(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011266
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素還元装置
(51)【国際特許分類】
C25B 11/091 20210101AFI20240118BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240118BHJP
C25B 11/032 20210101ALI20240118BHJP
C25B 11/054 20210101ALI20240118BHJP
C25B 11/085 20210101ALI20240118BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C25B11/091
C25B1/23
C25B11/032
C25B11/054
C25B11/085
B01J31/22 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113143
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 聡子
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一
【テーマコード(参考)】
4G169
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA22A
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BE13A
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169BE39A
4G169BE39B
4G169BE45A
4G169BE45B
4G169CB81
4G169CC40
4G169DA06
4K011AA11
4K011AA22
4K011AA48
4K011AA69
4K021AA09
4K021BA02
4K021DB16
4K021DC11
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素から一酸化炭素への変換効率の高い二酸化炭素還元装置を提供すること。
【解決手段】ガス拡散電極からなる作用電極と、電解液中に浸漬された対電極とを備えた二酸化炭素還元装置であって、ガス拡散電極の反応層が、コバルトフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体、及びヨウ素を含有する触媒を含み、電解液が、水酸化カリウム水溶液である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス拡散電極からなる作用電極と、電解液中に浸漬された対電極とを備えた二酸化炭素還元装置であって、
前記ガス拡散電極の反応層が、コバルトフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体、及びヨウ素を含有する触媒を含み、
前記電解液が、水酸化カリウム水溶液である
ことを特徴とする二酸化炭素還元装置。
【請求項2】
前記触媒が、コバルトフタロシアニン錯体分子及び銅フタロシアニン錯体分子が交互に積層した積層体を構成すると共に該積層体がヨウ素3量体により分離された分離積層体であることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項3】
前記触媒が、ヨウ素源としてヨウ化カリウム及びヨウ素を含むヨウ素水溶液を用いた界面析出法により製造されたものであることを特徴とする請求項1の二酸化炭素還元装置。
【請求項4】
前記触媒の製造が、酸性溶液を添加して行われることを特徴とする請求項3記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項5】
前記ガス拡散電極を構成する反応層が疎水性反応場であり、該反応層は、触媒粉末、フッ素系樹脂及びカーボン粉末を含む疎水性多孔質膜から構成されることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素(炭酸ガス,CO2)を還元する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出抑制のために、二酸化炭素を資源化するための電気化学的な二酸化炭素還元技術の実用化が急がれている。そのためには、省電力化低コスト化が必要であり、化学的に安定な高活性触媒が必要である。
【0003】
金、銀、銅などの貴金属ナノ粒子触媒をもとに実用化電解セルが検討されているが、コスト、安定性、及び生成物の選択性の点で問題がある。一方、遷移金属を活性中心とする錯体分子触媒も検討され生成物の選択性が高いものがあるが、錯体分子の絶縁体に近い電気伝導性の低さが高い反応過電圧の要因となっている。
【0004】
遷移金属を活性中心とする錯体分子触媒については、コバルトやニッケルなどの遷移金属を中心に持つフタロシアニンが二酸化炭素還元触媒として報告されており、特にコバルトフタロシアニンが二酸化炭素から一酸化炭素を生成する触媒として注目されているが、電気伝導性は低い(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
高導電性の金属フタロシアニン材料として、例えば、コバルトフタロシアニンとニッケルフタロシアニンのヨウ素との分離積層体が提案されているが(例えば、非特許文献2参照)、この積層体は、気相合成によって製造されることから、収率が低い問題や、取り扱いが難しいといった問題がある。また、他の金属種のフタロシアニンのヨウ素との分離積層体や金属複合体はあまり見られず、これは、組成制御が難しいためと考えられる。
【0006】
穏やかな条件下での二酸化炭素の燃料と貴重な化学物質への電気化学的変換は、断続的な再生可能エネルギーの貯蔵と回収された二酸化炭素の利用のための魅力的なルートとして大きな関心を集めている。過去数十年にわたって、ほとんどの電気化学的二酸化炭素還元の研究の焦点は、選択的で効率的かつ安定した電極触媒の開発に当てられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】N. Furuya and K. Matsui J. Electroanal. Chem., 271(1989)181-191
【非特許文献2】J. Am. Chem, Soc. 1989, 111, 6616-6620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、二酸化炭素から一酸化炭素への変換効率の高い二酸化炭素還元装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ガス拡散電極からなる作用電極と、電解液中に浸漬された対電極とを備えた二酸化炭素還元装置において、ガス拡散電極の反応層(反応膜)に、コバルトフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体、及びヨウ素を含有する触媒を担持させ、対電極の電解液として水酸化カリウム水溶液を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1] ガス拡散電極からなる作用電極と、電解液中に浸漬された対電極とを備えた二酸化炭素還元装置であって、
前記ガス拡散電極の反応層が、コバルトフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体、及びヨウ素を含有する触媒を含み、
前記電解液が、水酸化カリウム水溶液である
ことを特徴とする二酸化炭素還元装置。
【0011】
[2] 前記触媒が、コバルトフタロシアニン錯体分子及び銅フタロシアニン錯体分子が交互に積層した積層体を構成すると共に該積層体がヨウ素3量体により分離された分離積層体であることを特徴とする上記[1]記載の二酸化炭素還元装置。
[3] 前記触媒が、ヨウ素源としてヨウ化カリウム及びヨウ素を含むヨウ素水溶液を用いた界面析出法により製造されたものであることを特徴とする上記[1]又は[2]の二酸化炭素還元装置。
[4] 前記触媒の製造が、酸性溶液を添加して行われることを特徴とする上記[3]記載の二酸化炭素還元装置。
【0012】
[5] 前記ガス拡散電極を構成する反応層が疎水性反応場であり、該反応層は、触媒粉末、フッ素系樹脂及びカーボン粉末を含む疎水性多孔質膜から構成されることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載の二酸化炭素還元装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、二酸化炭素から一酸化炭素への変換効率の高い二酸化炭素還元装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の触媒(分離積層体)の概略説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素還元装置の説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素還元装置の使用状態の一例の説明図であり、CO
2を単独で導入する場合を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る二酸化炭素還元装置の使用状態の他の例の説明図であり、CO
2+H
2O(水蒸気)を導入する場合を示す。
【
図5】本発明の実施例に係る触媒の調製方法の説明図である。
【
図6】本発明の実施例で調製した触媒のXRDの結果を示す図である。
【
図7】本発明の実施例で調製した触媒のUV-visの結果を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係る触媒を担持したガス拡散電極(GDE)を用いた二酸化炭素還元装置のCO
2還元生成物量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の二酸化炭素還元装置は、ガス拡散電極からなる作用電極と、電解液中に浸漬された対電極とを備え、ガス拡散電極の反応層が、コバルトフタロシアニン錯体、銅フタロシアニン錯体、及びヨウ素を含有する触媒を含み、電解液が、水酸化カリウム水溶液であることを特徴とする。
【0016】
水溶液を用いて水から水素を得ながら二酸化炭素を還元させるセルは、高い反応効率のために工業化が検討されている。しかし、対極反応の水電解による酸素生成反応の過電圧が大きく、セル全体の消費電力を大きくしている。この過電圧を小さくするために電解液が強塩基であることが要求される。しかし、強塩基の電解液には二酸化炭素が溶け込みやすく中和反応によりCO3
-に変化すると反応に関与する分子軌道のエネルギーが高くなり還元活性が大幅に低下する。そのために二酸化炭素が強塩基と反応しない反応場の構築が必要である。
【0017】
本発明の二酸化炭素還元装置では、活性点に隣接した銅フタロシアニン錯体(CuPc)が水の反応活性を向上させることで、極少量の水で二酸化炭素還元反応が進行でき、このために反応場の疎水性を向上させることが可能で強塩基の影響を抑制できる。したがって、本発明の二酸化炭素還元装置は、二酸化炭素から一酸化炭素へ効率よく変換することができる。
【0018】
まずはじめに、本発明の特徴の1つである、ガス拡散電極の反応層に用いる、コバルトフタロシアニン錯体(CoPc)、銅フタロシアニン錯体(CuPc)、及びヨウ素を含有する触媒(以下、本発明の触媒ということがある)について説明する。
【0019】
本発明の触媒は、金属錯体であるフタロシアニンをドナーとし、ヨウ素をアクセプターとした触媒であり、高い導電性を有し、小さい反応過電圧で二酸化炭素の還元を進行させることができる。すなわち、本発明の触媒を担持した電極による一酸化炭素を生成する二酸化炭素還元反応は低過電圧であり、一酸化炭素の生成速度も速い。
【0020】
本発明の触媒としては、コバルトフタロシアニン錯体分子と銅フタロシアニン錯体分子が交互に積層した積層体を構成すると共にかかる積層体がヨウ素3量体により分離された分離積層体(
図1参照)であることが好ましい。このヨウ素との分離積層体形成は、中心金属種に依存して異なり、従来、ニッケルとコバルトでしか得られなかったが、コバルトフタロシアニン(CoPc)と銅フタロシアニン(CuPc)を複合化することで、銅フタロシアニンを高導電性の分離積層体中に組み入れることに成功し、この分離積層体は、高いCO
2還元触媒活性を有していた。金属フタロシアニンのみの積層体は導電性改善が必要であるが、ヨウ素のようなアクセプター種と組み合わせた金属フタロシアニンをドナーとする電荷移動錯体の中でドナーとアクセプターそれぞれが一次元的に配列した分離積層体とすることで導電性が大きく改善する。部分的に電荷移動が生じているドナーとアクセプターがそれぞれ配列すると高導電性を示すことは分子軌道エネルギーバンドで説明される(J. Am. Chem. Soc., 1985, 107, 6915-6920)。
【0021】
これは、フタロシアニン分子からヨウ素へと電荷移動が生じるときに、コバルト以外の金属のフタロシアニンではフタロシアニン配位子からヨウ素へと電荷移動が生じ金属の電荷は変化しないのに対して、コバルトフタロシアニンは中心金属とフタロシアニン配位子の軌道の対称性の関係で、中心金属からも電荷移動が生じ中心金属が正電荷を帯びており、正電荷を帯びていない金属を有するフタロシアニン分子と対になって積層しやすいため、単独では分離積層体を形成しない金属フタロシアニンと分離積層体を形成することを可能としたと考えられる。また、高いCO2還元活性を示したのは、それぞれの中心金属であるコバルトが二酸化炭素の反応活性向上に寄与し、銅フタロシアニンは中心金属に水が配位することで、水からの水素供給を促進させる効果を持つことが知られており、それらが近接配置しているためと考えられる。
【0022】
本発明の触媒は、二酸化炭素を吸着させ反応活性を向上させるコバルトフタロシアニン(CoPc)と、水分子を吸着させ水素イオン供給を促進させる銅フタロシアニン(CuPc)の分子が面を合わせて重なった円柱を囲むようにヨウ素の三量体イオン(I3
-)の直線配列が4本配置した分離積層結晶であることが好ましい。この構造は錯体結晶を電極触媒として用いるときの欠点である低導電性を克服する高導電性材料である。
【0023】
このような分離積層体の形成は気相反応で報告があるが、組成制御が困難で複合化は難しい。そこで、金属フタロシアニンが単分子状態となる有機酸溶液中で異種の金属フタロシアニンを混合し、この混合液を、アクセプター種であるヨウ素イオンを溶解させた水溶液に滴下する手法で、有機相と水相の界面で、高導電性の複合金属フタロシアニンのヨウ素との電荷移動錯体分離積層体を得ることに成功した。
【0024】
ヨウ素は、三量体イオン種(I3
-)である必要があるが、取扱いが容易なヨウ化カリウム(KI)及びヨウ素(I2)を含むヨウ素水溶液から提供される。
【0025】
金属フタロシアニンを溶解(分散)させる有機酸溶液の有機溶媒としては、ジクロロメタン等を挙げることができる。また、酸溶液としては、トリフルオロ酢酸等を挙げることができる。
【0026】
続いて、本発明の二酸化炭素還元装置の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図2~
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る二酸化炭素還元装置は、ガス拡散電極からなる作用電極と、白金(Pt)からなる対電極(カウンター電極)と、銀-塩化銀(Ag/AgCl)からなる参照電極とを備えている。なお、本発明の二酸化炭素還元装置は、二電極系とすることもできる。
【0027】
図2に示すように、作用電極であるガス拡散電極は、原料である二酸化炭素導入側から、金属メッシュ層、ガス拡散層、及び反応層を有している。
【0028】
金属メッシュ層(金属メッシュ膜)は、例えば、ニッケル材、銅、金、ステンレス等で構成され、ニッケル材で構成されることが好ましい。
【0029】
また、ガス拡散層(ガス拡散膜)は、高導電性、高気体透過性を有する材料から構成されるものが好ましく、例えば、疎水性多孔質炭素材料等から構成される。
【0030】
また、反応層(反応膜)は、上記説明した本発明の触媒を含むものであれば特に制限されるものではなく、その他、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂、カーボン粉末等を含んで構成されることが好ましい。
【0031】
また、対電極は、水酸化カリウム水溶液からなる電解液に浸漬されている。従前用いられていた炭酸カリウム水溶液に代えて水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いることにより、高活性なCO2還元装置とすることができる。
【0032】
電解液における水酸化カリウム水溶液の濃度としては、0.1~5.0Mであることが好ましく、0.3~3.0Mであることがより好ましく、0.5~2.0Mであることがさらに好ましい。
【0033】
また、参照電極は、対電極同様、水酸化カリウム水溶液に浸漬されている。対電極とは、膜により区分けされていてもよい。
【0034】
図3及び
図4に示すように、二酸化炭素の導入は、ガス拡散電極(作用電極)の金属メッシュ層側から、二酸化炭素単独、又は窒素ガス等の不活性ガスと共に行ってもよいし、バブリング等により水蒸気ガスと共に行ってもよい。
【0035】
二酸化炭素(炭酸ガス)は、ガス拡散膜を経由して、反応膜(Reaction layer)の疎水性反応場へ供給されて一酸化炭素へ選択的に還元される。なお、本発明の装置は、従前の水蒸気ガスとの併用を必ずしも必要としない装置である。
【0036】
上述のように、二酸化炭素が中和され不活性化するのを防ぎ、対極反応に適した水酸化カリウム水溶液を用いるためにCO2反応場が電解液に直接触れない構造が必要であり、水の反応活性を向上する銅フタロシアニンをCO2還元活性点であるコバルトフタロシアニンと近接させた触媒を用いることで、毛細管現象で供給される程度の極少量の水しかない疎水性雰囲気でCO2還元反応が進行可能とした。
【実施例0037】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定して解釈されるものではない。
【0038】
<本発明の触媒の調製>
ジクロロメタンにトリフルオロ酢酸を添加し、さらにコバルトフタロシアニン錯体及び銅フタロシアニン錯体を加え、分散液を調製した。この分散液を、ヨウ素溶液(ヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液)に加えて、反応物を析出させ、目的物の触媒(CoPcCuPc-I)を得た。
【0039】
【0040】
得られた触媒は、XRD、UV-visによりキャラクタリゼーションを行った。具体的に、XRDは、「RIGAKU Ultima IV」を用い、管電流40mA、管電圧30kV、スキャン速度2°/min.、CuKα1線 λ=1.5405Åの条件で測定を行った。UV-visは、「U-3900 spectrophotometer(HITACHI)」を用い、測定モードはReflectance、測定範囲240-850nm、スキャン速度120nm/minで測定を行った。
【0041】
図6に、XRDの結果を示し、
図7に、UV-visの結果を示す。
図6及び
図7に示すように、金属フタロシアニンとヨウ素イオンの分離積層体の結晶構造であることが確認され、またUV-visスペクトルでは500nm付近に電荷移動錯体特有の吸収が見られる。
【0042】
また、CO
2還元触媒活性を、
図2~
図4に示す装置において、上記実施例Aに係るヨウ素水溶液を用いて調製した触媒を担持したガス拡散電極(GDE)を用いて確認した。CO生成量の確認は、定電位条件下での生成ガスの分析をガスクロマトグラフィーにより行った。
【0043】
その結果を
図8に示す。
図8に示すように、水素の生成よりCOの生成が優先的であり、電解液のpHを下げる原因となるギ酸も生成されない。また、水蒸気の吹込みをしない場合が効率が高いことから、水分の必要量が少ないことがわかる。水蒸気吹込みの場合にCO生成量が減少しているのは水蒸気の吹込みにより、ガス拡散性が低下したためと考えられる。