(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110697
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】加工方法及び切削装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240808BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240808BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240808BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01L21/304 622N
H01L21/304 631
H01L21/304 601Z
B24B27/06 M
B24B49/12
B24B7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015436
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 知佳
(72)【発明者】
【氏名】新井 紀生
(72)【発明者】
【氏名】原田 成規
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA05
3C034CB08
3C034DD10
3C043BA09
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C158AA03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA07
3C158BC01
3C158CA01
3C158CB01
5F057AA05
5F057BA19
5F057BA20
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB11
5F057BB12
5F057BC03
5F057BC06
5F057CA14
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5F057DA11
5F057DA14
5F057EC10
5F057EC20
5F057FA13
5F057FA22
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB11
(57)【要約】
【課題】被加工ウェーハの研削中の破損を抑制することができること。
【解決手段】加工方法は、貼り合わせウェーハのウェーハ側を保持テーブルで保持して被加工ウェーハを露出させる保持ステップ101と、保持テーブルで保持された貼り合わせウェーハを撮像ユニットで撮像し、貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域を検出する未貼着領域検出ステップ102と、検出した未貼着領域を被加工ウェーハの中央側から切り離す切断予定ラインを設定するとともに切断予定ラインを切削送り方向と平行に位置づけるための保持テーブルの向きを記憶する切断予定ライン設定ステップ103と、切断予定ラインをX軸方向と平行に位置づけ、切削ブレードで被加工ウェーハを切断予定ラインに沿って切削して分断し、未貼着領域を含む外側を切り離す分断溝230を形成する切り離しステップ104と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を含み該保持面の中央を通る回転軸周りに回転自在な保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物を切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有した切削ユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して切削送り方向に相対移動させる切削送りユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して該切削送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる割り出し送りユニットと、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、を備えた切削装置でウェーハ上に被加工ウェーハが積層された貼り合わせウェーハを加工する加工方法であって、
貼り合わせウェーハの該ウェーハ側を該保持テーブルで保持して該被加工ウェーハを露出させる保持ステップと、
該保持テーブルで保持された該貼り合わせウェーハを撮像ユニットで撮像し、該貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域を検出する未貼着領域検出ステップと、
検出した該未貼着領域を被加工ウェーハの中央側から切り離す切断予定ラインを設定するとともに該切断予定ラインを該切削送り方向と平行に位置づけるための該保持テーブルの向きを記憶する切断予定ライン設定ステップと、
該切断予定ライン設定ステップを実施した後、該切断予定ラインを該切削送り方向と平行に位置づけ、該切削ブレードで該貼り合わせウェーハの該被加工ウェーハを該切断予定ラインに沿って切削して分断し、該未貼着領域を含む外側を切り離す分断溝を形成する切り離しステップと、を備えた加工方法。
【請求項2】
該切り離しステップを実施した後、貼り合わせウェーハの該被加工ウェーハを研削砥石で研削し所定の厚みへと薄化する研削ステップと、を備えた請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
ウェーハ上に被加工ウェーハが積層された貼り合わせウェーハを保持する保持面を含み該保持面の中央を通る回転軸周りに回転自在な保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された貼り合わせウェーハを切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有した切削ユニットと、
該保持テーブルを該切削ユニットに対して切削送り方向に相対移動させる切削送りユニットと、
該保持テーブルを該切削ユニットに対して該切削送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる割り出し送りユニットと、
該保持テーブルで保持された貼り合わせウェーハを撮像する撮像ユニットと、
各構成要素を制御するコントローラとを備えた切削装置であって、
該コントローラは、
該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域よりも中央側に位置しかつ直線状に延在した切断予定ラインの位置を記憶する記憶部と、
該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハの該記憶部に記憶された切断予定ラインを各構成要素に切断させる切断制御部と、を備えたことを特徴とする切削装置。
【請求項4】
該コントローラは、
該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハを該撮像ユニットが撮像して得た画像から該貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域を検出する検出部と、
該検出部が検出した該未貼着領域を被加工ウェーハの中央側から切り離すための該切断予定ラインを設定し、記憶部に設定した該切断予定ラインの位置を記憶する設定部と、
を備えた請求項3に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置でウェーハ上に被加工ウェーハが積層された貼り合わせウェーハを加工する加工方法及び切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハの裏面研削に際して、表面を保護する目的や、研削中及び研削して薄化した後のハンドリングを容易にするためにウェーハの表面側にキャリアウェーハを貼着する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、SOI(Silicon-On-Insulator Wafer)ウェーハのようにウェーハを積層して貼り合わせウェーハを形成する場合もある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、複数のウェーハを接着して積層するWoW(Wafer on Wafer)と呼ばれる貼り合わせウェーハを形成する場合もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-149877号公報
【特許文献2】特開2017-4989号公報
【特許文献3】特開2021-190642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した貼り合わせウェーハは、ウェーハ同士の貼り合わせが不十分で未貼着領域(即ち気泡)が形成されていることがある。
【0007】
未貼着領域が貼り合わせウェーハの外周部に存在していると、被加工ウェーハの研削の際に未貼着領域を起点に被加工ウェーハの一部が剥離して、被加工ウェーハが割れてしまうことがある。剥離する範囲は制御できず、また、剥離せずに残った被加工ウェーハにもクラック等が伸展してしまうおそれもある。
【0008】
研削中に剥離したりクラックが形成された領域のデバイスは製品化できないため、ウェーハ毎のデバイスの取り数が大幅に低減するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、被加工ウェーハの研削中の破損を抑制することができる加工方法及び切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工方法は、被加工物を保持する保持面を含み該保持面の中央を通る回転軸周りに回転自在な保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物を切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有した切削ユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して切削送り方向に相対移動させる切削送りユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して該切削送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる割り出し送りユニットと、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、を備えた切削装置でウェーハ上に被加工ウェーハが積層された貼り合わせウェーハを加工する加工方法であって、貼り合わせウェーハの該ウェーハ側を該保持テーブルで保持して該被加工ウェーハを露出させる保持ステップと、該保持テーブルで保持された該貼り合わせウェーハを撮像ユニットで撮像し、該貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域を検出する未貼着領域検出ステップと、検出した該未貼着領域を被加工ウェーハの中央側から切り離す切断予定ラインを設定するとともに該切断予定ラインを該切削送り方向と平行に位置づけるための該保持テーブルの向きを記憶する切断予定ライン設定ステップと、該切断予定ライン設定ステップを実施した後、該切断予定ラインを該切削送り方向と平行に位置づけ、該切削ブレードで該貼り合わせウェーハの該被加工ウェーハを該切断予定ラインに沿って切削して分断し、該未貼着領域を含む外側を切り離す分断溝を形成する切り離しステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記加工方法では、該切り離しステップを実施した後、貼り合わせウェーハの該被加工ウェーハを研削砥石で研削し所定の厚みへと薄化する研削ステップと、を備えても良い。
【0012】
本発明の切削装置は、ウェーハ上に被加工ウェーハが積層された貼り合わせウェーハを保持する保持面を含み該保持面の中央を通る回転軸周りに回転自在な保持テーブルと、該保持テーブルで保持された貼り合わせウェーハを切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有した切削ユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して切削送り方向に相対移動させる切削送りユニットと、該保持テーブルを該切削ユニットに対して該切削送り方向に直交する割り出し送り方向に相対移動させる割り出し送りユニットと、該保持テーブルで保持された貼り合わせウェーハを撮像する撮像ユニットと、各構成要素を制御するコントローラとを備えた切削装置であって、該コントローラは、該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域よりも中央側に位置しかつ直線状に延在した切断予定ラインの位置を記憶する記憶部と、該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハの該記憶部に記憶された切断予定ラインを各構成要素に切断させる切断制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記切削装置では、該コントローラは、該保持テーブルの該保持面に保持した貼り合わせウェーハを該撮像ユニットが撮像して得た画像から該貼り合わせウェーハの外周部の未貼着領域を検出する検出部と、該検出部が検出した該未貼着領域を被加工ウェーハの中央側から切り離すための該切断予定ラインを設定し、記憶部に設定した該切断予定ラインの位置を記憶する設定部と、を備えても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、被加工ウェーハの研削中の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された切削装置の加工対象の貼り合わせウェーハの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された貼り合わせウェーハの未貼着領域を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された貼り合わせウェーハの他の例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示された加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示された加工方法の未貼着領域検出ステップを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示された加工方法の切断予定ライン設定ステップの切断予定ラインを設定する状態を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図5に示された加工方法の切断予定ライン設定ステップの他の切断予定ラインを設定する状態を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図5に示された加工方法の切り離しステップを模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図5に示された加工方法の切り離しステップ後の貼り合わせウェーハを模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、
図5に示された加工方法の研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された切削装置の加工対象の貼り合わせウェーハの一例を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示された貼り合わせウェーハの未貼着領域を模式的に示す平面図である。
図4は、
図2に示された貼り合わせウェーハの他の例を模式的に示す斜視図である。
【0018】
(貼り合わせウェーハ)
実施形態1に係る
図1に示す切削装置1は、
図2等に示された被加工物である貼り合わせウェーハ200を保持テーブル10で保持し、貼り合わせウェーハ200を切削加工する加工装置である。
図1に示された切削装置1の加工対象の貼り合わせウェーハ200は、
図2に示すように、ウェーハ201上に被加工ウェーハ202が積層されて、ウェーハ201に被加工ウェーハ202が貼り合わされて構成されている。
【0019】
図2に示す例では、ウェーハ201は、厚みが一定のガラスにより構成され、円板状に形成されている。なお、
図2に示す例では、ウェーハ201は、ガラスにより構成されているが、本発明では、シリコン等により構成されても良い。
【0020】
被加工ウェーハ202は、シリコン、LT(タンタル酸リチウム:LiTaO3)、LN(ニオブ酸リチウム:LiNbO3)、サファイア、GaN(窒化ガリウム)等を基板203とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。なお、本発明では、被加工ウェーハ202の基板203を構成する材質は、シリコン、LT、LN、サファイア、GaNに限定されない。
【0021】
被加工ウェーハ202は、表面204に互いに交差する分割予定ライン205が複数設定され、分割予定ライン205によって区画された領域にデバイス206が形成されている。デバイス206は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、又は各種のメモリ(半導体記憶装置)である。
【0022】
実施形態1において、被加工ウェーハ202の外径が、ウェーハ201の外径と等しい。実施形態1では、被加工ウェーハ202は、基板203がシリコンにより構成されている。また、実施形態1では、被加工ウェーハ202は、基板203の結晶方位を示すノッチ207が外縁に形成されている。
【0023】
実施形態1において、貼り合わせウェーハ200は、仮接着材を介して、ウェーハ201に被加工ウェーハ202の表面204を貼り合わされて構成されているが、本発明では、ウェーハ201に被加工ウェーハ202の表面204を直接接合して構成されても良い。
【0024】
貼り合わせウェーハ200は、ウェーハ201に被加工ウェーハ202の表面204を貼り合わされて構成されているために、
図3に示すように、これらのウェーハ201,202間に未貼着領域210が発生することがある。未貼着領域210は、ウェーハ201,202間のこれらが互いに貼り合わされていない領域であって、実施形態1では、ウェーハ201,202間の気泡である。
【0025】
また、貼り合わせウェーハ200は、
図4に示すように、ウェーハ201がシリコンにより構成され、被加工ウェーハ202の基板203がLTにより構成されてもよい。なお、
図4に示された被加工ウェーハ202は、表面204にデバイスが形成されても良く、デバイスが形成されていなくても良い。また、
図4に示された被加工ウェーハ202は、基板203の結晶方位を示すオリエンテーションフラット208が外縁に形成されている。
【0026】
(切削装置)
次に、切削装置1を説明する。実施形態1において、切削装置1は、被加工ウェーハ202を保持テーブル10で保持し切削ブレード21で切削加工する加工装置である。切削装置1は、
図1に示すように、被加工ウェーハ202を保持する保持面11を含む保持テーブル10と、保持テーブル10で保持された貼り合わせウェーハ200を切削加工する切削ブレード21が装着されるスピンドル23を有した切削ユニット20と、保持テーブル10で保持された貼り合わせウェーハ200を撮像する撮像ユニット30と、コントローラである制御ユニット50とを備える。
【0027】
また、切削装置1は、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット40とを備える。移動ユニット40は、保持テーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする切削送りユニット41と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニット42と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニット43と、保持テーブル10をZ軸方向と平行でかつ保持面11の中心を通る回転軸12周りに回転する回転移動ユニット44とを少なくとも備える。即ち、移動ユニット40は、保持テーブル10と切削ユニット20とをX軸方向とY軸方向とZ軸方向と回転軸12周りとに相対的に移動させる。
【0028】
切削送りユニット41は、保持テーブル10及び回転移動ユニット44を切削送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持テーブル10を切削ユニット20に対してX軸方向に相対移動させるものである。割り出し送りユニット42は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持テーブル10を切削ユニット20に対してY軸方向に相対移動させるものである。
【0029】
切り込み送りユニット43は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、保持テーブル10を切削ユニット20に対してZ軸方向に相対移動させるものである。回転移動ユニット44は、切削送りユニット41に支持され、保持テーブル10を支持して、保持テーブル10とともにX軸方向に移動自在に配設されている。回転移動ユニット44は、保持テーブル10をZ軸方向と平行な回転軸12周りに回転する。
【0030】
切削送りユニット41、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。また、回転移動ユニット44は、保持テーブル10を回転軸12周りに回転するモータを備える。
【0031】
保持テーブル10は、円盤形状であり、貼り合わせウェーハ200を保持する水平方向に沿って平坦な保持面11がポーラスセラミック等の多孔質材から形成されている。また、保持テーブル10は、切削送りユニット41により切削ユニット20の下方の加工領域と、切削ユニット20の下方から離間して貼り合わせウェーハ200が搬入出される搬入出領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられている。保持テーブル10は、回転移動ユニット44によりZ軸方向と平行な回転軸12周りに回転自在に設けられている。このために、保持テーブル10は、回転軸12周りに回転自在である。
【0032】
保持テーブル10は、保持面11が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源より吸引されることで、保持面11に載置された貼り合わせウェーハ200を吸引保持する。実施形態1では、保持テーブル10は、貼り合わせウェーハ200のウェーハ201を保持面11に吸引保持する。
【0033】
切削ユニット20は、切削ブレード21がスピンドル23に装着され、保持テーブル10に保持された被加工ウェーハ202を切削加工する加工ユニットである。切削ユニット20は、保持テーブル10に保持された貼り合わせウェーハ200に対して、割り出し送りユニット42によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、切り込み送りユニット43によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、
図1に示すように、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43により、保持テーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0034】
切削ユニット20は、切削ブレード21と、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転可能に設けられ先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、スピンドル23を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータと、切削ブレード21に切削水を供給する切削水供給ノズル24とを備える。
【0035】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。切削ブレード21は、スピンドル23の先端に固定される。実施形態1において、切削ブレード21は、円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設されて被加工ウェーハ202を切削する円環状の切り刃とを備える所謂ハブブレードである。切り刃は、SiC、アルミナ、ダイヤモンド又はCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等の砥粒を固定するボンド(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。なお、切削ユニット20の切削ブレード21及びスピンドル23の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0036】
撮像ユニット30は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削加工前の貼り合わせウェーハ200を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子であり、実施形態1では、可視光線又は赤外線を受光して、貼り合わせウェーハ200を撮像する。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された貼り合わせウェーハ200を撮像して、画像を得、得た画像を制御ユニット50に出力する。なお、実施形態1では、撮像ユニット30が撮像して得た画像は、各画素の輝度が複数段階の階調(例えば256階調)で規定されたグレースケール画像である。また、実施形態1では、撮像ユニット30が撮像して得た画像では、未貼着領域210と、ウェーハ201,202同士が貼着した領域とでは、輝度が大きく異なる。
【0037】
また、切削装置1は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットと、保持テーブル10の回転軸12周りの角度を検出する角度検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル10のX軸方向、切削ユニット20の切り刃の下端のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット50に出力する。回転角度検出ユニットは、検出した保持テーブル10の向きである回転軸12周りの角度を制御ユニット50に出力する。
【0038】
なお、実施形態1では、切削装置1の保持テーブル10及び切削ユニット20のX軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置に基づいて(実施形態1では、基準位置からのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の距離で)定められる。また、実施形態1では、保持テーブル10の回転軸12周りの角度は、予め定められた図示しない基準位置からの角度で定められる。
【0039】
制御ユニット50は、切削装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、貼り合わせウェーハ200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット50は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット50の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。
【0040】
また、切削装置1は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット60と、オペレータが加工条件などを登録する際に用いる入力ユニット70とを備えている。表示ユニット60及び入力ユニット70は、制御ユニット50に接続している。入力ユニット70は、表示ユニット60に設けられたタッチパネル等により構成される。
【0041】
また、制御ユニット50は、
図1に示すように、記憶部51と、切断制御部52とを備える。記憶部51は、保持テーブル10の保持面11に保持した貼り合わせウェーハ200の外周部の未貼着領域210よりも中央側に位置しかつ直線状に延在した切断予定ライン220(
図3に破線で示す)の位置を記憶するものである。なお、外周部の未貼着領域210とは、未貼着領域210のうち被加工ウェーハ202の外縁に至る未貼着領域210(以下、符号211で記す)である。
【0042】
切断予定ライン220は、貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を未貼着領域211を含む切断予定ライン220よりも外周側の領域212と、未貼着領域211を含まない切断予定ライン220よりも中央側の領域213とに区切るものである。切断予定ライン220の位置とは、切断予定ライン220がX軸方向と平行になる保持テーブル10の回転軸12周りの角度と、切断予定ライン220の保持テーブル10の保持面11の基準点(実施形態1では、中心)からの距離である。
【0043】
切断制御部52は、保持テーブル10の保持面11に保持した貼り合わせウェーハ200の記憶部51に記憶された切断予定ライン220を、切削装置1の各構成要素に切断させるものである。切断制御部52は、切削装置1の各構成要素を制御して、記憶部51に記憶した切断予定ライン220の位置に基づいて、各切断予定ライン220に沿って貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を切削加工させて、被加工ウェーハ202を領域212,213に分断させるものである。
【0044】
なお、記憶部51の機能は、前述した記憶装置により実現される。切断制御部52の機能は、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力することにより実現される。
【0045】
(加工方法)
次に、実施形態1に係る加工方法を図面に基づいて説明する。
図5は、実施形態1に係る加工方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る加工方法は、前述した構成の切削装置1で貼り合わせウェーハ200を切削加工する方法でもある。加工方法は、
図5に示すように、保持ステップ101と、未貼着領域検出ステップ102と、切断予定ライン設定ステップ103と、切り離しステップ104と、研削ステップ105とを備える。
【0046】
(保持ステップ)
図6は、
図5に示された加工方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。保持ステップ101は、貼り合わせウェーハ200のウェーハ201側を保持テーブル10で保持して被加工ウェーハ202を露出させるステップである。
【0047】
実施形態1において、保持ステップ101では、切削装置1は、搬入出領域に位置付けられた保持テーブル10の保持面11に貼り合わせウェーハ200のウェーハ201側が載置される。実施形態1において、保持ステップ101では、切削装置1は、オペレータにより加工条件が制御ユニット50に登録され、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると、
図6に示すように、保持テーブル10の保持面11に貼り合わせウェーハ200のウェーハ201を吸引保持して、被加工ウェーハ202のウェーハ201を露出させる。
【0048】
(未貼着領域検出ステップ)
図7は、
図5に示された加工方法の未貼着領域検出ステップを模式的に示す断面図である。未貼着領域検出ステップ102は、保持テーブル10で保持された貼り合わせウェーハ200を撮像ユニット30で撮像し、貼り合わせウェーハ200の外周部の未貼着領域211を検出するステップである。
【0049】
実施形態1において、未貼着領域検出ステップ102では、切削装置1は、切削送りユニット41及び割り出し送りユニット42に保持テーブル10と切削ユニット20とを移動させて、
図7に示すように、撮像ユニット30で保持テーブル10上の貼り合わせウェーハ200を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット50が表示ユニット60に表示する。このように、実施形態1において、未貼着領域検出ステップ102では、撮像ユニット30が撮像して得た画像を表示ユニット60に表示することで、オペレータに未貼着領域211を検出させる。
【0050】
(切断予定ライン設定ステップ)
図8は、
図5に示された加工方法の切断予定ライン設定ステップの切断予定ラインを設定する状態を模式的に示す平面図である。
図9は、
図5に示された加工方法の切断予定ライン設定ステップの他の切断予定ラインを設定する状態を模式的に示す平面図である。
【0051】
切断予定ライン設定ステップ103は、検出した未貼着領域211をウェーハ201の中央側から切り離す切断予定ライン220を設定するとともに切断予定ライン220をX軸方向と平行に位置づけるための保持テーブル10の回転軸12周りの角度と、保持テーブル10の保持面11の基準点(実施形態1では、中心)からの距離(実施形態1では、Y軸方向の距離)を記憶するステップである。実施形態1において、切断予定ライン設定ステップ103では、オペレータが表示ユニット60に表示された貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202の画像を確認しながら入力ユニット70を操作して未貼着領域211よりも被加工ウェーハ202の中央側を通る切断予定ライン220の両端221,222を特定するとともに、
図8及び
図9に示すように、切断予定ライン220をX軸方向と平行に位置付ける。
【0052】
実施形態1において、切断予定ライン設定ステップ103では、オペレータが表示ユニット60に表示された貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202の画像を確認して切断予定ライン220が未貼着領域211よりも貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202の中央側を通過することを確認すると、入力ユニット70を操作して、確認した切断予定ライン220の位置を記憶部51に記憶させる。実施形態1において、切断予定ライン設定ステップ103では、各未貼着領域211よりも中央側を通る切断予定ライン220の位置を順に記憶部51に記憶して、全ての未貼着領域211よりも中央側を通る切断予定ライン220の位置を記憶部51に記憶する。なお、実施形態1において、切断予定ライン設定ステップ103では、オペレータが未貼着領域210のうち外縁に至る未貼着領域211が存在しないと判定した場合には、入力ユニット等を操作して、保持テーブル10を搬入出領域まで移動させて、搬入出領域において保持テーブル10の貼り合わせウェーハ200の吸引保持を停止して、切り離しステップ104を実施することなく、研削ステップ105に進む。
【0053】
(切り離しステップ)
図10は、
図5に示された加工方法の切り離しステップを模式的に示す断面図である。
図11は、
図5に示された加工方法の切り離しステップ後の貼り合わせウェーハを模式的に示す平面図である。
【0054】
切り離しステップ104は、切断予定ライン設定ステップ103を実施した後、切断予定ライン220をX軸方向と平行に位置づけ、切削ブレード21で貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を切断予定ライン220に沿って切削して分断し、未貼着領域211を含む切断予定ライン220よりも外周側の領域212を切断予定ライン220よりも中央側の領域213から切り離す分断溝230を形成するステップである。
【0055】
実施形態1において、切り離しステップ104では、切削装置1は、オペレータから切り離しステップ104の開始指示を受け付けると、制御ユニット50の切断制御部52が記憶部51に記憶された一つの切断予定ライン220の位置を読み出して、読み出した切断予定ライン220をX軸方向と平行に位置付ける。実施形態1において、切り離しステップ104では、切削装置1は、
図10に示すように、制御ユニット50の切断制御部52が、移動ユニット40を制御して保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させて、記憶していた切断予定ライン220の保持テーブル10の保持面11の基準点(実施形態1では、中心)からの距離に基づいて、スピンドル23により軸心回りに回転した切削ブレード21をウェーハ201に到達するまで被加工ウェーハ202に切り込ませる。
【0056】
切り離しステップ104では、切削装置1は、切削ブレード21が切断予定ライン220の全長に亘って被加工ウェーハ202を切削加工する。すると、
図11に示すように、被加工ウェーハ202を領域212と領域213とに分断する分断溝230が、被加工ウェーハ202に形成される。実施形態1において、切り離しステップ104では、切削装置1は、制御ユニット50の切断制御部52が各切断予定ライン220に切削ブレード21を切り込ませて、各切断予定ライン220に順に分断溝230を形成する。実施形態1において、切り離しステップ104では、切削装置1は、制御ユニット50の切断制御部52が全ての切断予定ライン220に切削ブレード21を切り込ませて、全ての切断予定ライン220に順に分断溝230を形成する。
【0057】
実施形態1において、切り離しステップ104では、切削装置1は、全ての切断予定ライン220に分断溝230を形成すると、保持テーブル10を搬入出領域まで移動させて、搬入出領域において保持テーブル10の貼り合わせウェーハ200の吸引保持を停止する。
【0058】
(研削ステップ)
図12は、
図5に示された加工方法の研削ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。研削ステップ105は、切り離しステップ104を実施した後、貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を研削砥石95で研削し所定の厚みへと薄化するステップである。
【0059】
実施形態1において、研削ステップ105では、研削装置90が貼り合わせウェーハ200のウェーハ201をチャックテーブル91の保持面92に吸引保持する。実施形態1において、研削ステップ105では、
図12に示すように、研削装置90がスピンドル93により研削ホイール94を軸心回りに回転しかつチャックテーブル91を軸心回りに回転して、研削ホイール94の研削砥石95を貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202に当接させてチャックテーブル91に所定の送り速度で近づけて、研削砥石95で被加工ウェーハ202を研削する。
【0060】
実施形態1において、研削ステップ105では、研削装置90が貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202の厚みが所定の厚みになるまで、被加工ウェーハ202を研削する。実施形態1において、研削ステップ105では、研削装置90が貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を研削する際には、研削砥石95が未貼着領域211を含む領域212に衝突するなどして、未貼着領域211を含む領域212がウェーハ201から剥離しても、領域212,213間に被加工ウェーハ202を分断する分断溝230が形成されているので、分断溝230よりも中央側の領域213に力が作用することを抑制できる。
【0061】
このために、実施形態1において、研削ステップ105では、研削砥石95が未貼着領域211を含む領域212に衝突するなどして、未貼着領域211を含む領域212がウェーハ201から剥離しても、被加工ウェーハ202の分断溝230よりも中央側の領域213が割れたり、被加工ウェーハ202の分断溝230よりも中央側の領域213にクラックが生じることを抑制できる。実施形態1において、研削ステップ105では、研削装置90が貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202の厚みが所定の厚みになると、研削ホイール94を貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202から遠ざけて、実施形態1に係る加工方法を終了する。
【0062】
以上説明したように、実施形態1に係る加工方法は、貼り合わせウェーハ200の外周部の未貼着領域211を検出し、検出した未貼着領域211を被加工ウェーハ202の中央側の領域213から区切る切断予定ライン220を設定し、設定した切断予定ライン220に沿って被加工ウェーハ202を分断する分断溝230を形成する。
【0063】
このために、実施形態1に係る加工方法は、研削ステップ105において被加工ウェーハ202の未貼着領域211を含む領域212がウェーハ201から剥離したとしても分断溝230よりも被加工ウェーハ202の中央側の領域213に剥離が至ることが防止できる。
【0064】
その結果、実施形態1に係る加工方法は、被加工ウェーハ202の研削中の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0065】
また、実施形態1に係る切削装置1は、未貼着領域211を被加工ウェーハ202の中央側の領域213から区切る切断予定ライン220の位置を記憶部51に記憶し、記憶した切断予定ライン220に沿って被加工ウェーハ202を分断する分断溝230を形成するので、領域212がウェーハ201から剥離したとしても分断溝230よりも被加工ウェーハ202の中央側の領域213に剥離が至ることが防止でき、被加工ウェーハ202の研削中の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0066】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る切削装置を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態2に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態2に係る切削装置1は、
図13に示すように、制御ユニット50が、検出部53と、設定部54とを備える。検出部53は、保持テーブル10の保持面11に保持した貼り合わせウェーハ200を撮像ユニット30が撮像して得た画像から貼り合わせウェーハ200の外周部の未貼着領域211を検出するものである。設定部54は、検出部53が検出した未貼着領域211を被加工ウェーハ202の中央側の領域213から切り離すための切断予定ライン220を設定し、記憶部51に設定した切断予定ライン220の位置を記憶するものである。
【0068】
なお、検出部53及び設定部54の機能は、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0069】
実施形態2に係る加工方法は、実施形態1と同様に、保持ステップ101と、未貼着領域検出ステップ102と、切断予定ライン設定ステップ103と、切り離しステップ104と、研削ステップ105とを備える。
【0070】
実施形態2に係る加工方法の保持ステップ101では、実施形態1と同様に、切削装置1が、貼り合わせウェーハ200のウェーハ201側を保持テーブル10で保持して被加工ウェーハ202を露出させる。
【0071】
実施形態2に係る加工方法の未貼着領域検出ステップ102では、実施形態1と同様に、切削装置1が、切削送りユニット41及び割り出し送りユニット42に保持テーブル10と切削ユニット20とを移動させて、撮像ユニット30で保持テーブル10上の貼り合わせウェーハ200を撮像する。実施形態2に係る加工方法の未貼着領域検出ステップ102では、切削装置1は、制御ユニット50が撮像ユニット30が撮像して得た画像を取得する。
【0072】
実施形態2に係る加工方法の未貼着領域検出ステップ102では、切削装置1は、制御ユニット50の検出部53が撮像ユニット30が撮像して得た画像から未貼着領域210を検出する。なお、実施形態2において、未貼着領域210を検出する際には、制御ユニット50の検出部53が、撮像ユニット30が撮像して得た画像を所定のしきい値で二値化処理等を施して、未貼着領域210を検出する。
【0073】
実施形態2に係る加工方法の未貼着領域検出ステップ102では、切削装置1は、制御ユニット50の検出部53が未貼着領域210から外縁に至る未貼着領域211を検出する。なお、実施形態2において、未貼着領域検出ステップ102では、検出部53が未貼着領域210のうち外縁に至る未貼着領域211が存在しないと判定した場合には、保持テーブル10を搬入出領域まで移動させて、搬入出領域において保持テーブル10の貼り合わせウェーハ200の吸引保持を停止して、切断予定ライン設定ステップ103及び切り離しステップ104を実施することなく、研削ステップ105に進む。
【0074】
実施形態2に係る加工方法の切断予定ライン設定ステップ103では、切削装置1は、制御ユニット50の設定部54が未貼着領域検出ステップ102において検出部53が検出した各未貼着領域211に対して切断予定ライン220を設定し、設定した切断予定ライン220の位置を記憶部51に記憶する。実施形態2に係る加工方法の切断予定ライン設定ステップ103では、各切断予定ライン220を設定する際には、例えば、まず、切削装置1は、制御ユニット50の設定部54が、未貼着領域211よりも中央側に互いに異なる位置の切断予定ライン220を複数設定する。
【0075】
実施形態2に係る加工方法の切断予定ライン設定ステップ103では、各切断予定ライン220を設定する際には、切削装置1は、制御ユニット50の設定部54が、各設定した切断予定ライン220よりも外周側の未貼着領域211を含む領域212の面積を算出して、最小の面積となる領域212を選択する。実施形態2に係る加工方法の切断予定ライン設定ステップ103では、各切断予定ライン220を設定する際には、切削装置1は、制御ユニット50の設定部54が、選択された最小の面積となる領域212の中央側の切断予定ライン220の位置を検出し、検出した切断予定ライン220の位置を記憶部51に記憶する。
【0076】
実施形態2に係る加工方法の切り離しステップ104では、実施形態1と同様に、切削装置1が、貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を記憶部51に位置を記憶した切断予定ライン220に沿って切削加工して、被加工ウェーハ202を分断する分断溝230を形成する。
【0077】
実施形態2に係る加工方法の研削ステップ105では、実施形態1と同様に、研削装置90が、貼り合わせウェーハ200の被加工ウェーハ202を所定の厚みへと薄化する。
【0078】
実施形態2に係る加工方法及び切削装置1は、実施形態1と同様に、貼り合わせウェーハ200の外周部の未貼着領域211を検出し、検出した未貼着領域211を被加工ウェーハ202の中央側の領域213から区切る切断予定ライン220を設定し、設定した切断予定ライン220に沿って被加工ウェーハ202を分断する分断溝230を形成するので、研削ステップ105において領域212がウェーハ201から剥離したとしても分断溝230よりも被加工ウェーハ202の中央側の領域213に剥離が至ることが防止でき、被加工ウェーハ202の研削中の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0079】
また、実施形態2に係る切削装置1は、制御ユニット50が未貼着領域211を検出する検出部53と、切断予定ライン220を設定する設定部54を備えているので、オペレータに習熟度に関わらずに未貼着領域211を含む領域212よりも中央側に切断予定ライン220を設定することができる。
【0080】
また、実施形態2に係る切削装置1は、制御ユニット50が未貼着領域211を検出する検出部53と、切断予定ライン220を設定する設定部54を備えているので、オペレータに習熟度に関わらずに領域212の面積が最小となる切断予定ライン220を設定することができる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 切削装置
10 保持テーブル
11 保持面
12 回転軸
20 切削ユニット
21 切削ブレード
23 スピンドル
30 撮像ユニット
41 切削送りユニット
42 割り出し送りユニット
50 制御ユニット(コントローラ)
51 記憶部
52 切断制御部
53 検出部
54 設定部
95 研削砥石
101 保持ステップ
102 未貼着領域検出ステップ
103 切断予定ライン設定ステップ
104 切り離しステップ
105 研削ステップ
200 貼り合わせウェーハ(被加工物)
201 ウェーハ
202 被加工ウェーハ
211 未貼着領域
220 切断予定ライン
230 分断溝
X 切削送り方向
Y 割り出し送り方向