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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110812
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】光導波路構造および半導体光増幅器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20240808BHJP
   H01S 5/50 20060101ALI20240808BHJP
   H01S 5/223 20060101ALI20240808BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20240808BHJP
   H01S 5/24 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G02B6/122 311
H01S5/50 610
H01S5/223
H01S5/22
H01S5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015637
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡廣
【テーマコード(参考)】
2H147
5F173
【Fターム(参考)】
2H147AB03
2H147AB04
2H147AB24
2H147BA06
2H147BB02
2H147BB05
2H147BB06
2H147BB07
2H147BD01
2H147BD10
2H147EA12A
2H147EA12B
5F173AA26
5F173AA32
5F173AA48
5F173AB62
5F173AB64
5F173AB79
5F173AD02
5F173AD15
5F173AD17
5F173AD18
5F173AD30
5F173AH14
5F173AR99
5F173MA03
(57)【要約】
【課題】例えば、クラッドの界面での反射光が導波路に再結合するのを抑制することが可能となるような、改善された新規な光導波路構造および半導体光増幅器を得る。
【解決手段】光導波路構造は、例えば、第二方向に延びる第一コア層と、当該第一コア層を取り囲む第一クラッド層と、を有した第一導波路と、第一コア層に対して第二方向に隣接し第一コア層と光学的に接続され第二方向に延びる第二コア層と、当該第二コア層を第一方向に挟む第二クラッド層と、を有した第二導波路と、を備え、第一クラッド層の第二方向の端面が、当該第一クラッド層とは屈折率が異なる部位との第一界面を構成し、第一界面は、伝送される光の一部を反射する第一反射面を有し、当該第一反射面は、当該光の一部に対する当該第一反射面での反射光が、第一導波路または第二導波路に再結合しないよう、当該反射光を第二方向または第二方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に積層された積層構造を有し、少なくとも当該第一方向と交差した第二方向の端部において当該第二方向に延びる第一コア層と、当該第一コア層を取り囲む第一クラッド層と、を有した第一導波路と、
前記第一方向に積層された積層構造を有し、前記第一コア層に対して前記第二方向に隣接し前記第一コア層と光学的に接続され少なくとも前記第二方向の反対方向の端部において前記第二方向に延びる第二コア層と、当該第二コア層を前記第一方向に挟む第二クラッド層と、を有した第二導波路と、
を備え、
前記第二方向または当該第二方向の反対方向に光を伝送し、
前記第一クラッド層の前記第二方向の端面が、当該第一クラッド層とは屈折率が異なる部位との第一界面を構成している、光導波路構造であって、
前記第一界面は、伝送される光の一部を反射する第一反射面を有し、当該第一反射面は、当該光の一部に対する当該第一反射面での反射光が、前記第一導波路または前記第二導波路に再結合しないよう、当該反射光を前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射する、光導波路構造。
【請求項2】
前記第一反射面は、前記第二方向に向かうにつれて前記第一コア層または前記第二コア層の中心軸に近付くように、前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜した、請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項3】
前記第一界面は、空洞との間の境界である、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項4】
前記第一界面は、前記光導波路構造に設けられた開口に収容された物質との間の境界である、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項5】
前記第二コア層の前記第二方向の反対方向の端部は、前記第二方向に向かうにつれて前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向における幅が徐々に狭くなるテーパ部を有した、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項6】
前記端面は、前記第一反射面と前記第二コア層との間に位置し前記テーパ部の前記第三方向または当該第三方向の反対方向の第一側面から連なるように延びた延長部位を有した、請求項5に記載の光導波路構造。
【請求項7】
前記第一コア層の前記第二方向の端部が、前記第一界面と連なり、当該第一コア層とは屈折率が異なる部位との第二界面を構成し、
前記第二界面は、伝送される光の一部を反射する第二反射面を有し、当該第二反射面は、当該光の一部に対する当該第二反射面での反射光が、前記第一導波路または前記第二導波路に再結合しないよう、当該反射光を前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射する、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項8】
前記第一反射面は、前記光導波路構造において導波される光のビームの外縁より光軸側と前記外縁より光軸とは反対側との間に渡って設けられた、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項9】
前記第二導波路は、ハイメサ導波路である、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項10】
前記第二導波路は、ダブルクラッド導波路である、請求項1または2に記載の光導波路構造。
【請求項11】
請求項1または2に記載の光導波路構造を備えた、半導体光増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路構造および半導体光増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、埋込導波路とハイメサ導波路とを含む光導波路構造を備えた半導体光増幅器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-27314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らの鋭意研究によれば、この種の光導波路構造では、埋込導波路のクラッドのハイメサ導波路側の端面に、屈折率が異なる界面が生じた場合、当該界面で反射した光が埋込導波路に再結合してしまう場合があることが判明した。当該反射光が、光導波路構造を含むまたは光導波路構造と光学的に接続された半導体光増幅器に入力された場合、利得スペクトルにリップルが生じるなどの不都合な事象が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、クラッドの界面での反射光が導波路に再結合するのを抑制することが可能となるような、改善された新規な光導波路構造および半導体光増幅器を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光導波路構造は、例えば、第一方向に積層された積層構造を有し、少なくとも当該第一方向と交差した第二方向の端部において当該第二方向に延びる第一コア層と、当該第一コア層を取り囲む第一クラッド層と、を有した第一導波路と、前記第一方向に積層された積層構造を有し、前記第一コア層に対して前記第二方向に隣接し前記第一コア層と光学的に接続され少なくとも前記第二方向の反対方向の端部において前記第二方向に延びる第二コア層と、当該第二コア層を前記第一方向に挟む第二クラッド層と、を有した第二導波路と、を備え、前記第二方向または当該第二方向の反対方向に光を伝送し、前記第一クラッド層の前記第二方向の端面が、当該第一クラッド層とは屈折率が異なる部位との第一界面を構成している、光導波路構造であって、前記第一界面は、伝送される光の一部を反射する第一反射面を有し、当該第一反射面は、当該光の一部に対する当該第一反射面での反射光が、前記第一導波路または前記第二導波路に再結合しないよう、当該反射光を前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射する。
【0007】
前記光導波路構造では、前記第一反射面は、前記第二方向に向かうにつれて前記第一コア層または前記第二コア層の中心軸に近付くように、前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜してもよい。
【0008】
前記光導波路構造では、前記第一界面は、空洞との間の境界であってもよい。
【0009】
前記光導波路構造では、前記第一界面は、前記光導波路構造に設けられた開口に収容された物質との間の境界であってもよい。
【0010】
前記光導波路構造では、前記第二コア層の前記第二方向の反対方向の端部は、前記第二方向に向かうにつれて前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向における幅が徐々に狭くなるテーパ部を有してもよい。
【0011】
前記光導波路構造では、前記端面は、前記第一反射面と前記第二コア層との間に位置し前記テーパ部の前記第三方向または当該第三方向の反対方向の第一側面から連なるように延びた延長部位を有してもよい。
【0012】
前記光導波路構造では、前記第一コア層の前記第二方向の端部が、前記第一界面と連なり、当該第一コア層とは屈折率が異なる部位との第二界面を構成し、前記第二界面は、伝送される光の一部を反射する第二反射面を有し、当該第二反射面は、当該光の一部に対する当該第二反射面での反射光が、前記第一導波路または前記第二導波路に再結合しないよう、当該反射光を前記第二方向または当該第二方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射してもよい。
【0013】
前記光導波路構造では、前記第一反射面は、前記光導波路構造において導波される光のビームの外縁より光軸側と前記外縁より光軸とは反対側との間に渡って設けられてもよい。
【0014】
前記光導波路構造では、前記第二導波路は、ハイメサ導波路であってもよい。
【0015】
前記光導波路構造では、前記第二導波路は、ダブルクラッド導波路であってもよい。
【0016】
本発明の半導体光増幅器は、例えば、前記光導波路構造を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、改善された新規な光導波路構造および半導体光増幅器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の光導波路構造の例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV断面図である。
図5図5は、図1のV-V断面図である。
図6図6は、第1実施形態の変形例の光導波路構造の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第2実施形態の光導波路構造の例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII断面図である。
図9図9は、第3実施形態の光導波路構造の例示的かつ模式的な平面図である。
図10図10は、第4実施形態の光導波路構造の例示的かつ模式的な平面図である。
図11図11は、第4実施形態の光導波路構造を備えた半導体光増幅器の例示的かつ模式的な平面図である。
図12図12は、図11のXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0020】
以下に示される複数の実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0021】
本明細書において、序数は、方向や、部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではないし、個数を限定するものでもない。
【0022】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。なお、X方向は、延方向と称され、Y方向は幅方向と称され、Z方向は、高さ方向あるいは積層方向と称されうる。なお、本明細書において、平面視とは、Z方向の反対方向に見た場合を示す。
【0023】
また、各図は説明を目的とした模式図であって、各図と実物とでスケールや比率は、必ずしも一致しない。
【0024】
[第1実施形態]
[基本構造]
図1は、第1実施形態の光導波路構造100A(100)の平面図である。
【0025】
図1に示されるように、光導波路構造100A(100)は、第一導波路10A(10)と、第二導波路20A(20)と、を備えている。第一導波路10は、埋込導波路であり、第二導波路20は、ハイメサ導波路である。
【0026】
図2は、図1のII-II断面図である。図2に示されるように、第一導波路10は、各層が基板30上にZ方向に積層された積層構造を有している。基板30は、例えば、n-InPで作られる。第一導波路10は、公知の製造方法により作ることができる。また、第一導波路10は、コア層11と、当該コア層11を取り囲むクラッド層12と、を有している。コア層11は、例えば、InGaAsPで作られる。また、クラッド層12は、p-クラッド12Pと、n-クラッド12Nと、を有している。p-クラッド12Pは、例えば、p-InPで作られ、n-クラッド12Nは、例えば、n-InPで作られる。Z方向は第一方向の一例であり、コア層11は、第一コア層の一例であり、クラッド層12は、第一クラッド層の一例である。
【0027】
また、コア層11は、図1に示される範囲、すなわち第一導波路10の少なくともX方向の端部において、クラッド層12内で、Y方向における略一定の幅、およびZ方向における略一定の高さで、X方向に延びている。X方向は、第二方向の一例である。
【0028】
図3は、図1のIII-III断面図である。図3に示されるように、第二導波路20も、各層が基板30上にZ方向に積層された積層構造を有している。第二導波路20も、公知の製造方法により作ることができる。また、第二導波路20は、コア層21と、当該コア層21をZ方向に挟むクラッド層22と、を有している。コア層21は、例えば、InGaAsPで作られる。また、クラッド層22は、p-クラッド22Pと、n-クラッド22Nと、を有している。p-クラッド22Pは、例えば、p-InPで作られ、n-クラッド22Nは、例えば、n-InPで作られる。コア層21は、第二コア層の一例であり、クラッド層22は、第二クラッド層の一例である。
【0029】
図1,3に示されるように、第二導波路20は、Z方向の端面100aからZ方向の反対方向に凹んだ二つの凹部101が設けられることにより、当該凹部101の底面101aに対して相対的にZ方向に突出している。なお、本実施形態では、凹部101は、空洞であるが、凹部101には、何らかの物質が充填されてもよい。その場合、当該物質の屈折率は、少なくともコア層11,21の屈折率と異なるとともに、クラッド層12,22の屈折率とも異なる値となる。凹部101は、空洞の一例であり、開口の一例でもある。
【0030】
また、コア層21およびクラッド層22は、図1に示される範囲、すなわち第二導波路20の少なくともX方向の反対方向の端部において、Y方向における略一定の幅、およびZ方向における略一定の高さで、X方向に延びている。
【0031】
図4は、図1のIV-IV断面図である。図4に示されるように、第二導波路20のn-クラッド22Nは、第一導波路10のn-クラッド12Nに対してX方向に隣接し、第二導波路20のコア層21は、第一導波路10のコア層11に対してX方向に隣接し、第二導波路20のp-クラッド22Pは、第一導波路10のp-クラッド12Pに対してX方向に隣接している。Z方向においてコア層11の位置とコア層21の位置とは同じであり、コア層11の高さとコア層21の高さとは同じである。また、図1に示されるように、Y方向において、コア層11の位置とコア層21の位置とは同じであり、コア層11の幅とコア層21の幅とは同じである。このような構成により、第一導波路10と第二導波路20とは、光学的に接続されている。
【0032】
図5は、図1のV-V断面図である。図5および図3に示されるように、第一導波路10の、コア層11に対してY方向およびY方向の反対方向に位置するクラッド層12の端面12aは、凹部101に面することになる。
【0033】
ここで、図3中に破線の楕円内の領域が、光Lの伝送領域である。上述したような構成の第一導波路10において伝送される光Lは、一般的には、図3に示されるように、コア層11よりも広い範囲で伝送される。一例として、光Lの外縁は、強度が光Lの中心部の最大強度の1/eである位置と定義することができる。また、クラッド層12の屈折率と凹部101内の気体(例えば空気)の屈折率とは、互いに異なる。このため、第一導波路10においてX方向に伝送される光Lのうち、クラッド層12内で伝送される部分は、当該端面12aにおいて反射されることになる。すなわち、端面12aは、互いに屈折率が異なる界面(第一界面)を構成している。当該端面12aのうち、クラッド層12内で伝送される部分を反射する部位は、第一反射面の一例である。
【0034】
この場合に、仮に、端面12aが平面視(図1)でY方向に延びていると、当該端面12aでの反射光は、クラッド層12内でX方向の反対方向に向かい、クラッド層12と再結合する場合がある。当該クラッド層12と再結合された反射光が、光導波路構造100を含むまたは光導波路構造100と光学的に接続された半導体光増幅器に入力された場合、利得スペクトルにリップルが生じるなどの不都合な事象が生じる虞がある。
【0035】
そこで、本実施形態では、図1に示されるように、平面視で、端面12aは、Y方向に対して傾斜し、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcが、当該端面12aにおいて、X方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射するよう、構成されている。図1中、Lrは、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcに対する反射光である。本実施形態によれば、このような構成により、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcに対する端面12aでの反射光Lrが第一導波路10と再結合するのを抑制し、ひいては当該再結合により不都合な事象が生じるのを、抑制することができる。
【0036】
なお、当該端面12aによって得られる作用および効果は、第二導波路20から第一導波路10へX方向の反対方向に向けて進む光に対しても得られる。
【0037】
また、当該構成において、端面12aのうち、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcを反射する領域(第一反射面)の法線方向Dnと、コア層11,21の中心軸Axとの間の鋭角の角度θの絶対値は、平面視で、15°以上かつ35°以下とするのが好ましいことが判明した。
【0038】
さらに、図1に示されるように、本実施形態では、端面12aのうち、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcを反射する領域(第一反射面)は、X方向に向かうにつれて、コア層11,21の中心軸Axに近付くように傾斜するのが好ましい。これは、仮に、これとは逆向き、すなわち、図6の変形例のように、端面12aがX方向に向かうにつれてコア層11,21の中心軸Axから遠ざかるように傾斜した場合にあっては、第二導波路20との接続部分の近傍において、当該端面12a上に、法線方向DnがX方向の反対方向に向き反射光LrがX方向の反対方向に向かってしまう部位Pが生じる虞があるからである。
【0039】
また、図3に示されるように、端面12aのうち、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lc(図1参照)を反射する部位、すなわち第一反射面は、光Lの外縁(図3における二点鎖線の位置)より光軸Ax1側と光軸Ax1とは反対側との間に渡って設けられている。これにより、当該端面12aにおいて、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcを、より確実に、光Lと再結合しない方向に反射することができる。
【0040】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の光導波路構造100B(100)の平面図であり、図8は、図7のVIII-VIII断面図である。本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、第一導波路10B(10)のクラッド層12は、端面12aを有している。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
ただし、本実施形態では、図7に示されるように、第一導波路10B(10)において、コア層11は、Y方向における幅が略一定の直状部11sと、Y方向における幅がX方向に向かうにつれて徐々に拡大する拡幅部11wと、を有している。また、第二導波路20B(20)は、Y方向における幅がX方向に向かうにつれて徐々に減少するテーパ部20tと、Y方向における幅が略一定の直状部20sと、を有している。テーパ部20tは、スポットサイズコンバータを構成している。Y方向は、第三方向の一例である。
【0042】
テーパ部20tの側面20t1は、X方向に向かうにつれて、コア層11またはコア層21の中心軸Axに近付くように、X方向に対して傾斜している。側面20t1は、テーパ部20tのY方向またはY方向の反対方向の側面であり、第一側面の一例である。
【0043】
第一導波路10Bのクラッド層12のX方向の端部は、端面12aと側面20t1との間に位置した側面12bを有する。当該側面12bは、テーパ部20tの側面20t1に対してX方向の反対方向に隣接し、当該側面20t1から連なるように延びており、X方向に対して傾斜している。側面12bは、延長部位の一例である。
【0044】
この場合、光Lのうち端面12aに当たる部分は、当該端面12aによって、上記第1実施形態と同様に、光Lと再結合しない方向に反射される。また、光Lのうち側面12bより内側の部分は、当該側面12bの内側に閉じ込められ、コア層21と結合する。
【0045】
このように、クラッド層12が端面12aを有した構成は、第一導波路10と第二導波路20との間にスポットサイズコンバータを備えた光導波路構造100Bに対しても適用することができる。
【0046】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態の光導波路構造100C(100)の平面図である。本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、第一導波路10C(10)のクラッド層12は、端面12aを有している。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
ただし、本実施形態では、図9に示されるように、第二導波路20C(20)が、ダブルクラッド導波路である。すなわち、第二導波路20Cにおいて、クラッド層22は、コア層21を第1実施形態と同様にZ方向に挟む部位と、コア層21C(21)をY方向に挟む部位22sとを有し、当該コア層21を取り囲んでいる。クラッド層22は、ダブルクラッドの内側クラッドとして機能する。また、凹部101は、部位22sに対してコア層21とは反対側に位置しており、当該凹部101は、ダブルクラッドの外側クラッドとして機能する。
【0048】
また、本実施形態では、Y方向におけるコア層21C(21)の幅は、X方向に向かうにつれて徐々に減少しており、スポットサイズコンバータを構成している。
【0049】
このように、クラッド層12が端面12aを有した構成は、第二導波路20C(20)がダブルクラッド導波路である光導波路構造100Cに対しても適用することができる。
【0050】
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態の光導波路構造100D(100)の平面図である。本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、第一導波路10D(10)のクラッド層12は、端面12aを有している。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
ただし、本実施形態では、図10に示されるように、第二導波路20D(20)のY方向における幅が第一導波路10D(10)のコア層11のY方向における幅より狭く、コア層11とコア層21との間に段差が形成されている。当該段差において、第一導波路10D(10)のコア層11が、端面12aと連なった端面11aを有している。端面11aは、コア層11とは屈折率が異なる部位としての凹部101内の媒質との間で界面を構成している。端面11aは、第二界面の一例である。
【0052】
端面11aは、端面12aと同様に、平面視で、Y方向に対して傾斜し、光Lのクラッド層12で伝送される部分Lcが、当該端面11aにおいて、X方向の反対方向に対して傾斜した方向に向けて反射するよう、構成されている。本実施形態によれば、このような構成により、端面11aでの反射光が第一導波路10と再結合して光Lの伝送特性が低下するのを、抑制することができる。当該端面11aは、第二反射面の一例である。
【0053】
[第5実施形態]
図11は、第5実施形態の光導波路構造100E(100)の平面図である。本実施形態では、上記第2実施形態と同様の二つの第一導波路10B(10)と当該第一導波路10B(10)と光学的に接続された二つの第二導波路20B(20)とを備えている。よって、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の効果、ひいては上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
また、光導波路構造100E(100)は、半導体光増幅器として構成されている。すなわち、本実施形態では、二つの第二導波路20Bは、U字状の導波路20Eを介して光学的に接続されている。導波路20Eは、第二導波路20Bと同様の断面構造を有したハイメサ導波路であって、パッシブ導波路である。
【0055】
そして、光導波路構造100E(100)は、第一導波路10B(10)に対して第二導波路20B(20)とは反対側に、光増幅部として機能する導波路10Eを備えている。図12は、図11のXII-XII断面図である。図12に示されるように、導波路10Eは、埋込導波路である。コア層11Eは、活性層であり、例えば、InGaAsPで作られる。クラッド層12P(12)に対してコア層11Eとは反対側にはコンタクト層13が設けられ、当該コンタクト層13に対してコア層11Eとは反対側には、電極40Pが設けられている。コンタクト層13は、P型InGaAsPで作られる。電極40Pは、P側電極であって、例えば、AuやAuZnを含んだ構成を有している。他方、基板30に対してコア層11Eとは反対側には、電極40Nが設けられている。電極40Nは、N側電極であって、例えば、AuGeや、Ni、Au等を含んだ構成を有している。
【0056】
導波路10Eでは、電極40P,40N間で励起電流を流すことにより、光増幅作用を得ることができる。
【0057】
このように、クラッド層12が端面12aを有した構成は、光増幅部として機能する導波路10E(10)を備えた光導波路構造100E(100)に対しても適用することができる。なお、本実施形態では、半導体光増幅器として機能する光導波路構造100Eが、第2実施形態の第一導波路10Bおよび第二導波路20Bを備えた構成を例示したが、これには限定されず、半導体光増幅器として機能する光導波路構造100は、他の実施形態の第一導波路10または他の実施形態の第二導波路20を備えてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0059】
例えば、本実施形態の光導波路構造は、例えば、波長可変レーザのような、他の光学装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10,10A~10D…第一導波路
10E…導波路(増幅部)
11…コア層(第一コア層)
11E…コア層(活性層)
11a…端面(第二界面、第二反射面)
11s…直状部
11w…拡幅部
12…クラッド層(第一クラッド層)
12N…n-クラッド
12P…p-クラッド
12a…端面(第一界面、第一反射面)
12b…側面(延長部位)
20,20A~20D…第二導波路
20s…直状部
20t…テーパ部
20t1…側面(延長部位)
21,21C…コア層(第二コア層)
22…クラッド層(第二クラッド層)
22N…n-クラッド
22P…p-クラッド
22s…部位
30…基板
40P…電極(P側電極)
40N…電極(N側電極)
100,100A~100D…光導波路構造
100E…光導波路構造(半導体光増幅器)
100a…端面
101…凹部(空洞)
101a…底面
Ax…中心軸
Ax1…光軸
Dn…法線方向
L…光
Lc…(クラッド層内で伝送される)部分
Lr…反射光
P…部位
X…方向(第二方向)
Y…方向(第三方向)
Z…方向(第一方向)
θ…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12