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特開2024-112357光モジュールおよび光モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112357
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】光モジュールおよび光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20240814BHJP
   G02B 6/27 20060101ALI20240814BHJP
   H01S 5/02251 20210101ALI20240814BHJP
   H01S 5/0238 20210101ALI20240814BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240814BHJP
   H01L 31/12 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
G02B6/42
G02B6/27 301
H01S5/02251
H01S5/0238
G02B6/32
H01L31/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017281
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤村 壮嗣
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 和彦
(72)【発明者】
【氏名】永井 京子
(72)【発明者】
【氏名】梅田 康平
(72)【発明者】
【氏名】タッサリングカンサクン ニティデット
(72)【発明者】
【氏名】スクソンブーン ラッタナポーン
(72)【発明者】
【氏名】ラッタコーン パンラモン
【テーマコード(参考)】
2H137
5F173
5F889
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137BA15
2H137BB02
2H137BB14
2H137BB17
2H137BB25
2H137BB33
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC47
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2H137CA20F
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2H137CB22
2H137CC01
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2H137EA05
5F173MA01
5F173MB03
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5F173ME75
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5F173MF03
5F173MF23
5F173MF39
5F173MF40
5F889AB03
5F889AC24
5F889CA16
5F889CA21
(57)【要約】
【課題】例えば、光素子と光ファイバとの位置決め精度をより容易にあるいはより確実に確保することが可能となるような、改善された新規な光モジュールおよび光モジュールの製造方法を得る。
【解決手段】光モジュールは、例えば、第一方向を向いた第一面と、当該第一面から第一方向と直交した第二方向に離れ第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、第一面上に実装され、第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、ベースにおいて、第二面から第一方向の反対方向に凹むとともに第二方向に延び、光素子から出力された光が入力されるかあるいは前記光素子に入力される光を出力する光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、第一方向の反対方向に見た場合に、溝から第二方向の反対方向に離れた第一位置に設けられた、アライメントマークと、を備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、
前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、
前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力されるかあるいは前記光素子に入力される光を出力する光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、
前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記溝から前記第二方向の反対方向に離れた第一位置に設けられた、アライメントマークと、
を備えた、光モジュール。
【請求項2】
第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、
前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、
前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力される光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、
前記光素子と前記光ファイバとの間に位置し、前記光素子から出力された光を前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向にオフセットして前記光ファイバに入力するかあるいは前記光ファイバから出力された光を前記第三方向の反対方向にオフセットして前記光素子に入力する第一光学部品と、
前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記溝から前記第二方向の反対方向に離れた第一位置に対して前記第三方向の反対方向へ前記第一光学部品によるオフセット量だけずれた第二位置に設けられたアライメントマークと、
を備えた、光モジュール。
【請求項3】
前記第一面および前記第二面が同一部材に設けられた、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第一位置は、前記溝の前記第二方向に延びた谷線から前記第二方向の反対方向に離れた位置である、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略V字状の形状を有した、請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第一位置は、前記第二面における前記溝の前記第二方向に延びた二つの開口端縁の中心線から前記第二方向の反対方向に離れた位置である、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略U字状の形状を有した、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略逆台形状の形状を有した、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記溝の前記第二方向と交差した断面は、底部が丸められた略V字状の形状を有した、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記アライメントマークは、前記光素子に対して前記光ファイバとは反対側に位置した、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記アライメントマークは、前記光素子と前記光ファイバとの間に位置した、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記光素子に対して前記光ファイバとは反対側で前記第一面上に設けられた第二光学部品を備え、
前記アライメントマークは、前記第二光学部品を固定する接合剤に設けられた、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記第二光学部品は、前記光素子から出力された光を受光する受光素子である、請求項12に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記アライメントマークは、前記第一面上に設けられた導体パターンの縁によって構成された、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項15】
前記アライメントマークは、前記ベースに設けられ前記第一方向の反対方向に凹む凹部として構成された、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項16】
前記第一光学部品は、その位置や姿勢の調整によって前記光の前記光ファイバへの入力位置を変更可能な部品である、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項17】
前記第一光学部品として、レンズおよびアイソレータのうち少なくとも一方を備えた、請求項16に記載の光モジュール。
【請求項18】
前記光ファイバ固定部は、
前記溝が設けられ、第一接着剤によって前記被覆が除去された前記芯線が固定された第一固定部と、
前記溝に対して前記光素子とは反対側に位置し、第二接着剤によって前記光ファイバのうち前記被覆で覆われた部位が固定された第二固定部と、
を有した、請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項19】
前記第一方向において、前記第一固定部の前記溝の最深位置と、前記第二固定部の位置とが略同じである、請求項18に記載の光モジュール。
【請求項20】
前記第一接着剤の成分と前記第二接着剤の成分とが異なる、請求項18に記載の光モジュール。
【請求項21】
第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、
前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、
前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力されるかあるいは前記光素子に入力する光を出力する光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、
を備え、
前記溝内で、前記芯線は前記光ファイバ固定部とは接触せず、当該芯線と前記光ファイバ固定部との間には接着剤が介在した、光モジュール。
【請求項22】
ベースに、第一方向を向いた第一面を形成する工程と、
前記ベースに、前記第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面を形成する工程と、
前記ベースに対して固定されたアライメントマークを形成する工程と、
前記第二面に、前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、当該第二方向において既に形成された前記アライメントマークと並んだ溝を、形成する工程と、
前記第一面上に前記アライメントマークと所定の位置関係となるように光素子を設ける工程と、
光ファイバの被覆が除去された芯線が前記溝内に少なくとも部分的に収容された状態で、接着剤によって、当該芯線と前記ベースとを固定する工程と、
を備えた、光モジュールの製造方法。
【請求項23】
ベースに、第一方向を向いた第一面を形成する工程と、
前記ベースに、前記第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面を形成する工程と、
前記ベースに対して固定されたアライメントマークを形成する工程と、
前記第二面に、前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、既に形成された前記アライメントマークを通り前記第二方向に延びた第一仮想線を、前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向に所定のオフセット量だけオフセットした第二仮想線に沿った溝を、形成する工程と、
前記第一面上に前記アライメントマークと所定の位置関係となるように光素子を設ける工程と、
光ファイバの被覆が除去された芯線が前記溝内に少なくとも部分的に収容された状態で、接着剤によって、当該芯線と前記ベースとを固定する工程と、
前記ベースに、前記光素子と前記光ファイバとの間に位置し、前記光素子から出力された光を前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向にオフセットして前記光ファイバに入力するかあるいは前記光ファイバから出力された光を前記第三方向の反対方向にオフセットして前記光素子に入力する第一光学部品を、固定する工程と、
を備え、
前記オフセット量は、前記第一光学部品による光のオフセット量である、光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールおよび光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子と、当該発光素子の出力光が結合される光ファイバと、を備えた光モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の光モジュールでは、ベース上に、発光素子と光ファイバとが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2017/010570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の光モジュールにおいて、発光素子のような光素子と光ファイバとの位置決め精度が低いと、当該光素子と光ファイバとの間で光の結合効率が低下してしまう。すなわち、光素子と光ファイバとの位置決め精度をより容易にあるいはより確実に確保することができる光モジュールが得られれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、光素子と光ファイバとの位置決め精度をより容易にあるいはより確実に確保することが可能となるような、改善された新規な光モジュールおよび光モジュールの製造方法を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光モジュールは、例えば、第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力されるかあるいは前記光素子に入力される光を出力する光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記溝から前記第二方向の反対方向に離れた第一位置に設けられた、アライメントマークと、を備える。
【0007】
本発明の光モジュールは、例えば、第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力される光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、前記光素子と前記光ファイバとの間に位置し、前記光素子から出力された光を前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向にオフセットして前記光ファイバに入力するかあるいは前記光ファイバから出力された光を前記第三方向の反対方向にオフセットして前記光素子に入力する第一光学部品と、前記第一方向の反対方向に見た場合に、前記溝から前記第二方向の反対方向に離れた第一位置に対して前記第三方向の反対方向へ前記第一光学部品によるオフセット量だけずれた第二位置に設けられたアライメントマークと、を備える。
【0008】
前記光モジュールでは、前記第一面および前記第二面が同一部材に設けられてもよい。
【0009】
前記光モジュールでは、前記第一位置は、前記溝の前記第二方向に延びた谷線から前記第二方向の反対方向に離れた位置であってもよい。
【0010】
前記光モジュールでは、前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略V字状の形状を有してもよい。
【0011】
前記光モジュールでは、前記第一位置は、前記第二面における前記溝の前記第二方向に延びた二つの開口端縁の中心線から前記第二方向の反対方向に離れた位置であってもよい。
【0012】
前記光モジュールでは、前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略U字状の形状を有してもよい。
【0013】
前記光モジュールでは、前記溝の前記第二方向と交差した断面は、略逆台形状の形状を有してもよい。
【0014】
前記光モジュールでは、前記溝の前記第二方向と交差した断面は、底部が丸められた略V字状の形状を有してもよい。
【0015】
前記光モジュールでは、前記アライメントマークは、前記光素子に対して前記光ファイバとは反対側に位置してもよい。
【0016】
前記光モジュールでは、前記アライメントマークは、前記光素子と前記光ファイバとの間に位置してもよい。
【0017】
前記光モジュールは、前記光素子に対して前記光ファイバとは反対側で前記第一面上に設けられた第二光学部品を備え、前記アライメントマークは、前記第二光学部品を固定する接合材に設けられてもよい。
【0018】
前記光モジュールでは、前記第二光学部品は、前記光素子から出力された光を受光する受光素子であってもよい。
【0019】
前記光モジュールでは、前記アライメントマークは、前記第一面上に設けられた導体パターンの縁によって構成されてもよい。
【0020】
前記光モジュールでは、前記アライメントマークは、前記ベースに設けられ前記第一方向の反対方向に凹む凹部として構成されてもよい。
【0021】
前記光モジュールでは、前記第一光学部品は、その位置や姿勢の調整によって前記光の前記光ファイバへの入力位置を変更可能な部品であってもよい。
【0022】
前記光モジュールでは、前記第一光学部品として、レンズおよびアイソレータのうち少なくとも一方を備えてもよい。
【0023】
前記光モジュールでは、前記光ファイバ固定部は、前記溝が設けられ、第一接着剤によって前記被覆が除去された前記芯線が固定された第一固定部と、前記溝に対して前記光素子とは反対側に位置し、第二接着剤によって前記光ファイバのうち前記被覆で覆われた部位が固定された第二固定部と、を有してもよい。
【0024】
前記光モジュールでは、前記第一方向において、前記第一固定部の前記溝の最深位置と、前記第二固定部の位置とが略同じであってもよい。
【0025】
前記光モジュールでは、前記第一接着剤の成分と前記第二接着剤の成分とが異なってもよい。
【0026】
また、本発明の光モジュールは、例えば、第一方向を向いた第一面と、当該第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面と、を有したベースと、前記第一面上に設けられ、前記第二方向に光を出力するかあるいは当該第二方向の反対方向に光が入力される光素子と、前記ベースにおいて、前記第二面から前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、前記光素子から出力された光が入力されるかあるいは前記光素子に入力する光を出力する光ファイバの被覆が除去された芯線を少なくとも部分的に収容する溝が設けられた、光ファイバ固定部と、を備え、前記溝内で、前記芯線は前記光ファイバ固定部とは接触せず、当該芯線と前記光ファイバ固定部との間には接着剤が介在する。
【0027】
本発明の光モジュールの製造方法は、例えば、ベースに、第一方向を向いた第一面を形成する工程と、前記ベースに、前記第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面を形成する工程と、前記ベースに対して固定されたアライメントマークを形成する工程と、前記第二面に、前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、当該第二方向において既に形成された前記アライメントマークと並んだ溝を、形成する工程と、前記第一面上に前記アライメントマークと所定の位置関係となるように光素子を設ける工程と、光ファイバの被覆が除去された芯線が前記溝内に少なくとも部分的に収容された状態で、接着剤によって、当該芯線と前記ベースとを固定する工程と、を備える。
【0028】
また、本発明の光モジュールの製造方法は、例えば、ベースに、第一方向を向いた第一面を形成する工程と、前記ベースに、前記第一面から前記第一方向と直交した第二方向に離れ前記第一方向を向いた第二面を形成する工程と、前記ベースに対して固定されたアライメントマークを形成する工程と、前記第二面に、前記第一方向の反対方向に凹むとともに前記第二方向に延び、既に形成された前記アライメントマークを通り前記第二方向に延びた第一仮想線を、前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向に所定のオフセット量だけオフセットした第二仮想線に沿った溝を、形成する工程と、前記第一面上に前記アライメントマークと所定の位置関係となるように光素子を設ける工程と、光ファイバの被覆が除去された芯線が前記溝内に少なくとも部分的に収容された状態で、接着剤によって、当該芯線と前記ベースとを固定する工程と、前記ベースに、前記光素子と前記光ファイバとの間に位置し、前記光素子から出力された光を前記第一方向および前記第二方向と直交した第三方向にオフセットして前記光ファイバに入力するかあるいは前記光ファイバから出力された光を前記第三方向の反対方向にオフセットして前記光素子に入力する第一光学部品を、固定する工程と、を備え、前記オフセット量は、前記第一光学部品による光のオフセット量である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、新規な改善された光モジュールおよび光モジュールの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、第1実施形態の光モジュールの例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の光モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、第1実施形態の光モジュールのベースの例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第1実施形態の光モジュールの製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の光モジュールのベースの例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第3実施形態の光モジュールのベースの一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、第4実施形態の光モジュールのベースの一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図9図9は、第5実施形態の光モジュールのベースの例示的かつ模式的な平面図である。
図10図10は、第6実施形態の光モジュールの図3と同等位置における断面図である。
図11図11は、第7実施形態の光モジュールの図3と同等位置における断面図である。
図12図12は、第8実施形態の光モジュールの図3と同等位置における断面図である。
図13図13は、第9実施形態の光モジュールの例示的かつ模式的な斜視図である。
図14図14は、第10実施形態の光モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0032】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0033】
本明細書において、序数は、方向や、部材、部品、部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではなく、個数を限定するものでもない。
【0034】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。また、X方向は長手方向または延び方向と称され、Y方向は短手方向または幅方向と称され、Z方向は厚さ方向若しくは高さ方向と称されうる。
【0035】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の光モジュール100A(100)の斜視図である。図1に示されるように、光モジュール100は、ベース10A(10)と、発光素子20と、光ファイバ30と、受光素子40と、レンズ51と、アイソレータ52と、を備えている。発光素子20は、光素子の一例である。
【0036】
ベース10は、略角棒状の形状を有している。ベース10は、Y方向における略一定の幅を有し、X方向に延びている。ベース10は、例えば、シリコンで作られる。なお、ベース10は、例えば、窒化アルミニウムのような、熱伝導率が比較的高いセラミックで作られてもよいし、上記以外の材料で作られてもよい。
【0037】
ベース10は、面10aを有している。面10aは、Z方向の反対方向を向くとともに、Z方向と交差するとともに直交し、Y方向に略一定の幅でX方向に延びている。また、面10aは、四角形状の形状を有している。面10aは、底面あるいは下面とも称されうる。
【0038】
また、ベース10A(10)は、面10aとは反対側に、面10b,10d,10c1,10c2を有している。面10b,10d,10c1,10c2は、それぞれ、Z方向を向くとともに、Z方向と交差するとともに直交し、Y方向に略一定の幅でX方向に延びている。面10b,10d,10c1,10c2は、それぞれ、例えば、四角形状の形状を有している。面10b,10d,10c1,10c2は、X方向にこの順に並んでおり、面10c1は、面10bに対してX方向に離れている。面10b,10d,10c1,10c2は、頂面あるいは上面とも称されうる。Z方向は、第一方向の一例であり、X方向は第二方向の一例である。また、面10bは、第一面の一例であり、面10c1は、第二面の一例である。なお、面10b,10d,10c1,10c2は、本実施形態では、一例として四角形状の形状を有したが、これには限定されず、四角形状とは異なる形状を有してもよい。
【0039】
面10b,10d,10c1,10c2の面10aからのZ方向の高さH1,H3,H21,H22(厚さ)は、それぞれ異なっている。本実施形態では、一例として、高さH1,H3,H21,H22は、H1≧H21>H22>H3の関係を有している。すなわち、面10b,10d,10c1,10c2は、段差を構成している。また、面10b,10d,10c1,10c2は、部品を固定する面として利用されている。すなわち、面10b,10d,10c1,10c2は、部品固定面あるいは部品実装面とも称されうる。
【0040】
図2は、光モジュール100A(100)の平面図である。図1,2に示されるように、面10b上には、複数の電極11が形成されている。発光素子20および受光素子40は、同じ電極11上に接合材21,41を介して、それぞれ表面実装されている。接合材21,41は、例えば、電極11上に塗布されており、一例としては、はんだ箔やはんだペーストである。また、発光素子20および受光素子40のZ方向の端部に設けられた端子電極は、ボンディングワイヤ22,42を介して、互いに異なる電極11と、電気的に接続されている。電極11は、導体パターンとも称されうる。
【0041】
発光素子20は、レーザ光をX方向に出力する。発光素子20からX方向に出力された光は、レンズ51およびアイソレータ52を経由して、光ファイバ30の芯線31に入力される。すなわち、レンズ51およびアイソレータ52は、発光素子20と光ファイバ30との間に位置している。発光素子20は、例えばレーザ発光素子である。
【0042】
図2に示されるように、すなわちZ方向の反対方向に見た場合に、本実施形態では、アイソレータ52の中心線Cは、端面反射からの戻り光を防止するため、X方向に対して僅かに傾斜して配置されており、これにより、アイソレータ52からの出力光は、アイソレータ52への入力光に対し、Y方向に平行移動する。すなわち、発光素子20から出力された光は、アイソレータ52を経由することにより、Y方向にオフセット量δだけオフセットする。レンズ51およびアイソレータ52は、面10d上に、接着剤53を介して、それぞれ固定されている。レンズ51およびアイソレータ52は、第一光学部品の一例である。
【0043】
また、発光素子20は、レーザ光をX方向の反対方向にも出力する。発光素子20からX方向の反対方向に出力された光は、発光素子20に対して光ファイバ30とは反対側に設けられた受光素子40に入力される。受光素子40は、例えば、発光素子20から出力された光の強度を検出する。受光素子40は、例えばフォトダイオードである。
【0044】
光ファイバ30は、芯線31と、当該芯線31を取り囲む被覆32と、を有している。光ファイバ30は、接着剤33,34を介して、ベース10に固定されている。
【0045】
図3は、図2のIII-III断面図である。また、図4は、ベース10A(10)の平面図である。図3に示されるように、溝10eは、ベース10の面10c1からZ方向の反対方向に凹んでいる。また、図4に示されるように、溝10eは、図3に示されるような略V字状の断面形状で、X方向に延びている。
【0046】
図3に示されるように、光ファイバ30の端部において被覆32が部分的に除去されて露出した芯線31は、溝10e内に少なくとも部分的に収容されている。また、図1~3に示されるように、接着剤33は、当該芯線31の周囲を取り囲むとともに、当該芯線31と、面10c1または溝10eの内面と、の間に介在し、芯線31を、ベース10に接着している。ベース10のうち、面10c1の一部および溝10eの内面は、光ファイバ固定部60A(60)を構成している。本実施形態では、芯線31は、溝10eの内面とは直接的には接触しない。仮に、芯線31が溝10eの内面と接触してしまうと、芯線31の位置が、溝10eの位置によって制限されることになり、より精度の芯線31の良い位置決めができなくなってしまう虞がある。この点、本実施形態では、芯線31は溝10eの内面とは直接的には接触しないため、芯線31の位置が溝10eの位置によって制限されることで位置決めの精度が低下するのを抑制することができる。
【0047】
また、図1,2に示されるように、光ファイバ30のうち、被覆32が除去された部位の近傍の部位は、被覆32で覆われた状態で、面10c2上に載せられている。接着剤34は、被覆32を取り囲むとともに、当該被覆32と面10c2との間に介在し、被覆32を、ベース10に接着している。ベース10のうち、面10c2の一部は、光ファイバ固定部60A(60)を構成している。なお、芯線31の一部は、接着剤34で覆われてもよい。
【0048】
このような構成において、発光素子20から出力された光の光ファイバ30の芯線31に対する結合効率を高めるためには、発光素子20と、光ファイバ30の芯線31とが、精度良く位置決めされていることが必要である。そこで、図2,4に示されるように、本実施形態では、一例として、受光素子40の接合材41に、位置決め用のアライメントマーク41aが設けられている。アライメントマーク41aは、接合材41のX方向の端部に位置する縁に、当該縁からX方向に突出した突起として形成されている。このような構成によれば、光モジュール100の製造時に、アライメントマーク41aを基準として、溝10eを形成するとともに、発光素子20を実装することができるため、発光素子20と、光ファイバ30の芯線31との位置決め精度を高め、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30の芯線31に対する結合効率を高めることができる。また、本実施形態の構成によれば、アライメントマーク41aを、接合材41を形成する際に、比較的容易に形成することができるという利点が得られる。
【0049】
図5は、光モジュール100の製造手順の一例を示すフローチャートである。図5に示されるように、まずは、公知の半導体プロセス等により、ベース10に、面10b(第一面)、面10c1(第二面)、および面10d(第三面)を形成する(S1)。面10bと面10c1とが面一である場合、S1では、まずは当該面10bおよび面10c1となる面を形成し、次に当該面のX方向の中間部分に、適宜なマスクパターンを用いたエッチング等によって面10dを形成することにより、面10b、面10c1、および面10dを形成することができる。
【0050】
次に、図5に示されるように、ベース10に、アライメントマーク41aを形成する(S2)。本実施形態のように、アライメントマーク41aが、接合材41に形成される場合には、S1の後、S2の前に、電極11が形成される。S2では、当該電極11上に、接合材41が形成され、当該接合材41にアライメントマーク41aが設けられる。
【0051】
次に、図5に示されるように、アライメントマーク41aを基準として、溝10eを形成する(S3)。図4は、S3後のベース10の平面図である。上述したように、本実施形態では、発光素子20から出力された光は、レンズ51およびアイソレータ52を経由することにより、Y方向にオフセット量δだけオフセットする。したがって、S3において、溝10eを、図4に示されるように、Z方向の反対方向に見た場合に、その谷線10e1が、既に形成されたアライメントマーク41aを通る仮想線L1に対してY方向にオフセット量δだけオフセットした仮想線L2に沿うように、形成する。S3では、適宜なマスクパターンを用いたエッチング等によって溝10eを形成することができる。このS3により、光モジュール100の製品においては、図2に示されるように、Z方向の反対方向に見た場合に、アライメントマーク41aの基準点は、溝10eの谷線10e1に対してXの反対方向に離れた位置P1に対してY方向の反対方向へオフセット量δだけずれた位置P2に設けられていることになる。なお、アライメントマーク41aは、発光素子20に対して光ファイバ30とは反対側に位置しているが、これには限定されない。また、アライメントマーク41aの基準点は、例えば、X方向またはX方向の反対方向に尖った形状の先端のように、Y方向における位置を特定しやすい位置に設定される。仮想線L1は、第一仮想線の一例であり、仮想線L2は、第二仮想線の一例である。位置P1は、第一位置の一例であり、位置P2は、第二位置の一例である。
【0052】
ここで、図3に示されるように、Z方向における溝10eの最深位置、すなわち本実施形態では谷線10e1の位置と、Z方向における面10c2の位置とが略同じである。したがって、S3では、適宜なマスクパターンを用いたエッチング等によって、溝10eと面10c2とを並行して形成することができる。仮に、Z方向において、溝10eの最深位置と、面10c2の位置とが異なる場合、当該溝10eおよび面10c2を形成する工程がより複雑になる。この点、本実施形態によれば、溝10eと面10c2とを同時並行的に形成することができる分、ベース10ひいては光モジュール100をより容易にあるいはより迅速に製造することができる。
【0053】
次に、図5に示されるように、発光素子20および受光素子40を実装し(S4)、さらに、接着剤33,34,53によって光ファイバ30およびレンズ51およびアイソレータ52(光学部品)を固定する(S5)。
【0054】
S4では、発光素子20および受光素子40を、アライメントマーク41aに対して位置決めしながら、ベース10に実装する。この際、発光素子20および受光素子40は、Z方向の反対方向に見た場合において、アライメントマーク41aと所定の位置関係となるよう、具体的には、例えば、X方向においてアライメントマーク41aと並ぶよう、配置される。なお、X方向において並ぶ、とは、間隔をあけてX方向に沿って略一列に並んでいることを指し、並ぶ順序は問わないものとする。
【0055】
また、S5では、接着剤33,53が完全に固化していない状態で、発光素子20から光を出力し、光ファイバ30に結合された光の強度を測定しながら、芯線31の先端の位置や、レンズ51の位置や姿勢、アイソレータ52の位置や姿勢等を調整し、光ファイバ30への光の結合効率を高めてもよい。特に、本実施形態の構成によれば、アイソレータ52の中心線CのX方向に対する傾斜角度(図2参照)を調整することにより、発光素子20から出力された光のオフセット量を調整することができるので、より結合効率を高めやすいという効果が得られる。
【0056】
さらに、S5の調整においては、接着剤34を固化し被覆32で覆われた光ファイバ30の根元部分をベース10と固定した上で、接着剤33が完全に固化していない状態で、芯線31の位置の微調整を行ってもよい。そのために、接着剤34を接着剤33より速く固化する接着剤としてもよいし、接着剤33の成分と接着剤34の成分とを異ならせてもよい。ベース10の光ファイバ固定部60のうち、芯線31が接着剤33によって固定される部位としての溝10eおよび面10c1は、第一固定部の一例であり、光ファイバ30のうち被覆32で覆われた部位が接着剤34によってベース10に固定される部位としての面10c2は、第二固定部の一例である。接着剤33は、第一接着剤の一例であり、接着剤34は、第二接着剤の一例である。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態の構造および方法によれば、アライメントマーク41aを基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。
【0058】
また、本実施形態では、面10bと面10c1とが、一つのベース10、すなわち同一部材に設けられている。仮に、ベース10が複数部材で構成され、これに伴い、面10bと面10c1とがそれぞれ別の部材に設けられていた場合、面10bと面10c1との位置のずれがより大きくなるため、芯線31を溝10e内により確実に収容するために、言い換えると、面10bと面10c1との製造ばらつきによる芯線31に対する溝10eの位置ずれを吸収するため、溝10eの幅や深さ、すなわち溝10eの断面積をより大きくする必要が生じる。その場合、溝10eの断面積がより大きくなる分、接着剤33の量がより増大したり、溝10e内で芯線31の可動範囲が大きくなる分、芯線31の位置ずれがより大きくなり易くなったり、といった不都合が生じる虞がある。この点、本実施形態によれば、面10bと面10c1とが、一つのベース10、すなわち同一部材に設けられている分、アライメントマーク41aに対して溝10eの位置ずれをより小さくすることができ、これにより溝10eの断面積をより小さくすることができるため、上述したような不都合が生じるのを抑制できる、という効果が得られる。また、本実施形態によれば、接着剤33の量を減らせることにより、接着剤33の劣化による信頼性の低下を抑制できるという効果も得られる。
【0059】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のベース10B(10)の平面図である。ベース10B(10)は、第1実施形態のベース10Aに替えて、光モジュール100に組み込むことができる。
【0060】
本実施形態では、アライメントマーク10f1は、ベース10B(10)の面10bと面10c1との間の傾斜面10fの凹部として、設けられている。アライメントマーク10f1は、公知の半導体プロセス等により、面10b,10c1を形成する前に設けられてもよいし、面10b,10c1を形成した後に設けられてもよい。傾斜面10fは、面10dを形成する工程で形成される。傾斜面10fは、境界面や側面とも称されうる。
【0061】
また、本実施形態では、アライメントマーク10f1は、発光素子20と光ファイバ30との間に設けられている。
【0062】
本実施形態でも、アライメントマーク10f1を基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。
【0063】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態のベース10C(10)の一部の平面図である。ベース10C(10)は、第1実施形態のベース10Aに替えて、光モジュール100に組み込むことができる。
【0064】
本実施形態では、アライメントマーク10b1は、面10bに設けられた凹部として、設けられている。アライメントマーク10b1は、そのY方向の中央部において、X方向に延びる谷線を有しており、当該谷線をアライメントマーク10b1の基準点とすることができる。なお、面10bは、電極11で覆われているため、当該アライメントマーク10b1も電極11の導体層で覆われている。なお、アライメントマーク10b1は、導体層で覆われなくてもよい。
【0065】
本実施形態でも、アライメントマーク10b1を基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。
【0066】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態の光モジュール100のベース10D(10)の一部の平面図である。ベース10D(10)は、第1実施形態のベース10Aに替えて、光モジュール100に組み込むことができる。
【0067】
本実施形態では、アライメントマーク11aは、電極11に設けられた開口の縁によって構成されている。アライメントマーク11aとしての縁は、そのY方向の端部において、X方向に延びる部位を有しており、当該部位をアライメントマーク11aの基準点とすることができる。なお、この場合の縁は、開口の縁、すなわち内側境界には限定されず、電極11の外側境界の一部であってもよい。
【0068】
本実施形態でも、アライメントマーク11aを基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。
【0069】
[第5実施形態]
図9は、第5実施形態の光モジュール100のベース10E(10)の平面図である。ベース10E(10)は、第1実施形態のベース10Aに替えて、光モジュール100に組み込むことができる。
【0070】
本実施形態では、接合材41に、第1実施形態と同じアライメントマーク41aに加えて、溝10eの谷線10e1に対してXの反対方向に離れた位置P1に設けられたアライメントマーク41a1が設けられている。この場合、アライメントマーク41aを、発光素子20の位置決めに利用し、アライメントマーク41a1を、溝10e(谷線10e1)の位置決めに利用することができる。
【0071】
本実施形態によれば、アライメントマーク41a1を基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。
【0072】
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態の光モジュール100F(100)の図3と同等位置、すなわち、光ファイバ固定部60F(60)における断面図である。図10に示されるように、本実施形態では、ベース10F(10)の溝10eの、X方向と交差した断面は、略U字状の形状を有している。溝10eは、当該断面形状でX方向に延びている。
【0073】
図10から明らかとなるように、溝10eの底面10e3には、第1実施形態のような谷線10e1が形成されない。このような場合には、面10c1における溝10eのX方向に延びた二つの開口縁10e2の中心線を仮想線L2として、第1実施形態と同様の工程を行う。すなわち、図5のS3において、溝10eを、Z方向の反対方向に見た場合に、二つの開口縁10e2の中心線が、既に形成されたアライメントマーク41aを通る仮想線L1に対してY方向にオフセット量δだけオフセットした仮想線L2に沿うように、形成する。この場合も、S3により、光モジュール100の製品においては、Z方向の反対方向に見た場合に、アライメントマーク41aの基準点は、二つの開口縁10e2の中心線(線分)に対してXの反対方向に離れた位置P1に対してY方向の反対方向へオフセット量δだけずれた位置P2に設けられていることになる。
【0074】
本実施形態でも、アライメントマーク41a1を基準として溝10eを形成することにより、発光素子20と光ファイバ30の芯線31とをより精度良く位置決めすることができ、ひいては、発光素子20から出力された光の光ファイバ30に対する結合効率をより容易にあるいはより確実に高めることができる、という効果が得られる。なお、第1実施形態においても、本実施形態と同様に、面10c1における溝10eのX方向に延びた二つの開口縁10e2の中心線を仮想線L2として、上述した工程を行ってもよい。
【0075】
[第7実施形態]
図11は、第7実施形態の光モジュール100G(100)の図3と同等位置、すなわち、光ファイバ固定部60G(60)における断面図である。図11に示されるように、本実施形態では、ベース10G(10)の溝10eの、X方向と交差した断面は、略逆台形状の形状を有している。溝10eは、当該断面形状でX方向に延びている。
【0076】
本実施形態でも、上記第6実施形態と同様に、溝10eのX方向に延びた二つの開口縁10e2の中心線を仮想線L2として、第1実施形態と同様の工程を行えばよい。すなわち、本実施形態でも、第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
[第8実施形態]
図12は、第8実施形態の光モジュール100H(100)の図3と同等位置、すなわち、光ファイバ固定部60H(60)における断面図である。図11に示されるように、本実施形態では、ベース10H(10)の溝10eの、X方向と交差した断面は、底部が丸められた略V字状の形状を有している。溝10eは、当該断面形状でX方向に延びている。
【0078】
本実施形態でも、上記第6実施形態と同様に、溝10eのX方向に延びた二つの開口縁10e2の中心線を仮想線L2として、第1実施形態と同様の工程を行えばよい。すなわち、本実施形態でも、第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0079】
[第9実施形態]
図13は、第9実施形態の光モジュール100I(100)の斜視図である。本実施形態では、ベース10I(10)は、Y方向により幅が広い略板状の形状を有しており、発光素子20、レンズ51、アイソレータ52、および光ファイバ30の複数の組み合わせについて、共用されている。本実施形態でも、各組み合わせについてアライメントマーク41aが設けられているため、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、組み合わせの数は2には限定されず、3以上であってもよい。
【0080】
[第10実施形態]
図14は、光モジュール100J(100)の平面図である。本実施形態では、ベース10J(10)には、第1実施形態のようなレンズ51やアイソレータ52が設けられていない。このため、発光素子20から出力された光には、第1実施形態のようなY方向のオフセットが生じない。この場合、光ファイバ30は、レンズドファイバであってもよい。
【0081】
本実施形態では、第5実施形態(図9参照)と同様に、溝10eの谷線10e1に対してXの反対方向に離れた位置P1に設けられたアライメントマーク41a1が設けられている。当該アライメントマーク41a1は、溝10e(谷線10e1)の位置決めに利用することができる。本実施形態でも、上記他の実施形態と同様の効果が得られる。
【0082】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0083】
例えば、アライメントマークは、ベースに対して固定されていればよく、ベースまたは当該ベースに対して固定された種々のものに設けられうる。例えば、アライメントマークは、光素子とは別の素子の接合材に設けられてもよい。また、アライメントマークは、カメラや作業者が認識できる部位を有すればよく、種々の形状や、位置、大きさ等のスペックで、実施することができる。さらに、アライメントマークは、溝を形成する工程と並行して設けられてもよい。この場合、アライメントマークと溝とをより精度良く位置合わせすることが可能となる。また、光素子は、発光素子には限定されず、例えば、光変調器のような光を出力する発光素子とは別の素子であってもよいし、例えば、受光素子やコヒーレントミキサのような、光が入力される素子であってもよい。また、光ファイバは、光素子からの光が入力されるものには限定されず、光素子へ向けて光を出力するものであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
10,10A~10J…ベース
10a…面
10b…面(第一面)
10b1…アライメントマーク
10c1…面(第二面、第一固定部)
10c2…面(第二固定部)
10d…面(第三面)
10e…溝(第一固定部)
10e1…谷線(最深位置)
10e2…開口縁
10e3…底面
10f…傾斜面
10f1…アライメントマーク
11…電極
11a…アライメントマーク
20…発光素子(光素子)
21…接合材
22…ボンディングワイヤ
30…光ファイバ
31…芯線
32…被覆
33…接着剤
34…接着剤
40…受光素子(第二光学部品)
41…接合材
41a…アライメントマーク
41a1…アライメントマーク
42…ボンディングワイヤ
51…レンズ(第一光学部品)
52…アイソレータ(第一光学部品)
53…接着剤
60,60A,60F~60H…光ファイバ固定部
100,100A,100F~100J…光モジュール
C…中心線
H1,H21,H22,H3…高さ
L1…仮想線(第一仮想線)
L2…仮想線(第二仮想線)
P1…位置(第一位置)
P2…位置(第二位置)
X…方向(第二方向)
Y…方向(第三方向)
Z…方向(第一方向)
δ…オフセット量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14