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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011063
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240118BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240118BHJP
   H04W 52/04 20090101ALI20240118BHJP
【FI】
H04L27/26 111
H04W72/04 132
H04W52/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112748
(22)【出願日】2022-07-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省、「地上テレビジョン放送の高度化技術に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067GG08
(57)【要約】
【課題】 TMCC情報の伝送特性を改善することを可能とする送信装置、受信装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】 送信装置は、部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する電力調整部と、を備え、前記電力調整部は、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信する送信部と、
前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する電力調整部と、を備え、
前記電力調整部は、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定する、送信装置。
【請求項2】
前記第1増幅比は、前記第2増幅比よりも大きい、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記伝送制御情報は、前記伝送制御情報に対応する2以上の伝送制御キャリアを用いて伝送される、請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記部分受信帯域で送信される前記伝送制御情報は、前記非部分受信帯域で送信される前記伝送制御情報と同じであり、
前記伝送制御情報は、時間方向において差動変調によって変調される、請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを受信する受信部と、
前記データキャリアシンボル及び前記伝送制御キャリアシンボルを復調する復調部と、を備え、
前記受信部は、少なくとも部分受信帯域において前記データキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅された前記伝送制御キャリアシンボルを受信し、
前記第1増幅比は、前記部分受信帯域以外の非部分受信帯域において前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される、受信装置。
【請求項6】
プログラムであって、コンピュータに、
部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信するステップAと、
前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅するステップBと、実行させ、
前記ステップBは、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定するステップを含む、プログラム。
【請求項7】
プログラムであって、コンピュータに、
1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを受信するステップAと、
前記データキャリアシンボル及び前記伝送制御キャリアシンボルを復調するステップBと、を備え、
前記ステップAは、少なくとも部分受信帯域において前記データキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅された前記伝送制御キャリアシンボルを受信するステップを含み、
前記第1増幅比は、前記部分受信帯域以外の非部分受信帯域において前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送方式として、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式が知られている。ISDB-Tでは、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、2以上のセグメント(例えば、13セグメント)に分割される。さらに、チャネルの帯域に含まれる一部のセグメント(例えば、1セグメント)の受信(以下、部分受信)を想定した方式(ワンセグメント方式)、チャネルの帯域に含まれる残りのセグメント(例えば、12セグメント)の受信(以下、非部分受信)を想定した方式(フルセグメント方式)が採用されている。
【0003】
ISDB-Tでは、伝送制御情報(以下、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報)が伝送される。TMCC情報は、誤りに強いDBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)によって変調され、TMCCで用いるキャリア(以下、TMCCキャリア)毎に同一のTMCC情報が伝送される。TMCC情報の伝送特性を向上するために、TMCCキャリアシンボルは、データキャリアシンボルに対して一律の増幅比で電力が増幅される(例えば、非特許文献1)。
【0004】
一方で、地上デジタル放送の高品質化及び高機能化を目的として、ISDB-T方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)の検討が進められている。高度化方式では、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、ISDB-Tよりも多い数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割される。高度化方式においても、部分受信(例えば、9セグメント)を想定した方式、非部分受信(26セグメント)を想定した方式が採用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 標準規格」, ARIB STD-B31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高度化方式では、ISDB-Tで採用されていない新たな機能(例えば、複数の物理チャネルを束ねて使用するチャネルボンディング機能など)の導入によって、TMCC情報のビット数の増大が想定される。一方で、高度化方式では、FFT(Fast Fourier Transform)サイズの増大によってシンボル長が大きくなるため、伝送フレーム長を一定とする場合は、1つの伝送フレームに含まれるシンボル数の減少が想定される。従って、TMCC情報のビットの全てを1つのTMCCキャリアで伝送することが困難であることが想定される。
【0007】
発明者等は、鋭意検討の結果、TMCCキャリア毎に同一のTMCC情報を送信することが困難であり、TMCC情報を2以上のTMCCキャリアを用いて送信するケースに着目し、TMCC情報の伝送特性の更なる改善が必要であることを見出した。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、TMCC情報の伝送特性を改善することを可能とする送信装置、受信装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の一態様は、部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する電力調整部と、を備え、前記電力調整部は、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定する、送信装置である。
【0010】
開示の一態様は、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを受信する受信部と、前記データキャリアシンボル及び前記伝送制御キャリアシンボルを復調する復調部と、を備え、前記受信部は、少なくとも部分受信帯域において前記データキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅された前記伝送制御キャリアシンボルを受信し、前記第1増幅比は、前記部分受信帯域以外の非部分受信帯域において前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される、受信装置である。
【0011】
開示の一態様は、プログラムであって、コンピュータに、部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信するステップAと、前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅するステップBと、実行させ、前記ステップBは、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定するステップを含む、プログラムである。
【0012】
開示の一態様は、プログラムであって、コンピュータに、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを受信するステップAと、前記データキャリアシンボル及び前記伝送制御キャリアシンボルを復調するステップBと、を備え、前記ステップAは、少なくとも部分受信帯域において前記データキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅された前記伝送制御キャリアシンボルを受信するステップを含み、前記第1増幅比は、前記部分受信帯域以外の非部分受信帯域において前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される、プログラム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、TMCC情報の伝送特性を改善することを可能とする送信装置、受信装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム10を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る送信装置100を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る受信装置200を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る増幅比を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る増幅比を説明するための図である。
図6図6は、実験結果を説明するための図である。
図7図7は、実験結果を説明するための図である。
図8図8は、変更例1に係る増幅比を説明するための図である。
図9図9は、変更例1に係る増幅比を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0016】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
[開示の概要]
開示の概要に係る送信装置は、部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを送信する送信部と、前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する電力調整部と、を備え、前記電力調整部は、前記データキャリアシンボルに対する前記伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、前記部分受信帯域について第1増幅比を設定し、前記非部分受信帯域について第2増幅比を設定する。
【0018】
開示の概要に係る受信装置は、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報に対応する伝送制御キャリアシンボルを含む伝送フレームを受信する受信部と、前記データキャリアシンボル及び前記伝送制御キャリアシンボルを復調する復調部と、を備え、前記受信部は、少なくとも部分受信帯域において前記データキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅された前記伝送制御キャリアシンボルを受信し、前記第1増幅比は、前記部分受信帯域以外の非部分受信帯域において前記伝送制御キャリアシンボルを前記データキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される。
【0019】
開示の概要によれば、データキャリアシンボルに対する伝送制御キャリアシンボルの増幅比として、部分受信帯域について第1増幅比が設定され、非部分受信帯域について第2増幅比が設定される。このような構成によれば、データキャリアシンボルに対する伝送制御キャリアシンボルの増幅比を柔軟に設定することができるため、階層データ(データキャリアシンボル)の伝送特性の劣化を抑制しながら、伝送制御情報(伝送制御キャリアシンボル)の伝送特性を向上することができる。
【0020】
[実施形態]
(デジタル無線伝送システム)
以下において、実施形態に係るデジタル無線伝送システムについて説明する。図1は、実施形態に係るデジタル無線伝送システム10を示す図である。図1に示すように、デジタル無線伝送システムは、送信装置100及び受信装置200を備える。
【0021】
実施形態において、デジタル無線伝送システムでは、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の特長を継承した次世代方式(以下、地上放送高度化方式又は高度化方式)が採用される。高度化方式では、チャネルの帯域幅(例えば、6MHz)は、ISDB-Tよりも多い数のセグメント(例えば、35セグメント)に分割される。高度化方式においても、部分受信(例えば、9セグメント)を想定した方式、非部分受信(26セグメント)を想定した方式が採用されている。
【0022】
さらに、高度化方式では、TMCC情報が異なる2以上の階層(例えば、A階層、B階層、C階層)の信号を伝送可能である。A階層の信号は、移動端末による受信を想定した信号であり、部分受信帯域内で送信されてもよい。例えば、A階層で使用可能なセグメントの数は、1~9セグメントであり、A階層の伝送容量の柔軟性を高めることができる。
【0023】
実施形態では、受信装置200は、部分受信(例えば、A階層に属するデータの受信)を実行する装置であってもよい。受信装置200は、スマートフォン、タブレット端末などの移動端末であってもよい。但し、受信装置200は、部分受信帯域及び非部分受信帯域の受信(全部受信)を実行する装置であってもよい。
【0024】
高度化方式では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられてもよい。高度化方式では、MIMO(Multi-Input Multi-Output)が用いられてもよく、MISO(Multi-Input Single-Output)が用いられてもよい。高度化方式では、STBC(Space Time Block Coding)が用いられてもよく、SFBC(Space Frequency Block Coding)が用いられてもよく、SDM(Space Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0025】
(送信装置)
以下において、実施形態に係る送信装置について説明する。図2は、実施形態に係る送信装置100を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、送信装置100は、入力I/F(Interface)101と、BICM(Bit Interleaved Coded Modulation)部103と、時間IL(Interleave)部105と、電力調整部107と、階層合成部109と、帯域分割部111と、周波数IL(Interleave)部113と、帯域合成部115と、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)ビット生成部121と、同期ビット生成部123と、TMCC生成部125と、電力調整部127と、パイロット生成部131と、電力調整部133と、LLch(Low Latency channel)生成部135と、電力調整部137と、フレーム構成部141と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部143と、GI(Guard Interval)付加部145と、送信部146と、を有する。
【0027】
入力I/F101は、各種情報を入力するインタフェースである。例えば、入力I/F101は、A階層、B階層及びC階層に属するデータビットを入力する。入力I/F101は、TMCC情報、パイロット信号及びLLchデータを入力する。TMCC情報は、A階層、B階層及びC階層に属する伝送パラメータを含んでもよい。TMCC情報は、変調方式、誤り訂正符号の符号化率、時間インタリーブ長、セグメント数、パイロット信号の配置(以下、SP配置)などを示す伝送パラメータを含んでもよい。パイロット信号は、SP(Scattered Pilot)信号を含んでもよく、CP(Continual Pilot)信号を含んでもよい。LLchデータは、低遅延チャネル(以下、LLch)に関するデータである。LLchは、周波数同期に用いられる参照信号(Lch: L channel)をデータ伝送にも活用する機能の名称である。
【0028】
BICM部103は、入力I/F101から出力されたデータビットに対して、BCH符号化処理、LDPC(Low Density Parity Check)符号化処理を実行する。BICM部103は、データビットのインタリーブを実行する。BICM部103は、データビットを各キャリアにマッピングする。BICM部103は、データキャリアシンボルを出力する。実施形態では、A階層に属するデータビットを処理するBICM部103A、B階層に属するデータビットを処理するBICM部103B、C階層に属するデータビットを処理するBICM部103Cが設けられる。
【0029】
時間IL部105は、時間方向において、BICM部103から出力されたデータキャリアシンボルのインタリーブを実行する。実施形態では、A階層に属するデータキャリアシンボルを処理する時間IL部105A、B階層に属するデータキャリアシンボルを処理する時間IL部105B、C階層に属するデータキャリアシンボルを処理する時間IL部105Cが設けられる。
【0030】
電力調整部107は、BICM部103から出力されたデータキャリアシンボルの電力を調整する。データキャリアシンボルの電力は、データキャリアシンボルの振幅と読み替えてもよい。例えば、電力調整部107は、A階層に属するデータキャリアシンボルを処理する電力調整部107A、B階層に属するデータキャリアシンボルを処理する電力調整部107B、C階層に属するデータキャリアシンボルを処理する電力調整部107Cを含んでもよい。但し、各階層に属するデータキャリアシンボルの電力が同じである場合には、1つの電力調整部107が設けられていればよい。
【0031】
階層合成部109は、電力調整部107から出力された各階層(A階層、B階層及びC階層)に属するデータキャリアシンボルを合成する。
【0032】
帯域分割部111は、階層合成部109によって合成されたデータキャリアシンボルを帯域毎に分割する。例えば、帯域分割部111は、部分受信帯域と非部分受信帯域とにデータキャリアシンボルを分割する。部分受信帯域は、A階層に属するデータキャリアシンボルを含む。部分受信帯域は、B階層に属するデータキャリアシンボルを含んでもよい。
【0033】
周波数IL部113は、周波数方向において、帯域分割部111から出力されたデータキャリアシンボルのインタリーブを実行するインタリーブ部を構成する。実施形態では、部分受信帯域のデータキャリアシンボルのインタリーブを実行する周波数IL部113X、非部分受信帯域のデータキャリアシンボルのインタリーブを実行する周波数IL部113Yが設けられる。
【0034】
帯域合成部115は、周波数IL部113から出力されたデータキャリアシンボル(すなわち、各階層に属するデータキャリアシンボル)を合成する。
【0035】
TMCCビット生成部121は、TMCC情報を構成するビット(以下、TMCCビット)を生成する。
【0036】
同期ビット生成部123は、伝送フレームの同期を取るための同期ビットを生成する。
【0037】
TMCC生成部125は、TMCCビット及び同期ビットに基づいてTMCCキャリアシンボルを生成する。例えば、TMCC生成部125は、TMCCビット及び同期ビットの変調を実行する。変調方式は、差動変調(例えば、DBPSK; Differential Binary Phase Shift Keying)であってもよい。変調後のTMCC情報は、TMCCキャリアシンボル又はTMCC信号と称されてもよい。
【0038】
電力調整部127は、TMCCキャリアシンボルの電力を調整する。TMCCキャリアシンボルの電力は、TMCCキャリアシンボルの振幅と読み替えてもよい。電力調整部127は、データキャリアシンボルの電力よりも大きくなるように、TMCCキャリアシンボルの電力を増幅してもよい。
【0039】
ここで、電力調整部127は、データキャリアシンボルに対するTMCCキャリアシンボルの増幅比として、部分受信帯域について第1増幅比を設定し、非部分受信帯域について第2増幅比を設定する。第1増幅比は、第2増幅比よりも大きくてもよい。増幅比の詳細については後述する(図4及び図5を参照)。
【0040】
パイロット生成部131は、パイロット信号を生成する。上述したように、パイロット信号は、SP信号を含んでもよく、CP信号を含んでもよい。部分受信帯域のパイロット信号のSP配置は、非部分受信帯域のパイロット信号のSP配置と同じであってもよく、非部分受信帯域のパイロット信号のSP配置と異なっていてもよい。
【0041】
電力調整部133は、パイロット信号の電力を調整する。パイロット信号の電力は、パイロット信号の振幅と読み替えてもよい。電力調整部133は、データキャリアシンボルの電力よりも大きくなるように、パイロット信号の電力を増幅してもよい。データキャリアシンボルに対するパイロット信号の増幅比はSPブースト比と称されてもよい。
【0042】
LLch生成部135は、LLchデータに基づいてLLchキャリアシンボルを生成する。例えば、LLch生成部135は、LLchデータの変調を実行する。変調方式は、差動変調(例えば、DBPSK)であってもよい。符号化及び変調後のLLchデータは、LLch信号又はLLchキャリアシンボルと称されてもよい。
【0043】
電力調整部137は、LLchキャリアシンボルの電力を調整する。LLchキャリアシンボルの電力は、LLchキャリアシンボルの振幅と読み替えてもよい。
【0044】
フレーム構成部141は、データキャリアシンボル、TMCCキャリアシンボル、LLchキャリアシンボル及びパイロット信号に基づいて伝送フレームを構成する。伝送フレームは、OFDMフレームと称されてもよい。
【0045】
IFFT部143は、フレーム構成部141から出力されたOFDMフレームにIFFTを適用する。
【0046】
GI付加部145は、IFFT部143から出力されたOFDMフレームにGIを付加する。
【0047】
送信部146は、OFDMフレームを送信する。例えば、送信部146は、ベースバンド信号のD/A(Digital/Analog)変換部、中間周波数(IF; Intermediate Frequency)を無線周波数(RF; Radio Frequency)に変換する周波数変換部などを含んでもよい。
【0048】
実施形態では、送信部146は、部分受信帯域及び非部分受信帯域において、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報(TMCC情報)に対応する伝送制御キャリアシンボル(TMCCキャリアシンボル)を含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を送信する送信部を構成する。
【0049】
実施形態では、電力調整部127は、伝送制御キャリアシンボル(TMCCキャリアシンボル)をデータキャリアシンボルに対して増幅する電力調整部を構成する。
【0050】
(受信装置)
以下において、実施形態に係る受信装置について説明する。図3は、実施形態に係る受信装置200を示すブロック図である。実施形態において、受信装置200は、部分受信を実行してもよい。具体的には、受信装置200は、A階層に属するデータの受信(すなわち、部分受信)を実行してもよい。
【0051】
図3に示すように、受信装置200は、受信部201と、FFT(Fast Fourier Transform)部203と、TMCC復調部205と、推定部209と、等化部211と、周波数DeIL(Deinterleave)部213と、階層分離部215と、LLch復調部217と、時間DeIL(Deinterleave)部219と、LLR算出部221と、LDPC復号部223と、BCH復号部225と、を有する。
【0052】
受信部201は、OFDMフレームを受信する。例えば、受信部201は、希望信号を受信するためのチューナ(バンドパスフィルタ)、RF信号をIF信号に変換する周波数変換部、IF信号のA/D(Analog/Digital)変換部などを含んでもよい。バンドパスフィルタは、非部分受信帯域を透過せずに、部分受信帯域のみを透過する狭帯域フィルタを含んでもよい。
【0053】
ここで、受信部201は、少なくとも部分受信帯域においてデータキャリアシンボルに対して第1増幅比で増幅されたTMCCキャリアシンボルを受信する。上述したように、第1増幅比は、非部分受信帯域においてTMCCキャリアシンボルをデータキャリアシンボルに対して増幅する第2増幅比とは別に設定される。
【0054】
FFT部203は、受信部201から出力される信号にFFTを適用する。FFT後の信号は、データキャリアシンボル、TMCCキャリアシンボル、LLchキャリアシンボル、パイロット信号を含む。
【0055】
TMCC復調部205は、TMCCキャリアシンボルを復調することによって、TMCC情報を構成するビットを生成する。TMCC情報は、上述したSPブースト比を示す情報要素を含んでもよい。
【0056】
推定部209は、パイロット信号及びSPブースト比に基づいて、2以上の特定階層に含まれる少なくとも1つの特定階層(例えば、A階層)に属するデータキャリアシンボルのチャネル応答を推定する。
【0057】
等化部211は、推定部209によって推定されたチャネル応答に基づいて、FFT部203から出力されるデータキャリアシンボルの等化処理を実行する。
【0058】
周波数DeIL部213は、周波数方向において、等化部211から出力されるデータキャリアシンボルのデインタリーブを実行する。
【0059】
階層分離部215は、周波数DeIL部213から出力されるデータキャリアシンボルから、A階層に属するデータキャリアシンボルを分離する。
【0060】
LLch復調部217は、LLchキャリアシンボルを復調することによって、LLchデータを構成するビットを生成する。
【0061】
時間DeIL部219は、時間方向において、データキャリアシンボルのデインタリーブを実行する。
【0062】
LLR算出部221は、時間DeIL部219から出力されるデータキャリアシンボルのLLR(Log-Likelihood Ratio)を算出する。
【0063】
LDPC復号部223は、LLR算出部221から出力されるLLRに基づいて、LDPC復号処理を実行する。
【0064】
BCH復号部225は、LDPC復号部223から出力されるデータビットに基づいて、BCH復号処理を実行する。
【0065】
実施形態では、受信部201は、1以上の階層に属するデータキャリアシンボル及び伝送制御情報(TMCC情報)に対応する伝送制御キャリアシンボル(TMCCキャリアシンボル)を含む伝送フレーム(OFDMフレーム)を受信する受信部を構成する。
【0066】
実施形態では、FFT部203、TMCC復調部205、推定部209及び等化部211は、データキャリアシンボル及び伝送制御キャリアシンボル(TMCCキャリアシンボル)を復調する復調部を構成する。
【0067】
(増幅比)
以下において、実施形態に係る増幅比について説明する。図4及び図5は、増幅比について説明するための図である。
【0068】
第1に、従来技術に関する増幅比について説明する。図4に示すように、従来技術では、データキャリアシンボルに対するTMCCキャリアシンボルの増幅比は、部分受信帯域及び非部分受信帯域によらずに一律である。すなわち、部分受信帯域及び非部分受信帯域によらずに、TMCCキャリアシンボルの振幅Xは、以下の式(1)で表される。
【0069】
X= A×Y…式(1)
【0070】
ここで、Aは、データキャリアシンボルに対するTMCCキャリアシンボルの増幅比である。Yは、データキャリアシンボルの平均電力に対応する振幅である。
【0071】
ここで、送信装置100の送信電力を無制限に増大させることはできないことが一般的であるため、送信装置100の送信信号の電力を一定に保つ必要がある。すなわち、TMCCキャリアシンボルの電力及びデータキャリアシンボルの電力の平均が1となるように、TMCCキャリアシンボルの電力及びデータキャリアシンボルの電力を正規化する必要がある。TMCCキャリアの数をNX、データキャリアの数をNYで表すと、以下に示す式(2)が満たされる必要がある。
【0072】
(NX×X2)+( NY×Y2)=(NX+NY)…式(2)
【0073】
ここで、式(2)に式(1)を代入すると、データキャリアシンボルの電力は、以下に示す式(3)で表すことができる。
【0074】
(NX×A2×Y2)+(NY×Y2)=(NX+NY)
⇒Y2=(NX+NY)/(NX×A2+NY)…式(3)
【0075】
従って、TMCC情報の伝送特性を向上させるために、増幅比Aとして大きな値を設定すると、データキャリアシンボルの電力が小さくなり、階層データの伝送特性が低下してしまう。言い換えると、TMCC情報の伝送特性を向上させるために、増幅比Aを無制限に大きくすることは好ましくない。
【0076】
第2に、実施形態に関する増幅比について説明する。図5に示すように、実施形態では、部分受信帯域に適用する第1増幅比は、非部分受信帯域に適用する第2増幅比と異なる。言い換えると、第1増幅比及び第2増幅比は別に設定される。
【0077】
例えば、部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅は、Xa= A1×Yで表されてもよい。A1は、部分受信帯域について設定される第1増幅比であり、Yは、部分受信帯域のデータキャリアシンボルの平均電力に対応する振幅である。
【0078】
非部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅は、Xb= A2×Yで表されてもよい。A2は、非部分受信帯域について設定される第2増幅比であり、Yは、非部分受信帯域のデータキャリアシンボルの平均電力に対応する振幅である。
【0079】
実施形態では、第1増幅比(A1)は、第2増幅比(A2)よりも大きいことが好ましい。すなわち、部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅(Xa)は、非部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅(Xb)よりも大きいことが好ましい。
【0080】
ここで、上述したように、増幅比(A1及びA2)は、階層データの伝送特性が許容範囲内となるように定めることが好ましい。例えば、従来技術のAが階層データの伝送特性が許容範囲内となるように定められる前提下において、A1は、Aよりも大きな値として設定され、A2は、Aよりも小さな値として設定されてもよい。このようなケースにおいて、部分受信帯域のTMCCキャリアの数がN1であり、非部分受信帯域のTMCCキャリアの数がN2である場合に、(A1 2×N1)+(A2 2×N2)=A2×(N1+N2)の関係が満たされるように、A1及びA2が設定されてもよい。
【0081】
(作用及び効果)
実施形態では、データキャリアシンボルに対するTMCCキャリアシンボルの増幅比として、部分受信帯域について第1増幅比が設定され、非部分受信帯域について第2増幅比が設定される。このような構成によれば、データキャリアシンボルに対するTMCCキャリアシンボルの増幅比を柔軟に設定することができるため、階層データ(データキャリアシンボル)の伝送特性の劣化を抑制しながら、TMCC情報(TMCCキャリアシンボル)の伝送特性を向上することができる。
【0082】
実施形態では、部分受信帯域に適用する第1増幅比が非部分受信帯域に適用する第2増幅比よりも大きくてもよい。このような構成によれば、部分受信のみを実行する受信装置200について、TMCC情報の伝送特性を向上することができる。一方で、部分受信帯域で送信されるTMCC情報が非部分受信帯域で送信されるTMCC情報と同じであるケースを想定すると、全部受信を実行する受信装置200についても、部分受信帯域で伝送されるTMCC情報の伝送特性が向上する。さらには、部分受信帯域と非部分受信帯域との間でダイバーシティ効果が得られるため、TMCC情報の伝送特性の更なる向上を期待することができる。
【0083】
[実験結果]
以下において、実験結果について説明する。実験(シミュレーション)では、比較例及び実施例に係る伝送特性について確認した。具体的には、部分受信帯域が9セグメントであり、非部分受信帯域が26セグメントであるケースにおいて、部分受信のみを実行する受信装置の伝送特性について確認した。シミュレーションの条件は以下に示す通りである。
【0084】
・TMCC情報の誤り訂正符号…差集合巡回符号(符号長273、情報ビット数191)の短縮符号(符号長204、情報ビット数122)
・比較例に係る増幅比:A=1.99
・実施例に係る部分受信帯域に設定する増幅比:A1=3.2
・実施例に係る非部分受信帯域に設定する増幅比:A2=1.33
【0085】
このようなケースにおいて、TMCCキャリアの総電力Pは以下に示す式(4)及び(5)で表すことができる。式(4)及び(5)に示すように、TMCCキャリアの総電力Pは同等である。
【0086】
比較例に係る総電力:P=(1.99×1.99)×9+(1.99×1.99)×26=138.69…式(4)
実施例に係る総電力:P=(3.2×3.2)×9+(1.33×1.33)×26=138.15…式(5)
【0087】
第1に、TMCC情報の伝送特性(FER; Frame Error Rate)について説明する。FERは、1ビットでも誤りが発生したOFDMフレーム数を総OFDMフレーム数で除算した値である。シミュレーション結果については、図6に示す通りである。
【0088】
図6に示すように、FER=1.E-04で比べると、比較例に係る所要C/Nが-6.4dBであるのに対して、実施例に係る所要C/Nが-10.6dBであることが確認された。すなわち、実施例に係る所要C/Nは、比較例に係る所要C/Nよりも低くてもよいことが確認され、TMCC情報の伝送特性が改善することが確認された。
【0089】
第2に、階層データの伝送特性(BER; Bit Error Rate)について説明する。TMCCキャリアに関する増幅比は上述した通りであり、データキャリアに関する条件は以下に示す通りである。シミュレーション結果については、図7に示す通りである。
【0090】
・変調方式…16QAM
・LDPC符号の符号化率…7/16
【0091】
図7に示すように、データキャリアのBERについては、比較例と実施例との間で有意な差異は確認されなかった。上述したように、実施例に係るTMCCキャリアの総電力が比較例に係るTMCCキャリアの総電力と変わらないため、データキャリアへの影響が抑制されているためであると考えられる。
【0092】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0093】
変更例1では、TMCC情報をTMCCキャリアに割り当てる方法について主として説明する。具体的には、TMCC情報は、TMCC情報に対応する2以上のTMCCキャリアを用いて伝送されてもよい。
【0094】
例えば、TMCC情報が244ビットであるケースについて考える。このようなケースにおいて、FFTサイズが16384である場合には、1つのOFDMフレーム(TMCCキャリア)に含まれるシンボルの数は112である。従って、TMCCキャリア毎に同一のTMCC情報を伝送することができない。
【0095】
従って、1つのセグメントに含まれる4つのTMCCキャリアを用いてTMCC情報が伝送されてもよい。例えば、244ビットのTMCC情報を2つの部分(122ビット)に分割し、各部分を差集合巡回符号(符号長204、情報ビット数122)でそれぞれ符号化する。符号化によって得られた2つの符号語(204ビット)をさらに2つの部分(102ビット)に分割し、102ビットの部分をTMCCキャリアに別に割り当てることによって、TMCC情報が4つのTMCCキャリアを用いて伝送されてもよい。
【0096】
このような構成によれば、TMCCキャリア毎に異なるTMCC情報を伝送することによって、TMCCキャリア間のダイバーシティ効果が得られない。しかしながら、実施形態で説明したように、TMCC情報の伝送特性が向上するため、TMCC情報を適切に伝送することができる。なお、セグメント毎に同一のTMCC情報が伝送されれば、セグメント間のダイバーシティ効果が得られる。
【0097】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0098】
変更例2では、部分受信帯域で送信されるTMCC情報は、非部分受信帯域で送信されるTMCC情報と同じであるケースについて説明する。TMCC情報は、時間方向において差動変調(例えば、DBPSK)によって変調される。
【0099】
第1に、送信装置100は、以下に示すようにTMCCビットの差動変調を実行する。
【0100】
【数1】
【0101】
なお、Stは複素数であり、実部が±Xであり、虚部が0である。
【0102】
第2に、受信装置200は、以下に示すようにTMCCキャリアシンボルの差動復調を実行する。
【0103】
【数2】
【0104】
ここで、R-tとR-t-1が同一の値となり、R-t=R-t-1=(u+iv)である場合に、Qtは以下のように表される。
【0105】
【数3】
【0106】
ここで、R-tとR-t-1の符号が反転しており、R-t=(u+iv)、R-t-1=(-u-iv)となる場合に、Qtは以下のように表される。
【0107】
【数4】
【0108】
実際の伝送路では、伝送路の歪みや雑音などの影響により、R-t及びR-t-1の値が異なるが、Qtの値が正である場合には、送信シンボルS-t及びS-t-1が同一の値であった可能性が高く、受信装置200は、差動符号化前のビットBt=0と判定する。一方で、Qtの値が負である場合に、送信シンボルS-tとS-t-1の符号が反転していた可能性が高く、受信装置200は、差動符号化前のビットBt=1と判定する。
【0109】
ここで、軟判定値Qtの算出では、受信シンボルRt及びRt-1の値のみが使用される。すなわち、TMCCキャリアシンボルの増幅比(上述したA1又はA2)が未知である場合であっても、受信装置200は、軟判定値Qtを算出することができる。
【0110】
また、受信シンボルRt,及びRt-1の電力が大きい場合には、軟判定値Qtの値も大きくなる。従って、TMCC情報が時間方向において差動変調によって変調されれば、受信電力(すなわち、増幅比)が異なっていても、同一のTMCC情報を伝送する2以上のTMCCキャリアを1つのTMCC伝送単位(例えば、セグメント)として、TMCC伝送単位の間でダイバーシティ効果を得ることができる。部分受信帯域と非部分受信帯域との間との間でもダイバーシティ効果を得ることができる。
【0111】
ここで、部分受信帯域に関する第1増幅比が非部分受信帯域に関する第2増幅比よりも大きければ、部分受信帯域に関する軟判定値Qtの影響は、非部分受信帯域に関する軟判定値Qtの影響よりも大きくなることに留意すべきである。
【0112】
このような観点からも、部分受信帯域に関する第1増幅比が非部分受信帯域に関する第2増幅比よりも大きいことによって、部分受信を実行する受信装置200についてTMCC情報の伝送特性が向上し、さらには、全部受信を実行する受信装置200についてもTMCC情報の伝送特性が向上する。
【0113】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0114】
変更例3では、各階層に属するデータキャリアシンボルの電力が異なるケースについて説明する。例えば、A階層に属するデータキャリアシンボルの電力は、B階層に属するデータキャリアシンボルの電力よりも大きくなるように調整されてもよい。
【0115】
変更例3では、説明簡略化のために、A階層及びB階層に属するデータキャリアシンボルが送信されるケースについて説明する。さらに、チャネルの全帯域が35セグメントで構成され、部分受信帯域が9セグメントで構成されるケースについて説明する。A階層に属するデータキャリアシンボルは、部分受信帯域に含まれる5セグメントで伝送され、B階層に属するデータキャリアシンボルは、部分受信帯域及び非部分受信帯域に含まれる30セグメントで伝送される。
【0116】
図8に示すように、周波数IL部113によるインタリーブ前においては、電力調整部107によってA階層及びB階層に属するデータキャリアシンボルの電力が調整される。例えば、B階層に属するデータキャリアシンボルの電力がDである場合に、A階層に属するデータキャリアシンボルの電力は、α×D(α≧1)で表されてもよい。すなわち、電力調整部107Aは、A階層に属するデータキャリアシンボルの電力をα×Dに調整し、電力調整部107Bは、A階層に属するデータキャリアシンボルの電力をDに調整する。
【0117】
一方で、図9に示すように、周波数IL部113によるインタリーブ後においては、部分受信帯域においてA階層及びB階層に属するデータキャリアシンボルのインタリーブが周波数方向において実行されるため、A階層及びB階層に属するデータキャリアシンボルが混在するため、部分受信帯域の平均電力(DAve)は、D≦DAve≦α×Dとなる。一方で、非部分受信帯域においては、B階層に属するデータキャリアシンボルのインタリーブが周波数方向において実行されるが、A階層及びB階層に属するデータキャリアシンボルが混在しないため、非部分受信帯域の平均電力はDとなる。
【0118】
このようなケースにおいて、部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅は、Xa= A1×DAveで表されてもよい。すなわち、実施形態で説明した”Y”に代えて”DAve”が用いられてもよい。
【0119】
なお、非部分受信帯域のTMCCキャリアの振幅は、Xb= A×Dで表されてもよい。すなわち、実施形態で説明した”Y”に代えて”D”が用いられてもよい。
【0120】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0121】
上述した開示では、受信装置200として、部分受信を実行する受信装置を例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。受信装置200は、全部受信を実行する受信装置であってもよい。
【0122】
上述した開示では特に触れていないが、A階層は、A0階層及びA1階層に分割されてもよい。このようなケースにおいて、A0階層に属するデータキャリアシンボルの電力は、A1階層に属するデータキャリアシンボルの電力と異なってもよい。部分受信帯域のデータキャリアシンボルの平均電力は、A0階層に属するデータキャリアの電力、A0階層に属するデータキャリアの数、A1階層に属するデータキャリアの電力及びA1階層に属するデータキャリアの数によって算出可能である。部分受信帯域のTMCCキャリアシンボルは、部分受信帯域のデータキャリアシンボルの平均電力に対して増幅される。
【0123】
上述した変更例1では、同一のTMCC情報が2以上のTMCCキャリアによって伝送されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した開示は、同一のTMCC情報が1つのTMCCキャリアによって伝送されるケースに適用されてもよい。このようなケースであっても、TMCC情報の伝送特性の向上を期待することができる。
【0124】
上述した開示では特に触れていないが、送信装置100及び受信装置200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0125】
或いは、送信装置100及び受信装置200が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0126】
10…デジタル無線伝送システム、100…送信装置、101…入力I/F、103…BICM部、105…時間IL部、107…電力調整部、109…階層合成部、111…帯域分割部、113…周波数IL部、115…帯域合成部、121…TMCCビット生成部、123…同期ビット生成部、125…TMCC生成部、127…電力調整部、131…パイロット生成部、133…電力調整部、135…LLch生成部、137…電力調整部、141…フレーム構成部、143…IFFT部、145…GI付加部、146…送信部、200…受信装置、201…受信部、203…FFT部、205…TMCC復調部、209…推定部、211…等化部、213…周波数DeIL部、215…階層分離部、217…LLch復調部、219…時間DeIL部、221…LLR算出部、223…LDPC復号部、225…BCH復号部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9