(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111387
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】遠隔監視操作システム、中継装置、遠隔監視操作方法、中継方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240809BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240809BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240809BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240809BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H04Q9/00 331Z
H02J13/00 301A
H02J13/00 311A
G05B23/02 T
G06F21/31
G09G5/00 555D
G09G5/00 510H
G09G5/00 510C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015840
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 功
【テーマコード(参考)】
3C223
5C182
5G064
5K048
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH08
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AB08
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA54
5C182BB24
5C182BB28
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182DA65
5C182DA68
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064BA02
5G064BA05
5G064CB06
5G064CB10
5K048BA23
5K048DA07
5K048DC01
5K048DC03
5K048EB02
5K048EB07
5K048EB12
5K048FB05
5K048FB08
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】セキュリティを確保しつつ、制御システムの仕様に関わらず産業用装置をより簡単に遠隔監視操作すること。
【解決手段】産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置と、前記制御システムと前記遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置と、を有する遠隔監視操作は、前記制御システムと前記中継装置とは、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行い、前記中継装置と前記遠隔監視操作装置とは、前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置と、前記制御システムと前記遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置と、を有する遠隔監視操作システムであって、
前記制御システムと前記中継装置とは、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行い、
前記中継装置と前記遠隔監視操作装置とは、前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行う
遠隔監視操作システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記産業用装置を常時制御する制御装置と、前記制御装置に対する監視操作を行う監視操作装置と、を有する分散制御システムである
請求項1に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項3】
前記監視操作装置及び前記中継装置は、第1のオペレーションシステムによって動作し、
前記遠隔監視操作装置は、前記第1のオペレーションシステムとは異なる第2のオペレーションシステムによって動作する
請求項2に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項4】
前記中継装置は、構内通信網を介して前記制御システムと通信接続し、インターネットを介して前記遠隔監視操作システムと通信接続する
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項5】
前記中継装置は、モバイルルータを介して前記インターネットに接続する
請求項4に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項6】
前記第2のソフトウェアは、画面共有ソフトウェアである
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項7】
前記産業用装置は、空気分離装置である
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項8】
前記第2のソフトウェアは、2段階認証機能を有する
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
【請求項9】
産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置であって、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達部と、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達部と、
を備える中継装置。
【請求項10】
産業用装置を制御する制御システムのコンピュータと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置のコンピュータと、前記制御システムと前記遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータとによる遠隔監視操作方法であって、
前記制御システムと前記中継装置とが、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行うステップと、
前記中継装置と前記遠隔監視操作装置とが、前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行うステップと、
を有する遠隔監視操作方法。
【請求項11】
産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータによる中継方法であって、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達ステップと、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達ステップと、
を有する中継方法。
【請求項12】
産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータに、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達ステップと、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視操作システム、中継装置、遠隔監視操作方法、中継方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント等の産業用装置は、コントローラ及びクライアントから構成される分散制御システム(DCS;Distributed Control System)によって運転操作が制御される。コントローラは、制御対象の産業用装置(以下、単に「制御対象装置」という。)を制御するプログラムを常時実行する制御装置であるが、一般的に、データの保存及び表示等の機能については備えていないことが多い。一方、クライアントは、制御対象装置の運転員が操作する端末であり、コントローラから収集した情報を保存したり、表示したりする機能を備えている。また、クライアントは、コントローラに対する運転員からの命令を受け付けて、その命令をコントローラへ送信する。
【0003】
一般的に、コントローラとクライアントは、例えば同一の建物内に設置されるなど、近距離に設置されており、例えばLAN(Local Area Network)等のセキュリティが十分に確保されたネットワークを介して通信接続されている。従来のDCSでは、クライアントを遠隔地に設置して制御対象装置の遠隔監視や遠隔操作を行うようなことがなかったことから、セキュリティや帯域幅の確保などのネットワークに関する問題はとくに生じていなかった。従来、もしクライアントを遠隔地に設置しようとするならば、コントローラとクライアントとの間の通信接続には経済的な理由から帯域幅が比較的小さいネットワークを選択せざるを得ず、制御情報を一般的な収集間隔である1秒間隔で収集する場合には付加的な情報を収集する余地は殆どなかった。そのため、クライアントを遠隔地に設置することは現実的には不可能とされていた。また、従来、たとえ遠隔監視に使用できそうなクライアントが存在しても、一般的なクライアントとは仕様が異なっており、遠隔監視のために特別な仕組みを別途導入する必要が生じる製品である場合が多かった。そのため、従来はDCSを用いて制御対象装置の遠隔監視を行なうことは現実的ではないとされ、ましてや遠隔操作を行うことは困難であった。
【0004】
しかしながら、昨今、感染症の感染拡大の防止、運転員の移動時間や待機時間の削減、及び人員コストの削減等を目的として、セキュリティを十分に確保しつつ、制御対象装置を遠隔監視及び遠隔操作(以下、単に「遠隔監視操作」という。)するための技術が求められている。また、昨今のネットワークの大容量化及び高速化に伴って、帯域幅の確保の問題に関しては解決がなされてきた。
【0005】
制御対象装置を遠隔監視操作するための技術として、例えば、特許文献1には、火力発電プラントの保守を遠隔操作で行うことができるシステムが開示されている。また、特許文献2には、発電プラントの起動停止操作を各機器の状況に応じて自動的に又は半自動的に遠隔で行うことができる遠隔運転操作システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3689767号公報
【特許文献2】特開2003-52083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、例えば空気分離装置等の産業用装置及びこれを制御するDCSが納入業者から顧客へ納入される際、顧客は、DCSのメーカを指定することが多い。なぜならば、とくに複数の空気分離装置を所有する顧客が、各空気分離装置をそれぞれ制御するDCSのメーカを統一することで、空気分離装置に関する運転員への教育、空気分離装置の運用管理、及びDCSの備品管理等の業務効率化を図っていることがあるからである。また、新規に空気分離装置を設置する顧客であっても、当該空気分離装置を制御するDCSのメーカと、顧客が既にプラント内に導入済みの他の産業用装置等のメーカとを、装置の親和性等を踏まえて統一することを望む傾向があるからである。
【0008】
上記の特許文献1に記載の火力発電プラントの保守サービス提供システムは、制御装置(コントローラに相当)、保守ツール(クライアントに相当)、及び当該保守ツールを遠隔操作するためのリモート保守装置によって構成されるシステムである。しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、保守ツールとリモート保守装置とが恒常的に通信を行うことを想定したシステムであり、保守ツールとリモート保守装置とが中央処理装置及び通信装置を介して直接接続されている。そのため、特許文献1に記載のシステムでは、制御装置及び保守ツールの仕様(例えば、OS、機種、及びメーカ等)とリモート保守装置の仕様とが互いに異なっている場合や、各装置の仕様が都度変更されるような場合については想定されていない。このような場合には、特許文献1に記載のシステムでは、システム全体の再設計が必要となる。
【0009】
また、特許文献2に記載の発電プラントの遠隔運転操作システムは、産業用装置の各制御装置(ボイラ制御装置、タービン制御装置及び補機シーケンス制御装置)(コントローラに相当)、オペレータ監視操作装置(クライアントに相当)、及び発電プラント遠隔集中監視センタによって構成されるシステムである。しかしながら、特許文献2に記載のシステムも、特許文献1に記載のシステムと同様に、各産業用装置の制御装置とオペレータ監視操作装置と発電プラント遠隔集中監視センタとが、仕様が共通する機器によって、必要に応じて恒常的に通信を行うことを想定したシステムである。そのため、特許文献2に記載のシステムでも、各制御装置及びオペレータ監視操作装置の仕様(例えば、OS、機種、及びメーカ等)と発電プラント遠隔集中監視センタの仕様とが互いに異なっている場合や、各装置の仕様が都度変更されるような場合については想定されていない。このような場合には、特許文献2に記載のシステムでは、システム全体の再設計が必要となる。このように、従来技術では、制御システムに用いられる装置の仕様が変わった場合には、システム全体の再設計が必要になるという課題があった。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、セキュリティを確保しつつ、制御システムの仕様に関わらず産業用装置をより簡単に遠隔監視操作することができる遠隔監視操作システム、中継装置、遠隔監視操作方法、中継方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
[1] 産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置と、前記制御システムと前記遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置と、を有する遠隔監視操作システムであって、
前記制御システムと前記中継装置とは、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行い、
前記中継装置と前記遠隔監視操作装置とは、前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行う遠隔監視操作システム。
[2] 前記制御システムは、前記産業用装置を常時制御する制御装置と、前記制御装置に対する監視操作を行う監視操作装置と、を有する分散制御システムである[1]に記載の遠隔監視操作システム。
[3] 前記監視操作装置及び前記中継装置は、第1のオペレーションシステムによって動作し、
前記遠隔監視操作装置は、前記第1のオペレーションシステムとは異なる第2のオペレーションシステムによって動作する[2]に記載の遠隔監視操作システム。
[4] 前記中継装置は、構内通信網を介して前記制御システムと通信接続し、インターネットを介して前記遠隔監視操作システムと通信接続する[1]から[3]のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
[5] 前記中継装置は、モバイルルータを介して前記インターネットに接続する[4]に記載の遠隔監視操作システム。
[6] 前記第2のソフトウェアは、画面共有ソフトウェアである[1]から[5]のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
[7] 前記産業用装置は、空気分離装置である[1]から[6]のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
[8] 前記第2のソフトウェアは、2段階認証機能を有する[1]から[7]のうちいずれか一項に記載の遠隔監視操作システム。
[9] 産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置であって、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達部と、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達部と、を備える中継装置。
[10] 産業用装置を制御する制御システムのコンピュータと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置のコンピュータと、前記制御システムと前記遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータとによる遠隔監視操作方法であって、
前記制御システムと前記中継装置とが、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行うステップと、
前記中継装置と前記遠隔監視操作装置とが、前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行うステップと、を有する遠隔監視操作方法。
[11] 産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータによる中継方法であって、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達ステップと、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達ステップと、を有する中継方法。
[12] 産業用装置を制御する制御システムと、前記制御システムを用いて前記産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置のコンピュータに、
オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて前記制御システムと互いに情報伝達を行う第1情報伝達ステップと、
前記第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて前記遠隔監視操作装置と互いに前記情報伝達を行う第2情報伝達ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、セキュリティを確保しつつ、制御システムの仕様に関わらず産業用装置をより簡単に遠隔監視操作することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1の全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1による遠隔監視操作に関する機能の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム、中継装置、遠隔監視操作方法、中継方法及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[遠隔監視操作システムの全体構成]
以下、遠隔監視操作システム1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1の全体構成図である。遠隔監視操作システム1は、遠隔監視操作端末60を用いて、化学プラントPに設置された空気分離装置10を遠隔監視操作するための情報システムである。
【0016】
空気分離装置10は、例えば、空気を分離し、酸素・窒素・アルゴン等の産業ガスを製品として製造する装置である。なお、空気分離装置10は、あくまで制御対象となる産業用装置の一例であって、遠隔監視操作システム1は、空気分離装置以外の産業用装置を遠隔監視操作するための情報システムであってもよい。また、制御対象装置は、化学プラントP以外の場所に設置されたものであってもよい。
【0017】
図1に示されるように、遠隔監視操作システム1は、DCS20と、ブリッジ端末30と、ネットワーク50と、遠隔監視操作端末60とを含んで構成される。
【0018】
DCS20(制御システム)は、制御対象装置である空気分離装置10を制御する分散制御システムである。
図1に示されるように、DCS20は、空気分離装置10と同様に、化学プラントP内に設置される。DCS20は、コントローラ21(制御装置)とクライアント端末22(監視操作装置)とを含んで構成される。コントローラ21とクライアント端末22とは、制御系バス26を介して通信接続される。制御系バス26は、DCS20内の装置間で制御情報や各種データ等を互いに送受信するためのDCSメーカ専用の制御系通信路であり、一般的にはユーザへ解放されていない。これに対し、情報系バス25は、DCS20内の装置間での情報データを互いに送受信するための開放された情報系通信路である。情報系バス25及び制御系バス26は、各々独立したバス型の構内通信網(バス型LAN)である。なお、
図1に示されるように、DCS20の情報系バス25には例えばプリンタ23等のその他の装置が接続されていてもよい。
【0019】
コントローラ21は、空気分離装置10を制御するプログラムを常時実行する情報処理装置である。例えば、コントローラ21は、産業用装置の制御を行う装置であるFCS(Field Control Station)である。コントローラ21は、クライアント端末22からの命令に従って空気分離装置10を制御する。
【0020】
例えばコントローラ21は、クライアント端末22から、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す指示情報を取得する。この場合、コントローラ21は、空気分離装置10に備えられた各種センサ(不図示)の計測値に基づく空気分離装置10の稼働状態を示す情報をクライアント端末22へ出力する。なお、各種センサ(不図示)の計測値のデータは、所定の間隔で(例えば、1秒間隔で)空気分離装置10からコントローラ21に伝送される。
【0021】
また、例えばコントローラ21は、クライアント端末22から、空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す指示情報を取得する。この場合、コントローラ21は、空気分離装置10の制御量の設定変更を要求する指示情報を、空気分離装置10へ出力する。空気分離装置10は、コントローラ21から出力された当該指示情報を取得すると、制御量の設定を変更する。
【0022】
なお、本実施形態においては、コントローラ21は、各種データを表示する表示装置等のユーザインターフェースや、各種データを記憶する記憶装置等は備えていないものとする。但し、コントローラ21に、ユーザインターフェースや記憶装置等が備えられていても構わない。
【0023】
クライアント端末22は、コントローラ21のユーザインターフェースとして、及び、空気分離装置10による産業ガスの製造に用いられる設定情報や各種データを記憶する記憶装置として機能する情報処理装置である。例えば、クライアント端末22は、FCSを用いて産業用装置の監視操作を行う装置であるOPS(Operator Station)である。クライアント端末22は、例えばパソコン等の汎用コンピュータを含んで構成される。
【0024】
例えば、クライアント端末22は、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す、運転員からの操作入力を受け付ける。クライアント端末22は、当該操作入力に基づく指示情報を生成し、生成された指示情報をコントローラ21へ出力する。クライアント端末22は、当該指示情報に応じてコントローラ21から返送される、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を取得する。クライアント端末22は、取得された空気分離装置10の稼働状態を示す情報を、後述される表示部222に表示させることによって運転員に提示する。
【0025】
また、例えば、クライアント端末22は、空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す、運転員からの操作入力を受け付ける。クライアント端末22は、当該操作入力に基づく指示情報を生成し、生成された指示情報をコントローラ21へ出力する。
【0026】
クライアント端末22は、所定のオペレーションシステム(OS;Operation System)によって動作しており、当該OS標準のデスクトップ共有ソフトウェア(画面共有ソフトウェア)がインストールされている。例えば、クライアント端末22は、マイクロソフト社のOSであるWindows(登録商標)によって動作しており、Windows(登録商標)標準のデスクトップ共有ソフトウェアであるリモートデスクトップがインストールされている。
【0027】
ブリッジ端末30は、遠隔監視操作端末60とクライアント端末22との間の通信を中継する中継装置として機能する情報処理装置である。ブリッジ端末30は、例えばパソコン等の汎用コンピュータを含んで構成される。ブリッジ端末30は、運転員が遠隔監視操作端末60から遠隔でクライアント端末22に接続して空気分離装置10の遠隔監視操作を行うことができるように、クライアント端末22の表示部222に表示される情報を遠隔監視操作端末60へ送信したり、遠隔監視操作端末60から送信される各種の指示情報をクライアント端末22へ出力する。
【0028】
ブリッジ端末30は、DCS20の情報系バス25に接続され、情報系バス25内でIPアドレスが重複しないアドレスが当該ブリッジ端末30に指定されて、設置される。ブリッジ端末30は、クライアント端末22と同一の所定のOSによって動作しており、当該OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアがインストールされている。例えば、ブリッジ端末30は、マイクロソフト社のOSであるWindows(登録商標)によって動作しており、Windows(登録商標)標準のデスクトップ共有ソフトウェアであるリモートデスクトップがインストールされている。
【0029】
このような構成を備えることで、ブリッジ端末30は、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアを用いて、クライアント端末22の表示部222に表示される表示画面をブリッジ端末30において共有することができる。また、このような構成を備えることで、ブリッジ端末30は、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアを用いて、クライアント端末22の動作を制御することができる。
【0030】
このように、本実施形態における遠隔監視操作システム1ではOS標準のデスクトップ共有ソフトウェアが用いられることから、ブリッジ端末30のOSは、クライアント端末22のOSと同一である必要がある。
【0031】
一般的に、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアは、セキュリティの強度が高くないことがある。なお、ここでいうセキュリティの強度とは、例えば、情報系バス25を流れるデータの盗聴や改竄、なりすまし、クライアント端末22への侵入等のネットワークへの不正侵入に対する防御力の高さである。これに対し、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、ブリッジ端末30とクライアント端末22とは、バス型LANである情報系バス25によって通信接続されることから、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアを用いたとしてもセキュリティが確保される。
【0032】
また、一般的に、DCSは、ユーザが独自にソフトウェアをインストールすることが難しい場合がある。例えば、DCSを提供する業者がサポートしていないソフトウェアが使用された場合、そのDCSは保証の対象外となってしまうことがある。これに対し、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、ブリッジ端末30がOS標準のデスクトップ共有ソフトウェアを用いてクライアント端末22の動作を制御する構成を備えるため、クライアント端末22に独自にソフトウェアをインストールすることなく、空気分離装置10の遠隔監視操作を行うことが可能になる。
【0033】
また、ブリッジ端末30には、運用者が遠隔監視操作端末60を用いて当該ブリッジ端末30の利用を可能にするリモート接続ソフトウェア(例えば、画面共有ソフトウェア等)が予めインストールされている。なお、遠隔監視操作端末60にも同一のリモート接続ソフトウェアが予めインストールされている。なお、同一のリモート接続ソフトウェアを動作させることができるならば、遠隔監視操作端末60のOSはブリッジ端末30のOSと同一ではなくてもよい。
【0034】
前述のOS標準のデスクトップ共有ソフトウェアとは異なり、このリモート接続ソフトウェアには、インターネット等のオープンなネットワークを介した通信であってもセキュリティの確保が可能な、例えば仮想プライベートネットワーク(VPN)接続等の機能を備えるソフトウェアが用いられる。VPN接続とは、インターネット等のオープンなネットワーク上に仮想の専用線を構築する技術の一つである。例えば、本実施形態におけるリモート接続ソフトウェアとして、TeamViwer AG社の市販のリモート接続ソフトウェアであるTeamViewer(登録商標)を用いることができる。
【0035】
図1に示されるように、ブリッジ端末30は、モバイルルータ40-1を介してネットワーク50に接続する。ネットワーク50は、例えばインターネット等のオープンなネットワーク(パブリックネットワーク)である。また、例えばモバイルルータ40-1は、無線LANによってネットワーク50に接続するモバイルWi-Fi(登録商標)ルータである。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、ブリッジ端末30は、例えば有線での接続が可能である場合には、モバイルルータ40-1を介さずに有線接続によってネットワーク50に接続する構成であっても構わない。
【0036】
但し、例えば各顧客の空気分離装置10の新規導入時の試運転のためにスーパーバイザー(SV)等が遠隔監視操作を行うような場合等においては、ブリッジ端末30が用いられるのは装置の初回起動時の1度だけであることがある。このような場合には、本実施形態における遠隔監視操作システム1のようにモバイルルータ40-1を用いる構成である方が、有線でのネットワーク接続の環境を予め用意しておく必要がないため、より利便性が高いと考えられる。
【0037】
図1に示されるように遠隔監視操作端末60(遠隔監視操作装置)は、モバイルルータ40-2を介してネットワーク50に接続する。モバイルルータ40-1と同様に、例えばモバイルルータ40-2は、無線LANによってネットワーク50に接続するモバイルWi-Fi(登録商標)ルータである。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、遠隔監視操作端末60は、例えば有線での接続が可能である場合には、モバイルルータ40-2を介さずに有線接続によってネットワーク50に接続する構成であっても構わない。
【0038】
遠隔監視操作端末60は、空気分離装置10を遠隔監視操作するために運転員やSV等が操作する情報処理装置である。遠隔監視操作端末60は、例えばパソコン等の汎用コンピュータを含んで構成される。遠隔監視操作端末60は、例えば運転員が勤務するオフィス等の、プラントPとは離れた場所に設置される。
【0039】
遠隔監視操作端末60には、運用者が当該遠隔監視操作端末60を用いてブリッジ端末30の利用を可能にする、ブリッジ端末30と同一のリモート接続ソフトウェアが予めインストールされている。なお、前述の通り、同一のリモート接続ソフトウェアを動作させることができるならば、遠隔監視操作端末60のOSはブリッジ端末30のOSと同一ではなくてもよい。
【0040】
このリモート接続ソフトウェアを用いることで、運転員が、遠隔監視操作端末60からブリッジ端末30を遠隔操作することが可能になる。また、前述の通り、ブリッジ端末30は、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアによって、クライアント端末22の表示部222に表示される表示画面をブリッジ端末30において共有したり、クライアント端末22の動作を制御したりすることができる。これにより、運転員は、遠隔監視操作端末60から、中継装置であるブリッジ端末30を介してDCS20にアクセスし、空気分離装置10の遠隔監視操作を行うことができる。
【0041】
なお、本発明のブリッジ端末30及び遠隔監視操作端末60は、コンピュータとプログラムによって実現することが可能であるが、当該プログラムの全てが本実施形態のように各装置が備える記憶媒体に記憶されていてもよいし、一部のプログラムがネットワーク50に接続されたサーバ(不図示)に記録されており、当該サーバ上でそのプログラムが実行される構成であってもよい。例えばリモート接続ソフトウェア等のソフトウェアは、サーバで実行されるソフトウェア、いわゆるクラウドサービス型のソフトウェアであってもよい。
【0042】
前述の通り、リモート接続ソフトウェアには、インターネット等のオープンなネットワークにおいてセキュリティを確保するネットワーク技術であるVPN接続機能等を備えるソフトウェアが用いられるものとしたが、さらに、その他の技術を併用してセキュリティ向上を図るようにしてもよい。例えば、
図1に示されるように、本実施形態における遠隔監視操作システムの遠隔監視操作端末60及びブリッジ端末30には、2段階認証の機能に対応したリモート接続ソフトウェアが用いられる。また、例えば、本実施形態におけるリモート接続ソフトウェアが使用する2段階認証の機能として、グーグル社の認証システムであるGoogle Authenticator(登録商標)を用いることができる。
【0043】
図1に示されるように、2段階認証システム70は、認証サーバ71と、携帯端末72とを含んで構成される。認証サーバ71は、2段階認証を行う機能を備え、2段階認証に用いられる認証情報を記憶している。例えば認証情報には、携帯端末72に付与された電話番号が記憶されている。携帯端末72は、例えば運転員が保持するスマーフォンである。
【0044】
例えば、運転員が、リモート接続ソフトウェアを起動してログインし、遠隔監視操作端末60からブリッジ端末30へのアクセスを試みると、リモート接続ソフトウェアは、ログイン情報(例えば、ログインに使用されたユーザID又は端末ID等)をネットワーク50を介して認証サーバ71へ送信する。認証サーバ71は、リモート接続ソフトウェアによって遠隔監視操作端末60から送信されたログイン情報を受信すると、予め記憶している認証情報を参照し、受信したログイン情報に紐づけられた電話番号を特定する。この電話番号は、すなわち、携帯端末72に付与された電話番号である。例えば、認証サーバは、2段階認証のパスワードを生成し、生成されたパスワードを特定された電話番号を宛先としてショートメッセージサービス(SMS)により発信する。例えば、2段階認証のパスワードは、ランダムな数字の羅列からなるワンタイムパスワードである。携帯端末72が2段階認証のパスワードを示す情報を受信すると、運転員は、当該パスワードを遠隔監視操作端末60のリモート接続ソフトウェアに入力する。これにより、2段階認証が完了し、遠隔監視操作端末60からブリッジ端末30へのアクセスが可能になる。なお、2段階認証のパスワードは、遠隔監視操作端末60の運転員が所持する携帯端末72にインストールされた2段階認証アプリ721の表示部722上で規定時間毎に自動更新されるコードでもよい。
【0045】
このような構成を備えることで、本実施形態における遠隔監視操作システム1は、遠隔監視操作端末60とブリッジ端末30とがオープンなネットワークであるネットワーク50を介して互いに通信を行う場合であってもセキュリティが確保される。
【0046】
[機能構成]
以下、本実施形態における遠隔監視操作システム1が有する各装置の、空気分離装置10の遠隔監視操作に関する機能構成について、更に詳しく説明する。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1による遠隔監視操作に関する機能の機能構成を示すブロック図である。本実施形態における遠隔監視操作システム1の最小構成は、クライアント端末22、ブリッジ端末30及び遠隔監視操作端末60からなる。そして、セキュリティ向上のため、2段階認証機能を実現する認証サーバ71及び携帯端末72がさらに具備されることが望ましい。
【0048】
クライアント端末22は、コントローラ制御部221と、表示部222と、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223とを含んで構成される。
【0049】
コントローラ制御部221は、例えば、クライアント端末22が備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(不図示)が記憶装置(不図示)に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。記憶装置は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせを含んで構成される。なお、記憶装置は、クライアント端末22に内蔵されていてもよいし、外付けの装置であってもよい。
【0050】
コントローラ制御部221は、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す操作入力を受け付ける。この操作入力は、運転員の操作に応じて遠隔監視操作端末60から送信され、ブリッジ端末30を介してクライアント端末22が受信する指示情報に基づいて行われる。クライアント端末22は、当該操作入力に基づく指示情報を生成し、コントローラ21へ出力する。また、コントローラ制御部221は、当該指示情報に応じてコントローラ21から返送される、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を取得する。コントローラ制御部221は、取得された空気分離装置10の稼働状態を示す情報を表示部222に表示させる。
【0051】
また、コントローラ制御部221は、空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す操作入力を受け付ける。この操作入力は、運転員の操作に応じて遠隔監視操作端末60から送信され、ブリッジ端末30を介してクライアント端末22が受信する指示情報に基づいて行われる。コントローラ制御部221は、当該操作入力に基づく指示情報を生成し、コントローラ21へ出力する。
【0052】
表示部222は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、又はCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置である。なお、表示部222は、クライアント端末22に内蔵されていてもよいし、外付けの装置であってもよい。表示部222は、例えば、コントローラ21から取得される情報に基づいて、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を表示する。
【0053】
OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、所定のOS(Operation System)に予め含まれているデスクトップ共有ソフトウェアである。前述の通り、例えばOS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、マイクロソフト社のWindows(登録商標)に予め含まれているソフトウェアであるリモートデスクトップである。OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、例えば、クライアント端末22が備えるプロセッサ(不図示)が記憶装置(不図示)に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0054】
OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、運転員の操作に応じて遠隔監視操作端末60から送信される指示情報を、ブリッジ端末30を介して取得し、コントローラ制御部221へ出力する。また、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、例えば空気分離装置10の稼働状態等の各種情報を含む表示部222の表示画面を示す情報を、ブリッジ端末30へ出力する。
【0055】
ブリッジ端末30は、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301と、リモート接続ソフトウェア302とを含んで構成される。OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301及びリモート接続ソフトウェア302は、例えば、クライアント端末22が備えるプロセッサ(不図示)が記憶装置(不図示)に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。なお、記憶装置は、ブリッジ端末30に内蔵されていてもよいし、外付けの装置であってもよい。
【0056】
OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は、クライアント端末22と同一のOS予め含まれているデスクトップ共有ソフトウェアである。したがって、前述の通り、ブリッジ端末30のOSは、クライアント端末22のOSと同一である必要がある。
【0057】
OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は、運転員の操作に応じて遠隔監視操作端末60から送信される指示情報を、リモート接続ソフトウェア302から取得して、クライアント端末22へ出力する。また、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は、クライアント端末22の表示部222が表示する表示画面を示す情報を、クライアント端末22から取得して、リモート接続ソフトウェア302へ出力する。表示部222が表示する表示画面を示す情報には、例えば空気分離装置10の稼働状態等の各種情報が含まれる。
【0058】
リモート接続ソフトウェア302は、セキュリティを確保しつつ、オープンなネットワークであるネットワーク50を介して、遠隔監視操作端末60から遠隔でブリッジ端末30の操作を可能にするソフトウェアである。前述の通り、例えばリモート接続ソフトウェア302は、チームビューワ社のリモート接続ソフトウェアであるTeamViewer(登録商標)である。
【0059】
リモート接続ソフトウェア302は、例えば、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す指示情報を、ネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60から取得し、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301へ出力する。また、リモート接続ソフトウェア302は、例えば、空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す指示情報を、ネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60から取得し、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301へ出力する。
【0060】
また、リモート接続ソフトウェア302は、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301へ出力した空気分離装置10を監視する命令を示す指示情報に応じてクライアント端末22から返送される、クライアント端末22の表示部222が表示する表示画面を示す情報を、当該OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301から取得する。リモート接続ソフトウェア302は、取得された表示部222が表示する表示画面を示す情報を、ネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60へ送信する。
【0061】
遠隔監視操作端末60(遠隔監視操作装置)は、リモート接続ソフトウェア601と、表示部602と、操作部603とを含んで構成される。
【0062】
リモート接続ソフトウェア601は、ブリッジ端末30にインストールされたリモート接続ソフトウェア302と同一のソフトウェアである。なお、前述の通り、リモート接続ソフトウェアが同一であるならば、遠隔監視操作端末60のOSとブリッジ端末30のOSとは異なっていても構わない。
【0063】
リモート接続ソフトウェア601は、運転員が操作部603を操作することによって生成される、例えば、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す指示情報を、当該操作部603から取得する。リモート接続ソフトウェア601は、取得された指示情報を、ネットワーク50を介してブリッジ端末30へ送信する。また、リモート接続ソフトウェア601は、運転員が操作部603を操作することによって生成される、例えば、空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す指示情報を、当該操作部603から取得する。リモート接続ソフトウェア601は、取得された指示情報を、ネットワーク50を介してブリッジ端末30へ送信する。
【0064】
また、リモート接続ソフトウェア601は、ブリッジ端末30へ送信した空気分離装置10を監視する命令を示す指示情報に応じてクライアント端末22から返送される、クライアント端末22の表示部222が表示する表示画面を示す情報を、ネットワーク50を介してブリッジ端末30から受信する。リモート接続ソフトウェア601は、受信した表示部222が表示する表示画面を示す情報を表示部602へ出力する。
【0065】
表示部602は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はCRTディスプレイ等の表示装置である。なお、表示部602は、遠隔監視操作端末60に内蔵されていてもよいし、外付けの装置であってもよい。表示部602は、例えば、リモート接続ソフトウェア601から出力された情報に基づく、クライアント端末22の表示部222の表示画面を表示する。例えば、表示部602に表示される、クライアント端末22の表示部222の表示画面には、空気分離装置10の稼働状態を示す情報が含まれる。
【0066】
操作部603は、運転員による操作入力を受け付けるユーザインターフェースである。操作部603は、例えば、キーボード、マウス、及び入力ボタン等の入力デバイス、又はこれの入力デバイスの組み合わせによって構成される。なお、操作部603は、例えばタッチパネル等の、表示部602と一体化された入出力デバイスであってもよい。なお、操作部603は、遠隔監視操作端末60に内蔵されたデバイスであってもよいし、外付けのデバイスであってもよい。
【0067】
運転員は、表示部602に表示された、例えばクライアント端末22の表示部222の表示画面を参照しながら、空気分離装置10を遠隔監視操作するための操作入力を操作部603を用いて行う。
【0068】
操作部603は、運転員による操作入力に基づいて、例えば、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す指示情報、又は空気分離装置10を操作する(例えば、制御量の設定を変更する)命令を示す指示情報を生成する。操作部603は、生成された指示情報をリモート接続ソフトウェア601へ出力する。
【0069】
このように、本実施形態における遠隔監視操作システム1によれば、クライアント端末22とブリッジ端末30との間においてはOSに標準で含まれているデスクトップ共有ソフトウェアが用いられるため、遠隔監視操作を行うために新たなソフトウェアをDCS20のクライアント端末22にインストールする必要がない。これにより、例えば、DCS20が製造業者等による保証の対象外となることを回避することができる。また、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアだけではセキュリティを確保することが難しい場合があるが、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、クライアント端末22とブリッジ端末30との間はLAN等のバス型ネットワークである情報系バス25によって通信接続されているため、セキュリティが確保される。
【0070】
また、本実施形態における遠隔監視操作システム1によれば、ブリッジ端末30と遠隔監視操作端末60との間には任意のリモート接続ソフトウェアを用いることができる。そのため、遠隔監視操作システム1によれば、遠隔監視操作端末60の仕様(例えば、OS、機種及びメーカ等)に限定されることなく、空気分離装置10の遠隔監視操作を実現することができる。例えば、セキュリティ強度の高いリモート接続ソフトウェアや、利便性の高いリモート接続ソフトウェアを選択して使用することが可能である。
【0071】
また、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、セキュリティが十分に確保されるリモート接続ソフトウェアを使用することができるならば、ブリッジ端末30と遠隔監視操作端末60との間のネットワークの種類については限定されない。これにより、遠隔監視操作システム1では、インターネット等のオープンなネットワークを介して空気分離装置10の遠隔監視操作を実現することが可能である。このように、本実施形態における遠隔監視操作システム1によれば、遠隔監視操作のために用いられる端末の仕様、遠隔監視用のソフトウェア、及びネットワーク構成等についての自由度を高くすることができる。
【0072】
また、前述の通り、リモート接続ソフトウェアによるブリッジ端末30と遠隔監視操作端末60との間の通信のセキュリティを高めるため、2段階認証システム70による認証機能を遠隔監視操作システム1に適用することが可能である。
【0073】
図2に示されるように、2段階認証システム70は、認証サーバ71と、携帯端末72とを含んで構成される。認証サーバ71は、2段階認証制御部711と、認証情報712とを含んで構成される。2段階認証制御部711は、例えば、認証サーバ71が備えるプロセッサ(不図示)が記憶装置(不図示)に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0074】
2段階認証制御部711は、遠隔監視操作端末60の運転員がリモート接続ソフトウェア601にログインする際に当該遠隔監視操作端末60から送信されるログイン情報を、ネットワーク50を介して取得する。ログイン情報には、例えば、ログインに使用されたユーザID又は端末ID等が含まれる。2段階認証制御部711は、認証サーバが予め記憶している認証情報を参照し、取得されたログイン情報に紐づけられた電話番号を特定する。2段階認証制御部711は、例えば、特定された電話番号を宛先としてショートメッセージサービス(SMS)により、2段階認証のパスワードを示す情報を発信する。この電話番号は、遠隔監視操作端末60の運転員が所持する携帯端末72に付与された電話番号である。なお、2段階認証のパスワードは、遠隔監視操作端末60の運転員が所持する携帯端末72にインストールされた2段階認証アプリ721の表示部722上で規定時間毎に自動更新されるコードでもよい。
【0075】
但し、このような構成に限られるものではなく、2段階認証制御部711は、例えば、2段階認証のパスワードを電子メール等によって遠隔監視操作端末60の運転員宛てに送信するようにしてもよい。なお、本実施形態における2段階認証機能としては、任意の既存技術を適用可能である。
【0076】
認証情報712は、認証サーバが備える記憶装置(不図示)に予め記憶されている。認証情報は、例えば、ログイン情報と携帯端末72の電話番号とが紐づけられたデータである。なお、記憶装置は、認証サーバ71に内蔵されていても良いし、外付けの装置であってもよい。
【0077】
図2に示されるように、携帯端末72は、2段階認証アプリ721と、表示部722とを含んで構成される。2段階認証アプリ721は、例えば、携帯端末72が備えるプロセッサ(不図示)が記憶装置(不図示)に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。2段階認証アプリ721は、認証サーバ71から送信された2段階認証のパスワードを示す情報を受信する。2段階認証アプリ721は、受信した情報を表示部722へ出力する。
【0078】
表示部722は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はCRTディスプレイ等の表示装置である。表示部722は、2段階認証アプリ721から出力された情報に基づく2段階認証のパスワードを表示する。
【0079】
運転員は、表示部722に表示された2段階認証のパスワードを確認すると、当該パスワードを遠隔監視操作端末60の操作部603を用いて、リモート接続ソフトウェア601に入力する。これにより、2段階認証が完了し、遠隔監視操作端末60からブリッジ端末30へのリモート接続ソフトウェア601によるアクセスが可能になる。
【0080】
[遠隔監視操作システムの動作]
以下、遠隔監視操作システム1の動作の一例について説明する。
図3は、本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。なお、遠隔監視操作に関わる各装置は予め起動されているものとする。
【0081】
まず始めに、ブリッジ端末30が、ユーザのDCS20に予め接続される(ステップS01)。具体的には、ブリッジ端末30が、遠隔監視操作の対象である空気分離装置10に接続されたコントローラ21とクライアント端末22とを接続する制御系バス26に接続される。ブリッジ端末30の情報系バス25への接続は、例えば、遠隔監視操作を行うSV等の運転員、あるいは空気分離装置10を保有するユーザ等によって行われる。
【0082】
次に、遠隔監視操作端末60は、運転員による操作部603の操作に応じて、リモート接続ソフトウェア601を起動する(ステップ02)。リモート接続ソフトウェア601は、起動した後、例えばログインID及びパスワードの入力画面を表示部602に表示させる。運転員による操作部603の操作により、正しいログインID及びパスワードが入力されると、2段階認証における1段階目の認証が完了する。リモート接続ソフトウェア601は、1段階目の認証が完了すると、ログイン情報をネットワーク50を介して認証サーバ71へ送信する(ステップS03)。ログイン情報には、例えば、ログインに使用されたユーザID又は端末ID等が含まれる。なお、1段階目の認証も、認証サーバ71によって行われる構成であってもよい。
【0083】
認証サーバ71は、リモート接続ソフトウェア601によって遠隔監視操作端末60から送信されたログイン情報を受信する。2段階認証制御部711は、ログイン情報が受信されると、予め記憶している認証情報712を参照し、当該ログイン情報に紐づけられた電話番号を特定する(ステップS04)。この電話番号は、遠隔監視操作端末60の運転員が所持する携帯端末72に付与された電話番号である。なお、電話番号の代わりに、例えば電子メール等の他の通知手段による2段階認証が用いられてもよい。2段階認証制御部711は、例えばランダムな数字の羅列からなるワンタイムパスワード等の2段階認証のパスワードを生成する。2段階認証制御部711は、生成された2段階認証のパスワードを示す情報を、特定された電話番号を宛先としてショートメッセージサービス(SMS)により発信する(ステップS05)。なお、2段階認証のパスワードは、遠隔監視操作端末60の運転員が所持する携帯端末72にインストールされた2段階認証アプリ721の表示部722上で規定時間毎に自動更新されるコードでもよい。
【0084】
携帯端末72は、認証サーバ71から送信された2段階認証のパスワードを示す情報を受信する。表示部722は、受信された情報に基づく2段階認証のパスワードを表示する(ステップS06)。遠隔監視操作端末60の運転員は、携帯端末72の表示部722に表示された2段階認証のパスワードを参照し、当該パスワードを操作部603によってリモート接続ソフトウェア601に入力する(ステップS07)。リモート接続ソフトウェア601は、入力された2段階認証のパスワードを示す情報をネットワーク50を介して認証サーバ71へ送信する(ステップS08)。
【0085】
認証サーバ71は、リモート接続ソフトウェア601によって遠隔監視操作端末60から送信された、運転員によって入力された2段階認証のパスワードを示す情報を受信する。2段階認証制御部711は、上記ステップS05において携帯端末72へ発信した2段階認証のパスワードと、運転員によって入力された2段階認証のパスワードとを照合する(ステップS09)。両者の2段階認証のパスワードが一致する場合、2段階認証制御部711は、遠隔監視操作端末60のリモート接続ソフトウェア601とブリッジ端末30のリモート接続ソフトウェア302との通信接続を許可することを示す接続許可情報を、ネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60へ送信する(ステップS10)。
【0086】
遠隔監視操作端末60は、認証サーバ71から送信された接続許可情報を受信する。リモート接続ソフトウェア601は、接続許可情報が受信されると、2段階認証の処理を完了させる(ステップS11)。
【0087】
次に、リモート接続ソフトウェア601は、ブリッジ端末30のリモート接続ソフトウェア302との接続要求、及びブリッジ端末30の表示画面の取得要求を示す情報を生成する(ステップS12)。リモート接続ソフトウェア601は、生成された情報をネットワーク50を介して当該ブリッジ端末30へ送信する(ステップS13)。
【0088】
ブリッジ端末30は、遠隔監視操作端末60から送信された、リモート接続ソフトウェア302との接続要求及び表示画面の取得要求を示す情報を受信する。リモート接続ソフトウェア302は、当該情報が受信されると、遠隔監視操作端末60のリモート接続ソフトウェア601との通信接続を確立する(ステップS14)。そして、リモート接続ソフトウェア302は、ブリッジ端末30の表示画面を示す情報の遠隔監視操作端末60への送信を開始する(ステップS15)。
【0089】
遠隔監視操作端末60は、ネットワーク50を介してブリッジ端末30の表示画面を示す情報を受信する。リモート接続ソフトウェア601は、受信された情報に基づくブリッジ端末30の表示画面を表示部602に表示させる。次に、リモート接続ソフトウェア601は、運転員による操作部603の操作により、ブリッジ端末30のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301の起動要求を示す情報を生成する(ステップS16)。リモート接続ソフトウェア601は、生成された情報をネットワーク50を介して当該ブリッジ端末30へ送信する(ステップS17)。
【0090】
ブリッジ端末30は、遠隔監視操作端末60から送信された、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301の起動要求を示す情報を受信する。リモート接続ソフトウェア302は、当該情報が受信されると、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301を起動させる(ステップS18)。OS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は、クライアント端末22のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア223との接続要求、及びクライアント端末22の表示部222の表示画面の取得要求を示す情報を生成する。リモート接続ソフトウェア601は、生成された情報を情報系バス25を介してクライアント端末22へ送信する(ステップS19)。
【0091】
クライアント端末22は、ブリッジ端末30から送信された、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223との接続要求及び表示部222の表示画面の取得要求を示す情報を受信する。OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、当該情報が受信されると、ブリッジ端末30のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301との通信接続を確立する(ステップS20)。そして、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、表示部222の表示画面を示す情報のブリッジ端末30への送信を開始する(ステップS21)。
【0092】
これにより、ブリッジ端末30のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301とクライアント端末22のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア223との間で情報系バス25を介した通信接続が確立され、クライアント端末22の表示部222に表示される表示画面をブリッジ端末30において共有する(すなわち、デスクトップ共有する)ことが可能な状態となる。さらに、リモート接続ソフトウェアにより、このクライアント端末22の表示部222に表示される表示画面を遠隔監視操作端末60において共有することが可能な状態となる。これにより、運転員は、遠隔監視操作端末60の表示部602で、クライアント端末22の表示部222に表示される表示画面を参照することが可能になる。そして、運転員は、表示部602で空気分離装置10の監視を行うこと、及び操作部603により空気分離装置10に対する操作を行うことが可能になる。
【0093】
次に、遠隔監視操作端末60のリモート接続ソフトウェア601は、運転員による操作部603の操作により、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)命令を示す指示情報を生成する(ステップS22)。リモート接続ソフトウェア601は、生成された指示情報をネットワーク50を介してブリッジ端末30へ送信する。さらに、ブリッジ端末30が指示情報を受信すると、当該ブリッジ端末30のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は当該指示情報を情報系バス25を介してクライアント端末22へ送信する(ステップS23)。
【0094】
クライアント端末22は、ブリッジ端末30から送信された指示情報を受信する。コントローラ制御部221は、受信された指示情報に基づいて、空気分離装置10の稼働状態の取得要求を示す情報を生成する(ステップS24)。コントローラ制御部221は、生成された情報を制御系バス26を介してコントローラ21へ送信する(ステップS25)。
【0095】
コントローラ21は、クライアント端末22から送信された、空気分離装置10の稼働状態の取得要求を示す情報を受信する。コントローラ21は、受信された指示情報に基づいて、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を生成する(ステップS26)。コントローラ21は、生成された情報を制御系バス26を介してクライアント端末22へ送信する(ステップS27)。
【0096】
クライアント端末22は、コントローラ21から送信された、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を受信する。表示部222は、受信された情報に基づく表示画面を表示する(ステップS28)。そして、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、表示部222の表示画面を示す情報を情報系バス25を介してブリッジ端末30へ送信し、当該ブリッジ端末のリモート接続ソフトウェア302は、当該情報をさらにネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60へ送信する(ステップS29)。
【0097】
遠隔監視操作端末60は、クライアント端末22から送信された情報を受信する。表示部602は、受信された情報に基づく表示部222の表示画面を表示する(ステップS30)。これにより、遠隔監視操作端末60の運転員は、遠隔で、空気分離装置10を監視する(例えば、稼働状態を確認する)ことができる。
【0098】
そして、ここでは、運転員が、空気分離装置10の稼働状態を確認した結果、空気分離装置10の制御量の設定を変更させる操作を行うと判断したものとする。遠隔監視操作端末60のリモート接続ソフトウェア601は、運転員による操作部603の操作により、空気分離装置10を操作する(制御量の設定を変更させる)命令を示す指示情報を生成する(ステップS31)。リモート接続ソフトウェア601は、生成された指示情報をネットワーク50を介してブリッジ端末30へ送信する。さらに、ブリッジ端末30が指示情報を受信すると、当該ブリッジ端末30のOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301は、当該指示情報を情報系バス25を介してクライアント端末22へ送信する(ステップS32)。
【0099】
クライアント端末22は、ブリッジ端末30から送信された指示情報を受信する。コントローラ制御部221は、受信された指示情報に基づいて、空気分離装置10の制御量の設定の変更要求を示す情報を生成する(ステップS33)。コントローラ制御部221は、生成された情報を制御系バス26を介してコントローラ21へ送信する(ステップS34)。
【0100】
コントローラ21は、クライアント端末22から送信された、空気分離装置10の制御量の設定の変更要求を示す情報を受信する。コントローラ21は、受信された情報に基づいて、空気分離装置10の制御量の設定を変更する(ステップS35)。空気分離装置10は、設定変更された制御量に基づいて稼働する(ステップS36)。空気分離装置10の稼働状態を計測する各種センサ(不図示)は、計測値をコントローラ21へ送信する(ステップS37)。クライアント端末22は、コントローラ21から送信された、各種センサの計測値を示す情報を受信する。コントローラ21は、受信された計測値に基づいて、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を生成する(ステップS38)。コントローラ21は、生成された情報を制御系バス26を介してクライアント端末22へ送信する(ステップS39)。
【0101】
クライアント端末22は、コントローラ21から送信された、空気分離装置10の稼働状態を示す情報を受信する。表示部222は、受信された情報に基づく表示画面を表示する(ステップS40)。そして、OS標準デスクトップ共有ソフトウェア223は、表示部222の表示画面を示す情報を情報系バス25を介してブリッジ端末30へ送信し、当該ブリッジ端末のリモート接続ソフトウェア302は、当該情報をさらにネットワーク50を介して遠隔監視操作端末60へ送信する(ステップS41)。
【0102】
遠隔監視操作端末60は、クライアント端末22から送信された情報を受信する。表示部602は、受信された情報に基づく表示部222の表示画面を表示する(ステップS42)。これにより、遠隔監視操作端末60の運転員は、遠隔で、空気分離装置10を操作する(制御量の設定を変更させる)ことができる。また、遠隔監視操作端末60の運転員は、遠隔で、空気分離装置10を操作した結果(制御量の設定を変更させた結果)を確認することができる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態における遠隔監視操作システム1は、中継装置であるブリッジ端末30を介して、DCS20と遠隔監視操作端末60とが通信接続する構成を備える。そして、DCS20のクライアント端末22のOSとブリッジ端末のOSとは同一のOS(第1のオペレーションシステム)であり、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェア(第1のソフトウェア)を用いてクライアント端末22の表示画面がブリッジ端末30において共有される。このように、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアが用いられるため、デスクトップ共有を実現するために新たなソフトウェアをDCS20のクライアント端末22にインストールする必要がない。これにより、DCS20が、例えばメーカの保証対象外となってしまうようなことを防ぐことができる。
【0104】
また、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、DCS20のクライアント端末22とブリッジ端末30とは、例えばLAN等のセキュリティが十分に確保された情報系バス25によって接続される。そのため、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、OS標準のデスクトップ共有ソフトウェアのセキュリティ強度が高くない場合であっても、セキュリティが十分に確保される。
【0105】
また、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、任意のリモート接続ソフトウェア(第2のソフトウェア)を用いてブリッジ端末30と遠隔監視操作端末60とが接続され、クライアント端末22の表示画面がブリッジ端末30を介して遠隔監視操作端末60に共有される。そのため、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、ブリッジ端末30及び遠隔監視操作端末60は、同一のリモート接続ソフトウェアを使用可能であるならば、OS、機種、メーカ等の仕様には限定されない。例えば、遠隔監視操作端末60のOSは、クライアント端末22及びブリッジ端末30のOS(第1のオペレーションシステム)とは異なるOS(第2のオペレーションシステム)であってもよい。うこのように、本実施形態における遠隔監視操作システム1は、クライアント端末22とは仕様が異なる遠隔監視操作端末60を用いても、空気分離装置10等の産業用装置を遠隔監視操作することができる。
【0106】
また、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、任意のリモート接続ソフトウェアを用いることができるため、より高いセキュリティ強度を有するソフトウェアを選択することも可能である。これにより、本実施形態における遠隔監視操作システム1では、インターネット等のオープンなネットワーク(パブリックネットワーク)を介して遠隔監視操作を行う場合でも、セキュリティを十分に確保することができる。例えば、本実施形態における遠隔監視操作システム1のように2段階認証システムに対応したリモート接続ソフトウェアを用いれば、より高いセキュリティ強度を確保しつつ、遠隔監視操作を行うことが可能になる。
【0107】
以上説明した構成を備えることで、本発明の一実施形態における遠隔監視操作システム1は、セキュリティを確保しつつ、制御システム(DCS)の仕様に関わらず産業用装置をより簡単に遠隔監視操作することができる。
【0108】
上述した実施形態によれば、遠隔監視操作システムは、産業用装置を制御する制御システムと、制御システムを用いて産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置と、制御システムと遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する中継装置とを有する。例えば、遠隔監視操作システムは、実施形態における遠隔監視操作システム1であり、産業用装置は、実施形態における空気分離装置10であり、制御システムは、実施形態におけるDCS20であり、遠隔監視操作装置は、実施形態における遠隔監視操作端末60であり、中継装置は、実施形態におけるブリッジ端末30である。
【0109】
上記の制御システムと中継装置とは、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行う。例えば、第1のソフトウェアは、実施形態におけるOS標準デスクトップ共有ソフトウェア223及び301である。また、上記の中継装置と遠隔監視操作装置とは、第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて互いに前記情報伝達を行う。例えば、第2のソフトウェアは、実施形態におけるリモート接続ソフトウェア302及び601である。
【0110】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、制御システムは、産業用装置を常時制御する制御装置と、制御装置に対する監視操作を行う監視操作装置とを有する、分散制御システムであってもよい。例えば、制御装置は、実施形態におけるコントローラ21であり、監視操作装置は、実施形態におけるクライアント端末22である。
【0111】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、監視操作装置及び中継装置は、第1のオペレーションシステムによって動作し、遠隔監視操作装置は、第1のオペレーションシステムとは異なる第2のオペレーションシステムによって動作するようにしてもよい。例えば、第1のオペレーションシステムは、マイクロソフト社のWindows(登録商標)であり、第2のオペレーションシステムは、オープンソースのLinux(登録商標)、アップル社のMac OS(登録商標)、アップル社のiOS(登録商標)、又はグーグル社のAndroid(登録商標)等である。
【0112】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、中継装置は、構内通信網を介して制御システムと通信接続し、インターネットを介して遠隔監視操作システムと通信接続するようにしてもよい。
【0113】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、中継装置は、モバイルルータを介してインターネットに接続するようにしてもよい。例えば、モバイルルータは、実施形態におけるモバイルルータ40-1及び40-2である。
【0114】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、第2のソフトウェアは、画面共有ソフトウェア(デスクトップ共有ソフトウェア)であってもよい。
【0115】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、産業用装置は、空気分離装置であってもよい。
【0116】
なお、上記の遠隔監視操作システムにおいて、第2のソフトウェアは、2段階認証機能を有していてもよい。例えば、2段階認証機能は、実施形態における2段階認証システム70を用いて実現される機能である。
【0117】
また、上述した実施形態によれば、中継装置は、産業用装置を制御する制御システムと、制御システムを用いて産業用装置を遠隔で監視操作する遠隔監視操作装置との間の情報伝達を中継する。例えば、中継装置は、実施形態におけるブリッジ端末30であり、産業用装置は、実施形態における空気分離装置10であり、制御システムは、実施形態におけるDCS20であり、遠隔監視操作装置は、実施形態における遠隔監視操作端末60である。
【0118】
上記の中継装置は、第1情報伝達部と第2情報伝達部とを備える。例えば、第1情報伝達部は、実施形態におけるOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301が有するデスクトップ共有機能(画面共有機能)であり、第2情報伝達部は、実施形態におけるリモート接続ソフトウェア302が有するリモート接続機能である。第1情報伝達部は、オペレーションシステム標準の画面共有ソフトウェアである第1のソフトウェアを用いて制御システムと互いに情報伝達を行う。例えば、第1のソフトウェアは、実施形態におけるOS標準デスクトップ共有ソフトウェア301である。第2情報伝達部は、第1のソフトウェアとは異なる第2のソフトウェアを用いて遠隔監視操作装置と互いに情報伝達を行う。例えば、第2のソフトウェアは、実施形態におけるリモート接続ソフトウェア302である。
【0119】
なお、実施形態における遠隔監視操作システム1が有する装置を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上述した処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0120】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0121】
以上、この発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0122】
特に、本発明が対象とする産業用装置の一例として、上記の実施形態では空気分離装置を示したが、その分離手段については限定されない。つまり、例えば、蒸留分離による深冷式空気分離装置、吸着分離による吸着式空気分離装置、膜分離による膜式空気分離及びこれらを組み合わせた装置等のいずれの装置が用いられたとしても、本発明の同様の効果を得ることができる。なお、上記の深冷式空気分離装置には、水素、酸素、炭素又は窒素の安定同位体を分離する装置も含まれる。
【0123】
なお、本発明が対象とする産業用装置は、空気分離装置に限定されない。例えば、空気分離装置において得られた産業ガス、水素、ヘリウム又はネオン等のガスを液化し液化ガスを製造する液化装置、産業ガスや液化ガスを貯蔵する貯蔵装置、産業ガスや液化ガスを供給する供給装置、及び産業ガスや液化ガスを精製する精製装置等のその他の産業用装置が用いられたとしても、本発明の同様の効果を得ることができる。また、産業ガス、液化ガス又はその他の必要なガスを利用する産業用装置、例えば、化合物半導体製造、宇宙環境試験装置、冷凍装置等の産業用装置が用いられたとしても、本発明の同様の効果を得ることができる。
【0124】
(実施例)
以下、一例として、本発明を使用した深冷式空気分離装置(原料空気量毎時44000Nm3)をベトナムのA社へ納入した実施例について説明する。当該深冷式空気分離装置の監視・制御には、米国のDCSメーカであるEmerson社製のDCS(型式Delta-V、以後、エマソンDCS)が使用された。前述の実施形態におけるクライアント端末22に相当する装置として、Emerson社から供給されたエマソンDCS専用の端末が使用された。
【0125】
一方、前述の実施形態におけるブリッジ端末30に相当する装置として、市販のパソコンが使用された。当該パソコンのOSは、マイクロソフト社のWindows10.0によって動作しており、デスクトップ共有ソフトウェアであるリモートデスクトップ機能がインストールされている。そのため、情報系バス25のネットワーク内において重複しないIPアドレスを付加してブリッジ端末30が設置されることで、クライアント端末22の表示部222に表示される表示画面をブリッジ端末30において共有することが可能となった。また、ブリッジ端末30には、TeamViwer AG社が販売するデスクトップ共有ソフトウェアであるTeamViwer(登録商標)がインストールされている。これにより、VPN(仮想専用通信網)を構築することなく、ブリッジ端末30の表示部(不図示)に表示される表示画面を、ネットワーク50(インターネット回線)を経由して、情報系バス25の外部に設置された遠隔監視操作端末60において共有することが可能となった。
【0126】
遠隔監視操作端末60からブリッジ端末30へアクセスする際には、インターネット回線を経由するため、予めブリッジ端末30へアクセス可能な機種を登録しておくこと及び2段階認証システム70を採用することで、セキュリティ強化が図られた。これにより、遠隔監視操作端末60からクライアント端末22の操作監視を行うことが可能となり、深冷式空気分離装置の監視及び操作を遠隔地で行うことが可能となった。
【0127】
(実施例における効果)
以下、上記の実施例における効果について補足する。一般的に、空気分離装置の試運転においては、現地に運転指導者が派遣され、運転指導者がユーザに対して運転指導を行うことが多い。しかしながら、当初は想定されていなかった問題が生じた際には、派遣された運転指導者やユーザでは、設計技術者とは異なり、解決には時間を要することが多いという課題があった。このような課題に対し、以上説明した本発明を使用したシステムが採用されたことによって、空気分離装置の各要素の設計技術者の各々が、自社内に設置された遠隔監視操作端末60を用いて空気分離装置の運転状況や問題状況を直に把握することができた。そして、設計技術者が現地の運転指導者へタイムリーなサポートを行うことができるシステム環境の構築を実現することができたことから、早期の問題解決に繋げることができた。
【0128】
また、A社向けの空気分離装置の試運転が終了した後に、中華人民共和国のB社から、当該B社へ納入された空気分離装置の運転指導の要請があった。その際、本発明を使用したシステムを採用(ブリッジ端末30を設置)することで、空気分離装置の設計技術者が、中華人民共和国のB社へ移動することなく、自社内に設置された遠隔監視操作端末60を用いて当該空気分離装置の稼働状況を即座に把握することが可能となった。これにより、的確な運転指導が遅延なく実施された。また、中華人民共和国のB社へ納入された空気分離装置のDCSは、ベトナムのA社向けの装置のDCSとは異なる横河電機株式会社製のDCSであったが、本発明を使用したブリッジ端末30が設置されることによって、DCSのメーカに依存することなく、遠隔監視操作端末60から的確でタイムリーな運転支援を行うことが可能となった。
【符号の説明】
【0129】
1 遠隔監視操作システム
10 空気分離装置
20 DCS
21 コントローラ
22 クライアント端末
23 プリンタ
25 情報系バス
26 制御系バス
30 ブリッジ端末
40-1~40-2 モバイルルータ
50 ネットワーク
60 遠隔監視操作端末
70 2段階認証システム
71 認証サーバ
72 携帯端末
221 コントローラ制御部
222 表示部
223,301 OS標準デスクトップ共有ソフトウェア
302,601 リモート接続ソフトウェア
602,722 表示部
603 操作部
711 2段階認証制御部
712 認証情報
721 2段階認証アプリ