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特開2024-112702撮像装置、撮像装置の作動方法、および撮像装置の作動プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112702
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の作動方法、および撮像装置の作動プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/67 20230101AFI20240814BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240814BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240814BHJP
   G02B 7/34 20210101ALN20240814BHJP
【FI】
H04N23/67
G02B7/28 N
G03B13/36
G02B7/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017934
(22)【出願日】2023-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永見 亮介
(72)【発明者】
【氏名】國分 秀昭
【テーマコード(参考)】
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011AA01
2H011BA23
2H011BB04
2H151BA06
2H151CE08
2H151CE14
2H151CE27
2H151CE34
2H151DA02
2H151DA04
2H151DA34
2H151DB01
5C122EA37
5C122EA42
5C122FC06
5C122FC07
5C122FD01
5C122FD07
5C122HA86
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】より実際に即した合焦演算方法を選択することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ。合焦演算は、合焦性能および演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる2つの合焦演算方法を含む。CPUのノイズ除去部および合焦演算部は、一方の合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、2つの合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択し、選択した合焦演算方法にて合焦演算を行う。より詳しくは、一方の合焦演算の信頼度が高かった場合は、一方の合焦演算方法を選択する。対して、一方の合焦演算の信頼度が低かった場合は、他方の合焦演算方法を選択する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置であって、
合焦演算は、合焦性能および前記演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、前記複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択し、
前記選択した合焦演算方法にて合焦演算を行う、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1合焦演算方法は、前記複数の合焦演算方法のうちで前記合焦性能が第1閾値よりも高い方法である請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1合焦演算方法は、前記複数の合焦演算方法のうちで最も前記合焦性能が高い方法である請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1合焦演算方法による合焦演算の信頼度が第2閾値よりも低い場合、前記第1合焦演算方法よりも前記耐性が強い第2合焦演算方法にて合焦演算を行う、という処理を少なくとも1回行う請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2合焦演算方法は、前記第1合焦演算方法よりも前記合焦性能が低い請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1合焦演算方法による合焦演算の結果を、前記第2合焦演算方法による合焦演算に利用する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する判定区間を有し、
前記プロセッサは、
前記判定区間において前記信頼度が相対的に高いと判定された合焦演算方法を選択する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記判定区間は、ライブビュー画像の撮影区間である請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記判定区間は、少なくとも本撮影の開始時点を始点とする一定区間を含む請求項7に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の合焦演算方法は、前記撮像素子内の領域であって、合焦演算に用いる前記演算用信号を取得する領域の大きさが異なる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記領域の大きさが大きい前記合焦演算方法程、前記ノイズへの耐性が強い請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記複数の合焦演算方法は、前記演算用信号に施すノイズ除去処理における周波数パラメータが異なる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記周波数パラメータが低い前記合焦演算方法程、前記ノイズへの耐性が強い請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像素子は、画像の生成に用いる画像生成用信号よりも先に前記演算用信号を読み出す請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置の作動方法であって、
合焦演算は、合焦性能および前記演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、
前記複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、前記複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択すること、並びに、
前記選択した合焦演算方法にて合焦演算を行うこと、
を含む撮像装置の作動方法。
【請求項16】
撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置の作動プログラムであって、
合焦演算は、合焦性能および前記演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、
前記複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、前記複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択すること、並びに、
前記選択した合焦演算方法にて合焦演算を行うこと、
を含む処理をコンピュータに実行させる撮像装置の作動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像装置、撮像装置の作動方法、および撮像装置の作動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被写体を撮像することにより撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置が記載されている。特許文献1に記載の撮像装置は、焦点評価値算出部と、第一の合焦度算出部と、第二の合焦度算出部と、露出条件検出部と、合焦度選択部と、フォーカスレンズ制御設定部とを備える。焦点評価値算出部は、撮像信号の特定の領域の信号を用いて撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する。第一の合焦度算出部は、焦点評価値を用いて合焦の程度を示す第一の合焦度を算出する。第二の合焦度算出部は、焦点評価値を用いて第一の合焦度とは異なる合焦の程度を示す第二の合焦度を算出する。露出条件検出部は、被写体撮像時の露出条件を検出する。合焦度選択部は、第一の合焦度と第二の合焦度と露出条件検出部が検出した露出条件とを用いて合焦度を選択する。フォーカスレンズ制御設定部は、合焦度選択部が選択した合焦度を用いてフォーカスレンズの駆動条件を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-159798号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、より実際に即した合焦演算方法を選択することが可能な撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の撮像装置は、撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置であって、合焦演算は、合焦性能および演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、プロセッサを備え、プロセッサは、複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択し、選択した合焦演算方法にて合焦演算を行う。
【0006】
第1合焦演算方法は、複数の合焦演算方法のうちで合焦性能が第1閾値よりも高い方法であることが好ましい。
【0007】
第1合焦演算方法は、複数の合焦演算方法のうちで最も合焦性能が高い方法であることが好ましい。
【0008】
プロセッサは、第1合焦演算方法による合焦演算の信頼度が第2閾値よりも低い場合、第1合焦演算方法よりも耐性が強い第2合焦演算方法にて合焦演算を行う、という処理を少なくとも1回行うことが好ましい。
【0009】
第2合焦演算方法は、第1合焦演算方法よりも合焦性能が低いことが好ましい。
【0010】
プロセッサは、第1合焦演算方法による合焦演算の結果を、第2合焦演算方法による合焦演算に利用することが好ましい。
【0011】
複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する判定区間を有し、プロセッサは、判定区間において信頼度が相対的に高いと判定された合焦演算方法を選択することが好ましい。
【0012】
判定区間は、ライブビュー画像の撮影区間であることが好ましい。
【0013】
判定区間は、少なくとも本撮影の開始時点を始点とする一定区間を含むことが好ましい。
【0014】
複数の合焦演算方法は、撮像素子内の領域であって、合焦演算に用いる演算用信号を取得する領域の大きさが異なることが好ましい。
【0015】
領域の大きさが大きい合焦演算方法程、ノイズへの耐性が強いことが好ましい。
【0016】
複数の合焦演算方法は、演算用信号に施すノイズ除去処理における周波数パラメータが異なることが好ましい。
【0017】
周波数パラメータが低い合焦演算方法程、ノイズへの耐性が強いことが好ましい。
【0018】
撮像素子は、画像の生成に用いる画像生成用信号よりも先に演算用信号を読み出すことが好ましい。
【0019】
本開示の撮像装置の作動方法は、撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置の作動方法であって、合焦演算は、合焦性能および演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択すること、並びに、選択した合焦演算方法にて合焦演算を行うこと、を含む。
【0020】
本開示の撮像装置の作動プログラムは、撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置の作動プログラムであって、合焦演算は、合焦性能および演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択すること、並びに、選択した合焦演算方法にて合焦演算を行うこと、を含む処理をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】撮像装置の構成を示す図である。
図2】撮像素子の画素の配置を示す図である。
図3】通常画素の構成を示す図である。
図4】第1位相差検出画素の構成を示す図である。
図5】第2位相差検出画素の構成を示す図である。
図6】第1演算用信号と第2演算用信号の位相差を示すグラフである。
図7】制御部の詳細構成を示す図である。
図8】CPUの処理部を示すブロック図である。
図9】ノイズ除去処理を示す図である。
図10】設定情報を示す図である。
図11】合焦演算方法Aにおいて演算用信号を取得する領域を示す図である。
図12】合焦演算方法Bにおいて演算用信号を取得する領域を示す図である。
図13】連写撮影時の露光、読出、合焦演算AC、および合焦演算BCの流れを示す図である。
図14】合焦演算ACの信頼度が高いと判定する場合を示す図である。
図15】合焦演算ACの信頼度が低いと判定する場合を示す図である。
図16】連写撮影時のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図17】合焦演算方法Aによる合焦演算ACの結果を、合焦演算方法Bによる合焦演算BCに利用する第2実施形態を示す図である。
図18】第3実施形態におけるCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図19】判定区間がライブビュー画像の撮影区間である場合を示す図である。
図20】判定区間が連写撮影の開始時点を始点とする一定区間である場合を示す図である。
図21】演算用信号を先読みする第4実施形態を示す図である。
図22】設定情報の別の例を示す図である。
図23】設定情報のさらに別の例を示す図である。
図24】動画撮影時の露光、読出、合焦演算AC、および合焦演算BCの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、撮像装置10は、例えばミラーレス一眼デジタルカメラであり、撮像光学系11および撮像素子12を備える。撮像光学系11は、撮像素子12に被写体光を結像させるための複数種のレンズを有する。具体的には、撮像光学系11は、対物レンズ13、フォーカスレンズ14、およびズームレンズ15を有する。これら各レンズ13~15は、この順に、物体側(被写体側)から結像側(撮像素子12側)に向かって配置されている。図1では簡略化しているが、各レンズ13~15は、実際には複数枚のレンズが組み合わされたレンズ群である。撮像光学系11は絞り16も有する。絞り16は撮像光学系11の最も結像側に配置されている。なお、撮像装置10は、撮像光学系11等が内蔵されたレンズ鏡胴と、撮像素子12等が内蔵された本体とが一体のタイプでもよいし、レンズ鏡胴と本体とが別体の、いわゆるレンズ交換タイプでもよい。
【0023】
フォーカスレンズ14にはフォーカスレンズ駆動機構17が設けられ、ズームレンズ15にはズームレンズ駆動機構18が設けられ、絞り16には絞り駆動機構19が設けられている。フォーカスレンズ駆動機構17は、フォーカスレンズ14を保持し、外周にカム溝が形成されたフォーカス用カム環、フォーカス用カム環を光軸OA周りに回転させることで、フォーカス用カム環を光軸OAに沿って移動させるフォーカス用モータ、およびフォーカス用モータのドライバ等を含む。ズームレンズ駆動機構18も同様に、ズームレンズ15を保持し、外周にカム溝が形成されたズーム用カム環、ズーム用カム環を光軸OA周りに回転させることで、ズーム用カム環を光軸OAに沿って移動させるズーム用モータ、およびズーム用モータのドライバ等を含む。絞り駆動機構19は、絞り16の複数枚の絞り羽根を開閉する絞り用モータ、および絞り用モータのドライバ等を含む。
【0024】
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、および絞り用モータは、例えばステッピングモータである。この場合、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、および絞り用モータの駆動量から、光軸OA上のフォーカスレンズ14の位置とズームレンズ15の位置、並びに絞り16の開度を導き出すことができる。なお、フォーカス用モータおよびズーム用モータの駆動量ではなく、位置センサを設けて、フォーカスレンズ14およびズームレンズ15の位置を検出してもよい。
【0025】
各駆動機構17~19のモータあるいはドライバ等の電気部品は、制御部20に接続されている。各駆動機構17~19の電気部品は、制御部20の制御の下で駆動される。より詳しくは、制御部20は、操作部21を介して入力されたユーザからの指示等に応じた駆動信号を発して、各駆動機構17~19の電気部品を駆動させる。例えば、操作部21の画角変更スイッチを介して画角を望遠側に変更する指示が入力された場合、制御部20は、ズームレンズ駆動機構18のズーム用モータのドライバに駆動信号を発して、ズームレンズ15を望遠側に移動させる。
【0026】
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、および絞り用モータは、駆動量を制御部20に出力する。制御部20は、駆動量から光軸OA上のフォーカスレンズ14とズームレンズ15の位置、並びに絞り16の開度を導き出す。
【0027】
撮像素子12は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであり、被写体光を撮像する撮像面42(図2参照)を有している。撮像素子12は、撮像面42の中心が光軸OAと一致し、かつ撮像面42が光軸OAと直交するよう配されている。なお、ここでいう「一致」および「直交」とは、完全な一致および直交の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差を含めた意味合いでの一致および直交を指す。
【0028】
撮像素子12には撮像素子ドライバ22が接続されている。撮像素子ドライバ22は制御部20に接続されている。撮像素子ドライバ22は、制御部20の制御の下、撮像素子12に垂直走査信号および水平走査信号を供給する等して、撮像素子12による被写体光の撮像タイミングを制御する。
【0029】
制御部20は、画像入力コントローラ23、画像メモリ24、および画像処理部25といった各部と、バスライン26を通じて接続されている。バスライン26には他に、VRAM(Video Random Access Memory)27、ビデオエンコーダ28、メディアコントローラ29、および指示受付部30等が接続されている。なお、図示は省略したが、バスライン26には、ストロボ装置の駆動を制御するストロボ駆動制御部、USB(Universal Serial Bus)端子といった接続端子を介して外部装置と通信する外部通信I/F(Interface)、あるいは無線通信I/F等も接続されている。
【0030】
画像入力コントローラ23には、被写体光を撮像して得られた画像データが撮像素子12から入力される。画像入力コントローラ23は、画像データを画像メモリ24に出力する。画像メモリ24は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)であり、画像データを一時的に記憶する。
【0031】
画像処理部25は、画像メモリ24から未処理の画像データを読み出す。画像処理部25は画像データに対して各種画像処理を施す。各種画像処理は、例えば、オフセット補正処理、感度補正処理、画素補間処理、ホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、デモザイク処理、輝度信号および色差信号生成処理、輪郭強調処理、色補正処理等である。画像処理部25は、各種画像処理後の画像データを画像メモリ24に書き戻す。
【0032】
VRAM27には、各種画像処理後の画像データであって、ライブビュー画像(スルー画像とも呼ばれる)として表示するための画像データが画像メモリ24から入力される。VRAM27は、連続する2フレーム分の画像データを記憶する領域を有する。VRAM27に記憶される画像データは、順次新しい画像データに書き換えられる。VRAM27は、連続する2フレーム分の画像データのうちの新しいほうの画像データを、順次ビデオエンコーダ28に出力する。
【0033】
ビデオエンコーダ28は、VRAM27からの画像データをビデオデータに変換し、ファインダモニタ31および背面モニタ32のうちのいずれかに出力する。これにより、ファインダモニタ31および背面モニタ32のうちのいずれかを通じて、ユーザはライブビュー画像を視認することができる。ライブビュー画像の表示フレームレートは、例えば60fps(frame per seconds)である。なお、ビデオデータをファインダモニタ31および背面モニタ32のうちのいずれに出力するかは、例えば以下のように決定する。すなわち、ファインダに瞳検出センサを設けておく。そして、瞳検出センサによりユーザがファインダを覗いていると検出した場合は、ファインダモニタ31にビデオデータを出力する。対して、瞳検出センサによりユーザがファインダを覗いていないと検出した場合は、背面モニタ32にビデオデータを出力する。
【0034】
操作部21のレリーズボタンを介して静止画または動画の撮影開始指示が行われた場合、画像処理部25は、画像メモリ24の画像データに対して圧縮処理を施す。静止画の場合、画像処理部25は、画像データに対して例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の圧縮処理を施す。動画の場合、画像処理部25は、画像データに対して例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)形式の圧縮処理を施す。画像処理部25は、圧縮処理後の画像データをメディアコントローラ29に出力する。
【0035】
メディアコントローラ29は、画像処理部25からの圧縮処理後の画像データをメモリカード33に記録する。メモリカード33は、図示省略したメモリカードスロットに着脱可能に装着される。
【0036】
操作部21のモード切替スイッチを介して画像再生モードが選択された場合、メディアコントローラ29は、画像データをメモリカード33から読み出し、画像処理部25に出力する。画像処理部25は、メモリカード33からの画像データに対して伸張処理を施す。伸張処理後の画像データはビデオエンコーダ28に出力される。ビデオエンコーダ28は画像データをビデオデータに変換し、背面モニタ32に出力する。これにより、背面モニタ32を通じて、ユーザは再生画像を視認することができる。
【0037】
指示受付部30は、操作部21、および背面モニタ32と一体的に設けられたタッチパネル34を介してユーザから入力される各種操作指示を受け付ける。指示受付部30は、受け付けた各種操作指示を、バスライン26を通じて制御部20に出力する。
【0038】
操作部21は、前述のように、画角変更スイッチ、レリーズボタン、およびモード切替スイッチを含む。これらの他にも、操作部21は、背面モニタ32に各種設定メニューを表示させるためのメニューボタン、数値設定および選択肢の切替等に用いられる十字キー、設定を確定させる際等に操作される確定ボタンといったものを含む。タッチパネル34は、背面モニタ32の表示面に重畳されている。タッチパネル34は、ユーザの指またはスタイラスペン等の専用の指示器の接触を検知することで、ユーザからの各種操作指示を認識する。
【0039】
モード切替スイッチにより切替可能なモードには、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、および設定モード等がある。静止画撮影モードには、1枚の静止画を撮影する通常撮影モードはもちろんのこと、所定の撮影間隔(例えば5fps~10fpsのフレームレート)で連続的に静止画を撮影する連写撮影モードも含まれている。連写撮影モードは、例えば、レリーズボタンの全押し状態を所定時間以上(例えば1秒以上)継続した場合に発動する。連写撮影モードは、レリーズボタンの全押し状態が解除された場合に終了する。
【0040】
一例として図2に示すように、撮像素子12には光電変換部40が設けられている。光電変換部40は、X方向およびY方向に沿って二次元状に配列された複数の画素41により構成される。複数の画素41は撮像面42を形成する。画素41は、周知のように、マイクロレンズ45、カラーフィルタ46、およびフォトダイオード等の光電変換素子47により構成される(いずれも図3図5参照)。なお、X方向およびY方向は、撮像装置10の底面を水平面に載置した状態における水平方向および鉛直方向である。
【0041】
画素41の行間には、X方向に平行な走査線が配線されている。また、画素41の列間には、Y方向に平行な信号線が配線されている。画素41(の光電変換素子47)は、増幅器およびスイッチを介して信号線に接続されている。スイッチには走査線も接続されている。被写体光に応じた信号電荷を画素41(の光電変換素子47)に蓄積する際には、走査線を通じて垂直走査信号としてオフ信号が供給されてスイッチがオフされる。信号電荷に応じた電圧信号を画素41(の光電変換素子47)から読み出す際には、走査線を通じて垂直走査信号としてオン信号が供給されてスイッチがオンされる。信号線の末端はCDS(Correlated Double Sampling)回路およびADC(Analog to Digital Converter)回路に接続されている。CDS回路は、信号線を通じて入力された電圧信号に対して相関二重サンプリングを施す。ADC回路は、相関二重サンプリング後の電圧信号をデジタルの電圧信号に変換する。
【0042】
画素41は、カラーフィルタ46の種類によって、緑色の波長帯域の光に感度を有する緑色画素(図2おいては「G」と表記)、赤色の波長帯域の光に感度を有する赤色画素(図2おいては「R」と表記)、および青色の波長帯域の光に感度を有する青色画素(図2おいては「B」と表記)の3種に分かれる。3種の画素41は、既定の配列にて規則的に並べられている。既定の配列として、ここでは縦横2×2の画素に緑色画素を2つ、青色画素および赤色画素を1つずつ配置した、いわゆるベイヤー配列を例示している。
【0043】
画素41には、通常画素41Nと位相差検出画素41Pとがある。位相差検出画素41Pにはさらに、第1位相差検出画素411Pと第2位相差検出画素412Pとがある。通常画素41Nは緑色画素、青色画素、赤色画素の3種があるが、位相差検出画素41Pは緑色画素のみである。
【0044】
位相差検出画素41Pは、X方向およびY方向に所定の間隔を空けて配置されている。図2においては、位相差検出画素41Pは、X方向に5画素分の間隔、Y方向に2画素分の間隔を空けて配置されている。また、位相差検出画素41Pは、第1位相差検出画素411Pと第2位相差検出画素412PとがX方向およびY方向で交互に現れるように配置されている。例えば4行目を見た場合、位相差検出画素41Pは、左から右に第2位相差検出画素412P、第1位相差検出画素411P、・・・の順に配置されている。また、例えば10列目を見た場合、位相差検出画素41Pは、上から下に第2位相差検出画素412P、第1位相差検出画素411P、第2位相差検出画素412P、第1位相差検出画素411P、・・・の順に配置されている。X方向およびY方向において隣り合う第1位相差検出画素411Pおよび第2位相差検出画素412Pは、位相差α(図6参照)を検出するための1つの組を構成する。
【0045】
一例として図3図5に示すように、通常画素41N、第1位相差検出画素411P、および第2位相差検出画素412Pは、基本的な構成は同じであり、物体側から順に配置されたマイクロレンズ45、カラーフィルタ46、および光電変換素子47により構成される。
【0046】
図3に示すように、通常画素41Nの光電変換素子47は、マイクロレンズ45で集光されてカラーフィルタ46を透過した被写体光に応じた画像生成用信号48Nを、電圧信号として出力する。画像生成用信号48Nは、画像データの一部として画像メモリ24に記憶される。
【0047】
図4および図5に示すように、第1位相差検出画素411Pおよび第2位相差検出画素412Pのカラーフィルタ46と光電変換素子47との間には、遮光部材49が配置されている。この遮光部材49は、通常画素41Nには配置されていない。第1位相差検出画素411Pの遮光部材49は、物体側から見て光電変換素子47の右半分を遮光する。対して、第2位相差検出画素412Pの遮光部材49は、物体側から見て光電変換素子47の左半分を遮光する。
【0048】
第1位相差検出画素411Pの光電変換素子47は、マイクロレンズ45で集光されてカラーフィルタ46を透過し、かつ遮光部材49で右半分が遮光された被写体光に応じた第1演算用信号481Pを、電圧信号として出力する。対して、第2位相差検出画素412Pの光電変換素子47は、マイクロレンズ45で集光されてカラーフィルタ46を透過し、かつ遮光部材49で左半分が遮光された被写体光に応じた第2演算用信号482Pを、電圧信号として出力する。第1演算用信号481Pおよび第2演算用信号482Pは、画像生成用信号48Nと同じく、画像データの一部として画像メモリ24に記憶される。第1演算用信号481Pおよび第2演算用信号482Pは、本開示の「撮像素子から読み出した演算用信号」の一例である。なお、以下では、特に区別する必要がない場合、第1演算用信号481Pおよび第2演算用信号482Pをまとめて演算用信号48Pと表記する。
【0049】
一例として図6に示すように、X方向およびY方向において隣り合う第1位相差検出画素411Pと第2位相差検出画素412Pから出力される第1演算用信号481Pと第2演算用信号482Pとの間には、位相差αが出現する。この位相差αによれば、フォーカスレンズ14をどちらの方向にどれだけ移動させれば合焦位置となるかが分かる。
【0050】
一例として図7に示すように、制御部20は、ストレージ55、CPU(Central Processing Unit)56、およびメモリ57を備える。これらストレージ55、CPU56、およびメモリ57は、バスライン58を介して相互接続されている。制御部20は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。また、CPU56は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0051】
ストレージ55は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)といった不揮発性の記憶装置である。ストレージ55は、各種プログラム、および各種プログラムに付随する各種データ等を記憶する。なお、EEPROMに代えて、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、あるいはMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)をストレージ55として用いてもよい。
【0052】
メモリ57は、CPU56が処理を実行するためのワークメモリである。CPU56は、ストレージ55に記憶されたプログラムをメモリ57へロードして、プログラムにしたがった処理を実行する。これによりCPU56は撮像装置10の各部を統括的に制御する。なお、メモリ57は、CPU56に内蔵されていてもよい。
【0053】
一例として図8に示すように、ストレージ55には、自動焦点調整プログラム60が記憶されている。自動焦点調整プログラム60は、CPU56に自動焦点調整機能を行わせるためのプログラムである。自動焦点調整プログラム60は、本開示の技術に係る「作動プログラム」の一例である。ストレージ55には、自動焦点調整プログラム60に加えて、設定情報61も記憶されている。
【0054】
自動焦点調整プログラム60が起動されると、CPU56は、メモリ57等と協働して、取得部65、ノイズ除去部66、合焦演算部67、およびフォーカスレンズ駆動制御部68として機能する。
【0055】
取得部65は、画像メモリ24からの第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGを取得する。取得部65は、第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGをノイズ除去部66に出力する。
【0056】
第1演算用信号群481PGは、複数の第1位相差検出画素411Pから出力された複数の第1演算用信号481Pを、第1位相差検出画素411Pの配置に倣ってX方向およびY方向に二次元状に並べたデータである。同様に、第2演算用信号群482PGは、複数の第2位相差検出画素412Pから出力された複数の第2演算用信号482Pを、第2位相差検出画素412Pの配置に倣ってX方向およびY方向に二次元状に並べたデータである。このため、これら第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGは、二次元の画像データとして扱うことができる。
【0057】
ノイズ除去部66は、第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGに対して、設定情報61にしたがったノイズ除去処理を施す。ノイズ除去部66は、ノイズ除去処理後の第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PG(以下、処理後第1演算用信号群481PGNRおよび処理後第2演算用信号群482PGNRと表記する)を合焦演算部67に出力する。なお、ノイズとは、主として、被写体が低コントラストおよび/または低輝度であることに起因するノイズ、例えば、高いISO(International Organization for Standardization)感度を設定したことに起因する粒状性ノイズ等を指す。
【0058】
合焦演算部67は、処理後第1演算用信号群481PGNRおよび処理後第2演算用信号群482PGNRから、図6で示した位相差αを算出する。合焦演算部67は、設定情報61にしたがって、位相差αに基づいてフォーカスレンズ14の合焦位置を演算する。合焦演算部67は、フォーカスレンズ14の合焦位置の演算結果70をフォーカスレンズ駆動制御部68に出力する。なお、位相差αに基づいてフォーカスレンズ14の合焦位置を演算する方法は公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
フォーカスレンズ駆動制御部68は、フォーカスレンズ駆動機構17、ひいてはフォーカスレンズ14の駆動を制御する。具体的には、フォーカスレンズ駆動制御部68は、フォーカスレンズ駆動機構17を介して、演算結果70の合焦位置にフォーカスレンズ14を移動させる。なお、フォーカスレンズ14の現在位置と演算結果70の合焦位置とが同じであった場合は、当然ながらフォーカスレンズ14は移動されない。
【0060】
一例として図9に示すように、ノイズ除去部66によるノイズ除去処理は、以下の手順で行う。まず、入力画像データ75に対してフーリエ変換を施し、入力画像データ75をスペクトル画像データ76とする。次いで、スペクトル画像データ76に対して、所定の周波数パラメータが設定されたローパスフィルタにて周波数フィルタリングを施し、スペクトル画像データ76をフィルタリング後スペクトル画像データ76Fとする。最後に、フィルタリング後スペクトル画像データ76Fに対して逆フーリエ変換を施し、フィルタリング後スペクトル画像データ76Fを出力画像データ77とする。本例において、入力画像データ75は第1演算用信号群481PGまたは第2演算用信号群482PGであり、出力画像データ77は処理後第1演算用信号群481PGNRまたは処理後第2演算用信号群482PGNRである。
【0061】
一例として図10に示すように、設定情報61には、合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bの2つの合焦演算方法毎に、演算用信号48Pを取得する領域80(図11および図12参照)の大きさと、ノイズ除去処理の周波数フィルタリングにおけるローパスフィルタの周波数パラメータが登録されている。合焦演算方法Aには、領域80の大きさとして1/16、周波数パラメータとしてF1がそれぞれ登録されている。合焦演算方法Bには、領域80の大きさとして1/4、周波数パラメータとしてF2がそれぞれ登録されている。
【0062】
一例として図11に示すように、合焦演算方法Aにおける領域80は、具体的には、撮像素子12の撮像面42を縦横に4等分(撮像面42全体としては16等分)した場合の1つの領域である。以下、この領域80を第1領域801と表記する。
【0063】
また、一例として図12に示すように、合焦演算方法Bにおける領域80は、具体的には、撮像素子12の撮像面42を縦横に2等分(撮像面42全体としては4等分)した場合の1つの領域である。以下、この領域80を第2領域802と表記する。
【0064】
第2領域802は第1領域801よりも大きい。また、周波数パラメータF2は周波数パラメータF1よりも小さい(F2<F1)。ここで、領域80が大きい程、合焦性能は低くなるがノイズへの耐性は高くなる。また、周波数パラメータが低い程、粒状性ノイズ等のノイズが多く含まれる高周波成分がより除去されるので、合焦性能は低くなるがノイズへの耐性は高くなる。このため、図10の吹き出しに示すように、合焦演算方法Aは、合焦演算方法Bよりもノイズへの耐性は強くないが、合焦演算方法Bよりも合焦性能が高い。逆に、合焦演算方法Bは、合焦演算方法Aよりも合焦性能は高くないが、合焦演算方法Aよりもノイズへの耐性は強い。合焦演算方法Aは合焦演算方法Bよりも合焦性能が高いので、本例においては最も合焦性能が高い方法である。合焦性能は合焦精度とも言い換えることができる。合焦演算方法Aは、本開示の技術に係る「第1合焦演算方法」の一例である。また、合焦演算方法Bは、本開示の技術に係る「第2合焦演算方法」の一例である。さらに、合焦演算方法Bの合焦性能は、本開示の技術に係る「第1閾値」の一例である。
【0065】
一例として図13に示すように、レリーズボタンの全押し状態が所定時間以上継続されて、指示受付部30により連写撮影開始指示が受け付けられた場合(連写撮影モードが発動された場合)、CPU56は、撮像素子ドライバ22を介して撮像素子12を駆動させる。そして、被写体光に応じた信号電荷の蓄積(以下、露光と表記)と、信号電荷に応じた電圧信号の読み出し(以下、読出と表記)とを、撮像素子12に所定の撮影間隔で繰り返させる。
【0066】
CPU56のノイズ除去部66および合焦演算部67は、最初は必ず合焦演算方法Aにて合焦演算ACを行う。合焦演算ACの信頼度が高かった場合、ノイズ除去部66および合焦演算部67は合焦演算方法Bによる合焦演算BCは行わない。フォーカスレンズ駆動制御部68は、次のフレームの露光開始までの間に、フォーカスレンズ駆動機構17を介して、合焦演算ACの演算結果70の合焦位置にフォーカスレンズ14を移動させる。
【0067】
対して、合焦演算ACの信頼度が低かった場合、ノイズ除去部66および合焦演算部67は、合焦演算ACに続けて合焦演算BCを行う。合焦演算BCの信頼度が高かった場合、フォーカスレンズ駆動制御部68は、次のフレームの露光開始までの間に、フォーカスレンズ駆動機構17を介して、合焦演算BCの演算結果70の合焦位置にフォーカスレンズ14を移動させる。なお、合焦演算BCの信頼度も低くなることは非常に稀であるが、そうなった場合は、いずれかの合焦演算の信頼度が高くなるまで状態が維持される。
【0068】
一例として図14および図15に示すように、合焦演算ACの信頼度の高低の判定は、各第1領域801の合焦、非合焦の判定に基づいて行う。具体的には、図14に示すように、合焦と判定された第1領域801(〇印で示す)が過半数(本例においては8)以上であった場合、CPU56は合焦演算ACの信頼度が高いと判定する。この場合、合焦演算部67は、演算結果70として、合焦と判定された複数の第1領域801のうちの1つ、例えば撮像面42の中心に近い1つの第1領域801についての演算結果を出力する。対して、図15に示すように、非合焦と判定された第1領域801(×印で示す)が過半数よりも多かった場合、CPU56は合焦演算ACの信頼度が低いと判定する。第1領域801の過半数は、本開示の技術に係る「第2閾値」の一例である。非合焦と判定された第1領域801が過半数よりも多かった場合は、本開示の技術に係る「第1合焦演算方法による合焦演算の信頼度が第2閾値よりも低い場合」の一例である。
【0069】
次に、上記構成による作用について、一例として図16に示すフローチャートを参照して説明する。CPU56は、図8で示したように、自動焦点調整プログラム60の起動により、取得部65、ノイズ除去部66、合焦演算部67、およびフォーカスレンズ駆動制御部68として機能される。
【0070】
レリーズボタンの全押し状態が所定時間以上継続されて、指示受付部30により連写撮影開始指示が受け付けられた場合(ステップST100でYES)、図13で示したように、CPU56の制御の下、撮像素子ドライバ22を介して撮像素子12が駆動され、被写体光に応じた信号電荷の蓄積(露光)と信号電荷に応じた電圧信号の読み出し(読出)とが行われる(ステップST110)。これにより、画像生成用信号48Nと演算用信号48Pとを含む画像データが画像メモリ24に記憶される。画像データは画像メモリ24から画像処理部25に読み出され、画像処理部25にて各種画像処理が施された後、画像メモリ24に書き戻される。
【0071】
CPU56では、画像メモリ24からの第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGが、取得部65によって取得される。第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGは、取得部65からノイズ除去部66に出力される。
【0072】
ノイズ除去部66においては、設定情報61にしたがって、周波数フィルタリングに用いるローパスフィルタの周波数パラメータが合焦演算方法AのF1に設定される。そのうえで、第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGに対して、図9で示したノイズ除去処理が施される。ノイズ除去処理後の第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PG、すなわち処理後第1演算用信号群481PGNRおよび処理後第2演算用信号群482PGNRは、ノイズ除去部66から合焦演算部67に出力される。
【0073】
合焦演算部67においては、設定情報61にしたがって、各第1領域801から取得した演算用信号48Pに基づいて、第1領域801毎に合焦演算が行われる。すなわち、合焦演算方法Aによる合焦演算ACが行われる(ステップST120)。
【0074】
図14で示したように、合焦演算ACの信頼度が高いと判定された場合(ステップST130でYES)、フォーカスレンズ駆動制御部68の制御の下、フォーカスレンズ駆動機構17を介して、合焦演算ACの演算結果70の合焦位置にフォーカスレンズ14が移動される(ステップST150)。
【0075】
対して、図15で示したように、合焦演算ACの信頼度が低いと判定された場合(ステップST130でNO)、ノイズ除去部66において、設定情報61にしたがって、周波数フィルタリングに用いるローパスフィルタの周波数パラメータが合焦演算方法BのF2に設定される。そのうえで、第1演算用信号群481PGおよび第2演算用信号群482PGに対してノイズ除去処理が施される。また、合焦演算部67において、設定情報61にしたがって、各第2領域802から取得した演算用信号48Pに基づいて、第2領域802毎に合焦演算が行われる。すなわち、合焦演算方法Bによる合焦演算BCが行われる(ステップST140)。
【0076】
合焦演算BCの信頼度が高いと判定された場合、フォーカスレンズ駆動制御部68の制御の下、フォーカスレンズ駆動機構17を介して、合焦演算BCの演算結果70の合焦位置にフォーカスレンズ14が移動される(ステップST150)。以上のステップST110~ステップST150の一連の処理は、レリーズボタンの全押し状態が解除されて、指示受付部30により連写撮影終了指示が受け付けられないうちは(ステップST160でNO)、繰り返し続けられる。
【0077】
以上説明したように、撮像装置10は、撮像素子12から読み出した演算用信号48Pに基づいてフォーカスレンズ14の合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ。合焦演算は、合焦性能および演算用信号48Pに乗るノイズへの耐性が異なる合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bを含む。CPU56のノイズ除去部66および合焦演算部67は、合焦演算方法Aにて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bの中から合焦演算方法を選択し、選択した合焦演算方法にて合焦演算を行う。より詳しくは、合焦演算方法Aによる合焦演算ACの信頼度が高かった場合は、合焦演算方法Aを選択する。対して、合焦演算方法Aによる合焦演算ACの信頼度が低かった場合は、合焦演算方法Bを選択する。
【0078】
例えば、ISO感度が閾値未満の場合は合焦演算方法Aを選択し、ISO感度が閾値以上の場合は合焦演算方法Bを選択する等、ある条件に応じて択一的に合焦演算方法を選択した場合、実際は合焦演算ACで合焦となるにも関わらず、比較的合焦性能が低い合焦演算BCが行われてしまう事態に陥るおそれがある。しかしながら、本開示の技術においては、必ず合焦演算ACを行ったうえで、その結果に基づいて合焦演算方法を選択するので、上記のような事態に陥るおそれはない。したがって、より実際に即した合焦演算方法を選択することが可能となる。
【0079】
図10で示したように、合焦演算方法Aは、複数の合焦演算方法のうちで合焦性能が第1閾値よりも高い方法である。さらに言えば、合焦演算方法Aは、複数の合焦演算方法のうちで最も合焦性能が高い方法である。このため、合焦演算方法Aを選択した場合は、より正確なフォーカスレンズ14の合焦位置を演算することができる。
【0080】
図13で示したように、ノイズ除去部66および合焦演算部67は、合焦演算方法Aによる合焦演算ACの信頼度が第2閾値よりも低い場合、合焦演算方法Aよりも合焦性能は低いがノイズへの耐性が強い合焦演算方法Bにて合焦演算BCを行う、という処理を少なくとも1回行う。このため、1種の合焦演算方法による合焦演算のみを行う場合と比べて、合焦演算が収束して合焦となる確率を高めることができる。特に連写撮影モードの途中において非合焦となると、自動焦点調整の追従性が失われるので、合焦演算が収束して合焦となる確率を高めることは重要である。
【0081】
図10図12で示したように、合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bは、撮像素子12内の領域80であって、合焦演算に用いる演算用信号48Pを取得する領域80の大きさが異なる。領域80の大きさが大きい合焦演算方法、この場合は合焦演算方法B程、ノイズへの耐性が強い。また、図10で示したように、合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bは、演算用信号48Pに施すノイズ除去処理における周波数パラメータが異なる。周波数パラメータが低い合焦演算方法、この場合は合焦演算方法B程、ノイズへの耐性が強い。このため、合焦演算方法Aと合焦演算方法Bとで、容易に合焦性能およびノイズへの耐性を異ならせることができる。
【0082】
合焦演算方法Aによる合焦演算ACの信頼度が第2閾値よりも低い場合に行った合焦演算方法Bによる合焦演算BCの信頼度も低かった場合、周波数パラメータF2を少し低く設定し直す等して、何回か合焦演算方法Bによる合焦演算BCを繰り返してもよい。このように、合焦演算方法Aによる合焦演算ACの信頼度が第2閾値よりも低い場合、合焦演算方法Bにて合焦演算BCを行う、という処理には、様々な態様を含み得る。
【0083】
[第2実施形態]
一例として図17に示すように、第2実施形態では、合焦演算部67は、合焦演算ACにて合焦と判定された第1領域801が過半数以上を占める第2領域802についてのみ合焦演算BCを行う。図17においては、合焦演算ACにて合焦と判定された第1領域801が過半数以上を占める第2領域802が、左上と右下の領域であった場合を例示している。こうすれば、合焦演算BCの信頼度が高くなる確率が上がると同時に、合焦演算BCに掛かる演算時間も短縮することができる。
【0084】
なお、合焦演算ACにて合焦と判定された第1領域801において算出した位相差αを、合焦演算BCに取り入れてもよい。例えば、合焦演算ACにて算出した位相差αと、合焦演算BCにて算出した位相差αの平均値に基づいて、フォーカスレンズ14の合焦位置を演算する。あるいは別の方法として以下のような方法を採用することもできる。すなわち、合焦演算ACにて、各第1領域801で周波数パラメータを種々変更してノイズ除去処理を行う。そして、合焦と判定された第1領域801のうち、合焦演算BCの周波数パラメータF2に近い周波数パラメータを用いてノイズ除去処理を行った第1領域801の位相差α等を選択的に合焦演算BCに利用する。
【0085】
このように、第2実施形態では、合焦演算部67は、合焦演算方法Aによる合焦演算ACの結果を、合焦演算方法Bによる合焦演算BCに利用する。このため、合焦演算ACを無駄にせずに有効活用することができる。また、合焦性能が低いという合焦演算方法Bのデメリットを補うことができる。
【0086】
[第3実施形態]
一例として図18のフローチャートに示すように、第3実施形態では、CPU56は、判定区間において複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する(ステップST200)。そして、合焦演算の信頼度が相対的に高いと判定された合焦演算方法を選択する(ステップST210)。
【0087】
図19は、判定区間がライブビュー画像の撮影区間である例を示す。ノイズ除去部66および合焦演算部67は、例えばレリーズボタンが半押しされて、指示受付部30により連写撮影準備指示が受け付けられた場合、その後のライブビュー画像の撮影区間において、合焦演算ACおよび合焦演算BCを交互に行う。CPU56は、この際の合焦演算ACと合焦演算BCの総合信頼度を求める。総合信頼度は、連写撮影準備指示の後のライブビュー画像の撮影区間において合焦演算を行ったトータルの回数で、連写撮影準備指示の後のライブビュー画像の撮影区間において合焦演算の信頼度が高いと判定された回数を除算することで求まる。例えば合焦演算BCを行ったトータルの回数が10回で、合焦演算BCの信頼度が高いと判定された回数が8回であった場合、合焦演算BCの総合信頼度は8/10=0.8と求まる。総合信頼度は、本開示の技術に係る「複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する判定区間」における「信頼度」の一例である。
【0088】
CPU56は、総合信頼度が高い合焦演算方法を、連写撮影開始指示後に行う合焦演算方法として選択する。図19においては、合焦演算方法Bのほうが合焦演算BCの総合信頼度が高いと判定され、合焦演算方法Bが選択された場合を例示している。
【0089】
図20は、判定区間が連写撮影の開始時点を始点とする一定区間である例を示す。連写撮影の開始時点を始点とする一定区間は、本開示の技術に係る「本撮影の開始時点を始点とする一定区間」の一例である。ノイズ除去部66および合焦演算部67は、レリーズボタンの全押し状態が所定時間以上継続されて、指示受付部30により連写撮影開始指示が受け付けられた場合、その後の連写撮影の一定区間(例えば10フレーム分の区間)において、合焦演算ACおよび合焦演算BCを交互に行う。CPU56は、図19の場合と同様に、この際の合焦演算ACと合焦演算BCの総合信頼度を求める。CPU56は、総合信頼度が高い合焦演算方法を、一定区間の終了後に行う合焦演算方法として選択する。図20においては、図19の場合と同じく、合焦演算方法Bのほうが合焦演算BCの総合信頼度が高いと判定され、合焦演算方法Bが選択された場合を例示している。
【0090】
図20の場合、判定区間においては、合焦演算部67は、合焦演算ACおよび合焦演算BCのうちで合焦したほうの演算結果70に基づいてフォーカスレンズ14の合焦位置を演算する。また、図19および図20のいずれの場合も、合焦演算ACの総合信頼度と合焦演算BCの総合信頼度が同じとなった場合、CPU56は、合焦性能が高い合焦演算方法Aを選択する。
【0091】
このように、第3実施形態では、複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する判定区間を有する。判定区間は、図19で示したようにライブビュー画像の撮影区間であってもよいし、図20で示したように連写撮影の開始時点を始点とする一定区間であってもよい。CPU56は、判定区間において信頼度が相対的に高いと判定された合焦演算方法を選択する。このため、上記第1実施形態と同じく、より実際に即した合焦演算方法を選択することが可能となる。また、判定区間以降は、選択した合焦演算方法のみで合焦演算を行うので、処理負荷を軽減することができる。さらに、合焦演算ACを行った後に合焦演算BCを行う十分な時間を確保することができない程度に、連写撮影の撮影間隔が短い場合にも対応することができる。
【0092】
図19および図20のいずれの場合も、合焦演算ACおよび合焦演算BCを交互に行っているが、これに限らない。露光、読出の都度、合焦演算ACおよび合焦演算BCの両方を行ってもよい。
【0093】
なお、判定区間は連写撮影の開始時点を始点とする一定区間に限らない。連写撮影の途中の任意の一定区間を判定区間としてもよい。こうすれば、連写撮影の途中で合焦演算の総合信頼度が高い合焦演算方法が変わった場合にも対応することができる。
【0094】
上記第1実施形態と本第3実施形態のいずれを行うかを、ユーザが選択可能な構成としてもよい。また、判定区間をライブビュー画像の撮影区間とするか、連写撮影の開始時点を始点とする一定区間とするかを、ユーザが選択可能な構成としてもよい。
【0095】
[第4実施形態]
一例として図21に示すように、第4実施形態では、撮像素子12は、制御部20の制御の下、画像生成用信号48Nと演算用信号48Pの読出を分けて行い、画像生成用信号48Nよりも先に、演算用信号48Pの読出を行う。ノイズ除去部66および合焦演算部67は、演算用信号48Pの読出後、直ちに合焦演算AC、および場合によって合焦演算BCを行う。こうすれば、画像生成用信号48Nの読出を待たずに合焦演算を行うことができ、早いタイミングでフォーカスレンズ14の合焦位置を演算することができる。合焦演算ACを行った後に合焦演算BCを行う十分な時間を確保することができる。このため、上記第1実施形態の場合は、合焦演算ACを行った後に合焦演算BCを行う時間を確保するために、連写撮影の撮影間隔をそれ程短く設定することができなかったが、本実施形態の場合は、上記第1実施形態の場合と比べて連写撮影の撮影間隔をより短く設定することができる。
【0096】
上記各実施形態では、複数の合焦演算方法として合焦演算方法Aおよび合焦演算方法Bの2つを例示したが、これに限らない。一例として図22に示す設定情報85のように、合焦演算方法D、合焦演算方法E、および合焦演算方法Fの3つでもよい。合焦演算方法Dは、上記各実施形態の合焦演算方法Aと同じである。合焦演算方法Eには、領域80の大きさとして1/9、周波数パラメータとしてF3がそれぞれ登録されている。合焦演算方法Fには、領域80の大きさとして1/4、周波数パラメータとしてF4がそれぞれ登録されている。図示は省略するが、合焦演算方法Eにおける領域80は、撮像素子12の撮像面42を縦横に3等分(撮像面42全体としては9等分)した場合の1つの領域である。また、周波数パラメータF3は周波数パラメータF1よりも小さく(F3<F1)、周波数パラメータF4は周波数パラメータF3よりも小さい(F4<F3)。このため、合焦演算方法Dが最も合焦性能が高い方法であり、合焦演算方法Fが最もノイズへの耐性が強い方法である。合焦演算方法Eは、合焦性能、ノイズへの耐性ともに中程度の方法である。
【0097】
図22の場合、ノイズ除去部66および合焦演算部67は、最初に合焦演算方法Dによる合焦演算DCを行う。そして、合焦演算DCの信頼度が低かった場合、今度は合焦演算方法Eによる合焦演算ECを行う。また、合焦演算ECの信頼度も低かった場合は、合焦演算方法Fによる合焦演算FCを行う。この場合、合焦演算方法Dが本開示の技術に係る「第1合焦演算方法」の一例である。また、合焦演算方法Eおよび合焦演算方法Fが本開示の技術に係る「第2合焦演算方法」の一例である。
【0098】
なお、被写体の明るさ、あるいはISO感度の設定等によって、合焦演算方法Dによる合焦演算DCの信頼度が低くなることが事前に予測可能な場合は、最初に合焦演算方法Eによる合焦演算ECを行っても構わない。この場合は、合焦演算方法Eが本開示の技術に係る「第1合焦演算方法」の一例である。つまり、第1合焦演算方法は、複数の合焦演算方法のうちで最も合焦性能が高い方法に限らない。
【0099】
上記各実施形態では、いわゆる位相差検出方式の自動焦点調整機能を例に説明したが、これに限らない。位相差検出方式の自動焦点調整機能に代えて、あるいは加えて、コントラスト検出方式の自動焦点調整機能を採用してもよい。
【0100】
コントラスト検出方式の自動焦点調整機能の場合、一例として図23に示す設定情報87のように、合焦演算方法G、合焦演算方法H、および合焦演算方法Iの3つの合焦演算方法毎に、電圧信号の読出時の画素混合の仕方を異ならせてもよい。合焦演算方法G、合焦演算方法H、および合焦演算方法Iのそれぞれの領域80の大きさと周波数パラメータは、図22で示した合焦演算方法D、合焦演算方法E、および合焦演算方法Fと同じである。ただし、合焦演算方法Gは画素混合なしの設定、合焦演算方法Hは2×2の画素混合を行う設定、合焦演算方法Iは3×3の画素混合を行う設定である。画素混合の数が多い合焦演算方法程、ノイズへの耐性は強くなる。こうして画素混合の仕方を異ならせることでも、複数の合焦演算方法の合焦性能およびノイズへの耐性を異ならせることができる。
【0101】
2つの光電変換素子47で1つの画素41を構成し、通常画素41と位相差検出画素41Pを1つの画素41で兼用する撮像素子を用いてもよい。この場合、図23で示した、電圧信号の読出時の画素混合の仕方を異ならせる態様を実施してもよい。
【0102】
なお、連写撮影の撮影間隔が閾値以上の場合は合焦演算方法Aによる合焦演算ACを行い、連写撮影の撮影間隔が閾値未満の場合は合焦演算方法Bによる合焦演算BCを行うとしてもよい。閾値は、合焦演算ACを行った後に合焦演算BCを行うことが可能な時間に基づいて設定される。また、メカシャッターを用いた連写撮影の場合は合焦演算方法Aによる合焦演算ACを行い、電子シャッターを用いた連写撮影の場合は合焦演算方法Bによる合焦演算BCを行うとしてもよい。さらに、露光時間が閾値より短い場合は合焦演算方法Aによる合焦演算ACを行い、露光時間が閾値以上の場合は合焦演算方法Bによる合焦演算BCを行うとしてもよい。
【0103】
上記各実施形態では、連写撮影モードが発動された場合に本開示の技術を適用した場合を例示したが、これに限らない。一例として図24に示すように、指示受付部30により動画撮影開始指示が受け付けられて、動画撮影モードが発動された場合に本開示の技術を適用してもよい。図24では、動画撮影モードが発動された場合に上記第1実施形態を実施した例を示している。
【0104】
なお、動画撮影モードが発動された場合に上記第3実施形態の図20で示した態様を実施してもよい。この場合、動画撮影の途中の任意の一定区間を判定区間としてもよい。こうすれば、連写撮影と比べて撮影時間が長い動画撮影において、常に最適な合焦演算方法にて合焦演算を行うことができる。
【0105】
本開示の技術に係る撮像装置は、コンパクトデジタルカメラ、スマートフォン、あるいはタブレット端末でもよい。
【0106】
上記各実施形態において、例えば、取得部65、ノイズ除去部66、合焦演算部67、およびフォーカスレンズ駆動制御部68といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(自動焦点調整プログラム60)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU56に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0107】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0108】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0109】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0110】
以上の記載から、下記の付記項に記載の技術を把握することができる。
【0111】
[付記項1]
撮像素子から読み出した演算用信号に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を演算する合焦演算を行う自動焦点調整機能をもつ撮像装置であって、
合焦演算は、合焦性能および前記演算用信号に乗るノイズへの耐性が異なる複数の合焦演算方法を含み、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記複数の合焦演算方法のうちの1つである第1合焦演算方法にて少なくとも1回合焦演算を行った結果に基づいて、前記複数の合焦演算方法の中から合焦演算方法を選択し、
前記選択した合焦演算方法にて合焦演算を行う、
撮像装置。
[付記項2]
前記第1合焦演算方法は、前記複数の合焦演算方法のうちで前記合焦性能が第1閾値よりも高い方法である付記項1に記載の撮像装置。
[付記項3]
前記第1合焦演算方法は、前記複数の合焦演算方法のうちで最も前記合焦性能が高い方法である付記項2に記載の撮像装置。
[付記項4]
前記プロセッサは、
前記第1合焦演算方法による合焦演算の信頼度が第2閾値よりも低い場合、前記第1合焦演算方法よりも前記耐性が強い第2合焦演算方法にて合焦演算を行う、という処理を少なくとも1回行う付記項1から付記項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項5]
前記第2合焦演算方法は、前記第1合焦演算方法よりも前記合焦性能が低い付記項4に記載の撮像装置。
[付記項6]
前記プロセッサは、
前記第1合焦演算方法による合焦演算の結果を、前記第2合焦演算方法による合焦演算に利用する付記項4または付記項5に記載の撮像装置。
[付記項7]
前記複数の合焦演算方法による合焦演算を行って、合焦演算の信頼度が相対的に高い合焦演算方法を判定する判定区間を有し、
前記プロセッサは、
前記判定区間において前記信頼度が相対的に高いと判定された合焦演算方法を選択する付記項1から付記項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項8]
前記判定区間は、ライブビュー画像の撮影区間である付記項7に記載の撮像装置。
[付記項9]
前記判定区間は、少なくとも本撮影の開始時点を始点とする一定区間を含む付記項7または付記項8に記載の撮像装置。
[付記項10]
前記複数の合焦演算方法は、前記撮像素子内の領域であって、合焦演算に用いる前記演算用信号を取得する領域の大きさが異なる付記項1から付記項9のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項11]
前記領域の大きさが大きい前記合焦演算方法程、前記ノイズへの耐性が強い付記項10に記載の撮像装置。
[付記項12]
前記複数の合焦演算方法は、前記演算用信号に施すノイズ除去処理における周波数パラメータが異なる付記項1から付記項11のいずれか1項に記載の撮像装置。
[付記項13]
前記周波数パラメータが低い前記合焦演算方法程、前記ノイズへの耐性が強い付記項12に記載の撮像装置。
[付記項14]
前記撮像素子は、画像の生成に用いる画像生成用信号よりも先に前記演算用信号を読み出す付記項1から付記項13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0112】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0113】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0114】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0115】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0116】
10 撮像装置
11 撮像光学系
12 撮像素子
13 対物レンズ
14 フォーカスレンズ
15 ズームレンズ
16 絞り
17 フォーカスレンズ駆動機構
18 ズームレンズ駆動機構
19 絞り駆動機構
20 制御部
21 操作部
22 撮像素子ドライバ
23 画像入力コントローラ
24 画像メモリ
25 画像処理部
26、58 バスライン
27 VRAM
28 ビデオエンコーダ
29 メディアコントローラ
30 指示受付部
31 ファインダモニタ
32 背面モニタ
33 メモリカード
34 タッチパネル
40 光電変換部
41 画素
41N 通常画素
41P 位相差検出画素
42 撮像面
45 マイクロレンズ
46 カラーフィルタ
47 光電変換素子
48N 画像生成用信号
48P 演算用信号
49 遮光部材
55 ストレージ
56 CPU
57 メモリ
60 自動焦点調整プログラム
61、85、87 設定情報
65 取得部
66 ノイズ除去部
67 合焦演算部
68 フォーカスレンズ駆動制御部
70 演算結果
75 入力画像データ
76 スペクトル画像データ
76F フィルタリング後スペクトル画像データ
77 出力画像データ
80 領域
411P 第1位相差検出画素
412P 第2位相差検出画素
481P 第1演算用信号
481PG 第1演算用信号群
481PGNR 処理後第1演算用信号群
482P 第2演算用信号
482PG 第2演算用信号群
482PGNR 処理後第2演算用信号群
801 第1領域
802 第2領域
α 位相差
F1、F2、F3、F4 周波数パラメータ
ST100、ST110、ST120、ST130、ST140、ST150、ST160、ST200、ST210 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24