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特開2024-112447表示端末、通信処理システム、通信システム、表示方法、通信処理方法、通信方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112447
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】表示端末、通信処理システム、通信システム、表示方法、通信処理方法、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/431 20110101AFI20240814BHJP
   G06F 3/0485 20220101ALI20240814BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20240814BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240814BHJP
   H04N 23/698 20230101ALI20240814BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240814BHJP
   H04L 67/1396 20220101ALI20240814BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20240814BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240814BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240814BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H04N21/431
G06F3/0485
H04N21/435
H04N23/63 330
H04N23/698
H04N7/18 U
H04L67/1396
G09G5/37 320
G09G5/00 555D
G09G5/38 100
G09G5/00 510H
G09G5/373 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017451
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】本間 毅史
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
5C164
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF06
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC12
5C054FD07
5C054FE12
5C054FE22
5C054FF03
5C054GB01
5C054GB05
5C122DA22
5C122EA42
5C122FA02
5C122FA18
5C122FB06
5C122FK23
5C122FK28
5C122FK37
5C122FK41
5C122HB05
5C164UB10P
5C164UB81P
5C182AB02
5C182AB33
5C182AC39
5C182AC43
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA35
5C182BA75
5C182BB01
5C182BB11
5C182BB27
5C182BC03
5C182BC14
5C182BC26
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB42
5C182CB44
5C182CB47
5C182CB52
5E555AA22
5E555AA61
5E555AA64
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA08
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BB08
5E555BC08
5E555BD09
5E555BE17
5E555CA12
5E555CA42
5E555CB14
5E555CB16
5E555CB47
5E555CC05
5E555DB51
5E555DC09
5E555DC84
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】従来のシステムを用いた方法では、店舗側の通信端末で表示されるのは、注目点である「点」や表示方向マークである「矢印」であるため、観察者は遠隔の閲覧者がどの商品等に注目しているかを把握しづらいという問題があった。
【解決手段】本開示は、広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示する表示端末であって、前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御部と、を有する表示端末である。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示する表示端末であって、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御部と、
を有する表示端末。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記受信部によって受信される前記視点情報の変更内容に基づいて、前記第1の所定領域画像内の前記視点表示領域の位置を変更する、請求項1に記載の表示端末。
【請求項3】
前記広視野画像における前記第1の所定領域の変更を受け付ける受付部を有し、
前記表示制御部は、前記受付部によって受け付けられた前記第1の所定領域の変更に基づいて、前記視点表示領域の位置と共に前記第1の所定領域画像を変更する、請求項1に記載の表示端末。
【請求項4】
前記視点表示領域の位置の変更により、当該視点表示領域の少なくとも一部が前記表示部に表示中の前記第1の所定領域画像内で表示されない状態になった場合には、前記表示制御部は、前記視点表示領域の全てが表示されるように前記第1の所定領域画像を縮小させる、請求項2又は3に記載の表示端末。
【請求項5】
前記受信部は、前記広視野画像における第3の所定領域である第3の所定領域画像を表示中の第3の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第3の所定領域を特定するための視点情報を受信し、
前記表示制御部は、前記第1の所定領域画像内に、前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させると共に前記第3の所定領域を示す視点表示領域を表示させる、
請求項1に記載の表示端末。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記受信部によって受信される前記第2の所定領域を特定するための視点情報の変更内容に基づいて、前記第1の所定領域画像内の前記第2の所定領域を示す視点表示領域の位置を変更する、請求項5に記載の表示端末。
【請求項7】
前記広視野画像における前記第1の所定領域の変更を受け付ける受付部を有し、
前記表示制御部は、前記受付部によって受け付けられた前記第1の所定領域の変更に基づいて、前記第2の所定領域を示す視点表示領域の位置及び前記第3の所定領域を示す視点表示領域の位置と共に前記第1の所定領域画像を変更する、請求項5に記載の表示端末。
【請求項8】
前記第2の所定領域を示す視点表示領域の位置の変更により、前記第2の所定領域を示す視点表示領域の少なくとも一部が前記表示部に表示中の前記第1の所定領域画像内で表示されない状態になった場合には、前記表示制御部は、前記第2の所定領域を示す視点表示領域の全て及び前記第3の所定領域を示す視点表示領域の全てが表示されるように前記第1の所定領域画像を縮小させる、請求項6又は7に記載の表示端末。
【請求項9】
広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示する表示端末が実行する表示方法であって、
前記表示端末が、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信する受信処理と、
前記受信処理によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御処理と、
を実行する表示方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の方法を実行させるプログラム。
【請求項11】
撮影装置が送信した広視野画像を受信して、当該広視野画像を表示端末に送信する通信処理システムであって、
同じ仮想ルームに参加している第1の表示端末及び第2の表示端末に前記広視野画像を送信する画像送信部と、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の前記第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信するシステム受信部と、
前記システム受信部によって受信された前記視点情報を前記第1の表示端末に送信する情報送信部と、
を有する通信処理システム。
【請求項12】
撮影装置が送信した広視野画像を受信して、当該広視野画像を表示端末に送信する通信処理システムが実行する通信処理方法であって、
前記通信処理システムは、
同じ仮想ルームに参加している第1の表示端末及び第2の表示端末に前記広視野画像を送信する画像送信処理と、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の前記第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信する受信処理と、
前記受信処理によって受信された前記視点情報を前記第1の表示端末に送信する情報送信処理と、
を実行する通信処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項12に記載の方法を実行させるプログラム。
【請求項14】
第1の表示端末と、撮影装置が送信した広視野画像を受信して当該広視野画像を前記第1の表示端末に送信する通信処理システムとによって構築された通信システムであって、
前記通信処理システムは、
前記第1の表示端末、及び当該第1の表示端末とは異なる第2の表示端末に前記広視野画像を送信する画像送信部と、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の前記第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信するシステム受信部と、
前記システム受信部によって受信された前記視点情報を前記第1の表示端末に送信する情報送信部と、
を有し、
前記第1の表示端末は、
前記通信処理システムが送信した前記広視野画像及び前記視点情報を受信する端末受信部と、
前記端末受信部によって受信された前記広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示させると共に、前記端末受信部によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御部と、
を有する、
通信システム。
【請求項15】
第1の表示端末と、撮影装置が送信した広視野画像を受信して当該広視野画像を前記第1の表示端末に送信する通信処理システムとによって構築された通信システムが実行する通信方法であって、
前記通信処理システムは、
前記第1の表示端末、及び当該第1の表示端末とは異なる第2の表示端末に前記広視野画像を送信する画像送信処理と、
前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の前記第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信するシステム受信処理と、
前記システム受信処理によって受信された前記視点情報を前記第1の表示端末に送信する情報送信処理と、
を実行し、
前記第1の表示端末は、
前記通信処理システムが送信した前記広視野画像及び前記視点情報を受信する端末受信処理と、
前記端末受信処理によって受信された前記広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示させると共に、前記端末受信処理によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御処理と、
を実行する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示端末、通信処理システム、通信システム、表示方法、通信処理方法、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売業において、360°カメラとLive Streamingシステムを用いて、店舗の店員(観察者)と遠隔にいる顧客(閲覧者)をつなぐことで、顧客がLive Streamingシステムで配信される360°画像(広視野画像)を閲覧して、店舗内の商品を見回しながら遠隔的に買い物を行うことができるサービスがある。この場合、店員の通信端末には、各顧客が広視野画像のどの辺りを見ているか示すための注目点や表示方向マークが表示される(特許文献1参照)。これにより、店員は各顧客が広視野画像のどの辺りを閲覧しているかを把握することができるため、店員は商品分析をしたり接客フォローを行ったりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシステムを用いた方法では、店舗側の通信端末で表示されるのは、注目点である「点」や表示方向マークである「矢印」であるため、観察者は遠隔の閲覧者がどの商品等に注目しているかを把握しづらいという問題があった。
【0004】
本開示内容は上記事情に鑑みてなされたもので、観察者が遠隔の閲覧者により広視野画像のどの所定領域に注目されているかを把握し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、広視野画像における第1の所定領域である第1の所定領域画像を表示部に表示する表示端末であって、前記広視野画像における第2の所定領域である第2の所定領域画像を表示中の第2の表示端末が送信した、前記広視野画像における前記第2の所定領域を特定するための視点情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記視点情報に基づいて、前記第1の所定領域画像内に前記第2の所定領域を示す視点表示領域を表示させる表示制御部と、を有する表示端末である。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本開示内容によれば、表示端末によって第1の所定領域画像を観察している観察者が、遠隔で第2の所定領域画像を閲覧している閲覧者により広視野画像のどの所定領域が注目されているかを把握し易くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は撮影装置の左側面図であり、(b)は撮影装置の正面図であり、(c)は撮影装置の平面図である。
図2】撮影装置の使用イメージ図である。
図3】(a)は撮影装置で撮影された半球画像(前)、(b)は撮影装置で撮影された半球画像(後)、(c)はメルカトル図法により表された画像を示した図である。
図4】(a)メルカトル画像で球を被う状態を示した概念図、(b)全天球画像を示した図である。
図5】全天球画像を3次元の立体球とした場合の仮想カメラ及び所定領域の位置を示した図である。
図6】(a)は図5の立体斜視図、(b)は(a)の状態の所定領域画像がディスプレイに表示されている図、(c)は(a)における仮想カメラICの視点を変更後の所定領域を示した図、(d)は(c)の状態の所定領域画像がディスプレイに表示されている図である。
図7】球座標による三次元ユークリッド空間内の点を示した図である。
図8】所定領域と注目点との関係を示した概念図である。
図9】本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
図10】撮影装置のハードウェア構成図である。
図11】中継装置のハードウェア構成図である。
図12】通信処理システム及び通信端末のハードウェア構成図である。
図13】通信システムの各機能構成図である。
図14】ユーザ・デバイス管理DBの概念図である。
図15】仮想ルーム管理DBの概念図である。
図16】視点情報管理DBの概念図である。
図17】通信システムにおける広視野画像及び各視点情報の通信処理を示したシーケンス図である。
図18】観察者の通信端末が所定領域画像を表示する処理を示すフローチャートである。
図19】通信端末7で表示中の所定領域T1所定領域画像に他の通信端末9で表示中の所定領域画像の所定領域T2を重畳表示する場合の説明図である。
図20】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図21】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図22】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図23】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図24】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図25】本実施形態を工事現場に適用した場合の通信システムの概略図である。
図26】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図27】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図28】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図29】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
図30】各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
〔全天球画像の概要〕
図1乃至図8を用いて、全天球画像の生成方法について説明する。なお、全天球画像は、全天球パノラマ画像、360°パノラマ画像とも言われ、広範囲の視野角を有する広視野動画の一例である。広視野画像には、180°程度の単なるパノラマ画像も含まれる。
【0010】
まず、図1を用いて、撮影装置10の外観を説明する。撮影装置10は、全天球画像の元になる撮影画像を得るためのデジタルカメラである。なお、図1(a)は撮影装置の左側面図であり、図1(b)は撮影装置の正面図であり、図1(c)は撮影装置の平面図である。
【0011】
図1(a)に示されているように、撮影装置10は、人間が片手で持つことができる大きさである。また、図1(a),(b),(c)に示されているように、撮影装置10の上部には、正面側(前側)に撮像素子103a及び背面側(後側)に撮像素子103bが設けられている。また、図1(b)に示されているように、撮影装置10の正面側には、シャッターボタン等の操作部115が設けられている。
【0012】
次に、図2を用いて、撮影装置10の使用状況を説明する。なお、図2は、撮影装置の使用イメージ図である。撮影装置10は、図2に示されているように、何らかの台の上に設置された中継装置3と通信可能に接続されており、周りの被写体や風景等を撮影するために用いられる。この場合、図1に示されている撮像素子103a及び撮像素子103bによって、それぞれユーザの周りの被写体が撮像されることで、2つの半球画像を得ることができる。なお、撮影装置10が撮影により得た全天球画像を、他の通信端末やシステムに送信しないのであれば、中継装置3は不要である。
【0013】
次に、図3及び図4を用いて、撮影装置10で撮影された画像から全天球画像が作成されるまでの処理の概略を説明する。なお、図3(a)は撮影装置で撮影された半球画像(前側)、図3(b)は撮影装置で撮影された半球画像(後側)、図3(c)は正距円筒図法により表された画像(以下、「正距円筒射影画像」という)を示した図である。なお、メルカトル図法等により表された画像(以下、「メルカトル画像」という)でもよい。図8(a)は正距円筒射影画像で球を被う状態を示した概念図8(b)は全天球画像を示した図である。なお、「正距円筒射影画像」は、上述の広視野画像の一例としてエクイレクタングラー(equirectangular)形式の全天球画像である。
【0014】
図3(a)に示されているように、撮像素子103aによって得られた画像は、後述の魚眼レンズ等の広角レンズ102aによって湾曲した半球画像(前側)となる。また、図3(b)に示されているように、撮像素子103bによって得られた画像は、後述の魚眼レンズ等の広角レンズ102bによって湾曲した半球画像(後側)となる。そして、撮影装置10は、半球画像(前側)と180度反転された半球画像(後側)とを合成して、図3(c)に示されているような正距円筒射影画像ECを作成する。
【0015】
そして、撮影装置10は、OpenGL ES(Open Graphics Library for Embedded Systems)等のソフトウェアを利用することで、図3(a)に示されているように、球面を覆うように正距円筒射影画像ECを貼り付け、図3(b)に示されているような全天球画像CEを作成する。このように、全天球画像CEは、正距円筒射影画像ECが球の中心を向いた画像として表される。なお、OpenGL ESは、2D(2-Dimensions)及び3D(3-Dimensions)のデータを視覚化するために使用するグラフィックスライブラリである。OpenGL ESはあくまで画像処理を実行するソフトウェアの一例であって、他のソフトウェアによって全天球画像CEを作成してもよい。また、全天球画像CEは、静止画であっても動画であってもよい。なお、ここでは撮影装置10が全天球画像を生成する例として説明したが、同様の画像処理又は一部の画像処理の工程を通信処理システム5又は通信端末7,9が実行してもよい。
【0016】
そして、OpenGL ES(Open Graphics Library for Embedded Systems)が利用されることで、図4(a)に示されているように、メルカトル画像が球面を覆うように貼り付けられ、図4(b)に示されているような全天球画像が作成される。このように、全天球画像は、メルカトル画像が球の中心を向いた画像として表される。なお、OpenGL ESは、2D(2-Dimensions)および3D(3-Dimensions)のデータを視覚化するために使用するグラフィックスライブラリである。なお、全天球画像は、静止画であっても動画であってもよい。
【0017】
以上のように、全天球画像CEは、球面を覆うように貼り付けられた画像であるため、人間が見ると違和感を持ってしまう。そこで、通信端末7,9が全天球画像の一部の所定領域(以下、「所定領域画像」という)を湾曲の少ない平面画像として表示することで、人間に違和感を与えない表示を行うことができる。これに関して、図5乃至図8を用いて説明する。
【0018】
図5は、全天球画像を三次元の立体球とした場合の仮想カメラ及び所定領域の位置を示した図である。仮想カメラICは、三次元の立体球として表示されている全天球画像CEに対して、その画像を見るユーザの仮想的な視点の位置に相当するものである。図6において、(a)は図5の立体斜視図、(b)は(a)の状態の所定領域画像がディスプレイに表示されている図、(c)は(a)における仮想カメラICの視点を変更後の所定領域を示した図、(d)は(c)の状態の所定領域画像がディスプレイに表示されている図である。
【0019】
このように生成された全天球画像CEが、立体球CSであるとした場合、図5に示されているように、仮想カメラICは、全天球画像CEの内部に位置している。全天球画像CEにおける所定領域Tは、仮想カメラICの撮像領域であり、全天球画像CEを含む三次元の仮想空間における仮想カメラICの撮像方向と画角を示す視点情報(「所定領域情報」ともいう)によって特定される。
【0020】
また、所定領域Tのズームは、仮想カメラICを全天球画像CEに近づいたり、遠ざけたりすることで表現することもできる。所定領域画像Qは、全天球画像CEにおける所定領域Tの画像である。したがって、所定領域Tは、画角αと、仮想カメラICから全天球画像CEまでの距離fにより特定できる。
【0021】
また、図6(a)の状態から、図6(c)に示されているように、仮想カメラICの仮想的な視点が右側(図面に向かって左側)に移動(「変更」ともいう)されると、これに応じて全天球画像CEにおける所定領域Tが所定領域T'に移動されるため、所定のディスプレイに表示される所定領域画像Qが所定領域画像Q'に変更される。これにより、ディスプレイには、図6(b)に示されている画像が、図6(d)に示されている画像に変更表示される。
【0022】
次に、図7及び図8を用いて、視点情報と所定領域Tの画像の関係について説明する。図7は、球座標による三次元ユークリッド空間内の点を示した図である。図8は、所定領域と注目点(中心点)との関係を示した概念図である。
【0023】
ここで、図7で示した中心点CPを球面極座標系で表現したときの任意の位置座標を(r,θ,φ)とする。(r,θ,φ)は、それぞれ動径、極角、方位角である。動径rは、全天球画像を含む三次元の仮想空間の原点から任意の点(図8では中心点CP)までの距離であり、図8で示した距離fに等しい。
【0024】
また、図8に示すように、仮想カメラICの撮像領域である所定領域Tの中心を、図7の中心点CPと考えた場合、一般的に以下の(式1)で示される三角関数が成り立つ。
(L/f)= tan(α/2)・・・(式1)
なお、fは、仮想カメラICから中心点CPまでの距離である。Lは、所定領域Tの任意の頂点と中心点CPとの距離である(2Lは対角線)。αは画角である。この場合、所定領域Tを特定するための視点情報は、pan(θ)、tilt(φ)、及びfov(α)によって表すことができる。なお、所定領域Tのズームは、画角αの範囲(円弧)を広げたり縮めたりすることで表現することができる。
【0025】
〔通信システムの概略〕
続いて、図9を用いて、本発明の実施形態に係る通信システムの概略を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
【0026】
図9に示されているように、本実施形態の通信システム1aは、撮影装置10、中継装置3、通信端末7、及び通信端末9a,9b,9cによって構成されている。なお、通信端末9a,9b,9cの総称を「通信端末9」と示す。また、通信端末は、画像等を表示する「表示端末」と示してもよい。
【0027】
このうち、撮影装置10は、上述のように、全天球画像を得るためのデジタルカメラである。中継装置3は、撮影装置1への充電やデータ送受信を行なうクレードル(Cradle)の一例である。また、中継装置3は、接点を介して撮影装置1とデータ通信を行なうことができると共に、通信ネットワーク100を介して通信処理システム5とデータ通信を行なうことができる。なお、通信ネットワーク100は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、(無線)ルータ等を含む。
【0028】
また、通信処理システム5は、例えば、サーバコンピュータであり、通信ネットワーク100を介して、中継装置3、通信端末7,9とデータ通信を行なうことができる。 通信端末7,9は、例えば、ノートPC(Personal Computer)であり、通信ネットワーク100を介して、通信処理システム5とデータ通信を行なうことができる。通信端末7,9には、OpenGL ESがインストールされており、通信処理システム5から受信した全天球画像から所定領域画像(図6参照)を作成する。なお、通信処理システム5は、単一のサーバコンピュータによって構成されてもよいし、複数のサーバコンピュータによって構成されてもよい。
【0029】
更に、撮影装置10及び中継装置3は、衣服等の店舗Saで店員等の観察者X等によって所定の位置に設置されている。通信端末7は観察者Xによって操作される。通信端末9aは遠隔の顧客等である閲覧者Aによって操作される。同様に、通信端末9b,9cは、それぞれ遠隔の顧客等である閲覧者B,Cによって操作される。
【0030】
通信処理システム5は、撮影装置10から中継装置3を介して得た全天球画像を、通信端末7,9に送信(配信)する。また、通信処理システム5は、各通信端末9から各通信端末9で表示中(各閲覧者A,B,Cが閲覧中)の所定領域画像の所定領域を特定するための各視点情報を受信して、各視点情報を通信端末7に送信する。そして、通信端末7では、通信処理システム5から受信した全天球画像の所定領域である所定領域画像上に各視点情報に基づいた視点表示領域を表示させる。これにより、観察者Xは、遠隔の閲覧者A,B,Cが、全天球画像のどの所定領域を注目して閲覧しているかを把握することができる。
【0031】
〔実施形態のハードウェア構成〕
次に、図10乃至図12を用いて、本実施形態の撮影装置10、中継装置3、及び通信端末7,9のハードウェア構成を詳細に説明する。
【0032】
<撮影装置のハードウェア構成>
図10は、撮影装置のハードウェア構成図である。図10に示されているように、撮影装置10は、撮像ユニット101、画像処理ユニット104、撮像制御ユニット105、マイク108、音処理ユニット109、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、SRAM(Static Random Access Memory)113、DRAM(Dynamic Random Access Memory)114、操作部115、入出力I/F116、近距離通信回路117、近距離通信回路117のアンテナ117a、電子コンパス118、ジャイロセンサ119,加速度センサ120、及びネットワークI/F121によって構成されている。
【0033】
このうち、撮像ユニット101は、各々半球画像を結像するための180°以上の画角の撮像が可能な広角レンズ102a,102b(以下区別する必要のないときは、レンズ102と称する。)、及び各レンズ102a,102bに対応させて設けられている二つの撮像素子103a,103bを備えている。
【0034】
また、撮像素子103a,103bは、レンズ102a,102b等による光学像を電気信号の画像データに変換して出力するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等の画像センサ、この画像センサの水平又は垂直同期信号や画素クロック等を生成するタイミング生成回路、及びこの撮像素子の動作に必要な種々のコマンドもしくはパラメータ等が設定されるレジスタ群等を有している。なお、撮像ユニット101が広角レンズを2つ備える構成はあくまで一例であって、1つだけ備えていてもよいし、3つ以上備えていてもよい。
【0035】
撮像ユニット101の撮像素子103a,103bは、各々、画像処理ユニット104とパラレルI/Fバスを介して接続している。一方、撮像ユニット101の撮像素子103a,103bは、それぞれ撮像制御ユニット105とシリアルI/Fバス(I2Cバス等)を介して接続している。
【0036】
画像処理ユニット104、撮像制御ユニット105及び音処理ユニット109は、バス110を介してCPU111と接続している。さらに、バス110には、ROM112、SRAM113、DRAM114、操作部115、入出力I/F116、近距離通信回路117、電子コンパス118、ジャイロセンサ119、加速度センサ120及びネットワークI/F121等も接続される。
【0037】
画像処理ユニット104は、撮像素子103a,103bから出力される画像データをパラレルI/Fバスを通して取り込み、それぞれの画像データに対して所定の処理を施した後、これらの画像データを合成処理して、後述する正距円筒射影画像(広視野画像の一例)のデータを作成する。
【0038】
撮像制御ユニット105は、一般に撮像制御ユニット105をマスタデバイス、撮像素子103a,103bをスレーブデバイスとして、I2Cバスを利用して、撮像素子103a,103bのレジスタ群にコマンド等を設定する。必要なコマンド等は、CPU111から受け取る。撮像制御ユニット105は、同じくI2Cバスを利用して、撮像素子103a,103bのレジスタ群のステータスデータ等を取り込み、CPU111に送る。
【0039】
また、撮像制御ユニット105は、操作部115のシャッターボタンが押下されたタイミングで、撮像素子103a,103bに画像データの出力を指示する。撮影装置10によっては、ディスプレイ(例えば、近距離通信回路117を用いて撮影装置10と近距離通信を行うスマートフォン等の外部端末のディスプレイ)によるプレビュー表示機能や動画表示に対応する機能を持つ場合もある。この場合は、撮像素子103a,103bからの画像データの出力は、所定のフレームレート(フレーム/分)によって連続して行われる。
【0040】
また、撮像制御ユニット105は、後述するように、CPU111と協働して撮像素子103a,103bの画像データの出力タイミングの同期をとる同期制御手段としても機能する。なお、本実施形態では、撮影装置10には表示部(ディスプレイ)が設けられていないが、表示部を設けてもよい。マイク108は、音を音(信号)データに変換する。音処理ユニット109は、マイク108から出力される音データをI/Fバスを通して取り込み、音データに対して所定の処理を施す。
【0041】
CPU111は、撮影装置10の全体の動作を制御すると共に必要な処理を実行する。ROM112は、CPU111のための種々のプログラムを記憶している。SRAM113及びDRAM114はワークメモリであり、CPU111で実行するプログラムや処理途中のデータ等を記憶する。特にDRAM114は、画像処理ユニット104での処理途中の画像データや処理済みの正距円筒射影画像のデータを記憶する。
【0042】
操作部115は、種々の操作ボタンや電源スイッチ、シャッターボタン、及び表示と操作の機能を兼ねたタッチパネル等の総称である。ユーザは、操作部115を操作することで、種々の撮像モードや撮像条件等を入力する。
【0043】
入出力I/F116は、SDカード等の外付けのメディア又はパーソナルコンピュータ等とのインターフェース回路(USBのI/F等)の総称である。入出力I/F116は、無線、有線を問わない。DRAM114に記憶された正距円筒射影画像のデータは、入出力I/F116を介して外付けのメディアに記録されたり、必要に応じて入出力I/F116を介して外部端末(装置)に送信されたりする。
【0044】
近距離通信回路117は、撮影装置10に設けられたアンテナ117aを介して、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi等の近距離無線通信技術によって、外部端末(装置)と通信を行う。近距離通信回路117は、正距円筒射影画像のデータを、外部端末(装置)に送信することができる。
【0045】
電子コンパス118は、地球の磁気から撮影装置10の方位を算出し、方位情報を出力する。この方位情報は、Exifに沿った関連情報(メタデータ)の一例であり、撮影画像の画像補正等の画像処理に利用される。なお、関連情報は、画像の撮像日時及び画像データのデータ容量の各データも含む。
【0046】
ジャイロセンサ119は、撮影装置10の移動に伴う角度の変化(roll角、Pitch角、Yaw角)を検出するセンサである。角度の変化はExifに沿った関連情報(メタデータ)の一例であり、撮影画像の画像補正等の画像処理に利用される。
【0047】
加速度センサ120は、三軸方向の加速度を検出するセンサである。撮影装置10は、加速度センサ120が検出した加速度に基づいて、自装置(撮影装置10)の姿勢(重力方向に対する角度)を算出する。撮影装置10は、加速度センサ120を設けることによって、画像補正の精度が向上する。
【0048】
ネットワークI/F121は、ルータ等を介して、インターネット等の通信ネットワーク100を利用したデータ通信を行うためのインターフェースである。また、撮影装置10のハードウェア構成はここに示すものに限られず、撮影装置10の機能的構成を実現できるものであればよい。また、上記ハードウェア構成の少なくとも一部は、中継装置3又は通信ネットワーク100上に存在していてもよい。
【0049】
<中継装置のハードウェア構成>
図11は、中継装置3のハードウェア構成図である。なお、図11は、中継装置3が、無線通信機能を有したクレードルの場合のハードウェア構成図である。
【0050】
図11に示されているように、中継装置3は、CPU310、ROM302、RAM303、EEPROM304、CMOSセンサ305、バスライン310、通信部313、アンテナ313a、GPS受信部314、及び入出力I/F316を備えている。
【0051】
これらのうち、CPU301は、中継装置3全体の動作を制御する。ROM302は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0052】
EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)304は、CPU301の制御にしたがってデータの読み出し又は書き込みを行う。なお、EEPROM304には、CPU301が実行するオペレーティングシステム(OS)、その他のプログラム、及び、種々データが記憶されている。
【0053】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ305は、CPU301の制御に従って被写体を撮像し画像データを得る個体撮像素子である。
【0054】
通信部313は、アンテナ313aを利用して無線通信信号により、通信ネットワーク100に対する通信を行う。
【0055】
GPS受信部314は、GPS(Global Positioning Systems)衛星又は屋内GPSとしてのIMES(Indoor MEssaging System)によって中継装置3の位置情報(緯度、経度、および高度)を含んだGPS信号を受信する。
【0056】
入出力I/F316は、撮影装置10の入出力I/F116と電気的に接続されるインターフェース回路(USBのI/F等)のである。入出力I/F316は、無線、有線を問わない。
【0057】
バスライン310は、上記各部を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0058】
<通信処理システム、通信端末のハードウェア構成>
図12は、通信処理システム5のハードウェア構成である。なお、通信端末7,9のハードウェア構成は、通信処理システム5と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
通信処理システム5は、コンピュータとして、図4に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、SSD504、外部機器接続I/F505、ネットワークI/F506、ディスプレイ507、操作部508、メディアI/F509、バスライン510、CMOSセンサ511、及びスピーカ512を備えている。
【0060】
これらのうち、CPU501は、通信処理システム5全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。
【0061】
SSD504は、CPU501の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、通信端末7,9がスマートフォン等の場合には、SSD504を設けなくてもよい。また、SSD504の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を設けてもよい。
【0062】
外部機器接続I/F505は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0063】
ネットワークI/F506は、通信ネットワーク100を介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0064】
ディスプレイ507は、各種画像を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示部の一種である。
【0065】
操作部508は、種々の操作ボタンや電源スイッチ、シャッターボタン、タッチパネル等の各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行うための入力手段である。
【0066】
メディアI/F509は、フラッシュメモリ等の記録メディア509mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア509mには、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0067】
CMOSセンサ511は、CPU501の制御に従って被写体を撮像して、画像データを得る撮像手段の一種である。CMOSセンサではなく、CCDセンサを使用してもよい。
【0068】
スピーカ512は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す回路である。
【0069】
バスライン510は、図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0070】
〔実施形態の機能構成〕
続いて、図13乃至図16を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。
【0071】
<撮影装置の機能構成>
図13に示されているように、撮影装置10は、受付部12、撮像部16、集音部17、接続部18、及び記憶・読出部19を有している。これら各部は、図10に示されている各構成要素のいずれかが、SRAM113からDRAM114上に展開された撮影蔵置用のプログラムに従ったCPU111からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0072】
また、撮影装置1は、図9に示されているROM112、SRAM113、及びDRAM114によって構築される記憶部1000を有している。
【0073】
(撮影装置の各機能構成)
撮影装置1の受付部12は、CPU111に対する操作部115の処理によって実現され、ユーザからの操作入力を受け付ける。
【0074】
撮像部16は、主に、CPU111から、撮像ユニット101、画像処理ユニット104、及び撮像制御ユニット105、及びCPU111に対する処理によって実現され、風景等を撮像し、撮影画像を得る。
【0075】
集音部17は、主に、CPU111から、音処理ユニット109に対する処理によって実現され、撮影装置10の周囲の音を収音する。
【0076】
接続部18は、主に、CPU111から入出力I/F116に対する処理によって実現され、中継装置3とデータ通信を行う。
【0077】
記憶・読出部19は、主に、CPU111の処理によって実現され、記憶部1000に各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部1000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0078】
<中継装置の機能構成>
図13に示すように、中継装置3は、通信部31、及び接続部38を有している。これら各部は、図11に示されている各構成要素のいずれかが、EEPROM304からRAM303上に展開された中継装置3用プログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0079】
(中継装置3の各機能構成)
中継装置3の通信部31は、主に、図11に示すCPU301から通信部313に対する処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、撮影装置10と通信処理システム5とのデータ通信を行う。
【0080】
接続部38は、主に、CPU301から入出力I/F316に対する処理によって実現され、撮影装置10とデータ通信を行う。
【0081】
<通信処理システムの機能構成>
次に、図13を用いて、通信処理システム5の各機能構成について詳細に説明する。通信処理システム5は、通信部51、受付部52、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図12に示されている各構成要素のいずれかが、SSD504からRAM503上に展開された通信処理システム5用プログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0082】
また、通信処理システム5は、図12に示されているRAM503、及びHD504によって構築される記憶部5000を有している。この記憶部5000には、ユーザ・デバイス管理DB5001、仮想ルーム管理DB5002、及び視点情報管理DB5003が構築されている。
【0083】
(ユーザ・デバイス管理DB)
図14は、ユーザ・デバイス管理DBの概念図である。ユーザ・デバイス管理DB5001はテーブル形式によって構成され、ユーザID(又はデバイスID)、名称、及びIPアドレスが関連付けて記憶されて管理されている。
【0084】
これらのうち、ユーザIDは、ユーザ(観察者X、閲覧者A,B,C)を識別するためのユーザ識別情報の一例である。デバイスIDは、撮影装置10等のデバイスを識別するためのデバイス識別情報の一例である。なお、図9において、撮影装置10以外にヘッドマウントディスプレイ等を用いる場合には、ヘッドマウントディスプレイ等もデバイスとして扱われる。
【0085】
名称は、ユーザ又はデバイスの名称である。
【0086】
IPアドレスは、ユーザが使用する通信端末、及び撮影装置10等のデバイスの宛先特定情報の一例である。
【0087】
(仮想ルーム管理DB)
図15は、仮想ルーム管理DB5002の概念図である。仮想ルーム管理DB5002はテーブル形式によって構成され、仮想ルームID、仮想ルーム名称、デバイスID、観察者ID、閲覧者ID、及びストレージ(画像データの保存場所情報)が関連付けて記憶されて管理されている。
【0088】
これらのうち、仮想ルームIDは、仮想ルームを識別するための仮想ルーム識別情報の一例である。
【0089】
仮想ルーム名称は、仮想ルームの名称であり、ユーザ等によって付される。
【0090】
デバイスIDは、図14のデバイスIDと同意であり、同じレコードの仮想ルームIDで示される仮想ルームに参加したデバイスのIDである。
【0091】
観察者IDは、図14のユーザIDのうち、特に観察者IDを識別するための観察者識別情報の一例であり、同じレコードの仮想ルームIDで示される仮想ルームに参加した観察者のIDである。
【0092】
閲覧者IDは、図14のユーザIDのうち、特に閲覧者IDを識別するための閲覧者識別情報の一例であり、同じレコードの仮想ルームIDで示される仮想ルームに参加した閲覧者のIDである。
【0093】
ストレージは、広視野画像等が保存されている場所を示す保存場所情報の一例であって、具体的にはURLやファイルパス等を示す。
【0094】
(視点情報管理DB)
図16は、視点情報管理DB5003の概念図である。視点情報管理DB5003はテーブル形式によって構成され、閲覧者ID、IPアドレス、視点情報(pan,tilt,fov)、及びタイムスタンプが関連付けて記憶されて管理されている。
【0095】
これらのうち、閲覧者IDは、図15の閲覧者IDと同意である。
【0096】
IPアドレスは、図14のIPアドレスと同意である。
【0097】
視点情報(pan,tilt,fov)は、同じレコードの閲覧者IDで示される閲覧者の通信端末から送られて来た視点情報である。
【0098】
タイムスタンプは。同じレコードの視点情報が送られて来た時刻を示す。
【0099】
(通信処理システムの各機能構成)
次に、図13を用いて、通信処理システム5の各機能構成について詳細に説明する。
【0100】
通信処理システム5の通信部51は、主に、図11に示すCPU501からネットワークI/F505に対する処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の装置等(中継装置3、通信端末7,9)とのデータ通信を行う。
【0101】
受付部52は、CPU501に対する操作部508の処理によって実現され、ユーザ(ここでは、システム管理者等)からの操作入力を受け付ける。
【0102】
記憶・読出部59は、主に、CPU501の処理によって実現され、記憶部5000に各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部5000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0103】
<通信端末7の機能構成>
次に、図13を用いて、通信端末7の機能構成について詳細に説明する。通信端末7は、通信部71、受付部72、表示制御部74、音出力制御部75、及び記憶・読出部79を有している。これら各部は、図12に示されている各構成要素のいずれかが、SSD504からRAM503上に展開された通信端末7用プログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0104】
また、通信端末7は、図12に示されているRAM503、及びSSD504によって構築される記憶部7000を有している。この記憶部7000には、視点情報管理DB7003が構築されている。この視点情報管理DB7003は、通信処理システム5から送られて来た視点情報等の1レコード分ずつが記憶され管理されており、視点情報管理DB7003と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
【0105】
(通信端末7の各機能構成)
次に、図13を用いて、通信端末7の各機能構成について詳細に説明する。
【0106】
通信端末7の通信部71は、主に、図11に示すCPU501からネットワークI/F505に対する処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の装置等(通信処理システム5)とのデータ通信を行う。
【0107】
受付部72は、CPU501に対する操作部508の処理によって実現され、ユーザ(ここでは、観察者X)からの操作入力を受け付ける。
【0108】
表示制御部74は、CPU501の処理によって実現され、通信端末7のディスプレイ507又は外部機器接続I/F505に接続された外付けのディスプレイに対して各種画像を表示させるための制御を行なう。
【0109】
音出力制御部75は、CPU501の処理によって実現され、通信端末7のスピーカ512又は外部機器接続I/F505に接続された外付けのスピーカに対して音を出力させるための制御を行なう。
【0110】
記憶・読出部79は、CPU501の処理によって実現され、記憶部7000に各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部7000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0111】
<通信端末9の機能構成>
次に、図13を用いて、通信端末9の各機能構成について詳細に説明する。
【0112】
通信端末9の通信部91は、図12に示すCPU501からネットワークI/F505に対する処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の装置等(通信処理システム5)とのデータ通信を行う。
【0113】
受付部92は、CPU501に対する操作部508の処理によって実現され、ユーザ(ここでは、閲覧者A,B,C)からの操作入力を受け付ける。
【0114】
表示制御部94は、CPU501の処理によって実現され、通信端末9のディスプレイ507又は外部機器接続I/F505に接続された外付けのディスプレイに対して各種画像を表示させるための制御を行なう。
【0115】
音出力制御部95は、CPU501の処理によって実現され、通信端末9のスピーカ512又は外部機器接続I/F505に接続された外付けのスピーカに対して音を出力させるための制御を行なう。
【0116】
記憶・読出部99は、CPU501の処理によって実現され、記憶部7000に各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部7000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0117】
〔実施形態の処理又は動作〕
続いて、図17乃至図30を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。なお、以下の処理は、既に、撮影装置10、通信端末7,9が同じ仮想ルームに参加した後の処理である。
【0118】
<通信システムにおける広視野画像及び音情報の送受信処理>
まずは、図17を用いて、通信システムにおける広視野画像及び音情報の送受信処理について説明する。図17は、通信システムにおける広視野画像及び各視点情報の通信処理を示したシーケンス図である。なお、図17の処理S11~S22は、例えば、1秒間に30回又は60回ほど繰り返して行われる。
【0119】
S11:撮影装置10では、撮像部16が店舗Sa内を全天球撮影して広視野画像を得た後、接続部18が中継装置3に広視野画像を送る。また、これと同時に撮影装置10では、集音部17が店舗Sa内の音を収音して音情報を得た後、接続部18が中継装置3に音情報を送る。この場合、接続部18は、撮影装置10が参加している仮想ルームを識別するための仮想ルームID及び撮影装置10を識別するためのデバイスIDも送る。
これにより、中継装置3の接続部38は、広視野画像、音情報、仮想ルームID及びデバイスIDを取得する。
【0120】
S12:中継装置3では、通信部31が、通信ネットワーク100を介して通信処理システム5に対して、処理S11で接続部38によって取得された各情報(広視野画像、音情報、仮想ルームID及びデバイスID)を送信する。これにより、通信処理システム5では、通信部51が各情報(広視野画像、音情報、仮想ルーム及びデバイスID)を受信する。
【0121】
S13:通信処理システム5では、記憶・読出部59が処理S12で受信された仮想ルームIDに基づいて仮想ルーム管理DB5002を検索することにより、撮影装置10と同じ仮想ルームに参加している観察者ID及び閲覧者IDを読み出す。また、記憶・読出部59が読み出した観察者ID及び閲覧者IDに基づいてユーザ・デバイス管理DB5001を検索することにより、対応する観察者Xの通信端末7のIPアドレス及び各閲覧者A,B,Cの通信端末9a,9b,9cのIPアドレスを読み出す。そして、通信部51は、通信端末7のIPアドレスを参照し、通信端末7に対して処理S12で受信された広視野画像及び音情報を送信する。これにより、通信端末7の通信部71は、広視野画像及び音情報を受信する。
【0122】
S14:通信処理システム5の通信部51は、通信端末9aのIPアドレスを参照し、通信端末9aに対して処理S12で受信された広視野画像及び音情報を送信する。これにより、通信端末9aの通信部91は、広視野画像及び音情報を受信する。
【0123】
S15:同様に、通信処理システム5の通信部51は、通信端末9bのIPアドレスを参照し、通信端末9bに対して処理S12で受信された広視野画像及び音情報を送信する。これにより、通信端末9bの通信部91は、広視野画像及び音情報を受信する。
【0124】
S16:同様に、通信処理システム5の通信部51は、通信端末9cのIPアドレスを参照し、通信端末9cに対して処理S12で受信された広視野画像及び音情報を送信する。これにより、通信端末9cの通信部91は、広視野画像及び音情報を受信する。
【0125】
S17:続いて、通信端末9aでは、表示制御部94が処理S14で受信された広視野画像のうち所定領域を示す所定領域画像を表示させると共に、音出力制御部95が処理S14で受信された音情報に基づいて音を出力させる。また、受付部92は閲覧者Aの画面操作を受け付けることで、表示制御部94は予め定められている所定領域T(図6(a)参照)を変更して閲覧者Aの興味がある商品等が表示されている所定領域T'(図6(c)参照)を示す所定領域画像を表示させる。そして、通信端末9aの通信部91は、通信処理システム5に対して、広視野画像における所定領域T'を特定するための視点情報を送信する。この場合、視点情報には送信元である閲覧者Aを識別するための閲覧者IDが含まれている。これにより、通信処理システム5の通信部51は、視点情報を受信する。また、記憶・読出部59は、視点情報管理DB5003に、処理S17で受信された視点情報(pan,tilt,fov)と閲覧者IDを関連付けて1レコードとして記憶する。この場合、記憶・読出部59は、処理S17で視点情報が受信された時刻を示す時刻情報(タイムスタンプ)、及びユーザ・デバイス管理DB5001で管理されているユーザIDである閲覧者Aの閲覧者IDも同じレコードとして関連付けて記憶する。
【0126】
S18:通信処理システム5の記憶・読出部59は、処理S17で視点情報管理DB5003に記憶した1レコード分である視点情報等を読み出し、通信部51が通信端末7に、この視点情報等を送信する。これにより、通信端末7の通信部71は、視点情報等を受信する。なお、通信処理システム5では、処理S12で特定した仮想ルームIDに基づいて仮想ルーム管理DB5002を検索して、対応する観察者ID(ここでは、「100x」)を読み出し、この観察者IDに基づいてユーザ・デバイス管理DB5001を検索することで、対応するIPアドレスを読み出す。これにより、通信部51は、観察者X及び閲覧者A,B,Cのうち、観察者Xだけの通信端末7に、視点情報等を送信する。
【0127】
なお、通信端末9b及び通信処理システム5の処理(S19,S20)、及び通信端末9c及び通信処理システム5の処理(S21,S22)も、上述の処理S17,S18と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
<通信端末7での表示制御処理>
続いて、通信端末7では、図18に示す処理が行われる。なお、図18は、観察者の通信端末が所定領域画像を表示する処理を示すフローチャートである。図19は、通信端末7で表示中の所定領域T1所定領域画像に他の通信端末9で表示中の所定領域画像の所定領域T2を重畳表示する場合の説明図である。図20乃至図24は、各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。
【0129】
S31:表示制御部74がディスプレイ504(表示部の一例)上に、図20に示すように、予め定められた所定領域の所定領域画像740を表示させる。この所定領域画像740には、各通信端末9a,9b,9cから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報に基づいて、各通信端末9a,9b,9cで表示中の各所定領域画像の各所定領域を示す視点表示領域740a,740b,740cが表示されている。また、視点表示領域740a,740b,740cには、処理S18,S20,S22によって送られて来た各閲覧者IDが表示されている。
【0130】
なお、処理S18,S20,S22において、通信処理システム5は、各閲覧者IDの代わりに又は各閲覧者IDに加えて、ユーザ・デバイス管理DB14で管理されている各名称の情報を送信してもよい。この場合、図20では、各閲覧者IDの代わりに又は各閲覧者IDに加えて閲覧者名が表示される。
【0131】
また、視点表示領域740a,740b,740cは、図20に示すように、実線の枠で示してもよし、破線の枠で示してもよし、枠の四隅だけを示してもよい。枠内が半透明でマスキングされていてもよい。
【0132】
更に、所定領域画像740の右下には、広視野画像内で所定領域を変更することで(図6(a)から図6(c)を参照)、所定領域画像740を変更することができる旨(図6(b)から図6(d)参照)を示すマークm1が表示されている。
【0133】
ここで、図19を用いて、表示制御部74が、所定領域画像740上に視点表示領域740a,740b,740cを重畳して表示する処理について説明する。図19は、通信端末7で表示中の所定領域T1所定領域画像に他の通信端末9で表示中の所定領域画像の所定領域T2を重畳表示する場合の説明図である。
【0134】
図19では、通信端末7が図8と同様の所定領域T1(θ1,φ1,α1)の所定領域画像を表示する場合に、通信端末9から送られて来た視点情報によって特定される所定領域T2(θ2,φ2,α2)を示す視点表示領域を重畳して表示する場合が示されている。
【0135】
この場合、表示制御部74は、通信端末77での所定領域T1を特定する視点情報と、通信端末9から送られて来た視点情報に基づいて、それぞれの表示領域を算出する。
【0136】
S32:表示制御部74は、表示中の所定領域画像から少なくとも一部が外れた視点表示領域があるか否かを判断する。
【0137】
S33:処理S32において表示中の所定領域画像から少なくとも一部が外れた視点表示領域がない場合には(S32;NO)、表示制御部74は、通信処理システム5から処理S18,S20,S22によって、内容が変更された視点情報を受信したか否かを判断する。
【0138】
S34:処理S33において、内容が変更された視点情報を受信した場合には、表示制御部74は、所定の視点表示領域を変更する。その後、上記処理S32に戻る。
【0139】
例えば、通信端末9a側で注目する商品を拡大表示させるために所定領域を拡大することで、通信端末9aから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報の内容が変更した場合(S33;YES)、表示制御部74は、図21に示すように、視点表示領域740aから縮小した視点表示領域741aを表示させる(S34)。
【0140】
また、例えば、通信端末9b側で別の注目する商品を表示させるために所定領域を移動することで、通信端末9bから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報の内容が変更した場合(S33;YES)、表示制御部74は、図22に示すように、視点表示領域740bから移動した視点表示領域741bを表示させる(S34)。但し、この場合、視点表示領域741bの少なくとも一部が表示中の所定領域画像740から外れて表示されない状態になっている。
【0141】
S35:処理S33において、内容が変更された視点情報を受信していない場合(受信した視点情報に変更がない場合)には(S33;NO)、受付部72は、観察者Xから表示中の所定領域画像の所定領域の変更を受け付けたか否かを判断する。
【0142】
S36:処理35において、所定領域の変更を受け付けた場合には(S35;YES)、表示制御部36は、変更後の所定領域の所定領域画像を表示させる。その後、上記処理S32に戻る。
【0143】
例えば、視点表示領域741bの少なくとも一部が図22に示す所定領域画像740から外れて表示されない状態になっており、観察者Xは閲覧者Bがどのような商品に注目しているかを把握しづらい場合、通信端末7に対する手動の画面操作により(S35;YES)、表示制御部74は、図23に示すように、所定領域画像740から所定領域を移動した所定領域画像741を表示させる(S36)。但し、この場合、視点表示領域741bは全領域が表示されることになったが、他の視点表示領域741a,740cの少なくとも一部が表示中の所定領域画像741から外れて表示されない状態になっている。
【0144】
S37:一方、処理S32において表示中の所定領域画像から少なくとも一部が外れた視点表示領域がある場合には(S32;YES)、表示制御部74は、全ての視点表示領域が全表示するように所定領域を縮小することで所定領域画像を縮小表示させる。この場合、図19において、表示制御部74は、所定領域T1のfov(α1)の値を大きくすることで、所定領域Tが広がり、外れた所定領域T2を完全に含むことができる。この増分は自動で決まり、例えばα1の値を少しずつ大きくし、所定領域T1が所定領域T2を完全に包含するまで続けられる。
【0145】
例えば、図23に示すように、観察者Xが手動の画面操作によって視点表示領域741bの全領域の表示を優先したために、他の視点表示領域741a,740cの少なくとも一部が図23に示す所定領域画像741から外れて表示されない場合、表示制御部74は、図24に示すように、全ての視点表示領域741a,741b,740cが全表示するように、所定領域画像741の所定領域を縮小することで所定領域画像742を表示させる。
【0146】
S38:受付部72は、観察者Xによって、仮想ルームからの退出操作を受け付けたか否かを判断する。そして、退出しない場合には(S38;NO)、上記処理32に戻る。一方、退出した場合には(S38;YES)、図18に示す処理が終了する。
【0147】
以上により、処理又は動作の説明が終了する。
【0148】
〔その他の適用例〕
続いて、図25乃至図30を用いて、本実施形態を工事現場の画像の観察及び閲覧に適用する場合について説明する。図25は、通信システムが工事現場に適用された例を示す図である。図26乃至図30は、各閲覧者が閲覧中の所定領域を示す視点表示領域を表示した観察者側の所定領域画像を示す図である。この場合の通信システム1bの構成は、図9の通信システム1aと同様である。但し、撮影装置10、中継装置3、及び通信端末7の設置場所が工事現場Sbになっている。また、遠隔の閲覧者E,F,Gがそれぞれ通信端末9の一例として、通信端末9e,9f,9gを操作及び閲覧している。
【0149】
なお、工事現場への適用例においても、上述の図18に示す処理と同様の処理が行われるため、以下では主に所定領域画像の表示例について説明する。図26乃至図30は、それぞれ上述の図20乃至図24に対応する。
【0150】
まず、表示制御部74がディスプレイ504(表示部の一例)上に、図26に示すように、予め定められた所定領域の所定領域画像750を表示させる(S31)。この所定領域画像750には、各通信端末9e,9f,9gから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報に基づいて、各通信端末9e,9f,9gで表示中の各所定領域画像の各所定領域を示す視点表示領域750a,750b,750cが表示されている。また、視点表示領域750a,750b,750cには、処理S18,S20,S22によって送られて来た各閲覧者IDが表示されている。
【0151】
なお、処理S18,S20,S22において、通信処理システム5は、各閲覧者IDの代わりに又は各閲覧者IDに加えて、ユーザ・デバイス管理DB14で管理されている各名称の情報を送信してもよい。この場合、図20では、各閲覧者IDの代わりに又は各閲覧者IDに加えて閲覧者名が表示される。
【0152】
また、視点表示領域750a,750b,750cは、図26に示すように、実線の枠で示してもよし、破線の枠で示してもよし、枠の四隅だけを示してもよい。枠内が半透明でマスキングされていてもよい。
【0153】
更に、所定領域画像750の右下には、広視野画像内で所定領域を変更することで(図6(a)から図6(c)を参照)、所定領域画像750を変更することができる旨(図6(b)から図6(d)参照)を示すマークm1が表示されている。
【0154】
例えば、通信端末9e側で注目する資材等を拡大表示させるために所定領域を拡大することで、通信端末9eから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報の内容が変更した場合(S33;YES)、表示制御部74は、図27に示すように、視点表示領域750aから縮小した視点表示領域751aを表示させる(S34)。
【0155】
また、例えば、通信端末9f側で別の注目する資材等を表示させるために所定領域を移動することで、通信端末9fから通信処理システム5を介して送られて来た視点情報の内容が変更した場合(S33;YES)、表示制御部74は、図28に示すように、視点表示領域750bから移動した視点表示領域751bを表示させる(S34)。但し、この場合、視点表示領域751bの少なくとも一部が表示中の所定領域画像750から外れて表示されない状態になっている。
【0156】
更に、例えば、視点表示領域751bの少なくとも一部が図28に示す所定領域画像750から外れて表示されない状態になっており、観察者Yは閲覧者Eがどのような資材等に注目しているかを把握しづらい場合、通信端末7に対する手動の画面操作により(S35;YES)、表示制御部74は、図29に示すように、所定領域画像750から所定領域を移動した所定領域画像751を表示させる(S36)。但し、この場合、視点表示領域751bは全領域が表示されることになったが、他の視点表示領域751a,750cの少なくとも一部が表示中の所定領域画像751から外れて表示されない状態になっている。
【0157】
そこで、表示制御部74は、全ての視点表示領域が全表示するように所定領域を縮小することで所定領域画像を縮小表示させる(S37)。例えば、図29に示すように、観察者Yが手動の画面操作によって視点表示領域751bの全領域の表示を優先したために、他の視点表示領域751a,750cの少なくとも一部が図29に示す所定領域画像751から外れて表示されない場合、表示制御部74は、図30に示すように、全ての視点表示領域751a,751b,750cが全表示するように、所定領域画像751の所定領域を縮小することで所定領域画像752を表示させる。
【0158】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように、本実施形態によれば、観察者X(Y)が、各閲覧者A,B,C(E,F,G)により、広視野画像のどの所定領域が表示されることで注目されているかを把握することができる。これにより、例えば、店舗Saの観察者Xは、遠隔により各閲覧者A,B,Cが注目している商品等を把握することができるため、電話やチャット等で各閲覧者A,B,Cに商品を紹介することで、商品の販売促進につなげることができる。また、工事現場Sbの観察者Yは、各閲覧者E,F,Gが注目している資材や工事現場の様子等を把握することができるため、電話やチャット等で各閲覧者E,F,Gに資材や工事現場で気になっていることを問い合わせることで、建設工程の促進や安全性の確保等を行うことができる。
【0159】
〔補足〕
以上、実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0160】
例えば、図13などの構成例は、通信処理システム5、撮影装置10、及び、通信端末7,9による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。通信処理システム5、撮影装置10、通信端末7,9の処理は、処理内容に応じてさらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0161】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0162】
また、上述の装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。例えば、通信処理システム5は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0163】
また、通信処理システム5は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0164】
更に、上記実施形態の各プログラムが記憶されたDVD-ROM等の(非一時的)記録媒体、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。
【0165】
また、プロセッサとしてのCPU111,301,501は、それぞれ複数であってもよい。
【符号の説明】
【0166】
1a、1b 通信システム
3 中継装置
5 通信処理システム
7 通信端末(表示端末の一例)
9,9a,9b,9c,9e,9f,9g 通信端末
10 撮影装置
51 通信部(画像送信部の一例、情報送信部の一例、システム受信部の一例)
52 受付部
59 記憶・読出部
71 通信部(受信部の一例、送信部の一例、端末受信部の一例)
72 受付部
74 表示制御部
75 音出力制御部
79 記憶・読出部
507 ディスプレイ(表示部の一例)
5001 ユーザ・デバイス管理DB
5002 仮想ルーム管理DB
5003 視点情報管理DB
7003 視点情報管理DB
740 所定領域画像(第1の所定領域画像の一例)
740a 視点表示領域(第2の所定領域を示す視点表示領域の一例)
740b 視点表示領域(第2の所定領域を示す視点表示領域の一例/第3の所定領域を示す視点表示領域の一例)
740c 視点表示領域(第2の所定領域を示す視点表示領域の一例/(第3の所定領域を示す視点表示領域の一例))
【先行技術文献】
【特許文献】
【0167】
【特許文献1】特開2019-62534号公報
図1
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