(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111412
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
C07D 307/77 20060101AFI20240809BHJP
C07D 407/04 20060101ALI20240809BHJP
H10K 50/13 20230101ALI20240809BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20240809BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240809BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240809BHJP
【FI】
C07D307/77 CSP
C07D407/04
H10K50/13
H10K50/11
H10K59/10
H10K85/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015905
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭
(72)【発明者】
【氏名】三谷 真人
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】糸井 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】工藤 裕
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC22
3K107DD51
3K107DD59
3K107DD68
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC79
4C063DD76
4C063EE10
(57)【要約】
【課題】高性能な有機EL素子及び当該有機EL素子を実現可能な化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化113】
[式(1)中、
R
1~R
5及びR
8~R
12のうち1つは、下記式(A1)で表される基と結合する単結合である。
【化114】
(式(A1)中、
L
A1は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のターフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、
置換もしくは無置換のフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセンジイル基、
置換もしくは無置換のピレンジイル基、
置換もしくは無置換のクリセンジイル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含硫黄複素環基である。
Ar
A1は、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のビフェニル基、
置換もしくは無置換のターフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセニル基、
置換もしくは無置換のフェナントリル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリル基、
置換もしくは無置換のピレニル基、
置換もしくは無置換のクリセニル基、
置換もしくは無置換のベンゾクリセニル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のフルオレニル基、
置換もしくは無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のフルオランテニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテニル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。)
R
6及びR
7、並びに前記式(A1)で表される基と結合する単結合ではないR
1~R
5及びR
8~R
12は、水素原子である。
【請求項2】
LA1が、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、又は
置換もしくは無置換のピレンジイル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
LA1が、
単結合、又は
置換もしくは無置換のフェニレン基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
ArA1が、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、又は
置換もしくは無置換のピレニル基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
ArA1が、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
ArA1が、
置換もしくは無置換のピレニル基、又は
置換もしくは無置換のベンゾキサンテニル基である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
前記式(1)で表される化合物が、下記式(11)又は式(21)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【化115】
[式(11)及び(21)中、
R
101~R
105及びR
108~R
112のうち1つは、L
A11と結合する単結合である。
R
106及びR
107、並びにL
A11と結合する単結合ではないR
101~R
105及びR
108~R
112は、水素原子である。
L
A11は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、又は
置換もしくは無置換のピレンジイル基である。
R
A11~R
A19及びR
A21~R
A29は、それぞれ独立に、
水素原子、
炭素数1~50のアルキル基、
無置換のフェニル基、
無置換のビフェニル基、
無置換のターフェニル基、
無置換のナフチル基、
無置換のベンゾアントラセニル基、
無置換のフェナントリル基、
無置換のベンゾフェナントリル基、
無置換のピレニル基、
無置換のクリセニル基、
無置換のベンゾクリセニル基、
無置換のトリフェニレニル基、
無置換のベンゾトリフェニレニル基、
無置換のフルオレニル基、
無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
無置換のベンゾフルオレニル基、
無置換のジベンゾフルオレニル基、
無置換のフルオランテニル基、
無置換のベンゾフルオランテニル基、
無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。]
【請求項8】
前記式(1)で表される化合物が、下記式(12)又は式(22)で表される化合物である、請求項7に記載の化合物。
【化116】
[式(12)及び(22)中、R
101~R
108、R
110~R
112、L
A11、R
A11~R
A19、及びR
A21~R
A29は、前記式(11)及び(21)で定義した通りである。]
【請求項9】
「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、炭素数1~50のアルキル基、炭素数1~50のハロアルキル基、炭素数2~50のアルケニル基、炭素数2~50のアルキニル基、環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数1~50のアルコキシ基、炭素数1~50のアルキルチオ基、環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、環形成炭素数6~50のアリールチオ基、炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R41’)(R42’)(R43’)、-C(=O)R44’、-COOR45’、-S(=O)2R46’、-P(=O)(R47’)(R48’)、-Ge(R49’)(R50’)(R51’)(ここで、R41’~R51’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、無置換のフェニル基、無置換のビフェニル基、無置換のターフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のベンゾアントラセニル基、無置換のフェナントリル基、無置換のベンゾフェナントリル基、無置換のピレニル基、無置換のクリセニル基、無置換のベンゾクリセニル基、無置換のトリフェニレニル基、無置換のベンゾトリフェニレニル基、無置換のフルオレニル基、無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、無置換のベンゾフルオレニル基、無置換のジベンゾフルオレニル基、無置換のフルオランテニル基、無置換のベンゾフルオランテニル基、無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。R41’~R51’が2以上存在する場合、2以上のR41’~R51’のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、無置換のフェニル基、無置換のビフェニル基、無置換のターフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のベンゾアントラセニル基、無置換のフェナントリル基、無置換のベンゾフェナントリル基、無置換のピレニル基、無置換のクリセニル基、無置換のベンゾクリセニル基、無置換のトリフェニレニル基、無置換のベンゾトリフェニレニル基、無置換のフルオレニル基、無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、無置換のベンゾフルオレニル基、無置換のジベンゾフルオレニル基、無置換のフルオランテニル基、無置換のベンゾフルオランテニル基、無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である、請求項1~8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
炭素数1~50のアルキル基、
無置換のフェニル基、
無置換のビフェニル基、
無置換のターフェニル基、
無置換のナフチル基、
無置換のベンゾアントラセニル基、
無置換のフェナントリル基、
無置換のベンゾフェナントリル基、
無置換のピレニル基、
無置換のクリセニル基、
無置換のベンゾクリセニル基、
無置換のトリフェニレニル基、
無置換のベンゾトリフェニレニル基、
無置換のフルオレニル基、
無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
無置換のベンゾフルオレニル基、
無置換のジベンゾフルオレニル基、
無置換のフルオランテニル基、
無置換のベンゾフルオランテニル基、
無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である、請求項1~9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である、請求項1~10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、
を有し、
前記発光層は、第1の発光層と第2の発光層とを含み、
前記第1の発光層が、下記式(101)で表される化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化117】
[式(101)中、
R
207は、水素原子である。
R
201~R
206及びR
208~R
212のうち少なくとも1つは、下記式(A101)で表される基と結合する単結合である。
【化118】
(式(A101)中、
L
A101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の2価の複素環基である。
Ar
A101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。)
前記式(A101)で表される基と結合する単結合ではないR
201~R
206及びR
208~R
212は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。]
【請求項13】
ArA101が、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、又は
置換もしくは無置換のピレニル基である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
ArA101が、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
ArA101が、
置換もしくは無置換のピレニル基、又は
置換もしくは無置換のベンゾキサンテニル基である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
LA101が、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基である、請求項12~15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
前記式(101)で表される化合物が、下記式(111)又は式(121)で表される化合物である、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化119】
[式(111)及び(121)中、
R
207は、水素原子である。
R
201~R
206及びR
208~R
212のうち1つは、L
A111と結合する単結合である。
L
A111と結合する単結合ではないR
201~R
206及びR
208~R
212は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。
L
A111は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基である。
R
A201~R
A209及びR
A211~R
A219は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。]
【請求項18】
前記式(101)で表される化合物が、下記式(112)又は式(122)で表される化合物である、請求項17に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化120】
[式(112)及び(122)中、
R
201~R
208、R
210~R
212、L
A111、R
A201~R
A209、及びR
A211~R
A219は、前記式(111)及び(121)で定義した通りである。]
【請求項19】
RA201~RA209及びRA211~RA219が、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換のフェニル基、又は
無置換のナフチル基である、請求項17又は18に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
RA201~RA209及びRA211~RA219が、水素原子である、請求項17~19のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
R201~R206、R208、及びR210~R212が、水素原子である、請求項17~20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記発光層が、前記陽極の側から前記第1の発光層と前記第2の発光層とをこの順で含む、請求項12~21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
前記第1の発光層と前記第2の発光層とが直接隣接する、請求項12~22のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層を有する、請求項12~23のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層を有する、請求項12~24のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項26】
請求項12~25のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。
【0003】
従来の有機EL素子は素子性能が未だ十分ではなかった。素子性能を高めるべく有機EL素子に用いる材料の改良は徐々に進められているが(特許文献1~5)、さらなる高性能化が求められている。
例えば、特許文献6には、有機EL素子の性能向上を図るため、2つの三重項励起子の衝突融合により一重項励起子が生成する現象(以下、Triplet-Triplet Fusion=TTF現象と称する場合がある。)を利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/331051号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3127906号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/133857号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/79546号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/194571号明細書
【特許文献6】国際公開第2021/210582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高性能な有機EL素子及び当該有機EL素子を実現可能な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の化合物等が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物。
【化1】
[式(1)中、
R
1~R
5及びR
8~R
12のうち1つは、下記式(A1)で表される基と結合する単結合である。
【化2】
(式(A1)中、
L
A1は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のターフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、
置換もしくは無置換のフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセンジイル基、
置換もしくは無置換のピレンジイル基、
置換もしくは無置換のクリセンジイル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含硫黄複素環基である。
Ar
A1は、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のビフェニル基、
置換もしくは無置換のターフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセニル基、
置換もしくは無置換のフェナントリル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリル基、
置換もしくは無置換のピレニル基、
置換もしくは無置換のクリセニル基、
置換もしくは無置換のベンゾクリセニル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のフルオレニル基、
置換もしくは無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のフルオランテニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテニル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。)
R
6及びR
7、並びに前記式(A1)で表される基と結合する単結合ではないR
1~R
5及びR
8~R
12は、水素原子である。
2.陰極と、
陽極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、
を有し、
前記発光層は、第1の発光層と第2の発光層とを含み、
前記第1の発光層が、下記式(101)で表される化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】
[式(101)中、
R
207は、水素原子である。
R
201~R
206及びR
208~R
212のうち少なくとも1つは、下記式(A101)で表される基と結合する単結合である。
【化4】
(式(A101)中、
L
A101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の2価の複素環基である。
Ar
A101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。)
前記式(A101)で表される基と結合する単結合ではないR
201~R
206及びR
208~R
212は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。]
3.前記2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高性能な有機EL素子及び当該有機EL素子を実現可能な化合物が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0010】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0011】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0012】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0013】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0014】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0015】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0016】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
【0017】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0018】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0019】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0020】
【0021】
【0022】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0023】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0024】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0025】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0026】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0027】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0028】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0029】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0030】
【0031】
【0032】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCH2である。ただし、XA及びYAのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、XA及びYAの少なくともいずれかがNH、又はCH2である場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCH2から1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0033】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
【0034】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0035】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0036】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0037】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0038】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0039】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0040】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0041】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0042】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0043】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0044】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0045】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0046】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0047】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0048】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0049】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0050】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0051】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0052】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる
【0053】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0054】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0055】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0056】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0057】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0058】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0059】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0060】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0061】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0062】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0063】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0064】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0065】
【0066】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0067】
【0068】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合部位を表す。
【0069】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0070】
【0071】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合部位を表す。
【0072】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0073】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0074】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0075】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0076】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0077】
【0078】
【0079】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合部位を表す。
【0080】
【0081】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q1~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q9及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合部位を表す。
【0082】
【0083】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合部位を表す。
【0084】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q1~Q9は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q1~Q8は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0094】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0095】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0096】
【0097】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0098】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環QBを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0099】
【0100】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環QAを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環QCを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環QA及び環QCは、R922を共有する。
【0101】
【0102】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環QA及び環QBは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環QA、及び環QCは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環QAと環QCとは、環QAと環QCとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環QAがベンゼン環であれば、環QAは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環QAがナフタレン環であれば、環QAは、縮合環である。
【0103】
「不飽和の環」には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、環構造中に不飽和結合、即ち、二重結合及び/又は三重結合を有する脂肪族炭化水素環(例えば、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等)、及び不飽和結合を有する非芳香族複素環(例えば、ジヒドロピラン、イミダゾリン、ピラゾリン、キノリジン、インドリン、イソインドリン等)が含まれる。「飽和の環」には、不飽和結合を有しない脂肪族炭化水素環、又は不飽和結合を有しない非芳香族複素環が含まれる。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の原子で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環QAは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の原子とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環QAを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0104】
ここで、「任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子である。任意の原子において(例えば、炭素原子、又は窒素原子の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素原子以外の任意の原子を含む場合、形成される環は複素環である。
単環又は縮合環を構成する「1以上の任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0105】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0106】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
R904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
R905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
R906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
R907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0107】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0108】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0109】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0110】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0111】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0112】
[新規な化合物]
本発明の一態様に係る化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
【化26】
[式(1)中、
R
1~R
5及びR
8~R
12のうち1つは、下記式(A1)で表される基と結合する単結合である。
【化27】
(式(A1)中、
L
A1は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のターフェニルジイル基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、
置換もしくは無置換のフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリルジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセンジイル基、
置換もしくは無置換のピレンジイル基、
置換もしくは無置換のクリセンジイル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレンジイル基、
置換もしくは無置換のフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテンジイル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の含硫黄複素環基である。
Ar
A1は、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のビフェニル基、
置換もしくは無置換のターフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、
置換もしくは無置換のベンゾアントラセニル基、
置換もしくは無置換のフェナントリル基、
置換もしくは無置換のベンゾフェナントリル基、
置換もしくは無置換のピレニル基、
置換もしくは無置換のクリセニル基、
置換もしくは無置換のベンゾクリセニル基、
置換もしくは無置換のトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾトリフェニレニル基、
置換もしくは無置換のフルオレニル基、
置換もしくは無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のジベンゾフルオレニル基、
置換もしくは無置換のフルオランテニル基、
置換もしくは無置換のベンゾフルオランテニル基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。)
R
6及びR
7、並びに前記式(A1)で表される基と結合する単結合ではないR
1~R
5及びR
8~R
12は、水素原子である。
【0113】
式(1)において、式(A1)のLA1が単結合の場合、ArA1は、ジナフトフラン骨格に直接結合する。
【0114】
本発明の一態様の化合物は、上記構成を有することにより、有機EL素子の
性能を向上させることができる。特に、積層発光層のうちの1層の発光層に当該化合物を使用することにより、再結合領域を当該発光層に従来よりも局在化させることができるため、素子の効率を向上させ、また、素子寿命を向上させることができる。
【0115】
一実施形態において、LA1は、単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、又は
置換もしくは無置換のピレンジイル基である。
【0116】
一実施形態において、LA1は、
単結合、又は
置換もしくは無置換のフェニレン基である。
【0117】
一実施形態において、ArA1は、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、又は
置換もしくは無置換のピレニル基である。
【0118】
一実施形態において、ArA1は、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基である。
【0119】
一実施形態において、ArA1は、
置換もしくは無置換のピレニル基、又は
置換もしくは無置換のベンゾキサンテニル基である。
【0120】
一実施形態において、ArA1は、置換もしくは無置換のピレン-1-イル基
である。
一実施形態において、ArA1は、置換もしくは無置換のベンゾキサンテン-4-イル基である。
【0121】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(11)又は式(21)で表される化合物である。
【化28】
[式(11)及び(21)中、
R
101~R
105及びR
108~R
112のうち1つは、L
A11と結合する単結合である。
R
106及びR
107、並びにL
A11と結合する単結合ではないR
101~R
105及びR
108~R
112は、水素原子である。
L
A11は、
単結合、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、又は
置換もしくは無置換のピレンジイル基である。
R
A11~R
A19及びR
A21~R
A29は、それぞれ独立に、
水素原子、
炭素数1~50のアルキル基、
無置換のフェニル基、
無置換のビフェニル基、
無置換のターフェニル基、
無置換のナフチル基、
無置換のベンゾアントラセニル基、
無置換のフェナントリル基、
無置換のベンゾフェナントリル基、
無置換のピレニル基、
無置換のクリセニル基、
無置換のベンゾクリセニル基、
無置換のトリフェニレニル基、
無置換のベンゾトリフェニレニル基、
無置換のフルオレニル基、
無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
無置換のベンゾフルオレニル基、
無置換のジベンゾフルオレニル基、
無置換のフルオランテニル基、
無置換のベンゾフルオランテニル基、
無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。]
【0122】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(12)又は式(22)で表される化合物である。
【化29】
[式(12)及び(22)中、R
101~R
108、R
110~R
112、L
A11、R
A11~R
A19、及びR
A21~R
A29は、前記式(11)及び(21)で定義した通りである。]
【0123】
一実施形態において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、炭素数1~50のアルキル基、炭素数1~50のハロアルキル基、炭素数2~50のアルケニル基、炭素数2~50のアルキニル基、環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数1~50のアルコキシ基、炭素数1~50のアルキルチオ基、環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、環形成炭素数6~50のアリールチオ基、炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R41’)(R42’)(R43’)、-C(=O)R44’、-COOR45’、-S(=O)2R46’、-P(=O)(R47’)(R48’)、-Ge(R49’)(R50’)(R51’)(ここで、R41’~R51’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、無置換のフェニル基、無置換のビフェニル基、無置換のターフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のベンゾアントラセニル基、無置換のフェナントリル基、無置換のベンゾフェナントリル基、無置換のピレニル基、無置換のクリセニル基、無置換のベンゾクリセニル基、無置換のトリフェニレニル基、無置換のベンゾトリフェニレニル基、無置換のフルオレニル基、無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、無置換のベンゾフルオレニル基、無置換のジベンゾフルオレニル基、無置換のフルオランテニル基、無置換のベンゾフルオランテニル基、無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。R41’~R51’が2以上存在する場合、2以上のR41’~R51’のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、無置換のフェニル基、無置換のビフェニル基、無置換のターフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のベンゾアントラセニル基、無置換のフェナントリル基、無置換のベンゾフェナントリル基、無置換のピレニル基、無置換のクリセニル基、無置換のベンゾクリセニル基、無置換のトリフェニレニル基、無置換のベンゾトリフェニレニル基、無置換のフルオレニル基、無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、無置換のベンゾフルオレニル基、無置換のジベンゾフルオレニル基、無置換のフルオランテニル基、無置換のベンゾフルオランテニル基、無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。
【0124】
一実施形態において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
無置換のフェニル基、
無置換のビフェニル基、
無置換のターフェニル基、
無置換のナフチル基、
無置換のベンゾアントラセニル基、
無置換のフェナントリル基、
無置換のベンゾフェナントリル基、
無置換のピレニル基、
無置換のクリセニル基、
無置換のベンゾクリセニル基、
無置換のトリフェニレニル基、
無置換のベンゾトリフェニレニル基、
無置換のフルオレニル基、
無置換の9,9’-スピロビフルオレニル基、
無置換のベンゾフルオレニル基、
無置換のジベンゾフルオレニル基、
無置換のフルオランテニル基、
無置換のベンゾフルオランテニル基、
無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基、又は
無置換の環形成原子数5~30の1価の含硫黄複素環基である。
【0125】
式(1)で表される化合物は、電子受容性が高い化合物であることが好ましい。
一実施形態において、式(1)で表される化合物の電子親和力Afは、1.80eV以上2.20eV以下である。
式(1)で表される化合物の電子親和力Afは、例えば、2.15eV以下、又は2.10eV以下であってもよい。また、Afは、例えば、1.85eV以上、又は1.90eV以上であってもよい。
一実施形態において、式(1)で表される化合物の電子親和力Afは、1.90eV以上2.10eV以下である。
【0126】
(電子親和力Af)
電子親和力Afは、以下の式により算出できる。
Af=-1.19×(Ere-Efc)-4.78eV
ここで、各符号は以下を意味する。
Ere:第一還元電位(DPV,Negative scan)
Efc:フェロセンの第一酸化電位(DPV,Positive scan),(ca.+0.55V vs Ag/AgCl)
酸化還元電位は、電気化学アナライザー(ALS社製:CHI630B)を用いて微分パルスボルタンメトリー(DPV)法で測定する。
溶媒としてN,N-dimethylformamide(DMF)を用い、サンプル濃度は1.0mmol/Lとする。支持電解質はtetrabuthylammmonium hexafluorophosphate(TBHP)(100mmol/L)を用いる。作用電極、対抗電極としては、それぞれglassy carbon,Ptを用いる。
(参考文献)M. E. Thompson,et.al.,Organic Electronics,6(2005),p.11-20,Organic Electronics,10(2009),p.515-520
【0127】
一実施形態において、式(1)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、1.90eV以上2.40eV以下である。
式(1)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、例えば、2.35eV以下、又は2.30eV以下であってもよい。また、T1は、例えば、1.95eV以上、又は2.00eV以上であってもよい。
一実施形態において、式(1)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、2.00eV以上2.30eV以下である。
【0128】
(三重項エネルギーT1)
三重項エネルギーT1の測定方法としては、下記の方法が挙げられる。
測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、10-5mol/L以上10-4mol/L以下となるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とする。この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式(F1)から算出されるエネルギー量を三重項エネルギーT1とする。
換算式(F1):T1[eV]=1239.85/λedge
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、株式会社日立ハイテク製のF-7100形分光蛍光光度計本体を用いることができる。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置、及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
【0129】
式(1)で表される化合物は、実施例に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0130】
以下に、式(1)で表される化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、式(1)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0131】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【0132】
[有機エレクトロルミネッセンス素子用材料]
本発明の一態様に係る化合物は、有機EL素子用材料として有用であり、例えば、有機EL素子の発光層に用いる材料として有用である。
【0133】
[有機EL素子]
本発明の一態様に係る有機EL素子について説明する。
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、を有する。そして、発光層は、第1の発光層と第2の発光層とを含み、第1の発光層が、後述する式(101)で表される化合物を含む。
【0134】
本発明の一態様の有機EL素子は、上記構成を有することにより、性能を向上させることができる。特に、第1の発光層に所定の化合物を使用することにより、再結合領域を第1の発光層に従来よりも局在化させることができるため、素子の効率を向上させ、また、素子寿命を向上させることができる。
【0135】
本発明の一態様の有機EL素子の概略構成を、
図1を参照して説明する。
本発明の一態様に係る有機EL素子1は、基板2と、陽極3と、発光層5と、陰極10と、陽極3と発光層5との間にある正孔輸送帯域4と、発光層5と陰極10との間にある電子輸送帯域6とを有する。
発光層5は積層構造を有し、少なくとも第1の発光層と、第2の発光層と、を含む。
【0136】
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
等の構造を挙げることができる。
上記の中で(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
発光層において、第1の発光層と第2の発光層の形成位置は限定されない。一実施形態において、前記発光層は、前記陽極の側から前記第1の発光層と前記第2の発光層とをこの順で含む。
【0138】
一実施形態において、前記第1の発光層と前記第2の発光層とは直接隣接する。
【0139】
本明細書中で「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味する。
【0140】
一実施形態において、本発明の一態様にかかる有機EL素子は、前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層を有する。
【0141】
一実施形態において、本発明の一態様にかかる有機EL素子は、前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層を有する。
【0142】
以下、本発明の一態様に係る有機EL素子で用いることができる部材、及び各層を構成する材料等について説明する。
【0143】
(第1の発光層)
第1の発光層は、下記式(101)で表される化合物を含む。
【化62】
[式(101)中、
R
207は、水素原子である。
R
201~R
206及びR
208~R
212のうち少なくとも1つは、下記式(A101)で表される基と結合する単結合である。
【化63】
(式(A101)中、
L
A101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の2価の複素環基である。
Ar
A101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の複素環基である。)
前記式(A101)で表される基と結合する単結合ではないR
201~R
206及びR
208~R
212は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。]
【0144】
式(101)において、式(A101)のLA101が単結合の場合、ArA101は、ジナフトフラン骨格に直接結合する。
【0145】
一実施形態において、ArA101は、
置換もしくは無置換のフェニル基、
置換もしくは無置換のナフチル基、又は
置換もしくは無置換のピレニル基である。
【0146】
一実施形態において、ArA101は、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の1価の含酸素複素環基である。
【0147】
一実施形態において、ArA101は、
置換もしくは無置換のピレニル基、又は
置換もしくは無置換のベンゾキサンテニル基である。
【0148】
一実施形態において、LA101は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基である。
【0149】
一実施形態において、前記式(101)で表される化合物は、下記式(111)又は式(121)で表される化合物である。
【化64】
[式(111)及び(121)中、
R
207は、水素原子である。
R
201~R
206及びR
208~R
212のうち1つは、L
A111と結合する単結合である。
L
A111と結合する単結合ではないR
201~R
206及びR
208~R
212は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。
L
A111は、
単結合、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~20のアリーレン基である。
R
A201~R
A209及びR
A211~R
A219は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換の環形成炭素数6~20のアリール基、又は
無置換の環形成原子数5~19の1価の複素環基である。]
【0150】
式(111)において、LA111が単結合の場合、ピレン骨格は、ジナフトフラン骨格に直接結合する。
式(121)において、LA111が単結合の場合、ベンゾキサンテン骨格は、ジナフトフラン骨格に直接結合する。
【0151】
一実施形態において、前記式(101)で表される化合物は、下記式(112)又は式(122)で表される化合物である。
【化65】
[式(112)及び(122)中、
R
201~R
208、R
210~R
212、L
A111、R
A201~R
A209、及びR
A211~R
A219は、前記式(111)及び(121)で定義した通りである。]
【0152】
一実施形態において、RA201~RA209及びRA211~RA219は、それぞれ独立に、
水素原子、
無置換のフェニル基、又は
無置換のナフチル基である。
【0153】
一実施形態において、RA201~RA209及びRA211~RA219は、水素原子である。
【0154】
一実施形態において、R201~R206、R208、及びR210~R212は、水素原子である。
【0155】
一実施形態において、前記式(101)における「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
炭素数1~50のハロアルキル基、
炭素数2~50のアルケニル基、
炭素数2~50のアルキニル基、
環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
炭素数1~50のアルコキシ基、
炭素数1~50のアルキルチオ基、
環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、
環形成炭素数6~50のアリールチオ基、
炭素数7~50のアラルキル基、
-Si(R41)(R42)(R43)、
-C(=O)R44、-COOR45、
-S(=O)2R46、
-P(=O)(R47)(R48)、
-Ge(R49)(R50)(R51)、
-N(R52)(R53)(ここで、R41~R53は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、又は環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R41~R53が2以上存在する場合、2以上のR41~R53のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ヒドロキシ基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0156】
一実施形態において、前記式(101)における「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0157】
一実施形態において、前記式(101)で表される化合物は、前記式(1)で表される化合物である。
【0158】
式(101)で表される化合物は、電子受容性が高い化合物であることが好ましい。
一実施形態において、式(101)で表される化合物の電子親和力Afは、1.80eV以上2.20eV以下である。
式(101)で表される化合物の電子親和力Afは、例えば、2.15eV以下、又は2.10eV以下であってもよい。また、Afは、例えば、1.85eV以上、又は1.90eV以上であってもよい。
一実施形態において、式(101)で表される化合物の電子親和力Afは、1.90eV以上2.10eV以下である。
【0159】
電子親和力Afの算出方法は、上述した式(1)で表される化合物で説明した通りである。
【0160】
一実施形態において、式(101)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、1.90eV以上2.40eV以下である。
式(101)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、例えば、2.35eV以下、又は2.30eV以下であってもよい。また、T1は、例えば、1.95eV以上、又は2.00eV以上であってもよい。
一実施形態において、式(101)で表される化合物の三重項エネルギーT1は、2.00eV以上2.30eV以下である。
【0161】
三重項エネルギーT1の測定方法は、上述した式(1)で表される化合物で説明した通りである。
【0162】
式(101)で表される化合物は、実施例に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0163】
式(101)で表される化合物の具体例としては、上述した式(1)で表される化合物の具体例のほか、以下の化合物が挙げられる。これらは例示に過ぎず、式(101)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0164】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【0165】
一実施形態において、第1の発光層は、上記式(101)で表される化合物と、第2の化合物と、を含む。
上記式(101)で表される化合物と、第2の化合物と、は、互いに異なる。
【0166】
(第2の化合物)
一実施形態において、第2の化合物は、発光材料である。
一実施形態において、第2の化合物は、蛍光発光性の化合物である。
一実施形態において、第2の化合物は、蛍光発光最大ピーク波長が430nm以上480nm以下の発光を示す化合物である。本明細書において、蛍光発光の最大ピーク波長を、蛍光発光最大ピーク波長と称する場合がある。
【0167】
本明細書において、蛍光発光最大ピーク波長とは、測定対象となる化合物が、10-6モル/リットル以上、10-5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した蛍光スペクトルにおける発光強度が最大となる蛍光スペクトルの最大ピーク波長をいう。測定装置は、蛍光スペクトル測定装置(装置名:FP-8300、日本分光株式会社製)を用いることができる。なお、蛍光スペクトル測定装置は、ここで例示した装置に限定されない。
【0168】
第2の化合物としては、例えば、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール置換アントラセン誘導体、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール置換ピレン誘導体、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、ビスアリールアミノフルオランテン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ホウ素原子を含む化合物、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物、ピロメテン骨格を有する化合物の金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、及びナフタセン誘導体等が挙げられる。
【0169】
第2の化合物としては、例えば、下記式(D1)で表される化合物、下記式(D2)で表される化合物、下記式(D3)で表される化合物、及び下記式(D4)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物が挙げられる。
【0170】
(式(D1)で表される化合物)
式(D1)で表される化合物について説明する。
【0171】
【化71】
(式(D1)中、
Zは、それぞれ独立に、CRa又は窒素原子である。
A1環及びA2環は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素環、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環である。
Raが複数存在する場合、複数のRaのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
n21及びn22は、それぞれ独立に、0、1、2、3、又は4である。
Rbが複数存在する場合、複数のRbのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
Rcが複数存在する場合、複数のRcのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
互いに結合しないRa、Rb、及びRcは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907が2以上存在する場合、2以上のR
901~R
907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0172】
A1環及びA2環の「芳香族炭化水素環」としては、例えば、上述した「環形成炭素数6~50のアリール基」に水素原子を導入した化合物と同じ構造が挙げられる。
A1環及びA2環の「芳香族炭化水素環」は、前記式(D1)の中央の縮合2環構造上の炭素原子2つを環形成原子として含む。
「置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素環」の具体例としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」に水素原子を導入した化合物等が挙げられる。
【0173】
A1環及びA2環の「複素環」としては、例えば、上述した「環形成原子数5~50の複素環基」に水素原子を導入した化合物と同じ構造が挙げられる。
A1環及びA2環の「複素環」は、前記式(D1)の中央の縮合2環構造上の炭素原子2つを環形成原子として含む。
「置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環」の具体例としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」に水素原子を導入した化合物等が挙げられる。
【0174】
Rbは、A1環としての芳香族炭化水素環を形成する炭素原子のいずれか、又は、A1環としての複素環を形成する原子のいずれかに結合する。
【0175】
Rcは、A2環としての芳香族炭化水素環を形成する炭素原子のいずれか、又は、A2環としての複素環を形成する原子のいずれかに結合する。
【0176】
一実施形態において、Ra、Rb、及びRcのうち、少なくとも1つは、下記式(D1a)で表される基である。
一実施形態において、Ra、Rb、及びRcのうち、少なくとも2つは、下記式(D1a)で表される基である。
【0177】
【化72】
(式(D1a)中、
L
D101は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の複素環基である。
Ar
D101は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基、又は
下記式(D1b)で表される基である。)
【化73】
(式(D1b)中、
L
D102及びL
D103は、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の複素環基である。
Ar
D102及びAr
D103からなる組は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
互いに結合しないAr
D102及びAr
D103は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。)
【0178】
一実施形態において、R901~R907は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0179】
式(D1)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の反応や原料を用いることで合成することができる。
【0180】
式(D1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。これらは例示に過ぎず、式(D1)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0181】
【0182】
(式(D2)で表される化合物)
式(D2)で表される化合物について説明する。
【0183】
【化75】
(式(D2)中、
R
D201~R
D207及びR
D211~R
D217のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
互いに結合しないR
D201~R
D207及びR
D211~R
D217は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
D221及びR
D222は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907は、前記式(D1)で定義した通りである。)
【0184】
「RD201~RD207及びRD211~RD217のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組」は、例えば、RD201とRD202からなる組、RD202とRD203からなる組、RD203とRD204からなる組、RD205とRD206からなる組、RD206とRD207からなる組、RD201とRD202とRD203からなる組等の組合せである。
【0185】
一実施形態において、RD201~RD207及びRD211~RD217の少なくとも1つは、-N(R906)(R907)である。
【0186】
一実施形態において、RD201~RD207及びRD211~RD217の少なくとも2つは、-N(R906)(R907)である。
【0187】
一実施形態において、RD201~RD207の少なくとも1つは、-N(R906)(R907)である。
一実施形態において、RD211~RD217の少なくとも1つは、-N(R906)(R907)である。
【0188】
一実施形態において、RD201~RD207の少なくとも1つ、及びRD211~RD217の少なくとも1つは、それぞれ独立に、-N(R906)(R907)である。
【0189】
一実施形態において、-N(R906)(R907)ではないRD201~RD207及びRD211~RD217は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0190】
式(D2)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の反応や原料を用いることで合成することができる。
【0191】
式(D2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。これらは例示に過ぎず、式(D2)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0192】
【0193】
(式(D3)で表される化合物)
式(D3)で表される化合物について説明する。
【0194】
【化78】
(式(D3)中、
a環、b環及びc環は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素環、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環である。
R
D301及びR
D302は、それぞれ独立に、前記a環、b環、又はc環と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の複素環を形成しないR
D301及びR
D302は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。)
【0195】
a環、b環、及びc環は、ホウ素原子、2つの窒素原子、及び7つの炭素原子から構成される前記式(D3)の中央の縮合2環構造に縮合する。
【0196】
a環、b環及びc環の「芳香族炭化水素環」は、上述した「環形成炭素数6~50のアリール基」に水素原子を導入した化合物と同じ構造である。
a環の「芳香族炭化水素環」は、前記式(D3)の中央の縮合2環構造上の炭素原子3つを環形成原子として含む。
b環及びc環の「芳香族炭化水素環」は、前記式(D3)の中央の縮合2環構造上の炭素原子2つを環形成原子として含む。
【0197】
「置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素環」の具体例としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」に水素原子を導入した化合物等が挙げられる。
a環、b環、及びc環の「複素環」としては、例えば、上述した「環形成原子数5~50の複素環基」に水素原子を導入した化合物と同じ構造が挙げられる。
a環の「複素環」は、前記式(D3)の中央の縮合2環構造上の炭素原子3つを環形成原子として含む。b環及びc環の「複素環」は、前記式(D3)の中央の縮合2環構造上の炭素原子2つを環形成原子として含む。「置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環」の具体例としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」に水素原子を導入した化合物等が挙げられる。
【0198】
RD301及びRD302は、それぞれ独立に、a環、b環、又はc環と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成してもよい。この場合における複素環は、前記式(D3)の中央の縮合2環構造上の窒素原子を含む。この場合における複素環は、窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。RD301又はRD302がa環、b環又はc環と結合するとは、具体的には、a環、b環、又はc環を構成する原子と、RD301又はRD302を構成する原子と、が結合することを意味する。例えば、RD301がa環と結合して、RD301を含む環とa環が縮合した2環縮合、3環縮合、4環縮合、又は5環以上縮合の含窒素複素環を形成してもよい。当該含窒素複素環の具体例としては、具体例群G2のうち、窒素を含む2環縮合以上の複素環基に対応する化合物等が挙げられる。
RD301がb環と結合する場合、RD302がa環と結合する場合、及びRD302がc環と結合する場合も上記と同じである。
【0199】
一実施形態において、前記式(D3)におけるa環、b環、及びc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50の芳香族炭化水素環である。
一実施形態において、前記式(D3)におけるa環、b環、及びc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環又はナフタレン環である。
【0200】
一実施形態において、前記式(D3)におけるRD301及びRD302は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0201】
一実施形態において、前記式(D3)におけるRD301及びRD302は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0202】
一実施形態において、前記式(D3)で表される化合物は、下記式(D32)で表される化合物である。
【化79】
(式(D32)中、
R
D301Aは、R
D311及びR
D321からなる群から選択される1以上と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
R
D302Aは、R
D313及びR
D314からなる群から選択される1以上と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
前記置換もしくは無置換の複素環を形成しないR
D301A及びR
D302Aは、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
D311~R
D321のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
前記置換もしくは無置換の複素環を形成せず、前記単環を形成せず、かつ前記縮合環を形成しないR
D311~R
D321は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907は、前記式(D1)で定義した通りである。)
【0203】
前記式(D32)のRD301A及びRD302Aは、それぞれ、前記式(D3)のRD301及びRD302に対応する。
例えば、RD301AとRD311が結合して、これらを含む環とa環に対応するベンゼン環が縮合した2環縮合、3環縮合、4環縮合、又は5環以上縮合の含窒素複素環を形成してもよい。当該含窒素複素環の具体例としては、具体例群G2のうち、窒素を含む2環以上縮合の複素環基に対応する化合物等が挙げられる。RD301AとRD321が結合する場合、RD302AとRD313が結合する場合、及びRD302AとRD314が結合する場合も上記と同じである。
【0204】
一実施形態において、RD311~RD321のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する。
例えば、RD311とRD312が結合して、これらが結合する6員環に対して、ベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環、又はベンゾチオフェン環等が縮合した構造を形成してもよい。形成された縮合環は、それぞれ、ナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、又はジベンゾチオフェン環となる。
【0205】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD311~RD321は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0206】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD311~RD321は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0207】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD311~RD321は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0208】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD311~RD321は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基であり、
RD311~RD321のうち少なくとも1つは、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0209】
一実施形態において、前記式(D32)で表される化合物は、下記式(D33)で表される化合物である。
【化80】
(式(D33)中、
R
D331は、R
D346と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
R
D333は、R
D347と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
R
D334は、R
D351と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
R
D341は、R
D342と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成するか、あるいは置換もしくは無置換の複素環を形成しない。
R
D331~R
D351のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上は、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合しない。
互いに結合しないR
D331~R
D351は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
R
901~R
907は、前記式(D1)で定義した通りである。)
【0210】
RD331は、RD346と結合して、置換もしくは無置換の複素環を形成してもよい。例えば、RD331とRD346が結合して、RD346が結合するベンゼン環と、Nを含む環と、a環に対応するベンゼン環とが縮合した3環縮合以上の含窒素複素環を形成してもよい。当該含窒素複素環の具体例としては、具体例群G2のうち、窒素を含む3環縮合以上の複素環基に対応する化合物等が挙げられる。RD333とRD347が結合する場合、RD334とRD351が結合する場合、及びRD341とRD342が結合する場合も上記と同じである。
【0211】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD331~RD351は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0212】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD331~RD351は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0213】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD331~RD351は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0214】
一実施形態において、環形成に寄与しないRD331~RD351は、それぞれ独立に、
水素原子、又は
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基であり、
RD331~RD351のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0215】
一実施形態において、前記式(D33)で表される化合物は、下記式(D33A)で表される化合物である。
【0216】
【0217】
(式(D33A)中、
RD361は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
RD362~RD365は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。)
【0218】
一実施形態において、RD361~RD365は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0219】
一実施形態において、RD361~RD365は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基である。
【0220】
一実施形態において、前記式(D33)で表される化合物は、下記式(D33B)で表される化合物である。
【0221】
【化82】
(式(D33B)中、
R
D371及びR
D372は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-N(R
906)(R
907)、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
R
D373~R
D375は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-N(R
906)(R
907)、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
R
906及びR
907は、前記式(D1)で定義した通りである。)
【0222】
一実施形態において、前記式(D33)で表される化合物は、下記式(D33B’)で表される化合物である。
【0223】
【化83】
(式(D33B’)中、R
D372~R
D375は、前記式(D33B)で定義した通りである。)
【0224】
一実施形態において、RD371~RD375のうち少なくとも1つは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-N(R906)(R907)、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0225】
一実施形態において、RD372は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
-N(R906)(R907)、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であり、
RD371及びRD373~RD375は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
-N(R906)(R907)、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0226】
一実施形態において、前記式(D33)で表される化合物は、下記式(D33C)で表される化合物である。
【0227】
【化84】
(式(D33C)中、
R
D381及びR
D382は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
R
D383~R
D386は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。)
【0228】
一実施形態において、前記式(D33)で表される化合物は、下記式(D33C’)で表される化合物である。
【0229】
【0230】
(式(D33C’)中、RD383~RD386は、前記式(D33C)で定義した通りである。)
【0231】
一実施形態において、RD381~RD386は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0232】
一実施形態において、RD381~RD386は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である。
【0233】
前記式(D3)で表される化合物は、まずa環、b環、及びc環を第1の連結基(N-RD301を含む基及びN-RD302を含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、a環、b環、及びc環を第2の連結基(ホウ素原子を含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応ではバッハブルト-ハートウィッグ反応等のアミノ化反応を適用できる。第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応等を適用できる。
【0234】
式(D3)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の反応や原料を用いることで合成することができる。
【0235】
式(D3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。これらは例示に過ぎず、式(D3)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0236】
【化86】
【化87】
【化88】
【化89】
【化90】
【化91】
【化92】
【化93】
【化94】
【化95】
【化96】
【化97】
【化98】
【0237】
(式(D4)で表される化合物)
式(D4)で表される化合物について説明する。
【0238】
【0239】
(式(D4)中、
R
D401とR
D402の組、R
D402とR
D403の組、及びR
D403とR
D404の組のうち少なくとも一組は、互いに結合して下記式(D42)で示される2価の基を形成する。
R
D405とR
D406の組、R
D406とR
D407の組、及びR
D407とR
D408の組のうち少なくとも一組は、互いに結合して下記式(D43)で示される2価の基を形成する。
【化100】
前記式(D42)で示される2価の基を形成しないR
D401~R
D404及びR
D411~R
D414の少なくとも1つは、下記式(D44)で表される1価の基である。
前記式(D43)で示される2価の基を形成しないR
D405~R
D408及びR
D421~R
D424の少なくとも1つは、下記式(D44)で表される1価の基である。
X
D4は、酸素原子、硫黄原子、又はNR
D409である。
前記式(D42)及び式(D43)で表される2価の基を形成せず、かつ、前記式(D44)で表される1価の基ではないR
D401~R
D408、前記式(D44)で表される1価の基ではないR
D411~R
D414及びR
D421~R
D424、並びにR
D409は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R
901)(R
902)(R
903)、
-O-(R
904)、
-S-(R
905)、
-N(R
906)(R
907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
【化101】
【0240】
式(D44)中、
ArD401及びArD402は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
LD401~LD403は、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリーレン基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の複素環基、又は
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリーレン基及び置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の2価の複素環基からなる群から選択される2~4個の基が結合して形成される2価の連結基である。
LD401は、前記式(D4)で表される環構造、式(D42)で表される基、又は式(D43)で表される基に結合する。)
【0241】
前記式(D4)において、前記式(D42)で示される2価の基及び式(D43)で示される2価の基が形成される位置は特に限定されず、RD401~RD408の可能な位置において当該基を形成し得る。
【0242】
式(D4)で表される化合物は、目的物に合わせた既知の反応や原料を用いることで合成することができる。
【0243】
前記式(D4)で表される化合物としては、国際公開第2014/104144号に記載の化合物の他、例えば、以下に示す化合物が具体例として挙げられる。これらは例示に過ぎず、式(D4)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0244】
【0245】
上述した式(D1)、式(D2)、式(D3)、及び式(D4)で表される化合物以外にも、例えば以下に示す化合物を第2の化合物として使用することができる。
【化103】
【化104】
【化105】
【化106】
【0246】
一実施形態において、第1の発光層はホスト材料(マトリックス材料と称する場合もある。)として、上記式(101)で表される化合物を含む。
一実施形態において、第1の発光層はさらにドーパント材料を含む。
一実施形態において、第1の発光層はドーパント材料(ゲスト材料、エミッター、又は発光材料と称する場合もある。)として、上記第2の化合物を含む。
【0247】
一実施形態において、第1の発光層はドーパント材料を、第1の発光層の全質量の1.1質量%を超えて、1.2質量%以上、又は1.5質量%以上、含有する。
一実施形態において、第1の発光層はドーパント材料を、第1の発光層の全質量の10質量%以下、7質量%以下、又は5質量%以下、含有する。
【0248】
一実施形態において、第1の発光層はホスト材料を、第1の発光層の全質量の60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上、含有する。
一実施形態において、第1の発光層はホスト材料を、第1の発光層の全質量の99質量%以下、含有する。
【0249】
第1の発光層に、ホスト材料とドーパント材料以外の材料が含まれていてもよい。
【0250】
第1の発光層は、ホスト材料を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。第1の発光層は、ドーパント材料を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
【0251】
一実施形態において、第1の発光層の膜厚は、3nm以上、又は5nm以上である。第1の発光層の膜厚が3nm以上であれば、第1の発光層において、正孔と電子との再結合を起こすために充分な膜厚である。
一実施形態において、第1の発光層の膜厚は、15nm以下、又は10nm以下である。第1の発光層の膜厚が15nm以下であれば、第2の発光層へ三重項励起子が移動するために充分に薄い膜厚である。
【0252】
一実施形態において、第1の発光層の膜厚は、3nm以上、15nm以下である。
【0253】
(第2の発光層)
第2の発光層は、上述した第1の発光層とは異なる化合物を少なくとも1種含む。一実施形態において、第2の発光層はホスト材料を含む。ホスト材料としては、上述した式(101)で表される化合物の他、例えば、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物を用いることができる。
一実施形態において、第2のホスト材料は、第1の発光層が含有する第1のホスト材料とは、異なる化合物である。
【0254】
一実施形態において、第2の発光層はさらにドーパント材料を含む。ドーパント材料としては、例えば、上述した第2の化合物を用いることができる。また、ドーパント材料として公知の燐光発光性材料を用いることもできる。
第2の発光層のドーパント材料は、第1の発光層のドーパント材料と、同じ化合物でもよく、異なる化合物でもよい。
一実施形態において、第2の発光層のドーパント材料は、第1の発光層のドーパント材料とは、異なる化合物である。
一実施形態において、第2の発光層のドーパント材料は、第1の発光層のドーパント材料と、同じ化合物である。
【0255】
一実施形態において、第2の発光層はドーパント材料を、第2の発光層の全質量の1.1質量%を超えて、1.2質量%以上、又は1.5質量%以上、含有する。
一実施形態において、第2の発光層はドーパント材料を、第2の発光層の全質量の10質量%以下、7質量%以下、又は5質量%以下、含有する。
【0256】
一実施形態において、第2の発光層はホスト材料を、第2の発光層の全質量の60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上、含有する。
一実施形態において、第2の発光層はホスト材料を、第2の発光層の全質量の99質量%以下、含有する。
【0257】
第2の発光層に、ホスト材料とドーパント材料以外の材料が含まれていてもよい。
【0258】
第2の発光層はホスト材料を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。第2の発光層はドーパント材料を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
【0259】
第2の発光層は、蛍光発光型の発光層であっても、燐光発光型の発光層であってもよい。
一実施形態において、第2の発光層は、蛍光発光型の発光層である。
【0260】
一実施形態において、第2の発光層の膜厚は、5nm以上、10nm以上、又は15nm以上である。第1の発光層の膜厚が5nm以上であれば、第1の発光層における再結合部分から三重項励起子を充分離すことができる。
一実施形態において、第2の発光層の膜厚は、20nm以下である。第2の発光層の膜厚が20nm以下であれば、第2の発光層中の三重項励起子の密度を向上させて、TTF現象をさらに起こり易くすることができる。
【0261】
一実施形態において、第2の発光層の膜厚は、5nm以上、20nm以下である。
【0262】
本発明の一態様にかかる有機EL素子は、第1の発光層が、式(101)で表される化合物からなる群から選択される1以上の化合物を含有する以外は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来公知の材料、素子構成を適用することができる。
【0263】
(基板)
基板は、発光素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0264】
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、及びグラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0265】
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0266】
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。尚、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0267】
(発光層のゲスト(ドーパント)材料)
発光層は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、式(D1)で表される化合物、式(D2)で表される化合物、式(D3)で表される化合物、及び式(D4)で表される化合物の他、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料としてイリジウム錯体等が使用される。発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。
【0268】
(発光層のホスト材料)
発光層としては、上述した発光性の高い物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、上記で説明した本発明で用いる材料(式(1)で表される化合物、及び式(101)で表される化合物)の他、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
発光性の高い物質を分散させるための物質(ホスト材料)としては、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
また、ホスト材料として遅延蛍光性(熱活性化遅延蛍光性)の化合物を用いることもできる。発光層が、上記で説明した本発明で用いる材料と、遅延蛍光性のホスト化合物と、を含むことも好ましい。
発光層は、上記で説明した本発明で用いる材料に加えて、上記の他の物質を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0269】
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。
【0270】
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)等の金属錯体化合物、リチウム酸化物(LiOx)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。
【0271】
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、即ち、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを含む合金等が挙げられる。
陰極は、通常、真空蒸着法やスパッタリング法で形成される。また、銀ペースト等を用いる場合は、塗布法やインクジェット法等を用いることができる。
【0272】
また、電子注入層が設けられる場合、仕事関数の大小に関わらず、アルミニウム、銀、ITO、グラフェン、ケイ素もしくは酸化ケイ素を含有する酸化インジウム-酸化スズ等、種々の導電性材料を用いて陰極を形成することができる。
【0273】
(電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層)
発光層に隣接して、電子阻止層、正孔阻止層、励起子(トリプレット)阻止層等を設けてもよい。
電子阻止層とは、発光層から正孔輸送層へ電子が漏出することを阻止する機能を有する層である。正孔阻止層とは、発光層から電子輸送層へ正孔が漏出することを阻止する機能を有する層である。励起子阻止層は、発光層で生成した励起子が隣接する層へ拡散することを阻止し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する層である。
【0274】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の膜厚は特に制限されないが、一般にピンホール等の欠陥を抑制し、印加電圧を低く抑え、発光効率をよくするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0275】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。発光層等の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0276】
[電子機器]
本発明の一態様に係る電子機器は、本発明の一態様に係る有機EL素子を備えることを特徴とする。
電子機器の具体例としては、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、又は車両用灯具等の発光装置等が挙げられる。
【実施例0277】
<化合物>
実施例の有機EL素子の製造に用いた式(1)又は式(101)で表される化合物を以下に示す。
【化107】
【0278】
比較例の有機EL素子の製造に用いた化合物を以下に示す。
【化108】
【0279】
実施例及び比較例の有機EL素子の製造に用いた他の化合物の構造を以下に示す。
【化109】
【化110】
【0280】
・実施例1
<有機EL素子の作製>
有機EL素子を以下のように作製した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は130nmとした。
洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HI1を蒸着し、膜厚5nmの第1正孔輸送層を成膜した。
第1正孔輸送層上に、化合物HT1を蒸着し、膜厚80nmの第2正孔輸送層を成膜した。
第2正孔輸送層上に、化合物EBL1を蒸着し、膜厚10nmの第3正孔輸送層を成膜した。
第3正孔輸送層上に化合物BH1-1(ホスト材料)及び化合物BD1(ドーパント材料)を、化合物BD1の割合が2質量%となるように共蒸着し、膜厚5nmの第1の発光層を成膜した。
第1の発光層上に、化合物BH2-1(ホスト材料)及び化合物BD1(ドーパント材料)を、化合物BD1の割合が2質量%となるように共蒸着し、膜厚20nmの第2の発光層を成膜した。
第2の発光層上に、化合物HBL1を蒸着し、膜厚10nmの第1電子輸送層を形成した。
第1電子輸送層上に、化合物ET1を蒸着し、膜厚15nmの第2電子輸送層を形成した。
第2電子輸送層上に、LiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層上に、金属Alを蒸着し、膜厚80nmの陰極を成膜した。
【0281】
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次の通りである。
ITO(130)/HI1(5)/HT1(80)/EBL1(10)/BH1-1:BD1(5:2%)/BH2-1:BD1(20:2%)/HBL1(10)/ET1(15)/LiF(1)/Al(80)
括弧内の数字は膜厚(単位:nm)を表す。
また、括弧内においてパーセント表示された数字は、当該層における後者の化合物の割合(質量%)を示す。
【0282】
<有機EL素子の評価>
作製した有機EL素子について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
・外部量子効率
電流密度が10mA/cm2となるように有機EL素子に電圧を印加し、EL発光スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)にて計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、外部量子効率EQE(%)を算出した。
・素子寿命
室温下、電流密度が50mA/cm2となるように有機EL素子に電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95(単位:h))を測定した。
【0283】
実施例2、比較例1
第1の発光層の形成において、化合物BH1-1に代えて、下記表1に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0284】
【0285】
<化合物の合成>
(合成実施例1)BH1-1の合成
下記合成経路で、BH1-1を合成した。
【化111】
【0286】
(1)2,3’,6’-トリメトキシ-1,2’-ビナフタレン(中間体1)の合成
(3,6-ジメトキシナフタレン-2-イル)ボロン酸(9.8g)、1-ブロモ-2-メトキシナフタレン(10.0g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(1.4g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.40g)、及び1,4-ジオキサン(430mL)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、30分間、加熱及び撹拌しながら還流した。2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(105mL)を15分かけて滴下し、反応液を7時間、加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、溶液を室温まで放冷し、十分量の水を加えた。固体をろ取し、メタノールで洗浄した。固体をトルエンに加熱溶解し、シリカゲルショートカラムに通した。溶液を留去し、2,3’,6’-トリメトキシ-1,2’ビナフタレンの白色固体(12.9g、収率89%)を得た。
【0287】
(2)[1,2’-ビナフタレン]-2,3’,6’-トリオール(中間体2)の合成
2,3’,6’-トリメトキシ-1,2’ビナフタレン(中間体1)(11.8g)、水酸化ナトリウム(15g)、及びN-メチル-2-ピロリドン(500mL)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、ドデカン-1-チオール(80g)を加えた。反応液を130℃で4時間、加熱しながら撹拌した。反応終了後、反応液を氷冷し、1規定塩酸にて中和し、トルエンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、[1,2’-ビナフタレン]-2,3’,6’-トリオールの白色固体(8.8g、収率83%)を得た。
【0288】
(3)ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-オール(中間体3)の合成
[1,2’-ビナフタレン]-2,3’,6’-トリオール(中間体2)(8.2g)、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.6g)、及びトルエン(270mL)を加え、アルゴン雰囲気下、3時間、加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、トルエンを150mL留去し、室温に放冷後、水50mLを加え、析出した固体をろ取した。得られた固体をトルエンで再結晶し、ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-オールの白色固体(5.7g、収率69%)を得た。
【0289】
(4)ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-イル トリフルオロメタンスルホナート(中間体4)の合成
ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-オール(中間体3)(4.7g)、及びジクロロメタン(500mL)をフラスコに入れ、ピリジン(1.6mL)を加え、氷冷下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(3.4mL)を滴下し、室温に昇温しながら5時間撹拌した。反応終了後、氷冷下で、水を加えた。溶液をジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-イル トリフルオロメタンスルホナートの白色固体(4.9g、収率71%)を得た。
【0290】
(5)10-[5-(ピレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル]ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン(BH1-1)の合成
ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-イル トリフルオロメタンスルホナート(中間体4)(2.0g)、4,4,5,5-テトラメチル-2-[5-(ピレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル]-1,3,2-ジオキサボロラン(2.5g)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tert-ブチル ホスフィン(0.16g)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.19g)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、30分間、加熱及び撹拌しながら還流した。2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(7.2mL)を15分かけて滴下し、反応液を4時間、加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、溶液を室温まで放冷し、十分量の水を加えた。固体をろ取し、メタノールで洗浄した。固体をトルエンに加熱溶解し、シリカゲルショートカラムに通した。溶液を留去し、得られた固体をトルエンで再結晶し、10-[5-(ピレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル]ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン(BH1-1)の白色固体(1.5g、収率50%)を得た。マススペクトル分析の結果、分子量620.75に対してm/e=621であり、目的物であると同定した。
【0291】
(合成実施例2)BH1-2の合成
下記合成経路で、BH1-2を合成した。
【化112】
【0292】
(1)4-(3-クロロフェニル)ベンゾ[kl]キサンテン(中間体5)の合成
4-ブロモベンゾ[kl]キサンテン(10.0g)、(3-クロロフェニル)ボロン酸(6.6g)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.2g)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、30分間加熱及び撹拌しながら還流した。2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(34mL)を15分かけて滴下し、反応液を5時間加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、溶液を室温まで放冷し、十分量の水を加えた。固体をろ取し、メタノールで洗浄した。固体をトルエンに加熱溶解し、シリカゲルショートカラムに通した。溶液を留去し、得られた固体をシクロヘキサンで再結晶し、4-(3-クロロフェニル)ベンゾ[kl]キサンテン(中間体5)の白色固体(8.3g、収率75%)を得た。
【0293】
(2)2-(3-(ベンゾ[kl]キサンテン-4-イル)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体6)の合成
4-(3-クロロフェニル)ベンゾ[kl]キサンテン(中間体5)(6.0g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(7.0g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(1.8g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.51g)、酢酸カリウム(5.4g)、及び1,4-ジオキサン(92mL)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、5時間、加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、溶液を放冷し、セライトに通してろ過した。ろ液を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2-(3-(ベンゾ[kl]キサンテン-4-イル)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの白色固体(5.2g、収率67%)を得た。
【0294】
(3)10-(3-(ベンゾ[kl]キサンテン-4-イル)フェニル)ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン(BH1-2)の合成
ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン-10-イル トリフルオロメタンスルホナート(中間体4)(1.8g)、2-(3-(ベンゾ[kl]キサンテン-4-イル)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体6)(1.8g)、[4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル]ジ-tert-ブチル ホスフィン(0.10g)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.10g)をフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、30分間加熱及び撹拌しながら還流した。2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(6.4mL)を15分かけて滴下し、反応液を5時間、加熱及び撹拌しながら還流した。反応終了後、溶液を室温まで放冷し、十分量の水を加えた。固体をろ取し、メタノールで洗浄した。固体をトルエンに加熱溶解し、シリカゲルショートカラムに通した。溶液を留去し、得られた固体をトルエンで再結晶し、10-(3-(ベンゾ[kl]キサンテン-4-イル)フェニル)ジナフト[2,1-b:2’,3’-d]フラン(BH1-2)の白色固体(1.54g、収率64%)を得た。マススペクトル分析の結果、分子量560.65に対してm/e=561であり、目的物であると同定した。