IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特開-噴射ガン 図1
  • 特開-噴射ガン 図2
  • 特開-噴射ガン 図3
  • 特開-噴射ガン 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111459
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】噴射ガン
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/01 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B05B9/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015978
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033RA20
4F033RD09
4F033RD10
4F033RE17
4F033RE19
(57)【要約】
【課題】作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体を噴射する噴射ガンを提供する。
【解決手段】噴射口(16)から流体(R)を噴射する噴射ガン(10)であって、本体部(11)に形成され流体の供給源(18)に接続し流体を受け入れる入口(17)と、本体部の内部に形成され入口と噴射口とを連通させ流体を流す流路(19)と、本体部の内部に形成され流路を開閉するバルブ(20)と、バルブを開閉するレバー(12)と、レバーの操作方向に対峙して配置される安全装置(13)と、を備え、作業者がレバーと安全装置とを握ったときのみレバーを操作方向(S)に移動させ噴射口から流体の噴射を可能にし、作業者がレバーと安全装置とを握らないときはレバーを操作方向に移動させないようにして噴射口から流体の噴射を阻止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口から流体を噴射する噴射ガンであって、
本体部に形成され流体の供給源に接続し流体を受け入れる入口と、該本体部の内部に形成され該入口と該噴射口とを連通させ流体を流す流路と、該本体部の内部に形成され該流路を開閉するバルブと、該バルブを開閉するレバーと、該レバーの操作方向に対峙して配置される安全装置と、を備え、
作業者が該レバーと該安全装置とを握ったときのみ該レバーを操作方向に移動させ該噴射口から流体の噴射を可能にし、作業者が該レバーと該安全装置とを握らないときは該レバーを操作方向に移動させないようにして該噴射口から流体の噴射を阻止する、噴射ガン。
【請求項2】
該噴射口から水を噴射する、請求項1記載の噴射ガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
水を噴射するウォータガンは、作業者がレバーを握ったりトリガーを操作したりすることによって水を噴射させている(例えば、特許文献1~5)。そのため、レバーやトリガーに物が当ってしまうと、作業者が意図しないときに水が噴射されることがある。また、レバーやトリガーを作業者が誤操作した場合にも、作業者の意図に反して水が噴射されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3128440号公報
【特許文献2】実用新案登録第3122670号公報
【特許文献3】実開平3-70757号全文明細書及び図面
【特許文献4】実開昭61-178951号全文明細書及び図面
【特許文献5】特開平8-229460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、作業者が意図をもって操作した場合にだけ水を噴射するウォータガンが求められている。また、水に限らず、エアなどの流体を噴射する噴射ガンにおいても、同様に作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体を噴射する機能が求められている。
【0005】
本発明は、作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体を噴射する噴射ガンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、噴射口から流体を噴射する噴射ガンであって、本体部に形成され流体の供給源に接続し流体を受け入れる入口と、該本体部の内部に形成され該入口と該噴射口とを連通させ流体を流す流路と、該本体部の内部に形成され該流路を開閉するバルブと、該バルブを開閉するレバーと、該レバーの操作方向に対峙して配置される安全装置と、を備え、作業者が該レバーと該安全装置とを握ったときのみ該レバーを操作方向に移動させ該噴射口から流体の噴射を可能にし、作業者が該レバーと該安全装置とを握らないときは該レバーを操作方向に移動させないようにして該噴射口から流体の噴射を阻止する。
【0007】
噴射ガンは、例えば噴射口から水を噴射する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体を噴射する噴射ガンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の噴射ガンを側方から見た図である。
図2】作業者が握る前の噴射ガンを側方から見た図である。
図3】作業者が握った状態の噴射ガンを側方から見た図である。
図4】噴射ガンの内部のバルブの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本実施形態の噴射ガン10は、噴射口16から流体Rを噴射する流体噴射器である。噴射ガン10が噴射する流体Rは、例えば水である。なお、流体Rは水には限定されず、水以外の液体や気体などであってもよい。噴射ガン10は様々な用途への適用が可能であり、一例として、半導体ウェーハを製造する加工装置の洗浄に使用される。
【0011】
噴射ガン10は、本体部11とレバー12と安全装置13とを備えている。本体部11はグリップ部14とバレル部15を備え、側方から見てグリップ部14とバレル部15はL字型に構成されている。グリップ部14は概ね噴射ガン10の上下方向に延在しており、バレル部15は概ね噴射ガン10の前後方向に延在している。上下方向及び前後方向に対して垂直な方向(図1の紙面に対して略垂直な方向)を、噴射ガン10における左右方向とする。
【0012】
バレル部15の前方側の端部に、流体Rを噴射する噴射口16が設けられている。グリップ部14はバレル部15の後端側から下方に向けて延在しており、グリップ部14の下端部には、流体Rを受け入れる入口17が設けられている。流体供給源18から延びる管路が入口17に接続し、流体供給源18から入口17に流体Rが供給される。本体部11の内部には、噴射口16と入口17を連通させて流体Rを流す流路19が形成されている。本体部11の内部にはさらに、流路19を開閉するバルブ20が設けられている。
【0013】
レバー12の操作によってバルブ20が開閉される。図1に示すように、流路19は、入口17に接続する第1セクション191と、噴射口16に接続する第2セクション192とを有している。図4に示すように、第1セクション191と第2セクション192を接続する箇所に、前後方向に連通する開口21が形成されている。バルブ20は、後方へ延びるバルブ支持部材22を介して前後方向へ可動に支持されており、開口21を塞ぐ閉位置(図4(A))と、開口21を開放する開位置(図4(B))とに移動する。バルブ20はバルブ付勢バネ23によって閉位置に向けて付勢されており、レバー12を操作しない状態ではバルブ20が開口21を塞ぐ。バルブ付勢バネ23は、例えば引張バネであり、バルブ支持部材22の端部に設けたバネ係合部221を前方側へ引っ張ることによって、バルブ20を閉位置に向けて付勢する。
【0014】
図4(A)に示すように、バルブ20が開口21を塞ぐと、入口17から第1セクション191に流入した流体Rが第2セクション192に流れないため、噴射口16から流体Rが噴射されない。
【0015】
レバー12は、本体部11に対してレバー支持軸25を中心として回動(揺動)可能に支持されている。レバー支持軸25は、噴射ガン10の左右方向に延在する軸であり、バレル部15の上部に配されている。レバー12は、レバー支持軸25により軸支される箇所からバレル部15の側方を通って下方に延び、グリップ部14の前方で上下方向に延在している。つまり、バレル部15の下方においてグリップ部14の前方にレバー12が配置されている。グリップ部14に近づく後方へのレバー12の回動を操作方向Sへの移動とする。
【0016】
レバー12は、レバー支持軸25に近い基端側の部分にバルブ操作部121を備えている。バルブ操作部121の後方に被操作部26が設けられている。被操作部26は、本体部11に対して前後方向へ移動可能に支持されている。図4に示すように、被操作部26は本体部11の内部に挿入された伝達部261を備えており、伝達部261がバルブ20に前方から当接する。
【0017】
レバー12を操作方向Sへ移動させると、図4(B)に示すように、バルブ操作部121が被操作部26を後方へ押し込み、被操作部26の伝達部261がバルブ20を後方へ押し込む。すると、バルブ付勢バネ23の付勢力に抗して、バルブ20が閉位置から開位置へ移動して開口21が開かれる。その結果、入口17から第1セクション191に流入した流体Rが第2セクション192に流れ、噴射口16から流体Rが噴射されるようになる。
【0018】
レバー12は、バルブ操作部121の下方に延在する把持部122を備えている。図3に示すように、噴射ガン10で流体Rを噴射口16から噴射させる際には、作業者(噴射ガン10を使用するユーザー)が手40の指42を把持部122に掛けてレバー12を操作方向Sへ移動させる。把持部122は下方に進むにつれてグリップ部14に近づく(後方へ張り出す)湾曲した形状を有しており、当該形状によって、作業者の指42を把持部122に掛けやすくなっている。但し、レバー12だけを操作しても操作方向Sへ移動させることができないように、安全装置13が設けられている。
【0019】
噴射ガン10における安全装置13は、レバー12に対して操作方向Sに対峙して配置され、作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体Rを噴射させ、作業者が意図しないときに流体Rが噴射されることを防ぐ機能を有する。安全装置13の詳細を以下に説明する。
【0020】
安全装置13は、ストッパ部材30と中間リンク部材31と解除操作部材32とを備えている。噴射ガン10の左右方向でグリップ部14の両側に振り分けて一対のストッパ部材30と一対の中間リンク部材31が配置されている。左右一対のストッパ部材30は連動して同じ動作を行い、左右一対の中間リンク部材31は連動して同じ動作を行う。
【0021】
一対のストッパ部材30はそれぞれ、側方から見てL字型の板状であり、グリップ部14の左右の側面に支持軸33を介して回動可能に支持されている。ストッパ部材30は、支持軸33により軸支される箇所から異なる方向に延在する第1アーム部301と第2アーム部302を有する。第1アーム部301の先端付近に、噴射ガン10の左右方向に延びる棒状のストッパピン34が設けられている。ストッパピン34は、左右一対のストッパ部材30を接続している。
【0022】
一対の中間リンク部材31はそれぞれ、側方から見て細長い板状である。ストッパ部材30と中間リンク部材31は接続軸35によって相対的に回動可能に接続されている。接続軸35は、ストッパ部材30の第2アーム部302の端部付近と、中間リンク部材31の前方側の端部付近とを接続している。
【0023】
解除操作部材32は、グリップ部14の後方に配置されて概ね上下方向に延在している。ストッパ部材30及び中間リンク部材31とは異なり、解除操作部材32は表裏の面が前後方向に向く板状の一部材で構成されており、グリップ部14の後方を解除操作部材32が覆っている。噴射ガン10の左右方向における解除操作部材32の幅は、一対の中間リンク部材31の間隔に対応しており、一対の中間リンク部材31の間に解除操作部材32が配置される。
【0024】
中間リンク部材31と解除操作部材32は、接続軸36によって相対的に回動可能に接続されている。接続軸36は、中間リンク部材31の後方側の端部付近と、解除操作部材32の下側の端部付近とを接続している。解除操作部材32の上側の端部付近は、本体部11に対して支持軸37を介して回動可能に支持されている。
【0025】
支持軸33、接続軸35、接続軸36、支持軸37はいずれも噴射ガン10の左右方向に延在する軸であり、ストッパ部材30と中間リンク部材31と解除操作部材32はそれぞれ、各軸33、35、36及び37に対して垂直な面に沿って相対的に回動する。
【0026】
解除操作部材32は下方に進むにつれてグリップ部14から遠ざかる(後方へ張り出す)湾曲した形状を有しており、当該形状によって、作業者の手のひら41を解除操作部材32に添わせやすくなっている。
【0027】
以上のように構成された安全装置13は、支持軸33と支持軸37の間隔が固定であり、支持軸37を中心として解除操作部材32を回動させると、中間リンク部材31を介してストッパ部材30が支持軸33を中心とする回動を行う。つまり、支持軸33と支持軸37の間が静止節、解除操作部材32が原動節、中間リンク部材31が中間節、ストッパ部材30の第2アーム部302が従動節である4節のリンク機構を構成している。
【0028】
このリンク機構では、支持軸33が支持軸37よりも下方且つ前方に位置している。接続軸35と接続軸36の位置はリンク機構の動作状況によって変化するが、接続軸35と接続軸36はいずれも支持軸33及び支持軸37よりも下方に位置する。
【0029】
安全装置13は、グリップ部14と解除操作部材32との間に配置したリンク付勢バネ38を備えている。リンク付勢バネ38は波型の板バネであり、解除操作部材32を後方側(グリップ部14から遠ざかる方向)に向けて付勢している。リンク付勢バネ38の付勢力によって、ストッパ部材30と中間リンク部材31と解除操作部材32は、図1及び図2に示す位置に保持される。
【0030】
グリップ部14の後面と解除操作部材32の前面が対向する構造であるため、その間に板バネであるリンク付勢バネ38を配置すると、スペース効率良く簡単な構造で解除操作部材32に付勢力を付与できるという利点がある。しかし、板バネとは異なる形態の部材によって解除操作部材32を付勢することも可能である。例えば、グリップ部14の後面と解除操作部材32の前面との間に圧縮コイルバネを配置してもよい。あるいは、支持軸37の周囲にトーションバネを配置してもよい。
【0031】
図2及び図3を参照して、安全装置13の動作を含む噴射ガン10の使用形態について説明する。図2は、作業者が手40で噴射ガン10を握る前の状態である。安全装置13を構成するストッパ部材30は、第1アーム部301が前後方向に延在する向きに保持されており、ストッパ部材30が備えるストッパピン34と支持軸33とが上下方向で概ね同じ高さに位置している。ストッパピン34は、レバー12の把持部122の後面に近接して位置している。ストッパ部材30の動作範囲においてストッパピン34が最も前方に位置した状態であり、前後方向でのグリップ部14とレバー12の把持部122との間隔が大きくなっている。このとき、バルブ20は図4(A)に示す閉位置にあり、噴射口16から流体Rは噴射されない。
【0032】
図2の状態で、作業者が安全装置13を握らずに、レバー12のみに対して操作方向Sに移動させる力が加わると、把持部122の後面がストッパピン34に当接し、レバー12を操作方向Sに押し込もうとする力がストッパ部材30を介して受け止められ、レバー12の回動が阻止される。
【0033】
具体的には、ストッパピン34と支持軸33が互いに操作方向Sの延長上に位置しており、レバー12がストッパピン34を操作方向Sに押し込もうとする力が、第1アーム部301を介して支持軸33の箇所で受け止められ、ストッパ部材30は回動せずにロックした状態になる。ストッパ部材30が回動しないことによってストッパピン34の位置が維持され、操作方向Sへのレバー12の移動を阻止する。
【0034】
また、リンク付勢バネ38の付勢力は、中間リンク部材31と解除操作部材32を経由してストッパ部材30を図2の時計方向に向けて付勢している。そのため、レバー12がストッパピン34を操作方向Sに押し込んだ場合に、ストッパ部材30を図2の反時計方向に回動させようとする分力が生じたとしても、当該回動に対してリンク付勢バネ38の付勢力による抵抗が働くので、ストッパ部材30が回動を制限されて、ストッパピン34を介して操作方向Sへのレバー12の移動を阻止する。
【0035】
従って、作業者が安全装置13を握らずにレバー12のみを操作方向Sに移動させようとした場合や、作業者が安全装置13を握らずにレバー12に対して異物がぶつかって操作方向Sへの力が加わった場合には、安全装置13におけるストッパ部材30(ストッパピン34)がレバー12の移動を規制するストッパとして機能して、操作方向Sへのレバー12の移動が規制される。
【0036】
なお、図2に示す構成では、レバー12の把持部122における上下方向の中央付近にストッパピン34が当接しているが、レバー12とストッパピン34が当接する位置は当該位置には限定されない。一例として、図2に示す位置よりもレバー12の下方側の位置にストッパピン34が当接してもよい。
【0037】
図3は、作業者が手40で噴射ガン10を握った状態である。手40で噴射ガン10を握る際には、グリップ部14の後方に配置した解除操作部材32に手のひら41を当てて、指42(主に、親指以外の人差し指、中指、薬指、小指)をレバー12の把持部122に掛けて、手のひら41と指42を接近させるように力をかけて握り込む。すると、手のひら41によって押された解除操作部材32がリンク付勢バネ38の付勢力に抗して前方へ回動して、解除操作部材32がグリップ部14に接近する。解除操作部材32の当該動作によって接続軸36の位置が変化する。すると、中間リンク部材31を介して、ストッパ部材30が支持軸33を中心として図2の反時計方向に回動する。ストッパ部材30の当該回動によって、図3に示すように、ストッパピン34が上方及び後方へ移動すると共に、第1アーム部301の向きが変化する。その結果、ストッパピン34がレバー12の回動を規制しなくなり、指42での握り込みに応じてレバー12が操作方向Sへ移動する。レバー12が操作方向Sへ移動することにより、被操作部26を介してバルブ20が図4(B)に示す開位置に移動されて流路19内の開口21を開き、噴射口16から流体Rが噴射される。
【0038】
解除操作部材32とストッパ部材30とのレバー比によって、作業者が手のひら41で解除操作部材32を押し込んだときには、比較的軽い力でストッパ部材30を回動させることができる。
【0039】
このように、本実施形態の噴射ガン10では、作業者がレバー12と安全装置13とを握ったときのみ、レバー12を操作方向Sに移動させて噴射口16から流体Rの噴射を可能にし、作業者がレバー12と安全装置13とを握らないときは、レバー12を操作方向Sに移動させないようにして噴射口16からの流体Rの噴射を阻止する。一般的に、レバー12と安全装置13とを同時に握るのは、作業者が意図をもって操作した場合に特有の動作であり、この場合にだけ流体Rの噴射を実行させることは有効性が高い。例えば、作業者による握り込み動作ではなく、異物がレバー12に当たったような場合には、安全装置13の機能によってレバー12を操作方向Sに移動させない状態が維持されるので、作業者が意図しないときに噴射口16から流体Rが噴射されることを防止できる。
【0040】
従来の噴射ガンでは、流体が水である場合、誤操作や異物の当接によってレバーが移動して噴射口から水が噴射され、濡らしてはいけない部品などに水をかけてしまうおそれがあった。これに対して、本実施形態の噴射ガン10は、レバー12への入力だけでは流体Rが噴射されず、安全装置13とレバー12の両方の操作を要するものとしたので、流体Rが水である場合に、上記のような不具合を防ぐことができる。
【0041】
安全装置13において、作業者が握る力を受ける部位は、グリップ部14の後方に配置した解除操作部材32である。グリップ部14は手40によって握るために設けられており、作業者が噴射ガン10を把持する際に、グリップ部14の後方に配置した解除操作部材32に手のひら41を添えるのは自然な動作である。また、グリップ部14の前方に配置されたレバー12と、グリップ部14の後方に配置された解除操作部材32とを、前後から挟み込む形で握ることは、握り込みの際に手のひら41と指42を向かい合わせにして接近させるという手40の構造からも合理的である。従って、作業者が意図をもって流体Rを噴射する操作を行う場合において、手40を無理のある姿勢にしたり、特殊なロック解除操作を行ったりすることなく、噴射ガン10を手40で把持する際の一連の自然な動作によって、レバー12と安全装置13とを操作することができ、操作性が良く、動作の確実性に優れている。
【0042】
上記実施形態の安全装置13は好ましい一例であり、異なる構成の安全装置を適用することも可能である。例えば、ストッパ部材30に相当する部材と解除操作部材32に相当する部材とが直接に接続され、中間リンク部材31のような中間部材を備えないタイプの安全装置を適用することも可能である。あるいは、中間リンク部材31のような中間部材を1つではなく複数備えるタイプの安全装置を適用することも可能である。
【0043】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明の噴射ガンは、作業者が意図をもって操作した場合にだけ流体を噴射するので動作の信頼性が高く、精密機器を加工する加工装置の洗浄などの幅広い分野に適用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 :噴射ガン
11 :本体部
12 :レバー
13 :安全装置
14 :グリップ部
15 :バレル部
16 :噴射口
17 :入口
18 :流体供給源
19 :流路
20 :バルブ
21 :開口
22 :バルブ支持部材
23 :バルブ付勢バネ
25 :レバー支持軸
26 :被操作部
30 :ストッパ部材
31 :中間リンク部材
32 :解除操作部材
33 :支持軸
34 :ストッパピン
35 :接続軸
36 :接続軸
37 :支持軸
38 :リンク付勢バネ
40 :手
41 :手のひら
42 :指
121 :バルブ操作部
122 :把持部
191 :第1セクション
192 :第2セクション
221 :バネ係合部
261 :伝達部
301 :第1アーム部
302 :第2アーム部
R :流体
S :操作方向
図1
図2
図3
図4