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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111878
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240813BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016551
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽平
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA90
2G051AB02
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051EA16
2G051EB01
2G051ED04
2G051ED08
2G051ED11
2G051FA01
4M106AA01
4M106BA04
4M106BA08
4M106CA38
4M106DB04
4M106DJ03
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】被加工物の任意の箇所における加工結果を事後的に提供する。
【解決手段】保持テーブルと、撮像ユニットと、移動ユニットと、入力インターフェースと、ディスプレイと、プロセッサ及びメモリを有するコントローラと、を備え、コントローラは、移動ユニットで保持テーブルと撮像ユニットとを相対的に移動させ、保持テーブルで保持された被検査物を撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像することにより得られた複数の画像を含む画像データと、保持テーブルに対する被検査物の被撮像領域の座標を示す座標データと、に基づいて、被検査物の全体画像を作成してディスプレイに全体画像を表示させる全体画像表示部と、全体画像のうち作業者が入力インターフェースによって指定した指定位置の拡大画像をディスプレイに表示させる拡大画像表示部と、を有する検査装置が提供される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を検査する検査装置であって、
該被検査物を保持する保持テーブルと、
撮像素子を含み、該保持テーブルで保持された該被検査物を撮像する撮像ユニットと、
該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、
作業者が指示を入力するための入力インターフェースと、
該撮像ユニットで撮像された画像を表示するディスプレイと、
プロセッサ及びメモリを有し、該撮像ユニット、該移動ユニット、該入力インターフェース、及び、該ディスプレイを制御するコントローラと、を備え、
該コントローラは、
該メモリにそれぞれ記憶された画像データ及び座標データであって、該移動ユニットで該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させ、該保持テーブルで保持された該被検査物を該撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像することにより得られた複数の画像を含む該画像データと、該保持テーブルに対する該被検査物の被撮像領域の座標を示す該座標データと、に基づいて、該被検査物の全体画像を作成して該ディスプレイに該全体画像を表示させる全体画像表示部と、
該ディスプレイに表示された該全体画像のうち、該作業者が該入力インターフェースによって指定した指定位置の拡大画像を該ディスプレイに表示させる拡大画像表示部と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
該コントローラは、
該拡大画像表示部によって該拡大画像が表示されている時間を計測する時間計測部と、
該時間計測部が計測した該時間が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、該座標データのうち該拡大画像が表示された位置を記憶すると共に、該拡大画像が表示された位置を該作業者が検査を実施した検査済位置と判定する検査位置判定部と、
該全体画像に該検査済位置を表示させる検査済位置表示部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
該検査済位置表示部は、該検査済位置の時系列が分かる様に該全体画像に該検査済位置を表示させることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
該検査済位置表示部は、該全体画像に該検査済位置を表示させると共に、該検査済位置に応じた該拡大画像のサムネイルをそれぞれの該検査済位置と関連付けて該全体画像に表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
該保持テーブルは、所定の波長帯域の光に対して透明であり且つ該被検査物を保持する保持面を含む透明板を有し、
該撮像ユニットは、該透明板よりも上方に配置され該保持面で保持された該被検査物の上面側を撮像する上方撮像ユニットと、該透明板よりも下方に配置され該保持面で保持された該被検査物の下面側を該透明板を介して撮像する下方撮像ユニットと、を有し、
該全体画像表示部は、該上方撮像ユニットで撮像された上側全体画像と、該下方撮像ユニットで撮像された下側全体画像と、のいずれかを表示可能であり、
該拡大画像表示部は、該上方撮像ユニットで撮像された上側拡大画像と、該下方撮像ユニットで撮像された下側拡大画像と、のいずれかを表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
検査装置を用いて被検査物を検査する検査方法であって、
該検査装置は、該被検査物を保持する保持テーブルと、撮像素子を含み該保持テーブルで保持された該被検査物を撮像する撮像ユニットと、該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、作業者が該検査装置に指示を入力するための入力インターフェースと、該撮像ユニットで撮像された画像を表示するディスプレイと、プロセッサ及びメモリを有し、該撮像ユニット、該移動ユニット、該入力インターフェース、及び、該ディスプレイを制御するコントローラと、を含み、
該検査方法は、
該保持テーブルで該被検査物を保持する保持工程と、
該移動ユニットで該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させ、該保持テーブルで保持された該被検査物を該撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像し、複数の画像を得る撮像工程と、
該撮像工程で得られた該複数の画像を含む画像データと、該検査装置における基準位置に対する該被検査物の被撮像領域の座標を示す座標データと、を該コントローラが記憶する記憶工程と、
該コントローラが、該画像データ及び該座標データに基づいて、該被検査物の全体画像を作成して該ディスプレイに該全体画像を表示させる全体画像表示工程と、
該コントローラが、該ディスプレイに表示された該全体画像のうち、該作業者が該入力インターフェースによって指定した指定位置の拡大画像を該ディスプレイに表示させる拡大画像表示工程と、を備えることを特徴とする検査方法。
【請求項7】
該拡大画像表示工程において該拡大画像が表示されている時間を該コントローラが計測する時間計測工程と、
該時間計測工程によって計測された該時間が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、該コントローラが、該座標データのうち該拡大画像が表示された位置を記憶すると共に、該拡大画像が表示された位置を該作業者が検査を実施した検査済位置と判定する検査位置判定工程と、
該コントローラが、該全体画像に該検査済位置を表示させる検査済位置表示工程と、を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物を検査する検査装置と、検査装置を用いて被検査物を検査する検査方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
切削ブレードやレーザービームを利用して、ウェーハ(即ち、被加工物)を複数のチップに分割する加工技術が知られている。例えば、切削加工では、切削装置へ搬送された被加工物に切削ブレードで切削溝(即ち、カーフ)を形成した後、切削ブレードでの切削を一時中断し、当該切削装置内において顕微鏡カメラユニットを用いてカーフチェックが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
カーフチェックは、例えば、撮像装置で切削溝の一箇所を顕微鏡カメラユニットで撮像して得られた画像をコンピュータで解析することにより、撮像装置において自動で行われる。カーフチェックでは、切削溝(即ち、カーフ)の縁部に発生する欠け(即ち、チッピング)のサイズ、切削溝の幅等が閾値以下であるか否かが検査される。
【0004】
例えば、切削ブレードを用いて被加工物を切削する場合、カーフチェックを行う間は切削が一時的に中断される。それゆえ、カーフチェックの回数が増えるほど、被加工物の切削に要する時間が長くなり、生産性が低下する。従って、生産性を下げない様に、被加工物を切削する際には、カーフチェックを行う箇所の数を限定するのが一般的である。
【0005】
加工結果に関する被加工物の画像データは切削装置に記憶されるが、通常、この画像データは、カーフチェックを行った箇所の画像を含むが、カーフチェックが行われなかった箇所の画像を含まない。
【0006】
しかも、被加工物が複数のチップに分割され、切削前の位置関係が維持されない程度に各チップがバラバラになった後には、切削装置で切削された直後における被加工物の加工結果を示す画像データを事後的に得ることはできない。
【0007】
しかし、近年では、加工結果についてトレーサビリティ(traceability)の要求が高まりつつある。この要求を充たすためには、各チップが個片化されてバラバラに配置された後であっても、被加工物の任意の箇所におけるチッピングサイズ、カーフ幅等の加工結果を事後的に提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-130806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、被加工物の任意の箇所における加工結果を事後的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、被検査物を検査する検査装置であって、該被検査物を保持する保持テーブルと、撮像素子を含み、該保持テーブルで保持された該被検査物を撮像する撮像ユニットと、該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、作業者が指示を入力するための入力インターフェースと、該撮像ユニットで撮像された画像を表示するディスプレイと、プロセッサ及びメモリを有し、該撮像ユニット、該移動ユニット、該入力インターフェース、及び、該ディスプレイを制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、該メモリにそれぞれ記憶された画像データ及び座標データであって、該移動ユニットで該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させ、該保持テーブルで保持された該被検査物を該撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像することにより得られた複数の画像を含む該画像データと、該保持テーブルに対する該被検査物の被撮像領域の座標を示す該座標データと、に基づいて、該被検査物の全体画像を作成して該ディスプレイに該全体画像を表示させる全体画像表示部と、該ディスプレイに表示された該全体画像のうち、該作業者が該入力インターフェースによって指定した指定位置の拡大画像を該ディスプレイに表示させる拡大画像表示部と、を有する検査装置が提供される。
【0011】
好ましくは、該コントローラは、該拡大画像表示部によって該拡大画像が表示されている時間を計測する時間計測部と、該時間計測部が計測した該時間が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、該座標データのうち該拡大画像が表示された位置を記憶すると共に、該拡大画像が表示された位置を該作業者が検査を実施した検査済位置と判定する検査位置判定部と、該全体画像に該検査済位置を表示させる検査済位置表示部と、を有する。
【0012】
また、好ましくは、該検査済位置表示部は、該検査済位置の時系列が分かる様に該全体画像に該検査済位置を表示させる。
【0013】
また、好ましくは、該検査済位置表示部は、該全体画像に該検査済位置を表示させると共に、該検査済位置に応じた該拡大画像のサムネイルをそれぞれの該検査済位置と関連付けて該全体画像に表示させる。
【0014】
また、好ましくは、該保持テーブルは、所定の波長帯域の光に対して透明であり且つ該被検査物を保持する保持面を含む透明板を有し、該撮像ユニットは、該透明板よりも上方に配置され該保持面で保持された該被検査物の上面側を撮像する上方撮像ユニットと、該透明板よりも下方に配置され該保持面で保持された該被検査物の下面側を該透明板を介して撮像する下方撮像ユニットと、を有し、該全体画像表示部は、該上方撮像ユニットで撮像された上側全体画像と、該下方撮像ユニットで撮像された下側全体画像と、のいずれかを表示可能であり、該拡大画像表示部は、該上方撮像ユニットで撮像された上側拡大画像と、該下方撮像ユニットで撮像された下側拡大画像と、のいずれかを表示可能である。
【0015】
本発明の他の態様によれば、検査装置を用いて被検査物を検査する検査方法であって、該検査装置は、該被検査物を保持する保持テーブルと、撮像素子を含み該保持テーブルで保持された該被検査物を撮像する撮像ユニットと、該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、作業者が該検査装置に指示を入力するための入力インターフェースと、該撮像ユニットで撮像された画像を表示するディスプレイと、プロセッサ及びメモリを有し、該撮像ユニット、該移動ユニット、該入力インターフェース、及び、該ディスプレイを制御するコントローラと、を含み、該検査方法は、該保持テーブルで該被検査物を保持する保持工程と、該移動ユニットで該保持テーブルと該撮像ユニットとを相対的に移動させ、該保持テーブルで保持された該被検査物を該撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像し、複数の画像を得る撮像工程と、該撮像工程で得られた該複数の画像を含む画像データと、該検査装置における基準位置に対する該被検査物の被撮像領域の座標を示す座標データと、を該コントローラが記憶する記憶工程と、該コントローラが、該画像データ及び該座標データに基づいて、該被検査物の全体画像を作成して該ディスプレイに該全体画像を表示させる全体画像表示工程と、該コントローラが、該ディスプレイに表示された該全体画像のうち、該作業者が該入力インターフェースによって指定した指定位置の拡大画像を該ディスプレイに表示させる拡大画像表示工程と、を備える検査方法が提供される。
【0016】
好ましくは、検査方法は、該拡大画像表示工程において該拡大画像が表示されている時間を該コントローラが計測する時間計測工程と、該時間計測工程によって計測された該時間が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、該コントローラが、該座標データのうち該拡大画像が表示された位置を記憶すると共に、該拡大画像が表示された位置を該作業者が検査を実施した検査済位置と判定する検査位置判定工程と、該コントローラが、該全体画像に該検査済位置を表示させる検査済位置表示工程と、を更に備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る検査装置のコントローラは、メモリを有し、このメモリには、
保持テーブルで保持された被検査物を撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像することにより得られた複数の画像を含む画像データと、保持テーブルに対する被検査物の被撮像領域の座標を示す座標データと、が記憶される。
【0018】
コントローラは、全体画像表示部と、拡大画像表示部と、を更に有する。全体画像表示部は、画像データと、座標データと、に基づいて、被検査物の全体画像を作成して該ディスプレイに全体画像を表示させる。また、拡大画像表示部は、ディスプレイに表示された全体画像のうち、作業者が入力インターフェースによって指定された指定位置における拡大画像をディスプレイに表示させる。
【0019】
この様に、画像データと座標データとを記憶することにより、検査装置は、各チップが個片化されてバラバラに配置された後であっても、被検査物の任意の箇所における加工結果を事後的に提供できる。
【0020】
本発明の他の態様に係る検査方法は、撮像工程と、記憶工程と、全体画像表示工程と、拡大画像表示工程と、を備える。撮像工程では、保持テーブルで保持された被検査物を撮像ユニットで単位幅領域ごとにそれぞれ撮像し、複数の画像を得る。
【0021】
記憶工程では、撮像工程で得られた複数の画像を含む画像データと、検査装置における基準位置に対する被検査物の被撮像領域の座標を示す座標データと、をコントローラが記憶する。全体画像表示工程では、コントローラが、画像データ及び座標データに基づいて、被検査物の全体画像を作成して、この全体画像をディスプレイに表示させる。
【0022】
また、拡大画像表示工程では、コントローラが、ディスプレイに表示された全体画像のうち、作業者が該入力インターフェースによって指定された指定位置の拡大画像をディスプレイに表示させる。
【0023】
この様に、記憶工程において画像データと座標データとを記憶することにより、検査装置は、各チップが個片化されてバラバラに配置された後であっても、被検査物の任意の箇所における加工結果を事後的に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(A)は切削前のウェーハを含むフレームユニットの斜視図であり、図1(B)は被検査物を含むフレームユニットの斜視図である。
図2】検査装置の斜視図である。
図3】保持機構の斜視図である。
図4】撮像機構の斜視図である。
図5】画像データ及び座標データを示す模式図である。
図6】検査方法のフロー図である。
図7】保持工程を示す図である。
図8】撮像工程及び記憶工程を示す図である。
図9】全体画像表示工程及び拡大画像表示工程での画面の模式図である。
図10】拡大画像表示工程を経る検査の詳細を示すフロー図である。
図11図9の拡大画像を更に拡大したときの画面の模式図である。
図12】複数の検査済位置が表示された全体画像を示す画面の模式図である。
図13】拡大画像のサムネイルを全体画像に表示させた画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、図1(A)及び図1(B)を参照して、本実施形態において検査の対象となる被検査物31(図1(B)参照)について説明する。
【0026】
図1(A)は、切削前のウェーハ11を含むフレームユニット21の斜視図である。切削前のウェーハ11は、円板状のシリコン(Si)製の単結晶基板を有する。ウェーハ11の直径は、例えば、300mmである。
【0027】
ウェーハ11の表面11a側には、格子状に複数の分割予定ライン(即ち、ストリート)13が設定されている。複数の分割予定ライン13で区画される矩形状の各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15が形成されている。
【0028】
但し、ウェーハ11に形成されるデバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等に制限はない。ウェーハ11には、デバイス15が形成されていなくてもよい。また、ウェーハ11は、シリコン製の単結晶基板に代えて、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等の他の半導体材料で形成された単結晶基板を有してもよい。
【0029】
ウェーハ11に対して切削を施す前には、樹脂製のダイシングテープ17を介してウェーハ11が金属製のリングフレーム19で支持されたフレームユニット21を形成する。ダイシングテープ17は、ウェーハ11よりも大径である。
【0030】
ダイシングテープ17の径方向の中央部には、ウェーハ11の裏面11b側が貼り付けられ、ダイシングテープ17の径方向の外周部には、ウェーハ11よりも大径の開口部を有するリングフレーム19の一面が貼り付けられている。
【0031】
この様にして、ウェーハ11の表面11a側が露出されたフレームユニット21を形成した後、各分割予定ライン13に沿って切削を行うことにより、ウェーハ11を切断する切削溝13aを形成する。これにより、ウェーハ11を複数のデバイスチップ23(図1(B)参照)に分割する。
【0032】
なお、ウェーハ11の表面11a側にダイシングテープ17を貼り付けることで、裏面11b側が露出されたフレームユニット21を形成してもよい。この場合であっても、各分割予定ライン13に沿う切削溝13aを形成し、ウェーハ11を複数のデバイスチップ23に分割できる。
【0033】
本実施形態の被検査物31は、切削ブレード(不図示)により複数のデバイスチップ23に分割された切削後のウェーハ11である。但し、被検査物31は、切削に限定されず、レーザービーム照射工程を経て複数のデバイスチップ23に分割されたレーザー加工後のウェーハ11であってもよい。
【0034】
図1(B)は、被検査物31を含むフレームユニット21の斜視図である。被検査物31の表面31aは、ウェーハ11の表面11aに対応し、被検査物31の裏面31bは、ウェーハ11の裏面11bに対応する。被検査物31において、各デバイスチップ23は、ダイシングテープ17により相対的な位置関係が略固定されている。
【0035】
被検査物31を含むフレームユニット21は、検査装置2(図2参照)へ搬送され検査される。検査装置2は、例えば、加工時にウェーハ11に形成されたチッピングサイズ、カーフ幅等の加工結果を調べる。そこで、図2から図5図7図9及び図12を参照し、検査装置2について説明する。
【0036】
図2は、検査装置2の斜視図である。なお、図2では、検査装置2の構成要素の一部を機能ブロックで示す。図2に示すX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)及びZ軸方向(上下方向、鉛直方向)は、互いに直交する。
【0037】
検査装置2は、検査装置2の構成要素を支持する基台4を備える。基台4は、長辺がX軸方向に沿って配置された矩形状の開口4aを有する。基台4の上面側には、Y軸方向において開口4aを跨ぐ様に、保持機構6が設けられている。
【0038】
ここで、図3を参照して、保持機構6について説明する。図3は、保持機構6の斜視図である。保持機構6は、円板状の保持テーブル8を含む。保持テーブル8は、金属で形成された円筒状の枠体10を有する。つまり、枠体10の径方向の中央部には、貫通開口10a(図7参照)が形成されている。
【0039】
また、枠体10の内周部の上面側には、枠体10の周方向に沿って環状の段差部10bが形成されている(図7参照)。段差部10bには、枠体10の貫通開口10aを塞ぐ様に円板状の透明板12が固定されている。
【0040】
透明板12は、可視光(即ち、360nm以上830nm以下の所定の波長帯域の光)に対してそれぞれ透明なガラス、硬質樹脂等で形成されている。透明板12の上面は、枠体10の上面よりも僅かに下がっている。
【0041】
透明板12の上面及び枠体10の上面は、被検査物31を吸引保持するための保持面8aを構成している。枠体10の径方向において段差部10bよりも外側には、複数の環状溝10c(図7参照)が同心状に形成されている。
【0042】
各環状溝10cは、枠体10の周方向に沿うリング状の溝である。各環状溝10cには、吸引路(不図示)を経て、真空ポンプ等の吸引源(不図示)が接続されている。
【0043】
枠体10の径方向において最も内側に位置する環状溝10cの内径は、被検査物31の外径よりも大きい。また、枠体10の径方向において最も外側に位置する環状溝10cの外径は、リングフレーム19の内径よりも小さい。
【0044】
フレームユニット21は、検査装置2の近傍に配置された所定の位置合わせ機構(不図示)により位置が調整された上で、保持テーブル8へ搬送される。このとき、被検査物31が透明板12の略中央に位置する様に、フレームユニット21は保持テーブル8上に配置される。
【0045】
次いで、各環状溝10cに負圧を伝達させると、ダイシングテープ17が複数の環状溝10cで吸引保持される。これにより、ダイシングテープ17を介して、被検査物31の裏面31b側が保持面8aで吸引保持される。
【0046】
なお、保持面8aでの吸引保持後に、フレームユニット21を保持面8aから搬出する際に、ダイシングテープ17が保持面8aから剥離しやすくなる様に、保持面8aをフッ素樹脂でコーティングしてもよい。
【0047】
図3に示す様に、保持テーブル8のY軸方向の両側は、Y軸方向に沿う長手部を有する梁状の支持構造14a,14bで支持されている。支持構造14a,14bの先端部は、枠体10の外周側面に固定されている。
【0048】
支持構造14aの基端部は、移動板16aの上面に固定され、支持構造14bの基端部は、移動板16bの上面に固定されている。この様に、保持テーブル8は、支持構造14a,14bを介して移動板16a,16bで支持されている。
【0049】
移動板16a,16bの底面側には、長手方向がX軸方向に沿って配置されたガイドレール18a,18bが設けられている。ガイドレール18a,18bは、基台4の上面に固定されている。
【0050】
移動板16a,16bは、ガイドレール18a,18bに対してX軸方向に沿ってスライド可能に固定されている。移動板16aにはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、長手部がX軸方向に略平行に配置されたねじ軸20が回転可能に固定されている。
【0051】
ねじ軸20の一端部には、ステッピングモータ等のモータ22が連結されている。モータ22でねじ軸20を回転させると、移動板16a,16bと共に保持機構6がX軸方向に沿って移動する。
【0052】
この様に、支持構造14a,14b、移動板16a,16b、ガイドレール18a,18b、ねじ軸20、モータ22等は、保持テーブル8をX軸方向に沿って移動させるX軸方向移動機構24を構成する。
【0053】
保持テーブル8は、X軸方向移動機構24により、開口4aの前方側(X軸方向の一方側)に位置する搬入搬出領域A1と、開口4aの後方側(X軸方向のた方側)に位置する検査実行領域A2と、の間で移動できる。
【0054】
ここで、図2に戻る。検査実行領域A2には、撮像機構26が設けられている。撮像機構26は、門型の支持構造28により、Y軸方向に沿って移動可能に支持されている。支持構造28は、Y軸方向において開口4aを跨ぐ様に設けられている。
【0055】
支持構造28は、保持機構6よりも上方に配置された板状の水平部と、Y軸方向において保持機構6の外側に配置された各々ブロック状の一対の立設部と、を含み、保持機構6と干渉しない様に設けられている。それゆえ、保持機構6は、支持構造28の直下をX軸方向に沿って移動できる。
【0056】
支持構造28の水平部の上面には、Y軸方向に沿って配置された一対のガイドレール30が設けられている。一対のガイドレール30上には、移動板32がY軸方向に沿ってスライド可能に支持されている。
【0057】
移動板32の底面側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部には、Y軸方向に沿って略平行に配置されたねじ軸34が回転可能に固定されている。ねじ軸34の一端部には、ステッピングモータ等のモータ36が連結されている。
【0058】
モータ36でねじ軸34を回転させると、移動板32は、撮像機構26と共にY軸方向に沿って移動する。一対のガイドレール30、移動板32、ねじ軸34、モータ36等は、撮像機構26をY軸方向に沿って移動させるY軸方向移動機構38を構成する。
【0059】
X軸方向移動機構24及びY軸方向移動機構38は、保持テーブル8と、撮像ユニット54(詳細は後述する)と、を相対的に移動させる移動ユニット40を構成する。ここで、図4を参照し、撮像機構26について説明する。
【0060】
図4は、撮像機構26の斜視図である。撮像機構26は、移動板32に固定された移動ブロック42を有する。移動ブロック42は、直方体状の上方移動ブロック42aを有する。上方移動ブロック42aは、その底面が移動板32で支持されている。
【0061】
上方移動ブロック42aの前方側面には、Z軸方向に沿って配置された一対のガイドレール44aが固定されている。一対のガイドレール44aには、移動板46aがZ軸方向に沿ってスライド可能に固定されている。
【0062】
移動板46aの後方側面には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部には、Z軸方向に略平行に配置されたねじ軸48aが回転可能に固定されている。ねじ軸48aの上端部にはステッピングモータ等のモータ50aが連結されている。
【0063】
モータ50aでねじ軸48aを回転させると、移動板46aがZ軸方向に沿って移動する。一対のガイドレール44a、移動板46a、ねじ軸48a、モータ50a等は、上方Z軸方向移動機構52aを構成する。
【0064】
移動板46aの前方側面には、上方撮像ユニット54aが固定されている。上方撮像ユニット54aは、顕微鏡カメラユニットであり、集光レンズ(不図示)、撮像素子56a等を含むラインセンサカメラ(ラインスキャンカメラとも称される)を有する。
【0065】
撮像素子56aは、所定方向(例えば、Y軸方向)に沿って一次元的に配列された複数の光電変換素子(不図示)を有する。なお、上方撮像ユニット54aは、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子(不図示)を含む。発光素子は、下方に向かって所定の波長帯域の光を放ち、この光は撮像時の照明として利用される。
【0066】
上方撮像ユニット54aの集光レンズの光軸は、Z軸方向と略平行に配置されている。上方撮像ユニット54aは、保持テーブル8よりも上方(即ち、透明板12よりも上方)に配置されており、保持面8aで吸引保持された被検査物31の上面側(例えば、表面31a側)を、例えば可視光帯域の光で撮像する。
【0067】
上方移動ブロック42aは、連結ブロック42bを介して直方体状の下方移動ブロック42cに固定されている。下方移動ブロック42cの前方側面には、一対のガイドレール44b、移動板46b、ねじ軸48b、モータ50b等を含む下方Z軸方向移動機構52bが設けられている。
【0068】
下方Z軸方向移動機構52bは、上下が反転している以外は上方Z軸方向移動機構52aと略同じ構造を有し、上方Z軸方向移動機構52と同様に、顕微鏡カメラユニットの焦点位置合わせに利用される。それゆえ、詳細な説明を省略する。
【0069】
移動板46bの前方側面には、下方撮像ユニット54bが固定されている。下方撮像ユニット54bは、顕微鏡カメラユニットであり、集光レンズ(不図示)、撮像素子56b等を含むラインセンサカメラを有する。撮像素子56bは、撮像素子56と同様に、所定方向に沿って一次元的に配列された複数の光電変換素子(不図示)を有する。
【0070】
下方撮像ユニット54bは、撮像時の照明として利用されるLED等の発光素子(不図示)を含む。但し、発光素子は、上方に向かって所定の波長帯域の光を放つ。下方撮像ユニット54bの集光レンズの光軸は、Z軸方向と略平行に配置されている。
【0071】
下方撮像ユニット54bは、透明板12よりも下方に配置されており、保持面8aで吸引保持された被検査物31の下面側(裏面31b側)を、透明板12を介して可視光帯域の光で撮像する。
【0072】
本実施形態の上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bは、保持面8aで吸引保持された被検査物31の上下両面側を撮像する撮像ユニット54を構成する。撮像ユニット54は、表面31a側及び裏面31b側の両方において、被検査物31に形成されているチッピングサイズ、カーフ幅等を検査できる。
【0073】
撮像時には、まず、上方撮像ユニット54aの集光点を被検査物31の表面31aに位置付けると共に、下方撮像ユニット54bの集光点を被検査物31の裏面31bに位置付ける。この状態で、保持テーブル8をX軸方向に沿って例えば前方から後方へ移動させることで、X軸方向に沿うリボン状の領域を撮像する。
【0074】
例えば、当該リボン状の領域のY軸方向における長さは2.0mmであり、X軸方向に沿う被検査物31の一端から他端までを撮像して1ライン分の画像を得た後、撮像ユニット54をY軸方向に沿って2.0mmだけ割り出し送りすると共に、保持テーブル8を後方から前方へ移動させる。
【0075】
その後、同様に、保持テーブル8をX軸方向に沿って前方から後方へ移動させて、X軸方向に沿う被検査物31の一端から他端までを撮像して1ライン分の画像を得る。この様にして、表面31a側及び裏面31b側の全体を撮像する。
【0076】
特に、上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bをラインセンサカメラとすることにより、エリアセンサカメラとする場合に比べて、表面31a側及び裏面31b側の凹凸を高い精度で検知できる。
【0077】
なお、撮像ユニット54は、下方撮像ユニット54bを有さずに上方撮像ユニット54aを有してもよく、上方撮像ユニット54aを有さずに下方撮像ユニット54bを有してもよい。
【0078】
また、一組の上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bに代えて、保持テーブル8の上方にそれぞれ配置された第1上方撮像ユニット及び第2上方撮像ユニット(いずれも不図示)を有してもよい。
【0079】
この場合、第1上方撮像ユニットが可視光で被検査物31の上面側を撮像し、第2上方撮像ユニットが被検査物31を透過可能な波長帯域の光(例えば、赤外光)で被検査物31の下面側を撮像する。
【0080】
それゆえ、この場合には、保持テーブル8の透明板12は、可視光に対して透明でなくてもよく、赤外光が透過可能な材料で形成されればよい。但し、上述の様に、第1上方撮像ユニット及び第2上方撮像ユニットは、ラインセンサカメラである方が好ましい。
【0081】
なお、一組の上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bに代えて、保持テーブル8の下方にそれぞれ配置された第1下方撮像ユニット及び第2下方撮像ユニット(いずれも不図示)を有してもよい。
【0082】
この場合、第1下方撮像ユニットが可視光で被検査物31の下面側を撮像し、第2下方撮像ユニットが被検査物31を透過可能な波長帯域の光(例えば、赤外光)で被検査物31の上面側を撮像する。上述の様に、第1下方撮像ユニット及び第2下方撮像ユニットは、ラインセンサカメラである方が好ましい。
【0083】
ここで、再び図2に戻り、検査装置2の他の構成要素について説明する。上述の保持機構6、撮像機構26、X軸方向移動機構24、Y軸方向移動機構38等は、破線で示す筐体に覆われている。
【0084】
筐体の前方側面には、タッチパネル60が設けられている。タッチパネル60は、作業者が検査装置2に指示を入力するための入力インターフェース(即ち、入力装置)、及び、撮像ユニット54で撮像された画像を表示するディスプレイ(即ち、表示装置)として機能する。
【0085】
但し、タッチパネル60に代えて、キーボード、マウス、ジョイスティック等の入力専用装置により入力インターフェースを構成してもよく、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示専用装置によりディスプレイを構成してもよい。
【0086】
検査装置2は、コントローラ62を有する。コントローラ62は、上述の保持テーブル8へ負圧を作用させるための吸引源、移動ユニット40、撮像ユニット54、タッチパネル60等の検査装置2の構成要素の動作を制御する。
【0087】
コントローラ62は、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)64と、メモリ(記憶装置)66と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0088】
メモリ66は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含む。
【0089】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、コントローラ62の機能が実現される。
【0090】
補助記憶装置には、画像処理等を行う第1のプログラムが記憶されており、第1のプログラムをプロセッサで実行することにより、コントローラ62の一部は全体画像表示部62aとして機能する。
【0091】
全体画像表示部62aは、被検査物31の全体画像70を作成して、タッチパネル60の全体画像表示領域70aに全体画像70を表示させる(図9参照)。この全体画像70は、図5に示す様に、メモリ66にそれぞれ記憶された画像データ72及び座標データ74に基づいて、コントローラ62により画像処理を経て作成される。
【0092】
図5は、画像データ72及び座標データ74を示す模式図である。画像データ72は、上述の様に、移動ユニット40で保持テーブル8と撮像ユニット54とを相対的にX軸方向及びY軸方向に沿って移動させ、保持テーブル8で吸引保持された被検査物31を撮像ユニット54で単位幅領域72aごとにそれぞれ撮像することにより得られる。
【0093】
単位幅領域72aは、図5において破線で示す様に、Y軸方向に沿う短辺とX軸方向に沿う長辺とを有するリボン状の領域である。複数の単位幅領域72aは、例えば、Y軸方向に沿って隙間ができない様に設定される。
【0094】
本実施形態において、単位幅領域72aのX軸方向の長さは、Y軸方向に沿って表面31a(及び裏面31b)の中心位置31cに近づくほど長くなるが、Y軸方向の位置によらず同じであってもよい。
【0095】
撮像ユニット54は、1つの単位幅領域72aに対応して1つの画像72bを得る。複数の単位幅領域72aの各々に対応して1つの画像72bを得ることで、被検査物31の表面31a側及び裏面31b側のそれぞれについて複数の画像72bを含む画像データ72が得られる。
【0096】
また、本実施形態のコントローラ62は、撮像ユニット54で被検査物31を撮像する際に、保持テーブル8に対する被検査物31の被撮像領域の座標を示す座標データ74を把握して記憶する。
【0097】
なお、図5では、コントローラ62が座標データ74を把握していることを、矢印で簡略化して示す。また、図5では、見やすさを考慮して、複数の単位幅領域72aを省略し、ドットを付している。
【0098】
コントローラ62が座標データ74を把握する際には、コントローラ62は、保持面8aの中心位置8bを原点とした画像72bのXY座標を把握する。つまり、中心位置8bが、検査装置2における座標系の基準位置となる。
【0099】
図5では、被検査物31の表面31aの中心位置31cが、保持面8aの中心位置8bと一致しているが、両者は必ずしも一致していなくてもよく、ずれていてもよい。要は、検査装置2が各画像72bのXY座標を特定できさえすればよい。
【0100】
コントローラ62は、上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bの位置に基づいて、1つの画像72bにおける任意の位置の座標を算出できる。
【0101】
例えば、コントローラ62は、まず、上方撮像ユニット54a(即ち、ラインセンサカメラ)の視野のY軸方向の中心位置が、保持面8aの中心位置8bに一致したときにおける、保持テーブル8のX軸方向の初期位置と、上方撮像ユニット54aのY軸方向の初期位置と、を記憶しておく。
【0102】
その後、保持テーブル8と、上方撮像ユニット54aとが、相対的に移動したときには、コントローラ62は、X軸方向及びY軸方向の各初期位置からの移動量に基づいて、1つの画像72bにおける任意の位置の座標を把握できる。なお、下方撮像ユニット54bについても同様にして、1つの画像72bにおける任意の位置の座標が、コントローラ62により把握される。
【0103】
全体画像表示部62aは、既知の画像処理技術に基づいて、例えば、オリジナルの各画像72bを配置することにより表面31a側を示す1つの画像を作成し、次いで、この画像のサイズを縮小することにより、表面31a側の全体画像70(即ち、上側全体画像)を作成する。
【0104】
同様に、全体画像表示部62aは、既知の画像処理技術に基づいて、例えば、オリジナルの各画像72bを配置することにより裏面31b側を示す1つの画像を作成し、次いで、この画像のサイズを縮小することにより、裏面31b側の全体画像70(即ち、下側全体画像)を作成する。
【0105】
また、全体画像表示部62aは、上方撮像ユニット54aで撮像された表面31a側の全体画像70と、下方撮像ユニット54bで撮像された裏面31b側の全体画像70と、のいずれかを選択的にタッチパネル60に表示可能である。
【0106】
補助記憶装置には、画像処理等を行う第2のプログラムが記憶されており、第2のプログラムをプロセッサで実行することにより、コントローラ62の一部は拡大画像表示部62bとして機能する。
【0107】
拡大画像表示部62bは、タッチパネル60に表示された全体画像70のうち、作業者がタッチパネル60の全体画像70の一部に触れることによって指定した指定位置70bの拡大画像76を、タッチパネル60の拡大画像表示領域76aに表示させる(図9参照)。なお、図9では指定位置70bを太線の四角枠で示すが、この四角枠内の中心の位置が指定位置70bとして取り扱われる。
【0108】
拡大画像表示領域76aの近傍には、拡大画像76を拡大表示するためのプラスボタン76bと、拡大画像76を縮小表示するためのマイナスボタン76cと、が表示されており、作業者は、プラスボタン76b及びマイナスボタン76cにより拡大画像76を自在に拡大縮小できる。
【0109】
例えば、最も拡大された拡大画像76としては、X軸方向に500μm且つY軸方向に500μmのサイズを有する矩形領域が表示される。また、最も縮小された拡大画像76としては、全体画像70よりも所定倍率だけ拡大された矩形領域が表示される。
【0110】
拡大画像表示領域76aに表示される拡大画像76は、最も拡大された画像と、最も縮小された画像と、を含め、例えば、10段階のスケールで段階的に拡大(又は縮小)して表示される。
【0111】
また、拡大画像表示部62bは、タッチパネル60に表示されている全体画像70に応じて、上方撮像ユニット54aで撮像された表面31a側の拡大画像76(即ち、上側拡大画像)と、下方撮像ユニット54bで撮像された裏面31b側の拡大画像76(即ち、下側拡大画像)と、のいずれかを選択的に表示可能である。
【0112】
補助記憶装置には、時間を測定するための第3のプログラムが記憶されており、第3のプログラムをプロセッサで実行することにより、コントローラ62の一部は時間計測部62cとして機能する。
【0113】
時間計測部62cは、コントローラ62に内蔵されているシステムクロック、リアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)等を利用して、拡大画像表示部62bによって拡大画像表示領域76aに拡大画像76が表示されている時間を計測する。
【0114】
時間計測部62cは、計測した時間が予め定められた所定の閾値(例えば、1秒、2秒等)を超えた場合、その旨を検査位置判定部62dに通知する。なお、所定の閾値は、タッチパネル60を介して作業者が予め任意の値に調整可能である。
【0115】
補助記憶装置には、所定の判定を行うための第4のプログラムが記憶されており、第4のプログラムをプロセッサで実行することにより、コントローラ62の一部は検査位置判定部62dとして機能する。
【0116】
検査位置判定部62dは、時間計測部62cが計測した時間が所定の閾値を超えると、座標データ74のうち拡大画像76が表示された位置を記憶すると共に、拡大画像76が表示された位置を、作業者が検査を実施した検査済位置78(図12参照)と判定する。
【0117】
補助記憶装置には、全体画像70に1以上の検査済位置78を表示するための第5のプログラムが記憶されており、第5のプログラムをプロセッサで実行することにより、コントローラ62の一部は検査済位置表示部62eとして機能する。
【0118】
検査済位置表示部62eは、図12に示す様に、全体画像70に1以上の検査済位置78を表示させる。検査済位置表示部62eは、検査済位置78の時系列が分かる様に、全体画像70に検査済位置78を表示させる。
【0119】
検査済位置78を記録することで、被検査物31のどこを作業者が検査したのかについて証拠を残すことができる。また、他の被検査物31について略同じ位置を観察して、加工結果の差異を比較する場合にも検査済位置78を利用できる。
【0120】
図12に示す全体画像70において、各検査済位置78には、視認性を向上させるために所定径の円が付されている。検査済位置78は、厳密には、この円の中心位置である。また、検査済位置78を示す円の近傍には、アルファベットと、三桁の数字と、が付されている。
【0121】
本実施形態において、アルファベットは、作業者を特定するための情報であり、例えば、検査装置2を起動させてログインした作業者の名前等に関連した情報である。三桁の数字は、検査を行った順序を示す情報である。更に、検査済位置78は、三桁の数字が昇順に配置される様に、矢印でつながれている。
【0122】
しかし、三桁の数字及び矢印の両方が必須ではなく、検査を行った順序が分かれば、どちらか一方のみが表示されてもよい。また、アルファベット、三桁の数字及び矢印のうち、一種類のみ又は二種類が表示されてもよい。
【0123】
なお、アルファベットに代えて、他の文字、記号、数字等を付してもよし、三桁の数字に代えて、二桁又は四桁以上の数字としてもよい。検査を行った順序が分かるのであれば、数字に代えて、文字、記号等を用いてもよい。
【0124】
検査済位置78に作業者を特定するための情報を付加することで、検査を行った作業者を事後的に特定できる。また、検査には作業者の技量が反映されるので、高い技量を有する作業者の検査済位置78の時系列を残すことにより、低い技量の作業者が検査を行う際の学習材料を提供できる。
【0125】
本実施形態では、検査装置2のメモリ66に、画像データ72及び座標データ74が記憶されているので、各デバイスチップ23が個片化されてバラバラに配置された後であっても、被検査物31の任意の箇所における加工結果を事後的に提供できる。
【0126】
次に、図6から図12を参照し、検査装置2を用いた被検査物31の検査方法について説明する。図6は、検査方法のフロー図である。この検査方法では、まず、保持テーブル8を搬入搬出領域A1へ移動させ、保持面8a上にフレームユニット21を搬送する。
【0127】
そして、保持面8aでダイシングテープ17を吸引保持することにより、被検査物31の裏面31b側を保持テーブル8で吸引保持する(保持工程S10)。図7は、保持工程S10を示す図である。
【0128】
保持工程S10の後、保持テーブル8を検査実行領域A2へ移動させ、撮像工程S20及び記憶工程S30を行う。図8は、撮像工程S20及び記憶工程S30を示す図である。
【0129】
撮像工程S20及び記憶工程S30では、保持テーブル8と、撮像ユニット54と、を移動ユニット40(即ち、X軸方向移動機構24及びY軸方向移動機構38)で移動させながら単位幅領域72a毎に撮像ユニット54で被検査物31を撮像する。
【0130】
具体的には、まず、撮像ユニット54の集光点を被検査物31のY軸方向の一端部に配置した上で、保持テーブル8をX軸方向に沿って前方から後方へ矢印8cに沿って所定速度(例えば、70mm/s)で移動させる。
【0131】
なお、このとき、上方撮像ユニット54aの集光点は表面31aに配置され、下方撮像ユニット54bの集光点は裏面31bに配置される。この様にして、1つ目の単位幅領域72aを上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bで撮像し、表面31a側及び裏面31b側について単位幅領域72aの画像72bを得る。
【0132】
1つ目の画像72b(即ち、X軸方向に沿う被検査物31の一端から他端までにおける1ライン分の画像72b)を得ると共に、コントローラ62は、この1つ目の画像72bと、被撮像領域(即ち、上述の単位幅領域72a)の座標を示す座標データ74と、を記憶する。
【0133】
次いで、撮像ユニット54をY軸方向に沿って2.0mmだけ割り出し送りすると共に(上方撮像ユニット54a及び下方撮像ユニット54bの右向矢印を参照)、撮像時に比べて10倍以上の高速(例えば、1000mm/s)で保持テーブル8を後方から前方へ移動させる。
【0134】
その後、同様に、保持テーブル8をX軸方向に沿って前方から後方へ所定速度で移動させることで(矢印8c参照)、X軸方向に沿う被検査物31の一端から他端までを撮像して、2つ目の単位幅領域72aの画像72bを得る。
【0135】
2つ目の画像72bを得ると共に、コントローラ62は、この2つ目の画像72bと、被撮像領域(即ち、単位幅領域72a)の座標を示す座標データ74と、を記憶する。以降、同様にして、被検査物31のY軸方向の他端部に位置する単位幅領域72aまで、撮像及び記憶を繰り返す。
【0136】
これにより、表面31a側及び裏面31b側のそれぞれの全体画像70を構成可能な複数の画像72bを含む画像データ72を得る(撮像工程S20)と共に、画像データ72と、各画像72bが得られた被撮像領域の座標を示す座標データ74と、をコントローラ62がメモリ66の補助記憶領域に記憶する(記憶工程S30)。
【0137】
本実施形態において、検査装置2のメモリ66には、画像データ72及び座標データ74が記憶されているので、各デバイスチップ23が個片化されてバラバラに配置された後であっても、被検査物31の任意の箇所における加工結果を事後的に提供できる。
【0138】
なお、図6では、撮像工程S20が記憶工程S30よりも先に開始されることを示しており、撮像工程S20の終了後に記憶工程S30が開始されることを必ずしも意味しない。本実施形態では、1つの単位幅領域72a毎に撮像と記憶とを行うので、撮像工程S20と、記憶工程S30とは、並列して行われる時間帯がある。
【0139】
撮像工程S20及び記憶工程S30の終了後、全体画像表示部62aが、画像データ72及び座標データ74に基づいて被検査物31の全体画像70を作成して、図9の右側に示す様に、タッチパネル60に全体画像70を表示させる(全体画像表示工程S40)。
【0140】
図6に示す様に、作業者により全体画像70の一部が指定されていない場合(S50でNO)、タッチパネル60には全体画像70の表示が継続され、拡大画像表示領域76aに拡大画像76は表示されない。
【0141】
これに対して、タッチパネル60に表示された全体画像70のうち、作業者がタッチパネル60の全体画像70に接触することにより全体画像70の一部が指定された場合(S50でYES)、拡大画像表示部62bは、指定位置70bの拡大画像76をタッチパネル60に表示させる(拡大画像表示工程S60)。
【0142】
図9は、全体画像表示工程S40及び拡大画像表示工程S60でのタッチパネル60の画面の模式図である。なお、図9では、表面31a側の全体画像70が右側に、表面31a側の拡大画像76が左側に、それぞれ表示されている。また、図9において、紙面横方向はY軸方向に対応し、紙面縦方向はX軸方向に対応する。
【0143】
作業者の検査を助けるために、コントローラ62が、表示される拡大画像76に対して画像処理を施すことでチッピングサイズ及びカーフ幅を自動的に測定し、チッピングサイズ及びカーフ幅の最大値、最小値等をタッチパネル60に表示させてもよい。
【0144】
作業者は、位置の特定に利用するための全体画像70と、詳細な検査に利用するための拡大画像76と、に基づいて、被検査物31の任意の位置を詳細に検査できる。図10は、拡大画像表示工程S60を経る検査の詳細を示すフロー図である。
【0145】
拡大画像表示工程S60において拡大画像76が表示されている時間は、時間計測部62cが計測する(時間計測工程S70)。時間計測部62cは、一の指定位置70bでの拡大画像76の表示が開始されている間、この拡大画像76が表示されている時間を計測する。
【0146】
上述の様に、プラスボタン76b又はマイナスボタン76cを利用して、拡大画像76を拡大又は縮小できる。作業者は、切削溝13aの縁部におけるチッピングサイズや、カーフ幅等が予め定められた許容範囲内であるか否かを、それぞれ表示されている数値、画像等に基づいて検査する。
【0147】
図11は、プラスボタン76bを押下することにより、図9の拡大画像76を更に拡大したときの画面の模式図である。図11の拡大画像76において、切削溝13aの幅は例えば100μmである。この様に、作業者は、拡大画像76において、極細の切削溝13a及びその近傍を観察できる。
【0148】
作業者は、タッチパネル60の表示画面内の所定ボタン80を押下することにより、画面内にキーボードを表示させて、検査済位置78に関連付けてメモを入力してもよい。また、このメモに関連付けられた検査済位置78の近傍には、メモの存在を示すチェックマーク等の所定のアイコンが表示されてもよい。
【0149】
最初に指定した指定位置70bでの拡大画像76の表示が継続されている場合、この指定位置70bでの拡大画像76の表示時間が予め設定された予め定められた所定の閾値を超えたか否かを、検査位置判定部62dが判定する。
【0150】
本実施形態では、指定位置70bでの拡大画像76が拡大された場合であっても、縮小された場合であっても、拡大画像76が表示されたタイミングを始点として、時間計測部62cによる時間計測が継続して行われる。
【0151】
時間計測工程S70によって計測された表示時間が閾値を超えていない場合(S80でNO)、S90へ進む。しかし、表示時間が閾値を超えた場合に(S80でYES)、検査位置判定部62dは、座標データ74のうち拡大画像76が表示された位置を記憶すると共に、その拡大画像76が表示された位置を作業者が検査を実施した検査済位置78と判定する(検査位置判定工程S100)。
【0152】
検査位置判定部62dにより検査済位置78と判定された後、検査済位置表示部62eが、全体画像70に検査済位置78を表示させる(検査済位置表示工程S110)。この様にして、図12にA001で示す検査済位置78が全体画像70に表示される。
【0153】
フローは、S110の後、S90へ進む。作業者は、通常、被検査物31の1箇所だけではなく複数個所を検査する。例えば、作業者は、最初に指定した指定位置70bとは異なる他の一部を全体画像70において新たに指定する(即ち、S90でYES)。
【0154】
S90でYESの場合、フローはS70に戻り、時間計測部62cは、時間の計測を一旦リセットして、時間の計測をゼロから再開する。また、最初に指定した指定位置70bとは異なる指定位置70bでの拡大画像76についても、S70、S80、S100及びS110が順次行われる。
【0155】
そして、拡大画像76が表示されている時間が閾値を超えた場合、最初に指定した指定位置70bとは異なる他の一部での指定位置70bが、検査済位置78として全体画像表示領域70aに追加される。例えば、図12にA002で示す検査済位置78が、全体画像70に追加される。
【0156】
図12は、複数の検査済位置78が表示された全体画像70を示すタッチパネル60の画面の模式図である。なお、図12では、全体画像70以外の領域に指定位置70bがあるので、拡大画像表示領域76aには拡大画像76が表示されていない。しかし、拡大画像表示領域76aには、例えば、最も直近に表示された拡大画像76が表示されてもよい。
【0157】
ところで、図10に示すフローにおいて、最初に指定した指定位置70bでの拡大画像76に関してS90でNOであり、且つ、全体画像70及び拡大画像76の表示をタッチパネル60において継続しない場合(S120でNO)、フローは終了する。
【0158】
例えば、作業者がタッチパネル60の表示モードを、撮像条件の設定画面等の他の画面表示に切り替える場合、このフローは終了する。しかし、全体画像70及び拡大画像76を表示させるタッチパネル60の表示モードを継続する場合(例えば、オペレータが検査を行っている最中である場合)、S120でYESとなり、S80に戻る。
【0159】
本実施形態では、検査装置2のメモリ66には、画像データ72及び座標データ74が記憶されているので、各デバイスチップ23が個片化されてバラバラに配置された後であっても、被検査物31の任意の箇所における加工結果を事後的に提供できる。
【0160】
(第2の実施形態)次に、図13を参照して第2の実施形態について説明する。図13は、拡大画像76のサムネイル76dを全体画像70に表示させたタッチパネル60の画面の模式図である。第2の実施形態では、全体画像70にサムネイル76dをさせる点が第1の実施形態と異なる。
【0161】
第2の実施形態では、検査済位置表示部62eが、全体画像70に検査済位置78を表示させると共に、検査済位置78に応じた拡大画像76のサムネイル76dをそれぞれの検査済位置78と関連付けて全体画像70に表示させる。サムネイル76dは、コントローラ62(例えば、検査済位置表示部62e)により自動的に生成される。
【0162】
なお、1つの指定位置70bにおいて異なる拡大倍率で複数の拡大画像76が拡大画像表示領域76aに表示された場合において、2つ以上の拡大画像76のそれぞれの表示時間が閾値を超えた場合、検査済位置表示部62eは、当該2つ以上の拡大画像76に対応するサムネイル76dを重ねる様に全体画像70に表示させる。
【0163】
例えば、検査済位置表示部62eは、2以上のサムネイル76dの各々の上縁及び左縁が重ならない様に、2以上のサムネイル76dを重ねて表示させる。但し、2以上のサムネイル76dを重ねる際の配置は、この例に限定されない。
【0164】
検査済位置表示部62eは、重ねて表示される2以上のサムネイル76dのうち、拡大倍率が最も大きい拡大画像76に対応するサムネイル76dを最も前面に配置し、拡大倍率が最も小さい拡大画像76に対応するサムネイル76dを最も背面に配置してもよい。
【0165】
また、検査済位置表示部62eは、重ねて表示される2以上のサムネイル76dのうち、表示時間が最も長かった拡大画像76に対応するサムネイル76dを最も前面に配置し、表示時間が最も短かった拡大画像76に対応するサムネイル76dを最も背面に配置してもよい。
【0166】
更に、表示時間が閾値を超えた拡大画像76のうち、表示時間がこの閾値よりも長い時間である所定時間(例えば、60秒)を超えた拡大画像76について、コントローラ62は、検査に時間を要した位置であることを意味するアイコン等をポップアップによりサムネイル76dの近傍に表示させてもよい。
【0167】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。検査装置2は、独立した1つの装置であってよく、切削装置やレーザー加工装置(いずれも不図示)に組み込まれたものであってもよい。
【0168】
検査装置2には、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、LAN(Local Area Network)等のポートを設けることもできるし、Wi-Fi等の無線通信機能を搭載することもできる。
【0169】
有線、無線等を介して、画像データ72、座標データ74、検査済位置78等の情報を、検査装置2のメモリ66からPC(Personal Computer)等のコンピュータやサーバへ出力すれば(即ち、エクスポート)、PC等のディスプレイ上で、全体画像70、拡大画像76、検査済位置78付き全体画像70等を表示できる。
【0170】
これにより、検査装置2のみではなくコンピュータ等においても、被検査物31の任意の箇所の加工結果を事後的に確認できる。また、検査装置2には、他の被検査物31の画像データ72、座標データ74、検査済位置78等の情報を取り込めば(即ち、インポート)、検査装置2で全体画像70等を表示することもできる。
【0171】
画像データ72、座標データ74、検査済位置78等の情報を1つのファイルとし、このファイルに作業者名、検査を行った日付等を紐付けて、メモリ66に記憶してもよい。これにより、検査結果の管理、検索等が容易になる。
【符号の説明】
【0172】
2:検査装置、4:基台、4a:開口、6:保持機構
8:保持テーブル、8a:保持面、8b:中心位置(基準位置)、8c:矢印
10:枠体、10a:貫通開口、10b:段差部、10c:環状溝、12:透明板
11:ウェーハ、11a:表面、11b:裏面
13:分割予定ライン、13a:切削溝、15:デバイス、17:ダイシングテープ
14a,14b:支持構造、16a,16b:移動板、18a,18b:ガイドレール
19:リングフレーム、21:フレームユニット、23:デバイスチップ
20:ねじ軸、22:モータ、24:X軸方向移動機構、26:撮像機構
28:支持構造、30:ガイドレール、32:移動板、34:ねじ軸、36:モータ
31:被検査物、31a:表面、31b:裏面、31c:中心位置
38:Y軸方向移動機構、40:移動ユニット、42:移動ブロック
42a:上方移動ブロック、42b:連結ブロック、42c:下方移動ブロック
44a,44b:ガイドレール、46a,46b:移動板
48a,48b:ねじ軸、50a,50b:モータ
52a:上方Z軸方向移動機構、52b:下方Z軸方向移動機構
54:撮像ユニット、54a:上方撮像ユニット、54b:下方撮像ユニット
56a,56b:撮像素子
60:タッチパネル
62:コントローラ、62a:全体画像表示部、62b:拡大画像表示部
62c:時間計測部、62d:検査位置判定部、62e:検査済位置表示部
64:プロセッサ、66:メモリ
70:全体画像、70a:全体画像表示領域、70b:指定位置
72:画像データ、72a:単位幅領域、72b:画像
74:座標データ
76:拡大画像、76a:拡大画像表示領域
76b:プラスボタン、76c:マイナスボタン、76d:サムネイル
78:検査済位置、80:所定ボタン
A1:搬入搬出領域、A2:検査実行領域
S10:保持工程、S20:撮像工程、S30:記憶工程、S40:全体画像表示工程
S60:拡大画像表示工程、S70:時間計測工程、S100:検査位置判定工程
S110:検査済位置表示工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13