(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112545
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017658
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 優哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐輝
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC58
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD25
5E316EE33
5E316FF03
5E316FF13
5E316FF14
5E316FF15
5E316FF17
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG27
5E316HH06
5E316HH07
5E316HH33
(57)【要約】
【課題】ビアホール内におけるシード層の未着、及び絶縁層の上面の粗度の増大を抑制した配線基板を提供する。
【解決手段】本配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層の上面及び側面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層に設けられ、前記第1配線層の上面に達するビアホールと、前記ビアホールを充填し、前記絶縁層の上面に延伸する第2配線層と、前記第1配線層に設けられ、前記第1配線層の上面側から下面側に窪んで前記ビアホールと連通し、平面視で前記ビアホールの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部と、を有し、前記第2配線層は、前記絶縁層の上面に設けられた第1シード層と、前記第1シード層の上面及び内側面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する第2シード層と、前記第2シード層上に設けられた電解めっき層と、を含み、前記第1シード層は、前記第2シード層よりも薄い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層と、
前記第1配線層の上面及び側面を被覆する絶縁層と、
前記絶縁層に設けられ、前記第1配線層の上面に達するビアホールと、
前記ビアホールを充填し、前記絶縁層の上面に延伸する第2配線層と、
前記第1配線層に設けられ、前記第1配線層の上面側から下面側に窪んで前記ビアホールと連通し、平面視で前記ビアホールの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部と、を有し、
前記第2配線層は、
前記絶縁層の上面に設けられた第1シード層と、
前記第1シード層の上面及び内側面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する第2シード層と、
前記第2シード層上に設けられた電解めっき層と、を含み、
前記第1シード層は、前記第2シード層よりも薄い、配線基板。
【請求項2】
前記絶縁層の上面の粗度は、前記ビアホールの内側面の粗度よりも小さい、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1シード層は、平面視で前記ビアホールの内側面の上端よりも内周側に突出する突出部を備え、
前記第2シード層は、前記第1シード層の上面及び内側面、前記突出部の下面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記電解めっき層の前記凹部内に位置する部分は、前記第2シード層を介して前記絶縁層の下面と対向する部分を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記凹部は、外周側に行くにしたがって浅くなる形状である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記ビアホールは、前記絶縁層側に開口されている開口部の最大幅が10μm以下であり、かつ前記ビアホールのアスペクト比が1以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
第1配線層の上面及び側面を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上面に、第1シード層をドライプロセスにより形成する工程と、
前記第1シード層及び前記絶縁層を貫通し、前記第1配線層の上面に達するビアホールを形成する工程と、
前記第1配線層に、前記第1配線層の上面側から下面側に窪んで前記ビアホールと連通し、平面視で前記ビアホールの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部を形成する工程と、
前記第1シード層の上面及び内側面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する第2シード層をウェットプロセスにより形成する工程と、
前記第2シード層を給電層として電解めっきを行い、前記第1シード層、前記第2シード層、及び電解めっき層を含み、前記ビアホールを充填して前記絶縁層の上面に延伸する第2配線層を形成する工程と、を含み、
前記第1シード層は、前記第2シード層よりも薄い、配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記ビアホールを形成した後、かつ前記凹部を形成する前に、デスミア処理を行い、
前記デスミア処理により、前記ビアホールの内側面の粗度は、前記絶縁層の上面の粗度よりも大きくなる、請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記デスミア処理により、前記第1シード層に、前記ビアホール内に突出する突出部が形成され、
前記第2シード層は、前記第1シード層の上面及び内側面、前記突出部の下面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する、請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
ウェットエッチングにより前記凹部を形成する、請求項8又は9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交互に積層された絶縁層と配線層とを有する配線基板が知られている。このような配線基板では、例えば、絶縁層にビアホールを形成し、ビアホール内及び絶縁層の上面にシード層を形成し、シード層から給電する電解めっきを行うことで、配線層が形成される。ビアホール内及び絶縁層の上面へのシード層の形成は、例えば、イオンプレーティング等のドライプロセスにより行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドライプロセスによるシード層は、ビアホール内には形成されにくい。近年では、高速データ通信等に対応した配線基板において、配線の微細化やビアホールの小径化が進みつつあるが、小径のビアほど、ビアホール内にシード層の未着が発生しやすい傾向が顕著である。
【0005】
このような問題をウェットプロセスによるシード層の形成により回避することも考え得るが、ウェットプロセスによりシード層を形成する際には、密着性を向上するため、前処理として絶縁層の上面及びビアホール内を粗化することが一般的である。そして、この粗化による絶縁層の上面の粗度の増大に起因して表皮効果が顕著となり、配線基板の高周波伝送特性が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ビアホール内におけるシード層の未着、及び絶縁層の上面の粗度の増大を抑制した配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層の上面及び側面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層に設けられ、前記第1配線層の上面に達するビアホールと、前記ビアホールを充填し、前記絶縁層の上面に延伸する第2配線層と、前記第1配線層に設けられ、前記第1配線層の上面側から下面側に窪んで前記ビアホールと連通し、平面視で前記ビアホールの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部と、を有し、前記第2配線層は、前記絶縁層の上面に設けられた第1シード層と、前記第1シード層の上面及び内側面、前記ビアホールの内側面、前記凹部内に露出する前記絶縁層の表面、及び前記凹部内に露出する前記第1配線層の表面を連続的に被覆する第2シード層と、前記第2シード層上に設けられた電解めっき層と、を含み、前記第1シード層は、前記第2シード層よりも薄い。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、ビアホール内におけるシード層の未着、及び絶縁層の上面の粗度の増大を抑制した配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の奏する効果の1つについて説明する図である。
【
図7】第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図1(a)は全体図であり、
図1(b)は
図1(a)のA部の拡大図である。
【0012】
図1を参照すると、配線基板5は、コア基板10と、第1配線構造1と、第2配線構造2と、第3配線構造3と、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とを有している。第1配線構造1及び第2配線構造2は、コア基板10の一方の側に配置され、第3配線構造3は、コア基板10の他方の側に配置されている。なお、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とは、必要に応じて設けることができる。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、
図1における配線基板5のソルダーレジスト層40側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層50側を下側又は他方の側とする。また、各部位のソルダーレジスト層40側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層50側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板5は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
コア基板10としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア基板10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア基板10の厚さは、例えば、80~1200μm程度とすることができる。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0015】
コア基板10には、コア基板10を貫通する複数の貫通孔10xが形成されている。貫通孔10xの平面形状は、例えば、直径が50~100μm程度の円形とすることができる。貫通孔10xのピッチは、例えば、100~1000μm程度とすることができる。貫通孔10xの内側面には、貫通電極20が形成されており、貫通孔10xの中心部(貫通電極20の内側)には樹脂部30が充填されている。貫通電極20の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。樹脂部30の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を用いることができる。
【0016】
第1配線構造1は、コア基板10の一方の面10aに積層されている。第1配線構造1は、配線層及び絶縁層が積層された配線構造である。なお、第1配線構造1において、配線層及び絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第3配線構造3は、コア基板10の他方の面10bに積層されている。第3配線構造3は、配線層及び絶縁層が積層された配線構造である。なお、第3配線構造3において、配線層及び絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。
【0017】
配線層11は、コア基板10の一方の面10aに形成されている配線パターンである。配線層31は、コア基板10の他方の面10bに形成されている配線パターンである。なお、本願において、配線パターンには、ビア受け用のパッドや外部接続用のパッドも含むものとする。配線層11は、コア基板10を貫通する貫通電極20を介して、配線層31と電気的に接続されている。配線層11及び配線層31は、例えば、銅箔等の金属箔や銅めっき等のめっき層からなる。配線層11及び配線層31の厚さは、例えば、15~35μm程度とすることができる。配線層11及び配線層31のライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0018】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μm~50μm/50μmと記載されていた場合、配線幅が10μm以上50μm以下で、かつ隣り合う配線同士の配線間隔が10μm以上50μm以下であることを表す。必ずしも配線幅と配線間隔とを等しくしなくてもよい。
【0019】
絶縁層12は、コア基板10の一方の面10aに、配線層11を被覆するように形成されている。絶縁層32は、コア基板10の他方の面10bに、配線層31を被覆するように形成されている。絶縁層12及び絶縁層32は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。絶縁層12及び絶縁層32は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。絶縁層12及び絶縁層32の厚さは、例えば20~40μm程度とすることができる。絶縁層12及び絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0020】
配線層13は、絶縁層12の一方の側に形成されており、配線層11と電気的に接続されている。配線層13は、絶縁層12を貫通し配線層11の一方の面を露出するビアホール12x内に充填されたビア配線、及び絶縁層12の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール12xは、絶縁層14側に開口されている開口部の径が配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0021】
配線層33は、絶縁層32の他方の側に形成されており、配線層31と電気的に接続されている。配線層33は、絶縁層32を貫通し配線層31の他方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、絶縁層34側に開口されている開口部の径が配線層31の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0022】
ビアホール12x及び32xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。配線層13及び配線層33の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。配線層13及び配線層33の配線パターンの厚さは、例えば、15~25μm程度とすることができる。配線層13及び配線層33の配線パターンのライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0023】
絶縁層14は、絶縁層12の一方の面に、配線層13を被覆するように形成されている。絶縁層34は、絶縁層32の他方の面に、配線層33を被覆するように形成されている。絶縁層14及び絶縁層34の材料や厚さは、例えば、絶縁層12及び絶縁層32と同様とすることができる。絶縁層14及び絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。
【0024】
配線層15は、絶縁層14の一方の側に形成されており、配線層13と電気的に接続されている。配線層15は、絶縁層14を貫通し配線層13の一方の面を露出するビアホール14x内に充填されたビア配線、及び絶縁層14の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール14xは、絶縁層21側に開口されている開口部の径が配線層13の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0025】
配線層35は、絶縁層34の他方の側に形成されており、配線層33と電気的に接続されている。配線層35は、絶縁層34を貫通し配線層33の他方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径が配線層33の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0026】
ビアホール14x及び34xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。配線層15及び配線層35の材料、配線層15及び配線層35の配線パターンの厚さ、配線層15及び配線層35の配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層13及び配線層33と同様とすることができる。
【0027】
第2配線構造2は、第1配線構造1上に配置されている。第2配線構造2は、配線層及び絶縁層が積層された配線構造である。なお、第2配線構造2において、配線層及び絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。
【0028】
第2配線構造2を構成する配線層の配線幅及び配線間隔は、第1配線構造1を構成する配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。また、第2配線構造2を構成する配線層の配線幅及び配線間隔は、第3配線構造3を構成する配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。つまり、第2配線構造2を構成する配線層は、第1配線構造1を構成する配線層及び第3配線構造3を構成する配線層よりも配線密度の高い微細配線層である。
【0029】
絶縁層21は、絶縁層14の一方の面に設けられ、配線層15の上面及び側面を被覆する。絶縁層21は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。絶縁層21は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。絶縁層21は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。絶縁層21は、絶縁層12及び14よりも薄い絶縁層である。絶縁層21の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。絶縁層21には、絶縁層21を貫通して配線層15の上面に達するビアホール21xが設けられている。
【0030】
配線層22は、絶縁層21の一方の側に形成されており、第1配線構造1の配線層15と電気的に接続されている。配線層22は、ビアホール21xを充填し、絶縁層21の上面に延伸する。ビアホール21xを充填する部分はビア配線、絶縁層21の上面に延伸する部分は配線パターンである。配線層22の材料としては、例えば、主に銅等を用いることができる。配線層22を構成する配線パターンの厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。配線層22を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、3μm/3μm~8μm/8μm程度とすることができる。
【0031】
絶縁層23は、絶縁層21の一方の面に設けられ、配線層22の上面及び側面を被覆する。絶縁層23の材料や厚さは、例えば、絶縁層21と同様とすることができる。絶縁層23は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。絶縁層23には、絶縁層23を貫通して配線層22の上面に達するビアホール23xが設けられている。
【0032】
配線層24は、絶縁層23の一方の側に形成されており、配線層22と電気的に接続されている。配線層24は、ビアホール23xを充填し、絶縁層23の上面に延伸する。ビアホール23xを充填する部分はビア配線、絶縁層23の上面に延伸する部分は配線パターンである。配線層24の材料、配線層24を構成する配線パターンの厚さ、及び配線層24を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層22と同様とすることができる。
【0033】
絶縁層25は、絶縁層23の一方の面に設けられ、配線層24の上面及び側面を被覆する。絶縁層25の材料や厚さは、例えば、絶縁層23と同様とすることができる。絶縁層25は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。絶縁層25には、絶縁層25を貫通して配線層24の上面に達するビアホール25xが設けられている。
【0034】
配線層26は、絶縁層25の一方の側に形成されており、配線層24と電気的に接続されている。配線層26は、ビアホール25xを充填し、絶縁層25の上面に延伸する。ビアホール25xを充填する部分はビア配線、絶縁層25の上面に延伸する部分は電極である。
【0035】
配線層26の材料は、例えば、配線層22と同様とすることができる。配線層26を構成する電極の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。配線層26を構成する電極の平面形状は、例えば、直径が20~30μm程度の円形とすることができる。配線層26を構成する電極のピッチは、例えば、40~50μm程度とすることができる。配線層26は、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するために使用することができる。
【0036】
金属層27は、配線層26を構成する電極の上面及び側面を被覆する。金属層27は、必要に応じて設けられる。金属層27は、一層のみから形成されてもよいし、複数層の積層構造であってもよい。金属層27の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層27において、Ni層の厚さは、例えば、1μm~10μm程度とすることができる。Pd層の厚さは、例えば、0.01μm~0.5μm程度とすることができる。Au層の厚さは、例えば、0.01μm~0.5μm程度とすることができる。
【0037】
ソルダーレジスト層40は、第2配線構造2の絶縁層25の一方の面の外周側に形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層40の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層40は、開口部40xを有し、開口部40x内には配線層26の電極が露出している。
【0038】
ソルダーレジスト層50は、第3配線構造3の絶縁層34の他方の面に、第3配線構造3の配線層35を被覆するように形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層50の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層50は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0039】
ソルダーレジスト層50は、開口部50xを有し、開口部50xの底部には第3配線構造3の配線層35の一部が露出している。開口部50x内に露出する配線層35には、必要に応じて、はんだボール等の外部接続端子60が形成される。
【0040】
ここで、主に
図1(b)を参照しながら、A部の構造について、さらに詳しく説明する。
【0041】
配線層15には、配線層15の上面側から下面側に窪んでビアホール21xと連通し、平面視でビアホール21xの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部15xが設けられている。凹部15xの最深部の深さは、例えば、1μm以上5μm以下とすることができる。凹部15xにおいて、平面視でビアホール21xの内側面の下端よりも外周側に延伸する部分の長さは、例えば、1μm以上20μm以下とすることができる。
【0042】
平面視でビアホール21xの内側面を構成する絶縁層21の一部又は全部は、凹部15xの外周部と重なる。絶縁層21は、凹部15x内には入り込んでいない。凹部15xは、例えば、中心側が最も深く、外周側に行くにしたがって浅くなる形状である。
【0043】
ビアホール21xは、絶縁層23側に開口されている第1開口部の最大幅が配線層15の上面に達する部分の第2開口部の最大幅よりも大きい断面視で逆台形状の凹部とすることができる。ビアホール21xの第1開口部の最大幅は、例えば、5μm以上15μm以下とすることができる。ビアホール21xの第2開口部の最大幅は、例えば、2μm以上12μm以下とすることができる。ビアホール21xの深さは、例えば、5μm以上20μm以下とすることができる。ビアホール21xのアスペクト比(ビアホール21xの深さ/第1開口部の最大幅)は、例えば、0.25以上4以下とすることができる。ここで、最大幅は、平面視で、第1開口部又は第2開口部の外縁の2点間に連続して引くことができる最も長い直線の長さと定義する。ビアホールの最大幅は、平面視で、第1開口部又は第2開口部の形状が円形の場合は直径、楕円形の場合は長径、長方形や正方形の場合は対角線の長さである。
【0044】
絶縁層21の上面の粗度は、ビアホール21xの内側面の粗度よりも小さい。絶縁層21の上面の粗度は、Ra30nm以下とすることが好ましい。絶縁層21の上面の粗度は、Ra20nm以下とすることがより好ましく、Ra10nm以下とすることがさらに好ましい。ビアホール21xの内側面の粗度は、例えば、Ra100nm以上200nm以下とすることができる。
【0045】
配線層22は、第1シード層22aと、第2シード層22bと、電解めっき層22cとを含む。第1シード層22aは、絶縁層21の上面に設けられている。第1シード層22aは、絶縁層21と密着性の良い材料から形成することが好ましい。例えば、絶縁層21がエポキシ系樹脂である場合は、第1シード層22aを構成する材料として、Ti、Al、Cr等の金属や、CuNi、CuNiTi等の合金が挙げられる。第1シード層22aは、ドライプロセスにより形成することができる。
【0046】
第2シード層22bは、第1シード層22aの上面及び内側面、ビアホール21xの内側面、凹部15x内に露出する絶縁層21の表面、及び凹部15x内に露出する配線層15の表面を連続的に被覆する。第2シード層22bを構成する材料としては、例えば、Cuが挙げられる。第2シード層22bは、ウェットプロセスにより形成することができる。第1シード層22aは、第2シード層22bよりも薄い。第1シード層22aの厚さは、例えば、10nm以上100nm以下とすることができる。第2シード層22bの厚さは、例えば、100nm以上1000nm以下とすることができる。
【0047】
電解めっき層22cは、凹部15x内、ビアホール21x内、及び絶縁層21上において、第2シード層22b上に設けられている。電解めっき層22cの凹部15x内に位置する部分は、第2シード層22bを介して絶縁層21の下面と対向する部分を含んでもよい。電解めっき層22cを構成する材料としては、例えば、Cuが挙げられる。
【0048】
第1シード層22aは、平面視でビアホール21xの内側面の上端よりも内周側に突出する突出部を備えていてもよい。
図1(b)は、第1シード層22aが突出部を備える例であり、破線で示す円の内部に第1シード層22aの突出部が存在している。第1シード層22aの突出部は、例えば、平面視で環状に設けられる。第1シード層22aの突出部において、平面視でビアホール21xの内側面の上端よりも内周側に突出する長さは、例えば、0.5μm以上3μm以下とすることができる。
【0049】
第1シード層22aが突出部を備える場合、第2シード層22bは、第1シード層22aの上面及び内側面、第1シード層22aの突出部の下面、ビアホール21xの内側面、凹部15x内に露出する絶縁層21の表面、及び凹部15x内に露出する配線層15の表面を連続的に被覆する。なお、第1シード層22aが突出部を備えることにより、配線層22の抜け防止の効果が得られる。
【0050】
配線層22には、配線層22の上面側から下面側に窪んでビアホール23xと連通し、平面視でビアホール23xの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部22xが設けられている。凹部22xの最深部の深さは、例えば、凹部15xの場合と同様とすることができる。凹部22xにおいて、平面視でビアホール23xの内側面の下端よりも外周側に延伸する部分の長さは、例えば、凹部15xの場合と同様とすることができる。
【0051】
平面視でビアホール23xの内側面を構成する絶縁層23の一部又は全部は、凹部22xの外周部と重なる。絶縁層23は、凹部22x内には入り込んでいない。凹部22xは、例えば、中心側が最も深く、外周側に行くにしたがって浅くなる形状である。
【0052】
ビアホール23xは、ビアホール21xと同様の形状の凹部とすることができる。ビアホール23xの第1開口部及び第2開口部の最大幅は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。ビアホール23xの深さ及びアスペクト比は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。
【0053】
絶縁層23の上面の粗度は、ビアホール23xの内側面の粗度よりも小さい。絶縁層23の上面の粗度は、例えば、絶縁層21の場合と同様とすることができる。ビアホール23xの内側面の粗度は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。
【0054】
配線層24は、第1シード層24aと、第2シード層24bと、電解めっき層24cとを含む。第1シード層24aは、絶縁層23の上面に設けられている。第1シード層24aは、絶縁層23と密着性の良い材料から形成することが好ましい。第1シード層24aを構成する材料は、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。第1シード層24aは、ドライプロセスにより形成することができる。
【0055】
第2シード層24bは、第1シード層24aの上面及び内側面、ビアホール23xの内側面、凹部22x内に露出する絶縁層23の表面、及び凹部22x内に露出する配線層22の表面を連続的に被覆する。第2シード層24bを構成する材料は、例えば、第2シード層22bの場合と同様とすることができる。第2シード層24bは、ウェットプロセスにより形成することができる。第1シード層24aは、第2シード層24bよりも薄い。第1シード層24aの厚さは、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。第2シード層24bの厚さは、例えば、第2シード層22bの場合と同様とすることができる。
【0056】
電解めっき層24cは、凹部22x内、ビアホール23x内、及び絶縁層23上において、第2シード層24b上に設けられている。電解めっき層24cの凹部22x内に位置する部分は、第2シード層24bを介して絶縁層23の下面と対向する部分を含んでもよい。電解めっき層24cを構成する材料は、例えば、電解めっき層22cの場合と同様とすることができる。
【0057】
第1シード層24aは、平面視でビアホール23xの内側面の上端よりも内周側に突出する突出部を備えていてもよい。第1シード層24aの突出部は、例えば、平面視で環状に設けられる。第1シード層24aの突出部において、平面視でビアホール23xの内側面の上端よりも内周側に突出する長さは、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。
【0058】
第1シード層24aが突出部を備える場合、第2シード層24bは、第1シード層24aの上面及び内側面、第1シード層24aの突出部の下面、ビアホール23xの内側面、凹部22x内に露出する絶縁層23の表面、及び凹部22x内に露出する配線層22の表面を連続的に被覆する。
【0059】
配線層24には、配線層24の上面側から下面側に窪んでビアホール25xと連通し、平面視でビアホール25xの内側面の下端よりも外周側に延伸する凹部24xが設けられている。凹部24xの最深部の深さは、例えば、凹部15xの場合と同様とすることができる。凹部24xにおいて、平面視でビアホール25xの内側面の下端よりも外周側に延伸する部分の長さは、例えば、凹部15xの場合と同様とすることができる。
【0060】
平面視でビアホール25xの内側面を構成する絶縁層25の一部又は全部は、凹部24xの外周部と重なる。絶縁層25は、凹部24x内には入り込んでいない。凹部24xは、例えば、中心側が最も深く、外周側に行くにしたがって浅くなる形状である。
【0061】
ビアホール25xは、ビアホール21xと同様の形状の凹部とすることができる。ビアホール25xの第1開口部及び第2開口部の最大幅は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。ビアホール25xの深さ及びアスペクト比は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。
【0062】
絶縁層25の上面の粗度は、ビアホール25xの内側面の粗度よりも小さい。絶縁層25の上面の粗度は、例えば、絶縁層21の場合と同様とすることができる。ビアホール25xの内側面の粗度は、例えば、ビアホール21xの場合と同様とすることができる。
【0063】
配線層26は、第1シード層26aと、第2シード層26bと、電解めっき層26cとを含む。第1シード層26aは、絶縁層25の上面に設けられている。第1シード層26aは、絶縁層25と密着性の良い材料から形成することが好ましい。第1シード層26aを構成する材料は、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。第1シード層26aは、ドライプロセスにより形成することができる。
【0064】
第2シード層26bは、第1シード層26aの上面及び内側面、ビアホール25xの内側面、凹部24x内に露出する絶縁層25の表面、及び凹部24x内に露出する配線層24の表面を連続的に被覆する。第2シード層26bを構成する材料は、例えば、第2シード層22bの場合と同様とすることができる。第2シード層26bは、ウェットプロセスにより形成することができる。第1シード層26aは、第2シード層26bよりも薄い。第1シード層26aの厚さは、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。第2シード層26bの厚さは、例えば、第2シード層22bの場合と同様とすることができる。
【0065】
電解めっき層26cは、凹部24x内、ビアホール25x内、及び絶縁層25上において、第2シード層26b上に設けられている。電解めっき層26cの凹部24x内に位置する部分は、第2シード層26bを介して絶縁層25の下面と対向する部分を含んでもよい。電解めっき層26cを構成する材料は、例えば、電解めっき層22cの場合と同様とすることができる。
【0066】
第1シード層26aは、平面視でビアホール25xの内側面の上端よりも内周側に突出する突出部を備えていてもよい。第1シード層26aの突出部は、例えば、平面視で環状に設けられる。第1シード層26aの突出部において、平面視でビアホール25xの内側面の上端よりも内周側に突出する長さは、例えば、第1シード層22aの場合と同様とすることができる。
【0067】
第1シード層26aが突出部を備える場合、第2シード層26bは、第1シード層26aの上面及び内側面、第1シード層26aの突出部の下面、ビアホール25xの内側面、凹部24x内に露出する絶縁層25の表面、及び凹部24x内に露出する配線層24の表面を連続的に被覆する。
【0068】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図5は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0069】
図1に示す配線基板5は、コア基板10の一方の面10a及び他方の面10bに、例えば周知のビルドアップ法により配線層及び絶縁層を順次積層することにより製造できる。ここでは、領域Aについて図示しながら、絶縁層14の積層が終了した配線基板に、配線層15、絶縁層21、配線層22、絶縁層23、配線層24、絶縁層25、配線層26、及び金属層27を形成する工程を説明する。
【0070】
まず、
図2(a)に示す工程では、絶縁層14にビアホール14xを形成した後、絶縁層14上に配線層15を形成する。例えば、ビアホール14xを形成後、絶縁層14の上面に、配線層15を形成する予定の領域を露出する開口部を備えたレジスト層を形成する。レジスト層は、例えば、感光性のドライフィルムレジストを絶縁層14上に貼り付けることで形成できる。開口部は、例えば、感光性のドライフィルムレジストを露光及び現像することにより形成できる。配線層15は、例えば、周知のセミアディティブ法により、開口部内に露出するビアホール14x内及び絶縁層14の上面に形成できる。配線層15を形成後、レジスト層を除去する。配線層15の材料や厚さは、前述のとおりである。
【0071】
次に、
図2(b)に示す工程では、例えば、絶縁層14上に配線層15の上面及び側面を被覆する未硬化の絶縁樹脂フィルムをラミネートし、この絶縁樹脂フィルムを加熱しながら絶縁層14側に加圧して硬化させ、絶縁層21を形成する。この際、表皮効果を抑制するため、上面の粗度がRa30nm以下の低粗度の絶縁樹脂フィルムを選択することが好ましい。Ra20nm以下の低粗度の絶縁樹脂フィルムを選択することがより好ましく、Ra10nm以下の低粗度の絶縁樹脂フィルムを選択することがさらに好ましい。なお、絶縁樹脂フィルムのラミネートに代えて、液状又はペースト状の絶縁樹脂を塗布後、硬化させて絶縁層21を形成してもよい。この際、絶縁層21の上面の粗度が高い場合には、表皮効果を抑制するために化学的機械研磨(CMP法:Chemical Mechanical Polishing法)等により平坦化を行い、絶縁層21の上面の粗度を上記の通りとすることが好ましい。絶縁層21の材料や厚さは、前述のとおりである。
【0072】
次に、
図2(c)に示す工程では、絶縁層21の上面に、第1シード層22aをドライプロセスにより形成する。ドライプロセスとしては、例えば、スパッタ、蒸着、イオンプレーティング等が挙げられる。第1シード層22aの材料や厚さは、前述のとおりである。
【0073】
次に、
図3(a)に示す工程では、第1シード層22a及び絶縁層21に、第1シード層22a及び絶縁層21を貫通し、配線層15の上面に達するビアホール21xを形成する。ビアホール21xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール21xは、第1シード層22a側に開口されている第1開口部の最大幅が配線層15の上面に達する部分の第2開口部の最大幅よりも大きい断面視で逆台形状の凹部とすることができる。
【0074】
次に、
図3(b)に示す工程では、絶縁層21にデスミア処理を行う。これにより、ビアホール21xの底部に露出する配線層15の上面に付着した絶縁層21の樹脂残渣を除去することできる。デスミア処理の際に、絶縁層21の内側面が削られて粗化される。第1シード層22aに被覆されている絶縁層21の上面は粗化されないため、デスミア処理により、ビアホール21xの内側面の粗度は、絶縁層21の上面の粗度よりも大きくなる。ビアホール21xの内側面の粗度は、例えば、Ra100nm以上200nm以下とすることができる。また、デスミア処理により、絶縁層21の内側面が削られ、第1シード層22aに、ビアホール21x内に突出する突出部が形成されてもよい。
図3(b)では、破線で示す円の内部に第1シード層22aの突出部が形成されている。デスミア処理は、配線層15がエッチングされないエッチング液を用いて行う。例えば、配線層15が銅であれば、過マンガン酸ナトリウムや過マンガン酸カリウム等のエッチング液を用いることができる。
【0075】
なお、
図3(b)に示す工程の後、デスミア処理で生じた異物を除去する異物洗浄工程を設けてもよい。異物洗浄は、例えば、界面活性剤を用いて行うことができる。界面活性剤を用いることで、異物洗浄とともに、ビアホール内の濡れ性向上の効果も得られる。なお、界面活性剤の一部が、配線層15の上面に付着する場合がある。
【0076】
次に、
図3(c)に示す工程では、配線層15に凹部15xを形成する。凹部15xは、配線層15の上面側から下面側に窪んでビアホール21xと連通し、平面視でビアホール21xの内側面の下端よりも外周側に延伸するように形成される。凹部15xは、例えば、配線層15をエッチングでき、第1シード層22aがエッチングされないエッチング液を用いたウェットエッチングにより形成することができる。例えば、配線層15が銅、第1シード層22aがチタンであれば、硫酸と過酸化水素を混合した水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いることができる。なお、異物洗浄工程で界面活性剤の一部が配線層15の上面に付着した場合は、凹部15xを形成する際に除去される。
【0077】
次に、
図4(a)に示す工程では、第2シード層22bをウェットプロセスにより形成する。第2シード層22bを形成する前に、第2シード層22bを形成する部分の表面に、Pd等の触媒を付与することが好ましい。第2シード層22bは、第1シード層22aの上面及び内側面、第1シード層22aの突出部の下面、ビアホール21xの内側面、凹部15x内に露出する絶縁層21の表面、及び凹部15x内に露出する配線層15の表面を連続的に被覆するように形成される。第2シード層22bの材料や厚さは、前述のとおりである。なお、
図3(b)の工程で第1シード層22aに突出部が形成されていない場合は、第2シード層22bは、第1シード層22aの上面及び内側面、ビアホール21xの内側面、凹部15x内に露出する絶縁層21の表面、及び凹部15x内に露出する配線層15の表面を連続的に被覆するように形成される。なお、デスミア処理により、ビアホール21xの内側面の粗度が増大しているため、ビアホール21xの内側面と第2シード層22bとの間にアンカー効果による良好な密着性が得られる。
【0078】
次に、
図4(b)及び
図4(c)に示す工程では、配線層22を形成する。まず、
図4(b)に示す工程では、第2シード層22bの上面に、配線層22を形成する予定の領域を露出する開口部を備えたレジスト層を形成する。レジスト層は、例えば、感光性のドライフィルムレジストを第2シード層22b上に貼り付けることで形成できる。開口部は、例えば、感光性のドライフィルムレジストを露光及び現像することにより形成できる。そして、第2シード層22bを給電層として銅等の電解めっきを行い、レジスト層の開口部内に電解めっき層22cを形成する。その後、レジスト層を除去する。
【0079】
次に、
図4(c)に示す工程では、電解めっき層22cをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層22cから露出する第1シード層22a及び第2シード層22bを除去する。これにより、第1シード層22a、第2シード層22b、及び電解めっき層22cを含み、ビアホール21xを充填して絶縁層21の上面に延伸する配線層22が形成される。第1シード層22a及び第2シード層22bは、別々のエッチング液で除去してもよい。例えば、第2シード層22bが銅であれば、前述のエッチング液を用いることができる。例えば、第1シード層22aがTiであれば、水酸化カリウムと過酸化水素を混合した水溶液等のエッチング液を用いることができる。なお、第1シード層22aは、ドライエッチングで除去してもよい。
【0080】
次に、
図5(a)に示す工程では、
図2(b)~
図4(c)と同様の工程を繰り返し、絶縁層23、第1シード層24a、ビアホール23x、凹部22x、第2シード層24b、及び電解めっき層24cを順次形成し、絶縁層23上に配線層24を設ける。
【0081】
次に、
図5(b)に示す工程では、
図2(b)~
図4(c)と同様の工程を繰り返し、絶縁層25、第1シード層26a、ビアホール25x、凹部24x、第2シード層26b、及び電解めっき層26cを順次形成し、絶縁層25上に配線層26を設ける。そして、配線層26の絶縁層25の上面から突出する電極の上面及び側面に、無電解めっき法等により、金属層27を形成する。金属層27の材料や厚さは、前述のとおりである。
【0082】
このように、配線基板5の製造工程では、絶縁層の上面にドライプロセスにより第1シード層を形成し、その後ビアホールを形成してビアホール内及び第1シード層上にウェットプロセスにより第2シード層を形成する。ウェットプロセスにより第2シード層を形成することで、ビアホール内にシード層の未着が発生するおそれを低減できる。これにより、ビア配線を介しての配線層同士の接続信頼性を向上することができる。特に、ビアホールの第1開口部の最大幅が10μm以下であり、かつビアホールのアスペクト比が1以上である小さくて深いビアホールの場合は、従来のようなドライプロセスではビアホール内にシード層の未着が発生しやすい。そのため、ウェットプロセスでビアホール内にシード層を形成する配線基板5の製造方法は極めて有効である。
【0083】
また、配線基板5の製造工程では、ウェットプロセスによる第2シード層形成の前処理としてデスミア処理等を行った場合でも、その際に絶縁層の上面は第1シード層で被覆されているため、絶縁層の上面が粗化されることはない。そのため、絶縁層の上面の粗度の増大を抑えることが可能となり、表皮効果が抑制されて良好な高周波伝送特性を実現できる。
【0084】
なお、ドライプロセスによる第1シード層の形成に代えて、上面に銅箔が配置された銅箔付き絶縁層を使用することも考えられる。この場合も、ウェットプロセスによる第2シード層形成の前処理としてデスミア処理等を行った場合に、銅箔で被覆された絶縁層の上面が粗化されることはない。しかし、この場合、絶縁層の上面の粗度が銅箔表面の粗度で決まってしまう。一般に銅箔表面の粗度はRa200nm程度であるため、この方法では表皮効果の抑制は困難である。すなわち、表皮効果の抑制のためには、ドライプロセスによる第1シード層の形成が必要である。
【0085】
また、配線基板5では、応力の集中に伴う配線層と第2シード層との界面での破断を抑制する効果が得られる。これについて、
図6を参照しながら説明する。
図6において、Bは、ビアホール21xの内側面の下端を構成する絶縁層21を示している。また、Cは、配線層15と第2シード層22bとの界面を示している。ビアホール21xの内側面の下端Bは、例えば配線基板5に半導体チップを搭載する際の加熱や冷却に伴ない絶縁層21が熱収縮する際に、応力が集中する点となる。そのため、仮に凹部15xが形成されていないとすると、下端Bと界面Cとの距離が近くなり、応力の集中に伴う配線層15と第2シード層22bとの界面Cでの破断が生じやすくなる。しかし、配線基板5では、凹部15xが形成されているため、下端Bと界面Cとの距離が遠くなる。これにより、応力の集中に伴う配線層15と第2シード層22bとの界面Cでの破断が抑制され、配線層15と配線層22との接続信頼性を向上することができる。なお、凹部を有する他の配線層についても、同様の効果を奏する。
【0086】
〈第1実施形態の応用例〉
第1実施形態の応用例では、配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の応用例において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0087】
図7は、第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照すると、半導体装置7は、
図1に示す配線基板5と、半導体チップ110A及び110Bと、電極ポスト120と、はんだ130とを有する。
【0088】
半導体チップ110A及び110Bは、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極ポスト120が形成されている。電極ポスト120は、配線基板5と接続される接続端子であり、例えば、銅ポストである。半導体チップ110Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであってもよい。半導体チップ110Bは、例えば、HBM(High Bandwidth Memory)等のメモリであってもよい。
【0089】
電極ポスト120は、はんだ130を介して、配線基板5の配線層26及び金属層27と電気的に接続されている。はんだ130の材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。なお、半導体チップ110A及び110Bと配線基板5の上面との間にアンダーフィル樹脂が充填されてもよい。
【0090】
このように、第1実施形態に係る配線基板5に半導体チップを搭載することにより、半導体装置7を実現できる。前述のように、配線基板5は、配線密度の高い微細配線層や第1開口部の最大幅の小さいビアホールを有する高密度な配線基板であり、かつ表皮効果が抑制されて良好な高周波伝送特性を実現できる。そのため、配線基板5は、例えばプロセッサとメモリとの間などで高速データ通信するためのインターポーザ基板として、好適に用いることができる。
【0091】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0092】
例えば、本発明は、
図1に示した構造と異なる構造の配線基板にも適用可能である。本発明を適用可能な配線基板の一例として、コア基板や第3配線構造を有さず、第1配線構造上に第2配線構造が積層されたコアレスの配線基板が挙げられる。
【符号の説明】
【0093】
1 第1配線構造
2 第2配線構造
3 第3配線構造
5 配線基板
7 半導体装置
10 コア基板
10a 一方の面
10b 他方の面
10x 貫通孔
11,13,15,22,24,26,31,33,35 配線層
12,14,21,23,25,32,34 絶縁層
12x,14x,21x,23x,25x,32x,34x ビアホール
15x,22x,24x 凹部
20 貫通電極
22a,24a,26a 第1シード層
22b,24b,26b 第2シード層
22c,24c,26c 電解めっき層
27 金属層
30 樹脂部
40,50 ソルダーレジスト層
40x,50x 開口部
60 外部接続端子
110A,110B 半導体チップ
120 電極ポスト
130 はんだ