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特開2024-111364液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111364
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240809BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240809BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240809BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240809BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B41J2/14 301
B41J2/14 607
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B05C11/00
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015791
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜二
(72)【発明者】
【氏名】松藤 良太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB08
2C056EB30
2C056EC08
2C056EC29
2C056FA04
2C056FA15
2C056FB01
2C056FB05
2C056FB09
2C056FB10
2C056HA05
2C056HA15
2C056HA46
2C057AF21
2C057AG29
2C057AG37
2C057AJ10
2C057AL25
2C057AM40
2C057AN07
2C057AP25
2C057BA08
2C057BA14
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA34
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA19
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドにおいて、ノズル毎の吐出性能のばらつきを低減することができる。
【解決手段】
液体を吐出する複数のノズルと、複数のノズルの各々に対応して設けられ、ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体と、弁体を移動させる複数の移動手段と、複数の移動手段の各々に設けられ、複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルの各々に対応して設けられ、前記ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体と、
前記弁体を移動させる複数の移動手段と、
前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段と、を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記移動手段は、前記弁体を移動させる圧電素子を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記温度調整手段は、冷却機能のあるペルチェ素子を有し、
前記ペルチェ素子は、前記圧電素子と伝熱可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記温度調整手段は、ヒータまたは加熱機能のあるペルチェ素子を有し、
前記ヒータまたは前記ペルチェ素子は、前記圧電素子と伝熱可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記温度調整手段は、前記圧電素子を加熱する加熱用ペルチェ素子と、前記圧電素子を冷却する冷却用ペルチェ素子とを有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記ペルチェ素子は、前記圧電素子の伸縮方向に弛みを持った状態で、前記圧電素子の一部に取り付けられることを特徴とする請求項3または5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記ペルチェ素子は、前記圧電素子の一部に接着剤を介して接着されていることを特徴とする請求項3または5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段に接触あるいは熱的に接触して温度を検知する複数の温度検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出ヘッドと、
前記各々の温度検知手段によって検知した前記各々の移動手段の温度に基づいて前記各々の温度調整手段を制御する温度制御手段とを有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記温度制御手段は、前記複数の移動手段ごとに予め定めた温度情報である温度設定情報と、前記複数の温度検知手段が検知した温度とに基づいて、前記複数の温度調整手段を個別に制御することを特徴とする請求項9に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
液体吐出ヘッドを備えた液体を吐出する液体を吐出する装置が実行する液体を吐出する制御方法であって、
前記液体を吐出する装置は、
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルの各々に対応して設けられ、前記ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体と、
前記弁体を移動させる複数の移動手段と、
前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段と、
前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段に接触あるいは熱的に接触して温度を検知する複数の温度検知手段と、
を備え、
前記複数の温度検知手段の各々によって検知された前記各々の移動手段の温度に基づいて、前記複数の温度調整手段の各々を制御することを特徴とする液体を吐出する制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項11に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にノズルからインクといった液滴を吐出し、ノズルに配設されたノズル開閉弁と、そのノズル開閉弁をノズルに対して離接するノズル開閉駆動手段(アクチュエータ)と、ノズル開閉駆動手段を制御する制御手段を用いてノズルを開閉することによって液体を吐出させる液体吐出ヘッドが知られている。このような液体吐出ヘッドは、吐出する液体をノズルに加圧供給し、その状態でノズル開閉弁をノズルに対して離接することにより、ノズル開閉弁がノズルから離間している間だけ、加圧供給されている液体がノズルから液滴として吐出される。また、液体への加圧力、ノズル開閉弁がノズルの離接している隙間の距離、すなわち供給するために生じる流体抵抗及びノズル開閉弁の開閉時間に応じた液体の吐出を実現することができる。ここで、液体の吐出のばらつきは品質に影響を与えるため、これを防止する必要がある。また、吐出ばらつきを低減するためには、開閉弁(ニードル)とノズルとのギャップを調整する必要があるが、液体吐出ヘッドの筐体の温度を調整することにより、ノズル面と開閉弁(ニードル)とのギャップを一定に保つことが可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体を吐出する液体吐出口を備える板部材と、液体吐出口を開閉する弁体と、弁体を駆動する駆動体と、板部材、弁体および駆動体を保持する筐体とを有する液体吐出ヘッドであって、筐体の液体吐出口近傍に、筐体を加熱する加熱手段を備える構成が開示されている。
【0004】
ここで、CH毎の駆動範囲に個体差が有ることから、CH毎での発熱の抑制や付属する部品の経年劣化によるギャップを制御することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドにおいて、ノズル毎の吐出性能のばらつきを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々に対応して設けられ、前記ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体と、前記弁体を移動させる複数の移動手段と、前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドにおいて、ノズル毎の吐出性能のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る吐出ヘッドを示す図。
図2】吐出ヘッドの主要な構成を示した図。
図3】ノズルとニードル弁との部位の位置関係を示した図。
図4】液体吐出ヘッドにおける温度調整手段および温度センサの配置を示した図。
図5】ペルチェ素子の配置を示した図。
図6】ペルチェ素子の配置のバリエーションを示した図。
図7】本発明における機能ブロックを示した図。
図8】温度差と制御値の対応関係を示した図。
図9】ハードウエア構成を示した図。
図10】補正リフト量と補正温度の関係について説明するための図。
図11】補正リフト量と補正温度の関係を示した図。
図12】本発明における温度制御フロー図を示した図。
図13】各CH間でのばらつきを補正する制御で使用する温度設定情報を示した図。
図14】本発明における別の温度制御フロー図を示した図。
図15】各CH間の温度を予め設定した所定の温度にするための温度設定情報を示した図。
図16】本発明のテコ式(逆バネ式)の実施形態について説明するための図。
図17】液体吐出装置の全体概略構成図
図18】他の液体吐出装置の全体概略構成図。
図19】液体吐出装置の自動車に対する配置例を示す斜視図。
図20】液体吐出装置の自動車に対する他の配置例を示す斜視図。
図21】液体吐出装置により球面に液体を吐出した場合の説明図。
図22】実施形態に係る電極の製造方法を実現するための電極の製造装置の一例を示す模式図。
図23】実施形態に係る電極合材層の製造方法を実現するための電極の製造装置の他の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態を、図面を用いて、以下に説明をする。なお、本発明では、液体吐出ヘッドを吐出ヘッドとよぶこともある。
【0010】
ここで、本発明に係る詳細な構成について説明する前に、本発明に至った背景を説明する。
【0011】
<直動式とテコ式について>
ここで、圧電素子を駆動源であるアクチュエータ(ACTとも記載する)として用いた場合に、ノズル開閉弁(以下、開閉弁とよぶ)の開閉の手段については、主に2つの方式が挙げられる。1つは、圧電素子(PZT)の伸縮方向と同じ方向に開閉弁のニードル(インク押し出し機構)を制御できる直動式が挙げられる。もう1つは、圧電素子7の伸びる力を、ニードルを引き込む力に変換するテコ(逆バネ)機構が付随しており、ニードルについて圧電素子の伸縮方向と逆の方向に変化させることができるテコ式(逆バネ式ともいう)が挙げられる。
【0012】
また、圧電素子には一般的に2つの種類が挙げられる。一つは電極方向に伸長するといったいわゆる縦振動モードのものが挙げられる。なお、ここでは、縦振動モードとよぶ。また、ニードルを開閉するアクチュエータに使用する圧電素子は、圧電素子を分極方向に平行な電界で動作させた場合には、縦振動アクチュエータで利用される分極方向の伸長に加えて、分極方向に直角な方向の収縮が発生する。そして、この分極方向に直角な方向に収縮するといったいわゆる横振動モードの圧電素子がもう一つの圧電素子である。なお、ここでは、横振動モードとよぶ。そして、縦振動モードは電圧を印加すると伸長する性質をもち、横振動モードは電圧を印加すると収縮する性質を持つ。そして、表1に、横振動モードおよび縦振動モードの圧電素子を使用して、それぞれの方式に適用させた場合における動作を示す。
【0013】
【表1】
そして、この表を用いて、各方式における電圧の印加とノズルの開閉状態との関係を説明する。まず、横振動モードの圧電素子を直動式に適用させた場合だが、電圧値が0のとき(非動作時)においては、開閉弁によってノズルが閉鎖している。また、電圧を印加すると、圧電素子が収縮するためノズルが開くようになる。
【0014】
一方で、横振動モードの圧電素子をテコ式に適用させた場合だが、電圧値が0のとき(非動作時)においては、開閉弁がノズルから離れており、ノズルが開放している。そして、電圧を印加すると、圧電素子が収縮するためノズルが閉じるようになる。
【0015】
次に、縦振動モードの圧電素子を直動式に適用させた場合だが、電圧値が0のとき(非動作時)においては、開閉弁がノズルから離れており、ノズルが開放している。そして、電圧を印加すると、圧電素子が伸長するためノズルが閉じるようになる。
【0016】
一方で、縦振動モードの圧電素子をテコ式に適用させた場合だが、電圧値が0のとき(非動作時)においては、開閉弁によってノズルが閉鎖している。また、電圧を印加すると、圧電素子が伸長するためノズルが開くようになる。
【0017】
ここで、圧電素子は、温度が変化することによって伸長や収縮を起こす性質を持つものも挙げられる。そして、圧電素子は、使用環境によって温度変化による影響を受けることが想定される。また、離接させることができるニードルとノズルとのギャップは、数μmレベルの隙間と極めて小さい。これに対して、大きくしようとすると静電容量の大きな圧電素子が必要であるため、これに伴い駆動させるための電力量及び発熱量も大きくなる。その場合は、圧電素子に対して、発熱による温度上昇の影響も想定される。
【0018】
表1を用いて、具体的に説明する。なお、表1に示す圧電素子は、温度上昇に伴い収縮するものであるとする。そして、温度上昇が生じるといずれのモードの圧電素子は収縮することから、例えば、温度上昇したとき、直動式については、開閉弁のニードルがノズルから離れる方向へ変化するため、ノズルが開いて吐出される液体の滴量が増加してしまう傾向になる。一方で、テコ式では、開閉弁のニードルをノズルへ押し付ける方向へ変化するため、ノズルが閉じるようになり吐出される液体の滴量が減少するような傾向になる。このような場合には、狙いとする適切な吐出適量を得ることができなくなってしまう。
【0019】
一般的に液体吐出ヘッド機構は複数のCH(チャネル)で構成されており、CH(チャネル)毎でばらつきがあることが多い。ここで、CH(チャネル)は、ノズルと、ノズルに対応するニードル弁および圧電素子を含む液体を吐出する機能を有する単位である。例えば、CHごとのばらつきとしては、設計した寸法公差の範囲内で中央値に仕上がっている圧電素子もあれば、寸法公差の上限または下限で仕上がっている圧電素子もある場合のばらつきもある。また、圧電素子の伸縮量、ニードル弁の寸法、ノズルの寸法およびテコ式におけるテコの機構の経年劣化による寸法変化等で生じるばらつきも挙げられる。また、場所によっては熱がこもり易いところがある等、温度による影響も異なることから、それらのCHごとの温度差が各CHを構成する部材の寸法や特性にも影響を及ぼし、CHごとのばらつきが生じる原因となる。そして、これらのばらつきは、各CHにおける吐出適量のばらつきにも影響してくることから、これを防止することが必要となる。
【0020】
<圧電素子の電圧の印加によるニードル弁の変位量の調整の課題>
ここで、圧電素子は、電圧を印加することで伸縮する性質を持つことから、狙いとする吐出滴量を得るために、ニードル弁の変位量の調整は、圧電素子に印加する電圧の電圧値を調整することで、これを達成するようにする。そして、通常は電圧の印加でニードル弁の変位量の調整が可能な範囲ならば電圧を印加することで調整する。しかしながら、この変位量について電圧の印加だけでは調整対応できない場合がある。具体的に調整対応できない場合とは、印加をすることができないマイナスの電圧値や最大電圧値を超える値での印加等が挙げられる。
【0021】
表1における横振動モードの圧電素子を直動式に適用させた場合において、この課題を説明する。例えば、0~10Vが制御可能な電圧値であり、また、この範囲で電圧をかけると上記圧電素子は0~+10μmで伸縮するとする。そして、あるCHにおいて、圧電素子が設計上の寸法に対して1μm長く仕上がったものであるとする。そのため、他のCHとばらつきがあり、他のCHと吐出滴量を合わせるために、寸法誤差を考慮して11μm分の距離でノズルを開く方向に動かしたいとする場合があるとする。これをCASE1とする。しかし、この場合、最大電圧値を超える電圧値を印加する(電圧値11V印加する)必要があるため、対応することができない。また、別の例を挙げると、ノズルをより強く封止するために、ノズルを閉じる方向に動かしたいとする場合がある。これをCASE2とする。しかし、この場合、圧電素子にマイナス分の電圧値をかけることが必要になるため、対応することができない。このことから、このような調整に対応するためには、電圧の印加以外の方法でこの伸縮する量を調整する必要がある。
【0022】
直動式およびテコ式ともに、電圧値の調整のみでは、ニードルの位置の調整可能な範囲は限られてくる。そして、CH間における狙いとされる吐出滴量を調整して、CH間におけるばらつきを抑制するためには、電圧値の調整のみで対応することには改善の余地がある。
【0023】
ここで、圧電素子は、縦振動モードおよび横振動モードのいずれにおいても、温度の変化によって線膨張し、そして伸びたり縮んだりして伸縮する性質も持っている。そのため、電圧値の調整に加え、この温度変化による圧電素子の伸縮の性質を利用して、ニードル弁の変位量を調整することができれば、ノズルの開閉動作ができる範囲がより拡大することになる。そこで、本発明は、この圧電素子の温度特性に着目し、温度調整手段を用いて圧電素子の温度調整を行うことで開閉弁の位置を調整する構成を可能とした。
【0024】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0025】
図1は、本発明に係る実施形態における吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)を示す図である。また、図2は、本発明に係る実施形態における吐出ヘッドの主要な構成を示した図である。また、図3は、本発明に係る実施形態における吐出ヘッドの主要な構成におけるノズルと開閉弁であるニードル弁との部位を拡大し、ノズルとニードル弁との位置関係を示す図である。また、図3は、図2において破線の丸で囲った部分を拡大して示した図でもある。そして、本実施形態においては、直動式が採用されているものとする。なお、本発明は、テコ式にも適用することは可能だが、これについての詳細は後述する。
【0026】
まず、図1を用いて説明する。ここで、図1において、図1の横方向をy方向、紙面に対して垂直に向かう方向をx方向、そして、図1の縦方向をz方向とする。そして、z方向は、ニードル弁の開閉方向(上下方向、圧電素子の長手方向、圧電素子の伸縮方向)であると定義する。そして、これ以降の図もこの方向の定義は、特に断りがない限り同様であるとする。図1から図3に示すとおり、吐出ヘッド1は、インク(液体の一例)が吐出されるノズル13(ノズルの一例)を有するノズル板3と、ノズル13に加圧されたインクを供給する液室11と、液室11内に設けられていてノズル13の孔を開閉するニードル弁5(弁体の一例)と、ニードル弁5を駆動する圧電素子7(移動手段の一例)と、圧電素子7を収容する圧電素子収容空間12が形成された筐体140と、を備える。この圧電素子7は、温度の変化によって線膨張係数に応じて伸縮する性質も持っている。また、圧電素子7は、常温または一般的な使用温度の範囲で負の線膨張係数を有するため、温度を上げると縮む性質を持つ。そして、液室11内のニードル弁5と筐体140との間には、封止部材としてのOリング4が設置されおり、Oリング4によって液室11から圧電素子7へのインクの浸入を防いでいる。
【0027】
ノズル板3は、筐体140の液室11を形成する部位に接合される。そして、ノズル板3に形成されたノズル13とニードル弁5とは、ノズル13を閉塞するように当接される。ニードル弁5の先端挿入部2には、シール部材9が形成されている。そして、圧電素子7を駆動させることでニードル弁5が変位し、この変位によりシール部材9を押圧することによりノズル13を閉塞する。シール部材9は、樹脂部材(フッ素樹脂)やゴム部材といった弾性体が挙げられる。
【0028】
また、圧電素子7は、圧電素子保持部材6を介して圧電素子固定部材8とニードル弁5とに連結され、圧電素子固定部材8を介して筐体140に固定される。そして、固定された固定基準を基準点10として圧電素子7が伸長または収縮し、ニードル弁5を変位させる。上記した構成において、ニードル弁5を圧電素子7の動作によってノズル13に当接する方向(z軸方向)に離開することによって加圧された液体を吐出することができる。また、図1から3に示すノズル13、ニードル弁5、圧電素子7を含む吐出構造(CHまたはチャネルとも呼ぶ)を、図1のy方向に配列することによって、複数のノズルより吐出する吐出ヘッドとすることができる。図1は、一例として6CHのノズルを有する吐出ヘッドを示すものである。なお、本発明はこれに限らないものとする。そのため、CH数やノズルの配列方向もこれに限られない。
【0029】
ここで、図3に示すように、ノズル13とニードル弁5との離接させることができるギャップは数μm~数十μmの隙間であり極めて小さいものである。ここで、本発明においては、ニードル弁5がノズル13と離接している隙間の距離をリフト量(あるいはギャップ量)とよぶことにする。なお、本実施形態ではノズル13とニードル弁5とのリフト量を、例えば、5~50μmに設定している。
【0030】
また、吐出ヘッド1について、液体を吐出する装置100に実装する場合に、吐出対象物へ移動するためのキャリッジ(吐出ヘッドを支持するための吐出ヘッド支持部の一例)1000や、あるいは可動ユニット等に取り付けられ吐出ユニットとなる。そして、キャリッジ1000への吐出ヘッド1の取付けに際しては、筐体140に形成されたネジの締結穴14にネジをキャリッジ取付面15へ取付けることによって締結する。なお、液体を吐出する装置100、キャリッジ1000の詳細な説明については、後述することとする。
【0031】
ここで、圧電素子7は、これに電圧を印加することで連結しているニードル弁5を変位させることができるが、この制御だけでは変位量の調整が限られる場合がある。一方で、圧電素子は温度の変化によって伸縮する性質も持っている。そこで、本発明では、この性質を利用して圧電素子に温度調整手段を設けて温度を調整することによって、電圧の印加だけでは限られる制御の範囲を広げることを可能とした。それについて、以下に詳細を述べる。
【0032】
<本発明における温度調整手段について>
図4に、本発明の実施形態に係る吐出ヘッドにおける温度調整手段および温度センサの配置を示す。なお、図4は、図1における吐出ヘッド1の領域Rの部分を例にとって示している。本発明においては、図4に示すようにCH毎に対極(x軸方向に対極)になるように圧電素子7に温度調整手段であるペルチェ素子を配置している。また、各CHの圧電素子7には、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32の少なくとも2枚が設置されている。そして、これらのペルチェ素子は、例えば、冷却側と加熱側を電流の向きで制御するものであり、図示しない外部電源によって制御するものであり、当該外部電源としてバッテリーで制御するものが挙げられる。なお、加熱側ペルチェ素子32は、代わりにヒータ等の加熱手段を用いてもよい。また、温度センサ33(温度検知手段の一例)は、圧電素子7の温度を検知する機構であり、例えば、温度測定機が付随したサーミスタが用いられる。なお、本発明はこれに限られない。また、本発明に使用する温度センサは、圧電素子に接触させても検知するものでも熱的に接触して温度を検知するものであってもよい。または、温度センサ33は、赤外線等を検出する非接触型の温度センサを用いてもよい。
【0033】
ペルチェ素子(冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32)と温度センサ33との配置は、圧電素子7の範囲で温度調整の効果が発揮し易い箇所とする。この点を踏まえると、ペルチェ素子に関しては、稼働した際に温度分布上表面温度が最も高くなる圧電素子7の中央部に配置することが望ましい。この配置の詳細については、後ほど説明する。また、温度センサ33は、温度管理を役割とするため、温度変化を検知できる箇所であれば、どこに配置してもよい。なお、本発明においては、温度センサ33は、圧電素子(アクチュエータ)7の温度が検知でき、圧電素子7の動きを阻害しないような箇所に配置する。例えば、圧電素子7を保持する圧電素子保持部材6の上部や、圧電素子固定部材8といった吐出ヘッドの筐体上部側等が挙げられる。
【0034】
図5にペルチェ素子の配置を示す。図5(a)は、冷却側ペルチェ素子31が配置されている方向から圧電素子を見た図であり、図5(b)は圧電素子の長手方向(ニードル弁の開閉方向、圧電素子の伸縮方向)と直交する方向から見た図である。これらの図を用いてペルチェ素子の配置の詳細について説明する。
【0035】
まず、各ペルチェ素子は、圧電素子(アクチュエータ)7の圧電素子駆動面700に直接取り付けられ、取り付ける方法としては接着剤34によって接着される。なお、図5(a)に示すように本実施形態において、接着箇所は4か所であるが、本発明はこれに限られない。また、接着剤34としては、圧電素子(アクチュエータ)7の動きを阻害しない弾性接着剤を使用している。この弾性接着剤の材料としては、例えば、シリコーン混和物が挙げられる。また、接着する時には、各ペルチェ素子を0.1~0.2mm程度弛ませて接着を行い挙動に影響を及ばせないようにする。
【0036】
また、図5(b)に示すように、圧電素子(アクチュエータ)7にペルチェ素子を取り付ける際には、熱伝導グリス35が塗布される。この熱伝導グリス35は、0.1~0.2mm程度の厚みになるように満遍なく塗布し、熱伝導率は0.5w/m.k以上5w/m.k以下であるものが望ましい。
【0037】
次に、図4および図5を用いてペルチェ素子の具体的な配置位置について説明する。まず、圧電素子(アクチュエータ)7は、ニードル弁5と連結され、また、圧電素子保持部材6を介して圧電素子固定部8に連結されており、それらの連結された部材から放熱するため、圧電素子7の中央部に熱が集中する。そこで、この熱による温度上昇を防止する観点から、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32は、圧電素子(アクチュエータ)7の長手方向の中央部に配置される。また、図5(b)に示すように、2つのペルチェ素子は、圧電素子(アクチュエータ)7を挟み込む形で設置され、アクチュエータの温度により冷却側と加熱側で役割が分担される。
【0038】
また、ペルチェ素子の形状について説明する。本実施形態におけるペルチェ素子は、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32と共に同じ形状のものが使用されている。また、いずれのペルチェ素子の圧電素子7の幅方向(圧電素子の長手方向と直交する方向)における大きさは、圧電素子7よりも小さいものとしている。ここで、幅方向の大きさについては、圧電素子7の幅より大きくすることは可能であるが、各CHにおける圧電素子の配置間隔よりも狭くする必要がある。そこで、ペルチェ素子の圧電素子7の幅方向(長手方向と直交する方向)における大きさは、隣接する圧電素子に取り付けられたペルチェ素子と干渉しない範囲で圧電素子7より大きくすることが可能である。
【0039】
また、ペルチェ素子の厚みについてだが、0.1mmのものが使用されている。なお、配置する場所の観点から、厚みとしては上記した値を確保する必要があるが、それが確保できれば、形状については特に限定はない。また、ペルチェ素子の厚み以外の大きさについても配置するスペースが許容する限り、特に限定はない。
【0040】
ここで、図6にペルチェ素子の配置のバリエーションを示す。これを用いて、ペルチェ素子や温度センサの配置のバリエーションを説明する。
【0041】
例えば、図6(a)に示すように、冷却側ペルチェ素子31についてだが、圧電素子を効率よく冷却できるのであれば、圧電素子7の長手方向の中央部よりも多少ずれた位置に取り付けてもよい。なお、この場合、冷却側と加熱側とで違う位置になる可能性がある。ここで、ペルチェ素子を設けている理由としては、圧電素子を冷却および加熱する制御を行うことで伸び縮みを行うことを目的としており、ある程度は、両者の位置関係を対称にする方が制御の負担が軽減される。そこで、両者の位置関係がなるべく対称になるように配置することに留意する。
【0042】
また、温度センサ33の取り付け位置は、冷却側もしくは加熱側のどちらに配置してもよい。ただし、あるCHは加熱側、別のCHは冷却側とCH毎に異なる場所に配置することは、好ましくない。CH間のばらつきを防止するためには、CH間で温度をそろえる必要があるからである。そこで、温度センサ33は、CH間で一定の場所に決めてそろえるように取り付ける必要がある。
【0043】
また、ペルチェ素子は、例えば、図6(b)に示すように、ペルチェ素子の出力や圧電素子への熱のこもり方に応じて冷却側ペルチェ素子31の数を複数にする、あるいは加熱側と冷却側で数を変えてもよい。また、図6(c)に示すように、上記した厚みを確保できれば、例えば、熱伝導グリス35Lを塗布して大きなサイズの冷却側ペルチェ素子31Lを圧電素子に設けるというように、加熱側と冷却側で大きさや形状を変えてもよい。さらに、図6(d)に示すように、必要に応じて加熱側と冷却側と共に、複数のペルチェ素子を設けることも可能である。
【0044】
さらに、CH毎にペルチェ素子の形状や数を異ならせてもよい。例えば、複数のCHのうち中央に位置するCHの圧電素子に取り付けられている冷却側ペルチェ素子の面積を増やす、あるいは数を増やしてもよい。なぜならば、他のCHと比べて、熱がこもりやすく、温度が上昇し易いため、上記した構成とすることで効率よく且つ確実に冷却することが可能となるからである。
【0045】
ここまで、圧電素子に温度調整手段を配置させる場合を説明したが、これにより本発明ではどのような制御が可能となるか、上述した横振動モードの圧電素子を直動式に適用させた場合を例に挙げて説明する。まず、上記CASE1については、吐出滴量を合わせるために、温度調整手段である加熱側ペルチェ素子32を使用して温度を上昇させることで、所望とする距離でノズルを開く方向に動かすことができる。また、上記CASE2については、ノズルをより強く封止するために、ノズルを閉じる方向に動かす必要があり、温度調整手段である冷却側ペルチェ素子31を使用して温度を下げることで、これを実現することができる。すなわち、本発明においては、圧電素子への電圧の印加だけでは対応できない調整でも、温度調整手段を用いて温度を調整することでニードル弁の変位量を補正することで、ニードル弁の位置を調整することが可能となっている。
【0046】
本発明においては、温度調整による補正を採用することによって、圧電素子の温度による変動を含めて、部品のばらつきや特性のばらつきを補正することが可能となる。また、圧電素子への駆動電圧の印加では、ニードル弁の開放時の電圧値と閉鎖時の電圧値との両方を調整する必要があった。それに対して、圧電素子を温度調整で補正する場合は、温度のみ調整することでばらつきの補正が可能である。
【0047】
本発明で使用する圧電素子は、上記したが温度を上げると縮む性質を持つ。そのため、例えば、圧電素子を伸長させるのに、電圧の印加する値をマイナスの範囲で調整することが必要な場合は、温度調整手段によって温度を下げることでニードル弁の変位量を調整することができる。なお、本発明は、直動式と、以下で述べるテコ式の両方に適用できる。また、本発明は、縦振動モードおよび横振動モードの両方にも適用できる。
【0048】
<本発明における温度制御方法について>
以下に、圧電素子の温度調整を行うことでこれの伸縮量を調整することによって、ニードル弁とノズル板とのリフト量(ギャップ量)を調整する制御方法の詳細を中心に説明していく。なお、これに電圧値を調整する制御を加えてもよい。
【0049】
<本発明における温度制御部の説明>
図7に本発明における機能ブロック図を示す。そして、これを用いて吐出装置における吐出ヘッドの構成と温度制御部との関係を説明する。
【0050】
まず、本発明における吐出ヘッド1は、複数のノズル(複数のCH)を有する。そして、各CHには、それぞれ圧電素子7、温度センサ(サーミスタ)33、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32を有する。ここで、CHの数がN数あるとする。この場合、1CHにおいては、圧電素子7‐1、温度センサ(サーミスタ)33‐1、冷却側ペルチェ素子31‐1および加熱側ペルチェ素子32‐1を備えているとする。同様に2CHにおいては、圧電素子7‐2、温度センサ(サーミスタ)33‐2、冷却側ペルチェ素子31‐2および加熱側ペルチェ素子32‐2を備えており、3CHにおいては、圧電素子7‐3、温度センサ(サーミスタ)33‐3、冷却側ペルチェ素子31‐3および加熱側ペルチェ素子32‐3を備えるものとする。そして、NCHにおいては、圧電素子7‐N、温度センサ(サーミスタ)33‐N、冷却側ペルチェ素子31‐Nおよび加熱側ペルチェ素子32‐Nを備えていることになる。なお、ここで、Nはその吐出ヘッドにおけるCH数の最大数を表す。例えば、本発明のようにCHを6つ有する場合は、N=6となる。
【0051】
そして、温度制御部2000(温度制御手段の一例)は、温度センサ制御部2100、ペルチェ素子制御部2200、温度取得部2300、温度設定部2500、温度設定情報記憶部2600および圧電素子制御部(アクチュエータ制御部)3000を有する。
【0052】
まず、温度センサ制御部2100は、吐出ヘッド1の各CHにおけるそれぞれの温度センサ(サーミスタ)33に接続されており、温度センサ(サーミスタ)33を制御して温度センサ(サーミスタ)33の出力信号を取得する役割を担う。
【0053】
また、ペルチェ素子制御部2200は、吐出ヘッド1の各CHにおけるそれぞれの冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32に接続されており、これらのペルチェ素子の冷却量あるいは加熱量を制御する役割を担う。そして、温度取得部2300は、温度センサ制御部2100が取得したそれぞれの温度センサ(サーミスタ)33の出力信号から温度情報を取得する役割を担う。
【0054】
温度設定部2500は、吐出ヘッド1の各CHにおけるそれぞれの圧電素子(アクチュエータ)7に対応する温度センサ(サーミスタ)33の温度情報と、温度設定情報を取得する。温度設定部2500は、温度情報と温度設定情報とを比較して、その温度差から各圧電素子7に対応する冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32の制御情報(電圧値)を設定し、制御情報をペルチェ素子制御部2200に出力する役割を担う。
【0055】
そして、温度設定情報記憶部2600は、吐出ヘッド1の各CHにおけるそれぞれの圧電素子(アクチュエータ)7に設定される温度の設定情報である温度設定情報2601(温度設定情報の一例)を記憶する役割を担う。
【0056】
さらに、圧電素子制御部(アクチュエータ制御部)3000は、吐出ヘッド1の各CHにおけるそれぞれの圧電素子(アクチュエータ)7を駆動させる役割を担う。なお、圧電素子を駆動させるためには、電圧を印加する制御を行う。
【0057】
また、温度設定情報2601だが、例えば、各CHにおけるそれぞれの圧電素子(アクチュエータ)7の狙いの温度であっても良く、あるいは各CH間における平均温度や基準温度からの相対的な温度であっても良い。また、当該情報は、図8に示すような、温度差と制御値の対応関係から設定しても良い。あるいは、予め設定された関係式から算出したものを用いることも一例として挙げられる。
【0058】
また、各CHにおける圧電素子(アクチュエータ)7の特性のばらつきを考慮して温度設定部2500への設定温度への反映し、吐出特性へのばらつきを均一化する方法が挙げられる。さらに加えて、圧電素子(アクチュエータ7)のメカ的な部分の劣化による吐出特性変化へも温度設定部2500への設定温度変更により温度調整による効果を得てばらつきを小さくすると良い。
【0059】
例えば、ある一定温度の圧電素子(アクチュエータ)7の温度を算出して、吐出速度、吐出量が安定するように調整される。そして、ペルチェ素子制御部2200は、温度設定部2500から出力される制御情報(電流値)に基づいて、吐出ヘッド1の各CHにおける冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32を制御するようにする。
【0060】
なお、温度取得部2300、温度設定部2500および温度設定情報記憶部2600は、FPGA等の制御回路で構成しても良く、コンピュータプログラムで構成しても良い。
【0061】
次に、図9を用いて温度制御部2000、温度センサ制御部2100、ペルチェ素子制御部2200および圧電素子制御部(アクチュエータ制御部)3000のハードウエア構成について説明する。なお、図9に示されているハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加または削除されてもよい。
【0062】
制御部2000(2100、2200、3000)は、CPU(Central Processing Unit)2001(2101、2201、3001)、ROM(Read Only Memory)2002(2102、2202、3002)、RAM(Random Access Memory)2003(2103、2203、3003)、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)2004(2104、2204、3004)、I/O(Input/Output)インターフェース2005(2105、2205、3005)、通信インターフェース2006(2106、2206、3006)、およびバスライン2007(2107、2207、3007)を備える。温度制御部2000、温度センサ制御部2100、ペルチェ素子制御部2200および圧電素子制御部(アクチュエータ制御部)3000は構成が同等であるため、以降は温度制御部2000の構成に基づいて説明する。
【0063】
CPU2001は、ROM2002に格納されたプログラムもしくはデータをRAM2003上に読み出し、処理を実行することで、対象とする装置または対象とするユニットの各機能を実現する演算装置である。
【0064】
ROM2002は、電源を切ってもプログラムまたはデータを保持することができる不揮発性のメモリである。RAM2003は、CPU2001のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。HDD/SSD2004は、CPU2001の制御にしたがって各種データの読み出し、または書き込みを制御する。なお、上述の記憶部であるROM2002の機能は、HDD/SSD2004によって実現されてもよい。
【0065】
I/Oインターフェース2005は、圧電素子、温度センサ等の機器との間で入出力するためのインターフェースである。
【0066】
通信インターフェース2006は、通信ネットワークを経由して端末装置などのデータ処理を行う機器との通信(接続)を行うインターフェースである。
【0067】
バスライン2007は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、および各種制御信号等を伝送する。CPU2001、ROM2002、RAM2003、HDD/SSD2004、I/Oインターフェース2005、および通信インターフェース2006は、バスライン2007を介して相互に接続されている。
【0068】
<各CH間のばらつきを補正する制御について>
次に、各CH間でニードル弁とノズルとの間の距離にばらつきがあった場合にこのばらつきを補正する制御について説明する。なお、以下で述べる温度設定情報は、使用環境等に応じて変わるため、あくまで一例とする。
【0069】
まず、本制御を説明する前に、なお、補正リフト量と補正温度の関係について図10を用いて説明する。また、図10に係る吐出ヘッド1は、直動式が採用されているとする。そして、1°C温度を上昇すると1μm収縮し、反対に1°C温度を下げると1μm伸びる圧電素子が用いられているものとする。ここで、平均温度は、各CHにおける圧電素子の温度の平均をとったものとする。また、補正温度とは、平均温度からの差分をいうものとする。また、補正リフト量とは、補正が必要なリフト量(ギャップ量)のことをいうものとする。
【0070】
まず、図10(a)のリフト量を大きくする場合について説明する。あるCHにおいて圧電素子が設計した寸法と比べて1μm長いものになっているため、ニードル弁5とノズル板3との現状のリフト量が10μmになっているものとする。一方で、本来はリフト量を11μmにしたいとする。その場合だが、当該CHにおいて、リフト量としては本来よりも1μm小さくなっている。この場合においてリフト量を補正するためには、当該CHにおけるリフト量を1μm大きくする、すなわち補正リフト量は+1μmとなる。これを実現するためには、この圧電素子に取り付けられている温度調整手段である加熱側ペルチェ素子32を使用して温度を1°C上昇させ(補正温度を+1°Cにする)、圧電素子の寸法を1μm短くするようにすればよい。
【0071】
次に、図10(b)のリフト量を小さくする場合について説明する。あるCHにおいて圧電素子が設計した寸法と比べて1μm短いものになっているため、ニードル弁5とノズル板3との現状のリフト量が12μmになっているものとする。一方で、本来はリフト量を11μmにしたいとする。その場合だが、当該CHにおいて、リフト量としては本来よりも1μm大きくなっている。この場合においてリフト量を補正するためには、当該CHにおけるリフト量を1μm小さくする、すなわち補正リフト量は-1μmとなる。これを実現するためには、この圧電素子に取り付けられている温度調整手段である冷却側ペルチェ素子31を使用して温度を1°C下げて(補正温度を-1°Cにする)、圧電素子の寸法を1μm長くするようにすればよい。
【0072】
図11は、補正リフト量と補正温度の関係を示した図である。なお、この図は、あくまで一例である。本実施形態では、この図に示すような関係を温度設定情報2601として温度設定情報記憶部2600に持たせて、これに基づいて制御するようにしている。例えば、図10で説明した場合だが、補正リフト量が-1μmの場合は補正温度を1°C下げることとなり、反対に補正リフト量が+1μmの場合は、補正温度を1°C上昇させることとなる。また、これまで、直動式について説明したが、テコ式の場合は補正リフト量と補正温度との関係が反対になる。例えば、補正リフト量が-1μmの場合は補正温度を1°C上昇させることとなり、反対に補正リフト量が+1μmの場合は、補正温度を1°C下げることとなる。
【0073】
【表2】
【0074】
表2に、各方式とリフト補正との関係を示す。まとめると、表2に示すようになる。そして、上記説明を前提に、詳細な制御について以下に説明していく。
【0075】
次に、図12に本発明に係る実施形態における温度制御フロー図を示す。この図を用いて、以下に本実施形態における温度制御の手順について、説明する。
【0076】
まず、S001において、温度制御部2000の温度設定部2500は、温度制御を開始する。
【0077】
次に、S006において、温度制御部2000の温度設定部2500は、各CH間における圧電素子7の平均温度を算出する処理を行う。算出には温度センサ(サーミスタ)33から各圧電素子の温度を取得して行う。これにより、温度設定部2500は、補正の基準となる平均温度を設定する。
【0078】
その次に、S011において、温度設定部2500は、吐出ヘッド1が備える複数のCHの備える圧電素子(アクチュエータ)7のうち、温度を制御する対象の圧電素子7を選択する。
【0079】
そして、S021において、温度設定部2500は、選択した圧電素子7に対応する温度センサ(サーミスタ)33の温度情報を取得する。その次に、S031において、温度設定部2500は、温度設定情報記憶部2600から温度設定情報2601を取得する。そして、このとき、温度センサから取得した温度と、S006で算出した平均温度と、上記設定温度とを比較する。
【0080】
S041において、比較した結果、選択した圧電素子7の温度を調整する必要がある場合(YESのとき)はS051に移行し、温度を調整する必要がない場合(NOのとき)はS081に移行する。S081についての詳細な内容は、後ほど説明する。
【0081】
S051から先に説明する。S051において、温度設定部2500は、S041で圧電素子(アクチュエータ)7に対応する冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32の制御方法を決定する。制御方法とは、制御値(電流値)の算出や、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32のうちどちらを使用するのかといったことが挙げられる。
【0082】
その後、S061に移行する。S061において、ペルチェ素子制御部2200は、温度設定部2500が決定した制御方法でペルチェ素子(冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32)を制御する。このとき、温度設定部2500は、再度選択した圧電素子7に対応する温度センサ(サーミスタ)33の温度情報を取得する。そして、温度センサから取得した温度と上記設定温度とを比較する。
【0083】
S071において、比較した結果、温度設定部2500は、選択した圧電素子7の温度が所望の温度になっておらず、温度調整する必要がある場合(NOのとき)は再度S061に移行する。そして、所望の温度になるまで、S061とS071を繰り返す。
【0084】
一方で、S071において、比較した結果、温度設定部2500は、選択した圧電素子7の温度が所望の温度になっており、これ以上温度調整する必要がない場合(YESのとき)はS081に移行する。
【0085】
次に、S081について説明する。S081において、温度設定部2500は、全てのCHにおける圧電素子の温度調整の制御が完了している場合(YESのとき)は、温度制御を終了する(S101)。そして、温度設定部2500は、所定の時間が経過した後に再度温度制御のフローを実施するようにする。
【0086】
一方で、S081において、温度設定部2500は、全てのCHにおける圧電素子の温度調整の制御が完了してない場合(NOのとき)は、S091に移行する。
【0087】
そして、S091において、温度設定部2500は、吐出ヘッド1が備える複数のCHの備える圧電素子のうち、温度調整制御を行っていない他の圧電素子7を選択し、その後S021に移行し、再び選択した圧電素子の温度調整を行う制御を繰り返す。そして、これを全てのCHにおける圧電素子について行うようにする。
【0088】
<各CH間でのばらつきを補正する具体的な制御について>
次に、各CH間でのばらつきを補正する制御方法について、図13を用いて具体的に説明する。図13(a)は、直動式における各CH間でのばらつきを補正する制御で使用する温度設定情報を示す図である。図13(b)は、テコ式における各CH間でのばらつきを補正する制御で使用する温度設定情報を示した図である。まずは、図13(a)から説明する。
【0089】
ここで、条件として、例えば、平均温度が27°Cであり、この温度において圧電素子は伸縮が生じていないものとする。そして、1°C温度を上昇すると1μm収縮し、反対に1°C温度を下げると1μm伸長する圧電素子が用いられているものとする。また、直動式を採用したとする。そして、環境温度が27°Cであるとする。
【0090】
ここで、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo2については伸び等が生じておらず、リフト量を補正する必要がないものとする。
【0091】
一方で、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo1については、環境温度27°Cで1μm設計寸法長いものであるとする。そして、各CH間のばらつきをなくすためには、リフト量を大きくするために圧電素子を1μm収縮させて、ニードル弁をノズル板から1μm離間させる必要がある。すなわち、リフト補正量は+1μmとなる。このことから、No1の圧電素子の温度を、温度調整手段である加熱側ペルチェ素子32を動作させて28°Cに上昇させる制御を行うようにする。
【0092】
また、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo3については、環境温度27°Cで2μm設計寸法短いものであるとする。ここで、各CH間のばらつきをなくすためには、リフト量を小さくするために圧電素子を2μm伸長させて、ニードル弁をノズル板に2μm近づける必要がある。すなわち、リフト補正量は-2μmとなる。このことから、No3の圧電素子の温度を、温度調整手段である冷却側ペルチェ素子31を動作させて25°Cに下げる制御を行うようにする。
【0093】
そして、他のCHについても、同様の方法で温度制御するように行えばよい。
【0094】
また、別の例について図13(b)を用いて説明する。ここで、条件として、例えば、平均温度が27°Cであり、この温度において圧電素子は伸縮が生じていないものとする。そして、1°C温度を上昇すると1μm収縮し、反対に1°C温度を下げると1μm伸長する圧電素子が用いられているものとする。また、テコ式を採用したとする。そして、環境温度が27°Cであるとする。
【0095】
そして、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo2については伸び等が生じておらず、リフト量を補正する必要がないものとする。
【0096】
一方で、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo1については、環境温度27°Cで1μm設計寸法長いものであるとする。ここで、各CH間のばらつきをなくすためには、リフト量を大きくするために圧電素子を1μm伸長させて、ニードル弁をノズル板から1μm離間させる必要がある。すなわち、リフト補正量は+1μmとなる。このことから、No1の圧電素子の温度を、温度調整手段である冷却側ペルチェ素子31を動作させて26°Cに下げる制御を行うようにする。
【0097】
また、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo3については、環境温度27°Cで2μm設計寸法短いものであるとする。ここで、各CH間のばらつきをなくすためには、リフト量を小さくするために圧電素子を2μm収縮させて、ニードル弁をノズル板に2μm近づける必要がある。すなわち、リフト補正量は、-2μmとなる。このことから、No3の圧電素子の温度を、温度調整手段である加熱側ペルチェ素子32を動作させて29°Cに上昇させる制御を行うようにする。
【0098】
そして、他のCHについても、同様の方法で温度制御するように行えばよい。
【0099】
このように本発明によれば、圧電素子の駆動電圧ではなく圧電素子の温度を制御することで弁体の位置を調整できるため、圧電素子や部品の特性ばらつきや部品の劣化によって生じるリフト量(ニードル弁とノズル板とのギャップ量)のばらつきを防止することができる。
【0100】
<本発明における別の温度制御方法について>
本発明は、次のような制御方法に適用することも可能である。図14に本発明における別の実施形態における温度制御フロー図を示す。この図を用いて、以下に本実施形態の手順について説明する。なお、本制御は、各CH間の温度を予め設定した所定の温度を一律にする制御となる。この制御の詳細は、以下の具体例で説明するが、例えば、製造時においてどのCHの圧電素子についてばらつきが生じていないときに、そのばらつきが生じない温度を狙って圧電素子の温度を調整するという場合に行われる。本制御は、上記した制御フローとは、各CH間における圧電素子の平均温度を算出する処理がない点が主に異なる点となる。
【0101】
まず、S1001において、温度制御部2000の温度設定部2500は、温度制御を開始する。なお、補正の基準となる設定温度は、予め設定されているとする。
【0102】
次に、S1011において、温度設定部2500は、吐出ヘッド1が備える複数のCHの備える圧電素子(アクチュエータ)のうち、温度を制御する対象の圧電素子7を選択する。
【0103】
そして、S1021において、温度設定部2500は、選択した圧電素子7に対応する温度センサ(サーミスタ)33の温度情報を取得する。その次に、S1031において、温度設定部2500は、温度設定情報記憶部2600から温度設定情報2601を取得する。そして、このとき、センサから取得した温度と上記設定温度とを比較する。
【0104】
S1041において、比較した結果、選択した圧電素子7の温度を調整する必要がある場合(YESのとき)はS1051に移行し、温度を調整する必要がない場合(NOのとき)はS1081に移行する。S1081についての詳細な内容は、後ほど説明する。
【0105】
S1051について先に説明する。S1051において、温度設定部2500は、S1041で圧電素子(アクチュエータ)7に対応する冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32の制御方法を決定する。制御方法とは、制御値(電流値)の算出や、冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32のうちどちらを使用するのかといったことが挙げられる。
【0106】
その後、S1061に移行する。S1061において、ペルチェ素子制御部2200は、温度設定部2500が決定した制御方法でペルチェ素子(冷却側ペルチェ素子31および加熱側ペルチェ素子32)を制御する。このとき、温度設定部2500は、再度選択した圧電素子7に対応する温度センサ(サーミスタ)33の温度情報を取得する。そして、センサから取得した温度と上記設定温度とを比較する。
【0107】
S1071において、比較した結果、温度設定部2500は、選択した圧電素子7の温度が所望の温度になっておらず、温度調整する必要がある場合(NOのとき)は再度S1061に移行する。そして、所望の温度になるまで、S1061とS1071を繰り返す。
【0108】
一方で、S1071において、温度設定部2500は、比較した結果、選択した圧電素子7の温度が所望の温度になっており、温度調整する必要がない場合(YESのとき)はS1081に移行する。
【0109】
次に、S1081について説明する。S1081において、温度設定部2500は、全てのCHにおける圧電素子の温度調整の制御が完了している場合(YESのとき)は、温度制御を終了する(S1101)。そして、温度設定部2500は、所定の時間が経過した後に再度温度制御のフローを実施するようにする。
【0110】
一方で、S1081において、温度設定部2500は、全てのCHにおける圧電素子の温度調整の制御が完了してない場合(NOのとき)は、S1091に移行する。
【0111】
そして、S1091において、温度設定部2500は、吐出ヘッド1が備える複数のCHの備える圧電素子のうち、温度調整制御を行っていない他の圧電素子7を選択し、その後S1021に移行し、再び選択した圧電素子の温度調整を行う制御を繰り返す。そして、これを全てのCHにおける圧電素子について行うようにする。
【0112】
<圧電素子の温度を一律にする制御の具体例について>
ここで、各CH間の温度を予め設定した所定の温度を一律にする制御の具体例について図15を用いて説明する。また、本制御方法は、直動式およびテコ式のどちらも適用でき、また、温度を一律にするため共通の制御になる。なお、図に示す温度設定情報は、使用環境等に応じて変わるため、あくまで一例とする。
【0113】
また、本実施例の前提条件として、例えば、製造時において、27°Cのときに全CHにおいてニードル弁とノズルとの間の距離がそろっているもの、すなわち、どのCHの圧電素子について伸び等が生じていないものとする。この温度を狙いとする温度とする。この場合において、圧電素子(アクチュエータ)番号がNo3のものが狙いとしている温度である27°Cとなっている温度となる。そのため、これについては温度調整の必要はない。
【0114】
一方で、例えば、圧電素子(アクチュエータ)番号No1は測定した温度(測定温度)が29°Cであるため、狙いとしている温度と比べて2°C高いものとなっている。そうなると、当該No1の圧電素子は収縮が生じており、CH間のばらつきをなくすためには、このNo1の温度を下げて27°Cにする必要がある。そこで、温度調整手段である冷却側ペルチェ素子31を動作させ、圧電素子の温度を27°Cまで下げるようにする。
【0115】
また、例えば、圧電素子(アクチュエータ)番号No2は測定した温度(測定温度)が25°Cであるため、狙いとしている温度と比べて2°C低いものとなっている。そうなると、当該No2の圧電素子は伸びが生じており、CH間のばらつきをなくすためには、このNo2の温度を上げて27°Cにする必要がある。そこで、温度調整手段である加熱側ペルチェ素子32を動作させ、圧電素子の温度を27°Cまで上げるようにする。
【0116】
そして、他のCHについても狙いとしている温度と乖離がある場合は、同様の方法で温度制御するように行えばよい。
【0117】
<その他の制御方法について>
また、本発明においては、次のような制御方法も挙げられる。例えば、予め駆動条件及び外部環境条件をデータとして設定しておき、圧電素子(アクチュエータ)の周波数や駆動時間、環境温度に応じてペルチェ素子を制御する方法も挙げられる。
【0118】
その他には、経年劣化によってニードルやノズル等が変形し、これによって減退した場合は、次のような制御方法が挙げられる。例えば、圧電素子(アクチュエータ)へのペルチェ素子による温度制御で伸び縮みさせることで、電圧制御に加えて温度調整による制御を行って、狙いの吐出滴量を得るようなことが挙げられる。
【0119】
<テコ式への適用>
次に、図16を参照して本発明のテコ式(逆バネ式)の実施形態について説明する。図16は、本発明に係るヘッドユニットのテコ式(逆バネ式)の実施形態を示す説明図である。図16(a)はノズルを閉じた状態を示す断面図、図16(b)はノズルを開いた状態を示す断面図である。
【0120】
本実施形態は、ニードル弁5を有するニードル131と圧電素子7との間には、伝達機構の一例としての逆バネ機構134を備える点が上記した実施形態と異なる。
【0121】
逆バネ機構134は、適宜に変形可能なゴムや軟質樹脂等または薄い金属板等を成形加工することによって形成された弾性部材である。逆バネ機構134は、変形部134a、固定部134b、ガイド部134cおよび屈曲辺134dを備える。
【0122】
変形部134aは、ニードル131の基端側の面(図16(a)ではニードル131の上側端面)に当接するようにして形成された断面略台形状を有する。
【0123】
固定部134bは、変形部134aと、筐体140の内壁面に固定される。
【0124】
ガイド部134cは、固定部134bと、圧電素子7とを連結する。
【0125】
屈曲辺134dは、台形状の変形部134aの長辺(台形の下底に相当)と固定部134bとを連結する。
【0126】
上記のような構造を備えた逆バネ機構134は、圧電素子7に所定の電圧が印加されて圧電素子7が伸張すると、圧電素子7の伸張により、ガイド部134cがノズル13側(図16(b)の矢印a方向)に押される。
【0127】
この押される力に伴い、変形部134aをノズル13から遠ざかる方向(図16(b)の矢印b方向)に引き込む。すなわち、逆バネ機構134は、圧電素子7の伸びる力を、ニードル131を引き込む力に変換した上で、ニードル131へ伝達する。
【0128】
本実施形態に係る吐出ヘッド1は、圧電素子7へ電圧印加することにより、圧電素子7が伸び、それに伴い弁体であるニードル弁5がノズル13を開放し、ノズル13から液体(液滴)150を吐出する。
【0129】
本実施形態は、ニードル131と圧電素子7との間に、圧電素子7の伸びる力を、ニードル131を引き込む力、すなわち圧電素子7の伸びる力と相反する力に変換した上で、ニードル131へ伝達する逆バネ機構134を備える。
【0130】
<液体を吐出する装置の実施例の構成について>
次に、液体を吐出する装置の実施例の構成について、図を参照して説明する。なお、以下説明する構成は、上記した実施例に係る構成を適用することが可能である。また、本実施例以降の図で示すX,Y,X方向はこれまでの方向の定義と異なるものとする。
【0131】
図17は、液体を吐出する装置100(液体を吐出する装置の一例)の全体概略構成図である。図17(a)は液体を吐出する装置の側面図、図17(b)は同装置の平面図である。液体を吐出する装置100は、対象物の一例である液体付与対象500に対向して設置されている。液体を吐出する装置100は、X軸レール101と、このX軸レール101と交差するY軸レール102と、X軸レール101及びY軸レール102と交差するZ軸レール103を備える。特に、本実施形態においては、各レール101,102,103は互いに直交する方向に延在する。
【0132】
Y軸レール102は、X軸レール101がY軸方向に移動可能なようにX軸レール101を保持する。また、X軸レール101は、Z軸レール103がX軸方向に移動可能なようにZ軸レール103を保持する。そして、Z軸レール103は、キャリッジ1000(吐出ヘッド支持部の一例)がZ軸方向に移動可能なようにキャリッジ1000を保持する。
【0133】
液体を吐出する装置100は、キャリッジ1000をZ軸レール103に沿ってZ軸方向に動かす第1のZ方向駆動部92と、Z軸レール103をX軸レール101に沿ってX軸方向に動かすX方向駆動部72を備える。また、液体を吐出する装置100は、X軸レール101をY軸レール102に沿ってY軸方向に動かすY方向駆動部82を備える。さらに、液体を吐出する装置100は、キャリッジ1000に対してヘッド保持体70をZ軸方向に動かす第2のZ方向駆動部93を備える。
【0134】
前述した吐出ヘッドは、吐出ヘッド1のノズル13が液体付与対象500に対向するようにヘッド保持体70に取り付けられる。このように構成された 液体を吐出する装置100は、キャリッジ1000をX軸、Y軸及びZ軸の方向に動かしながら、ヘッド保持体70に取り付けられた吐出ヘッド1から液体付与対象500に向けて液体の一例であるインクを吐出し、液体付与対象500に描画を行う。
【0135】
次に、液体吐出装置の別の実施例であるインクジェットプリンタ201の構成について、図を参照して、以下に説明する。
【0136】
図18に示されるように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ201は、プリントヘッド202と、X-Yテーブル203と、カメラ204と、制御部209と、駆動部211などを備えている。
【0137】
プリントヘッド202は、被塗装物Mの被塗装面に向けてインク(液体)を吐出するインクジェット方式の液体吐出ヘッドである。なお、ここでいう「インク」には「塗料」も含まれるものとする。プリントヘッド202は、複数の弁型ノズルを備え、インクは各弁型ノズルからプリントヘッド202の吐出面とは垂直な方向に吐出される。すなわち、プリントヘッド202のインクの吐出面は、X-Yテーブル203の移動によって形成されるXY平面と平行であり、各弁型ノズルから吐出されるインクドットはX-Y平面に対して垂直な方向に吐出される。また、各弁型ノズルから吐出されるインクの吐出方向はそれぞれ平行に吐出される。各弁型ノズルは、それぞれ所定の色のインクタンクと連結されている。また、インクタンクが加圧装置によって加圧されていることにより、各弁型ノズルと被塗装物Mのプリント対象面との距離が20cm程度であれば、問題なく各弁型ノズルからインクドットをプリント対象面に吐出することができる。
【0138】
X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及びカメラ204を互いに直交するX方向及びY方向に移動させる機構を備えている。具体的に、X-Yテーブル203は、プリントヘッド202及び後述のカメラ204を保持するスライダをX方向に移動させるX軸移動機構205と、X軸移動機構205を2つのアームで保持しつつY方向に移動させるY軸移動機構206とを備えている。また、Y軸移動機構206にはシャフト207が設けられており、このシャフト207をロボットアーム208が保持して駆動することにより、プリントヘッド202を被塗装物Mに対してプリントを行うべき所定位置に自由に配置できる。例えば、被塗装物Mが自動車である場合、ロボットアーム208は、プリントヘッド202を図19に示されるような自動車の上部あるいは図20に示されるような 自動車の横位置などに配置できる。なお、ロボットアーム208の動作は、予め制御部209に格納されたプログラムに基づいて制御される。
【0139】
カメラ204は、被塗装物Mのプリント対象面を撮影するデジタルカメラなどの撮像手段である。カメラ204は、X軸移動機構205及びY軸移動機構206によってX方向及びY方向に移動しながら被塗装物Mのプリント対象面の所定の範囲を一定の微小な間隔で撮影する。カメラ204のレンズ及び解像度などの仕様は、プリント対象面の所定の範囲について複数の細分割画像の撮影が可能なように適宜選択される。カメラ204による プリント対象面の複数の細分割画像の撮影は、後述の制御部209によって連続的、かつ、自動的に行われる。
【0140】
制御部209は、カメラ204によって撮影された画像を編集する画像編集ソフトウエアSと予め設定された制御プログラムに基づいてX-Yテーブル203を動作させてプリントヘッド202のプリント動作(インク吐出動作)を制御する。制御部209は、いわゆるマイクロコンピュータによって構成され、各種のプログラム及び撮影済みの画像のデータのほかプリントすべき画像のデータなどを記録保存する記憶装置、プログラムに従って各種の処理を実行する中央処理装置、キーボードやマウスなどの入力装置、必要に応じてDVDプレイヤーなどを備えている。さらに、制御部209は、モニタ210を備えている。モニタ210は、制御部209への入力情報や制御部209による処理結果などを表示する。
【0141】
制御部209は、カメラ204によって撮影された複数の細分割画像データを、画像処理ソフトを用いて画像処理を行い、被塗装物Mの平面でないプリント対象面を平面に投影された合成プリント面として生成する。また、制御部209は、既にプリント対象面にプリントされた画像に対して連続するようにプリントされる描画対象画像を、合成プリント面に重ね、描画対象画像がプリント済み画像の縁端部と連続するように編集を行い、描画対象編集画像を生成する。例えば、図21(c)に示した描画対象画像であるプリント画像252bについて、隣接するプリント画像252aとの間に非プリント領域253が形成されないようにプリント画像252bを合成プリント面に整合するように編集することにより、描画対象編集画像を生成する。そして、生成された描画対象編集画像に基づいて プリントヘッド202からプリント対象面にインクが吐出されることにより、新しい画像がプリント済みの画像との間に隙間を生じることなくプリントされる。なお、カメラ204による複数の細分割画像の撮影及びプリントヘッド202の各ノズルからのインクの吐出によるプリントの動作は、制御部209によって動作制御された駆動部211によって行われる。
【0142】
図21(a)においては、球状物の液体付与対象251の球面状の表面にインクジェットノズルによって二次元の四角形を形成するような場合に、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクの吐出方向が図示されている。図21(b)においては、ノズルヘッド250に搭載された各インクジェットノズルから噴射されるインクはノズルヘッド250に対して垂直方向に吐出されるので、液体付与対象251の表面にプリントされたプリント画像252aが、周辺が歪んだ形状の四角形となることが図示されている。
【0143】
<電極の製造装置>
本発明に係る実施形態は、電極および電気化学素子の製造装置を含む。以下、電極の製造装置について説明する。図22は、本実施形態に係る電極の製造装置の一例を示す模式図である。電極の製造装置は、上記した液体を吐出する装置を用いて液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を有する電極を製造する装置である。
【0144】
<電極材料を有する層形成手段、電極材料を有する層形成工程>
本実施形態における吐出手段は、上記した液体を吐出する装置である。前記吐出により、対象物上に液体組成物を付与して、液体組成物層を形成することができる。前記対象物(以下、「吐出対象物」と称することがある。)としては、電極材料を有する層を形成する対象であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電極基体(集電体)や活物質層、固体電極材料を有する層などが挙げられる。また、吐出手段及び吐出工程は、吐出対象物に対して電極材料を有する層を形成することが可能であれば、直接液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成であってもよく、間接的に液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成であってもよい。
【0145】
<その他の構成、その他の工程>
電極合材層の製造装置におけるその他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱手段などが挙げられる。電極合材層の製造方法におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱工程などが挙げられる。
【0146】
<加熱手段、加熱工程>
前記加熱手段は、前記吐出手段により吐出された液体組成物を加熱する手段である。加熱工程は、前記吐出工程で吐出された液体組成物を加熱する工程である。前記加熱により、前記液体組成物層を乾燥させることができる。
【0147】
<直接液体組成物を吐出することで電極材料を有する層を形成する構成>
ここで、電極の製造装置の一例として、電極基体(集電体)上に活物質を含む電極合材層を形成する電極製造装置を説明する。電極製造装置は、吐出対象物を有する印刷基材704上に、液体組成物を付与して液体組成物層を形成する工程を含む吐出工程部110と、液体組成物層を加熱して電極合材層を得る加熱工程を含む加熱工程部130を備える。電極製造装置は、印刷基材704を搬送する搬送部705を備え、搬送部705は、吐出工程部110、加熱工程部130の順に印刷基材704をあらかじめ設定された速度で搬送する。前記活物質層などの吐出対象物を有する印刷基材704の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。吐出工程部110は、印刷基材704上に液体組成物を付与する付与工程を実現する本発明の印刷装置281aと、液体組成物を収容する収容容器281bと、収容容器281bに貯留された液体組成物を印刷装置281aに供給する供給チューブ281cを備える。
【0148】
収容容器281bは液体組成物707を収容し、吐出工程部110は、印刷装置281aから液体組成物707を吐出して、印刷基材704上に液体組成物707を付与して液体組成物層を薄膜状に形成する。なお、収容容器281bは、電極合材層の製造装置と一体化した構成であってもよいが、電極合材層の製造装置から取り外し可能な構成であってもよい。また、電極合材層の製造装置と一体化した収容容器や電極合材層の製造装置から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
【0149】
収容容器281bや供給チューブ281cは、液体組成物707を安定して貯蔵及び供給できるものであれば任意に選択可能である。
【0150】
加熱工程部130は、図22に示すように、加熱装置703を有し、液体組成物層に残存する溶媒を、加熱装置703により加熱して乾燥させて除去する溶媒除去工程を含む。これにより電極合材層を形成することができる。加熱工程部130は、溶媒除去工程を減圧下で実施してもよい。
【0151】
加熱装置703としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板加熱、IRヒータ、温風ヒータなどが挙げられ、これらを組み合わせてもよい。また、加熱温度や時間に関しては、液体組成物707に含まれる溶媒の沸点や形成膜厚に応じて適宜選択可能である。
【0152】
図23は、本実施形態に係る電極製造装置(液体を吐出する装置)の他の一例を示す模式図である。液体を吐出する装置100は、ポンプ810と、制御バルブ811、812を制御することにより、液体組成物が吐出ヘッド1、タンク807、チューブ808を循環することが可能である。また、液体を吐出する装置100は、外部タンク813が設けられており、タンク807内の液体組成物が減少した際に、ポンプ810と、制御バルブ811、812、814を制御することにより、外部タンク813からタンク807に液体組成物を供給することも可能である。本実施形態に係る電極製造装置を用いると、吐出対象物の狙ったところに液体組成物を吐出することができる。前記電極合材層は、例えば、電気化学素子の構成の一部として、好適に用いることができる。前記電気化学素子における前記電極合材層以外の構成としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができ、例えば、正極、負極、セパレータなどが挙げられる。
【0153】
なお、本発明の各実施形態の機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、各実施形態の機能を実行するためのプログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0154】
<本発明の各実施形態の機能を実行するためのプログラムについて>
また、本発明の各実施形態の機能を実行するためのプログラムは、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、CD-RW(Re-Writable)、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、ブルーレイディスク、SDカード、MO(Magneto-Optical disc)等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0155】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0156】
[第1態様]
第1態様は、液体(例えば、インク)を吐出する複数のノズル(例えば、ノズル13)と、前記複数のノズルの各々に対応して設けられ、前記ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体(例えば、ニードル弁5)と、前記弁体を移動させる複数の移動手段(例えば、圧電素子7)と、前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段(例えば、冷却側ペルチェ素子31、31L、加熱側ペルチェ素子は32)と、を備えることを特徴としている。
【0157】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記移動手段は、前記弁体を移動させる圧電素子を有することを特徴としている。
【0158】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記温度調整手段は、冷却機能のあるペルチェ素子(例えば、冷却側ペルチェ素子31、31L)を有し、前記ペルチェ素子は、前記圧電素子と伝熱可能に設けられていることを特徴としている。
【0159】
[第4態様]
第4態様は、第2態様において、前記温度調整手段は、ヒータ(例えば、ヒータ)または加熱機能のあるペルチェ素子(例えば、加熱側ペルチェ素子32)を有し、前記ヒータまたは前記ペルチェ素子は、前記圧電素子と伝熱可能に設けられていることを特徴としている。
【0160】
[第5態様]
第5態様は、第2態様において、前記温度調整手段は、前記圧電素子を加熱する加熱用ペルチェ素子と、前記圧電素子を冷却する冷却用ペルチェ素子とを有することを特徴としている。
【0161】
[第6態様]
第6態様は、第3態様または第5態様において、前記ペルチェ素子は、前記圧電素子の伸縮方向に弛みを持った状態で、前記圧電素子の一部に取り付けられることを特徴としている。
【0162】
[第7態様]
第7態様は、第3態様または第5態様において、前記ペルチェ素子は、前記圧電素子の一部に接着剤を介して接着されていることを特徴としている。
【0163】
[第8態様]
第8態様は、第1態様乃至第7態様のいずれかにおいて、前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段に接触あるいは熱的に接触して温度を検知する複数の温度検知手段(例えば、温度センサ33)を備えることを特徴としている。
【0164】
[第9態様]
第9態様における液体を吐出する装置(例えば、液体を吐出する装置100)は、第8態様に記載の液体吐出ヘッド(例えば、吐出ヘッド1)と、前記各々の温度検知手段によって検知した前記各々の移動手段の温度に基づいて前記各々の温度調整手段を制御する温度制御手段(例えば、温度制御部2000)とを有することを特徴としている。
【0165】
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記温度制御手段は、前記複数の移動手段ごとに予め定めた温度情報である温度設定情報(温度設定情報2601)と、前記複数の温度検知手段が検知した温度とに基づいて、前記複数の温度調整手段を個別に制御することを特徴としている。
【0166】
[第11態様]
第11態様は、液体吐出ヘッドを備えた液体を吐出する液体を吐出する装置が実行する液体を吐出する制御方法であって、前記液体を吐出する装置は、液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々に対応して設けられ、前記ノズルを閉鎖する位置と開放する位置とに移動可能な複数の弁体と、前記弁体を移動させる複数の移動手段と、前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段の各々の温度を調整可能な複数の温度調整手段と、前記複数の移動手段の各々に設けられ、前記複数の移動手段に接触あるいは熱的に接触して温度を検知する複数の温度検知手段と、を備え、前記複数の温度検知手段の各々によって検知された前記各々の移動手段の温度に基づいて、前記複数の温度調整手段の各々を制御することを特徴としている。
【0167】
[第12態様]
第12態様は、コンピュータに、第11態様に記載の方法を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0168】
1 吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
2 先端挿入部
3 ノズル板
4 Oリング
5 ニードル弁
6 圧電素子保持部材
7 圧電素子(アクチュエータ)
8 圧電素子固定部材
9 シール部材
10 基準点(固定基準点)
11 液室
12 圧電素子収容空間
13 ノズル
14 締結穴
15 キャリッジ取付面
31、31L 冷却側ペルチェ素子
32 加熱側ペルチェ素子
33 温度センサ(サーミスタ)
34 接着剤
35、35L 熱伝導グリス
100 液体を吐出する装置
140 筐体
700 圧電素子駆動面
1000 キャリッジ
2000 温度制御部
2001、2101、2201、3001 CPU
2002、2102、2202、3002 ROM
2003、2103、2203、3003 RAM
2004、2104、2204、3004 HDD/SSD
2005、2105、2205、3005 I/Oインターフェース
2006、2106、2206、3006 通信フェース
2100 温度センサ制御部
2200 ペルチェ素子制御部
2300 温度取得部
2500 温度設定部
2600 温度設定情報記憶部
2601 温度設定情報
3000 圧電素子制御部(アクチュエータ制御部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】
【特許文献1】特開2022-069799号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23