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特開2024-112380医用画像診断システムおよび医用画像診断システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112380
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】医用画像診断システムおよび医用画像診断システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240814BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B6/00 330Z
A61B6/00 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017342
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】高山 英俊
(72)【発明者】
【氏名】坪田 圭司
【テーマコード(参考)】
4C093
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093CA37
4C093DA06
4C093ED21
4C093FF16
4C093FG07
4C093FG09
4C601DD08
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601KK24
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】被検体が乳腺領域の詳細な形状を確認してしまうことを防止しながらもユーザが被検体の乳腺領域を容易に且つ正確に検査できる医用画像診断システムおよび医用画像診断システムの制御方法を提供する。
【解決手段】医用画像診断システムは、被検体の乳房を圧迫する圧迫板(13)と、超音波プローブと、圧迫板(13)により圧迫された乳房の放射線画像における乳腺領域を検出する乳腺領域検出部(17)と、乳腺領域検出部(17)により検出された乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成する低解像度画像生成部(18)と、低解像度画像生成部(18)により生成された低解像度画像を圧迫板(13)上に描画する画像描画部とを備え、圧迫板(13)上に描画された低解像度画像に基づいて圧迫板(13)により圧迫された乳房の乳腺領域が超音波プローブにより走査される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の乳房を圧迫する圧迫板と、
超音波プローブと、
前記圧迫板により圧迫された前記乳房の放射線画像における乳腺領域を検出する乳腺領域検出部と、
前記乳腺領域検出部により検出された前記乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成する低解像度画像生成部と、
前記低解像度画像生成部により生成された前記低解像度画像を前記圧迫板上に描画する画像描画部とを備え、
前記圧迫板上に描画された前記低解像度画像に基づいて前記圧迫板により圧迫された前記乳房の前記乳腺領域が前記超音波プローブにより走査される医用画像診断システム。
【請求項2】
前記画像描画部により前記圧迫板上に描画され且つ前記超音波プローブの先端が配置された前記低解像度画像を認識するプローブ配置画像認識部を備える請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記画像描画部は、前記プローブ配置画像認識部により認識された前記低解像度画像の前記圧迫板上における表示態様を変更する請求項2に記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記乳腺領域検出部は、複数の前記乳腺領域を検出し、
前記低解像度画像生成部は、前記複数の乳腺領域を低解像度化した複数の前記低解像度画像を生成し、
前記画像描画部は、前記複数の低解像度画像を前記圧迫板上に描画し、
前記圧迫板上に描画された前記複数の低解像度画像に対する、前記超音波プローブを用いた検査の開始から現在までに前記プローブ配置画像認識部により認識された前記低解像度画像の割合を算出して、前記割合を報知する割合報知部を備える請求項2または3に記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記乳腺領域検出部により検出された前記乳腺領域に基づいて、前記乳腺領域の位置を示す乳腺位置表示画像を生成する乳腺位置表示画像生成部を備え、
前記画像描画部は、前記乳腺位置表示画像生成部により生成された前記乳腺位置表示画像を前記圧迫板上に描画された前記低解像度画像に重畳して描画する請求項1~3のいずれか一項に記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記画像描画部は、プロジェクションマッピングにより前記圧迫板上に前記低解像度画像を描画するプロジェクションマッピング装置により描画する請求項1~3のいずれか一項に記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記画像描画部は、前記圧迫板上に配置された透明ディスプレイ装置により描画する請求項1~3のいずれか一項に記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
圧迫板により圧迫された被検体の乳房の放射線画像における乳腺領域を検出し、
検出された前記乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成し、
生成された前記低解像度画像の画像を前記圧迫板上に描画し、
前記圧迫板上に描画された前記低解像度画像に基づいて前記圧迫板により圧迫された前記乳房の前記乳腺領域が超音波プローブにより走査される
医用画像診断システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の乳房の検査を行う医用画像診断システムおよび医用画像診断システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検体の乳房に対して、いわゆる放射線撮影装置を用いた放射線画像の撮影と、いわゆる超音波診断装置を用いた超音波画像の撮影を行うことによる検査が行われている。例えば、特許文献1に、被検体の乳房を圧迫板により圧迫した状態で放射線画像を撮影し、乳房を圧迫した状態で続けて超音波画像を撮影できる医用画像診断システムが開示されている。特許文献1に開示されている医用画像診断システムは、医師または技師等のユーザが乳房の乳腺領域を容易に検査できるように、被検体の乳房を圧迫している圧迫板に可視光を照射することで、圧迫板上に乳腺領域を投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-127650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、圧迫板上に乳腺領域の詳細な形状が投影されるため、検査を受けている被検体が投影された乳腺領域を意図せず確認してしまうことがあった。被検体によっては、自身の乳腺領域の詳細な形状を確認してしまうことを忌避する場合がある。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、被検体が乳腺領域の詳細な形状を確認してしまうことを防止しながらもユーザが被検体の乳腺領域を容易に且つ正確に検査できる医用画像診断システムおよび医用画像診断システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔1〕 被検体の乳房を圧迫する圧迫板と、
超音波プローブと、
圧迫板により圧迫された乳房の放射線画像における乳腺領域を検出する乳腺領域検出部と、
乳腺領域検出部により検出された乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成する低解像度画像生成部と、
低解像度画像生成部により生成された低解像度画像を圧迫板上に描画する画像描画部とを備え、
圧迫板上に描画された低解像度画像に基づいて圧迫板により圧迫された乳房の乳腺領域が超音波プローブにより走査される医用画像診断システム。
〔2〕 画像描画部により圧迫板上に描画され且つ超音波プローブの先端が配置された低解像度画像を認識するプローブ配置画像認識部を備える〔1〕に記載の医用画像診断システム。
〔3〕 画像描画部は、プローブ配置画像認識部により認識された低解像度画像の圧迫板上における表示態様を変更する〔2〕に記載の医用画像診断システム。
〔4〕 乳腺領域検出部は、複数の乳腺領域を検出し、
低解像度画像生成部は、複数の乳腺領域を低解像度化した複数の低解像度画像を生成し、
画像描画部は、複数の低解像度画像を圧迫板上に描画し、
圧迫板上に描画された複数の低解像度画像に対する、超音波プローブを用いた検査の開始から現在までにプローブ配置画像認識部により認識された低解像度画像の割合を算出して、割合を報知する割合報知部を備える〔2〕または〔3〕に記載の医用画像診断システム。
〔5〕 乳腺領域検出部により検出された乳腺領域に基づいて、乳腺領域の位置を示す乳腺位置表示画像を生成する乳腺位置表示画像生成部を備え、
画像描画部は、乳腺位置表示画像生成部により生成された乳腺位置表示画像を圧迫板上に描画された低解像度画像に重畳して描画する〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の医用画像診断システム。
〔6〕 画像描画部は、プロジェクションマッピングにより圧迫板上に低解像度画像を描画するプロジェクションマッピング装置により描画する〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の医用画像診断システム。
〔7〕 画像描画部は、圧迫板上に配置された透明ディスプレイ装置により描画する〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の医用画像診断システム。
〔8〕 圧迫板により圧迫された被検体の乳房の放射線画像における乳腺領域を検出し、
検出された乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成し、
生成された低解像度画像の画像を圧迫板上に描画し、
圧迫板上に描画された低解像度画像に基づいて圧迫板により圧迫された乳房の乳腺領域が超音波プローブにより走査される
医用画像診断システムの制御方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、医用画像診断システムが、被検体の乳房を圧迫する圧迫板と、超音波プローブと、圧迫板により圧迫された乳房の放射線画像における乳腺領域を検出する乳腺領域検出部と、乳腺領域検出部により検出された乳腺領域を低解像度化した低解像度画像を生成する低解像度画像生成部と、低解像度画像生成部により生成された低解像度画像を圧迫板上に描画する画像描画部とを備え、圧迫板上に描画された低解像度画像に基づいて圧迫板により圧迫された乳房の乳腺領域が超音波プローブにより走査されるため、被検体が乳腺領域の詳細な形状を確認してしまうことを防止しながらもユーザが被検体の乳腺領域を容易に且つ正確に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る医用画像診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1における放射線撮影装置の外観の例を模式的に示す図である。
図4】被検体の乳房の放射線画像における乳腺領域の例を模式的に示す図である。
図5】低解像度画像の例を模式的に示す図である。
図6】低解像度画像の他の例を模式的に示す図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるコンソールの構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態1における超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施の形態1における送受信回路の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
図11】本発明の実施の形態1に係る医用画像診断システムの動作を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態1の変形例における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図13】本発明の実施の形態2における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図14】乳腺位置表示画像の例を模式的に示す図である。
図15】本発明の実施の形態3における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図16】超音波プローブの先端が配置された低解像度画像の例を模式的に示す図である。
図17】本発明の実施の形態3の変形例における超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図18】本発明の実施の形態3の変形例における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図19】本発明の実施の形態4における放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図20】認識された低解像度画像の割合の報知例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0010】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1に係る医用画像診断システムの構成を示す。医用画像診断システムは、放射線撮影装置1とコンソール2を含む放射線撮影システム3と、コンソール2に接続される超音波診断装置4と、コンソール2および超音波診断装置4に接続するRIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)5を備えている。
【0011】
図2において、放射線撮影装置1は、放射線源11と、放射線源11に接続される線源移動部12を有している。また、放射線撮影装置1は、圧迫板13と、圧迫板13に接続される圧迫板駆動部14を有している。また、放射線撮影装置1は、放射線検出器15を有している。放射線検出器15に放射線画像メモリ16が接続されている。放射線画像メモリ16に乳腺領域検出部17および低解像度画像生成部18が順次接続されている。低解像度画像生成部18にプロジェクションマッピング装置19が接続されている。また、放射線画像メモリ16に通信回路20が接続されている。通信回路20は、コンソール2に接続される。
【0012】
また、放射線源11、線源移動部12、圧迫板駆動部14、放射線検出器15、放射線画像メモリ16、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18、プロジェクションマッピング装置19および通信回路20に、放射線撮影装置制御部21が接続されている。放射線撮影装置制御部21に、入力装置22が接続されている。また、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18および放射線撮影装置制御部21により、放射線撮影装置1用のプロセッサ23が構成されている。また、プロジェクションマッピング装置19と放射線撮影装置制御部21により、画像描画部が形成される。
【0013】
また、放射線撮影装置1は、図3に示すように、圧迫板13の直下に位置する撮影台24を備えている。撮影台24には検査時に被検体の乳房が配置される撮影面24Aが形成されている。また、撮影台24は、放射線検出器15を内蔵している。撮影台24は、例えばカーボン材料等により形成され、放射線源11から発せられる放射線Rを透過する。撮影台24を透過した放射線Rは放射線検出器15に到達する。
【0014】
放射線撮影装置1は、アーム部25、基台26および軸部27を有している。アーム部25は基台26によって上下方向(高さ方向)に移動可能に保持される。軸部27は、アーム部25を基台26に連結する。アーム部25は、軸部27を回転軸として基台26に対して回転することができる。
【0015】
放射線源11は、放射線撮影装置制御部21の制御の下で管電圧が印加されることにより放射線Rを発する。
線源移動部12は、放射線撮影装置制御部21の制御の下で、軸部27を回転軸としてアーム部25を基台26に対して回転することにより、放射線源11の傾き角度を変更し、放射線源11から発せられる放射線Rの照射方向を調整する。
【0016】
圧迫板駆動部14は、放射線撮影装置制御部21の制御の下で、圧迫板13を上下方向に移動する。
【0017】
圧迫板13は、撮影台24の撮影面24A上に配置された被検体の乳房を、撮影台24との間で挟み込むことによって、被検体の乳房を圧迫する。圧迫板13は、乳房の圧迫における位置合わせ、乳房の圧迫状態の確認を行うために透明であることが好ましく、放射線Rおよび超音波に対する透過性に優れた材料によって形成される。圧迫板13の材料として、例えば、ポリメチルペンテン(PMP:Polymethylpentene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、アクリル、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)およびポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)等の樹脂材料を用いることができる。特に、ポリメチルペンテンは剛性が低く且つ伸縮性および可撓性に優れ、超音波の反射率に影響する音響インピーダンスが人体(乳房)に近いため、圧迫板13の材料として適している。
【0018】
放射線画像を撮影する際には、被検体の乳房が圧迫板13により圧迫されている状態で、放射線源11から放射線Rが発せられる。放射線Rは、圧迫板13、被検体の乳房および撮影台24を透過して放射線検出器15に到達する。
【0019】
放射線検出器15は、被検体の乳房を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて被検体の乳房の放射線画像データを生成する。以下では、放射線画像データを単に放射線画像と呼ぶ。放射線検出器15の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し且つ変換した光を電荷に変換する、いわゆる間接変換方式の放射線検出器であってもよく、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0020】
放射線画像メモリ16は、放射線撮影装置制御部21の制御の下で、放射線検出器15により生成された放射線画像を保存する。放射線画像メモリ16としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disk:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disk:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、または、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア等を用いることができる。
【0021】
乳腺領域検出部17は、被検体の乳房の放射線画像を解析することにより、図4に示すような乳腺領域Aを検出する。ここで、一般的に、乳房Bの放射線画像RGにおける乳腺領域Aは、比較的放射線を透過しにくいため高輝度の領域として描出される。そのため、乳腺領域検出部17は、例えば、放射線画像RGに対して輝度しきい値を有し、輝度しきい値以上の輝度を有する領域を乳腺領域Aとして検出できる。
【0022】
低解像度画像生成部18は、乳腺領域検出部17により検出された乳腺領域Aを低解像度化した低解像度画像を生成する。低解像度画像生成部18は、例えば図5に示すように、乳腺領域Aに対していわゆるモザイク処理を施した低解像度画像LMを生成できる。また、低解像度画像生成部18は、例えば図6に示すように、乳腺領域Aを囲む円を低解像度画像LCとして生成することもできる。なお、低解像度画像生成部18は、モザイク状の低解像度画像LMおよび円形の低解像度画像LCの他に、乳腺領域Aの位置を示し且つ乳腺領域Aの形状とは異なる形状を有する任意の画像を低解像度画像として生成できる。
【0023】
プロジェクションマッピング装置19は、放射線撮影装置制御部21の制御の下で、圧迫板13の上面13A上に可視光Vを照射するいわゆるプロジェクションマッピングを行って、低解像度画像生成部18によって生成された低解像度画像LMを圧迫板13上に描画する。圧迫板13は透明であるため、プロジェクションマッピング装置19により被検体の乳房Bを圧迫している圧迫板13上に低解像度画像LMが描画されると、低解像度画像LMは圧迫された乳房Bに重畳されているように見える。
【0024】
プロジェクションマッピング装置19は、例えば図3に示すように放射線撮影装置1に取り付けることもでき、放射線撮影装置1の外部で且つ圧迫板13の上面13Aに可視光Vを照射可能な位置に配置することもできる。
【0025】
通信回路20は、いわゆる有線通信またはいわゆる無線通信によりコンソール2に接続され、放射線画像RG等の情報をコンソール2に送信し、また、放射線撮影装置1の各部を動作させるための指示情報等をコンソール2から受信する。
【0026】
入力装置22は、医師または技師等のユーザが入力操作を行う装置である。入力装置22は、例えば、放射線撮影装置1の撮影台24等に複数のスイッチとして設けられることができる。入力装置22は機械式のスイッチであってもよく、タッチパネル式のスイッチであってもよい。また、入力装置22は、ユーザが足で入力操作を行うフットスイッチであってもよい。
放射線撮影装置制御部21は、予め記録されたプログラム等に従って放射線撮影装置1の各部を制御する。
【0027】
乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18および放射線撮影装置制御部21を有するプロセッサ23は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、または、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0028】
また、プロセッサ23の乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18および放射線撮影装置制御部21は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0029】
コンソール2は、RIS等から取得した撮影指示情報等を用いて放射線撮影装置1および超音波診断装置4を制御する他、放射線撮影装置1により撮影された放射線画像RGおよび後述する超音波診断装置4により撮影された超音波画像を表示する。
【0030】
図7に示すように、コンソール2は、放射線撮影装置1、超音波診断装置4およびRIS5に接続される通信回路31を有している。通信回路31に表示制御部32およびモニタ33が順次接続されている。また、通信回路31および表示制御部32にコンソール制御部34が接続されている。コンソール制御部34に入力装置35が接続されている。また、表示制御部32およびコンソール制御部34によりコンソール2用のプロセッサ36が構成されている。
【0031】
通信回路31は、有線通信または無線通信により放射線撮影装置1、超音波診断装置4およびRIS5に接続され、放射線撮影装置1、超音波診断装置4およびRIS5に対して、放射線画像RGまたは撮影指示情報等の情報のやり取りを行う。
【0032】
表示制御部32は、コンソール制御部34の制御の下で、放射線撮影装置1から送信された放射線画像RGおよび超音波診断装置4から送信された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ33に表示する。
【0033】
モニタ33は、表示制御部32の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ33は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含むことができる。
【0034】
入力装置35は、放射線画像RGの撮影に関する指示等をユーザが入力するために用いられる。入力装置35は、機械式のスイッチ、タッチパネルまたはマウス等を含むことができる。
コンソール制御部34は、予め記録されたプログラム等に従ってコンソール2の各部を制御する。
【0035】
表示制御部32とコンソール制御部34を有するプロセッサ36は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、または、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。また、プロセッサ36の表示制御部32とコンソール制御部34は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0036】
超音波診断装置4は、図8に示すように、超音波プローブ6と、それに接続される装置本体7を備えている。超音波プローブ6は振動子アレイ41を有しており、振動子アレイ41に送受信回路42が接続されている。
【0037】
装置本体7は、超音波プローブ6の送受信回路42に接続される画像生成部51を備えている。画像生成部51に超音波画像メモリ52が接続されている。超音波画像メモリ52に、表示制御部53およびモニタ54が順次接続されている。また、超音波画像メモリ52に通信回路55が接続されている。通信回路55は、コンソール2とRIS5に接続されている。また、送受信回路42、画像生成部51、超音波画像メモリ52、表示制御部53および通信回路55に超音波診断装置制御部56が接続されている。超音波診断装置制御部56に入力装置57が接続されている。
【0038】
また、画像生成部51、表示制御部53および超音波診断装置制御部56により、超音波診断装置4用のプロセッサ58が構成されている。
【0039】
超音波プローブ6の振動子アレイ41は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ送受信回路42から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0040】
送受信回路42は、超音波診断装置制御部56による制御の下で、振動子アレイ41から超音波を送信し且つ振動子アレイ41により取得された受信信号に基づいて音線信号を生成する。送受信回路42は、図9に示すように、振動子アレイ41に接続されるパルサ61と、振動子アレイ41から順次直列に接続される増幅部62、AD(Analog to Digital)変換部63およびビームフォーマ64を有している。
【0041】
パルサ61は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、超音波診断装置制御部56からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ41の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ41の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0042】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ6の振動子アレイ41に向かって伝搬する。このように振動子アレイ41に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部62に出力する。
【0043】
増幅部62は、振動子アレイ41を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部63に送信する。AD変換部63は、増幅部62から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ64は、AD変換部63から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部63で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0044】
画像生成部51は、図10に示すように、信号処理部65、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)66および画像処理部67が順次直列に接続された構成を有している。
【0045】
信号処理部65は、送受信回路42から受信した音線信号に対し、超音波診断装置制御部56により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0046】
DSC66は、信号処理部65で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部67は、DSC66から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部53および通信回路55に送出する。以降は、画像処理部67により画像処理が施されたBモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。
【0047】
超音波画像メモリ52は、画像生成部51により生成された超音波画像を保存する。超音波画像メモリ52としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SSD、FD、MOディスク、MT、RAM、CD、DVD、SDカード、または、USBメモリ等の記録メディア等を用いることができる。
【0048】
表示制御部53は、超音波診断装置制御部56の制御の下で、画像生成部51により生成された超音波画像等に対して所定の処理を施して、モニタ54に表示する。
モニタ54は、表示制御部53の制御の下で、種々の表示を行う。モニタ54は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を含むことができる。
【0049】
通信回路55は、有線通信または無線通信によりコンソール2およびRIS5に接続され、コンソール2およびRIS5に対して、超音波画像または撮影指示情報等の情報のやり取りを行う。
【0050】
超音波診断装置制御部56は、予め記録されたプログラム等に従って装置本体7の各部および超音波プローブ6を制御する。
入力装置57は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力された情報を超音波診断装置制御部56に送出する。入力装置57は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等のユーザが入力操作を行うための装置等により構成される。
【0051】
画像生成部51、表示制御部53および超音波診断装置制御部56を有するプロセッサ58は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、または、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。また、プロセッサ58の画像生成部51、表示制御部53および超音波診断装置制御部56は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成されることもできる。
【0052】
RIS5は、複数の被検体毎に放射線撮影システム3および超音波診断装置4を用いた検査を、それらの検査結果と合わせて管理するシステムであり、例えば図示しないサーバ装置またはコンピュータにより構成できる。ユーザは、RIS5にアクセスすることで被検体毎に検査の予約、検査結果の記録、検査結果の閲覧等を行うことができる。
【0053】
次に、図11のフローチャートを用いて実施の形態1に係る医用画像診断システムの動作の例を説明する。
【0054】
まず、ステップS1において、圧迫板13により被検体の乳房Bを圧迫する。この際に、撮影台24の撮影面24A上に被検体の乳房Bを配置した状態で、例えば、放射線撮影装置制御部21が、ユーザにより放射線撮影装置1の入力装置22を介して入力された指示情報に基づいて圧迫板駆動部14を動作させ、圧迫板13を移動させることで圧迫板13により乳房Bを圧迫できる。
【0055】
次に、ステップS2において、圧迫板13に圧迫された乳房Bの放射線画像RGが撮影される。この際に、例えば入力装置22を介したユーザの入力操作に基づいて、線源移動部12が放射線源11の傾き角度を調整し、その後、放射線源11から圧迫板13に圧迫された乳房Bに向かって放射線Rが照射される。ここで照射された放射線Rは、圧迫板13、被検体の乳房Bおよび撮影台24を透過して放射線検出器15に到達する。放射線検出器15は放射線Rを検出し、検出された放射線Rに基づいて、例えば図4に示すような被検体の乳房Bの放射線画像RGを生成する。このようにして生成された放射線画像RGは、画像データとして放射線画像メモリ16に保存される。
【0056】
ステップS3において、乳腺領域検出部17は、ステップS2で生成され且つ放射線画像メモリ16に保存された放射線画像RGを読み出して解析することで、被検体の乳房Bにおける乳腺領域Aを検出する。一般的に、乳房Bの放射線画像RGにおいて乳腺領域Aは高輝度の領域として描出されるため、乳腺領域検出部17は、例えば、定められた輝度しきい値以上の輝度を有する領域を乳腺領域Aとして検出できる。
【0057】
ステップS4において、低解像度画像生成部18は、ステップS3において検出された乳腺領域Aの画像を低解像度化することにより、低解像度画像を生成する。低解像度画像生成部18は、例えば、乳腺領域Aの画像に対してモザイク処理を施すことにより図5に示すようなモザイク状の低解像度画像LMを生成することができる。また、低解像度画像生成部18は、例えば、乳腺領域Aの位置を示す円形の低解像度画像LCを生成することもできる。以下のフローチャートの説明では、モザイク状の低解像度画像LMが生成される例を記載する。
【0058】
ステップS5において、放射線撮影装置制御部21は、プロジェクションマッピング装置19により、ステップS4で生成された低解像度画像LMを圧迫板13の上面13Aに描画する。圧迫板13は透明であるため、プロジェクションマッピング装置19により被検体の乳房Bを圧迫している圧迫板13上に低解像度画像LMが描画されると、低解像度画像LMは圧迫された乳房Bに重畳されているように見える。
【0059】
ユーザは、このようにして圧迫板13上に描画された低解像度画像LMを確認することにより、圧迫された乳房Bにおける乳腺領域Aの位置を正確に把握できる。また、被検体によっては自身の乳腺領域Aの詳細な形状を確認してしまうことを忌避することがある。しかしながら、圧迫板13上には低解像度画像LMが描出されているため、被検体が圧迫板13上に描出された低解像度画像LMを意図せずに確認したとしても、乳腺領域Aの詳細な形状を把握してしまうことを防止できる。
【0060】
最後に、ステップS6において、ユーザにより超音波プローブ6の先端が、ステップS5で圧迫板13上に描出された低解像度画像LMの位置すなわち乳腺領域Aの位置に配置された状態で、乳腺領域Aの超音波画像が撮影される。ここで生成された超音波画像は、超音波診断装置4の超音波画像メモリ52に保存され且つモニタ54に表示される他、コンソール2およびRIS5に送信されて、閲覧または保存される。
【0061】
超音波画像を撮影する際に、ユーザは、圧迫板13上の低解像度画像LMを確認しながら超音波プローブ6の先端を乳腺領域A上に配置できるため、乳腺領域Aを容易に且つ正確に検査できる。
【0062】
このようにしてステップS6の処理が完了すると、図11のフローチャートに従う医用画像診断システムの動作が完了する。
【0063】
以上から、実施の形態1に係る医用画像診断システムによれば、低解像度画像生成部18が、乳腺領域検出部17により検出された乳腺領域Aを低解像度化した低解像度画像LMを生成し、画像描画部が、プロジェクションマッピング装置19を用いて圧迫板13上に低解像度画像LMを描画するため、被検体が乳腺領域Aの詳細な形状を確認してしまうことを防止しながらもユーザが被検体の乳腺領域Aを容易に且つ正確に検査できる。
【0064】
なお、乳腺領域検出部17と低解像度画像生成部18が放射線撮影装置1に備えられることが説明されているが、乳腺領域検出部17と低解像度画像生成部18は、例えば超音波診断装置4に設けることもできる。この場合に、放射線撮影装置1からコンソール2を経由して超音波診断装置4に乳房Bの放射線画像RGが送信され、超音波診断装置4の乳腺領域検出部17により放射線画像RGに写る乳腺領域Aが検出され、低解像度画像生成部18により低解像度画像LMが生成される。このようにして超音波診断装置4において生成された低解像度画像LMは、超音波診断装置4からコンソール2を経由して放射線撮影装置1に送信される。放射線撮影装置1において、超音波診断装置4から送信された低解像度画像LMがプロジェクションマッピング装置19に送出される。その後、放射線撮影装置制御部21の制御の下でプロジェクションマッピング装置19により、圧迫板13上に低解像度画像LMが描出される。
同様にして、乳腺領域検出部17と低解像度画像生成部18をコンソール2に設けることもできる。
【0065】
また、圧迫板13上に低解像度画像LMを描出する画像描出部がプロジェクションマッピング装置19を有することが説明されているが、プロジェクションマッピング装置19の代わりに、圧迫板13上に画像を描画できる任意の構成を有することもできる。画像描出部は、例えば、図12に示すように、いわゆる透明ディスプレイ装置71を有することもできる。
【0066】
ここで、図12の放射線撮影装置1Aは、図2の放射線撮影装置1におけるプロジェクションマッピング装置19の代わりに透明ディスプレイ装置71を有し、放射線撮影装置制御部21の代わりに放射線撮影装置制御部21Aを有する。また、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18および放射線撮影装置制御部21Aによりプロセッサ23Aが構成される。
【0067】
透明ディスプレイ装置71は、透明な表示画面を有し且つその表示画面に画像を表示できる装置である。透明ディスプレイ装置71は、圧迫板13に重ねて配置され、放射線撮影装置制御部21Aの制御の下で、低解像度画像生成部18により生成された低解像度画像LMを表示する。透明ディスプレイ装置71の表示画面と圧迫板13は透明であるため、透明ディスプレイ装置71が低解像度画像LMを表示すると、低解像度画像LMは圧迫された乳房Bに重畳されているように見える。
【0068】
そのため、放射線撮影装置1Aが透明ディスプレイ装置71を有する場合でも、放射線撮影装置1がプロジェクションマッピング装置19を有する場合と同様にして、被検体が乳腺領域Aの詳細な形状を確認してしまうことを防止しながらもユーザが被検体の乳腺領域Aを容易に且つ正確に検査できる。
【0069】
また、超音波診断装置4において、送受信回路42が超音波プローブ6に備えられることが説明されているが、送受信回路42は装置本体7に備えられていてもよい。
また、画像生成部51が装置本体7に備えられることが説明されているが、画像生成部51は超音波プローブ6に備えられていてもよい。
【0070】
また、装置本体7は、いわゆる据え置き型でもよく、持ち運びが容易な携帯型でもよく、例えばスマートフォンまたはタブレット型のコンピュータにより構成される、いわゆるハンドヘルド型でもよい。このように、装置本体7を構成する機器の種類は特に限定されない。
【0071】
実施の形態2
実施の形態1では、低解像度画像LMが圧迫板13上に描画されることが説明されているが、圧迫板13上において低解像度化する前の乳腺領域Aの位置をさらに表示することで、ユーザが乳腺領域Aの位置をより明確に把握できる。
【0072】
実施の形態2の医用画像診断システムは、例えば図13に示す放射線撮影装置1Bを有する。放射線撮影装置1Bは、図2に示す実施の形態1における放射線撮影装置1において、乳腺位置表示画像生成部72をさらに備え、放射線撮影装置制御部21の代わりに放射線撮影装置制御部21Bを備えている。放射線撮影装置1Bにおいて、乳腺領域検出部17に乳腺位置表示画像生成部72が接続されている。乳腺位置表示画像生成部72は、プロジェクションマッピング装置19および放射線撮影装置制御部21Bに接続している。また、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18、乳腺位置表示画像生成部72および放射線撮影装置制御部21Bにより、放射線撮影装置1B用のプロセッサ23Bが構成されている。
【0073】
乳腺位置表示画像生成部72は、乳腺領域検出部17により検出された乳腺領域Aに基づいて、乳腺領域Aの位置を示す乳腺位置表示画像を生成する。乳腺位置表示画像生成部72は、例えば、乳腺領域検出部17により検出された乳腺領域Aの重心の位置を算出し、算出された重心の位置を表す、例えば図14に示すような重心画像Pを乳腺位置表示画像として生成できる。なお、乳腺位置表示画像は、乳腺領域Aの位置を示し且つ乳腺領域Aの詳細な形状を表さない画像であれば重心画像Pに限定されず、例えば、乳腺領域Aの位置を示す円形、楕円形または任意の多角形等の形状を有する画像であってもよい。
【0074】
画像描画部は、プロジェクションマッピング装置19を用いて、乳腺位置表示画像生成部72により生成された乳腺位置表示画像を、圧迫板13上に描画された低解像度画像LMに重畳して描画する。
【0075】
以上から、実施の形態2の医用画像診断システムによれば、乳腺位置表示画像生成部72が乳腺領域Aの位置を示す乳腺位置表示画像を生成し、画像描画部が乳腺位置表示画像を圧迫板13上に描画された低解像度画像LMに重畳して描画するため、ユーザは、低解像度画像LMと合わせて乳腺位置表示画像を確認して、超音波プローブ6の先端をより正確に乳腺領域Aの位置に配置できる。
【0076】
なお、乳腺位置表示画像生成部72は、放射線撮影装置1Bに備えられることが説明されているが、コンソール2に設けることもでき、超音波診断装置4に設けることもできる。
【0077】
実施の形態3
実施の形態1および2では、圧迫板13上に低解像度画像LMを表示することが記載されているが、ユーザが走査済みの乳腺領域Aと走査前の乳腺領域Aを把握して検査をより円滑に行うために、走査済みの乳腺領域Aに対応する低解像度画像LMの表示態様を走査の前後で変更することもできる。
【0078】
図15に、実施の形態3の医用画像診断システムにおける放射線撮影装置1Cの構成を示す。放射線撮影装置1Cは、図2に示す実施の形態1における放射線撮影装置1において、光学カメラ73と光学画像解析部74をさらに備え、放射線撮影装置制御部21の代わりに放射線撮影装置制御部21Cを備えている。
【0079】
放射線撮影装置1Cにおいて、光学カメラ73は、放射線撮影装置制御部21Cに接続されている。光学カメラ73に光学画像解析部74が接続されている。光学画像解析部74は、プロジェクションマッピング装置19および放射線撮影装置制御部21Cに接続している。また、光学カメラ73と光学画像解析部74により、プローブ配置画像認識部が構成されている。
【0080】
光学カメラ73は、例えば放射線撮影装置1Cのアーム部25に取り付けられ、圧迫板13により圧迫された被検体の乳房Bの光学画像を撮影する。光学カメラ73は、例えばいわゆるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサまたはいわゆるCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等のイメージセンサを含む。
【0081】
光学画像解析部74は、光学カメラ73により撮影された光学画像を解析することにより、圧迫板13上に描出された低解像度画像LMと、超音波プローブ6を検出し、画像描画部により圧迫板13上に描画され且つ超音波プローブ6の先端が配置された低解像度画像LMを認識する。光学画像解析部74は、例えば、いわゆるテンプレートマッチングの方法により光学画像に写る低解像度画像LMと超音波プローブ6を検出できる。また、光学画像解析部74は、例えば、複数の低解像度画像LMと超音波プローブ6の複数の光学画像を教師データとして学習した機械学習モデルを用いて光学画像に写る低解像度画像LMと超音波プローブ6を検出し、超音波プローブ6の先端が配置された低解像度画像LMを認識することもできる。
【0082】
画像描画部は、プロジェクションマッピング装置19を用いて、例えば図16に示すように、光学画像解析部74により認識された低解像度画像LMの圧迫板13上における表示態様を変更できる。図16では、6個の乳腺領域Aに対応する6個の低解像度画像LMが圧迫板13上に描画され、それらのうち2つの乳腺領域Aの表示色が変更される例が示されている。画像描画部は、低解像度画像LMの表示色を変更する他に、例えば、低解像度画像LMの輪郭の太さを変更する、低解像度画像LMを点滅させる等の、任意の表示態様の変更を行うことができる。
【0083】
以上から、実施の形態3の医用画像診断システムによれば、プローブ配置画像認識部が圧迫板13上に描画され且つ超音波プローブ6の先端が配置された低解像度画像LMを認識し、画像描画部が、プローブ配置画像認識部により認識された低解像度画像LMの圧迫板13上における表示態様を変更するため、ユーザは、走査済みの乳腺領域Aおよび未走査の乳腺領域Aを容易に把握して検査をより円滑に行うことができる。
【0084】
なお、光学カメラ73は、放射線撮影装置1Cに備えられることが説明されているが、圧迫板13と圧迫板13上に配置される超音波プローブ6の光学画像を明瞭に撮影できる位置であれば、放射線撮影装置1Cの外部に配置することもできる。
【0085】
また、光学画像解析部74は、放射線撮影装置1Cに備えられることが説明されているが、例えばコンソール2に設けられてもよく、超音波診断装置4に設けられてもよい。
【0086】
また、プローブ配置画像認識部が光学カメラ73と光学画像解析部74により構成されることが説明されているが、プローブ配置画像認識部の構成は、これに特に限定されない。例えば、プローブ配置画像認識部は、超音波プローブ6の位置を検出する位置センサにより得られた情報を解析することにより、画像描画部により圧迫板13上に描画され且つ超音波プローブ6の先端が配置された低解像度画像LMを認識することもできる。
【0087】
例えば、図17に、実施の形態3の変形例における超音波診断装置4Dの構成を示す。超音波診断装置4Dは、図8に示す実施の形態4における超音波診断装置4において、超音波プローブ6に取り付けられた位置センサ75をさらに備え、装置本体7の代わりに装置本体7Dを備えている。装置本体7Dは、装置本体7において、超音波診断装置制御部56の代わりに超音波診断装置制御部56Dを備えている。超音波診断装置4Dにおいて、位置センサ75は、通信回路55および超音波診断装置制御部56Dに接続している。また、画像生成部51、表示制御部53および超音波診断装置制御部56Dにより、装置本体7D用のプロセッサ58Dが構成されている。
【0088】
位置センサ75は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)センサ等のセンサ装置を含み、超音波プローブ6の先端の位置を検出する。位置センサ75の検出信号は、通信回路55からコンソール2を経由して、例えば図18に示す放射線撮影装置1Dに送信される。
【0089】
放射線撮影装置1Dは、図2に示す実施の形態1における放射線撮影装置1において、センサ情報解析部76をさらに備え、放射線撮影装置制御部21の代わりに放射線撮影装置制御部21Dを備えている。放射線撮影装置1Dにおいて、低解像度画像生成部18および通信回路20にセンサ情報解析部76が接続されている。センサ情報解析部76は、プロジェクションマッピング装置19および放射線撮影装置制御部21Dに接続している。超音波診断装置4Dの位置センサ75と放射線撮影装置1Dのセンサ情報解析部76により、プローブ配置画像認識部が構成される。また、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18、センサ情報解析部76および放射線撮影装置制御部21Dにより、放射線撮影装置1D用のプロセッサ23Dが構成されている。
【0090】
センサ情報解析部76は、低解像度画像生成部18から低解像度画像LMの配置位置に関する情報を受け取り、位置センサ75により検出され且つ通信回路20から送出された超音波プローブ6の先端の位置に関する検出信号を受け取る。センサ情報解析部76は、低解像度画像LMの配置位置に関する情報と超音波プローブ6の先端の位置に関する検出信号に基づいて、画像描画部により圧迫板13上に描画され且つ超音波プローブ6の先端が配置された低解像度画像LMを認識できる。
【0091】
なお、センサ情報解析部76は、放射線撮影装置1Dの代わりに、コンソール2に設けられてもよく、超音波診断装置4Dに設けられてもよい。
【0092】
実施の形態4
被検体の乳房Bにおいて複数の乳腺領域Aが検出された場合に、医用画像診断システムは、例えば、ユーザが検査の進行状況を容易に把握するために、走査済みの乳腺領域Aの割合を報知することもできる。
【0093】
図19に、実施の形態4の医用画像診断システムにおける放射線撮影装置1Eの構成を示す。放射線撮影装置1Eは、図15に示す実施の形態3における放射線撮影装置1Cにおいて、割合報知部77をさらに備え、放射線撮影装置制御部21Dの代わりに放射線撮影装置制御部21Eを備えている。
【0094】
放射線撮影装置1Eにおいて、光学画像解析部74に割合報知部77が接続されている。割合報知部77は、プロジェクションマッピング装置19および放射線撮影装置制御部21Eに接続している。また、乳腺領域検出部17、低解像度画像生成部18、光学画像解析部74、割合報知部77および放射線撮影装置制御部21Eにより、放射線撮影装置1E用のプロセッサ23Eが構成されている。
【0095】
実施の形態4において、乳腺領域検出部17は、被検体の乳房Bの放射線画像RGにおいて複数の乳腺領域Aを検出する。
低解像度画像生成部18は、例えば図16に示すように、乳腺領域検出部17によって検出された複数の乳腺領域Aをそれぞれ低解像度化した複数の低解像度画像LMを生成する。
画像描画部は、プロジェクションマッピング装置19を用いて、低解像度画像生成部18により生成された複数の低解像度画像LMを圧迫板13上に描画する。
【0096】
割合報知部77は、圧迫板13上に描画された複数の低解像度画像LMに対する、超音波プローブ6を用いた検査の開始から現在までにプローブ配置画像認識部、より詳細には光学画像解析部74により認識された低解像度画像LMの割合を算出して、その割合を報知する。なお、割合報知部77は、例えば、超音波診断装置4Dから放射線撮影装置1Eに送信された、超音波検査が開始された旨を表す信号を、放射線撮影装置制御部21Eを介して受け取ることで、超音波プローブ6を用いた検査の開始を判断できる。
【0097】
割合報知部77は、例えば図20に示すように、プロジェクションマッピング装置19を用いて、算出された割合をメッセージMとして圧迫板13上に描画することで、割合を報知できる。ユーザは、メッセージMを確認することで、検査の進行状況を容易に把握して、円滑に検査を進めることができる。
【0098】
以上から、実施の形態4の医用画像診断システムによれば、割合報知部77が、圧迫板13上に描画された複数の低解像度画像LMに対する、超音波プローブ6を用いた検査の開始から現在までにプローブ配置画像認識部により認識された低解像度画像LMの割合を算出して、その割合を報知するため、ユーザは、検査の進行状況を容易に把握して、円滑に検査を進めることができる。
【0099】
なお、割合報知部77は、放射線撮影装置1Eに設ける代わりに、コンソール2に設けられてもよく、超音波診断装置4Dに設けられてもよい。
【0100】
また、割合報知部77がメッセージMを圧迫板13上に描画することにより走査済みの乳腺領域Aの割合を報知することが説明されているが、報知の方法はこれに限定されない。例えば、医用画像診断システムが図示しないスピーカを有している場合に、割合報知部77は、スピーカを介して音声により走査済みの乳腺領域Aの割合を報知することもできる。また、割合報知部77は、コンソール2のモニタ33または超音波診断装置4Dのモニタ54にメッセージMを表示することで走査済みの乳腺領域Aの割合を報知することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1,1A,1B,1C,1D,1E 放射線撮影装置、2 コンソール、3 放射線撮影システム、4 超音波診断装置、5 RIS、6 超音波プローブ、7 装置本体、11 放射線源、12 線源移動部、13 圧迫板、14 圧迫板駆動部、15 放射線検出器、16 放射線画像メモリ、17 乳腺領域検出部、18 低解像度画像生成部、19 プロジェクションマッピング装置、20,31,55 通信回路、21,21A,21B,21C,21D,21E 放射線撮影装置制御部、22,35,57 入力装置、23,23A,23B,23C,23D,23E,36,58 プロセッサ、24 撮影台、24A 撮影面、25 アーム部、26 基台、27 軸部、32,53 表示制御部、33,54 モニタ、34 コンソール制御部、41 振動子アレイ、42 送受信回路、51 画像生成部、52 超音波画像メモリ、56 超音波診断装置制御部、61 パルサ、62 増幅部、63 AD変換部、64 ビームフォーマ、65 信号処理部、66 DSC、67 画像処理部、71 透明ディスプレイ装置、72 乳腺位置表示画像生成部、73 光学カメラ、74 光学画像解析部、75 位置センサ、76 センサ情報解析部、77 割合報知部、A 乳腺領域、B 乳房、LC,LM 低解像度画像、M メッセージ、P 重心画像、R 放射線、RG 放射線画像、V 可視光。
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