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特開2024-110846重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110846
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/00 20060101AFI20240808BHJP
   C08F 299/00 20060101ALI20240808BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C08F8/00
C08F299/00
C08L33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015694
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4J002BG031
4J002CC032
4J002CD002
4J002EL136
4J002EL146
4J002EN036
4J002EN046
4J002EN076
4J002EV216
4J002FD142
4J002FD146
4J002GJ01
4J002GP03
4J002GQ01
4J002GQ05
4J100AJ02P
4J100AL03Q
4J100AL08S
4J100AL09P
4J100AL10P
4J100AL63R
4J100AL67R
4J100AM17P
4J100BA02P
4J100BA02R
4J100BA16P
4J100BA21R
4J100BA42P
4J100BC43S
4J100BC54P
4J100CA05
4J100HA11
4J100HC29
4J100HC75
4J100HE08
4J100JA01
4J100JA38
4J100JA43
4J100JA44
4J127AA01
4J127AA03
4J127AA04
4J127BA01
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB221
4J127BC061
4J127BC151
4J127BD061
4J127BD172
4J127BE331
4J127BE33Y
4J127BE341
4J127BE34Y
4J127BG171
4J127BG17Z
4J127BG201
4J127BG20X
4J127CA01
4J127FA07
4J127FA14
4J127FA17
4J127FA18
4J127FA37
4J127FA38
4J127FA41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】硬化時において、高伸度を示し、かつ耐熱黄変性及び密着性に優れた、重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに物品を提供する。
【解決手段】本開示は、(メタ)アクリレート化合物(a1)、第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)、並びに多官能モノマー化合物(a3)を必須の反応原料(i)とする(メタ)アクリル共重合体(A)と、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記化合物(a2)とは異なる化学構造を備え、かつ第2重合性不飽和基及び前記第1反応性官能基と反応し得る第2反応性官能基を有する化合物(B)と、を必須の反応原料(1)とすることを特徴とする重合不飽和基含有樹脂である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレート化合物(a1)、第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)、並びに多官能モノマー化合物(a3)を必須の反応原料(i)とする(メタ)アクリル共重合体(A)と、
前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記化合物(a2)とは異なる化学構造を備え、かつ第2重合性不飽和基及び前記第1反応性官能基と反応し得る第2反応性官能基を有する化合物(B)と、を必須の反応原料(1)とすることを特徴とする重合不飽和基含有樹脂。
【請求項2】
前記反応原料(i)は、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)100質量部に対して、前記多官能モノマー(a3)を5質量部以下含有する、請求項1に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【請求項3】
前記第1反応性官能基が、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基及びアクリルアミド基からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【請求項4】
前記第1重合性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリルアミド基からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル共重合体(A)と前記化合物(B)との混合割合が、前記(メタ)アクリル共共重合体(A)が有する第1反応性官能基1モルに対して、前記化合物(B)が有する前記第2反応性官能基が、0.5~1.05モルとなる範囲である、請求項1又は2のいずれか1項記載の重合不飽和基含有樹脂。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の重合不飽和基含有樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記硬化性樹脂組成物が、さらに、前記重合不飽和基含有樹脂以外のその他重合性不飽和基を有する樹脂(X)を含有するものである、請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記硬化性樹脂組成物が、さらに、有機溶剤及び/又は硬化剤を含有する、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項7に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項11】
請求項9に記載の硬化物からなることを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物や、熱により硬化可能な熱硬化性樹脂組成物などの硬化性樹脂組成物は、インキ、塗料、コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において広く用いられている。
なかでも、上記コーティング剤は、用途に応じて、硬化性、耐熱性又は低誘電特性をはじめとする種々の特性が求められることから、上記特性に見合った適切な材料を用いて製造することが肝要である。
例えば、特許文献1には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸と、無水フタル酸とを反応させて得られる中間体に、更にテトラヒドロ無水フタル酸を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂を含む感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-512473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の技術は、硬化物における耐熱性及び耐熱黄変性が不十分である等の問題があった。特にLED向け白色レジストインキ用樹脂組成物等に代表されるコーティング材料には、高耐熱黄変性が要求されるが、上記特許文献1等に代表される従来の酸変性エポキシアクリレートでは、耐熱黄変性の問題が依然として残っている。
そこで、本開示が解決しようとする技術的課題は、硬化時において、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた、重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物、並びにその硬化物及び物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の(メタ)アクリル共重合体(A)と、特定の化合物(B)とを必須の反応原料(1)とする重合不飽和基含有樹脂を用いることにより、硬化時において、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた、重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成物、並びにその硬化物及び物品が得られることを見いだし、以下の本発明を完成するに至った。
【0006】
[1](メタ)アクリレート化合物(a1)、第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)、並びに多官能モノマー化合物(a3)を必須の反応原料(i)とする(メタ)アクリル共重合体(A)と、
前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記化合物(a2)とは異なる化学構造を備え、かつ第2重合性不飽和基及び前記第1反応性官能基と反応し得る第2反応性官能基を有する化合物(B)とを必須の反応原料(1)とすることを特徴とする重合不飽和基含有樹脂。
【0007】
[2]前記反応原料(i)は、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)100質量部に対して、前記多官能モノマー化合物(a3)5質量部以下を含有する、[1]に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【0008】
[3]前記第1反応性官能基が、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基及びアクリルアミド基からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]又は[2]に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【0009】
[4]前記第1重合性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリルアミド基からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【0010】
[5]前記(メタ)アクリル共重合体(A)と前記化合物(B)との混合割合が、前記(メタ)アクリル共共重合体(A)が有する第1反応性官能基1モルに対して、前記化合物(B)が有する前記第2反応性官能基が、0.5~1.05モルとなる範囲である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の重合不飽和基含有樹脂。
【0011】
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載の重合不飽和基含有樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【0012】
[7]前記硬化性樹脂組成物が、前記重合不飽和基含有樹脂以外のその他重合性不飽和基を有する樹脂(X)をさらに含有するものである、[6]に記載の硬化性樹脂組成物。
【0013】
[8]前記硬化性樹脂組成物が、有機溶剤及び/又は硬化剤をさらに含有する、[6]又は[7]に記載の硬化性樹脂組成物。
【0014】
[9]上記[6]~[8]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【0015】
[10]上記[9]に記載の硬化物からなる塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、硬化時において、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた、重合不飽和基含有樹脂、硬化性樹脂組成、並びにその硬化物、及び物品を提供しうる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」と称する。)について詳細に説明するが、本開示は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0018】
<用語>
本明細書における「反応原料」とは、化合又は分解といった化学反応により目的の化合物を得るために用いられ、目的の化合物の化学構造を部分的に構成する化合物をいい、触媒及び溶媒は除外される。本明細書では特に、「反応原料」とは、目的の重合不飽和基含有樹脂又は(メタ)アクリル共重合体(A)を化学反応により得るための前駆体をいう。
本明細書における「構造単位」とは、反応又は重合時に形成される化学構造の(繰り返し)単位をいい、換言すると、反応又は重合よりに形成される生成化合物において、当該反応又は重合に関与する化学結合の構造以外の部分構造をいい、いわゆる残基をいう。
本明細書における「芳香族基」は、炭素原子数3~30の芳香族環を有することが好ましく、炭素原子数4~26の芳香族環を有することがより好ましい。そして、本明細書における「芳香族基」は、当該芳香族基中の芳香族環の水素原子が、置換基、例えば、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されてもよい。また、「芳香族基」は、複素芳香族を含み、「芳香族基」中の-CH-又は-CH=が互いに隣接しないよう、-O-、-S-又は-N=に置換されてもよい。当該芳香族環の種類は、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環又は環集合芳香族環等が挙げられる。前記単環芳香族環としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。前記縮環芳香族環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等が挙げられる。前記環集合芳香族環としては、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等が挙げられる。また、当該芳香族基中の芳香族環の水素原子が、例えば、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されてもよい。なお、二価の芳香族基とは、「芳香族基」中の水素原子を2つ除いた基をいう。
本明細書における「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントリル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。また、当該「アリール基」は、当該アリール基中の芳香族環の水素原子が、例えば、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数2~12のアルケニル基又はハロゲン原子に置換されてもよい。なお、「アリーレン基」は、前記「アリール基」から任意の水素原子を1つ除いた二価の基が挙げられる。
本明細書における「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ビフェニル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。当該アラルキル基中の芳香族環の水素原子が、例えば、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~12のアルケニル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されてもよい。なお、「アラルキレン基」は、前記「アラルキル基」から任意の水素原子を1つ除いた二価の基が挙げられる。
本明細書における「アリールオキシ基」は、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基、フェナントリルオキシ基又はピレニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書における「アリールチオ基」は、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アンスリルチオ基、フェナントリルチオ基又はピレニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられる。
本明細書における「アルキル基」は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、(n-)ヘプチル基、(n-)オクチル基、(n-)ノニル基、(n-)デシル基、(n-)ウンデシル基、(n-)ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基又はシクロノニル基が挙げられる。アルキレン基は、上記アルキル基から1つの水素原子を除いた基である。アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ペンチレンオキサイド基等が挙げられる。
本明細書における「シクロアルキル基」は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基又はアダマンチル基等が挙げられる。
本明細書における「アルキルチオ基」は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基又は2-エチルヘキシルチオ基が挙げられる。
本明細書における「アルケニル基」は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ビニル基、アリル基又はイソプロペニル基等が挙げられる。
本明細書における「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基又はノニルオキシ基等が挙げられる。
本明細書における「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書における「一価の有機基」は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましい。また、当該アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-は、-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよい。また、「二価の有機基」は、上記一価の有機基中の任意の水素原子を1つ取り除いた基をいう。さらに、「三価の有機基」は、上記一価の有機基中の任意の水素原子を2つ取り除いた基をいう。そして、「六価の有機基」は、上記一価の有機基中の任意の水素原子を5つ取り除いた基をいう。
【0019】
[重合不飽和基含有樹脂]
本開示は、第1反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体(A)と、第2反応性官能基を有する化合物(B)と、を必須の反応原料(1)とする重合不飽和基含有樹脂である。より詳細には、本開示の重合不飽和基含有樹脂は、第1反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体(A)由来の構造単位と、前記第1反応性官能基と反応しうる第2反応性官能基を有する化合物(B)由来の構造単位を分子内に有する。
そして、前記(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリレート化合物(a1)、第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)、並びに多官能モノマー化合物(a3)を必須の反応原料(i)とする共重合体である。
また、前記第2反応性官能基を有する化合物(B)は、第2重合性不飽和基と、前記第1反応性官能基と反応し得る第2反応性官能基とを有し、かつ前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記化合物(a2)とは異なる化学構造を備える。
これにより、硬化時において、高伸度を示し、かつ耐熱黄変性及び密着性に優れた、重合不飽和基含有樹脂を提供しうる。
なお、前記第1反応性官能基及び前記第2反応性官能基は、それぞれ独立して、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基又はアルコキシ基から、互いに反応する基がそれぞれ選択されうる。
【0020】
本実施形態において、重合不飽和基含有樹脂中の(メタ)アクリル共重合体(A)由来の構造単位は、重合不飽和基含有樹脂の総量(固形分の総量)に対して、概ね10~90質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましい。
本実施形態において、重合不飽和基含有樹脂中の化合物(B)由来の構造単位は、重合不飽和基含有樹脂の総量に対して、概ね5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
以下、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂の反応原料(1)の各成分である、(メタ)アクリル共重合体(A)及び第2反応性官能基を有する化合物(B)について説明する。
【0021】
((メタ)アクリル共重合体(A))
本実施形態の(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリレート化合物(a1)、第1重合性不飽和基及び前記第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)、並びに多官能モノマー化合物(a3)を必須の反応原料(i)とする共重合体である。
本開示の重合不飽和基含有樹脂を構成する構造単位として、(メタ)アクリル共重合体(A)由来の構造単位を含むことにより、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮しうる。
【0022】
以下、本実施形態の(メタ)アクリル共重合体(A)の反応原料(i)の各成分について説明する。
<(メタ)アクリレート化合物(a1)(以下、化合物(a1)とも称する。)>
本開示の(メタ)アクリル共重合体(A)を構成する構造単位として、(メタ)アクリレート化合物(a1)由来の構造単位を含むことにより、高伸度、感度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮しうる。
本実施形態の(メタ)アクリレート化合物(a1)は、分子内に1又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能又は二官能(メタ)アクリレートモノマーでありうる。
【0023】
本実施形態の(メタ)アクリレート化合物(a1)は、(メタ)アクリレート基を有し、かつ芳香族環を有しない非芳香族性の化合物(いわゆる、脂肪族性化合物)であっても、あるいは(メタ)アクリレート基を有し、かつ芳香族環を有する芳香族性の化合物であってもよい。耐熱黄変性を重視する場合は、芳香族環を有する芳香族性の化合物が好ましい。
当該非芳香族性の化合物としては、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれでもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0024】
上記(メタ)アクリレート化合物(a1)が単官能(メタ)アクリレートモノマーである場合、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフタルイミド、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルベンジルアクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシベンジルアクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレート、メタクリル酸フェニル、フェニルベンジルメタクリレート、フェノキシベンジルメタクリレート、ビフェニルメチルメタクリレート、フェノールEO変性メタクリレート、フェノールPO変性メタクリレート、ノニルフェノールEO変性メタクリレート、ノニルフェノールPO変性メタクリレート、フェニルフェノールEO変性メタクリレート、フェニルフェノールPO変性メタクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル又はN-フェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0025】
上記(メタ)アクリレート化合物(a1)が二官能(メタ)アクリレートモノマーである場合、例えば、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレ-ト、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型EO変性ジメタクリレート、ビスフェノールA型PO変性ジメタクリレート、ビスフェノールF型EO変性ジメタクリレート、ビスフェノールF型PO変性ジメタクリレート、ビフェノールジメタクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2つの水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジアクリレート、ビスフェノールジアクリレート等の芳香族ジアクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した四官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した四官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物化合物(a1)は、単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。また、これらの中でも、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能な重合不飽和基含有樹脂が得られることから、単官能メタクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
【0026】
本実施形態において、(メタ)アクリル共重合体(A)全体に対する、(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有量(換言すると、(メタ)アクリレート化合物化合物(a1)の構造単位の含有量)は、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能な重合不飽和基含有樹脂が得られることから、前記共重合体(A)中に3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。なかでも、(メタ)アクリレート化合物(a1)としてベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する芳香族性の化合物を選択する場合は、前記共重合体(A)中の芳香族環を有する芳香族性の化合物(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート)の含有量は、3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、3質量%超10質量%以下の範囲がより好ましい。一方、(メタ)アクリレート化合物(a1)として(メタ)アクリル酸メチルを選択する場合、前記共重合体(A)中の(メタ)アクリル酸メチルの含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%超38質量%以下の範囲がより好ましい。
【0027】
<第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)(以下、化合物(a2)とも称する。)>
本開示の(メタ)アクリル共重合体(A)を構成する構造単位として、化合物(a2)由来の構造単位を含むことにより、不飽和結合量の調整がしやすく、その結果、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮しうる。
本実施形態の第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1以上有する化合物(a2)は、分子内に1又は2個の第1重合性不飽和基と、分子内に1又は2以上の第1反応性官能基とを有し、かつ(メタ)アクリレート化合物化合物(a1)とは異なる化学構造を有する。
本実施形態において、当該化合物(a2)としては、一分子中に第1反応性官能基及び第1重合性不飽和基を有するものを用いることが好ましい。なお、本明細書において、「重合性不飽和基」とは、ラジカル重合し得る不飽和基を意味する。
前記第1反応性官能基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。これらの第1反応性官能基は、単独で有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。但し、化合物(a2)は、(メタ)アクリレート化合物化合物(a1)とは異なる化学構造を有する。また、化合物(a2)が2つ以上の第1反応性官能基を有する場合、複数存在する第1反応性官能基が、他の反応性官能基のいずれか1つと同一であってもあるいは異なる化学構造であればよい。また、化合物(a1)が2つ以上の第1反応性官能基を有する場合、複数存在する第1反応性官能基のいずれか1つの基が、(メタ)アクリレート化合物化合物(a1)と異なる化学構造であればよい。
【0028】
本実施形態において、第1重合性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロぺニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基又は(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。なかでも、分子内の不飽和結合量の調整がしやすく、その結果、高伸度、感度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮する観点から(メタ)アクリロイル基、スチリル基が好ましい。
【0029】
本実施形態において、第1重合性不飽和基及び第1反応性官能基を1又は2以上有する化合物(a2)の好ましい態様としては、第1反応性官能基として水酸基を有する場合、第1反応性官能基としてエポキシ基を有する場合、第1反応性官能基としてイソシアネート基を有する場合、第1反応性官能基としてカルボキシル基を有する場合、及び第1反応性官能基としてアルコキシ基を有する場合の5つの態様が挙げられる。以下、当該5つの態様について説明する。
【0030】
本実施形態の化合物(a2)が第1反応性官能基として水酸基を有する場合、当該化合物(a2)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、前記各種化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
なかでも、本実施形態の化合物(a2)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0031】
本実施形態の化合物(a2)が第1反応性官能基としてエポキシ基を有する場合、当該化合物(a2)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0032】
本実施形態の化合物(a2)が第1反応性官能基としてイソシアネート基を有する場合、当該化合物(a2)としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ジイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の1つに水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を付加させて得られるものを用いることもできる。
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物などが挙げられる。
なお、前記イソシアネート基を有する化合物(a2)としては、市販品を用いることもでき、前記市販品としては、例えば、昭和電工株式会社製「カレンズAOI」、「カレンズMOI」、「カレンズBEI」等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の化合物(a2)が第1反応性官能基としてカルボキシル基を有する場合、当該化合物(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0034】
本実施形態の化合物(a2)が第1反応性官能基としてアルコキシ基を有する場合、当該化合物(a2)としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0035】
本実施形態において、上記化合物(a2)の例示以外の化合物(a2)としては、例えば、桂皮酸等の不飽和酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸等の分子中に不飽和結合を有する酸無水物、アリルアルコール等の反応性官能基を有するアリル化合物、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル等の第1反応性官能基を有するビニルエーテル化合物、N-(4-アミノフェニル)マレイミド等の第1反応性官能基を有するマレイミド化合物、4-ビニル安息香酸等の第2反応性官能基を有するスチリル化合物などが挙げられる。
【0036】
本実施形態において、耐熱黄変性に優れた硬化物を形成可能な重合不飽和基含有樹脂が得られることから、化合物(a2)の含有量は、前記(メタ)アクリル共重合体(A)中に40~90質量%の範囲が好ましく、50~90質量%の範囲がより好ましい。
本実施形態にかかる反応原料(i)において、前記化合物(a2)の配合量に対する化合物(a1)の配合量の配合比(化合物(a1)の配合量/化合物(a2))の配合量)は、10/90~50/50が好ましい。耐熱黄変性及び伸度のバランスの観点から上記配合比が好ましい。
【0037】
<多官能モノマー化合物(a3)(以下、化合物(a3)とも称する。)>
本開示の(メタ)アクリル共重合体(A)を構成する構造単位として、多官能モノマー化合物(a3)由来の構造単位を含むことにより、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮する観点からを発揮しうる。
本実施形態の多官能モノマー化合物(a3)は、分子内に3個以上の第3重合性不飽和基を有する化合物でありうる。そして、当該多官能モノマー化合物(a3)は、0以上3以下の第3反応性官能基を有してもよい。当該多官能モノマー化合物(a3)において、当該第3反応性官能基は、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基又はアルコキシ基等を1以上有してもよい。
本実施形態において、第3重合性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基又は(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。なかでも、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮する観点から(メタ)アクリロイル基、スチリル基が好ましい。
本実施形態の多官能モノマー化合物(a3)は、分子内に3個以上20個以下の第3重合性不飽和基を有する化合物であることが好ましく、分子内に3個以上10個以下の第3重合性不飽和基を有する化合物であることがより好ましく、特に好ましくは3個以上6個以下の第3重合性不飽和基を有する。
前記第3重合性不飽和基の数が3個以上6個以下であると、優れた、耐熱黄変性、密着性及び伸度のバランスの観点で好ましい。
本実施形態の多官能モノマー化合物(a3)は、分子内に0個以上3個以下の第3反応性官能基を有する化合物であることが好ましく、分子内に0個以上1個以下の第3反応性官能基を有する化合物であることがより好ましい。
本実施形態にかかる(メタ)アクリル共重合体(A)における多官能モノマー化合物(a3)含有量は、(メタ)アクリル共重合体(A)全体に対して7質量部未満が好ましく、6質量部以下含有することがより好ましく、1~5質量部含有することがさらに好ましく、2~5質量部含有することがよりさらに好ましく、3~5質量部含有することがさらにより好ましい。耐熱黄変性の観点で7質量部未満が好ましく、耐熱黄変性及び伸度のバランスの観点から5質量部以下であることが特に好ましい。
【0038】
本実施形態の多官能モノマー化合物(a3)としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル等が挙げられる。
【0039】
本実施形態の好ましい多官能モノマー化合物(a3)は、以下の一般式(1)で表される。
【化1】
(上記一般式(1)中、Lはそれぞれ独立して、二価の有機基を表し、Pはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、CH=C(Rc1)-C(=O)-、CH=C(Rc1)-C(=O)-O-又はCH=C(Rc1)-C(=O)-NH-(Rc1は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)を表し、nは、3以上20以下の整数を表し、Aは、n価の有機基を表す。但し、一般式(1)中の3つ以上のPは、炭素-炭素の不飽和結合を有する。)
上記一般式(1)において、Lを表す二価の有機基としては、炭素原子数1~30のアルキレン基、炭素原子数6~18のアリーレン基又は炭素原子数7~24のアラルキレン基を表し、但し、当該アルキレン基中の-CH-は、-O-、-C(=O)O-又は-O(C=O)-に置換されてもよく、Lは、アルキレン基、又はアルキレンオキサイド鎖(例えば、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基)であることが好ましい。上記一般式(1)中のRc1は、メチル基が好ましい。
上記一般式(1)中のPは、水素原子、水酸基又はCH=C(R)-C(=O)-であることが好ましい。当該Rは水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基でありうる。
【0040】
本実施形態のより好ましい多官能モノマー化合物(a3)は、以下の一般式(2)又は(3)で表される。
【化2】
(上記一般式(2)中、Lc1、Lc2及びLc3はそれぞれ独立して、二価の有機基を表し、Pc1、Pc2及びPc3はそれぞれ独立して、CH=C(Rc1)-C(=O)-、CH=C(Rc1)-C(=O)-O-又はCH=C(Rc1)-C(=O)-NH-(Rc1は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)を表し、Ac1は、三価の有機基を表す。但し、一般式(2)中の3つ以上のPは、炭素-炭素の不飽和結合を有する。)
【化3】
(上記一般式(3)中、Lc1、Lc2、Lc3、Lc4、Lc5及びLc6はそれぞれ独立して、二価の有機基を表し、Pc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5及びPc6はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、CH=C(Rc1)-C(=O)-、CH=C(Rc1)-C(=O)-O-、CH=C(Rc1)-C(=O)-NH-又は・・・・(Rc1は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)を表し、Ac2は、六価の有機基を表す。但し、一般式(3)中のPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5及びPc6のうち3以上が、炭素-炭素の不飽和結合を有する。)
上記一般式(2)中の二価の有機基としては、炭素原子数1~30のアルキレン基を表し、但し、当該アルキレン基中の-CH-は、-O-、-C(=O)O-又は-O(C=O)-に置換されてもよく、アルキレン基、又はアルキレンオキサイド鎖(例えば、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基)であることが好ましい。
上記一般式(2)中のPc1、Pc2及びPc3は、水素原子、水酸基又はCH=C(Rc1)-C(=O)-であることが好ましい。当該Rc1は水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基でありうる。上記一般式(2)中のRc1は、メチル基が好ましい。
上記一般式(2)中のAc1は、特に以下の式(i)又は(ii)で表される三価の基であることが好ましい。また、上記一般式(2)中のAc1の1以上の水素原子は、Pc1に置換されてもよい。
【化4】
(上記式(i)中、Rc1は炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルキレンオキサイド基を表し、前記アルキル基又はアルキレンオキサイド基中の1以上の水素原子をH=C(Rc1)-C(=O)-に置換してもよい。)
上記一般式(3)中のAc2は、特に以下の式(iii)で表される六価の基であることが好ましい。上記一般式(3)中のRc1は、メチル基が好ましい。
【化5】
(上記式(iii)中、Mc1は炭素原子数1~8のアルキレン基又は炭素原子数1~8のアルキレンオキサイド基を表す。)
【0041】
本実施形態の多官能モノマー化合物(a3)の重量平均分子量は、400~3000であることが好ましく、500~2000であることがより好ましい。
当該重量平均分子量の測定方法は、後述の実施例の欄に記載したゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)により測定している。
【0042】
<反応原料(i)に含まれてもよいその他の重合成分>
本実施形態において、(メタ)アクリル共重合体(A)の反応原料(i)には、前記化合物(a1)、前記化合物(a2)及び前記化合物(a3)以外、必要に応じて、その他の重合成分を含有することもできる。前記その他の重合成分としては、例えば、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)以外の重合性不飽和基を有する化合物(a4)等が挙げられる。
【0043】
前記(メタ)アクリレート化合物(a1)以外の重合性不飽和基を有する化合物(a4)としては、分子中に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物であれば、特に限定されない。前記重合性不飽和基としては、例えば、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられる。これらの化合物(a5)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本実施形態にかかる反応原料(i)において、前記化合物(a1)100質量部に対する化合物(a5)の配合量は、0質量部以上20質量部以下が好ましく、0~10質量部含有することがより好ましく、0~8質量部含有することがさらに好ましい。
【0044】
<(メタ)アクリル共重合体(A)の製造方法>
本実施形態の(メタ)アクリル共重合体(A)の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、前記化合物(a1)と、前記化合物(a2)と前記化合物(a3)と、必要により配合されるその他の重合成分(例えば、(メタ)アクリレート化合物(a4)及び/又は前記(メタ)アクリレート化合物以外の重合性不飽和基を有する化合物(a5))を含有する重合成分の全てを一括で、50~200℃で重合させて得られる方法等が挙げられる。
【0045】
本実施形態の(メタ)アクリル共重合体(A)を重合する工程においては、必要に応じて、重合開始剤を用いることができる。
前記重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等のラジカル重合開始剤や、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ開始剤などが挙げられる。また、前記ラジカル重合開始剤は、例えば、アスコルビン酸等の還元剤と併用しレドックス重合開始剤として使用してもよい。これらの重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0046】
前記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの過硫酸塩は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0047】
前記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能な重合不飽和基含有樹脂が得られることから、パーオキシエステルが好ましい。
【0048】
前記重合開始剤の使用量は、重合が円滑に進行する量を使用すれば良いが、前記化合物(a1)と、前記化合物(a2)と前記多官能モノマー化合物(a3)とを含有する重合成分の合計100質量部に対して、0.1~20質量部の範囲が好ましく、0.5~10質量部の範囲がより好ましい。
本実施形態にかかる反応原料(i)において、前記化合物(a1)と、前記化合物(a2)と、前記多官能モノマー化合物(a3)との好ましい配合比は、反応原料(i)の総量に対して、前記化合物(a1)1質量%~50質量%、前記化合物(a2)20質量%~95質量%、前記多官能モノマー化合物(a3)1質量%~10質量%であり、より好ましくは、前記化合物(a1)5質量%~40質量%、前記化合物(a2)30質量%~90質量%、前記多官能モノマー化合物(a3)1質量%~8質量%であり、さらに好ましくは、前記化合物(a1)5質量%~35質量%、前記化合物(a2)50質量%~90質量%、前記多官能モノマー化合物(a3)2質量%~7質量%であり、特に好ましくは、前記化合物(a1)5質量%~30質量%、前記化合物(a2)60質量%~90質量%、前記多官能モノマー化合物(a3)3質量%~5質量%でありうる。
【0049】
(第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)(以下、化合物(B)と称する。))
本開示の重合不飽和基含有樹脂を構成する構造単位として、第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)由来の構造単位を含むことにより、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮しうる。
本実施形態の化合物(B)は第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物であり、当該化合物(B)中の前記第2反応性官能基は、前記(メタ)アクリル共重合体(A)が有する前記化合物(a2)由来の構造単位中の第1反応性官能基と反応し得る官能基である。
本実施形態における第2反応性官能基としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基又はアルコキシ基等が挙げられる。これらの第2反応性官能基は、化合物(B)中に1種有していてもよいし、あるいは2種以上を有していてもよい。
さらには、これらの第2反応性官能基の数は、化合物(B)中に1つであっても、あるいは2以上であってもよい。
また、上述した通り、本実施形態における第2反応性官能基は第1反応性官能基と反応し得る官能基であるため、第1反応性官能基の種類に応じて、当該第1反応性官能基と反応しうる、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基及びアルコキシ基からなる群から適宜選択されうる。
【0050】
本実施形態における第2重合性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロぺニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基又は(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。当該第2重合性不飽和基は、第1重合性不飽和基と同一であっても、あるいは異なっていてもよい。好ましい第2重合性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロぺニル基、スチリル基、マレイミド基、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリルアミド基からなる群から選択される1種又は2種以上の基であることが好ましい。
【0051】
本実施形態の第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)は、上述した通り、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記化合物(a2)とは異なる化学構造を備えている。そのため、第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)と前記(メタ)アクリレート化合物(a1)とを比較した際に、前記(メタ)アクリレート化合物(a1)には存在しない基を前記化合物(B)が有する、あるいは前記化合物(B)には存在しない基を前記(メタ)アクリレート化合物(a1)が有する。さらには、第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)と前記化合物(a2)とを比較した際に、前記化合物(a2)には存在しない基を前記化合物(B)が有する、あるいは前記化合物(B)には存在しない基を前記化合物(a2)が有する。以下、本実施形態において、化合物(a2)と第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)との組み合わせの形態について説明する。
【0052】
前記化合物(B)としては、例えば、上述の前記化合物(a2)として例示したものと同様のものが挙げられるが、化合物(a2)として水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いた場合には、化合物(B)としてイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又はアルコキシ基及び(メタ)アクリルアミド基を有する化合物を用いることが好ましく、化合物(a2)としてエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いた場合には、化合物(B)としてカルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましく、化合物(a2)としてイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いた場合には、化合物(B)として水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましく、化合物(a2)としてカルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いた場合には、化合物(B)としてエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましく、化合物(a2)としてアルコキシ基及び(メタ)アクリルアミド基を有する化合物を用いた場合には、化合物(B)として水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましい。これらの化合物(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能な重合不飽和基含有樹脂が得られることから、前記化合物(a2)としてエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用い、前記化合物(B)としてカルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましい。
本実施形態の第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)は、以下の一般式(4)であることが好ましい。
【化6】
(上記一般式(4)中、Rb1は水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Lb1は-O-又は-NH-を表し、Pb1は水素原子又は炭素原子数1~30のアルキル基を表し、但し、前記アルキル基中の1以上の-CH-は、-O-、-C(=O)O-、-O(C=O)-、-C(=O)-又は環式基(例えば、二価の芳香族基(特に、フェニレン基)又は二価の脂環基)を表す。また、-Lb1-Pb1中に、第2反応性官能基として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基及びアルコキシ基からなる群から選択される1種又は2種以上を有する。)
上記一般式(4)中、Rb1は水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基、フルオロメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(4)における、脂環基としては、窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を少なくとも一つ含んでもよい4~7員の脂環基であることが好ましい。前記脂環基は、水酸基、炭素原子数1~10の炭化水素基又はハロゲン原子を有してもよく、あるいは該脂環基中の1以上の-CH-は、-C(=O)-に置換されてもよい。前記二価の脂環基は、単環式であってもよく、あるいは多環式であってもよい。単環式の二価の脂環基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、及び、シクロオクチレン基等の単環のシクロアルキレン基が挙げられる。多環式の二価の脂環基としては、例えば、ノルボルニレン基、トリシクロデカニレン基、テトラシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基、及び、アダマンチレン基等の多環のシクロアルキレン基が挙げられる。
上記一般式(4)中、Pb1は、水素原子又は以下の一般式(5-1)~(5-4)のいずれかであることがより好ましい。
【化7】
(上記式(5-1)~(5-4)中、A51は、無置換又は1以上の水素原子が置換基Rb2により置換されてもよい、二価の芳香族基(好ましくは、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基又は1,4-フェニレン基)を表し、A52は、無置換又は1以上の水素原子が置換基Rb2により置換されてもよい、二価の脂環基(好ましくは、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、ノルボルニレン基、トリシクロデカニレン基、テトラシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基又はアダマンチレン基)を表し、nb1は1~10の整数を表し、nb2は1~10の整数を表し、mb1は1~10の整数を表し、Y51、Y52及びY53はそれぞれ独立して、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基又はアルコキシ基を表し、Rb2は、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基又は炭素原子数1~5のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。)
第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)が、上記一般式(4)で表される化合物であると、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮する観点で好ましい。
【0053】
本実施形態の第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)は、(メタ)アクリル酸、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、琥珀酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート及び6-アクリルアミドヘキサン酸からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
本実施形態の第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)としては、互いに化学構造が異なる2種以上の化合物であることが好ましい。第2重合性不飽和基及び第2反応性官能基を有する化合物(B)が、2種以上の化合物であると、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた効果を発揮する観点で好ましい。
【0054】
本実施形態において、前記(メタ)アクリル共重合体(A)と前記化合物(B)との混合割合が、前記(メタ)アクリル共共重合体(A)が有する第1反応性官能基1モルに対して、前記化合物(B)が有する前記第2反応性官能基が、0.5~1.05モルの範囲であることが好ましく、0.5~1.03であることがより好ましく、0.95~1.03であることがさらに好ましい。
【0055】
(重合不飽和基含有樹脂の好ましい態様)
本実施形態の重合不飽和基含有樹脂としては、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能なことから、前記(メタ)アクリル共重合体(A)及び前記化合物(B)の合計の含有量(前記(メタ)アクリル共重合体(A)の構造単位及び前記化合物(B)の構造単位が、前記重合不飽和基含有樹脂中に85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がより好ましい。
【0056】
本実施形態の重合不飽和基含有樹脂は、その原料として、必要に応じて、さらに、フェノール性水酸基及びtert-ブチル基を有する化合物(C)を含有することもできる。
前記化合物(C)としては、例えば、tert-ブチルカテコール、tert-ブチルヒドロキノン、tert-ブチルレゾルシン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、tert-ブチル-p-ベンゾキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、N,N’-ビス{2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル}オキサミド、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ肉桂酸、3,6-ジオキサオクタメチレン=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオナート]、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート]、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ペンタエリトリトール=テトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナ-ト]、2,4.6-トリ-tert-ブチルニトロンベンゼン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[(2-エチルヘキサン-1-イル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能なことから、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリトリトール=テトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナ-ト]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
前記化合物(C)由来の基の含有量は、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂中に0.01~10質量%の範囲が好ましく、0.01~5質量%の範囲がより好ましい。
前記化合物(C)の配合量は、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂中に0.01~10質量%の範囲が好ましく、0.01~5質量%の範囲がより好ましい。
【0057】
また、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れた硬化物を形成可能なことから、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂の二重結合当量(g/当量)は、500以下が好ましく、450以下がより好ましい。本明細書における「二重結合当量」は、分子中に含まれる二重結合量の指標となる量であり、同一分子量の化合物同士であれば、二重結合当量の数値が小さいほど二重結合の導入量が多くなる傾向を示す。当該「二重結合当量」は、実施例の欄に記載の通り、原料の仕込み量より算出した計算値である。
本実施形態の重合不飽和基含有樹脂の固形分酸価は、中性条件下での測定値が50~130mgKOH/gの範囲であることが好ましい。当該「固形分酸価」は、実施例の欄に記載の方法により算出した。
【0058】
[重合不飽和基含有樹脂の製造方法]
本実施形態の重合不飽和基含有樹脂の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、前記(メタ)アクリル共重合体(A)と、前記化合物(B)とを含有する原料の全てを一括で反応させる方法(後述の方法1)で製造してもよい。
【0059】
前記方法1としては、例えば、前記(メタ)アクリル共重合体(A)と、前記化合物(B)と、を含む反応原料を、塩基性触媒又は酸性触媒の存在下、50~150℃で反応させて得られる方法等が挙げられる。
【0060】
前記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0061】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記方法1における前記塩基性触媒又は酸性触媒の使用量は、前記(メタ)アクリル共重合体(A)と、前記化合物(B)と、前記多塩基酸無水物(C)との合計質量100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲が好ましい。
【0063】
前記方法1において、前記(メタ)アクリル共重合体(A)が化合物(a2)由来のエポキシ基を有するものであり、前記化合物(B)がカルボキシル基を有するものである場合、又は、前記(メタ)アクリル共重合体(A)が化合物(a2)由来のカルボキシル基を有するものであり、前記化合物(B)がエポキシ基を有するものである場合、反応に用いる触媒としては、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩等のリン系触媒が好ましく、ホスフィン化合物がより好ましい。
【0064】
前記ホスフィン化合物としては、上述のホスフィン化合物として例示したものと同様のものを用いることができる。また、これらのホスフィン化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0065】
前記ホスホニウム塩としては、上述のホスホニウム塩として例示したものと同様のものを用いることができる。また、これらのホスホニウム塩は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0066】
本実施形態の重合不飽和基含有樹脂の製造において、前記(メタ)アクリル共重合体(A)と、前記化合物(B)との使用割合は、前記(メタ)アクリル共重合体(A)が有する反応性官能基1モルに対して、前記化合物(B)が0.9~1.1モルの範囲であることが好ましく、0.95~1.05の範囲がより好ましい。
【0067】
本開示の酸基及び重合不飽和基含有樹脂の製造において、必要に応じて、重合禁止剤、酸化防止剤等を用いることもできる。当該重合禁止剤、酸化防止剤等は、上記化合物(C)の代わりに使用しても、あるいは化合物(C)と重複若しくは併用して使用してもよい。
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80」等が挙げられる。
【0068】
[硬化性樹脂組成物]
本実施形態の別の態様は、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂及び重合開始剤、好ましくは光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物でありうる。より好ましくは、本実施形態の化性樹脂組成物は、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂及び重合開始剤、好ましくは光重合開始剤を必須に含有し、必要により、その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)、硬化剤、溶媒、他の樹脂及び添加剤といった任意の添加成分を含有してもよい。
(重合開始剤)
本実施形態の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤からなる群から選択される1種又は2種以上を使用することができる。本実施形態の好適な重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。前記熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物における重合開始剤の含有量は、重合性不飽和基含有樹脂の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0069】
<光重合開始剤>
本実施形態の光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0070】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、硬化性樹脂組成物全体に対して、0.5~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0071】
(硬化性樹脂組成物の好ましい態様)
本開示の硬化性樹脂組成物は、本実施形態の重合不飽和基含有樹脂及び重合開始剤、好ましくは光重合開始剤以外、その他の樹脂成分を含有してもよい。前記その他の樹脂成分としては、その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)等が挙げられる。また、本実施形態における硬化性樹脂組成物は、上述した、本実施形態の重合性不飽和基含有樹脂、重合開始剤、及びその他重合性不飽和基を有する樹脂(X)以外に、硬化剤、溶媒、他の樹脂及び添加剤といった任意の添加成分を含有してもよい。
【0072】
<その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)を任意成分として含有してもよい。当該その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)は、重合性不飽和基を有していればよく、その他の具体構造又は分子量等は特に問われず、多種多様な樹脂を用いることができる。当該その他重合性不飽和基を有する樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0073】
本実施形態において、その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)が有する重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
その他重合性不飽和基を有する樹脂(X)としては、具体的には、(メタ)アクリレート化合物(X-1)及び/又は重合性不飽和基を有する樹脂(X-2)等が挙げられる。
【0074】
上記(メタ)アクリレート化合物(X-1)としては、(メタ)アクリロイル基を有するものであれば特に制限されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物;前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体;2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーや、ドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテルのジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物(X-1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
上記その他重合性不飽和基を有する樹脂(X-2)としては、樹脂中に重合性不飽和基を有する高分子材料であれば何れでもよく、例えば、以下の〔1〕~〔6〕:
〔1〕重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(X-2.1)、
〔2〕重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(X-2.2)、
〔3〕重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(X-2.3)、
〔4〕重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)、
〔5〕重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(X-2.5)、
〔6〕重合性不飽和基を有するエステル樹脂(X-2.6)、
等が挙げられる。
【0076】
<重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(X-2.1)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(X-2.1)(以下、樹脂(X-2.1)とも称する。)としては、例えば、エポキシ樹脂及び不飽和一塩基酸、並びに必要に応じて多塩基酸無水物を反応させて得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂;エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、並びに必要に応じて多塩基酸無水物を反応させて得られたウレタン基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂;などが挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.1)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。上記樹脂(X-2.1)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0077】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールB型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールE型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0079】
上記ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記水添ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0080】
また、上記不飽和一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、上記不飽和一塩基酸のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。更に、上記不飽和一塩基酸としては、下記一般式(6):
【化8】
(上記一般式(6)中、X61は、炭素数1~10のアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖、(ポリ)エステル鎖、芳香族炭化水素鎖、又は(ポリ)カーボネート鎖を表し、X61の構造中の水素原子がハロゲン原子又はアルコキシ基に置換されてもよく、Y61は、水素原子又はメチル基である。)で表される化合物等も用いることができる。
【0081】
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等が挙げられる。
上記(ポリ)エステル鎖としては、例えば、下記一般式(7):
【化9】
(上記一般式(7)中、R71及びR72は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、n71は1~5の整数を表す。)で表される(ポリ)エステル鎖が挙げられる。
これら不飽和一塩基酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
上記芳香族炭化水素鎖としては、例えば、フェニレン鎖、ナフチレン鎖、ビフェニレン鎖、フェニルナフチレン鎖又はビナフチレン鎖等が挙げられる。また、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の芳香環を有する炭化水素鎖も用いることができる。
【0083】
上記(ポリ)カーボネート鎖としては、例えば、下記一般式(8):
【化10】
(上記一般式(8)中、R81は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、n81は1~5の整数を表す。)で表される(ポリ)カーボネート鎖が挙げられる。
【0084】
上記多塩基酸無水物としては、例えば、脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物、芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。
【0085】
上記脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。また、前記脂肪族多塩基酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有してもよい。
【0086】
上記脂環式多塩基酸無水物としては、本発明では、酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式多塩基酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0087】
上記芳香族多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
これら多塩基酸無水物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記一般式(9)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化11】
(上記一般式(9)中、R92及びR93はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6の一価の炭化水素基のいずれかを表し、R91はそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基を表し、k91は0又は1~3の整数であり、n91は1以上の整数である。)
【0089】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。
【0090】
上記重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(X-2.1)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(X-2.1)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0091】
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル系溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;大豆油、亜麻仁油、菜種油、サフラワー油等の植物油脂;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
また、上記有機溶剤としては、市販品を用いることもでき、当該市販品としては、例えば、ENEOS株式会社製「1号スピンドル油」、「3号ソルベント」、「4号ソルベント」、「5号ソルベント」、「6号ソルベント」、「ナフテゾールH」、「アルケン56NT」、「AFソルベント4号」、「AFソルベント5号」「AFソルベント6号」「AFソルベント7号」、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤドール13」、「ダイヤレン168」;日産化学株式会社製「Fオキソコール」、「Fオキソコール180」;出光興産株式会社「スーパーゾルLA35」、「スーパーゾルLA38」;ExxonMobil Chemical社製「エクソールD80」、「エクソールD110」、「エクソールD120」、「エクソールD130」、「エクソールD160」、「エクソールD100K」、「エクソールD120K」、「エクソールD130K」、「エクソールD280」、「エクソールD300」、「エクソールD320」;等が挙げられる。
【0093】
上記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等を用いることもできる。
上記塩基性触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
<重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(X-2.2)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(X-2.2)(以下、樹脂(X-2.2)とも称する。)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、並びに必要に応じてポリオール化合物及び/又は多塩基酸無水物を反応させて得られたもの等が挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.2)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。上記樹脂(X-2.2)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0095】
ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、多塩基酸無水物については、上記樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0096】
上記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。上記ポリオール化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
上記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(X-2.2)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(X-2.2)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。その場合、有機溶剤、塩基性触媒については、上記樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0098】
<重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(X-2.3)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(X-2.3)(以下、樹脂(X-2.3)とも称する。)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物や、必要に応じて前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるもの等が挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.3)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。上記樹脂(X-2.3)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0099】
上記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基を有する化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。
その他の重合性不飽和基を有する化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0100】
上記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
上記多塩基酸無水物については、上記樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
上記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(X-2.3)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(X-2.3)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。その場合、有機溶剤、塩基性触媒については、上記樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0102】
<重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)(以下、樹脂(X-2.4)とも称する。)としては、例えば、酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有する化合物を反応させて得られるものが挙げられる。なお、前記反応性官能基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。なお、上記樹脂(X-2.4)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0103】
上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)としては、酸基又は酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。但し、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物との反応性や反応制御の観点から、上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)としては、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基及び酸無水物基の両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂の固形分酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0104】
上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、多塩基酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。その場合、ポリイソシアネート化合物、多塩基酸無水物については、樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.4)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。
【0105】
また、上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)の反応原料としては、必要に応じて、前記ポリイソシアネート化合物及び多塩基酸無水物以外に、多塩基酸を併用することもできる。
【0106】
前記多塩基酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記多塩基酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。これらの多塩基酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物については、樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0108】
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。これらエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(X-2.4)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。その場合、有機溶剤、塩基性触媒については、樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0110】
<重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(X-2.5)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(X-2.5)(以下、樹脂(X-2.5)とも称する。)としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルキレンオキサイド又はアルキレンカーボネートと、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物と、必要に応じて多塩基酸無水物、不飽和一塩基酸とを反応させて得られたものが挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.5)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。上記樹脂(X-2.5)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0111】
前記フェノール性水酸基を有する化合物とは、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物をいう。前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、下記一般式(10.1)~(10.5)で表される化合物が挙げられる。
【化12】
(上記一般式(10.1)~(10.5)中、R101~R104及びR107はそれぞれ独立して、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子のいずれかを表し、R105及びR106はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、j101~j105はそれぞれ独立して、0又は1以上の整数を表し、好ましくは0又は1~3の整数であり、より好ましくは0又は1である。k101~k105はそれぞれ独立して、1以上の整数を表し、好ましくは、2又は3である。)
なお、上記一般式(10.1)~(10.5)における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、一般式(10.2)のナフタレン環においてはいずれの環上の水素原子と置換してもよく、一般式(10.3)では、ビフェニル1分子中に存在するベンゼン環のいずれの水素原子に置換してもよく、一般式(10.4)では、アラルキル1分子中に存在するベンゼン環のいずれかの水素原子と置換してもよく、一般式(10.5)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの水素原子と置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がj101~j105及びk101~k105であることを示している。
【0112】
また、前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と下記一般式(11.1)~(11.5)のいずれかで表される化合物及び/又はホルムアルデヒドとを必須の反応原料とする反応生成物などが挙げられる。また、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物の1種又は2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂なども用いることができる。
【化13】
(上記一般式(11.1)~(11.5)中、h111は、0又は1を表し、R111~R116はそれぞれ独立して、一価の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基のいずれかを表し、k111~k116はそれぞれ独立して、0又は1~4の整数を表し、Z111~Z116はそれぞれ独立して、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基又はアルキルオキシメチル基のいずれかを表し、Y111は、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基のいずれかを表し、n111は1~4の整数を表す。)
【0113】
上記化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール;ジメチルフェノール、ジエチルフェノール等のジアルキルフェノール;トリメチルフェノール、トリエチルフェノール等のトリアルキルフェノール;ジフェニルフェノール、トリフェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、4-アリルピロカテコール、テトラメチルビスフェノールA、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1-ナフトール、2-ナフトール、1,3-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、ポリフェニレンエーテル型ジオール、ポリナフチレンエーテル型ジオール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック型樹脂、ナフトールノボラック型樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂、シクロ環構造を有するフェノール樹脂などが挙げられる。
上記フェノール性水酸基を有する化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0114】
上記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド等が挙げられる。前記アルキレンオキサイドは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。
【0115】
上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。前記アルキレンカーボネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、上記アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。
【0116】
上記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0117】
多塩基酸無水物、不飽和一塩基酸については、樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0118】
上記重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(X-2.5)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(X-2.5)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。その場合、有機溶剤、塩基性触媒については、樹脂(X-2.1)等に関して既述したものと同様である。
【0119】
上記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。また、スルホニル基等の強酸を有する固体酸触媒等も用いることができる。これらの酸性触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
<重合性不飽和基を有するエステル樹脂(X-2.6)>
本実施形態の重合性不飽和基を有するエステル樹脂(X-2.6)(以下、樹脂(X-2.6)とも称する。)としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルキレンオキサイド又はアルキレンカーボネートと、不飽和一塩基酸と、必要に応じて多塩基酸無水物を反応させて得られたものが挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、上述の通り、樹脂(X-2.6)の反応原料として用いることができるが、用いないことが好ましい。上記樹脂(X-2.6)は、重合性不飽和基を有するが酸基を有さないことが好ましい。
【0121】
フェノール性水酸基を有する化合物、アルキレンオキサイド、アルキレンカーボネート、不飽和一塩基酸、及び多塩基酸無水物については、樹脂(X-2.1)及び樹脂(X-2.5)等に関して既述したものと同様である。
【0122】
上記重合性不飽和基を有するエステル樹脂(X-2.6)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。上記重合性不飽和基を有するエステル樹脂(X-2.6)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。その場合、有機溶剤、塩基性触媒、酸性触媒については、樹脂(X-2.1)及び樹脂(X-2.5)等に関して既述したものと同様である。
【0123】
(任意成分)
本実施形態における硬化性樹脂組成物は、上述した、重合性不飽和基含有樹脂、重合開始剤、及びその他重合性不飽和基を有する樹脂(X)以外に、硬化剤、他の樹脂及び添加剤といった任意の添加成分を含有してもよい。
なお、本実施形態の硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、上述した種々の成分を、ロール等の混練機を用いて混練することで製造することができる。
以下、本実施形態における硬化性樹脂組成物に含有されうる各成分である、硬化剤、他の樹脂及び添加剤といった任意の添加成分について詳説する。
【0124】
<硬化剤>
本実施形態の硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤等が挙げられ、エポキシ樹脂、アミン硬化剤等が好ましい。
【0125】
<<エポキシ樹脂>>
本実施形態の好適な硬化剤であるエポキシ樹脂としては、特に制限されないが、例えば、分子中に2個以上のエポキシ基を含み、前記エポキシ基で架橋ネットワークを形成することにより硬化できる硬化性樹脂であることが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂としては、特に制限されないが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;
ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格及びジグリシジルオキシベンゼン骨格を有するエポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;
ナフタレン型エポキシ樹脂;
ビナフトール型エポキシ樹脂;ビナフチル型エポキシ樹脂;
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジル-p-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルスルホンのグリシジルアミン型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ無水フタル酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂等のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
ジベンゾピラン、ヘキサメチルジベンゾピラン、7-フェニルヘキサメチルジベンゾピラン等のベンゾピラン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂のうち、フェノール化合物をエポキシ化して得られる、いわゆるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、その中でもノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であることが、誘電特性の観点からより好ましい。なお、上述のエポキシ樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0126】
本実施形態のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、120~400g/eqであることが好ましく、150~300g/eqであることがより好ましい。前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が120g/eq以上であると、得られる硬化物の誘電特性により優れることから好ましく、一方、エポキシ樹脂のエポキシ当量が400g/eq以下であると、得られる硬化物の、高伸度、耐熱黄変性及び密着性のバランスに優れることから好ましい。
【0127】
本実施形態のエポキシ樹脂の軟化点は、高伸度、耐熱黄変性及び密着性をバランスよく向上させる観点から、20~200℃であることが好ましく、40~150℃であることがより好ましい。
【0128】
本実施形態において、エポキシ樹脂の使用量に関し、重合性不飽和基を有する樹脂(B)中の(合計の)官能基と、エポキシ樹脂の使用量の官能基との当量比(重合性不飽和基含有樹脂/エポキシ樹脂)は、0.2~2であることがより好ましく、0.4~1.5であることがより好ましい。前記官能基当量比が0.2以上であると、得られる硬化物が、より高伸度、耐熱黄変性及び密着性のバランスに優れることから好ましい。前記官能基当量比が2を超えると、耐熱性、硬化性が低下するため、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0129】
<他の硬化剤>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂と共に、あるいは上記エポキシ樹脂の代わりに他の硬化剤を含有してもよい。前記他の硬化剤としては、特に制限されないが、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に制限されないが、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロプレンジアミン(DPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン(MDA)、イソフオロンジアミン(IPDA)、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ピペリジン、N,N,-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン等の脂肪族アミン;m-キシレンジアミン(XDA)、メタンフェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ベンジルメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族アミン等が挙げられる。
【0130】
上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0131】
上記フェノール樹脂硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、テトラフェノールエタン型樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
上述の他の硬化剤はいずれも、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0132】
<添加剤>
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤、重合禁止剤及び酸化防止剤からなる群から選択される添加剤を含有することもできる。
前記添加剤は、前記硬化性樹脂組成物の固形分中、硬化性樹脂組成物(固形分)全体に対して0.01~30質量%の範囲で用いることが好ましい。
前記硬化促進剤としては、硬化反応を促進するものであり、例えば、リン系化合物、アミン系化合物、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物の固形分中に0.01~10質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0133】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2′-キサンテンカルボキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-o-ニトロベンジロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0134】
上記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
上記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。前記無機顔料としては、白色顔料が好ましい。
上記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。なかでも、白色顔料としては酸化チタンが好ましい。
上記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0135】
上記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら難燃剤を用いる場合は、全硬化性樹脂組成物中0.1~20質量%の範囲であることが好ましい。
上記重合禁止剤としては、上述の重合禁止剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記酸化防止剤としては、上述の酸化防止剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本開示の硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、各配合成分を混合して製造する方法等が挙げられる。混合方法は特に限定されず、ペイントシェイカー、ディスパー、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等を用いてもよい。
【0136】
[硬化物]
本開示は、硬化性樹脂組成物を硬化反応させて得られることを特徴とする硬化物に関する。
本実施形態の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物の硬化物である。当該硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0137】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/mであることが好ましく、0.5~10kJ/mであることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0138】
また、本実施形態の硬化物は、優れた、伸度、耐熱黄変性及び密着性を有することから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。これらの中でも、特にソルダーレジスト用途に好適に用いることができる。
【0139】
[物品]
本実施形態の物品は、上述した硬化物からなる塗膜を有することを特徴とする。かかる本実施形態の物品においては、上記塗膜が、耐熱性及び塗膜外観性に優れた絶縁材料として機能し得る。
本実施形態の物品は、典型的には、ソルダーレジスト膜(上記塗膜)が表層の適所に形成されてなる、プリント配線基板又は半導体パッケージ用基板である。
【0140】
[絶縁材料]
本実施形態における絶縁材料は、上述した硬化性樹脂組成物からなる。当該絶縁材料としては、上述のビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等の回路基板用絶縁材料、回路基板用絶縁材料及び電子部品内蔵用基板用の絶縁材料などが挙げられる。例えば、上記硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板を製造する方法としては、以下に示す3つの工程からなる方法で製造されるものが挙げられる。第1の工程は、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記硬化性樹脂組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程であり、第2の工程は、その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程であり、第3の工程は、このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程である。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行うことが好ましい。第一の工程は、上述の溶液塗布によるもの以外にも、あらかじめ所望の厚みに塗工して乾燥したビルドアップフィルムのラミネートによる方法でも行うことができる。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該硬化性樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170~250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を製造することも可能である。
【0141】
[レジスト部材]
本実施形態におけるレジスト部材は、上述した硬化性樹脂組成物からなる。当該レジスト部材は、例えば、前記硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶剤を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、必要により更に140~180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。かかる本実施形態のレジスト部材は、低誘電特性及び伸度に優れる。
【実施例0142】
本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、合成した多官能モノマー化合物及び重合不飽和基含有樹脂の物性測定は以下の通り実施し、表1に示した。
【0143】
1.測定・評価方法
(1)重量平均分子量(Mw)の測定方法
本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8420
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0144】
(2)耐熱黄変性の評価方法
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて紫外線(10kJ/m)を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜に熱風循環式乾燥炉中で260℃に加熱して、加速劣化させ、60分後に取り出し、未加熱ものと色差を日本電色工業株式会社製の測色色差計「ZE6000」にて測定し下記の基準に従い評価した。
【0145】
(3)伸度(%)の評価方法
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の伸度は、下記の手順で試験片1を作製した後、引張試験に基づいて行った。
<試験片1の作製>
ガラス基板上に下記で得た実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて紫外線(10kJ/m)を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。そして、該ガラス基材から剥離したものを試験片1とした。
<引張試験>
前記試験片1を10mm×80mmの大きさに切り出し、株式会社島津製作所製精密万能試験機オートグラフ「AG-IS」を用いて、下記の測定条件で試験片1の引張試験を行った。試験片1が破断するまでの伸度(%)を測定した。
測定条件:温度23℃、湿度50%、標線間距離20mm、支点間距離20mm、引張速度10mm/分
【0146】
(4)密着性の評価方法
密着性の評価は、試験片2を作製した後、下記のピール強度の測定により行った。
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて紫外線(10kJ/m)を照射した後、160℃で1時間加熱した。銅箔から硬化物を剥離し、試験片2(硬化物)を得た。
上記試験片2を幅1cm、長さ12cmの大きさに切り出し、剥離試験機(株式会社A&D製「A&Dテンシロン」、剥離速度50mm/分)を用いて90°ピール強度(N/cm)を測定した。
【0147】
(5)二重結合当量(g/当量)の測定方法
実施例で作製した重合不飽和基含有樹脂の二重結合当量は、下記式を用いて反応原料中の各成分の仕込み量から算出した。
二重結合当量=(二重結合を有する反応原料中の化合物成分の分子量)/二重結合を有する化合物成分の樹脂中の組成比
(6)所定の基の導入率
多官能モノマー化合物(1)へのイソプロペニル基及びアセチル基の導入率は、H-NMRを測定し、積分比によって求めることができる。具体的には、特許第4457291号に記載の方法を用いてイソプロペニル基及びアセチル基の導入率を算出した。
H-NMR:JEOL RESONANCE製「JNM-ECA600」
磁場強度:600MHz
積算回数:32回
溶媒:DMSO-d6
試料濃度:30質量%
前記H―NMRチャートの結果より、目的生成物由来のピークが確認でき、各反応における目的生成物が得られたことを確認した。また、多官能モノマー化合物(1)中のイソプロペニル基及びアセチル基の帰属は、特許第4457291号に記載の方法を用いて行った。
【0148】
(7)固形分酸価(mgKOH/g)の測定方法
実施例の重合不飽和基含有樹脂の固形分酸価は、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K0070-1992で示された下記の1)~4)の手順に従い算出した。
1)試薬は、次のとおりとする。
・0.1mol/Lの塩酸 JIS K8001の4.5(5.5)[0.1mol/L塩酸(3.646gHCl/L)]による。
・0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液 JIS K8574に規定する水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、JIS K8102に規定するエタノール(95)を加えて1Lとし、二酸化炭素をさえぎって、2~3日間放置した後、上澄みを取るか又はろ過して耐アルカリ性の瓶に保存する。標定は、0.1mol/Lの塩酸25mLを全量ピペットを用いて三角フラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を加え、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、中和に要した量からファクターを求める。
・フェノールフタレイン溶液 JIS K8001の4.3(指示薬)による。
・溶剤JIS K8103に規定するジエチルエーテルとJISK8101に規定するエタノール(99.5)とを体積比で1:1又は2:1で混合したもの。
これらは、使用直前にフェノールフタレイン溶液を指示薬として数滴加え、0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で中和する。
2)装置及び器具装置及び器具は、次のとおりとする。
・三角フラスコ300ml
・ビュレット25ml
・水浴又は熱板
3)操作は、次のとおり行う。
・試料を適量三角フラスコに量り取る。
・溶剤100mL及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで十分に振り混ぜる。
・0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とする。
4)計算酸価は、次の式によって算出する。
A=(B×f×5.611)/S
ここで、
A:酸価
B:滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)
f:0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
5.611:水酸化カリウムの式量56.11×1/10
【0149】
2.重合不飽和基含有樹脂の製造
(合成例1:多官能モノマー化合物(1)の製造)
7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、及び攪拌機を備えた反応容器に、多分岐ポリエステルポリオール(Perstorp社製「Boltorn H20」)10質量部、ジブチル錫オキシド1.25質量部、イソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100質量部、及びヒドロキノン0.05質量部を加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15~20質量部になるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら6時間反応させた。反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピングするために無水酢酸10質量部、スルファミン酸2質量部を加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸及び酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70質量部に溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20質量部で4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20質量部で2回、水20質量部で2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045質量部を加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエステルである多官能モノマー化合物(1)12質量部を得た。得られた多官能モノマー化合物(1)の質量平均分子量は2860、数平均分子量は3770であり、多官能モノマー化合物(1)へのイソプロペニル基及びアセチル基の導入率は、それぞれ55%及び40%であった。
【0150】
(合成例2:エポキシアクリレート樹脂(1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート308質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)428質量部を溶解し、ジブチルヒドロキシトルエン4質量部、メトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応させ、エポキシアクリレート樹脂(1)を得た。このエポキシアクリレート樹脂(1)の不揮発分は、65質量%であった。
【0151】
(実施例1:重合不飽和基含有樹脂(1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル25質量部、エトキシ化ジペンタエリスリトールポリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「M-DPH-12E」)3質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド(日油株式会社製「パーブチルO」)5質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A1)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A1)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(1)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(1)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0152】
(実施例2:重合不飽和基含有樹脂(2)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル23質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A2)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A2)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(2)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(2)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0153】
(実施例3:重合不飽和基含有樹脂(3)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル21質量部、「M-DPH-12E」7質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド8質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A3)を得た。次いで、(メタ)アクリル共重合体(A3)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(3)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(3)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0154】
(実施例4:重合不飽和基含有樹脂(4)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル23質量部、エトキシ化ジペンタエリスリトールポリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「M-DPH-6E」)5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A4)を得た。次いで、(メタ)アクリル共重合体(A4)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(4)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(4)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0155】
(実施例5:重合不飽和基含有樹脂(5)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル23質量部、合成例1で得られた多官能モノマー化合物(1)5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、アクリル共重合体(A5)を得た。次いで、アクリル共重合体(A5)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(5)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(5)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0156】
(実施例6:重合不飽和基含有樹脂(6)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル20質量部、ベンジルメタクリレート3質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、アクリル共重合体(A6)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A6)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス M-5300」)48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(6)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(6)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0157】
(実施例7:重合不飽和基含有樹脂(7)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート82質量部、メタクリル酸メチル13質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、アクリル共重合体(A7)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A7)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート28.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で24時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(7)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(7)の不揮発分は、55質量%であり、固形分の二重結合当量は、320g/当量であった。
【0158】
(実施例8:重合不飽和基含有樹脂(8)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート82質量部、メタクリル酸メチル13質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、アクリル共重合体(A8)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A8)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.1質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート52.4質量部、アクリル酸20.8質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート92.7質量部、トリフェニルホスフィン1.1質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で27時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(8)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(8)の不揮発分は、55質量%であり、固形分の二重結合当量は、370g/当量であった。
【0159】
(実施例9:重合不飽和基含有樹脂(9)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート62質量部、メタクリル酸メチル33質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A2)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A2)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.7質量部、アクリル酸31.4質量部、トリフェニルホスフィン0.7質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で15時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(9)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(9)の不揮発分は、51質量%であり、固形分の二重結合当量は、301g/当量であった。
【0160】
(実施例10:重合不飽和基含有樹脂(10)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート62質量部、メタクリル酸メチル33質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A10)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A10)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.8質量部、アクリル酸22質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート42質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(10)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(10)の不揮発分は、57質量%であり、固形分の二重結合当量は、378g/当量であった。
【0161】
(実施例11:重合不飽和基含有樹脂(11)の製造)
実施例10で得られた(メタ)アクリル共重合体(A10)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、アクリル酸15.7質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート70.1質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(11)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(11)の不揮発分は、60質量%であり、固形分の二重結合当量は、426g/当量であった。
【0162】
(実施例12:重合不飽和基含有樹脂(12)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル23質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A12)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(A12)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ペンタエリトリトール=テトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナ-ト]0.9質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(12)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(12)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0163】
(実施例13:重合不飽和基含有樹脂(13)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸メチル23質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド7質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A13)を得た。次いで、(メタ)アクリル共重合体(A13)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、アクリル酸25.6質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート48.8質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で20時間反応させ、目的の重合性不飽和基含有樹脂(13)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(13)の不揮発分は、58質量%であり、固形分の二重結合当量は、344g/当量であった。
【0164】
(実施例14:重合不飽和基含有樹脂(14)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、メタクリル酸60質量部、メタクリル酸メチル35質量部、「M-DPH-12E」5質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル83.3質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド6質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(A14)を得た。次いで、(メタ)アクリル共重合体(A14)に、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、メチルハイドロキノン0.1質量部、グリシジルメタクリレート45.6質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル27.9質量部、トリフェニルホスフィン0.9質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、110℃で20時間反応させた。次いで、リン酸0.9質量部を添加し、70℃で2時間撹拌後、目的の重合性不飽和基含有樹脂(14)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(14)の不揮発分は、53質量%であり、固形分酸価は、80mgKOH/gであり、二重結合当量は、377g/当量であった。
【0165】
(比較例1:比較用アクリレート樹脂(R1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート66.7質量部を添加し、窒素雰囲気下で120℃に昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート55質量部、メタクリル酸メチル45質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート55.6質量部、(2-エチルヘキサノイル)(tert-ブチル)ペルオキシド5質量部を予め混合させ、3時間かけて滴下した。そして、120℃で6時間ホールドし、(メタ)アクリル共重合体(C1)を得た。次いで、当該(メタ)アクリル共重合体(C1)に、メチルハイドロキノン0.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.7質量部、アクリル酸25.1質量部、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート12.4質量部、トリフェニルホスフィン0.7質量部を仕込み、空気を吹き込み、撹拌しながら、120℃で15時間反応させ、重合性不飽和基含有樹脂(R1)を得た。この重合性不飽和基含有樹脂(R1)の不揮発分は、53質量%であり、固形分の二重結合当量は、355g/当量であった。
【0166】
3.硬化性樹脂組成物の調製及び評価結果
(実施例15:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
表1に示す通り、実施例1で作製した重合性不飽和基含有樹脂(1)を用いて硬化性樹脂組成物(1)を調製した。具体的には、実施例1で得た重合性不飽和基含有樹脂(1)の固形分58質量部と、光重合性開始剤(IGM社製「Omnirad907」)2.9質量部と、を混合し、硬化性樹脂組成物(1)を調製した。
上記の実施例15で得られた硬化性樹脂組成物(1)を用いて、上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0167】
(実施例16~29:硬化性樹脂組成物(2)~(15)の調製)
上記実施例15で用いた重合性不飽和基含有樹脂(1)の代わりに、実施例16~29で調製した重合性不飽和基含有樹脂(2)~(15)を用いて、上記合成例2で調製したエポキシアクリレート樹脂(1)及び硬化剤であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850S」、エポキシ当量:188g/当量)等の各成分を、表1に示す組成比で混合し、上記実施例15と同様に硬化性樹脂組成物(2)~(15)を調製した。
上記の実施例16~29で得られた硬化性樹脂組成物(2)~(15)を用いて、上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0168】
(比較例2:硬化性樹脂組成物(R1)の調製)
上記比較例1で得た比較用アクリレート樹脂(R1)の固形分53質量部と、光重合性開始剤(IGM社製「Omnirad907」)2.7質量部と、を混合し、硬化性樹脂組成物(R1)を得た。
上記の比較例2で得られた硬化性樹脂組成物(R1)を用いて、上記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0169】
【表1】
【0170】
上記表1の実験結果から、本実施例の硬化性樹脂組成物は、比較例の硬化性樹脂組成物より、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れることが確認された。したがって、本実施例の重合性不飽和基含有樹脂は、比較例の樹脂と比べて、硬化時において、高伸度、耐熱黄変性及び密着性に優れると考えられる。