(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110780
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】被加工物の加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240808BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240808BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01L21/78 P
H01L21/78 W
H01L21/78 X
H01L21/68 N
H01L21/304 643A
B24B27/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015573
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 金艶
(72)【発明者】
【氏名】原田 成規
【テーマコード(参考)】
3C158
5F063
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
3C158AA03
3C158CA01
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3C158DA17
5F063AA05
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5F157DA43
(57)【要約】
【課題】被加工物を分割してシートに保持された複数のチップの洗浄時のチップ飛びを防止すること。
【解決手段】加工方法1000は、シートの第1面に保持された被加工物を複数のチップに分割する分割ステップ1100と、分割ステップ1100の後に、シートまたは被加工物の少なくともいずれかを加熱して、シートを軟化させ、複数のチップにシートを密着させる密着ステップ1200と、密着ステップ1200の実施後に、被加工物を洗浄する洗浄ステップ1300と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの第1面に保持された被加工物を複数のチップに分割する分割ステップと、
該分割ステップの後に、該シートまたは該被加工物の少なくともいずれかを加熱して、該シートを軟化させ、複数の該チップに該シートを密着させる密着ステップと、
該密着ステップの実施後に、該被加工物を洗浄する洗浄ステップと、
を備えることを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項2】
該密着ステップは、該シートの該第1面の反対側の第2面を保持テーブルに保持し、該保持テーブルで該シートを吸引保持することを特徴とする請求項1に記載の被加工物の加工方法。
【請求項3】
該分割ステップは、
該被加工物に分割起点を形成する分割起点形成ステップと、
該シートを拡張して、該分割起点に沿って該被加工物を分割する拡張ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の被加工物の加工方法。
【請求項4】
該分割ステップの後、かつ、該密着ステップの前に、
該シートを拡張し、該チップ同士の間隔を広げるチップ間隔拡張ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハ等の被加工物は、加工を行う際に、リング状に形成されたフレームの裏面側から粘着テープを貼着してフレームの開口部を塞ぎ、該開口部を塞ぐ部分の粘着面に貼着された状態で研削や切削等の加工が行われる。特許文献1には、表面に複数のデバイス領域が分割予定ラインに区画されて形成された被加工物を貼着テープに保持した状態で加工予定ラインに沿って複数のチップに分割した後、該被加工物を洗浄する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、複数のチップに分割された被加工物を洗浄する場合、チップがテープから浮いていると、洗浄液や洗浄後に乾燥させるエアによってチップがテープから剥がれて飛んでしまうチップ飛びが発生するという問題があった。このため、従来の技術では、洗浄時のチップ飛びを防止することが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、被加工物を分割してシートに保持された複数のチップの洗浄時のチップ飛びを防止することができる被加工物の加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の加工方法は、シートの第1面に保持された被加工物を複数のチップに分割する分割ステップと、該分割ステップの後に、該シートまたは該被加工物の少なくともいずれかを加熱して、該シートを軟化させ、複数の該チップに該シートを密着させる密着ステップと、該密着ステップの実施後に、該被加工物を洗浄する洗浄ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記加工方法において、該密着ステップは、該シートの該第1面の反対側の第2面を保持テーブルに保持し、該保持テーブルで該シートを吸引保持してもよい。
【0008】
前記加工方法において、該分割ステップは、該被加工物に分割起点を形成する分割起点形成ステップと、該シートを拡張して、該分割起点に沿って該被加工物を分割する拡張ステップと、を含んでもよい。
【0009】
前記加工方法において、該分割ステップの後、かつ、該密着ステップの前に、該シートを拡張し、該チップ同士の間隔を広げるチップ間隔拡張ステップをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、被加工物を分割してシートに保持された複数のチップの洗浄時のチップ飛びを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、洗浄ユニットの一例を模式的に示す一部破断斜視図である。
【
図3】
図3は、加工装置が実行する加工方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示す分割ステップを説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す密着ステップを説明するための図である。
【
図6】
図6は、密着ステップの変形例1を説明するための図である。
【
図7】
図7は、密着ステップの変形例2を説明するための図である。
【
図8】
図8は、密着ステップの変形例3を説明するための図である。
【
図9】
図9は、分割ステップの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
以下に説明する実施形態において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、水平面と平行である。XY平面と直交するZ軸方向は、鉛直方向である。
【0014】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、加工装置1は、表面に複数のデバイス領域が分割予定ラインに区画されて形成された被加工物200を分割予定ラインに沿って複数のチップに分割した後、被加工物200を洗浄する。
【0015】
実施形態に係る加工装置1の加工対象である被加工物200は、
図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物200は、平坦な表面201の格子状に形成される複数の分割予定ライン202によって区画された領域にチップサイズのデバイス203が形成されている。被加工物200は、本実施形態では、表面201の裏側の裏面204に粘着性を有するシート205が貼着され、シート205の外縁部に環状のフレーム206が装着されているが、本発明ではこれに限定されない。シート205は、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材と、基材に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備える。シート205は、糊層が被加工物200及びフレーム206に貼着される粘着テープ、又は、糊層を備えずに熱可塑性樹脂により構成されかつ被加工物200及びフレーム206に熱圧着される基材のみから構成されるシートである。また、被加工物200は、本実施形態では、樹脂により封止されたデバイス203を複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0016】
加工装置1は、
図1に示すように、保持テーブル10と、加工ユニット20と、カメラ30と、X軸方向移動ユニット41と、Y軸方向移動ユニット42と、Z軸方向移動ユニット43と、表示ユニット51と、入力ユニット52と、報知ユニット53と、カセット載置台61と、洗浄ユニット70と、制御ユニット100と、を備える。
【0017】
保持テーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の保持部11と、を備える、いわゆるチャックテーブルである。保持テーブル10の保持部11は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の保持部11の上面は、被加工物200が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置された被加工物200を吸引保持する保持面である。
【0018】
保持部11は、本実施形態では、被加工物200が表面201を上方に向けて載置され、載置された被加工物200を裏面204側からシート205を介して吸引保持する。保持部11の上面と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。保持テーブル10は、X軸方向移動ユニット41上にテーブルカバーを介して設けられており、テーブルカバーとともに、X軸方向移動ユニット41により水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられている。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により、テーブルカバーに対して、鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0019】
加工ユニット20は、制御ユニット100の制御により、加工条件に基づいて被加工物200を加工可能な構成になっている。加工条件は、例えば、モータの回転速度、加工ユニット20の軸の移動速度、流体の使用量、流体の使用時間等の加工に関する条件を含む。加工ユニット20は、例えば、切削ブレード21を備え、制御ユニット100の制御により、被加工物200の表面201に複数のデバイス領域が分割予定ライン202に区画されて形成された被加工物200をシート205に保持した状態で、切削ブレード21が分割予定ライン202に沿って複数のチップに分割することで、被加工物200を複数のデバイス203に個片化する。なお、加工ユニット20は、被加工物200の内部に改質層を形成後、裏面から研削することで改質層を起点に被加工物200にクラックを形成し、その後シート205を拡張することで、被加工物200を改質層に沿って個片化するように構成してもよい。本実施形態では、加工ユニット20は、加工が切削である場合について説明するが、研削等の他の加工であってもよい。
【0020】
カメラ30は、保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。カメラ30は、保持テーブル10に保持された加工ユニット20による切削前の被加工物200の表面201を撮像して、被加工物200と加工ユニット20との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。また、カメラ30は、保持テーブル10に保持された加工ユニット20による切削後の被加工物200の表面201を撮像して、被加工物200への切削が正常な範囲内で実行されたか否かを自動的に確認するカーフチェックを遂行するための画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。カメラ30は、本実施形態では、加工ユニット20に隣接して固定されており、加工ユニット20と一体的に移動する。
【0021】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、それぞれ、保持テーブル10と、加工ユニット20及びカメラ30と、を相対的にX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。X軸方向移動ユニット41は、本実施形態では、X軸方向に沿って、保持テーブル10を加工ユニット20及びカメラ30に対して相対的に移動させる。Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、本実施形態では、それぞれY軸方向及びZ軸方向に沿って、加工ユニット20及びカメラ30を保持テーブル10に対して相対的に移動させる。
【0022】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、いずれも、モータと、ボールねじと、ガイドと、を有する公知のボールねじ機構である。X軸方向移動ユニット41は、X軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、保持テーブル10をX軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Y軸方向移動ユニット42は、Y軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工ユニット20及びカメラ30をY軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。Z軸方向移動ユニット43は、Z軸の軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるモータと、加工ユニット20及びカメラ30をZ軸方向に移動自在に支持するガイドと、を有して構成されている。X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、いずれも、制御ユニット100により、モータの駆動が制御されることにより、移動速度や移動量等が制御される。
【0023】
X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、モータの回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったモータの回転位置に基づいて、保持テーブル10と加工ユニット20及びカメラ30とのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を制御ユニット100に出力する。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の相対的な位置は、加工装置1に備え付けられた装置直交座標系(XYZ座標)が使用される。装置直交座標系は、例えば、保持テーブル10の保持部11の表面中心が原点に設定される。なお、X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43は、エンコーダにより保持テーブル10と加工ユニット20及びカメラ30との相対的な位置を検出する構成に限定されず、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に平行なリニアスケールと、X軸方向移動ユニット41、Y軸方向移動ユニット42及びZ軸方向移動ユニット43によりそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられリニアスケールの目盛を読み取る読み取りヘッドと、により構成してもよい。
【0024】
表示ユニット51は、加工装置1の不図示のカバーに、表示面側を外側に向けて設けられている。表示ユニット51は、加工ユニット20による切削や撮像ユニット110による撮像等の加工装置1の各種処理に関する各種条件の設定の画面や、取得された画像やデータ、判定結果等をオペレータに視認可能に表示する。表示ユニット51は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット51は、オペレータが加工装置1の上記した各種条件に関する情報や画像等の表示に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニット52が設けられている。表示ユニット51に設けられた入力ユニット52は、表示ユニット51に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。なお、表示ユニット51は加工装置1に固定されておらず、任意の通信機器に備えられ、任意の通信機器が無線または有線により加工装置1と接続されてもよい。
【0025】
報知ユニット53は、加工装置1の不図示のカバーの上方に設けられている。報知ユニット53は、本実施形態では、発光ダイオードなどで構成される発光ユニットであり、発光ユニットの点灯や点滅や光の色彩等により、加工装置1による各種処理中に発生したエラーや、判定結果等をオペレータに認識可能に報知する。なお、報知ユニット53は、本発明では発光ユニットに限定されず、スピーカなどで構成され音声を発信する音声ユニットであり、音声ユニットの音声により、発生したエラーや判定結果等をオペレータに認識可能に報知してもよい。
【0026】
カセット載置台61は、複数の被加工物200を収容するための収容器であるカセット65を載置する載置台であり、載置されたカセット65をZ軸方向に昇降させる。洗浄ユニット70は、切削後の被加工物200を洗浄し、被加工物200に付着した切削屑等の異物を除去する。加工装置1は、不図示の搬送ユニットをさらに備え、不図示の搬送ユニットは、保持テーブル10と、洗浄ユニット70と、カセット65とのそれぞれの間で、被加工物200を搬送する。
【0027】
図2は、洗浄ユニット70の一例を模式的に示す一部破断斜視図である。
図2に示すように、洗浄ユニット70は、スピンナテーブル機構71と、該スピンナテーブル機構71の周囲を囲む洗浄水受け機構72と、被洗浄物である被加工物200を洗浄する洗浄機構73と、洗浄された被加工物200を乾燥させる乾燥機構74と、を備える。
【0028】
スピンナテーブル機構71は、スピンナテーブル711と、該スピンナテーブル711を上面に垂直な方向に沿った軸の周りに回転させるモータ712と、モータ712を上下方向に移動可能に支持する支持機構713と、を有する。スピンナテーブル711の上部には、上方に露出する多孔質部材711-1が配設されている。スピンナテーブル711の内部には、一端が図示しない吸引源に接続され、他端が該多孔質部材711-1に接続された吸引路(不図示)が配設されている。
【0029】
スピンナテーブル711の上に被加工物200を載せ、該吸引源を作動させて該吸引路と、該多孔質部材711-1と、を通して被加工物200に負圧を作用させると、該被加工物200がスピンナテーブル711に吸引保持される。すなわち、該スピンナテーブル711の上面が保持面となる。
【0030】
スピンナテーブル711の下部は、出力軸714の上端が接続されており、出力軸714の下端には該モータ712 が接続されている。出力軸714は、該モータ712により生じた回転力を該スピンナテーブル711に伝達する。
【0031】
モータ712は、支持機構713により支持されている。支持機構713は、モータ712に取り付けられた複数のエアシリンダ715を備え、それぞれの該エアシリンダ715の下部には支持脚716が接続されている。各エアシリンダ715を同時に作動させると、モータ712及びスピンナテーブル711を昇降できる。被加工物200の搬出入時には、支持機構713を作動させて所定の搬出入位置にスピンナテーブル711を上昇させ、被加工物200の洗浄時には、所定の洗浄位置にスピンナテーブル711を下降させる。
【0032】
洗浄水受け機構72は、円筒状の外周壁721と、該外周壁721の下部から径方向内側に張り出した円環状の底壁722と、底壁722の内周側から上方に立設された内周壁723と、を備える。内周壁723の内側は貫通孔75となり、貫通孔75には出力軸714が通される。出力軸714の外周には、該内周壁723を外周側から囲む大きさのカバー部材76が設けられている。
【0033】
底壁722には、排水口77が設けられており、排水口77には排水路78が接続されている。洗浄水受け機構72に洗浄液が落下すると、洗浄液は排水口77から排水路78を経て外部に排出される。スピンナテーブル711が洗浄位置に下降すると、内周壁723がカバー部材76に囲まれるため、貫通孔75を経たモータ712側への洗浄液の飛散が抑制される。
【0034】
底壁722には、乾燥機構74のパイプ状の乾燥軸部743 が突き通されている。乾燥軸部743は、スピンナテーブル711の外側でスピンナテーブル711の上面に垂直な方向に沿って伸長したパイプ状の部材であり、スピンナテーブル711の上面の高さよりも高い位置に達し、上端に乾燥腕部742が接続されている。乾燥軸部743の基端側には乾燥軸部743を回転させる図示しないモータが接続されており、乾燥軸部743は、該モータにより垂直な方向の周りに回転される。
【0035】
乾燥腕部742は、乾燥軸部743からスピンナテーブル711の中央までの距離に相当する長さで乾燥軸部743の伸長方向に垂直な方向に伸長したパイプ状の部材であり、乾燥腕部742の先端には下方に向いた乾燥ノズル741が配設される。乾燥機構74は、図示しないエア供給源を備え、乾燥軸部743及び乾燥腕部742を経て乾燥ノズル741からスピンナテーブル711に保持された被加工物200に向けエアを噴出させ、被加工物200に付着した洗浄液を除去する機能を有する。
【0036】
底壁722には、さらに、洗浄機構73のパイプ状の軸部733が突き通されている。軸部733は、スピンナテーブル711の外側でスピンナテーブル711の上面に垂直な方向に沿って伸長したパイプ状の部材であり、スピンナテーブル711の上面の高さよりも高い位置に達し、上端に腕部732が接続されている。軸部733の基端側には軸部733を回転させる図示しないモータが接続されており、軸部733は、該モータにより該垂直な方向の周りに回転される。
【0037】
腕部732は、軸部733からスピンナテーブル711の中央までの距離に相当する長さで軸部733の伸長方向に垂直な方向に伸長したパイプ状の部材であり、腕部732の先端には下方に向いた洗浄ノズル731が配設される。洗浄機構73は、洗浄液供給源734と、高圧洗浄液生成ユニット735とを備える。洗浄機構73は、洗浄液供給源734から供給される洗浄液に基づいて高圧洗浄液生成ユニット735が高圧の洗浄液を生成する機能を有する。洗浄機構73は、軸部733及び腕部732を経て洗浄ノズル731からスピンナテーブル711に保持された被加工物200に向け洗浄液を噴出させ、該被加工物200に付着した加工屑等を除去する機能を有する。軸部733と腕部732とは、洗浄液を供給する供給路として機能する。また、高圧洗浄液の代わりにエアと液体とを混合した二流体を供給するか、加圧されていない液体を供給してもよい。
【0038】
スピンナテーブル711の上部の外周側には、被加工物200のフレーム206を保持するクランプ79が配設されている。クランプ79は、スピンナテーブル711の回転により生じる遠心力により下側の錘部分が外周側に移動することで自動的に上側の把持部が内周側に倒れてフレーム206を把持する。
【0039】
図1に示す制御ユニット100は、マイクロコンピュータからなり、被加工物200に対して所望の切削加工を施すために加工装置1の各部の動作を制御するためのものである。制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を加工装置1の上述した構成要素に出力する。制御ユニット100は、プログラムを実行することで、被加工物200の加工方法を加工装置1で実現させる。
【0040】
以上、本実施形態に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、
図1及び
図2を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0041】
(被加工物の加工方法)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する加工方法を説明する。
図3は、加工装置1が実行する加工方法の一例を示すフローチャートである。
図4は、
図3に示す分割ステップを説明するための図である。
図5は、
図3に示す密着ステップを説明するための図である。
【0042】
図3に示す加工方法1000は、加工装置1の制御ユニット100がプログラムを実行することで実現される。加工方法1000は、分割ステップ1100と、密着ステップ1200と、洗浄ステップ1300と、を備える。加工方法1000は、分割ステップ1100、密着ステップ1200及び洗浄ステップ1300の順序でステップを実行する。
【0043】
まず、加工装置1は、分割ステップ1100を実行する。分割ステップ1100は、
図4に示すように、シート205の第1面205-1に保持された被加工物200を複数のチップ210に分割するステップである。シート205の第1面205-1は、被加工物200の裏面204に接触した状態で保持する面である。第1面205-1は、分割予定ライン202に沿って被加工物200を分割した複数のチップ210を保持する面である。シート205の第2面205-2は、第1面205-1の裏側の面であり、保持テーブル10の保持部11で保持される面である。
【0044】
分割ステップ1100では、加工装置1は、加工ユニット20の切削ブレード21を方向2000へ移動させ、複数の分割予定ライン202ごとに、Z軸方向移動ユニット43によって加工高さへ移動させ、分割予定ライン202に沿って被加工物200を切削することで、シート205の第1面205-1に保持している被加工物200のデバイス203を複数のチップ210に分割する。加工装置1は、被加工物200を複数のチップ210に分割すると、次のステップに進む。
【0045】
図3に戻り、加工装置1は、密着ステップ1200を実行する。密着ステップ1200は、分割ステップ1100の後に、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱して、シート205を軟化させ、複数のチップ210にシート205を密着させるステップである。
【0046】
図5に示すように、加工装置1は、保持テーブル10の保持部11が吸引源81と連通しており、吸引源81から供給される負圧によって被加工物200を保持テーブル10に吸引保持する構成になっている。加工装置1は、加熱ユニット82が保持テーブル10の下方近傍に配置されており、加熱ユニット82によって保持テーブル10を加熱可能な構成になっている。吸引源81及び加熱ユニット82は、制御ユニット100に電気的に接続されており、制御ユニット100によって駆動が制御される。
【0047】
密着ステップ1200では、加工装置1は、吸引源81の負圧によって被加工物200を保持テーブル10に吸引保持した状態で、加熱ユニット82によって保持テーブル10を加熱することで、保持テーブル10を介してシート205を加熱する。これにより、加工装置1は、加熱によってシート205を軟化させることで、複数のチップ210にシート205を密着させることができる。
【0048】
密着ステップ1200の状態1201では、シート205の第1面205-1に保持しているチップ210は、チップ210の縁がシート205から浮きやすくなっている。特に、加工装置1は、シート205を拡張して被加工物200を分割する、または、複数のチップ210同士の間隔を広げる場合に、チップ210の縁がシート205から浮きやすくなる。理由としては、シート205のテンションによって粘着力がチップ210の反りに負けてしまい、チップ210の縁が浮きやすくなる、または、シート205の引っ張りによってチップ210が滑って浮きやすくなると考えられる。
【0049】
密着ステップ1200の状態1201では、加工装置1は、シート205の第1面205-1の反対側の第2面205-2を保持テーブル10に保持し、保持テーブル10でシート205を吸引保持する。加工装置1は、保持テーブル10の保持部11がシート205を吸着する際に、吸引によってシート205が通気することで、複数のチップ210がシート205に引き寄せられる。これにより、加工装置1は、状態1202に示すように、加熱によって軟化したシート205に、複数のチップ210の縁を密着させることができるので、複数のチップ210にシート205をより一層密着させることができる。加工装置1は、複数のチップ210にシート205を密着させると、次のステップに進む。
【0050】
図3に戻り、加工装置1は、洗浄ステップ1300を実行する。洗浄ステップ1300は、密着ステップ1200の実施後に、被加工物200を洗浄するステップである。加工装置1は、保持テーブル10に保持していた被加工物200を、搬送手段等によって洗浄ユニット70に移動すると、該被加工物200をスピンナテーブル711で吸引保持する。加工装置1は、被加工物200を洗浄するように洗浄機構73を制御し、被加工物200の洗浄が終了すると、洗浄された被加工物200を乾燥するように乾燥機構74を制御する。加工装置1は、乾燥した被加工物200をカセット載置台61に載置されたカセット65に収容する。加工装置1は、洗浄ステップ1300が終了すると、
図3に示す加工方法1000を終了する。
【0051】
以上のように、加工方法1000は、シート205の第1面205-1に保持された被加工物200を複数のチップ210に分割すると、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱して、シート205を軟化させ、複数のチップ210にシート205を密着させた後に、複数のチップ210を洗浄する。これにより、加工方法1000は、洗浄ステップ1300の前に、シート205を加熱して軟化させた状態でチップ210に密着させることで、洗浄時のチップ飛びを低減することができる。
【0052】
また、シート205が粘着性を有さない場合、例えば、ポリオレフィン系シート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシート等を用いることが好ましい。これにより、加工方法1000は、シート205が粘着性を有さない場合でも、シート205を加熱して軟化させた状態でチップ210に密着させることができるので、洗浄時のチップ飛びを低減することができる。
【0053】
また、加工方法1000は、密着ステップ1200において、シート205の第1面205-1の反対側の第2面205-2を保持テーブル10に保持し、保持テーブル10でシート205を吸引保持しながら、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱することで、複数のチップ210にシート205を密着させるのに要する時間を短縮することができる。
【0054】
また、加工方法1000は、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱する加熱温度が50~100度であることが好ましい。例えば、加工方法1000は、加熱温度が100度よりも大きいと、分割したチップ210のデバイス203の品質に悪影響を与える恐れがあり、50度よりも小さいとシート205から浮いたチップ210が密着しない。加工方法1000は、加熱温度が50度以上であれば、シート205の吸引なしの場合、2分の加熱時間でチップ210がシート205に密着し、シート205の吸引ありの場合、30~60秒でチップ210がシート205に密着することを確認できた。
【0055】
また、本実施形態では、加工方法1000は、加工装置1が保持テーブル10に設置された加熱ユニット82を用いてシート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工方法1000は、シート205の第1面205-1の側から温風や赤外線を供給して温める加工装置1の構成を用いてもよい。
【0056】
(密着ステップの変形例1)
加工方法1000の密着ステップ1200は、上述した加熱及び吸引保持と押し付けとを同時に実施してもよいし、順番に実施してもよい。
図6は、密着ステップ1200の変形例1を説明するための図である。
【0057】
図6に示すように、加工装置1は、弾性部材311を有するパッド310をさらに備える。パッド310は、例えば、不図示の昇降ユニットによって鉛直方向に移動可能であり、保持テーブル10に保持された被加工物の複数のチップ210に対して鉛直方向の上方から押し付けられる。加工装置1は、密着ステップ1200において、シート205の第1面205-1の反対側の第2面205-2を保持テーブル10に保持し、保持テーブル10でシート205を吸引保持するとともに、パッド310によってチップ210をシート205に押し付けた状態で、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱することができる。これにより、加工方法1000は、複数のチップ210をシート205に押し付けながら加熱するので、複数のチップ210にシート205を密着させるのに要する時間をより一層短縮することができる。
【0058】
(密着ステップの変形例2)
図7は、密着ステップ1200の変形例2を説明するための図である。
図7に示すように、加工装置1は、被加工物200の複数のチップ210の表面を押圧可能なローラ320をさらに備える。ローラ320は、例えば、不図示の昇降ユニットによって鉛直方向に移動可能であり、保持テーブル10に保持された被加工物200のチップ210を押圧した状態で移動方向321に回転移動可能な構成になっている。加工装置1は、密着ステップ1200において、シート205の第1面205-1の反対側の第2面205-2を保持テーブル10に保持し、保持テーブル10でシート205を吸引保持するとともに、加熱ユニット82によって保持テーブル10を加熱した状態で、被加工物200のチップ面をローラ320で押圧しながら、移動方向321にローラ320を移動させることができる。これにより、加工方法1000は、複数のチップ210をシート205に押し付けながら加熱するので、複数のチップ210にシート205を密着させるのに要する時間をより一層短縮することができる。
【0059】
(密着ステップの変形例3)
図8は、密着ステップ1200の変形例3を説明するための図である。
図8に示すように、加工装置1は、被加工物200の複数のチップ210の表面に対して流体を供給可能なノズル330をさらに備える。ノズル330は、例えば、不図示の昇降ユニットによって鉛直方向に移動可能であり、保持テーブル10に保持された被加工物のチップ210に対して上方から流体を供給可能な構成になっている。流体は、例えば、気体、液体等を含む。ノズル330は、例えば、気体と液体とを噴射する二流体ノズルであってもよい。ノズル330は、複数のチップ210の表面に対して流体を供給することで、複数のチップ210を上方から押圧可能な構成になっている。加工装置1は、密着ステップ1200において、シート205の第1面205-1の反対側の第2面205-2を保持テーブル10に保持し、保持テーブル10でシート205を吸引保持するとともに、加熱ユニット82によって保持テーブル10を加熱した状態で、被加工物200のチップ210に対して流体を噴射しながら移動方向331にローラ320を移動させることができる。これにより、加工方法1000は、複数のチップ210を流体によってシート205に押し付けて加熱できるので、複数のチップ210にシート205を密着させるのに要する時間をより一層短縮することができる。
【0060】
(分割ステップの変形例)
次に、加工方法1000の分割ステップ1100の変形例について説明する。
図9は、分割ステップ1100の変形例を示すフローチャートである。
図10は、
図9に示す分割起点形成ステップを説明するための図である。
図11は、
図9に示す拡張ステップを説明するための図である。
【0061】
上述した加工方法1000の分割ステップ1100は、
図9に示すように、分割起点形成ステップ1110と、拡張ステップ1120とを有してもよい。加工装置1は、加工方法1000の分割ステップ1100を実行すると、分割起点形成ステップ1110を実行する。分割起点形成ステップ1110は、
図10に示すように、被加工物200に分割起点220を形成するステップである。分割起点形成ステップ1110は、加工ユニット20のレーザービーム22の照射によって形成された改質層とクラックとの連結によって被加工物200に対し、分割予定ライン202に沿った複数の分割起点221を形成する。
【0062】
図9に戻り、加工装置1は、分割起点形成ステップ1110が終了すると、拡張ステップ1120を実行する。拡張ステップ1120は、
図11に示すように、シート205を拡張して分割起点220に沿って被加工物200を分割するステップである。本実施形態では、加工装置1は、クランプ部63が保持するフレーム206に当接可能な拡張ドラム44を備える。拡張ドラム44は、保持テーブル10の表面と同一平面上に設けられかつ軸心回りに回転自在に設けられた円柱状のコロ部材が取り付けられている。
【0063】
加工装置1は、場面1121に示すように、複数の分割起点221が形成された被加工物200を囲繞するフレーム206がクランプ部63でクランプされると、保持テーブル10及び拡張ドラム44を被加工物200に接近させてシート205に当接させる。そして、加工装置1は、場面1122に示すように、保持テーブル10及び拡張ドラム44を上昇させ、被加工物200を拡張位置に位置付け、シート205を半径方向に拡張して被加工物200に外力を付与する。これにより、加工装置1は、被加工物200に付与した外力によって分割起点220に沿って個々のチップ210に分割するとともに、チップ間隔を拡張する。
【0064】
図9に戻り、加工装置1は、拡張ステップ1120が終了すると、分割ステップ1100を終了し、上述した密着ステップ1200を実行する。例えば、シート5を拡張して分割する、または、チップ間隔を拡張する場合、チップ210に貼着されていたシート5が引き延ばされて移動し、チップ210の縁がシート5から浮きやすくなる。この理由は、シート5を引き延ばしてチップ210に分割しているため、シート205のテンションによって貼着力がチップ210の反りに負けてしまい、チップ210が浮きやすくなる、また、シート205を引っ張ることでチップ210が滑って浮きやすくなることが考えられる。しかし、上述した加工方法1000は、シート205の第1面205-1に保持された被加工物200を複数のチップ210に分割すると、シート205または被加工物200の少なくともいずれかを加熱して、シート205を軟化させ、複数のチップ210にシート205を密着させた後に、複数のチップ210を洗浄する。これにより、加工方法1000は、洗浄ステップ1300の前に、シート205を加熱して軟化させた状態でチップ210に密着させることで、洗浄時のチップ飛びを低減することができる。
【0065】
上述した本実施形態では、被加工物200は、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラス、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどのウエーハである場合について説明したが、これに限定されない。例えば、被加工物200は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0066】
上述したシート205は、基材層に糊層が積層されて形成され、糊層の側が被加工物200に貼着されている形態か、糊層を備えない熱可塑性樹脂で形成され、熱圧着によって被加工物200に固定されてもよい。シート205は、糊層を備えない場合、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートのいずれかであるポリオレフィン系シート、またはポリエチレンテレフタレートシート、ポリエチレンナフタレートシートのいずれかであるポリエステル系シートであることが好ましい。
【符号の説明】
【0067】
1 加工装置
10 保持テーブル
11 保持部
20 加工ユニット
21 切削ブレード
30 カメラ
41 X軸方向移動ユニット
42 Y軸方向移動ユニット
43 Z軸方向移動ユニット
61 カセット載置台
70 洗浄ユニット
81 吸引源
82 加熱ユニット
100 制御ユニット
200 被加工物
202 分割予定ライン
203 デバイス
205 シート
206 フレーム
210 チップ
1000 加工方法
1100 分割ステップ
1200 密着ステップ
1300 洗浄ステップ