(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110306
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240807BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240807BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H04N1/00 002Z
H04N1/00 127Z
B41J29/38 201
G03G21/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014829
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】谷 和也
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK23
2C061HQ12
2C061HV48
2H270KA55
2H270KA59
2H270LA75
2H270MC18
2H270MF14
2H270MF15
2H270MF17
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】記憶装置を有する複数の画像形成装置の中から、各画像形成装置が有する記憶装置の寿命に基づいて選択された記憶装置にデータを記憶させること。
【解決手段】互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置であって、前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得部と、前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択部と、前記選択部が自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択部が自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信し、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる記憶制御部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置であって、
前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得部と、
前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択部と、
前記選択部が自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択部が自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信する記憶制御部と、
を備え、
前記記憶制御部は、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記複数の画像形成装置の記憶装置の残り容量に関する容量情報を更に取得し、
前記選択部は、前記寿命情報と前記容量情報に基づいて、前記複数の画像形成装置の中から、前記データを記憶させる記憶装置を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記寿命情報は、前記複数の画像形成装置の記憶装置におけるデータの書き込み回数、データの残り書き込み回数、稼働時間、及び残り稼働時間の少なくとも一つを含む、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記容量情報が示す残り容量が予め定めた値以上である前記記憶装置の中から、前記寿命情報が示す残り寿命が最も長い記憶装置を選択する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記データを特定する識別子と、前記データを記憶する記憶装置を有する画像形成装置を特定する識別子を関連付けた情報を、前記データを管理するためのデータ管理情報に追加する管理部を更に備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムであって、
前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得部と、
前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択部と、
前記選択部が自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択部が自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信する記憶制御部と、
を備え、
前記記憶制御部は、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる、前記複数の画像形成装置を有する情報処理システム。
【請求項7】
互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置が実行する情報処理方法であって、
前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得ステップと、
前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択ステップと、
前記選択ステップが自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択ステップが自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信する記憶制御ステップと、
を備え、
前記記憶制御ステップは、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる、情報処理方法。
【請求項8】
互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置に、
前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得ステップ、
前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択ステップ、
前記選択ステップが自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択ステップが自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信する第1記憶制御ステップ、
自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる第2記憶制御ステップ、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置でスキャンした画像データ等を画像形成装置に備えられたSSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は外部の記憶装置に記憶する技術が一般に知られている。特許文献1には、画像形成装置が有する不揮発性記憶装置であるSSDへの書き込み回数が寿命に達した場合に、揮発性メモリにデータを記憶させる技術が公開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、記憶装置を有する複数の画像形成装置の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置の記憶装置にデータを記憶させることができなかった。従って、寿命に余裕がある使用頻度が低い記憶装置を活用することができなかった。
【0004】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑み、記憶装置を有する複数の画像形成装置の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置の記憶装置にデータを記憶させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置であって、前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得部と、前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択部と、前記選択部が自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択部が自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信し、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる記憶制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、記憶装置を有する複数の画像形成装置の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置の記憶装置にデータを記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概略図の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る情報処理システムにおける機能ブロックの構成図の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る第1のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る第1の記憶装置に関する情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るデータ管理情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る第2のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る第2の記憶装置に関する情報の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る第3のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム概要>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの概略図の一例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、インターネット又は社内LAN等の通信ネットワーク2に接続する複数の画像形成装置9(9a、9b、9c、…)を含む。各々の画像形成装置9は、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)などの記憶装置を備えており、例えば、画像形成装置9のスキャン機能を用いて取得した画像データ等のデータを記憶装置に記憶させることができる。まず、画像形成装置9は、自装置の記憶装置、及び他の画像形成装置9の記憶装置における書き込み回数や稼働時間等を含む寿命に関する寿命情報を含む記憶装置情報を取得する。記憶装置情報は、寿命情報に加えて記憶装置の記憶容量に関する容量情報を更に含んでもよい。次に、画像形成装置9は、取得した記憶装置情報に基づいて、情報処理システム1における複数の画像形成装置9の記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する。最後に、画像形成装置9は、自装置の記憶装置が選択されたならば、自装置の記憶装置にデータを記憶させ、自装置以外の記憶装置が選択されたならば、選択された記憶装置を有する他の画像形成装置9にデータを送信する。データを受信した他の画像形成装置9は、受信したデータを記憶装置に記憶させる。
【0010】
以上により、情報処理システム1では、記憶装置を有する複数の画像形成装置9の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置9の記憶装置にデータを記憶させることができる。これにより、情報処理システム1では、複数の画像形成装置9が有する記憶装置に対して、残りの寿命に偏りがないように、記憶装置を効率的に利用することが可能である。即ち、他の画像形成装置9の記憶装置の寿命に余裕があるにもかかわらず、記憶装置が集中して利用された画像形成装置9において、データを記憶装置に記憶することができなくなることを避けることができる。この理由は、画像形成装置9が、データを記憶する記憶装置として、複数の画像形成装置9に備えられた記憶装置の中から、残り寿命が長い記憶装置を選択することができるからである。
【0011】
なお、
図1に示す情報処理システム1のシステム構成は一例である。例えば、画像形成装置9の台数は、任意の台数であってよい。また、通信ネットワーク2には、例えば、移動体通信、又は無線LAN等の無線通信による接続区間が含まれていても良い。また、記憶装置にデータを記憶させることを「書き込み」と呼んでもよい。また、記憶装置に対してデータの記憶が実行された回数を「書き込み回数」と呼んでもよい。また、情報処理システム1における全ての画像形成装置9は、本発明における課題を解決するために必要な機能を有しているが、印刷、スキャン、及びFAX等の一般的な機能については、その限りではなく、一部の機能のみを有するものであってもよい。
【0012】
<ハードウェア構成例(画像形成装置)>
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置9のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されているように、画像形成装置9(あるいは、MFP、Multifunction Peripheral/Product/Printerと呼ばれる)は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0013】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、ローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、HD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0014】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置9の全体を制御する。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0017】
近距離通信回路920は、ICカードなどに記憶された利用者の認証情報などを読込むためのカードリーダ920aを有する。
【0018】
操作パネル940は、利用者による入力を受け付けるタッチパネル940aとテンキー940bを有する。また、タッチパネル940aは、画像形成装置9が実行するアプリケーション画面などを表示する。
【0019】
なお、HDDコントローラ908及びHD909は、HDD(Hard Disk Drive)でなくSSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0020】
<機能について>
図3は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。画像形成装置9(9a、9b、9c、…)は、情報取得部10、選択部11、記憶制御部12、通信部13、処理部14、及び管理部15を有する。これら各部は、画像形成装置9にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。
【0021】
情報取得部10は、情報処理システム1における複数の画像形成装置9が有する記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報を取得する。記憶装置情報の詳細については後述する。
【0022】
選択部11は、情報取得部10が取得した記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報に基づいて、情報処理システム1における複数の画像形成装置9が有する記憶装置の中から、データを記憶する記憶装置を選択する。選択方法の詳細については後述する。
【0023】
記憶制御部12は、選択部11がデータを記憶する記憶装置として、自装置の記憶装置を選択した場合、自装置の記憶装置にデータを記憶させる。また、記憶制御部12は、選択部11がデータを記憶する記憶装置として、自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置を選択した場合、通信ネットワーク2を介して、選択された記憶装置を有する画像形成装置9にデータを送信する。また、記憶制御部12は、自装置以外の他の画像形成装置9から受信したデータを自装置の記憶装置に記憶する。
【0024】
通信部13は、画像形成装置9が有する通信機能であり、通信ネットワーク2を介して他の画像形成装置9等と情報の送受信を行う。
【0025】
処理部14は、例えば、スキャン機能を用いて、記憶装置に記憶する画像データなどのデータを取得する。
【0026】
管理部15は、画像形成装置9の記憶装置にデータが記憶された後、記憶されたデータを特定する識別子とデータが記憶された記憶装置の識別子を関連付けた情報を、データを管理するためのデータ管理情報に追加することでデータ管理情報を更新する。
【0027】
記憶部16は、記憶制御部12の指示に基づいてデータを記憶する。記憶部16は、例えば、画像形成装置9が有するHD909又はSSD(Solid State Drive)等のデータを記憶するための記憶装置によって実現される。
【0028】
<第1のデータ記憶処理>
図4は、本発明の実施形態に係る第1のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。本フローチャートでは、複数の画像形成装置9の記憶装置の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された記憶装置にデータが記憶される。以下、
図4の各ステップの処理について説明する。
【0029】
ステップS30:画像形成装置9の処理部14は、例えば、スキャン機能を用いて、記憶装置に記憶する画像データなどのデータを取得する。
【0030】
ステップS31:画像形成装置9の情報取得部10は、自装置が有する記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報を取得する。情報取得部10は、記憶装置の寿命に関する情報として、例えば、記憶装置において管理されている、記憶装置に書き込み(即ち、データの記憶)が行われた書き込み回数、記憶装置に書き込みが可能な残り書き込み回数、記憶装置の稼働時間、及び記憶装置の残り稼働時間などを取得する。これらの情報は、記憶装置が有する機能により管理されるものであってもよいし、記憶装置の外部の画像形成装置9における機能により管理されるものであってもよい。
【0031】
画像形成装置9の選択部11は、情報取得部10が取得した記憶装置情報に基づいて、データを記憶させる記憶装置を自装置の記憶装置にするか、他の画像形成装置9の記憶装置にするかを選択する。選択部11は、例えば、書き込み回数及び稼働時間が予め定めた閾値以下、或いは、残り書き込み回数及び残り稼働時間が予め定めた閾値以上であるならば、自装置の記憶装置の残り寿命が長いと判断し、データを記憶する記憶装置として自装置の記憶装置を選択する。
【0032】
画像形成装置9の記憶制御部12は、選択部11が自装置の記憶装置を選択したならば処理をステップS32に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS33に遷移させる。
【0033】
ステップS32:画像形成装置9の記憶制御部12は、ステップS30で取得したデータを自装置の記憶装置に記憶させる。
【0034】
ステップS33:画像形成装置9の情報取得部10は、少なくとも1台の自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報を取得する。取得する記憶装置情報は、ステップS31で取得する自装置の記憶装置に対する記憶装置情報と同じ項目を有する情報である。情報取得部10は、例えば、他の画像形成装置9に記憶装置情報の取得要求を送信し、その取得要求の応答として、記憶装置情報を他の画像形成装置9から受信する。或いは、情報取得部10は、定期的に(例えば、定められたある一定の周期で)、他の画像形成装置9から記憶装置情報を取得して、自装置の記憶装置に記憶しておいた記憶装置情報を取得するようにしてもよい。
図5は、本発明の実施形態に係る第1の記憶装置に関する情報の一例を示す図である。
図5の記憶装置情報60は、「装置識別子」、「残り書き込み回数」、及び「残り稼働時間」の項目を有する。「装置識別子」は、画像形成装置9を識別するための識別子である。「残り書き込み回数」は、記憶装置に書き込みが可能な残り書き込み回数である。「残り稼働時間」は、記憶装置が寿命までに稼働できる時間(単位は、例えば1時間(60分))である。記憶装置情報60は、他の画像形成装置9の記憶装置に関する情報だけでなく、自装置の記憶装置に関する情報を含んでもよい。
図4に戻って説明する。
【0035】
ステップS34:画像形成装置9の選択部11は、ステップS33で取得した、他の画像形成装置9の記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報に基づいて、データを書き込む記憶装置を選択する。選択部11は、例えば、書き込み回数が最小又は稼働時間が最短の記憶装置を選択する。或いは、選択部11は、残り書き込み回数が最大又は残り稼働時間が最長の記憶装置を選択してもよい。
【0036】
以降に示す選択方法の説明では、「書き込み回数が小さい、最小、及び予め定めた値以下」である条件は「残り書き込み回数が大きい、最大、及び予め定めた値以上」である条件に置き換えてもよいものとする。また、「稼働時間が短い、最短、及び予め定めた値以下」の条件は「残り稼働時間が長い、最長、及び予め定めた値以上」の条件で置き換えてもよいものとする。別の選択方法として、選択部11は、書き込み回数が予め定めた値以下の記憶装置の中から、稼働時間が最短の記憶装置を選択してもよい。或いは、選択部11は、稼働時間が予め定めた値以下の記憶装置の中から、書き込み回数が最小の記憶装置を選択してもよい。或いは、選択部11は、稼働時間が予め定めた値以下であり、且つ、書き込み回数が予め定めた値以下を満たす記憶装置の中で、最も早く記憶装置情報が取得された記憶装置を選択してもよい。或いは、選択部11は、稼働時間が予め定めた値以下であり、且つ、書き込み回数が予め定めた値以下を満たす記憶装置の中で、装置識別子の値が最小の画像形成装置9が有する記憶装置を選択してもよい。また、選択部11は、自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置の全てが、残り寿命が長い条件を満たさない場合、例えば、記憶装置の選択ができないことを記憶制御部12等に通知してもよい。
【0037】
ステップS35:画像形成装置9の記憶制御部12は、ステップS30で取得したデータをステップS34で選択された記憶装置を有する自装置以外の他の画像形成装置9の通信部13に送信する。
【0038】
ステップS36:自装置以外の他の画像形成装置9の記憶制御部12は、受信したデータを記憶装置に記憶させる。
【0039】
ステップS37:画像形成装置9の管理部15は、記憶装置に記憶されているデータを管理するためのデータ管理情報を更新する。
図6は、本発明の実施形態に係るデータ管理情報の一例を示す図である。
図6のデータ管理情報61は、「データ名」と「装置識別子」の項目を有する。「データ名」は、記憶装置に記憶されているデータの名称であり、例えば、画像データなどのファイル名である。「装置識別子」は、「データ名」で特定されるデータが記憶されている記憶装置を有する画像形成装置9を特定するための識別子である。管理部15は、例えば、処理部14が取得したデータの「データ名」と選択部11が選択した記憶装置を有する画像形成装置9を特定する識別子をデータ管理情報61に追加することにより、データ管理情報61を更新する。このようにして、データとデータを記憶した記憶装置を有する画像形成装置9が関連付けられることで、画像形成装置9は、データ管理情報61を参照することにより、必要なデータを他の画像形成装置9に要求して取得することができる。
【0040】
以上の処理により、情報処理システム1では、画像形成装置9は、記憶装置を有する複数の画像形成装置9の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置9の記憶装置にデータを記憶させることができる。
【0041】
<第2のデータ記憶処理>
データ記憶処理の変形例について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る第2のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
図4に示した第1のデータ記憶処理との違いは、選択部11がデータを記憶する記憶装置を選択する際に、記憶装置の記憶容量に関する情報を更に利用する点である。即ち、選択部11は、残り寿命が長く、且つ、残り容量が多い記憶装置を選択する。具体的には、第2のデータ記憶処理では、第1のデータ記憶処理におけるステップS31、ステップ33、及びステップS34の処理の代わりに、それぞれ以下に示すステップS41、ステップS43、及びステップS44の処理が実行される。これらのステップ以外では、
図4と同じ処理が実行される。
【0042】
ステップS41:画像形成装置9の情報取得部10は、自装置が有する記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報を取得する。ここで、情報取得部10は、
図4のステップS31で説明した記憶装置の寿命に関する情報(寿命情報)に加えて、記憶装置の残り記憶容量に関する情報(容量情報)を含む記憶装置情報を取得する。残り記憶容量に関する情報は、記憶装置における残り記憶容量の値(単位がバイト等)であってもよいし、全体の記憶容量に対する残りの記憶容量の割合であってもよい。
【0043】
画像形成装置9の選択部11は、情報取得部10が取得した記憶装置情報に基づいて、データを記憶させる記憶装置を自装置の記憶装置にするか、他の画像形成装置9の記憶装置にするかを選択する。選択部11は、例えば、
図4のステップS31で説明した方法により、自装置の記憶装置の残り寿命が長いことを判断し、且つ、自装置の記憶装置の残り容量が予め定めた値よりも多いならば、データを記憶する記憶装置として自装置の記憶装置を選択する。
【0044】
画像形成装置9の記憶制御部12は、選択部11が自装置の記憶装置を選択したならば処理をステップS32に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS43に遷移させる。
【0045】
ステップS43:画像形成装置9の情報取得部10は、少なくとも1台の自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置に関する情報(記憶装置情報)を取得する。取得する記憶装置情報は、ステップS41で取得した自装置の記憶装置に対する記憶装置情報と同じ項目を有する情報である。情報取得部10は、例えば、他の画像形成装置9に記憶装置情報の取得要求を送信し、その取得要求の応答として、記憶装置情報を他の画像形成装置9から受信する。或いは、情報取得部10は、定期的に(例えば、定められたある一定の周期で)、他の画像形成装置9から記憶装置情報を取得して、自装置の記憶装置に記憶しておいた記憶装置情報を取得するようにしてもよい。
図8は、本発明の実施形態に係る第2の記憶装置に関する情報の一例を示す図である。
図8の記憶装置情報62は、「装置識別子」、「残り書き込み回数」、「残り稼働時間」、及び「残り記憶容量」の項目を有する。「装置識別子」、「残り書き込み回数」、及び「残り稼働時間」の項目は、
図5の記憶装置情報60の項目と同じである。「残り記憶容量」は、記憶装置における残り記憶容量の値(単位は、例えばメガバイト(MByte))である。記憶装置情報62は、他の画像形成装置9の記憶装置に関する情報だけでなく、自装置の記憶装置に関する情報を含んでもよい。
図7に戻って説明する。
【0046】
ステップS44:画像形成装置9の選択部11は、ステップS43で取得した、他の画像形成装置9の記憶装置に対する記憶装置情報に基づいて、データを書き込む記憶装置を選択する。選択部11は、例えば、記憶装置の残り容量が予め定めた値よりも多い記憶装置に対して、
図4のステップS34で説明した何れかの方法により、記憶装置の残り寿命が最も長い記憶装置を選択することで、残り寿命が長く、且つ、残り容量が多い記憶装置を選択する。
【0047】
以上の処理により、情報処理システム1では、画像形成装置9は、記憶装置を有する複数の画像形成装置9の中から、記憶装置の寿命と記憶容量に基づいて選択された画像形成装置9の記憶装置にデータを記憶させることができる。
【0048】
<第3のデータ記憶処理>
データ記憶処理の別の変形例について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る第3のデータ記憶処理に関するフローチャートの一例を示す図である。本フローチャートでは、選択部11が、自装置を含む全ての画像形成装置9の記憶装置の中から、データを記憶する記憶装置を選択する。即ち、
図4に示した第1のデータ記憶処理の様に、選択部11が、自装置の記憶装置を選択するか、自装置以外の記憶装置を選択するかを選択した後に、他の画像形成装置9の記憶装置の中から最終的に一つの記憶装置を選択するのではない。具体的には、第3のデータ記憶処理では、第1のデータ記憶処理におけるステップS31、ステップ33、及びステップS34の処理の代わりに、以下に示すステップS51、ステップS52、及びステップS53の処理が実行される。これらのステップ以外では、
図4と同じ処理が実行される。
【0049】
ステップS51:画像形成装置9の情報取得部10は、自装置の記憶装置及び自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置の寿命に関する情報を含む記憶装置情報を取得する。取得される記憶装置情報は、
図4のステップS31又は
図7のステップS41取得する記憶装置情報と同じ項目を有する情報である。
【0050】
ステップS52:画像形成装置9の選択部11は、ステップS51で取得した、記憶装置情報に基づいて、自装置の記憶装置及び自装置以外の他の画像形成装置9の記憶装置の中から、データを書き込む記憶装置を選択する。選択の方法は、例えば、
図4のステップS34又は
図7のステップS44で説明した方法と同様の方法を用いる。
【0051】
ステップS53:画像形成装置9の記憶制御部12は、選択部11が自装置の記憶装置を選択したならば処理をステップS32に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS35に遷移させる。
【0052】
以上の処理により、情報処理システム1では、画像形成装置9は、記憶装置を有する複数の画像形成装置9の中から、記憶装置の寿命に基づいて選択された画像形成装置9の記憶装置にデータを記憶させることができる。また、第1又は第2のデータ記憶処理と比較すると、第3のデータ記憶処理では、選択部11による記憶装置の選択を1回で完了することができる。一方、第1又は第2のデータ記憶処理では、最初に自装置の記憶装置を選択するか否かを選択することから、自装置の記憶装置の選択が優先して実行される。これにより、自装置以外の記憶装置に対する選択処理、及び選択された記憶装置を有する画像形成装置9へのデータの送信処理を可能な限り実行しないようにして、処理負荷や処理時間を低減できる。ただし、第3のデータ記憶処理においても、
図9のステップS52の処理の内部で、最初に自装置の記憶装置を選択するか否かを判断することで、自装置の記憶装置を優先した選択を実行することも可能である。
【0053】
以上、本発明を実施するための幾つかの形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0054】
例えば、
図3の機能ブロックの構成図の一例は、情報処理システム1及び画像形成装置9による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理システム1及び画像形成装置9における処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0055】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0056】
また、記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム1及び画像形成装置9は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0057】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>互いに通信可能な複数の画像形成装置を有する情報処理システムにおける画像形成装置であって、前記複数の画像形成装置の記憶装置の寿命に関する寿命情報を取得する情報取得部と、前記寿命情報に基づいて、前記複数の画像形成装置が有する記憶装置の中から、データを記憶させる記憶装置を選択する選択部と、前記選択部が自装置の記憶装置を選択したならば、前記データを自装置の記憶装置に記憶させ、前記選択部が自装置以外の記憶装置を選択したならば、選択された記憶装置を有する画像形成装置に前記データを送信する記憶制御部と、を備え、前記記憶制御部は、自装置以外の画像形成装置から受信した前記データを自装置の記憶装置に記憶させる、画像形成装置である。
<2>前記情報取得部は、前記複数の画像形成装置の記憶装置の残り容量に関する容量情報を更に取得し、前記選択部は、前記寿命情報と前記容量情報に基づいて、前記複数の画像形成装置の中から、前記データを記憶させる記憶装置を選択する、前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3>前記寿命情報は、前記複数の画像形成装置の記憶装置におけるデータの書き込み回数、データの残り書き込み回数、稼働時間、及び残り稼働時間の少なくとも一つを含む、前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成装置である。
<4>前記選択部は、前記容量情報が示す残り容量が予め定めた値以上である前記記憶装置の中から、前記寿命情報が示す残り寿命が最も長い記憶装置を選択する、前記<2>に記載の画像形成装置である。
<5>前記データを特定する識別子と、前記データを記憶する記憶装置を有する画像形成装置を特定する識別子を関連付けた情報を、前記データを管理するためのデータ管理情報に追加する管理部を更に備える、前記<1>乃至前記<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理システム
2 通信ネットワーク
9、9a、9b、9c 画像形成装置
10 情報取得部
11 選択部
12 記憶制御部
13 通信部
14 処理部
15 管理部
16 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】