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特開2024-112157高選択性を特徴とする酸化カップリング触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112157
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】高選択性を特徴とする酸化カップリング触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/10 20060101AFI20240813BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20240813BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20240813BHJP
   B01J 23/02 20060101ALI20240813BHJP
   B01J 23/04 20060101ALI20240813BHJP
   B01J 23/22 20060101ALI20240813BHJP
   C07C 9/06 20060101ALI20240813BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20240813BHJP
   C07C 2/76 20060101ALI20240813BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240813BHJP
【FI】
B01J23/10 M
B01J23/28 M
B01J23/30 M
B01J23/02 M
B01J23/04 M
B01J23/22 M
C07C9/06
C07C11/04
C07C2/76
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017044
(22)【出願日】2023-02-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「ハイスループット実験による触媒評価システムの開発とデータ集積/ハイスループット計算によるデータ集積とデータ科学による触媒設計」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】谷池 俊明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中野渡 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤原 綾
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA06A
4G169BA06B
4G169BA47A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC01A
4G169BC02A
4G169BC02B
4G169BC03A
4G169BC03B
4G169BC04B
4G169BC06A
4G169BC06B
4G169BC08A
4G169BC09A
4G169BC09B
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC12A
4G169BC12B
4G169BC13A
4G169BC13B
4G169BC35A
4G169BC38A
4G169BC40A
4G169BC41A
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC44A
4G169BC44B
4G169BC49A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC52B
4G169BC53A
4G169BC57A
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BC61A
4G169BC65A
4G169BC66A
4G169BC68A
4G169BC69A
4G169CB07
4G169CB25
4G169CB46
4G169CB62
4G169CC21
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EC02Y
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB30
4G169FB57
4G169FC08
4H006AA02
4H006AC23
4H006BA06
4H006BA08
4H006BA10
4H006BA30
4H006BE30
4H039CA11
4H039CD10
(57)【要約】
【課題】新規で高性能のOCM触媒の開発。
【解決手段】金属元素M1,M2を含む触媒成分(1)と金属元素M3の酸化物である担体(2)とを含む複合金属酸化物からなるOCM触媒。好ましくは、元素M1は元素周期表の第1族、第2族、第3族、ランタノイド族から選ばれる少なくとも1種、元素M2は元素周期表の第4~8族から選ばれる少なくとも1種、元素M3は、アルカリ土類金属である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒成分(1)と担体(2)とを含む複合金属酸化物からなり、
触媒成分(1)が金属元素M1と金属元素M2を含み、
金属元素M1は、その酸化物がアルカリ性を示す元素であり
金属元素M2は、その酸化物が酸化還元性能を有する元素であり、
担体(2)は金属元素M3の酸化物であって、触媒成分(1)を担持することによって上記OCM触媒を賦形する、
OCM触媒。
【請求項2】
金属元素M1は、元素周期表の第1族、第2族、第3族、ランタノイド族から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項3】
金属元素M1が、Na,K,Cs,Mg,Sr,Zn,Y,La,Ce,Tb,Ndから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項4】
金属元素M2は、元素周期表の第4~8族から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項5】
金属元素M2が、Ti,Zr,Fe,Ni,Mo,Wから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項6】
金属元素M3は、アルカリ土類金属である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項7】
金属元素M3がMg,Ca,Baから選ばれる、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項8】
金属元素M1と金属元素M2が担体(2)1g当たりそれぞれ0.037mmol以上3.7mmol以下である、請求項1に記載のOCM触媒。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のOCM触媒の存在下にメタンから炭素数が2以上の炭化水素を製造する方法。
【請求項10】
収率が18%以上、及び/又は、C選択率が60%以上である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な酸化カップリング触媒、特に新規で高選択性を特徴とする酸化カップリング触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
メタン(CH)は天然ガスやメタンハイドレートの主要成分として地球上に豊富に存在する資源である。メタンは、都市ガスなどとして直接利用できる比較的安価なガス燃料であるだけでなく、有用な化合物の出発物質としても有用性が高い。
【0003】
メタンを1段階で直接エチレンに変換する反応として、金属酸化物(MO,M:金属元素)を触媒に用いたメタン酸化カップリング反応(oxidative coupling of methane,OCM)が知られている。OCMは以下のように進行する。まず酸化的脱水素反応によって活性なメチルラジカルを発生させ(式1)、次に生じたメチルラジカル間でのカップリングにより炭素数2の炭化水素(C2炭化水素)が生成する(式2)。
(式1)2CH+2/1・O→2CH +H
(式2)2CH →C→C
OCMで合成されるC2炭化水素は工業原料として有用である。例えばエチレン(C)は、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、スチレンモノマーなどの出発物質として需要が高い石油化学原料である。そこで、OCMでメタンからエチレンなどの炭素数が2の化合物を効率よく合成することができる触媒(酸化カップリング触媒、以下「OCM触媒」という)が探索されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-284338号公報
【特許文献2】特開平7-138191号公報
【特許文献3】特表2012-532010号公報
【特許文献4】特許第6852185号公報
【特許文献5】特開2022-53675号公報
【0005】
特許文献1には、OCM触媒として、例えばホウ素/リチウムで助触媒された酸化マグネシウム触媒などの式:xA.yB.zC.qOで表される塩基性混合金属酸化物触媒が記載されている。
【0006】
特許文献2には、SrCo0.9Li0.12.4-3またはSrCo0.8Li0.22.3-3,SrCo0.8Mg0.22.4-3などのペロブスカイト系酸化物を含むOCM触媒の存在下にメタンの酸化カップリング反応を行なわせるC炭化水素の製造方法が記載されている。
【0007】
特許文献3には、Na、CsおよびReによる助長を受けたMgO基質を含有して成る酸化用触媒(Na/Cs/Re/MgO触媒)、CaおよびLaによる助長を受けたMgO基質を含有して成る酸化用触媒(Ca/La/MgO触媒)、SrおよびLaによる助長を受けたMgO基質を含有して成る酸化用触媒(Sr/La/MgO触媒)などが記載されている。
【0008】
特許文献4には、三酸化二マンガン、タングステン酸ナトリウム及びチタン酸マンガンの3種類の活性成分とシリカ担体とから構成され、一般式:xMn-yNaWO-zMnTiO(100-x-y-z)SiOを有するメタン酸化カップリング触媒が記載されている。
【0009】
特許文献5には、Mをアルカリ金属としたときにMZrOで表される成分がナノワイヤ構造又はマイクロハニカム構造を有する担体に担持された構成を有する部分酸化カップリング触媒が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、(助)触媒金属元素の組み合わせや担体の立体構造を選択して様々なOCM触媒が開発されている。未だ性能が評価されていないOCM触媒候補は多く、新規なOCM触媒が見出されると期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は様々な試行によって新たなOCM触媒を見出した。すなわち本発明は以下のものである。
【0012】
(発明1)
触媒成分(1)と担体(2)とを含む複合金属酸化物からなり、
触媒成分(1)が金属元素M1と金属元素M2を含み、
金属元素M1は、その酸化物がアルカリ性を示す元素であり、
金属元素M2は、その酸化物が酸化還元性能を有する元素であり、
担体(2)は金属元素M3の酸化物であって、触媒成分(1)を担持することによって上記OCM触媒を賦形する、
OCM触媒。
(発明2)
金属元素M1は、元素周期表の第1族、第2族、第3族、ランタノイド族から選ばれる少なくとも1種である、発明1のOCM触媒。
(発明3)
金属元素M1が、Na,K,Cs,Mg,Sr,Zn,Y,La,Ce,Tb,Ndから選ばれる少なくとも1種である、発明1のOCM触媒。
(発明4)
金属元素M2は、元素周期表の第4~8族から選ばれる少なくとも1種である、発明1のOCM触媒。
(発明5)
金属元素M2が、Ti,Zr,Fe,Ni,Mo,Wから選ばれる少なくとも1種である、発明1のOCM触媒。
(発明6)
金属元素M3は、アルカリ土類金属である、発明1のOCM触媒。
(発明7)
金属元素M3がMg,Ca,Baから選ばれる、発明1のOCM触媒。
(発明8)
金属元素M1と金属元素M2が担体(2)1g当たりそれぞれ0.037mmol以上3.7mmol以下である、発明1のOCM触媒。
(発明9)
発明1~8のいずれかに記載のOCM触媒の存在下にメタンから炭素数が2の炭化水素を製造する方法。
(発明10)
収率が18%以上、及び/又は、C選択率が60%以上である、発明9の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のOCM触媒は新規であり、従来品に比べて優れた性能を有する。本発明のOCM触媒を用いて、従来のOCM反応では達成することができなかった高いC収率と高いC選択率の双方を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[OCM触媒]
本発明のOCM触媒は、触媒成分(1)と担体(2)とを含む複合金属酸化物からなる。
【0015】
触媒成分(1)は金属元素M1と金属元素M2を含む。金属元素M1は、その酸化物がアルカリ性を示す元素である。このような金属元素M1は、一般的には、元素周期表の第1族、第2族、第3族、ランタノイド族に属する元素の少なくとも1種である。金属元素M1として、Na,K,Cs,Mg,Sr,Zn,Y,La,Ce,Tb,Ndが好ましく、Na,K,Cs,Sr,Zn,Y,La,Ceが特に好ましい。典型的には金属元素M1として1種または2種の金属元素を選択する。
【0016】
金属元素M2は、その酸化物がアルカリ性を示す元素である。このような金属元素M2は、元素周期表の第4~8族に属する元素の少なくとも1種である。金属元素M2として、Ti,Zr,Fe,Ni,Mo,Wが好ましく、Zr,Mo,Wが特に好ましい。典型的には、金属元素M2として1種または2種の金属元素を選択する。
【0017】
担体(2)は、金属元素M3の酸化物であって、触媒成分(1)を担持して本発明のOCM触媒を賦形する成分である。金属元素M3は、一般的にはアルカリ土類金属である。金属元素M3として、Mg,Ca,Baが好ましく、Ca,Baが特に好ましい。典型的な担体(2)はCaO粉体またはBaO粉体である。
【0018】
要するに、本発明のOCM触媒は全体として、金属元素M1,M2,M3を含む複合金属酸化物であって、元素組成は簡易式:M1-M2/M3Oで表すことができる(この式では元素M1,M2,M3の量比を省略している)。M1は1種でも2種以上の元素であってもよい。M2は1種でも2種以上の元素であってもよい。
【0019】
担体(2)上に担持された触媒成分(1)の量は、OCM反応に対する触媒効果が得られる限り特に制限されない。一般的には、金属元素M1と金属元素M2が担体(2)1g当たりそれぞれ0.037mmol以上3.7mmol以下となるように、担体(2)上に触媒成分(1)が担持される。
【0020】
上述の金属元素M1,M2,M3の組み合わせのうち、C2収率が18%以上、特に20%以上を達成し、且つ/又はC2選択率が60%以上、特に80%以上を達成する組み合わせが実用上好ましい。
【0021】
本発明のOCM触媒の製造方法には、公知のOCM触媒の製造方法を制限無く使用することができるが、一般的には湿式含浸法を用いる。湿式含浸法で本発明のOCM触媒を製造する場合は、まず、触媒成分(1)の前駆体化合物の溶液を担体(2)に含浸させるか、または触媒成分(1)の前駆体化合物の溶液を担体(2)の前駆体に含浸させる。触媒成分(1)の前駆体化合物としては、金属元素M1及び金属元素M2の金属塩や金属アルコキシドなどの各種可溶性化合物を用いる。担体(2)の前駆体としては例えば金属元素M3の水酸化物を用いる。次に、得られた前駆体混合物を焼成して、金属元素M1,M2を触媒成分(1)として含み、金属元素M3の酸化物を担体(2)として含む、複合金属酸化物粒子の凝集物を製造する。焼成条件は常法に従う。さらに、得られた複合金属酸化物粒子の凝集物を粉砕して本発明のOCM触媒を得る。
【0022】
金属元素M1又は金属元素M2を含む触媒成分(1)の前駆体化合物としては、例えば、LiNO,NaNO,Mg(NO,KNO,Ca(NO・4HO,Ti(OiPr),VOSO・xHO(x=3‐5),Mn(NO・6HO,Fe(NO・9HO,Sr(NO,Y(NO・6HO,ZrO(NO・2HO,(NHMo24・4HO,CsNO, Ba(NO,La(NO・6HO,Ce(NO・6HO,Nd(NO・6HO,Eu(OAc)・nHO,Tb(NO・5HO,Hf(OEt),(NH10(Wを用いることができる。
【0023】
担体(2)又は担体(2)の前駆体としては、例えば、MgO(粉体。比表面積:5.5m/g、以下、同様に代表的な粉体製品の比表面積を示す。),Ca(OH)(3.0m/g),Ba(OH)・8HO(1.1m/g),を用いることができる。
【0024】
[メタンから炭素数が2の炭化水素を製造する方法]
本発明のOCM触媒の存在下にメタンから炭素数が2の炭化水素を製造することができる。従来用いられてきたOCM触媒を本発明のOCM触媒に置き換えてメタンから炭素数が2の炭化水素を製造することができる。本発明の方法では、公知のOCM反応で採用されている操作や装置を制限なく使用することができる。
【0025】
本発明の方法では、従来のOCM触媒を用いた炭素数が2の炭化水素を製造する方法に比べて、より高いC収率とより高いC選択率を達成することができる。具体的には、18%以上好ましくは20%以上のC収率、及び/又は、60%以上好ましくは80%以上のC選択率を達成することができる。
【実施例0026】
[実施例1,実施例2~5]
実施例1は、金属元素M1としてSr及びLa、金属元素M2としてZr、金属元素M3としてBaを選択した例である。実施例1では組成:Sr-Zr-La/BaOを有するOCM触媒を以下の手順で製造し評価した。
【0027】
(触媒の製造)
Ba(OH) 1.24g(BaO換算)を2mLの試験管に測り取り、Sr(NO,ZrO(NO・2HO,La(NO・6HOをそれぞれ0.37mmol溶解させた水溶液4.5mLを加えた。試験官の内容物を50℃で6 時間攪拌した。その後、遠心エバポレーター(CVE-3100,東京理化器械)を用いて110℃で水分を除去し、得られた乾燥固体をセラミック坩堝に移し、大気下、電気炉を用いて1000℃で3時間焼成した。焼成後の固体を、乳鉢を用いて粉末化した。こうして、担体:BaOにSr,La,Zrが担持された金属複合酸化物からなるOCM触媒が得られた。
【0028】
(OCM反応)
内径4mmと内径2mmの管を段継ぎした石英反応管のネック部に石英ウールを詰め、その上に得られた触媒粉末を1.0cm高さで充填し、さらにこれを石英ウールで覆うことで触媒層を形成した。吸引ポンプを用いて触媒粉末の充填を均一化した。石英反応管を環状電気炉に設置し、800℃のCH/O/Arの混合ガスを流通させた。この際、反応器入口におけるAr圧(PAr)を0.7atm、CH圧(PCH4,入口)を0.2atm、O圧(PO2)を0.1atm、CHとOのモル比(CH/O)を2mol/mol、総ガス流量(Q)を10mLとした。反応器の出口におけるガスを質量分析計を用いて分析し、CH,O,C,C,CO,COのキャリアガス(Ar)に対する相対圧を算出した。
【0029】
収率、C選択性を以下の式によって算出した。C収率、C選択性を表1に示す。
・C収率(%)=[2×(PC2H6,出口+PC2H4出口)/PCH4,入口]×100
・C選択率(%)=[2×(PC2H6,出口+PC2H4出口)/(PCH4,入口-PCH4出口)]×100
実施例2~5では、実施例1と同様の手法でOCM触媒を合成し、実施例1の条件を変更してOCM反応を行った。結果を表1に示す。
【0030】
実施例1,実施例2~5では新規なOCM触媒が得られた。得られたOCM触媒を用いて、18%以上の高いC収率でOCM反応を行うことができた。特に実施例2では従来品よりも極めて高い性能を示すOCM触媒を製造した。実施例2のOCM反応では20%を超えるC収率と80%を超えるC選択率を達成することができた。
【0031】
【表1】
【0032】
[実施例6~22]
実施例6~22でも、実施例1と同様の手法でOCM触媒を合成し、実施例1の条件を変更してOCM反応を行った。結果を表2に示す。実施例6~22では新規なOCM触媒が得られた。得られたOCM触媒を用いて、80%以上の高いC選択率でOCM反応を行うことができた。実施例6では20%を超えるC収率と80%を超えるC選択率を達成した。実施例9,16,18,19では90%を超えるC選択率を達成した。
【0033】
【表2】
【0034】
[実施例23~32]
実施例23~32でも、実施例1と同様の手法でOCM触媒を合成し、実施例1の条件を変更してOCM反応を行った。結果を表3に示す。実施例23~32では新規なOCM触媒が得られた。得られたOCM触媒を用いて、18%以上のC収率でOCM反応を行うことができた。実施例23,24では20%を超えるC収率と45%を超えるC選択率を達成した。
【0035】
【表3】
【0036】
[実施例33~37]
実施例33~37でも、実施例1と同様の手法でOCM触媒を合成し、実施例1の条件を変更してOCM反応を行った。結果を表4に示す。実施例33~37では新規なOCM触媒が得られた。実施例33,34では20%を超えるC収率と45%を超えるC選択率を達成した。実施例33,36では55%を超えるC選択率を達成した。
【0037】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は新規で高性能のOCM触媒を市場に供給することができる。本発明はメタンを原料とした各種化成品の工業生産に貢献する。