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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111537
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】ワーク吸着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240809BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L21/68 P
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016106
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【テーマコード(参考)】
3C016
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA01
5F131AA02
5F131BA52
5F131CA07
5F131EA05
5F131EB01
5F131EB04
(57)【要約】
【課題】反りワークを傷つけず、且つ、低コストで効率的に反りワークを吸着可能なワーク吸着装置を提供する。
【解決手段】反りワークWを吸着可能なワークテーブル16と、反りワークWを吸着するための負圧を生成するエジェクタ64と、エジェクタ64とワークテーブル16との間を連通する第1負圧ライン66と、第1負圧ライン66とは別に構成され、ワークテーブル16に連通する第2負圧ライン68と、第2負圧ライン68に設けられた真空タンク80と、反りワークWをワークテーブル16に吸着させる場合に、エジェクタ64で生成された負圧をワークテーブル16に供給する第1動作と、真空タンク80の負圧をワークテーブル16に供給する第2動作とを選択的に切り替える負圧制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着可能なワークテーブルと、
前記ワークを吸着するための負圧を生成する負圧生成部と、
前記負圧生成部と前記ワークテーブルとの間を連通する第1負圧ラインと、
前記第1負圧ラインとは別に構成され、前記負圧生成部と前記ワークテーブルとの間を連通する第2負圧ラインと、
前記第2負圧ラインに設けられた真空タンクと、
前記ワークを前記ワークテーブルに吸着させる場合に、前記負圧生成部で生成された負圧を前記ワークテーブルに供給する第1動作と、前記真空タンクの負圧を前記ワークテーブルに供給する第2動作とを選択的に切り替える負圧制御部と、
を備える、
ワーク吸着装置。
【請求項2】
前記負圧制御部は、前記ワークを前記ワークテーブルに吸着させる場合に、前記第2動作を一時的に行った後、前記第1動作のみを行う、
請求項1に記載のワーク吸着装置。
【請求項3】
前記負圧制御部は、前記第2動作が開始されるタイミングよりも前に前記第1動作を開始する、
請求項1又は2に記載のワーク吸着装置。
【請求項4】
前記第2負圧ラインにおいて前記真空タンクよりも前記ワークテーブル側に設けられた第1流量制御弁を備える、
請求項1又は2に記載のワーク吸着装置。
【請求項5】
前記負圧制御部は、前記第2動作が停止中の場合に、前記負圧生成部で生成された負圧を前記真空タンクに供給する、
請求項1又は2に記載のワーク吸着装置。
【請求項6】
前記第2負圧ラインにおいて前記真空タンクよりも前記負圧生成部側に設けられた第2流量制御弁を備える、
請求項5に記載のワーク吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク吸着装置に係り、特にワークをダイシング加工するためのダイシング装置に搭載されるワーク吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置又は電子部品が形成されたウェーハ等のワークを個々のチップに分割するダイシング装置においては、例えば、ブレードを高速回転させるスピンドルモータと、ワークを吸着保持するワークテーブルと、スピンドルモータとワークテーブルとの相対的位置を変化させるX、Y、Z、θの各駆動部と、を備えている。ダイシング装置では、各駆動部によりブレードとワークとを相対的に移動させながら、ブレードによってワークを切り込むことによりダイシング加工(切削加工)する。
【0003】
特許文献1には、ダイシング装置に搭載されるワーク吸着装置が開示されている。このワーク吸着装置は、ポーラスチャックと真空源とを有しており、真空源を起動させて、ポーラスチャックに載置された被着体とポーラスチャックの吸着面との間に真空吸引力を生じさせることにより被着体を吸着面に吸着保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-145088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ダイシング装置において、例えば、金属層と半導体層とが貼り合わされたワークやパッケージ基板等のワークのように反りの大きなワーク(以下、反りワークと言う。)を加工する場合であっても、ダンシング加工を安定して実施できるようにすることが要望されている。
【0006】
ここで、反りワークを平面状の吸着面に載置した場合、吸着面と反りワークとの間には空気の抜け路が形成されるため、反りワークを吸着面に吸着させることが難しい。このような問題を解消するためには、反りワークを吸着面に押し付けたり、大きな負圧を生成する真空ポンプを使用したりして、反りワークを吸着面に強制的に吸着させることが考えられる。
【0007】
しかしながら、反りワークを吸着面に押し付ける手法は、ワークの搭載部品(電子部品等)を傷つける虞がある。また、真空ポンプを使用する手法は、反りワークが吸着面に一旦吸着された以降は真空ポンプによる大きな排気速度は不要(つまり、ひとたび負圧が高い状態で安定すれば小さな排気速度で反りワークを吸着保持可能)になるにもかかわらず、真空ポンプを継続使用しなければならないので、コスト的に無駄が生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、反りワークを傷つけず、且つ、低コストで効率的に反りワークを吸着可能なワーク吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワーク吸着装置は、本発明の目的を達成するために、ワークを吸着可能なワークテーブルと、ワークを吸着するための負圧を生成する負圧生成部と、負圧生成部とワークテーブルとの間を連通する第1負圧ラインと、第1負圧ラインとは別に構成され、負圧生成部とワークテーブルとの間を連通する第2負圧ラインと、第2負圧ラインに設けられた真空タンクと、ワークをワークテーブルに吸着させる場合に、負圧生成部で生成された負圧をワークテーブルに供給する第1動作と、真空タンクの負圧をワークテーブルに供給する第2動作とを選択的に切り替える負圧制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一形態は、負圧制御部は、ワークをワークテーブルに吸着させる場合に、第2動作を一時的に行った後、第1動作のみを行うことが好ましい。
【0011】
本発明の一形態は、負圧制御部は、第2動作が開始されるタイミングよりも前に第1動作を開始することが好ましい。
【0012】
本発明の一形態は、第2負圧ラインにおいて真空タンクよりもワークテーブル側に設けられた第1流量制御弁を備えることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態は、負圧制御部は、第2動作が停止中の場合に、負圧生成部で生成された負圧を真空タンクに供給することが好ましい。
【0014】
本発明の一形態は、第2負圧ラインにおいて真空タンクよりも負圧生成部側に設けられた第2流量制御弁を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、反りワークを傷つけず、且つ、低コストで効率的に反りワークを吸着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のワーク吸着装置が搭載されたダイシング装置の全体斜視図である。
図2図1に示したダイシング装置の加工部の構成を示した斜視図である。
図3図1に示したダイシング装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
図4】実施形態のワーク吸着装置の構成を示した概略図である。
図5】実施形態のワーク吸着装置の動作の一例を示したタイミングチャートである。
図6】ワーク吸着装置の第1変形例の構成を示した概略図である。
図7】ワーク吸着装置の第2変形例の構成を示した概略図である。
図8】ワーク吸着装置の第3変形例の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係るワーク吸着装置の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、実施形態に係るワーク吸着装置が搭載されたダイシング装置10の全体斜視図である。まず、ダイシング装置10の構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、本例のダイシング装置10は、一対のブレード12、12が対向して配置されたツインスピンドルダイサーと称されるダイシング装置である。このダイシング装置10は、先端部にブレード12が固定された高周波モータ内蔵型の一対のスピンドル14、14と、ワーク(以下、反りワークとも言う。)Wが載置されてワークWを吸着保持するワークテーブル16と、を有する加工部18を備える。この加工部18は、ワークWとブレード12とを相対的に移動させながらワークWをブレード12によってダイシング加工する。
【0020】
また、ダイシング装置10には、加工済みのワークWをスピン洗浄する洗浄部20と、複数枚のワークWを収納したカセットが載置されるロードポート22と、ワークWを搬送する搬送装置24と、がそれぞれ所定の位置に配置される。また、ダイシング装置10には、ダイシング装置10の各部材の動作を統括制御する制御部26が内蔵されている。
【0021】
図2は、加工部18の構造を示す斜視図である。図2に示すように、加工部18は、Xテーブル34を備える。Xテーブル34は、Xベース28に設けられたXガイド30、30によってガイドされ、リニアモータ32によって矢印X-Xで示すX方向に駆動される。また、Xテーブル34の上面にはθ方向に回転する回転テーブル36が固定され、この回転テーブル36にワークテーブル16が設けられている。よって、ワークテーブル16は、Xテーブル34によってX方向に移動され、かつ回転テーブル36によってθ方向に回転される。
【0022】
また、加工部18は、Xベース28を跨ぐように門型に構成されたYベース38を備える。Yベース38の壁面には、Yテーブル42、42が設けられる。Yテーブル42、42は、Yベース38の壁面に固定されたYガイド40、40によってガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなる駆動装置によって矢印Y-Yで示すY方向に駆動される。
【0023】
Yテーブル42、42には、それぞれZテーブル44、44が設けられる。Zテーブル44、44は、Yテーブル42に設けられた不図示のZガイドにガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなる駆動装置によって矢印Z-Zで示すZ方向に駆動される。Zテーブル44、44にはスピンドル14、14が対向した状態で固定され、スピンドル14、14の先端部に装着されたブレード12、12が対向配置される。
【0024】
上記の加工部18の構成により、ブレード12、12はY方向にインデックス送りされるとともにZ方向に切り込み送りされ、ワークテーブル16はX方向に切削送りされるとともにθ方向に回転される。このような加工部18の動作と回転するブレード12、12とによって、ワークWの表面に碁盤目状の溝(カーフ)が切削加工される。
【0025】
図3は、図1に示したダイシング装置10の電気的構成を示した機能ブロック図である。図3に示すように、ダイシング装置10の制御部26は、システム制御部50、加工制御部52、エジェクタ制御部54、弁制御部56及びコンピュータ可読媒体58を備える。
【0026】
システム制御部50は、制御部26が備える上記の各種制御部を統括的に制御するものである、また、システム制御部50は、コンピュータ可読媒体58へのデータ等の書き込み、及びコンピュータ可読媒体58からのデータ等の読み出しを制御する。
【0027】
加工制御部52は、加工部18(図2参照)の他、洗浄部20(図1参照)及び搬送装置24等の各種駆動部材の動作を制御する。エジェクタ制御部54は、後述するワーク吸着装置のエジェクタ64の動作を制御する。弁制御部56(本発明の負圧制御部の一例)は、ワーク吸着装置の各種弁(電磁弁V1~V4、流量制御弁82、84、88)の動作を制御する。エジェクタ制御部54によるエジェクタ64の動作制御、及び弁制御部56による各種弁の動作制御については後述する。なお、加工制御部52による各種駆動部材の動作制御については公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0028】
制御部26のハードウェアは、コンピュータが適用される。制御部26として機能するコンピュータは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のコンピュータ可読媒体58を備える。コンピュータは、コンピュータ可読媒体58に記憶される1つ以上の命令を含むプログラムをプロセッサが実行して、制御部26における各部の機能を実現する。
【0029】
制御部26においては、1つのプロセッサを用いて1つの処理部又は2つ以上の処理部が実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて1つの処理部が実現されてもよい。プロセッサとして、汎用的な処理デバイスであるCPU(Central Processing Unit)を備えてもよいし、特定の処理に特化した処理デバイスを備えてもよい。複数のプロセッサは、同一の種類であってもよいし、互いに異なる複数の種類であってもよい。
【0030】
コンピュータ可読媒体58は、主記憶装置であるメモリ、及び補助記憶装置であるストレージを備える。また、コンピュータ可読媒体58は、半導体メモリ、ハードディスク装置及びソリッドステートドライブ装置等を使用し得る。更に、コンピュータ可読媒体58は、複数のデバイスの任意の組み合わせを使用し得る。
【0031】
次に、実施形態のワーク吸着装置について説明する。図4は、実施形態のワーク吸着装置60の構成を示した概略図である。まず、ワーク吸着装置60の概略構成について説明する。
【0032】
実施形態のワーク吸着装置60は、図4に示すように、ワークテーブル16と、エジェクタ64と、負圧供給ライン74と、から主に構成されている。ワークテーブル16は、ワークWを真空吸引力により吸着するポーラスチャック62を備える。エジェクタ64は、ポーラスチャック62に真空吸引力を生じさせるための負圧を生成する。なお、エジェクタ64は、エジェクタ制御部54から与えられる信号によって起動停止動作が行われる。
【0033】
負圧供給ライン74は、ワークテーブル16(ポーラスチャック62)とエジェクタ64との間を連通するラインである。なお、ワークテーブル16は、本発明のワークテーブルの一例である。エジェクタ64は、本発明の負圧生成部の一例である。
【0034】
負圧供給ライン74は、2つの負圧供給ライン66、68(以下、単に負圧ライン66、68と言う。)を有している。2つの負圧ライン66、68は、上流側(エジェクタ64側)の負圧供給ライン74から分岐部70においてそれぞれ分岐したラインである。2つの負圧ライン66、68は合流部72において合流して、下流側(ワークテーブル16側)の負圧供給ライン74に接続されている。なお、以下の説明において、2つの負圧ライン66、68を含む負圧供給ラインの全体を「負圧供給ライン74」と称する。また、負圧供給ライン74のうち分岐部70よりも上流側のライン(エジェクタ64と分岐部70との間を連通するライン)を上流側負圧供給ライン76と称し、合流部72よりも下流側のライン(合流部72とワークテーブル16(ポーラスチャック62)との間を連通するライン)を下流側負圧供給ライン78と称する。
【0035】
2つの負圧ライン66、68のうち、一方の負圧ライン66(以下、第1負圧ライン66と言う。)は、エジェクタ64の負圧(小吸引量)を直接的にワークテーブル16に供給するための負圧供給ラインであり、下流側負圧供給ライン78を介してワークテーブル16のポーラスチャック62に連通されている。他方の負圧ライン68(以下、第2負圧ライン68と言う。)は、後述する真空タンク80の負圧(大吸引量)をワークテーブル16に供給するための負圧供給ラインであり、第1負圧ライン66とは別に構成され、下流側負圧供給ライン78を介してワークテーブル16のポーラスチャック62に連通されている。第1負圧ライン66及び第2負圧ライン68からそれぞれ供給される各負圧は、下流側負圧供給ライン78を介してワークテーブル16のポーラスチャック62に供給される。なお、第1負圧ライン66、第2負圧ライン68は、それぞれ、本発明の第1負圧ライン、第2負圧ラインの一例である。
【0036】
図4に示すように、第1負圧ライン66には、第1電磁弁V1が設けられている。第1電磁弁V1は、弁制御部56から与えられる信号によって開閉動作が行われる。第1電磁弁V1が開放された場合には、エジェクタ64とワークテーブル16との間が第1負圧ライン66を介して連通状態となり、エジェクタ64で生成された負圧が第1負圧ライン66を経由してワークテーブル16のポーラスチャック62に供給可能となる。一方、第1電磁弁V1が閉鎖された場合には、エジェクタ64とワークテーブル16との間が第1負圧ライン66を介して非連通状態となり、エジェクタ64から第1負圧ライン66を経由してワークテーブル16のポーラスチャック62への負圧の供給が不可能な状態となる。
【0037】
図4に示すように、第2負圧ライン68には、上流側(分岐部70側)から下流側(合流部72側)に向かって順に、第3電磁弁V3と、第2流量制御弁84と、真空タンク80と、第2電磁弁V2と、第1流量制御弁82と、が設けられている。
【0038】
真空タンク80は、第1負圧ライン66を経由して供給される負圧よりも大きな負圧をワークテーブル16のポーラスチャック62に瞬時に供給できるように、エジェクタ64とワークテーブル16との間に位置する第2負圧ライン68の途中に介在させて配置されたものである。なお、真空タンク80は、本発明の真空タンクの一例ある。
【0039】
第2電磁弁V2は、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも下流側(合流部72側)に配置される。第2電磁弁V2は、弁制御部56から与えられる信号によって開閉動作が行われる。第2電磁弁V2が開放された場合には、真空タンク80とワークテーブル16との間が第2負圧ライン68(真空タンク80よりも下流側)を介して連通状態となり、真空タンク80の負圧がワークテーブル16のポーラスチャック62に供給可能となる。一方、第2電磁弁V2が閉鎖された場合には、真空タンク80とワークテーブル16との間が第2負圧ライン68(真空タンク80よりも下流側)を介して非連通状態となり、真空タンク80からワークテーブル16のポーラスチャック62への負圧の供給が不可能な状態となる。
【0040】
第1流量制御弁82は、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも下流側(合流部72側)に配置される。具体的には、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも下流側において、第2電磁弁V2と合流部72との間に第1流量制御弁82が配置される。第1流量制御弁82は、真空タンク80からワークテーブル16のポーラスチャック62に供給される負圧を調整するためのものである。第1流量制御弁82は、弁制御部56から与えられる信号によって第1流量制御弁82の開度が調整される。第1流量制御弁82が開く方向に調整された場合には、真空タンク80からワークテーブル16のポーラスチャック62に供給される負圧が高くなる。一方、第1流量制御弁82が閉じる方向に調整された場合には、真空タンク80からワークテーブル16のポーラスチャック62に供給される負圧が低くなる。なお、第1流量制御弁82は、本発明の第1流量制御弁の一例である。
【0041】
第3電磁弁V3は、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも上流側(分岐部70側)に配置される。第3電磁弁V3は、弁制御部56から与えられる信号によって開閉動作が行われる。第3電磁弁V3が開放された場合には、エジェクタ64と真空タンク80との間が第2負圧ライン68(真空タンク80よりも上流側)を介して連通状態となり、エジェクタ64で生成された負圧が真空タンク80に供給可能となる。そのため、第2電磁弁V2が閉鎖された状態において第3電磁弁V3が開放された場合には、エジェクタ64で生成された負圧が真空タンク80に供給される。これにより、真空タンク80に負圧が蓄積され、真空タンク80の負圧が増大する。一方、第3電磁弁V3が閉鎖された場合には、エジェクタ64と真空タンク80との間が第2負圧ライン68(真空タンク80よりも上流側)を介して非連通状態となり、エジェクタ64から真空タンク80への負圧の供給が不可能な状態となる。
【0042】
第2流量制御弁84は、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも上流側(分岐部70側)に配置される。具体的には、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも上流側において、第3電磁弁V3と真空タンク80との間に第2流量制御弁84が配置される。第2流量制御弁84は、エジェクタ64から真空タンク80に供給される負圧を調整するためのものである。第2流量制御弁84は、弁制御部56から与えられる信号によって第2流量制御弁84の開度が調整される。第2流量制御弁84が開く方向に調整された場合には、エジェクタ64から真空タンク80に供給される負圧が高くなる。一方、第2流量制御弁84が閉じる方向に調整された場合には、エジェクタ64から真空タンク80に供給される負圧が低くなる。なお、第2流量制御弁84は、本発明の第2流量制御弁の一例である。
【0043】
図4に示すように、下流側負圧供給ライン78は、ワークテーブル16のポーラスチャック62と合流部72との間を連通するラインである。なお、本例における下流側負圧供給ライン78は、ワークテーブル16を回転支持するためのロータリージョイント17を介してワークテーブル16のポーラスチャック62に連通されている。下流側負圧供給ライン78には、ワークテーブル16のポーラスチャック62と合流部72との間の途中位置において真空破壊ライン86が接続されている。
【0044】
真空破壊ライン86は、ワークテーブル16のポーラスチャック62によるワークWの真空吸着を解除するために設けられたラインであり、第3流量制御弁88、第4電磁弁V4及び圧縮空気供給源90を有している。例えばワークWの真空吸着を解除する場合には、第4電磁弁V4が開放され、圧縮空気供給源90からの圧縮空気が真空破壊ライン86に供給される。その際、圧縮空気供給源90から供給された圧縮空気は、第3流量制御弁88によって圧縮空気の流量が調整される。そして、第3流量制御弁88によって流量が調整された圧縮空気が、真空破壊ライン86から下流側負圧供給ライン78を経由してワークテーブル16のポーラスチャック62に供給される。これにより、ワークテーブル16のポーラスチャック62によるワークWの真空吸着が解除される。なお、第4電磁弁V4は、弁制御部56から与えられる信号によって開閉動作が行われる。また、第3流量制御弁88は、弁制御部56から与えられる信号によって開度が調整される。
【0045】
なお、図4では図示していないが、本例のワーク吸着装置60は、真空タンク80の圧力を検出するタンク用圧力センサと、ポーラスチャック62の圧力(以下、ワークテーブル16の圧力とも言う。)を検出するテーブル用圧力センサと、を有している。一例として、タンク用圧力センサは真空タンク80に取り付けられ、テーブル用圧力センサは下流側負圧供給ライン78に取り付けられている。但し、各圧力センサの取り付け位置はこれらの位置に限定されるものではなく、上記の圧力を検出可能な位置であればよい。
【0046】
次に、実施形態のワーク吸着装置60によって反りワークWをワークテーブル16に吸着させる場合の動作の一例を、図5に示したタイミングチャートを参照して説明する。なお、以下の説明において、「ワークテーブル16」は、「ポーラスチャック62」を実質的に意味するものとする。
【0047】
図5に示すタイミングチャートには、第1電磁弁V1、第2電磁弁V2、第3電磁弁V3、第4電磁弁V4の開閉動作(OPEN-CLOSE)が示されている。また、図5では、各電磁弁V1~V4の開閉動作に対応して変化する真空タンク80とワークテーブル16のそれぞれの圧力も示されている。真空タンク80の圧力はタンク用圧力センサ、ワークテーブル16の圧力はテーブル用圧力センサによってそれぞれ検出されるものである。
【0048】
図5に示すように、ワーク吸着装置60によって実行される工程は、一例として、準備工程、吸着工程、加工工程及び真空破壊工程を含んでいる。これらの工程は、1枚の反りワークWごとに繰り返し実行される。
【0049】
まず、準備工程について説明する。準備工程の開始時間をT0とした場合、T0では、各電磁弁V1~V4はそれぞれ閉鎖されている。そして、真空タンク80の圧力は大気圧であり、ワークテーブル16の圧力も大気圧である。なお、エジェクタ64(図4参照)は、エジェクタ制御部54によって予め起動されている。
【0050】
準備工程では、T0から所定時間経過後のT1で第3電磁弁V3が開放される。そうすると、真空タンク80が第2負圧ライン68の上流部(真空タンク80よりも上流側)を介してエジェクタ64と連通されるので、エジェクタ64の負圧が真空タンク80に供給される。すなわち、真空タンク80内の空気がエジェクタ64によって吸引されていく。これにより、真空タンク80の圧力が大気圧から緩やか減圧されていき、例えば真空タンク80の圧力が-90kPa程度に到達したことを示すT2で第3電磁弁V3が閉鎖される。これにより、真空タンク80の圧力が、反りワークWを吸着可能な負圧(例えば、-90kPa程度)に設定される。なお、本例ではT2を計時したときに第3電磁弁V3を閉鎖(時間制御)するようにしたが、これに限定されるものではなく、タンク用圧力センサによって検出される検出値(圧力)に基づいて第3電磁弁V3を閉鎖するようにしてもよい。例えば、タンク用圧力センサによって検出された圧力が、-90kPaを検出したときに第3電磁弁V3を閉鎖してもよい。
【0051】
次に、吸着工程が実行される。吸着工程は、搬送装置24(図1参照)によって反りワークWがワークテーブル16に載置された時間T3を開始時間とするものであり、T3から所定時間経過後のT4で第1電磁弁V1が開放される。そうすると、ワークテーブル16が第1負圧ライン66を介してエジェクタ64に連通される。これにより、エジェクタ64で生成された負圧がワークテーブル16に供給される動作(以下、エジェクタ負圧供給動作という。)が行われ、ワークテーブル16の圧力が大気圧から負圧に減圧される。なお、このとき、テーブル用圧力センサによって検出される圧力(負圧)は、例えば、-20kPa程度であるため、反りワークWはワークテーブル16に吸着されない。なお、エジェクタ負圧供給動作は、本発明の第1動作の一例である。
【0052】
そして、T4から所定時間経過後のT5で第2電磁弁V2が開放される。そうすると、真空タンク80が第2負圧ライン68の下流部(真空タンク80よりも下流側)を介してワークテーブル16と連通される。これにより、真空状態の真空タンク80が真空破壊され、真空タンク80の負圧(例えば、-90kPa程度)が第2負圧ライン68の下流部を経由してワークテーブル16に供給される動作(以下、真空タンク負圧供給動作と言う。)が行われ、ワークテーブル16と反りワークWとの間の空間に真空吸着力が発生する。その結果、反りワークWは、真空吸引力により反りが平坦に矯正されてワークテーブル16に吸着される。なお、真空タンク負圧供給動作は、本発明の第2動作の一例である。
【0053】
吸着工程における第2電磁弁V2の開放は、T5から規定期間経過後のT6まで実行される。すなわち、第2電磁弁V2はT6に閉鎖される。上記の規定期間(T5からT6までの期間)において、タンク用圧力センサにより検出される真空タンク80の圧力はT5の直後にある程度上昇するが、反りワークWがワークテーブル16に吸着されるとその上昇は止まり、第1電磁弁V1を介して連通されたエジェクタ64の排気動作により緩やかに低下していく。また、テーブル用圧力センサにより検出されるワークテーブル16の圧力はT5の直後に急激に減圧されるが、反りワークWがワークテーブル16に吸着されるとその急速な低下は止まり、第1電磁弁V1を介して連通されたエジェクタ64の排気動作により緩やかに低下していく。上記の規定期間(T5からT6までの期間)とは、反りワークWをワークテーブル16に吸着させるために必要な期間であり、一例として予め実験等によって取得されたものである。なお、第1電磁弁V1は、T6経過後においてもT4から開放されたままであり、エジェクタ負圧供給動作が継続的に行われている。
【0054】
次に、加工工程(切削工程)が実行される。加工工程は、反りワークWの吸着が完了したことを示すT7を開始時間とするものである。加工工程の全期間において、第1電磁弁V1は吸着工程のT4から開放されたままである。また、第2電磁弁V2は吸着工程のT6から閉鎖されたままであり、第3電磁弁V3は準備工程のT2から閉鎖されたままである。これにより、加工工程の全期間において、ワークテーブル16には、エジェクタ64で生成された負圧のみが供給される。すなわち、加工工程では、真空タンク負圧供給動作は行われず、エジェクタ負圧供給動作のみが行われる。なお、本例ではT7を計時したときに反りワークWの吸着完了を判断(時間制御)するようにしたが、これに限定されるものではなく、テーブル用圧力センサによって検出される検出値(圧力)に基づいて吸着完了と判断するようにしてもよい。例えば、テーブル用圧力センサによって検出される圧力が、-90kPaを所定期間維持したときに吸着完了と判断してもよい。
【0055】
このように、加工工程の全期間において、真空タンク80の負圧をワークテーブル16に供給することなく、エジェクタ64の負圧のみをワークテーブル16に供給することで、ワークテーブル16の圧力は、反りワークWをワークテーブル16に吸着保持可能な負圧(例えば、-90kPa程度)に維持される。したがって、反りワークWは、エジェクタ64の負圧のみでワークテーブル16に吸着保持された状態で切削加工される。
【0056】
次に、真空破壊工程が実行される。真空破壊工程は、第1電磁弁V1が閉鎖された時間T8を開始時間とするものであり、T8から所定時間経過後のT9で第4電磁弁V4(図4参照)が開放される。そうすると、圧縮空気供給源90からの圧縮空気が真空破壊ライン86に供給され、第3流量制御弁88によって流量が調整された圧縮空気が、下流側負圧供給ライン78を介してワークテーブル16に供給される。これにより、真空状態のワークテーブル16が真空破壊されて、ワークテーブル16の圧力が大気圧以上となる。その結果、ワークテーブル16による反りワークWの真空吸着が解除される。その後、反りワークWの搬出が行われる。
【0057】
この後、T10で第4電磁弁V4を閉鎖し、ワークテーブル16の圧力を大気圧に戻した後、ワークテーブル16から反りワークWを搬送装置24(図1)によって搬出する。以上が1枚の反りワークWに対するワーク吸着装置60の動作である。この後、2枚目以降の反りワークWに対しても同様の処理が繰り返し実行される。
【0058】
以上説明したように、実施形態のワーク吸着装置60によれば、反りワークWをワークテーブル16に吸着させる場合に、エジェクタ負圧供給動作(第1動作)と、真空タンク負圧供給動作(第2動作)とを選択的に切り替えることができる。これにより、真空タンク負圧供給動作により真空タンク80の負圧(大吸引量)を一時的に供給した後、エジェクタ負圧供給動作によりエジェクタ64の負圧(小吸引量)の供給のみを行うことが可能となる。その結果、反りワークWを傷つけず、且つ、低コストで効率的に反りワークWを吸着することが可能となる。
【0059】
また、実施形態のワーク吸着装置60によれば、真空タンク負圧供給動作が開始されるタイミングよりも前に、エジェクタ負圧供給動作が開始される。そのため、ワークテーブル16(ポーラスチャック62)に対して真空タンク80の負圧を供給する前に、エジェクタ64の負圧を予め事前に導入しておくことができる。これにより、真空タンク80の負圧の供給が開始された場合にワークテーブル16(ポーラスチャック62)を所望の負圧状態に迅速に減圧することが可能となり、吸着工程の短時間化を図ることができる。
【0060】
なお、実施形態のワーク吸着装置60では、エジェクタ負圧供給動作が開始されるタイミングが、真空タンク負圧供給動作が開始されるタイミングよりも前に行われるが、これに限定されるものではなく、少なくとも真空タンク負圧供給動作が終了するタイミングよりも前のタイミングでエジェクタ負圧供給動作が開始されていればよい。例えば、エジェクタ負圧供給動作は、真空タンク負圧供給動作が行われている間に開始されてもよい。このように、少なくとも真空タンク負圧供給動作が終了するタイミングよりも前のタイミングでエジェクタ負圧供給動作を開始しておくことで、真空タンク80の負圧を利用した反りワークWの吸着後においても、エジェクタ64の負圧が供給されている状態となるため、真空タンク80の負圧からエジェクタ64の負圧への切り替えがタイムラグなく瞬時に行われる。これにより、エジェクタ64の負圧のみを利用した反りワークWの吸着保持を安定して行うことが可能となる。
【0061】
また、実施形態のワーク吸着装置60によれば、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも下流側(合流部72側)に第1流量制御弁82を設けた構成を採用したので、真空状態の真空タンク80が真空破壊されたときの衝撃を第1流量制御弁82により抑制(緩和)することができる。これにより、真空破壊の衝撃に起因する反りワークWの損傷を防止することができる。
【0062】
また、実施形態のワーク吸着装置60によれば、エジェクタ64とワークテーブル16との間を連通する負圧供給ライン74は第1負圧ライン66と第2負圧ライン68とを備え、第1負圧ライン66はエジェクタ64の負圧(小吸引量)を直接的にワークテーブル16に供給するための負圧供給ラインとし、第2負圧ライン68には真空タンク80を設けて、真空タンク80の負圧(大吸引量)をワークテーブル16に供給するための負圧供給ラインとしたので、反りワークWを平坦に矯正して吸着するための大きな排気速度と、平坦化された反りワークWを吸着保持可能な小さな排気速度とを1台のエジェクタ64を用いて生成することができる。その結果、ワーク吸着装置60のイニシャルコスト及びランニングコストを削減することができる。
【0063】
また、実施形態のワーク吸着装置60によれば、第2負圧ライン68における真空タンク80よりも上流側(分岐部70側)に第2流量制御弁84を設けた構成を採用したので、エジェクタ64による真空タンク80内の空気吸引量を第2流量制御弁84により絞ることができる。これにより、エジェクタ64による真空タンク80の空気吸引を安定して実行することが可能となるので、真空タンク80を所望の負圧状態に減圧することが可能となる。
【0064】
以下、本発明のワーク吸着装置の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例においては、図4に示した実施形態のワーク吸着装置60と同一及び類似の部材については同一の符号を付して説明する。また、以下に説明する変形例においては、真空破壊ライン86(図4参照)の図示を省略している。
【0065】
図6は、ワーク吸着装置の第1変形例の構成を示した概略図である。図6に示す第1変形例のワーク吸着装置100は、エジェクタ64に接続された配管径の小さい小排気用の上流側負圧供給ライン76を、排気速度を制限するロータリージョイント17を介して配設し、真空タンク80に接続された配管径の大きい大排気用の下流側負圧供給ライン78を、ロータリージョイント17を介することなくポーラスチャック62に連通した構成が採用されたものである。
【0066】
図6のワーク吸着装置100によれば、排気速度を制限するロータリージョイント17に制約を受けることなく、真空タンク80の大きな排気速度で反りワークWを吸引することができる。
【0067】
図7は、ワーク吸着装置の第2変形例の構成を示した概略図である。図7に示す第2変形例のワーク吸着装置110は、エジェクタ64の他にエジェクタ112を追加して、このエジェクタ112で生成された負圧を真空タンク80に直接的に供給する構成が採用されたものである。なお、エジェクタ64及びエジェクタ112は、本発明の負圧生成部の一例である。
【0068】
図7に示すワーク吸着装置110は、第1負圧ライン166及び第2負圧ライン168を有している。第1負圧ライン166、第2負圧ライン168は、それぞれ、本発明の第1負圧ライン、第2負圧ラインの一例である。
【0069】
図7に示すワーク吸着装置110では、第1負圧ライン166の一端がエジェクタ64に接続されると共に、第2負圧ライン168の一端がエジェクタ112に接続される。第1負圧ライン166及び第2負圧ライン168の他端は合流して、下流側負圧供給ライン178の一端に接続されており、下流側負圧供給ライン178の他端はワークテーブル16のポーラスチャック62に接続されている。すなわち、エジェクタ64とワークテーブル16(ポーラスチャック62)との間は第1負圧ライン166を介して連通され、且つ、エジェクタ112とワークテーブル16(ポーラスチャック62)との間は第2負圧ライン168を介して連通されている。
【0070】
第1負圧ライン166には、上記実施形態における第1負圧ライン66と同様に、第1電磁弁V1が設けられる。一方、第2負圧ライン168には、上流側(エジェクタ112側)から下流側(ワークテーブル16側)に向かって順に、第3電磁弁V3、真空タンク80、第2電磁弁V2、第1流量制御弁82が設けられている。
【0071】
図7に示すワーク吸着装置110によれば、エジェクタ64とは別に、真空タンク80に負圧を供給するための専用のエジェクタ112が設けられるので、真空タンク80の負圧による反りワークWの吸着が完了した時点で第2電磁弁V2を閉鎖し、第3電磁弁V3を開放することにより、エジェクタ112から真空タンク80に負圧を供給することができる。これにより、反りワークWの搬出後に行われる準備工程が不要になる。
【0072】
図8は、ワーク吸着装置の第3変形例の構成を示した概略図である。図8に示す第3変形例のワーク吸着装置120は、第1負圧ライン66と第2負圧ライン68を合流させることなく、それぞれポーラスチャック62に直接連通させた構成が採用されたものである。なお、図7に示した第2変形例のワーク吸着装置110においても、第3変形例のワーク吸着装置120と同様に、第1負圧ライン166と第2負圧ライン168を合流させることなく、それぞれポーラスチャック62に直接連通させてもよい。
【0073】
上記の実施形態及び第1乃至第3変形例では、本発明の負圧生成部を構成する負圧源としてエジェクタを適用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、機械式又は電動式の負圧ポンプを適用可能である。
【0074】
また、上記の実施形態及び第1乃至第3変形例では、本発明のワーク吸着装置をダイシング装置10に適用した例について説明したが、本発明のワーク吸着装置は、例えば、ワークを切断加工したり研削加工したりする加工装置、及びワークの形状を測定する形状測定装置にも適用可能である。
【0075】
以上、本発明に係るワーク吸着装置の一例について説明したが、本発明の技術は実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…ダイシング装置、12…ブレード、14…スピンドル、16…ワークテーブル、17…ロータリージョイント、18…加工部、20…洗浄部、22…ロードポート、24…搬送装置、26…制御部、28…Xベース、30…Xガイド、32…リニアモータ、34…Xテーブル、36…回転テーブル、38…Yベース、40…Yガイド、42…Yテーブル、44…Zテーブル、50…システム制御部、52…加工制御部、54…エジェクタ制御部、56…弁制御部、58…コンピュータ可読媒体、60…ワーク吸着装置、62…ポーラスチャック、64…エジェクタ、66…第1負圧ライン、68…第2負圧ライン、70…分岐部、72…合流部、74…負圧供給ライン、76…上流側負圧供給ライン、78…下流側負圧供給ライン、80…真空タンク、82…流量制御弁、84…流量制御弁、86…真空破壊ライン、88…流量制御弁、90…圧縮空気供給源、100…ワーク吸着装置、110…ワーク吸着装置、112…エジェクタ、120…ワーク吸着装置、166…第1負圧ライン、168…第2負圧ライン、178…下流側負圧供給ライン、V1…第1電磁弁、V2…第2電磁弁、V3…第3電磁弁、V4…第4電磁弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8