した後、熱風乾燥機を使用して70℃で2分間、次いで120℃で2分間乾燥させることにより表皮層を得た。次いで、この表皮層上に、実施例7で得た接着層用カカオハスク含有ウレタン樹脂組成物(AD-1)を真空脱泡機を使用して脱泡させて固形分膜厚が50μmとなるようにコンマコーターにて塗布した後、不織布基材(BA-1)(目付300g/m)を前記接着層上に重ね、熱ロールプレス(ロール温度100℃、プレス線圧8MPa/m、送り速度1m/min)にて熱圧着させ、最後に離型紙を剥離して合成皮革(1)を得た。
【0091】
(実施例11~22:合成皮革(2)~(13)の作製)
表皮層及び接着層に用いるウレタン樹脂組成物を、表1に示したものにそれぞれ変えた以外は、実施例10と同様にして、合成皮革(2)~(13)を得た。
【0092】
(比較例1~4:合成皮革(R1)~(R4)の作製)
表皮層及び接着層に用いるウレタン樹脂組成物を、表2に示したものにそれぞれ変えた以外は、実施例10と同様にして、合成皮革(R1)~(R4)を得た。
【0093】
上記の実施例及び比較例で得られた合成皮革(1)~(13)、及び(R1)~(R4)を用いて、下記の評価を行った。
【0094】
[消臭性の評価方法]
各実施例及び各比較例で作成した合成皮革8gをサンプル瓶に入れ、更に0.5wt%のアンモニア水1gを添加し、蓋をした上で室温にて2時間静置した。その後、気体検知管(株式会社ガステック社製「GASTEC気体検知管 No.3HM」)を用いてガラス瓶中のアンモニア濃度を測定し、以下の評価基準に従い評価した。なお、本発明においては、アンモニア濃度が0.05%未満の場合、消臭性あり(以下、「A」に相当。)とした。
【0095】
A:アンモニア濃度が0.05%未満であった。
B:アンモニア濃度が0.05%以上であった。
【0096】
上記の実施例及び比較例で得られた合成皮革(1)~(13)、及び(R1)~(R4)の構成及び評価結果を表1及び表2に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
表1に示した実施例10~22は、表皮層及び接着層の何れか一方、又は両方が、本発明のウレタン樹脂組成物からなる層である合成皮革の例である。これらの合成皮革は、優れた消臭性を有することが確認できた。
【0100】
一方、表2に示した比較例1~4は、表皮層及び接着層の両方が、カカオハスク非含有ウレタン樹脂組成物からなる層である合成皮革の例である。これらの合成皮革は、消臭性が著しく劣ることが確認できた。