(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112215
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】不燃性樹脂組成物、及び不燃性架橋樹脂発泡体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20240813BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20240813BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240813BHJP
C08K 3/02 20060101ALI20240813BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20240813BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
C08L23/08
C08K3/22
C08K3/02
C08L33/00
C08K5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017136
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】大長 理子
(72)【発明者】
【氏名】宮城 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小久保 陽介
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA22
4F074AC04
4F074AC17
4F074AG10
4F074BA12
4F074CC04Y
4F074CC06Y
4F074CC22X
4F074CC32Y
4F074CD11
4F074DA02
4J002BB061
4J002BG012
4J002BG032
4J002BG042
4J002DA057
4J002DE076
4J002DE146
4J002EQ018
4J002ES008
4J002EV268
4J002FD136
4J002FD137
4J002FD328
(57)【要約】
【課題】
不燃性であり、十分に高い発泡倍率を達成し、圧縮応力値も十分に高められたノンハロゲン系の不燃性架橋樹脂発泡体、ならびに、この不燃性架橋樹脂発泡体を得るのに好適な不燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記成分(A)~(E)を含有してなり、
(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(B)金属水和物、
(C)赤燐、
(D)加工助剤、
(E)発泡剤、
前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(B)の含有量が100~300質量部、前記成分(C)の含有量が2~25質量部、前記成分(D)の含有量が0.1~50質量部である、不燃性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(E)を含有してなり、
(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(B)金属水和物、
(C)赤燐、
(D)加工助剤、
(E)発泡剤、
前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(B)の含有量が100~300質量部、前記成分(C)の含有量が2~25質量部、前記成分(D)の含有量が0.1~50質量部である、不燃性樹脂組成物。
【請求項2】
前記成分(D)がアクリル系加工助剤である、請求項1に記載の不燃性樹脂組成物。
【請求項3】
下記成分(F)を含有する、請求項1に記載の不燃性樹脂組成物。
(F)難燃助剤
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の不燃性樹脂組成物に架橋構造を形成し、該架橋構造の形成と同時に、又は該架橋構造の形成後の架橋体を、発泡処理してなる、不燃性架橋樹脂発泡体。
【請求項5】
下記成分(a)~(d)を含有してなり、
(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(b)金属水和物、
(c)赤燐、
(d)加工助剤、
前記成分(a)の含有量100質量部に対し、前記成分(b)の含有量が100~300質量部、前記成分(c)の含有量が2~25質量部、前記成分(d)の含有量が0.1~50質量部である、不燃性架橋樹脂発泡体。
【請求項6】
JIS K 6767(1999)の圧縮応力歪み試験にて、25%歪み時の圧縮応力が10kPa以上である、請求項5に記載の不燃性架橋樹脂発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃性樹脂組成物、及び不燃性架橋樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂発泡体は一般に、樹脂組成物に架橋構造(3次元網目構造)を形成して発泡させることにより得られる。樹脂発泡体は発泡状態にあることから軽量性、断熱性、圧縮応力等に優れ、また、所望の耐水性、耐薬品性等も備えることができ、建材、電化製品、自動車、エネルギー機器などの分野で幅広く用いられている。樹脂発泡体は一般的には易燃性であるため、当該樹脂発泡体に不燃性ないし難燃性が要求される場合には、難燃剤を配合した樹脂組成物に架橋構造を形成しながら発泡させることにより、目的の不燃性樹脂発泡体ないし難燃性樹脂発泡体が作られている。
【0003】
前記難燃剤としては、従来からハロゲン系難燃剤が使用されてきた。ハロゲン系難燃剤は難燃効果が高く、少量の配合により、得られる樹脂発泡体の不燃性を十分に高めることができる。しかし、ハロゲン系難燃剤を使用した不燃性樹脂発泡体は、高温に晒されると有害な腐食性ガス(ハロゲンガス)を発生する問題がある。そのため、ノンハロゲン系難燃剤を用いた不燃性樹脂発泡体の開発が進められている。
【0004】
ノンハロゲン系難燃剤として赤燐が知られている。赤燐を用いた不燃性ないし難燃性の樹脂発泡体として、例えば特許文献1には、エチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体単独もしくは該共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との混合物からなる樹脂成分100重量部、水和金属酸化物50~200重量部、ポリリン酸アンモニウム5~100重量部、赤リン0.1~50重量部及び発泡剤からなり、かつ、ポリリン酸アンモニウム:赤リン=1:0.01~10(重量比)なる割合で添加させて得られる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を電離性放射線にて架橋させた後、該発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させられていることを特徴とする難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されている。
また特許文献2には、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A1)及び/又はエチレン-エチルアクリレート共重合体(A2)を含有する樹脂成分(A)100質量部に対して、(B)金属水和物として水酸化マグネシウム及び/又は表面が処理された水酸化アルミニウムを151~300質量部、(C)赤燐2~25質量部、(D)酸化チタン5~100質量部及び(E)熱分解型発泡剤10~40質量部を含有し、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体(A1)及び/又はエチレン-エチルアクリレート共重合体(A2)の共重合体構成成分である酢酸ビニル及びエチルアクリレートの含有量の合計が前記樹脂成分(A)中14~50質量%である樹脂組成物を用いて架橋及び発泡させてなることを特徴とするノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体が開示されている。
さらに特許文献3には、ポリエチレン系樹脂100重量部、水酸化マグネシウム50~130重量部、ホウ酸亜鉛または/および三酸化アンチモン5~50重量部、赤リン2~20重量部、滑剤0.5~5重量部、ならびに、発泡剤と架橋剤を配合して成る樹脂組成物を加熱発泡せしめて成ることを特徴とするノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-235402号公報
【特許文献2】特開2012-001572号公報
【特許文献3】特開平2-296841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノンハロゲン系難燃剤は、高温に晒されても有害物質を発生しない利点があるものの、樹脂発泡体に配合して不燃性を付与するには、その配合量を、ハロゲン系難燃剤を配合する場合よりも多量とする必要がある。しかし、ノンハロゲン系難燃剤を多量に配合すると、得られる樹脂発泡体の連続気泡率が上昇し、得られる樹脂発泡体は圧縮応力等に劣るものとなる。
【0007】
本発明は、不燃性であり、十分に高い発泡倍率を達成し、圧縮応力値も十分に高められたノンハロゲン系の不燃性架橋樹脂発泡体、ならびに、この不燃性架橋樹脂発泡体を得るのに好適な不燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン-酢酸ビニル共重合体、金属水和物、赤燐、加工助剤、及び発泡剤を特定の量比で配合して樹脂組成物を調製することにより、当該樹脂組成物から得られる架橋樹脂発泡体が不燃性を示し、十分に高い発泡倍率を達成し、かつ圧縮応力値も十分に高められることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
【0009】
すなわち、上記の課題は、以下の手段により解決された。
<1>
下記成分(A)~(E)を含有してなり、
(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(B)金属水和物、
(C)赤燐、
(D)加工助剤、
(E)発泡剤、
前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(B)の含有量が100~300質量部、前記成分(C)の含有量が2~25質量部、前記成分(D)の含有量が0.1~50質量部である、不燃性樹脂組成物。
<2>
前記成分(D)がアクリル系加工助剤である、前記<1>に記載の不燃性樹脂組成物。
<3>
下記成分(F)を含有する、前記<1>又は<2>に記載の不燃性樹脂組成物。
(F)難燃助剤
<4>
前記<1>~<3>のいずれかに記載の不燃性樹脂組成物に架橋構造を形成し、該架橋構造の形成と同時に、又は該架橋構造の形成後の架橋体を、発泡処理してなる、不燃性架橋樹脂発泡体。
<5>
下記成分(a)~(d)を含有してなり、
(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(b)金属水和物、
(c)赤燐、
(d)加工助剤、
前記成分(a)の含有量100質量部に対し、前記成分(b)の含有量が100~300質量部、前記成分(c)の含有量が2~25質量部、前記成分(d)の含有量が0.1~50質量部である、不燃性架橋樹脂発泡体。
<6>
JIS K 6767(1999)の圧縮応力歪み試験にて、25%歪み時の圧縮応力が10kPa以上である、前記<4>又は<5>に記載の不燃性架橋樹脂発泡体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の不燃性樹脂組成物は、これに架橋構造を導入し、架橋構造の形成と同時に又は架橋構造形成後に、発泡処理に付すことにより、不燃性で、十分に高い発泡倍率を達成し、圧縮応力値も十分に高められた架橋樹脂発泡体を得ることができる。本発明の不燃性架橋樹脂発泡体は、不燃性であり、十分に高い発泡倍率を達成し、圧縮応力値も十分に高められている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明ないし本明細書において「不燃性」とは、樹脂組成物については、これを架橋及び発泡させてなる架橋樹脂発泡体が、発熱性試験(ISO 5660-1:2002に準拠)において、20分間の加熱による総発熱量が8MJ/m2以下であることを意味し、架橋樹脂発泡体については、発熱性試験(ISO 5660-1:2002に準拠)において、20分間の加熱による総発熱量が8MJ/m2以下であることを意味する。
【0012】
[不燃性樹脂組成物]
本発明の不燃性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」とも称す。)は、(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体(成分(A)とも称す。)と、(B)金属水和物(成分(B)とも称す。)と、(C)赤燐(成分(C)とも称す。)と、(D)加工助剤(成分(D)とも称す。)と、(E)発泡剤(成分(E)とも称す。)を含有する。
成分(A)~(E)、ならびに後述の任意成分は、いずれも各成分として1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明の樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン元素を含む難燃剤)を含まないことが好ましい。
以下に、本発明の樹脂組成物が含有する成分を説明する。
【0013】
<(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体>
本発明の樹脂組成物は、ベース樹脂を構成する樹脂成分として、(A)エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む。本発明に用いられるエチレン-酢酸ビニル共重合体の重合の形態は、ランダム、交互、ブロック及びグラフトのいずれであってもよい。
【0014】
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体において、構成成分である酢酸ビニル成分の含有割合は、樹脂中へのフィラー分散による伸長粘度及び伸長流動による歪硬化性のバランスの観点から、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体中40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、上記と同様の観点から、当該酢酸ビニル成分の含有割合は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。当該酢酸ビニル成分の含有割合を好ましい範囲として示すと、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、15~30質量%がさらに好ましい。なお、酢酸ビニル成分の含有割合は、エチレン-酢酸ビニル共重合体を合成する際の各モノマーの使用量から求めることができる。
【0015】
本発明で用いるエチレン-酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(以下、単にMFRともいう。)は、0.1~100g/10minであることが好ましく、0.1~50g/10minがより好ましく、0.5~30g/10minであることがさらに好ましい。上記MFRは、JIS K 7210:1999に準拠し、荷重2.16kg、温度190℃の条件で測定される。エチレン-酢酸ビニル共重合体のMFRを上記の好ましい範囲とすることにより、樹脂と金属水和物とを、より均一に混合することができる。
【0016】
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体は、常法により合成することができ、また市販品を用いることができる。市販品の具体例としては、例えば三井・ダウ ポリケミカル社製のEVAFLEX(登録商標)EV460(商品名)等を挙げることができる。
【0017】
本発明の樹脂組成物中、前記成分(A)の含有量は、発泡倍率の観点から、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、不燃性の観点から、当該含有量は50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。当該成分(A)の含有量を好ましい範囲として示すと、10~50質量%が好ましく、15~45質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。
【0018】
<(B)金属水和物>
本発明の樹脂組成物は、(B)金属水和物を含有する。前記金属水和物はいわゆるフィラーであり、針状、ブロック状、鱗状粉末、粒状、塊状等、種々の形状のものが使用可能である。前記金属水和物は、本発明の樹脂組成物、ないし当該樹脂組成物を架橋及び発泡させてなる架橋樹脂発泡体において、赤燐とともに難燃剤(ノンハロゲン系難燃剤)として機能する。この金属水和物として、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。中でも、金属水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを用いることが、より高い不燃性を得る観点から好ましい。
【0019】
前記金属水和物は、表面処理品でもよく、表面未処理品でもよい。表面処理品としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの、リン酸エステル処理されたもの、ビニル基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面処理されたものなどを使用することができる。本発明において、前記金属水和物は、脂肪酸、又は脂肪酸とシランカップリング剤との併用による表面処理がされていることがさらに好ましい。
【0020】
前記成分(B)は市場から入手可能であり、例えば、水酸化マグネシウムとしてMAGNIFIN(登録商標)H-5MV(商品名、HUBER製)や、水酸化アルミニウムとしてB703S(商品名、日本軽金属社製)等が挙げられる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(B)を100~300質量部含有する。本発明の樹脂組成物における前記成分(B)の含有量を上記の範囲とすることにより、当該樹脂組成物を架橋及び発泡させてなる架橋樹脂発泡体の発泡倍率をより高めることができ、また、赤燐の作用と相俟って、この架橋樹脂発泡体に十分に高い不燃性(難燃性)を付与することができる。不燃性をより向上させる観点から、前記成分(B)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、125質量部以上が好ましく、150質量部以上がより好ましい。また、発泡倍率をより向上させる観点から、当該含有量は250質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。当該成分(B)の含有量を好ましい範囲として示すと、当該成分(B)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、125~250質量部が好ましく、150~200質量部がより好ましい。
【0022】
<(C)赤燐>
本発明の樹脂組成物は、(C)赤燐(赤リン)を含有する。赤燐もフィラーの1種である。赤燐は、燃焼時など、高温に晒された時に熱分解し、強い脱水作用によりチャーの生成を促進し、空気遮断効果によって難燃性能を発揮する。本発明に用いられる赤燐としては、難燃剤として用いられている通常のものを使用することができる。特に、安全性及び取扱いの容易さ(耐湿性等)の観点より、赤燐粒子の表面を樹脂等で処理したものが好ましい。
【0023】
成分(C)は市場から入手可能である。例えば、燐化学工業社製のノーバレッド(登録商標)120(商品名)等が挙げられる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(C)を2~25質量部含有する。前記成分(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、他の成分の作用と相俟って、当該樹脂組成物から得られる架橋樹脂発泡体に所望の不燃性を付与することができ、また、架橋樹脂発泡体の発泡倍率をより向上させることができる。不燃性をより向上させる観点から、前記成分(C)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、発泡性をより向上させる観点から、当該含有量は23質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。当該成分(C)の含有量を好ましい範囲として示すと、当該成分(C)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、5~23質量部が好ましく、7~23質量部がより好ましく、10~20質量部がさらに好ましい。
【0025】
<(D)加工助剤>
本発明の樹脂組成物は、(D)加工助剤を含有する。前記加工助剤は、本発明の樹脂組成物から得られる架橋樹脂発泡体の発泡倍率をより向上させる観点から、アクリル系加工助剤であることが好ましい。当該アクリル系加工助剤としては、アクリル系モノマーに由来する構成成分、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル
から選ばれるモノマーに由来する構成成分を含有し、重量平均分子量が成分(A)よりも大きな重合体が好ましい。成分(D)の重量平均分子量は40万~500万が好ましい。
前記加工助剤としてアクリル系加工助剤を本発明で規定する特定量で用いることにより、前記成分(A)との親和性をより高めることができ、発泡倍率や不燃性をより高めることができ、かつ、圧縮応力もより高めることができる。
【0026】
成分(D)は市場から入手することができる。市販品としては、例えば、三菱ケミカル社製のメタブレン(登録商標)P-1050(商品名)等が挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(D)を0.1~50質量部含有する。前記成分(D)の含有量を上記の範囲内とすることにより、ノンハロゲン系難燃剤をある程度多量に配合しても、当該樹脂組成物から得られる架橋樹脂発泡体を、連続気泡率の生成が抑制され、微細な独立気泡構造を有する弾力性に優れた性状とすることができる。当該樹脂組成物から得られる架橋樹脂発泡体の圧縮応力をより向上させる観点から、前記成分(D)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、前記樹脂発泡体の発泡倍率を向上させる観点、及び不燃性を向上させる観点から、当該含有量は45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。当該成分(D)の含有量を好ましい範囲として示すと、当該成分(D)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、1~45質量部が好ましく、10~40質量部がより好ましく、15~35質量部がさらに好ましい。
【0028】
<(E)発泡剤>
本発明の樹脂組成物は、(E)発泡剤を含有する。前記発泡剤は、熱分解型発泡剤であることが好ましい。熱分解型発泡剤とは、加熱により分解してガスを発生する発泡剤である。当該熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、p-トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼスルホニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロテレフタルアミド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0029】
成分(E)は市場から入手することができる。市販品として、例えば、大塚化学社製のユニフォームAZ VI50ST(商品名)等が挙げられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、発泡倍率を高める観点から、前記成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(E)を10質量部以上含有することが好ましく、12質量部以上含有することがより好ましく、15質量部以上含有することがさらに好ましい。また、破泡による圧縮応力の低下の観点から、当該含有量は50質量部以下であることが好ましく、45質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることがさらに好ましい。当該成分(E)の含有量を好ましい範囲として示すと、当該成分(E)の含有量は、成分(A)の含有量100質量部に対し、10~50質量部が好ましく、12~45質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
【0031】
<(F)難燃助剤>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(F)難燃助剤(成分(F)とも称す。)を含有することができる。難燃助剤もフィラーの1種である。難燃助剤しては、例えば酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化亜鉛、シリカ、クレー、ヒンダードアミン、酸化防止剤、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。特に、成分(F)として酸化チタンを含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物が成分(F)を含有する場合、成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(F)を5~30質量部含有することが好ましく、10~25質量部含有することがより好ましい。
【0032】
<(G)架橋剤>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(G)架橋剤(成分(G)とも称す。)を含有することができる。上記架橋剤としてはラジカル発生剤が挙げられ、有機過酸化物を好適に用いることができる。例えばジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)-ヘキシン-3、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルパーオキシクメン、4,4’-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレリック酸n-ブチルエステル、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物を使用することが好ましい。ラジカル発生剤は熱的に分解してラジカルを生じ、このラジカルの作用で樹脂成分等から水素を引き抜いて反応性部位を作り出し、架橋構造を形成させることができる。また、後述する架橋助剤と組合せて用いることにより、生じたラジカルが炭素-炭素不飽和結合の付加反応を生じ、架橋構造を形成させることができる。
本発明の樹脂組成物が成分(G)を含有する場合、成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(G)を0.003~2.0質量部含有することが好ましく、0.05~2.0質量部含有することがより好ましく、0.3~1.8質量部含有することがさらに好ましく、0.6~1.6質量部含有することがさらに好ましい。
【0033】
<(H)架橋助剤>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(H)架橋助剤(成分(H)とも称す。)を含有することができる。上記架橋助剤としては、多官能ビニル化合物が挙げられ、なかでも多官能アクリレート化合物及び/又は多官能メタクリレート化合物及び/又は多官能ビニルエーテル化合物が好ましい。具体例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。前記多官能ビニル化合物は、1分子中のビニル基(ビニル基が、アクリロイル基やメタクリロイル基として含まれる場合を含む)の数が2以上であること好ましく、3以上であることがより好ましく、3~6であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物が成分(H)を含有する場合、成分(A)の含有量100質量部に対し、前記成分(H)を0.1~1.5質量部含有することが好ましく、0.2~1.0質量部含有することがより好ましい。
【0034】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)~(H)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば発泡助剤、分散剤、充填剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、滑剤等の他の成分を含有してもよい。また、後述のように、架橋構造の形成のためのシランカップリング剤を含有させることもできる。
【0035】
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、上述の成分(A)~(E)、さらに必要に応じて、上述の任意成分を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機あるいは二軸押出機などの通常用いられる混練装置で溶融混練して均質化することにより得ることができる。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、上記の溶融混練物を成形してなる成形体であってもよい。成形には、押出成形やプレス成形など、種々の成形方法を採用することができる。
【0037】
[不燃性架橋樹脂発泡体]
本発明の不燃性架橋樹脂発泡体(以下、「本発明の樹脂発泡体」とも称す。)は、本発明の樹脂組成物に架橋構造を形成し、該架橋構造の形成と同時に、又は該架橋構造の形成後の架橋体を、発泡処理することにより得ることができる。
したがって、本発明の樹脂発泡体は、下記成分(a)~(d)を含有してなり、
(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体、
(b)金属水和物、
(c)赤燐、
(d)加工助剤、
前記成分(a)の含有量100質量部に対し、前記成分(b)の含有量が100~300質量部、前記成分(c)の含有量が2~25質量部、前記成分(d)の含有量が0.1~50質量部である。
なお、本発明では、樹脂発泡体は上記の通り、本発明の樹脂組成物に架橋構造を形成し、該架橋構造の形成と同時に、又は該架橋構造の形成後の架橋体を、発泡処理することにより得ることを特定事項として有することがあるが、これは単に樹脂発泡体の状態を特定するものである。すなわち、この特定事項により樹脂発泡体の構造ないし特性をより明らかにするものである。
【0038】
本発明の樹脂発泡体が含有する上記の(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体、(b)金属水和物、(c)赤燐、(d)加工助剤などの各成分は、上述した本発明の樹脂組成物において説明したものと基本的には同じであり、含有量も実質的に同じである。他方、樹脂等が架橋構造を形成している点では、本発明の樹脂組成物と異なる。すなわち、本発明の樹脂発泡体において、(a)エチレン-酢酸ビニル共重合体、(d)加工助剤、上記の架橋助剤などの用語は、架橋反応を生じて形成された架橋体の構成成分として、これらの樹脂(ポリマー)ないしモノマー等に由来する成分が存在している状態を含む意味で用いている。
【0039】
本発明の樹脂発泡体の形状としては、例えば、厚さは2~20mm、見掛け密度は200kg/m3以下のシート状とすることができる。見掛け密度は35~150kg/m3であることがより好ましく、50~140kg/m3であることがさらに好ましい。本発明の樹脂発泡体の「見掛け密度」とは、所定の大きさ(例えば、10cm×10cm)に切り出した試験片の発泡体の質量を、当該発泡体の体積(気泡部分を含む体積)で除して測定した値である。
【0040】
本発明の樹脂発泡体の製造方法としては、本発明の樹脂組成物の架橋構造の形成と発泡処理とを同時に(並行して)行う方法と、樹脂組成物に架橋構造を形成させた後に発泡処理する方法とが挙げられる。これらの方法の一例を説明する。
【0041】
-架橋構造の形成と発泡処理とを同時に行う方法-
上記(G)架橋剤と、必要により(H)架橋助剤を含ませた本発明の樹脂組成物を調製する。この調製時の混練は、(G)架橋剤や(E)発泡剤が分解しにくい温度(100~130℃程度)で行う。樹脂組成物はペレット状とすることができる。得られた樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度100~130℃程度で押出成形して、所望の厚さと幅を有する未発泡シートを得る。この未発泡シートを180~230℃程度に調整した加熱発泡炉に投入して架橋反応と発泡を生じさせて、本発明の樹脂発泡体のシートを作製することができる。
【0042】
-架橋構造の形成後に発泡処理する方法-
本発明の樹脂組成物にシランカップリング剤を含有させて、樹脂組成物中の樹脂成分((A)エチレン-酢酸ビニル共重合体や(D)加工助剤等)とシランカップリング剤とを反応させて樹脂成分にグラフト鎖を導入し、その後、グラフト鎖の官能基同士を反応させることにより、架橋構造を形成させた所望の形状(例えばシート状)の架橋体を得る。次いで、加熱して発泡剤を分解してガスを生じさせて、本発明の樹脂発泡体を得ることができる。シランカップリング剤としては、ビニルトリアルコキシシランなどを好適に用いることができる。また、上記成分(G)をラジカル発生剤としてグラフト鎖を導入することができる。また、樹脂組成物中にジブチルスズジラウレートなどのシラノール縮合触媒を含有させておくことも好ましい。
また、所望の形状(例えばシート状)の本発明の樹脂組成物に電離性放射線を照射して架橋構造を形成させた後に、加熱して発泡剤を分解してガスを生じさせて、本発明の樹脂発泡体を得ることもできる。電離放射線として、α、β、γ線、電子線、中性子線などを照射することができる。
【0043】
上記の各方法は単独で使用してもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。いずれの方法でも、必要に応じて上記(H)架橋助剤を樹脂組成物中に配合し、より強固な架橋構造を形成させることもできる。
【0044】
本発明の樹脂発泡体は、独立気泡構造を有することが好ましい。好ましくは、連続気泡率(全気泡に対する連続性気泡の比率)が95%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下である。連続気泡率は、ASTM D-2856-87に記載の方法に準じて空気比較式比重計1000型(東京サイエンス社製)の装置を用いて測定した値で下記(式1)により特定することができる。
連続気泡率(%)=[(見掛け体積-空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積]×100・・・(式1)
【0045】
また、本発明の樹脂発泡体に含有される気泡の平均気泡径は、400μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。本発明において、平均気泡径とは、本発明の樹脂発泡体の観察断面において、気泡の面積の合計を気泡の数で除して得られる気泡面積平均値Sを用いて、下記(式2)により算出される。
平均気泡径=2×√(S/π)・・・(式2)
【0046】
本発明の樹脂発泡体は、不燃性で、所望の高い発泡倍率を達成し、かつ弾力性(圧縮応力)に優れる。
例えば本発明の樹脂発泡体を重ねて厚み25mmとなるように調整し、JIS K 6767(1999)に準拠して、25%歪み時の圧縮応力(kPa)を測定したときに、当該測定値が10kPa以上であることが好ましい。
なお、本発明の樹脂発泡体を重ねたときの厚みが25mm以上である場合は、厚みが25mmとなるように適宜削ることにより調整することができる。
【実施例0047】
本発明を以下の実施例および比較例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
[実施例1~15及び比較例1~5]
実施例1~15及び比較例1~5の樹脂発泡体を調製するための材料を、下記表1に示す。使用した材料の詳細は下記のとおりである。
【0049】
<使用原料>
・エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニル含有量19質量%、MFR 2.5g/10min、商品名:EVAFLEX(登録商標)EV460、三井・ダウ ポリケミカル社製)
・金属水和物-1(水酸化マグネシウム、脂肪酸系処理済、商品名:MAGNIFIN H-5MV、HUBER製)
・金属水和物-2(水酸化アルミニウム、脂肪酸系処理済、商品名:B703S、日本軽金属社製)
・赤燐(商品名:ノーバレッド(登録商標)120、燐化学工業社製)
・加工助剤(アクリル系加工助剤、商品名:メタブレン(登録商標)P-1050、三菱ケミカル社製)
・発泡剤(商品名:ユニフォームAZ VI50ST、大塚化学社製)
・難燃助剤-1(シリカ、商品名:S0-C2、アドマテックス社製)
・難燃助剤-2(ヒンダードアミン、商品名:アデカスタブLA-77Y、ADEKA社製)
・難燃助剤-3(酸化チタン、商品名:Ti-Pure(登録商標)R-103、Chemours社製)
・発泡助剤(商品名:亜鉛華1号、三井金属鉱業社製)
・分散剤(グリセリンモノステアレート、商品名:リケマールS-100、理研ビタミン社製)
・架橋剤-1(有機過酸化物:ジクミルパーオキサイド、商品名:パークミルD、日本油脂社製)
・架橋剤-2(有機過酸化物:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、商品名:PERHEXA(登録商標)C、日本油脂社製)
・架橋助剤(3官能トリアクリレート化合物:トリメチロールプロパントリアクリレート、商品名:NKエステル TMPT、新中村化学工業社製)
【0050】
<樹脂発泡体の製造>
下記表1に示す組成に従い各原料を混合し、容量1リットルのニーダーを用いて120℃で溶融混練し、混練物をオープンロールでシート化、冷却の後、ペレタイザーにて裁断、造粒して、実施例1~15及び比較例1~5の樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットを、温度を100~130℃に設定した押出機に供給し、厚さ3mmのシートに成型後、幅、長さ10cm角に切り出して実施例1~15及び比較例1~5の未発泡シートを作製した。その後、これらの未発泡シートを220℃に調整した熱風炉に導入して、この高温下で架橋反応と発泡処理とを同時並行で進め、実施例1~15及び比較例1~5の樹脂発泡体を作製した。
【0051】
[性能評価]
上記のようにして製造した各樹脂発泡体(実施例1~15、比較例1~5)を用いて、下記の性能評価を行った。
【0052】
(発泡試験)
実施例1~15及び比較例1~5の各未発泡シート、並びに該シートを架橋・発泡させて得られた各樹脂発泡体の密度をそれぞれ測定し、下記(式3)により発泡倍率を算出した。算出した発泡倍率を、下記評価基準により評価した。
発泡倍率=未発泡シート密度/樹脂発泡体の見掛け密度・・・(式3)
-評価基準-
○:発泡倍率が25倍以上
△:発泡倍率が20倍以上、25倍未満
×:発泡倍率が20倍未満
なお、実施例1~15の各樹脂発泡体の見掛け密度は、いずれも35~80kg/m3の範囲内であった。
【0053】
(圧縮応力歪み試験)
実施例1~15及び比較例1~5の樹脂発泡体から5cm角の樹脂発泡体(厚さ7mm、幅5cm、長さ5cm)を切り出した。得られた5cm角の樹脂発泡体を厚さ方向に重ね、厚み25mmとなるように調整した。この厚さ25mmの各サンプルを、JIS K 6767(1999)に準拠し、25℃で、25%歪み時の圧縮応力(kPa)を測定した。独立した試験を3回行い、圧縮応力値の平均値を算出して、下記評価基準により評価した。
-評価基準-
○:25%圧縮応力値の平均値が10kPa以上
△:25%圧縮応力値の平均値が7.5kPa以上、10kPa未満
×:25%圧縮応力値の平均値が7.5kPa未満
【0054】
(発熱性試験:コーンカロリーメーター試験)
実施例1~15及び比較例1~5の樹脂発泡体を10cm角(厚み:7mm、幅10cm、長さ10cm)に調製し、ISO 5660-1:2002に準拠して、各樹脂発泡体を20分間加熱した際の総発熱量を測定し、下記評価基準を基に評価した。〇評価であれば不燃性と判断される。
-評価基準-
○:総発熱量が8MJ/m2以下
×:総発熱量が8MJ/m2越え
【0055】
各試験の結果を下記表1に示す。下表中の配合量の記載は、質量部である。
【0056】
【0057】
表1より明らかなように、成分(D)の加工助剤を含有しない比較例1の樹脂発泡体は、圧縮応力値の平均値が10kPa未満であり、弾力性に劣っていた。また、成分(D)の含有量が規定の範囲を超える比較例4の樹脂発泡体は、発泡性に劣り、また、不燃性ではなかった。また、成分(C)の含有量が規定の範囲よりも少ない比較例2の樹脂発泡体は不燃性ではなく、成分(C)の含有量が規定の範囲よりも多い比較例5の樹脂発泡体は発泡性に劣っていた。さらに、成分(B)の含有量が規定の範囲よりも少ない比較例3の樹脂発泡体は、発泡性に劣り、また不燃性ではなかった。
これに対し、本発明の規定を全て満たす樹脂発泡体(実施例1~15)は、いずれも発泡性に優れ、不燃性であり、かつ弾力性にも優れていた。