(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110797
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】光半導体素子、および光半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0238 20210101AFI20240808BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20240808BHJP
H01S 5/02325 20210101ALI20240808BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240808BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20240808BHJP
G02B 6/42 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
H01S5/0238
H01S5/0225
H01S5/02325
G02B6/12 301
G02B6/13
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015614
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】木本 竜也
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5F173
【Fターム(参考)】
2H137AB12
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB26
2H137CA12F
2H137CA19B
2H137CA19F
2H137CA34
2H137CB03
2H137CB32
2H137CC05
2H137EA04
2H147AB04
2H147CC07
2H147CC14
2H147DA08
2H147EA10D
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147FC01
2H147FC06
5F173MB03
5F173MD03
5F173MD37
5F173MD51
5F173MD63
5F173ME74
5F173ME83
(57)【要約】
【課題】例えば、光半導体素子と光機能素子との位置合わせをより容易にあるいはより精度良く行うことが可能となるような、新規な改善された光半導体素子、および光半導体素子の製造方法を得る。
【解決手段】光半導体素子は、例えば、基板と、当該基板上に第一方向に積層された複数の半導体層と、を有し、内部に、第一方向と交差した第二方向に延びたコアと当該コアを取り囲むクラッドとが構成された、積層体と、積層体の第一方向の第一端面上に形成された第一電極と、積層体の第一方向の反対方向の第二端面上に形成された第二電極と、第一方向に露出した状態で積層体に設けられたアライメントマークと、を備え、積層体は、第一方向に見た場合に第二電極によって覆われることなく露出した露出部を有し、アライメントマークは、露出部と第一方向に重なるように設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、当該基板上に第一方向に積層された複数の半導体層と、を有し、内部に、前記第一方向と交差した第二方向に延びたコアと当該コアを取り囲むクラッドとが構成された、積層体と、
前記積層体の前記第一方向の第一端面上に形成された第一電極と、
前記積層体の前記第一方向の反対方向の第二端面上に形成された第二電極と、
前記積層体に設けられたアライメントマークと、
を備え、
前記積層体は、前記第一方向に見た場合に前記第二電極によって覆われることなく露出した露出部を有し、
前記アライメントマークは、前記第一方向において前記露出部と少なくとも部分的に重なるように設けられた、光半導体素子。
【請求項2】
前記積層体の前記露出部が設けられた部位における前記第一方向の厚さは、前記積層体の前記第二電極が設けられた部位における前記第一方向の厚さよりも薄い、請求項1に記載の光半導体素子。
【請求項3】
前記露出部には、前記第二端面から前記第一方向に凹む凹部が設けられ、
前記凹部の第一底面と前記第二端面との間の側面は、前記第一方向に向かうにつれて当該凹部の当該第一方向と交差した断面積が小さくなるよう、前記第一方向に対して傾斜している、請求項2に記載の光半導体素子。
【請求項4】
前記積層体は、
前記コアと前記第一方向において当該コアを挟み前記クラッドの一部を形成する複数のクラッド層とを有し、当該積層体に含まれた第一メサと、
前記露出部とは反対側で、前記第一端面に対して前記第一方向の反対方向に離れるとともに前記第一方向を向いた第二底面から前記第一方向に突出した第二メサと、
を有し、
前記第一メサと前記第二メサとは、複数の半導体層が前記第一方向に積層された同一の積層構造を有した、請求項1または2に記載の光半導体素子。
【請求項5】
前記第二メサは、金属層で覆われた、請求項4に記載の光半導体素子。
【請求項6】
基板と、当該基板上に第一方向に積層された複数の半導体層と、を有し、内部に、前記第一方向と交差した第二方向に延びたコアと当該コアを取り囲むクラッドとが構成された、積層体を形成する工程と、
前記積層体の前記第一方向の第一端面上に第一電極を形成する工程と、
前記積層体の前記第一方向の反対方向の第二端面上に第二電極を形成する工程と、
前記積層体にアライメントマークを形成する工程と、
を備え、
前記積層体は、前記第一方向に見た場合に前記第二電極によって覆われることなく露出した露出部を有する状態に形成され、
前記アライメントマークは、前記第一方向において前記露出部と少なくとも部分的に重なるように設けられる、光半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記第二電極を形成する工程の後に、前記露出部に前記第二端面から前記第一方向に凹む凹部を設ける工程を備え、
当該凹部を設ける工程では、前記第二電極をエッチングマスクとして、前記積層体をエッチングすることにより、前記凹部を形成する、請求項6に記載の光半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子、および光半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンフォトニクス基板のような光機能素子と半導体レーザのような光半導体素子とを備えた光集積素子において、光半導体素子の一方の面に設けられたアライメントマークを、光半導体素子を透過する赤外光を用いて、当該一方の面とは反対側から読み取り、シリコンフォトニクス基板のアライメントマークと位置合わせする技術が、知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光半導体素子では、アライメントマークが設けられた面とは反対側の面が、赤外光が透過しにくい金属で作られた電極で覆われているため、アライメントマークを読み取り難くなる虞があった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、光半導体素子の一方側に設けられたアライメントマークを、光半導体素子を透過する光を用いて、光半導体素子の反対側から、より容易にあるいはより確実に読み取ることを可能とし、光半導体素子と光機能素子との位置合わせをより容易にあるいはより精度良く行うことが可能となるような、新規な改善された光半導体素子、および光半導体素子の製造方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光半導体素子は、例えば、基板と、当該基板上に第一方向に積層された複数の半導体層と、を有し、内部に、前記第一方向と交差した第二方向に延びたコアと当該コアを取り囲むクラッドとが構成された、積層体と、前記積層体の前記第一方向の第一端面上に形成された第一電極と、前記積層体の前記第一方向の反対方向の第二端面上に形成された第二電極と、前記積層体に設けられたアライメントマークと、を備え、前記積層体は、前記第一方向に見た場合に前記第二電極によって覆われることなく露出した露出部を有し、前記アライメントマークは、前記第一方向において前記露出部と少なくとも部分的に重なるように設けられる。
【0007】
前記光半導体素子では、前記積層体の前記露出部が設けられた部位における前記第一方向の厚さは、前記積層体の前記第二電極が設けられた部位における前記第一方向の厚さより薄くてもよい。
【0008】
前記光半導体素子では、前記露出部には、前記第二端面から前記第一方向に凹む凹部が設けられ、前記凹部の第一底面と前記第二端面との間の側面は、前記第一方向に向かうにつれて当該凹部の当該第一方向と交差した断面積が小さくなるよう、前記第一方向に対して傾斜してもよい。
【0009】
前記光半導体素子では、前記積層体は、前記コアと前記第一方向において当該コアを挟み前記クラッドの一部を形成する複数のクラッド層とを有し、当該積層体に含まれた第一メサと、前記露出部とは反対側で、前記第一端面に対して前記第一方向の反対方向に離れるとともに前記第一方向を向いた第二底面から前記第一方向に突出した第二メサと、を有し、前記第一メサと前記第二メサとは、複数の半導体層が前記第一方向に積層された同一の積層構造を有してもよい。
【0010】
前記光半導体素子では、前記第二メサは、金属層で覆われてもよい。
【0011】
また、本発明の光半導体素子の製造方法は、例えば、基板と、当該基板上に第一方向に積層された複数の半導体層と、を有し、内部に、前記第一方向と交差した第二方向に延びたコアと当該コアを取り囲むクラッドとが構成された、積層体を形成する工程と、前記積層体の前記第一方向の第一端面上に第一電極を形成する工程と、前記積層体の前記第一方向の反対方向の第二端面上に第二電極を形成する工程と、前記積層体にアライメントマークを形成する工程と、を備え、前記積層体は、前記第一方向に見た場合に前記第二電極によって覆われることなく露出した露出部を有する状態に形成され、前記アライメントマークは、前記第一方向において前記露出部と少なくとも部分的に重なるように設けられる。
【0012】
前記光半導体素子の製造方法では、前記第二電極を形成する工程の後に、前記露出部に前記第二端面から前記第一方向に凹む凹部を設ける工程を備え、当該凹部を設ける工程では、前記第二電極をエッチングマスクとして、前記積層体をエッチングすることにより、前記凹部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、光半導体素子と光機能素子との位置合わせをより容易にあるいはより精度良く行うことが可能となるような、新規な改善された光半導体素子、および光半導体素子の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光半導体素子の例示的かつ模式的な上面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の光半導体素子の例示的かつ模式的な下面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の光半導体素子を含む光集積素子の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の光半導体素子を含む光集積素子の例示的かつ模式的な上面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の光半導体素子の
図4と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の光半導体素子の例示的かつ模式的な正面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の光半導体素子の製造工程の途中の生成物の例示的かつ模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の光半導体素子の製造工程の途中の生成物の
図9の後の段階における例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0016】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0017】
本明細書において、序数は、方向や、部位、部材等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0018】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。また、以下では、X方向を長手方向若しくは延び方向、Y方向を短手方向若しくは幅方向、Z方向を積層方向若しくは高さ方向と称する。
【0019】
また、各図は説明を目的とした模式図であって、各図と実物とで縦および横のスケールや比率は、必ずしも一致しない。
【0020】
(第1実施形態)
(光半導体素子の構造)
図1は、第1実施形態の光半導体素子100A(100)の上面図、
図2は、光半導体素子100A(100)の下面図、
図3は、
図1のIII-III断面図、また、
図4は、
図1のIV-IV断面図である。
【0021】
図3,4に示されるように、光半導体素子100A(100)は、基板10と、積層部20と、電極40,50と、アライメントマーク60と、を備えている。
【0022】
基板10は、面10aと、面10bと、を有している。面10aは、Z方向の端部に位置し、Z方向を向き、Z方向と交差するとともに直交している。また、面10bは、Z方向の反対方向の端部に位置し、Z方向の反対方向を向き、Z方向と交差するとともに直交している。
図3,4および
図2に示されるように、基板10は、Z方向における所定の厚さおよびY方向における所定の幅で、X方向に延びており、略板状の形状を有している。基板10は、例えば、n-InPで作られる。
【0023】
面10a上には、積層部20が設けられている。積層部20は、コア20aと、当該コア20aを取り囲むクラッド20bと、を有している。
【0024】
コア20aは、
図1~4に示されるように、Z方向における略一定の厚さ、およびY方向における略一定の幅で、X方向に延びている。コア20aは、例えば、n-InGaAsPを含む活性層である。X方向は、第二方向の一例である。
【0025】
また、積層部20内の、コア20aとZ方向に並ぶ部位には、面10aからZ方向に突出しX方向に延びるメサ21が構成されている。当該メサ21において、面10a上には、n-InPおよびn-InGaAsPの積層構造を有しバッファ層を兼ねた下部クラッド層としてのクラッド20b1(20b)、および上述した活性層としてのコア20a、p-InPで作られた上部クラッド層としてのクラッド20b2(20b)が、Z方向にこの順に積層されている。また、メサ21に対してY方向およびY方向の反対方向に隣接した部位では、面10a上に、p-InPで作られた下部ブロッキング層と、n-InPで作られた上部ブロッキング層とが、Z方向にこの順に積層されている。これらブロッキング層は、Y方向においてメサ21の両側を埋め込む埋込層であり、電流ブロッキング部として機能する。さらに、メサ21および電流ブロッキング部の上には、p-InPで作られたクラッド層とp-InGaAsPで作られたコンタクト層とが、Z方向にこの順に積層される。このように、積層部20は、Z方向に複数の半導体層が積層された積層構造を有している。なお、本明細書では、基板10と積層部20とを、積層体30と称する。積層体30は、ボディとも称されうる。
【0026】
図3,4および
図1に示されるように、積層体30のZ方向の端部に位置する面30a上には、電極40と、アライメントマーク60とが形成されている。電極40は、P側電極であって、例えば、AuやAuZnを含んだ構成を有している。当該電極40は、公知の方法により形成される。また、アライメントマーク60は、例えば、金属層を堆積することによって形成されてもよいし、積層部20の選択的なエッチングによって形成されてもよいし、当該エッチングによって残存した部位上に金属層を堆積することによって形成されてもよい。Z方向は、第一方向の一例であり、面30aは、第一端面の一例であり、電極40は、第一電極の一例である。
【0027】
図1に示されるように、アライメントマーク60は、光半導体素子100A(100)のX方向の端面100eの近傍に設けられている。端面100eが、光半導体素子100A(100)のうち、光機能素子200の端面200eと近接するとともに隙間をあけて面する部位となるため、アライメントマーク60は、端面100eの近傍に設けられている。光半導体素子100A(100)が半導体レーザである場合、端面100eは、出射端面であり、当該端面100eとは反対側の端面100rは、反射端面となる。
【0028】
また、アライメントマーク60は、Y方向に離れた二箇所に設けられている。二つのアライメントマーク60は、Z方向の反対方向の視線で、それらの間にコア20aが間に位置するように、設けられている。また、アライメントマーク60は、端面100eの近傍におけるコア20aの延び方向、すなわち本実施形態の例ではX方向に、延びている。
【0029】
他方、
図3,4および
図2に示されるように、積層体30のZ方向の反対方向の端部に位置する面10b上には、公知の方法により、電極50が形成されている。電極50は、N側電極であって、例えば、AuGeや、Ni、Au等を含んだ構成を有している。面10bは、第二端面の一例であり、電極50は、第二電極の一例である。
【0030】
ここで、
図2に示されるように、本実施形態では、電極50は、面10bの全面を覆わず、積層体30の面10bは、Z方向の反対方向に見た場合に、電極50によって覆われることなく露出した露出領域Aeを有している。本実施形態では、露出領域Aeは、面10bにおける電極50の非形成領域であって、具体的には、当該電極50の積層体30のX方向の端部に位置する二箇所の角部に設けられた四角形状の切欠50aにより、面10bがZ方向の反対方向に露出した部位である。露出領域Aeは、例えば、電極50を選択的にエッチングして除去したり、露出領域Aeをマスキングした状態で電極50を堆積したりすることにより、形成することができる。露出領域Aeは、露出部の一例である。
【0031】
そして、
図2に示されているように、本実施形態では、アライメントマーク60と、露出領域Aeとが、Z方向に重なっている。
【0032】
図5は、光集積素子300の側面図であり、
図5に示されるように、光集積素子300は、光半導体素子100A(100)と、導波路のコア201が形成された光機能素子200と、を備えている。光機能素子200は、シリコンプラットフォームとも称されうる。
【0033】
光機能素子200には、凹部200cが設けられており、光半導体素子100A(100)は、当該凹部200cに収容される状態で、当該光機能素子200と一体化されている。この際、
図5に示されるように、光半導体素子100A(100)は、電極40が凹部200cの底面200dと隙間をあけて面する状態で、光機能素子200に実装される。電極40は、底面200d上に露出した電極(不図示)と、AuSnはんだバンプのような接合材70を介して接合される。すなわち、光半導体素子100A(100)は、光機能素子200に、フリップチップ実装される。
【0034】
ここで、光機能素子200には、光半導体素子100A(100)のアライメントマーク60との位置合わせに用いるアライメントマーク202が設けられている。アライメントマーク202は、Z方向の反対方向の端部に位置する面200a上の、端面200eの近傍に、設けられている。端面200eは、凹部200cの側面であって、X方向の反対方向を向き、X方向と交差するとともに直交している。
【0035】
図6は、光集積素子300の平面図である。
図6に示されるように、光集積素子300においては、光半導体素子100A(100)と光機能素子200との間での結合損失が極力小さいことが望まれる。そのため、光半導体素子100A(100)のコア20aと、光機能素子200のコア201とがY方向において極力ずれることなく、X方向に並ぶ状態となることが望まれる。
【0036】
光半導体素子100A(100)と光機能素子200とのY方向における位置合わせには、アライメントマーク60と、アライメントマーク202とが用いられる。
図6に示されるように、本実施形態では、Z方向に見た場合に、コア20aとコア201とがX方向に正対しX方向に並んだ状態で、アライメントマーク60と対応するアライメントマーク202とが、X方向に正対しX方向に並ぶように設けられている。具体的には、Y方向におけるコア20aに対するアライメントマーク60の相対的な距離と、Y方向におけるコア201に対するアライメントマーク202の距離とが同じであり、さらに、アライメントマーク60のY方向における幅と、アライメントマーク202のY方向における幅とが同じである。なお、アライメントマーク60のY方向における幅と、アライメントマーク202のY方向における幅とは、同じでなくてもよい。
【0037】
光半導体素子100A(100)と光機能素子200とを位置合わせする工程では、
図6の視線、すなわち
図5中の視線Vi(Z方向の視線)で、赤外光のような半導体層を透過する光を用いたカメラにより、アライメントマーク60,202を撮像し、撮像された画像において、アライメントマーク60の画像と、アライメントマーク202の画像とが、X方向に正対しX方向に並ぶよう、光半導体素子100A(100)と光機能素子200と位置合わせされる。
【0038】
ここで、上述したように、積層体30は、Z方向の反対方向に見た場合に、電極50によって覆われることなく露出した露出領域Aeを有し、光半導体素子100A(100)は、当該露出領域Aeとアライメントマーク60とが、Z方向において重なるよう構成されている。よって、本実施形態によれば、積層体30の半導体層を透過する光を用いたアライメントマーク60の読み取りにおいて、電極50によって当該光が妨げられてアライメントマーク60を読み取り難くなり、例えば、位置合わせをより容易に行えなくなったり、位置合わせの精度が低下したりといった不都合な事象が生じるのを、抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、例えば、アライメントマーク60をより容易にあるいはより確実に読み取ることができ、ひいては、光半導体素子100A(100)と光機能素子200とを、より容易にあるいはより精度良く位置合わせすることができるという効果が得られる。
【0039】
なお、本実施形態では、光半導体素子100Aは、Z方向においてアライメントマーク60の全域が露出領域Aeと重なるよう構成されているが、これには限定されず、光半導体素子100は、Z方向においてアライメントマーク60の一部が露出領域Aeと重なるよう構成されてもよい。
【0040】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の光半導体素子100B(100)の、
図4と同等位置における断面図である。本実施形態の光半導体素子100Bも、上記第1実施形態の光半導体素子100Aと同様に、露出領域Aeとアライメントマーク60とがZ方向に少なくとも部分的に重なっている。よって、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
ただし、本実施形態では、
図7に示されるように、積層体30の露出領域Aeが設けられた部位におけるZ方向の厚さT2が、積層体30の電極50が設けられた部位におけるZ方向の厚さT1よりも薄い。このため、積層体30のうち当該露出領域Aeが設けられた部位を、赤外光のような積層体30を透過する光が、より透過しやすくなる。よって、本実施形態によれば、例えば、アライメントマーク60をさらに容易にあるいはさらに確実に読み取ることができ、ひいては、光半導体素子100B(100)と光機能素子200とを、さらに容易にあるいはさらに精度良く位置合わせすることができるという効果が得られる。
【0042】
また、
図7に示されるように、露出領域Aeには、面10bからZ方向にへこむ凹部101が設けられ、当該凹部101を構成する底面101aと、側面101bとが形成されている。底面101aは、Z方向の反対方向を向くとともに、Z方向と交差するとともに直交している。また、面10bと底面101aとの間の側面101bは、Z方向に向かうにつれて当該凹部101のZ方向と交差した断面積が小さくなるよう、Z方向に対して傾斜している。これにより、面10bと側面101bとの間の端縁101cと直交する断面(
図7の例では、XZ平面)における底面101aと側面101bとの間の隅部(谷部)の角度θが鈍角となり、当該角度θが直角となる場合や、鋭角となる場合に比べて、当該隅部における応力集中を低減でき、ひいては当該隅部を起点とする割れが生じ難くなり、積層体30ひいては光半導体素子100の信頼性が高くなるという効果が得られる。底面101aは、第一底面の一例である。
【0043】
また、凹部101は、電極50をエッチングマスクとするエッチングによって形成することができる。これにより、切欠50aと凹部101とを別に形成する場合に比べて、工程を減らすことができ、光半導体素子100B(100)の製造の手間およびコストをより低減することができるという効果が得られる。
【0044】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の光半導体素子100C(100)の正面図である。本実施形態の光半導体素子100Cも、上記第1実施形態の光半導体素子100Aと同様に、露出領域Aeとアライメントマーク60とがZ方向に少なくとも部分的に重なっている。よって、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
ただし、本実施形態では、
図8に示されるように、アライメントマーク60は、積層体30の厚さ方向(Z方向)の途中に設けられた面30bからZ方向に突出したメサ22に設けられている。面30bは、面10bと面30aとの間に位置し、Z方向を向き、Z方向と交差するとともに直交している。
【0046】
図9は、光半導体素子100C(100)を製造する途中の生成物のX方向と交差した断面図である。
図9に示されるように、メサ21とメサ22とは、少なくとも基板10からZ方向の途中の位置までは、同じ積層構造を有している。これは、基板10上に、第1実施形態で述べたメサ21の下部クラッド層としてのクラッド20b1(20b)、コア20a、上部クラッド層としてのクラッド20b2(20b)を構成する複数の半導体層を積層した生成物上に、メサ21,22を覆う誘電体層20mをエッチングマスクとするエッチングを行うことにより、凹部Cを形成し、これにより、メサ21とメサ22とを形成するからである。このエッチングを便宜上1回目のエッチングとする。したがって、メサ22には、メサ21のクラッド20blとZ方向における高さおよび材質が同じ半導体層を有した積層部20b11、メサ21のコア20aとZ方向における高さおよび材質が同じ半導体層20a1、並びにメサ21のクラッド20b2とZ方向における高さおよび材質が同じ半導体層を有した積層部20b12が、Z方向にこの順に含まれることになる。メサ21は、第一メサの一例であり、メサ22は、第二メサの一例である。
【0047】
図10は、
図9の後の工程における
図9と同じ位置での断面図である。
図10に示されるように、
図9で形成された凹部Cを、半導体層20g,20hで埋め込み、その後、当該半導体層20g,20hを、メサ21のY方向における両側のみを残して、エッチングにより選択的に除去する。このエッチングを便宜上2回目のエッチングとする。当該2回目のエッチングにおいては、メサ22の少なくとも一部が残るようにする。すなわち、2回目のエッチングにあたり、メサ22については、メサ22内の半導体層20a1や、当該半導体層20a1上に積層された積層部20b12内のいずれかの半導体層、メサ22上の誘電体層20mなどを、エッチングマスクとして用いる。これにより、
図8に示されるような、メサ21およびそのY方向の両側の半導体層(
図10の半導体層20g,20hの一部)を含む積層部20と、当該積層部20に対してY方向およびY方向の反対方向に離れた二つのメサ22と、が形成される。メサ21を含む積層部20、およびメサ22は、2回目のエッチングによって形成される凹部の底面である面30b(
図8参照)に対して、Z方向に突出した形態となる。積層部20において、半導体層20g,20h(
図10参照)は、上述した電流ブロッキング部となる。面30bは、第二底面の一例である。
【0048】
また、
図8に示されるように、メサ22の少なくとも頂部、本実施形態では一例としてメサ22のほぼ全域は、金属層22dで覆われている。金属層22dは、例えば、蒸着リフトオフのような、マスクを用いた選択的な金属材料の堆積によって、形成することができる。金属層22dは、例えば、AuやAuZn、Pt、Tiのいずれかを含んだ構成を有している。
【0049】
本実施形態では、金属層22dを、アライメントマーク60として用いることができる。上述したように、金属層22dは、1回目および2回目のエッチングによってY方向においてコア20aを含むメサ21と精度良く位置決めされたメサ22に形成することができるため、コア20aとアライメントマーク60とのY方向における相対的な位置の精度をより高めることができるという効果が得られる。なお、金属層22dは、メサ22の一部、例えば頂部のみに、設けられてもよい。
【0050】
また、メサ22に金属層22dを設けず、積層体30を透過する光の画像中から、メサ22の凹凸に応じた輝度差に基づいて当該メサ22を検出することにより、当該メサ22自体を、アライメントマーク60として用いることができる。この場合も、コア20aとアライメントマーク60としてのメサ22とのY方向における相対的な位置の精度をより高めることができるという効果が得られる。
【0051】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…基板
10a…面
10b…面(第二端面)
20…積層部
20a…コア
20a1…半導体層
20b,20b1,20b2…クラッド
20b11…積層部
20b12…積層部
20g…半導体層
20h…半導体層
20m…誘電体層
21…メサ(第一メサ)
22…メサ(第二メサ)
22d…金属層
30…積層体
30a…面(第一端面)
30b…面(第二底面)
40…電極(第一電極)
50…電極(第二電極)
50a…切欠
60…アライメントマーク
70…接合材
100,100A~100C…光半導体素子
100e…端面
100r…端面
101…凹部
101a…底面(第一底面)
101b…側面
101c…端縁
200…光機能素子
200a…面
200c…凹部
200d…底面
200e…端面
201…コア
202…アライメントマーク
300…光集積素子
Ae…露出領域(露出部)
C…凹部
T1…厚さ
T2…厚さ
Vi…視線
X…方向(第二方向)
Y…方向
Z…方向(第一方向)
θ…角度