(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112577
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】品質判定システム、通信システム、品質判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240814BHJP
G01N 33/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G06Q10/06
G01N33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017713
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岩城 一成
(72)【発明者】
【氏名】平邑 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】村岡 仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 雄一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】本開示は、食品が発生するガス分子等の揮発性物質を検出するための仕組みを大型化せずに、食品の劣化等の品質レベルを判定することを目的とする。
【解決手段】ユーザYは、食品の陳列棚等において、濃度表示媒体93を含めて所望の食品90を通信端末50で撮影し、撮影により得られた画像データを、通信ネットワーク100を介して品質判定装置30(品質判定システム)に送信する。その後、品質判定装置30は、画像データに含まれる濃度表示媒体93のマトリクス図と、予め記憶されているマトリクスのテンプレートとのパターン照合により、食品90の品質レベルを判定し、判定結果情報を、通信ネットワーク100を介して通信端末50に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの要求に基づいて所定の食品の品質を判定する品質判定システムであって、
表示態様が異なる複数の図のそれぞれに対応する食品の品質レベルを記憶する記憶部と、
前記所定の食品と共に所定の光透過率を有する包装内に含まれており前記所定の食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図を含む画像データを、前記通信端末から受信する受信部と、
前記複数の図のうちで、前記画像データに含まれている前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する送信部と、
を有する品質判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の品質判定システムであって、
前記送信部は、前記画像データに含まれている前記表示態様の図における所定の揮発性物質の濃度に基づき、前記所定の品質レベルと共に前記判定結果情報を前記通信端末に送信する、又は当該所定の品質レベルに替えて前記所定の食品の異常状態を示す情報と共に前記判定結果情報を前記通信端末に送信する、
品質判定システム。
【請求項3】
前記所定の食品の異常状態を示す情報は、前記所定の食品が食べられない旨、又は前記所定の食品の品質が判定不能である旨を示す、請求項2に記載の品質判定システム。
【請求項4】
前記記憶部は、複数の食品のそれぞれを識別するための食品識別情報毎に当該複数の食品のそれぞれの品質レベルの表記に関する情報を記憶し、
前記受信部は、前記所定の食品を識別するための所定の食品識別情報を、前記通信端末から受信し、
前記送信部は、前記受信部によって受信された前記所定の食品識別情報に対応する所定の品質レベルの表記を含む前記判定結果情報を、前記通信端末に送信する、
請求項1に記載の品質判定システム。
【請求項5】
前記記憶部は、複数の食品のそれぞれを識別するための食品識別情報毎に当該複数の食品のそれぞれの食品名を記憶し、
前記受信部は、前記所定の食品を識別するための所定の食品識別情報を、前記通信端末から受信し、
前記送信部は、前記受信部によって受信された前記所定の食品識別情報に対応する所定の食品名を含む前記判定結果情報を、前記通信端末に送信する、
請求項1に記載の品質判定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の品質判定システムであって、
前記画像データに含まれている前記表示態様の図と前記記憶部に記憶されている前記複数の図とのパターン照合を行うことで、前記所定の類似範囲における前記所定の表示形態の図を検出する照合部を有し、
前記送信部は、前記照合部によって検出された前記所定の表示形態の図に対応する前記所定の品質レベルを示す前記判定結果情報を、前記通信端末に送信する、
品質判定システム。
【請求項7】
請求項6に記載の品質判定システムであって、
前記受信部は、前記所定の食品の収穫日又は生産日を示す情報を、前記通信端末から受信し、
前記照合部により前記所定の類似範囲において複数の表示形態の図が検出された場合には、前記食品の収穫日又は生産日を示す情報に基づいて、前記照合部により検出された前記複数の表示形態の図のうち前記所定の表示形態の図を特定する特定部を有する、品質判定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の品質判定システムであって、
前記受信部によって受信された前記画像データに含まれている前記表示態様の図に対して歪み補正を行う補正部を有し、
前記送信部は、前記複数の図のうちで前記補正部による歪み補正後の前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する、
品質判定システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の品質判定システムと、
前記所定の食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図が表された濃度表示媒体と、
を有する通信システム。
【請求項10】
請求項4又は5に記載の品質判定システムと、
前記所定の食品を識別するための所定の食品識別情報が含まれたコード表示媒体と、
を有する通信システム。
【請求項11】
通信端末からの要求に基づいて食品の品質を判定する品質判定システムが実行する品質判定方法であって、
前記品質判定システムは、表示態様が異なる複数の図のそれぞれに対応する食品の品質レベルを記憶する記憶部を有し、
前記品質判定システムは、
前記食品と共に所定の光透過率を有する包装内に含まれ前記食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図を含む画像データを、前記通信端末から受信する受信処理と、
前記複数の図のうちで前記画像データに含まれている前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する送信処理と、
を実行する品質判定方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項11に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、品質判定システム、通信システム、品質判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の劣化状態を検出するシステムが知られている。例えば、冷蔵庫等の容器内に、食品と、この食品が発生する物質を検出する検出装置を入れておき、検出装置が容器外の検査装置に対して近距離無線通信により検出結果を送ることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の検出装置は、食品が発生する匂いの元になるガス分子を吸着する感応膜、感応膜におけるガス分子の検出を電気信号に変換するトランスデューサ、及び通信機器等によって構成されているため、装置が大型化してしまうという課題が生じる。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたもので、食品が発生するガス分子等の揮発性物質を検出するための仕組みを大型化せずに、食品の劣化等の品質レベルを判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、通信端末からの要求に基づいて所定の食品の品質を判定する品質判定システムであって、表示態様が異なる複数の図のそれぞれに対応する食品の品質レベルを記憶する記憶部と、前記所定の食品と共に所定の光透過率を有する包装内に含まれており前記所定の食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図を含む画像データを、前記通信端末から受信する受信部と、前記複数の図のうちで、前記画像データに含まれている前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する送信部と、を有する品質判定システムである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本開示によれば、食品が発生する揮発性物質を検出するための仕組みを大型化せずに、食品の品質レベルを判定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】透明なビニールで個包装されている食品を示す図である。
【
図3】品質判定装置の電気的なハードウェア構成図である。
【
図4】通信端末の電気的なハードウェア構成図である。
【
図9】食品の品質を判定する処理を示すシーケンス図である。
【
図10】品質判定装置が実行する画像認識処理を示すフローチャートである。
【
図11】二次元コードの画像及び成分表示媒体のマトリクスの画像に関し、歪み補正前と歪み補正後の画像を示した図である。
【
図12】品質判定装置が実行する判定結果の導出処理を示すフローチャートである。
【
図13】品質判定装置が実行する判定結果の導出処理を示すフローチャートである。
【
図14】所定の食品が異常状態を示す判定結果情報を表示した通信端末を示す図である。
【
図15】所定の食品の品質レベルを示す判定結果情報を表示した通信端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
〔通信システムの概略〕
図1を用いて通信システム10の概略について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
【0011】
図1では、食品販売店等の食品の陳列棚に複数種類の食品が陳列されている。食品には、青果(野菜、果物)、鮮魚、精肉等の生鮮食品だけでなく、加工食品も含まれる。食品は単一毎又は複数毎に透明ビニールの包装91に包まれて陳列されている。例えば、
図2に示すように、食品(ここでは、マスクメロン)90が、透明ビニールの包装91に包まれて密封されており、食品90から放出される複数種類の揮発性物質が包装91の外に出づらい状態になっている。また、食品90には、二次元コード表示媒体92及び濃度表示媒体93が貼り付けられている。透明ビニールは、二次元コード表示媒体92及び濃度表示媒体93が通信端末50の撮影機能によって撮影することができる程度に、所定の光透過率を有している。
【0012】
二次元コード表示媒体92は、例えば、二次元コードが印刷されたシールである。二次元コードには、食品90を識別するための食品ID(Identification)、及び食品90の収穫日(又は生産日)を示す情報が埋め込まれている(含まれている)。食品IDは、食品を識別するための食品識別情報の一例である。二次元コード表示媒体92は、食品90ではなく包装91の内側に貼られてもよく、包装91の外側に貼られてもよい。
【0013】
なお、二次元コードはコード情報の一例である。コード情報には、バーコードも含まれる。また、二次元コード表示媒体92は、コード表示媒体の一例である。コード表示媒体には、バーコードを表すバーコード表示媒体も含まれる。
【0014】
濃度表示媒体93は、例えば、マトリクス図が印刷されたシールである。マトリクス図は、食品90から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図の一例である。例えば、横方向に5種類の揮発性物質を示すマトリクスの要素が表されており、縦方向に5段階の濃度レベルを示すマトリクスの要素が表されている。揮発性物質としては、香気成分(アルデヒド類、エステル類、アルコール類、チオール類、ケトン類、テルペン類等)、植物ホルモン(エチレン等)、CO
2、水分等が挙げられる。
図2では、揮発性物質は、左から順に、エチレン、アルデヒド、チオール類(又は硫化物)、CO
2、水分である。各揮発性物質名は、原則としてユーザYには分からないように、濃度表示媒体93上には表示されていないが、表示するように印刷してもよい。
【0015】
濃度レベルは、下から上に表示されるにつれて濃度が高い状態を示している。マトリクスの各要素には、揮発性物質毎に含有量を段階的に変えた反応試薬が塗られており、呈色反応(
図2では黒色に発色又は変色)により、揮発性物質毎に濃度レベルが表される。
図2では、エチレン、アルデヒド、チオール類(又は硫化物)、CO
2、水分の濃度レベルが、それぞれ、3、3、2、5、4であることが表されている。なお、呈色反応の色は、黒色ではなく、灰色等の中間色であってもよい。また、揮発性物質毎に含有量が一定の反応試薬が塗られており、それらの上に段階的に呈色反応が起こるように、反応試薬の透過性が異なる所定のフィルムが貼られるようにしてもよい。
【0016】
また、
図1に示すように、通信システム10は、品質判定装置30、通信端末50、二次元コード表示媒体92、及び濃度表示媒体93によって構築されている。品質判定装置30は、この食品の品質判定のサービスを行う業者によって管理及び運用されている。通信端末50は、ユーザYによって使用されている。ユーザYは、消費者、卸売業者等である。
図1では、消費者が示されている。
【0017】
また、品質判定装置30と通信端末50は、インターネット等の通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100の接続形態は、無線又は有線のいずれであっても良い。
【0018】
品質判定装置30は、コンピュータによって構成されている。品質判定装置30の記憶部40には、後述の3つのDB(Data Base)として、テンプレート管理DB41、品質レベル管理DB42、及び食品情報管理DB43が構築されている。但し、3つのDBのうちの少なくとも1つは、品質判定装置30の外部の記憶装置等で構築されていてもよい。品質判定装置30は、複数の部品が有機的に設けられていることから、「品質判定システム」と示すこともできる。また、品質判定装置30は複数のコンピュータで構成されている場合や、品質判定装置30だけでなく上述の記憶装置等を含めた場合も、「品質判定システム」と示すことができる。
【0019】
通信端末50は、
図1では、一例としてスマートフォンが示されている。ユーザYは、二次元コード表示媒体92及び濃度表示媒体93を含めて所望の食品90を通信端末50で撮影し、撮影により得られた画像データを、通信ネットワーク100を介して品質判定装置30に送信する。その後、品質判定装置30は、画像データに含まれる濃度表示媒体93のマトリクス図と、予め記憶されているマトリクスのテンプレートとのパターン照合により、食品90の品質レベルを判定し、判定結果情報を、通信ネットワーク100を介して通信端末50に送信する。また、通信端末50には、予め専用のアプリケーション(プログラム)がインストールされており、この専用のアプリケーションによって、上述の撮影することで得られた画像データを品質管理装置30に送信すると共に、品質管理装置30から受信した判定結果情報を
図14又は
図15に示すようにディスプレイ507に表示させることができる。
【0020】
なお、これら一連の判定処理に関しては、後ほど詳細に説明する。
【0021】
〔ハードウェア構成〕
続いて、
図3及び
図4を用いて、通信システム10を構築している品質判定装置30及び通信端末50の電気的なハードウェア構成を説明する。
【0022】
<品質判定装置のハードウェア構成>
次に、
図3を用いて、品質判定装置30の電気的なハードウェア構成を説明する。
図3は、品質判定装置の電気的なハードウェア構成図である。
【0023】
品質判定装置30は、コンピュータとして、
図3に示されているように、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、SSD(Solid State Drive)304、外部機器接続I/F(Interface)305、ネットワークI/F306、メディアI/F309、及びバスライン310を備えている。
【0024】
これらのうち、CPU301は、品質判定装置30全体の動作を制御する。ROM302は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0025】
SSD304は、CPU301の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、SDD304の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を用いても良い。
【0026】
外部機器接続I/F305は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USB(Universal Serial Bus)メモリ、及びプリンタ等である。
【0027】
ネットワークI/F306は、通信ネットワーク100を介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0028】
メディアI/F309は、フラッシュメモリ等の記録メディア309mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア309mには、DVD(Digital Versatile Disc)やBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0029】
バスライン310は、
図3に示されているCPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
<通信装置のハードウェア構成>
次に、
図4を用いて、通信端末50の電気的なハードウェア構成を説明する。
図4は、通信装置の電気的なハードウェア構成図である。
【0031】
通信端末50は、コンピュータとして、
図4に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、SSD504、外部機器接続I/F(Interface)505、ネットワークI/F506、ディスプレイ507、操作部508、メディアI/F509、バスライン510、及び個体撮像素子511を備えている。
【0032】
これらのうち、CPU501は、通信端末50全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。
【0033】
SSD504は、CPU501の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、通信端末50がスマートフォン等の場合には、SSD504を設けなくてもよい。また、SSD504の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を設けてもよい。
【0034】
外部機器接続I/F505は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0035】
ネットワークI/F506は、通信ネットワーク100を介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0036】
ディスプレイ507は、各種画像を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0037】
操作部508は、種々の操作ボタンや電源スイッチ、シャッターボタン、タッチパネル等の各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行うための入力手段である。
【0038】
メディアI/F509は、フラッシュメモリ等の記録メディア509mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア509mには、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0039】
個体撮像素子511は、CPU501の制御に従って被写体を撮像して、画像データを得る撮像手段の一種である。例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサが挙げられる。
【0040】
バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0041】
〔通信システムの各機能構成〕
続いて、
図5を用いて、通信システム10を構築している品質判定装置30及び通信端末50の機能構成を説明する。
図5は、通信システムの各機能構成図である。
【0042】
<品質判定装置の機能構成>
図5に示されているように、品質判定装置30は、通信部31、受付部32、認識部35、補正部36、特定部37、照合部38、及び作成部39を有している。これら各部は、
図3に示されている各構成要素のいずれかが、SSD304からRAM303上に展開されたプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、品質判定装置30は、
図3に示されているROM302、RAM303、又はSSD304によって構築される記憶部40を有している。記憶部40には、テンプレート管理DB41、品質レベル管理DB42、及び食品情報管理DB43が構築されている。
【0043】
(テンプレ-ト管理テーブル)
図6は、テンプレート管理テーブルの概念図である。テンプレート管理DB41は、
図6に示すテンプレート管理テーブルによって構成されている。テンプレート管理テーブルには、食品ID毎に、テンプレートID、及びテンプレートが関連付けて管理されている。
【0044】
これらのうち、「食品ID」は、上述のように、食品を識別するための食品識別情報の一例である。
【0045】
「テンプレートID」は、テンプレートを識別するためのテンプレート識別情報の一例である。
【0046】
「テンプレート」は、濃度表示媒体93で示されるマトリクス図と同様のマトリクス図であり、テンプレートID毎に表示態様が異なる複数のテンプレートが記憶されている。例えば、横方向に5種類の揮発性物質を示すマトリクスの要素が表されており、縦方向に5段階の濃度レベルを示すマトリクスの要素が表されている。濃度レベルは、下から上に表示されるにつれて濃度が高い状態を示している。
図6では、5種類の揮発性物質が、a,b,c,d,eで表されている。例えば、食品IDが
図2に示す食品90を示す場合、a,b,c,d,eは、上述のようにそれぞれ、エチレン、アルデヒド、チオール類(又は硫化物)、CO
2、水分の濃度を示す。また、濃度レベルが1~5のいずれかで表されている。なお、「a,b,c,d,e」と「1~5」の少なくとも一方は、表示されていなくてもよい。
【0047】
(品質レベル管理テーブル)
図7は、品質レベル管理テーブルの概念図である。品質レベル管理DB42は、
図7に示す品質レベル管理テーブルによって構成されている。品質レベル管理テーブルには、テンプレートID及び品質レベルが関連付けて管理されている。
【0048】
これらのうち、「テンプレートID」は、
図6に示すテンプレートIDと同様である。
【0049】
「品質レベル」は、食品の品質レベルを示す情報である。本実施形態では、1~9の9段階の品質レベルが扱われるが、9段階でなくてもよい。
【0050】
なお、品質レベルが表されないテンプレートIDも存在し、
図7では「-」で表されている。この場合は、食品が後述の異常状態であるため、品質レベルで表すまでもない状態である。
【0051】
(食品情報管理テーブル)
図8は、食品情報管理テーブルの概念図である。食品情報管理DB43は、
図8に示す食品情報管理テーブルによって構成されている。食品情報管理テーブルには、食品ID、食品名、及び品質レベル表記が関連付けて管理されている。
【0052】
これらのうち、「食品ID」は、
図6に示す食品IDと同様である。
【0053】
「食品名」は、食品IDで示される食品の名称である。例えば、単に「メロン」と示しても良いし、
図8のように各メロンの種類の名称(マスクメロン等)を示してもよい。
【0054】
「品質レベル表記」は、ユーザYに分かり易いように、商品の品質レベルを表現した文字等であり、例えば、「未熟」、「完熟」、「過熟」等が挙げられる。また、各表記には、品質レベルの数字も関連付けられている。例えば、「未熟」の場合の品質レベルは1~3に相当し、「完熟」の場合の品質レベルは4~6に相当し、「過熟」の場合の品質レベルは7~9に相当する。
【0055】
(各機能構成)
続いて、
図5に戻り、各機能構成について説明する。
【0056】
通信部31は、ネットワークI/F306から通信ネットワーク100を介して通信端末50等に各種データ(又は情報)を送信したり、通信端末50等から通信ネットワーク100を介してネットワークI/F306で各種データ(又は情報)を受信したりする制御を行う。なお、通信部31は、送信部及び受信部の一例である。
【0057】
受付部32は、品質判定装置30の外部機器接続I/F305に接続されたキーボードやマウス等から各種の選択又は入力を受け付け、選択又は入力の内容を認識する。
【0058】
認識部35は、通信端末50から送られて来た画像データにおける所定の画像領域に示された図(又は情報)を認識する。また、認識部35は、二次元コード情報を読み取って、二次元コード情報に埋め込まれている情報を認識する。更に、認識部35は、画像データに含まれる濃度表示媒体93のマトリクス図から、複数種類の揮発性物質のうち所定の揮発性物質(例えば、水分)の濃度のレベルを認識する。
【0059】
補正部36は、
図11に示すように、二次元コード情報92a及びマトリクス
図93aに対して歪み補正を行うことで、歪み補正後の二次元コード情報92b及びマトリクス
図93bを出力する。
【0060】
特定部37は、各種特定を行う。例えば、特定部37は、食品90の収穫日(又は生産日)を示す情報に基づいて、照合部38により検出された複数のテンプレートのうち所定のテンプレートを特定する。
【0061】
照合部38は、画像データに含まれている濃度表示媒体93のマトリクス図と記憶部40のテンプレート管理DB41に記憶されている複数のテンプレートとのパターン照合(マッチング)を行うことで、画像データに含まれているマトリクス図の所定の類似範囲における所定のテンプレートを検出する。例えば、照合部38は、複数のテンプレートのうちで、画像データに含まれている濃度表示媒体93のマトリクス図の所定の類似範囲における所定のテンプレートを検出する。
【0062】
作成部39は、通信端末50に送信する情報として、
図14に示すような判定結果情報520a、又は
図15に示すような判定結果情報520bを作成する。判定結果情報520a及び判定結果情報520bについては、後ほど詳細に説明する。
【0063】
<通信端末の機能構成>
図5に示されているように、通信端末50は、通信部51、受付部52、撮影部53、及び表示制御部54を有している。これら各部は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、RAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0064】
(各機能構成)
続いて、各機能構成について説明する。
【0065】
通信部31は、ネットワークI/F506から通信ネットワーク100を介して品質判定装置30等に各種データ(又は情報)を送信したり、品質判定装置30等から通信ネットワーク100を介してネットワークI/F506で各種データ(又は情報)を受信したりする制御を行う。なお、通信部51は、送信部及び受信部の一例である。
【0066】
受付部32は、操作部508から各種の選択又は入力を受け付け、選択又は入力の内容を認識する。
【0067】
撮影部53は、個体撮像素子511に対して撮像の制御を行い、画像データを取得することで、一連の撮影の処理を実行する。
【0068】
表示制御部54は、ディスプレイ507等の表示部に各種画像や情報を表示させる。
【0069】
〔本実施形態の処理又は動作〕
続いて、
図9乃至
図15を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。
【0070】
S11:まず、
図1に示すようにユーザYが通信端末50を用いて、包装91に包まれた所定の食品90を撮影する。この場合、撮影部53が
図2に示すような所定の食品90を撮影することで、所定の食品90を含む(写し出されている)画像データを得る。
【0071】
S12:ユーザYが通信端末50を送信の操作を行うと、受付部52が送信の操作を受け付け、通信部51が品質判定装置30に対して、所定の食品90の品質の判定要求を送信する。この品質の判定要求には、処理S11で得られた画像データが含まれている。これにより、品質判定装置30の通信部31は、品質の判定要求を受信する。
【0072】
S13:品質判定装置30は、処理S12によって受信された画像データに対する画像認識処理を行う。ここで、
図10を用いて、品質判定装置30が実行する画像認識処理を説明する。
図10は、品質判定装置が実行する画像認識処理を示すフローチャートである。
【0073】
<画像認識処理>
S31:品質判定装置30の認識部35は、
図11に示すように、処理S12で受信された画像データにおいて二次元コード表示媒体92が示された画像領域である二次元コード情報92aを認識する。また、認識部35は、
図11に示すように、処理S12で受信された画像データにおいて濃度表示媒体93が示された画像領域であるマトリクス
図93aを認識する。この場合、認識部35は、周知の技術により二次元コード情報92aを認識できるが、過不足なく各要素(
図11では25個の要素)が含まれた状態のマトリクス
図93aを認識することは困難である。そのため、濃度表示媒体93には予め二重線の枠等のようにマトリクス
図93aの範囲を認識できる特定範囲情報が印刷されており、認識部35は、特定範囲情報に基づいてマトリクス
図93aを認識する。
【0074】
S32:補正部36は、
図11に示すように、二次元コード情報92aに対して歪み補正を行うことで、歪みが無い二次元コード情報92bを出力する。また、補正部36は、
図11に示すように、マトリクス
図93aに対して歪み補正を行うことで、歪みが無いマトリクス
図93bを出力する。なお、歪み補正は必ずしも行う必要はない。
【0075】
S33:認識部35は、歪み補正後の二次元コード情報92bを読み取って、食品ID及び収穫日(又は生産日)を認識する。
【0076】
S34:認識部35は、歪み補正後のマトリクス
図93bを読み取って、マトリクス
図93bから複数種類の揮発性物質のうち所定の揮発性物質(例えば、水分)の濃度のレベルを認識する。なお、補正部36によって歪み補正が行われない場合、認識部35は、画像データに含まれている濃度表示媒体93のマトリクス
図93aから所定の揮発性物質の濃度のレベルを認識する。
【0077】
以上により、
図9に示す処理S13の説明を終了する。
【0078】
S14:続いて、品質判定装置30は、食品90の品質の判定結果の導出処理を行う。ここで、
図12及び
図13を用いて、品質判定装置30が実行する判定結果の導出処理を説明する。
図12及び
図13は、品質判定装置が実行する判定結果の導出処理を示すフローチャートである。
【0079】
<判定結果の導出処理>
S51:特定部37は、処理S34で認識された所定の揮発性物質(例えば、水分)の濃度レベルが所定レベル(例えば、レベル2)未満かを判断する。そして、所定レベル未満の場合には(S51;YES)、異常状態として
図13の処理S52に進む。例えば、包装91が密封状態にない場合は、食品90が放出する水分が包装91外に抜け出しているため、包装91内の水分が所定レベル未満の状態になっていると想定される。このような包装91が密封状態にない場合は、他の揮発性物質も包装91外に抜け出しており、各揮発性物質を正確に検出することができないため、異常状態として扱われる。
【0080】
S52:作成部39は、処理S33で認識された食品IDを検索キーとして食品情報管理DB43(
図8参照)を検索することにより、対応する所定の食品名を読み出す。
【0081】
S53:作成部39は、処理S51によって所定レベル未満であるとの判断、及び処理S52によって読み出された所定の食品名に基づいて、
図14に示すような判定結果情報520aを作成する。
【0082】
S54:一方、処理S51において、所定レベル未満でない場合には(S51;NO)、特定部37は、処理S33で認識された食品IDを検索キーとしてテンプレート管理DB41(
図6参照)を検索することにより、対応する所定のテンプレート管理テーブルを特定する。
【0083】
S55:照合部38は、処理S32による歪み補正後のマトリクス
図93bと、処理S54で特定された所定のテンプレート管理テーブルで管理されている複数のテンプレートとのパターン照合を実施することで、処理S32による歪み補正後のマトリクス
図93bの所定の類似範囲内にある所定のテンプレートを検出する。
【0084】
なお、歪み補正は必ず行わなくてもよいため、歪み補正が行わない場合には、照合部38は、画像データに含まれている濃度表示媒体93のマトリクス
図93aをそのままパターン照合に用いる。
【0085】
S56:特定部37は、処理S55により、複数のテンプレートが検出されたかを判断する。
【0086】
S57:複数のテンプレートが検出されなかった場合(単一のテンプレートが検出された場合)には(S56;NO)、特定部37は、所定のテンプレート管理テーブルにおいて、処理S55で検出されたテンプレートである所定のテンプレートを識別するためのテンプレートIDを特定する。更に、特定部37は、特定したテンプレートIDを検索キーとして品質レベル管理DB(
図7参照)を検索することにより、対応する所定の品質レベルを読み出す。
【0087】
S58:一方、複数のテンプレートが検出された場合には(S56;YES)、特定部37は、処理S33で認識された所定の食品の収穫日(又は生産日)に基づき、複数のテンプレートから単一の所定のテンプレートを特定する。例えば、
図6に示す2つのテンプレートが検出された場合、収穫日(又は生産日)が第1の期間(例えば、6月1日から9月31)のときには、特定部37は、上側のテンプレート(ID:t0001)を所定のテンプレートとして特定する。一方、収穫日(又は生産日)が第2の期間(例えば、10月1日から翌年の5月31)のときには、特定部37は、下側のテンプレート(ID:t0002)を所定のテンプレートとして特定する。ここでは、第1の期間は、暑い期間であるため、より安全な閾値となるテンプレートが特定され、第2の期間は、涼しい又は寒い期間であるため、通常の閾値となるテンプレートが特定される。
【0088】
そして、特定部37は、単一の所定のテンプレート管理テーブルにおいて、処理S55で検出されたテンプレートである所定のテンプレートを識別するためのテンプレートIDを特定する。更に、特定部37は、特定したテンプレートIDを検索キーとして品質レベル管理DB42(
図7参照)を検索することにより、対応する所定の品質レベルを読み出す。
【0089】
S59:作成部39は、処理S33で認識された食品IDを検索キーとして食品情報管理DB43(
図8参照)を検索することにより、対応する所定の食品名及び所定の品質レベルの表記を読み出す。これにより、上記処理S53では、作成部39が、処理S51によって所定レベル未満でないとの判断、及び処理S59によって読み出された所定の食品名及び所定の品質レベルの表記に基づいて、
図15に示すような判定結果情報52baを作成する。
【0090】
以上により、
図9に示す処理S14の説明を終了する。
【0091】
S15:続いて、品質判定装置30の通信部31は品質の判定の要求元の通信端末5に対して、処理S53によって作成された所定の食品90の品質の判定結果情報を送信する。これにより、通信端末50の通信部51は、判定結果情報を受信する。
【0092】
S16:通信端末50では、表示制御部54が、通信部31によって受信された判定結果情報に基づいて、
図14に示すような判定結果情報520a、又は
図15に示すような判定結果情報520bをディスプレイ507上に表示させる。
【0093】
<異常状態を示す判定結果情報>
ここで、
図14を用いて、通信端末50が表示する所定の食品90が異常状態を示す判定結果情報を説明する。
図14は、所定の食品が異常状態を示す判定結果情報を表示した通信端末を示す図である。
【0094】
図14に示すように、判定結果情報520aには、処理S12で受信された画像データに係る元画像521、及び判定内容522aが示されている。判定内容522aには、食品名及び異常状態を示すコメントが含まれている。異常状態を示すコメントは、例えば「食べられない、又は判定不能です。」等のように、食べられない旨又は品質レベルの判定ができない旨を示す。なお、表示制御部54は、「食べられない、又は判定不能」の旨のコメントを表示しても良いし、「食べられない」の旨のコメントを表示してもよいし、又は「判定不能です」の旨のコメントを表示してもよい。
【0095】
<品質レベルを示す判定結果情報>
次に、
図15を用いて、通信端末50が表示する所定の食品90の品質レベルを示す判定結果情報を説明する。
図15は、所定の食品の品質レベルを示す判定結果情報を表示した通信端末を示す図である。
【0096】
図15に示すように、判定結果情報520aには、処理S12で受信された画像データに係る元画像521、及び判定内容522bが示されている。判定内容522bには、食品名、品質レベルの表記(ここでは、未熟、完熟、過熟)、及び品質レベルを示すマーク(ここでは、星のマーク)が含まれている。星のマークの数が品質レベルを示す。
図15では、完熟に相当する5つの星のマークが示されている。
【0097】
ユーザYは、判定内容522a又は判定内容522bを考慮して、食品90の購入を判断することができる。例えば、ユーザYが末端の消費者である場合には、「完熟」であれば丁度購入する時期だと判断したり、ユーザYが卸売業者である場合には、「未熟」であれば丁度購入する時期だと判断したりすることができる。
【0098】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、食品が発生する揮発性物質を検出するための仕組みを大型化せずに、食品90の品質レベルを判定することができるという効果を奏する。具体的には、本実施形態は以下に示すような効果を奏する。
【0099】
(1)食品90側には、
図2に示すように、食品90から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様のマトリクス
図93aを示す濃度表示媒体93を貼り付けた状態で透明な包装91で包んでおく。一方、品質判定装置30側には、
図6に示すような表示態様が異なるマトリクス図で構成された複数のテンプレートと、
図7に示すように複数のテンプレートのそれぞれに品質レベルを関連付けて管理しておく。これにより、
図1に示すように、ユーザYが通信端末50によって濃度表示媒体93が貼り付けられている食品90を撮影して得た画像データを品質判定装置30に送信すると、品質判定装置30は、画像データに含まれているマトリクス
図93a(又は補正後のマトリクス
図93b)と、
図6に示されているテンプレートとのパターン照合を行うことで、マトリクス
図93a(93b)に類似する所定のテンプレートを検出し、
図7において対応する品質レベルを特定する。そして、品質判定装置30が通信端末50に品質の判定結果情報を送信することで、通信端末50は、
図14に示すように食品90の異常状態を示す情報、又は
図15に示すように食品90の品質レベルを表示する。このように、食品90側には、濃度表示媒体93を貼り付けて密閉するように包装91で包むだけでよいため、食品が発生するガス分子等の揮発性物質を検出するための仕組みを大型化せずに、食品の劣化等の品質レベルを判定することができるという効果を奏する。
【0100】
また、上記の仕組みにより、食品90を破壊しないで、しかも様々な形状の食品の品質判定を行うことができる。更に、ユーザYは、食品の陳列棚等の現場(オンサイト)で、評価結果を取得することができる。
【0101】
(2)
図2に示すように、食品90の湾曲した表面に二次元コード表示媒体92及び濃度表示媒体93が貼り付けられた場合であっても、補正部36が
図11に示すように歪み補正を行うため、様々な形状の食品であっても、品質判定装置30は通信端末50に品質レベル等の判定結果情報を提供することができるという効果を奏する。
【0102】
(3)通信端末50は、品質判定装置30から受信した判定結果情報を表示する場合、「未熟」、「完熟」又は「完熟」等の具体的な品質レベルの表記を表示するため、ユーザYが末端の消費者でも品質レベルを把握し易いという効果を奏する。
【0103】
(4)食品90側には、
図2に示すように、食品90を識別するための食品IDが埋め込まれた二次元コード情報92aを示す二次元コード表示媒体92を貼り付けておく。一方、品質判定装置30側には、
図8に示すように、食品IDに対応する食品名を関連付けて管理しておく。これにより、
図14及び
図15に示すように、通信端末50は、品質判定装置30から受信した判定結果情報を表示する場合、食品名を表示するため、ユーザYは正確な食品名も把握することができるという効果を奏する。
【0104】
(5)食品90側には、
図2に示すように、食品90の収穫日(又は生産日)を示す情報が埋め込まれた二次元コード情報92aを示す二次元コード表示媒体92を貼り付けておく。これにより、
図15に示すように、パターン照合により、マトリクス
図93a(93b)に類似する複数のテンプレートがある場合には(S56;YES)、特定部37は、収穫日(又は生産日)に基づき、単一の所定のテンプレートを特定することができるため、食品が劣化し易い時期と劣化しづらい時期で、品質レベルを提供することができるという効果を奏する。
【0105】
〔補足〕
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0106】
(1)例えば、
図2に示す濃度表示媒体93は、複数のマークで表すのではなく、
図16に示すように、縦に複数に区切られた棒グラフように表してもよい。
【0107】
(2)上述の各プログラムは、(非一時的)記録媒体に記録して流通させることも可能であり、インターネット等の通信ネットワークを介して提供することも可能である。
【0108】
(3)品質判定装置30と通信端末50との間の通信において、他の装置(サーバ、ルータ等)がデータ等を中継してもよい。例えば、本明細書では、簡略化のために、品質判定装置30が通信端末50から品質の判定要求や画像データを受信したり、品質判定装置30が通信端末50に品質の判定結果情報を送信したりする旨が記載しているが、この受信及び送信の各処理には、他の装置がデータ等を中継する場合も含まれる趣旨である。
【0109】
(4)上記実施形態では、通信端末50の一例としてスマートフォンが示されているが、これに限るものではなく、例えば、ノードPC、タブレット端末、スマートウォッチ、通信可能なカメラ等であってもよい。
【0110】
(5)プロセッサとしてのCPU301,501は、それぞれ単一であっても複数であってもよい。
【0111】
〔付記項〕
上述の実施形態には、以下に示すような内容としても表すことができる。
【0112】
〔付記項1〕
通信端末からの要求に基づいて所定の食品の品質を判定するプロセッサを有する品質判定システムであって、
前記品質判定システムは、表示態様が異なる複数の図のそれぞれに対応する食品の品質レベルを記憶する記憶部を有しており、
前記プロセッサは、
前記所定の食品と共に所定の光透過率を有する包装内に含まれており前記所定の食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図を含む画像データを、前記通信端末から受信し、
前記複数の図のうちで、前記画像データに示されている前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する、
品質判定システム。
【0113】
〔付記項2〕
通信端末からの要求に基づいて所定の食品の品質を判定する品質判定装置であって、
表示態様が異なる複数の図のそれぞれに対応する食品の品質レベルを記憶する記憶部と、
前記所定の食品と共に所定の光透過率を有する包装内に含まれており前記所定の食品から放出される複数種類の揮発性物質の各濃度に応じた表示態様の図を含む画像データを、前記通信端末から受信する受信部と、
前記複数の図のうちで、前記画像データに示されている前記表示態様の図の所定の類似範囲における所定の表示形態の図に対応する所定の品質レベルを含む判定結果情報を、前記通信端末に送信する送信部と、
を有する品質判定装置。
【符号の説明】
【0114】
10 通信システム
30 品質判定装置(「品質判定システム」ともいう)
31 通信部(送信部の一例、受信部の一例)
32 受付部
35 認識部
36 補正部
37 特定部
38 照合部
39 作成部
40 記憶部
41 テンプレート管理DB
42 品質レベル管理DB
43 食品情報管理DB
50 通信端末
51 通信部
52 受付部
53 撮影部
54 表示制御部
92 二次元コード表示媒体(コード表示媒体の一例)
93 濃度表示媒体
507 ディスプレイ(表示部の一例)