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特開2024-112778測定装置、マスク計測測定装置を動作させるための方法、およびコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112778
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】測定装置、マスク計測測定装置を動作させるための方法、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/84 20120101AFI20240814BHJP
【FI】
G03F1/84
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009187
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 101 902.3
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ライスレーナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ マテイカ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マスク計測測定装置を動作させるための方法。
【解決手段】フォトマスクのセクションの像は第1の像センサ(20)によって記録され、像センサ(20)によって取得された像未処理データがクリア正規化(45)を受けることによって生成され、以下のステップを含む非直線性適応を受ける。ステップa.空間像はクリア像と数学的に結合される(47)。ステップb.直線性補正は、第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために、ステップaで生成された像データに適用され、ステップc.非直線性適応(P-1 lin2)は、測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを像データにインプリントするために、ステップbで取得された直線性補正済み像データに適用され、ステップd.にて、クリア正規化は、ステップcで生成された直線性適応済み像データに適用される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク計測測定装置を動作させるための方法であって、フォトマスク(17)のセクション(26)の像は第1の像センサ(20)によって記録され、空間像は、前記像センサ(20)によって取得された前記像未処理データがクリア正規化(45)を受けることによって生成され、前記空間像は、非直線性適応を受け、前記非直線性適応は、以下のステップ、すなわち、
a.前記空間像をクリア像(CT2T)と数学的に結合するステップ(47)、
b.前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された前記像データに直線性補正(Plin1)を適用するステップ(48)、
c.前記測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを前記像データにインプリントするために、ステップb.で取得された前記直線性補正済み像データに非直線性適応(P-1 lin2)を適用するステップ(49)、
d.ステップc.で生成された前記直線性適応済み像データにクリア正規化を適用するステップ(50)
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa.の前記空間像は、前記クリア像によってピクセルごとに乗算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クリア像(CT2T)は、前記第1の像センサ(20)によって記録されたクリア像である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クリア像(CT2T)は、非直線性適応を受け、前記直線性適応済みクリア像(CT2T)は、ステップd.の前記クリア正規化のために使用される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記クリア像(CT2T)の前記非直線性適応は、前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために直線性補正を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記クリア像(CT2T)の前記非直線性適応は、前記第2の像センサ(20)の直線性シグネチャを前記クリア像(CT2T)にインプリントするために、非直線性適応を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
先行する方法ステップにおいて、測定は、前記第1の像センサ(20)の前記直線性誤差を見出すために実行された、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記測定は、前記測定装置のエネルギーモニター(40)が一定の測定値を提供する間に、実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記空間像は、エネルギー正規化済み空間像である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2の像センサについて適用可能なデフォルト補正(Pdef)は、ステップa.の前に逆算される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記空間像の前記クリア正規化は、第1のクリア像(T1)および第2のクリア像(T2)に基づき、前記第1のクリア像(T1)は前記像記録の前に記録され、前記第2のクリア像(T2)は前記像記録の後に記録される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
直線補間は、前記第1のクリア像(T1)の平均強度と前記第2のクリア像(T2)の平均強度との間で経時的に実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の像センサ(20)の点結像誤差は、前記非直線性適応の文脈で補正され、前記第2の像センサの点結像誤差は、前記像データにインプリントされる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
マスク計測測定装置であって、フォトマスク(17)のセクション(26)の像を記録するための像センサ(20)を備え、前記像センサ(20)によって取得された像未処理データがクリア正規化(45)を受けることによって空間像を生成するための計算モジュール(23)を備え、補正モジュール(57)を備え、前記補正モジュールは、前記空間像に非直線性適応を受けさせるように設計され、前記非直線性適応は、以下のステップ、すなわち、
a.前記空間像をクリア像(CT2T)と数学的に結合するステップ(47)、
b.前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された前記像データに直線性補正(Plin1)を適用するステップ(48)、
c.前記測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを前記像データにインプリントするために、ステップb.で取得された前記直線性補正済み像データに非直線性適応(P-1 lin2)を適用するステップ(49)、
d.ステップc.で生成された前記直線性適応済み像データにクリア正規化を適用するステップ(50)
を含む、マスク計測測定装置。
【請求項15】
プログラム部品を備え、前記プログラム部品は、本発明による測定装置に接続される、コンピュータまたはネットワーク化コンピュータにロードされると、本発明による方法を実行するように設計される、コンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、マスク計測測定装置を動作させるための方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクは、特に小さい構造を有する集積回路を生産するために使用されるマイクロリソグラフィ投影露光装置において使用される。短波深紫外線または極端紫外線放射(DUVまたはEUV放射)によって照射されるフォトマスク(=レチクル)は、マスク構造をリソグラフィオブジェクトに転写するために、リソグラフィオブジェクト上に結像される(image)。
【0003】
リソグラフィオブジェクト上で生成される高品質の像表現のために、仕様に全く一致するフォトマスクが使用されることが極めて重要である。マスク計測測定装置は、フォトマスクの寸法精度に関する記述が作成されることができるように、フォトマスクを検査するために使用される。
【0004】
マスク計測測定装置において、フォトマスクのセクションは、放射源によって放出される放射で照射され、フォトマスクの照射済みセクションは、像センサ上に結像される(image)。像センサによって取得される像未処理データは、クリア像、すなわち、任意のマスク構造がない像に関連して設定される。クリア像は、例えば、マスク構造によって影響を受けることなく放射がフォトマスクのガラス基板を通過することができるフォトマスクのクリア位置に近づくことによって生成され得る。クリア正規化を受けた像記録は、以降で、空間像と呼ばれる。
【0005】
数年の動作後に、測定装置の像センサを置換することが必要である場合がある。2つの像センサの非直線性挙動は、一般に同一でないため、像センサが置換された後にユーザが受信する空間像は、置換前の空間像と異なる。これは、空間像のさらなる処理に関して言えば、多くのユーザが設定済みルーチンを有するため望ましくない。これらのルーチンは、空間像の間に偏差が存在する場合、悪影響を及ぼされる可能性がある。
【0006】
本発明は、像センサの置換後の測定結果が、像センサの置換前の測定結果に対応するような、マスク計測測定装置を動作させるための方法、測定装置、およびコンピュータプログラム製品を提示するという目的に基づく。目的は、独立請求項の特徴によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項において指定される。
【発明の概要】
【0007】
マスク計測測定装置を動作させるための本発明による方法において、フォトマスクのセクションの像は第1の像センサによって記録される。空間像は、第1の像センサによって取得された像未処理データがクリア正規化を受けることによって生成される。空間像は、以下のステップを含む非直線性適応を受ける。ステップa.にて、空間像はクリア像と数学的に結合される。ステップb.にて、直線性補正は、第1の像センサの直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された像データに適用される。ステップc.にて、非直線性適応は、測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを像データにインプリントするために、ステップb.で取得された直線性補正済み像データに適用される。ステップd.にて、クリア正規化は、ステップc.で生成された直線性適応済み像データに適用される。
【0008】
古い像センサおよび新しい像センサについて見出された直線性適応が未処理像に直接適用されるときに、精度および繰り返し性損失が起こることを本発明は認識した。本発明は、クリア正規化済み空間像を補正することを提案する。こうして、像センサを置換する前に古い像センサによって取得される測定結果と新しい像センサによって記録される測定結果との間の良好な一致が得られ得る。本発明のために、新しい像センサは第1の像センサに対応する。古い像センサは、測定装置のビーム経路内に位置しない第2の像センサに対応する。
【0009】
クリア正規化は、クリア像データに関連して測定済み像データを設定する。クリア像データは、構造がないガラス基板を通して、特に、フォトマスクのクリア位置を通して誘導されるビーム経路によって取得される。したがって、クリア像データは、放射源によって放出される放射が、検査される構造がない像センサに直接誘導されるときに、像センサが見るものに関する情報を提供する。クリア正規化は、測定データが像センサドリフトによって改ざんされるのを防止するために使用され得、照射野不均一性が較正される。クリア正規化は、ピクセルごとに行われるため、像記録の像データとクリア像の像データとの比は、像センサの各ピクセルについて形成される。
【0010】
本発明による、空間像とクリア像との数学的結合も、像センサの各ピクセルについて測定された像データを、同じピクセルのクリア測定値で乗算することによってピクセルごとに実行され得る。乗算は、正規化単位で、例えば、0~1に及ぶスケール上で行われ得る。1の値は像センサの飽和に対応するとすることができる。測定装置は、クリア像が、相対スケール上で、0.5と0.9との間、好ましくは0.6と0.8との間の平均強度を有するように調整され得る。
【0011】
以降でクリア像CT2Tと呼ばれる、計算のために使用されるクリア像は、新しい像センサによって記録されるクリア像とすることができる。例えば、クリア像CT2Tは、測定系列内で記録される第1のクリア像とすることができる。新しい像センサの直線性誤差は、新しい像センサによって記録される他の像データと同じようにクリア像CT2Tに影響を及ぼす。一実施形態において、クリア像CT2Tが、直線性適応済み像データのクリア正規化のために使用される前に、非直線性適応も、クリア像CT2Tにおいて実行される。
【0012】
クリア像CT2Tは、第1の像センサの直線性誤差を補正するために、直線性補正を受けることができる。第1の線形性補正は、非直線性補正済みの測定済み像データも受ける同じ第1の線形性補正とすることができる。
【0013】
クリア像CT2Tは、第2の像センサの直線性シグネチャをクリア像CT2Tにインプリントするために、非直線性適応を受けることができる。第2の非線形性適応は、像記録の直線性補正済みの像データが受ける同じ非線形性適応とすることができる。
【0014】
本発明による方法の構成要素とすることもできる先行する方法ステップにおいて、測定は、第1の像センサの直線性誤差を見出すために実行された可能性がある。このため、関係は、第1の像センサに入射する放射の量と、第1の像センサがそこから生成する像データとの間で確立され得る。第1の像センサに誘導される放射の量は、比較的多数回の測定において、像センサのゼロと飽和との間で変動する可能性があり、これから、関係は、どれだけの量の放射が、像センサのどの出力信号に対応するかについて導出され得る。
【0015】
像センサ記録中に像センサに誘導される放射の量を変動させるために、放射パワーまたは露光時間が適応され得る。放射パワーが一定に維持され、露光時間が変動する場合、これは、エネルギーモニターの直線性誤差が一掃され得るという利点を有する。ビームスプリッタは、入射放射の一部分がエネルギーモニターに誘導されるように、測定装置のビーム経路内に配置され得る。放射パワーが一定に維持され、露光時間が変動する場合、これは、エネルギーモニターの測定値が一定のままであるため、エネルギーモニターの直線性誤差が問題にならないという利点を有する。
【0016】
第1の像センサが直線性誤差を有する場合、露光操作中に受信される放射の量の直線的増加は、出力信号の非直線的増加をもたらす。この直線性補正のために、出力信号の非直線的プロファイルがそれによって直線的プロファイルに変換され得る計算ルールが見出される。計算ルールは、多項式の形態とすることができる。多項式は、2次と8次との間の多項式とすることができ、特に、多項式は、5次の多項式とすることができる。
【0017】
第2の像センサの直線性誤差についての計算ルールは、対応する方法で、見出され得る。多くの場合、第1の像センサについての直線性補正の前に第2の像センサについての直線性補正を見出すことが有用であることになる。なぜなら、第2の(古い)像センサが始めから設置されていることになり、一方、第1の(新しい)像センサがまだ設置されていないからである。
【0018】
本発明による方法において、第1の像センサの直線性誤差についての計算ルールは、非直線的像データが直線的像データに変換されるように直接適用される。第2の像センサの直線性誤差についての計算ルールは、一方、第2の像センサの直線性シグネチャが、第1の直線性補正の適用後に直線的である像データにインプリントされるように逆形式で適用される。
【0019】
像センサに誘導される放射は、放射源を使用して生成され得る。放射源はレーザー放射源とすることができる。レーザー放射源が一定エネルギーの放射パルスを放出する場合、露光操作中に像センサに誘導される放射の量は、放射パルスのエネルギーを合計することによって見出され得る。エネルギーモニターは、放射パルスのそれぞれについて同様の測定値を示す。同じ放射パルスにもかかわらず、測定値は、ノイズを受けるため、一般に、完全に(totally)同一でないことになる。エネルギーモニターのいかなる非直線性も測定に全く影響を及ぼさない。代替的に、放出される放射パワーを一定に維持することが可能なランプは、放射源として使用され得る。再び、像センサによって受信される放射の量は、こうして、露光時間を変化させることによって設定され得る。
【0020】
空間像は、エネルギー正規化済み空間像とすることができる。このため、第1の像センサによって取得される像記録の像データおよびクリア正規化において使用されるクリア像の像データは共に、エネルギー正規化済みとすることができる。エネルギー正規化済みは、像センサによって記録される未処理データが、記録のために使用される放射の量に関連して設定されることを意味する。記録のために使用される放射の量は、上記で説明したようにエネルギーモニターを使用して見出され得る。
【0021】
空間像を記録するとき、複数の像記録が、クリア像の記録後に採取されるように進むことが可能である。これまで、今までに記録された最後のクリア像に基づいて、測定記録のクリア正規化を行うことが通例であった。説明される非直線性適応に独立に適用され得るスタンドアローンの本発明の解決策として、クリア正規化のために第1のクリア像および第2のクリア像を使用することが提案され、第1のクリア像は、測定記録前に一時的に記録され、第2のクリア像は、測定記録後に一時的に記録される。
【0022】
第1のクリア像と第2のクリア像との間で、補間が、第1のクリア像の平均強度と第2のクリア像の平均強度との間で経時的に行われ得る。補間は、第1のクリア像の時点と第2のクリア像の時点との間の像センサのクリア状態の時間プロファイルに対応する。補間から導出されるクリア状態は、測定記録のクリア正規化のために使用され得る。それは、補間されるクリア状態が、画像記録が記録されたのと同じ時点に対応する場合に有利である。
【0023】
第1のクリア像と第2のクリア像との間の補間は、直線補間とすることができる。高次補間も可能である。現在の知識によれば、直線補間におけるエフォートとエフェクトとの間の比が有利であるように見える。
【0024】
第1の像センサと第2の像センサとの間のさらなる偏差は、像センサの点結像特性が異なるという事実に起因するとすることができる。これは、点状オブジェクトが、像センサ上に正確な点状像表現をもたらさないこと、および、点状オブジェクトの広がりが、第2の像センサの場合と比べて第1の像センサの場合に異なることを意味する。偏差は、変調伝達関数MTF(modulation transfer function)によって数学的に記述され得る。本発明の方法において、第1の変調伝達関数MTF1は、第1の像センサのために見出され得、第2の変調伝達関数MTF2は、第2の像センサのために見出され得る。変調伝達関数は、例えば、像センサ上に異なる構造を結像させる(image)ことによって、また、それから像センサの補正を推測することによって見出され得る。
【0025】
補正は、変調伝達関数MTF1を、第1の像センサによって記録される像データに適用することによって行われ得る。直線性補正と違って、点結像特性の補正は、ピクセルごとにではなく、むしろ、像センサの全エリアにわたる周波数またはフーリエドメインにおける補正として行われる。本発明による方法のさらなるコースにおいて、逆変調伝達関数MTF2-1が、像データに適用され得る。第1の変調伝達関数MTF1は、直線性補正の前または後に適用され得る。第2の変調伝達関数MTF2-1は、非直線性適応の前または後に適用され得る。
【0026】
エネルギーモニターの直線性誤差の補正も、本発明による方法において実行され得る。このため、エネルギーモニターの帯域幅にわたってエネルギーモニターに信号を渡し、エネルギーモニターに入射する放射とそこから見出されるエネルギーモニターの測定値との比を決定することによって、エネルギーモニターの直線性誤差を見出すことが先行する方法ステップにおいて好都合である。像センサによって記録される像データは、比較のための参照として使用され得る。像センサのいずれの直線性誤差をも一掃するために、像センサの露光時間は、露光操作中に露光センサに入射する放射の量が一定のままであるように適応され得る。これは、大量の放射がその間にエネルギーモニターに誘導される測定操作において、像センサの露光時間が短く維持されることを意味する。エネルギーモニター上への放射の量が小さくなればなるほど、像センサの露光時間が長くなる可能性がある。エネルギーモニターの直線性補正済み測定値は、空間像のエネルギー正規化のために使用され得る。
【0027】
古い像センサによって記録された像データが補正を既に受けている測定装置が存在する。例えば、早期時点で実施されたさらに別の像センサに対する適応のせいであるとすることができるこれらの補正は、以下で、デフォルト補正と呼ばれる。本発明による方法は、空間像とクリア像CT2Tとを数学的に結合した後に、かつ、直線性補正を適用する前に、デフォルト補正が逆算されるように実行され得る。非直線性適応が終了した後に、デフォルト補正が、再び実施され得る。
【0028】
本発明は、同様に、像センサ、計算モジュール、および補正モジュールを備えるマスク計測測定装置に関する。像センサは、フォトマスクのセクションの像を記録するように設計される。計算モジュールは、像センサを使用して取得される像未処理データにクリア正規化を受けさせることによって空間像を生成するように設計される。補正モジュールは、空間像に非直線性適応を受けさせるように設計される。非直線性適応は、以下のステップからなる。ステップa.にて、空間像はクリア像と数学的に結合される。ステップb.にて、直線性補正は、第1の像センサの直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された像データに適用される。ステップc.にて、非直線性適応は、測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを像データにインプリントするために、ステップb.で取得された直線性補正済み像データに適用される。ステップd.にて、クリア正規化は、ステップc.で生成された直線性適応済み像データに適用される。
【0029】
本発明は、同様に、プログラム部品を備えるコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセットに関し、プログラム部品は、本発明による測定装置に接続される、コンピュータまたはネットワーク化コンピュータにロードされると、本発明による方法を実行するように設計される。
【0030】
本開示は、本発明による方法の文脈で説明されるフィーチャを有するマスク計測測定装置の開発を包含する。本開示は、本発明によるマスク計測測定装置の文脈で説明される方法の開発を含む。
【0031】
本発明は、添付図面を参照して、有利な実施形態を使用して以降で例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による測定装置の略図である。
図2図1からの測定装置によって検査されるフォトマスクの上からの図である。
図3図1からの測定装置のビーム経路の断面の略図である。
図4図1からの測定装置の照射ビーム経路の略図である。
図5】複数の連続して記録されたクリア像およびそれらから導出されたクリア補間の平均強度を示す図である。
図6】測定場の像表現がそこで生成され得る像センサ上の種々の位置を示す図である。
図7】本発明による方法のシーケンスのブロック図である。
図8】像センサの直線性誤差の図である。
図9図8からの直線性誤差の別の図である。
図10】本発明の代替の実施形態における図7による図である。
図11】本発明の代替の実施形態における図7による図である。
図12】本発明の代替の実施形態における図7による図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明によるマスク計測測定装置は、フォトマスク17の構造を検査するために使用される。フォトマスク17は、マイクロリソグラフィ投影露光装置(示さず)での使用を対象としている。マイクロリソグラフィ投影露光装置において、フォトマスク17は、例えば、193nmの波長を有する深紫外線放射(DUV放射)で照射されて、フォトマスク17上に形成される構造を、ウェハの形態のリソグラフィオブジェクトの表面に結像させる(image)。ウェハは、DUV放射に反応するフォトレジストでコーティングされる。測定装置は、フォトマスク17上の構造が寸法仕様に対応するか否かを検査するために使用される。
【0034】
測定装置において、フォトマスク17は、レーザー放射源14から出て来るビーム経路が、フォトマスク17を通過し、像センサ20に誘導されるように、図1に従って配置される。放射は、マイクロリソグラフィ投影露光装置で使用されるDUV放射に対応する193nmを有する。レーザー放射源14とフォトマスク17との間に配置されるのは、照射システム16であり、照射システム16によって、レーザー放射源14によって放出されるレーザービームは、フォトマスク17の表面内の測定野22を均一に照射するように拡大される、図2参照。結像系19を使用して、フォトマスク17の構造は、像センサ20上に結像(image)される。レーザー放射源14とフォトマスク17との間のビーム経路の部分は、照射ビーム経路15と呼ばれる。フォトマスク17と像センサ20との間のビーム経路の部分は、結像ビーム経路21と呼ばれる。
【0035】
フォトマスク17は、測定装置内で、図1に概略的に示されるX-Yポジショナ18上に配置される。X-Y平面内でフォトマスク17を移動させることによって、照射ビーム経路15は、フォトマスク17の異なる領域に向けられ得る。測定野22は、照射ビーム経路15がコンデンサ光学ユニット31を介して入射する視野絞り28によって制限される。
【0036】
図4は、レーザー放射源14とコンデンサ光学ユニット31との間の照射ビーム経路15を概略的に示す。レーザー放射源14によって放射されるレーザービームは、ビーム減衰器32を通って最初に誘導される。ビーム減衰器32は、レーザービームの強度が像センサ20の感度に一致するように設定される。プリズム配置構成33を使用して、照射ビーム経路15は、第1の光学アセンブリ34の方向に偏向され、第1の光学アセンブリ34によって、レーザービーム源14の出口開口は、瞳孔整形(pupil-shaping)ミラー要素35上に結像(image)される。瞳孔整形ミラー要素35は、複数のミラー要素を備えるミラーアレイとすることができ、複数のミラー要素は、フレーム構造上に移動可能に懸垂保持され、フレーム構造に対するその配向は、個々に設定され得る。
【0037】
瞳孔整形ミラー要素またはミラーアレイ35は、反射された放射が、フォトマスク17上の測定野22にわたって均一の強度を持った状態で分配されるように照射システム16の瞳孔平面38に配置される。1つまたは複数の瞳孔整形ミラー要素を調整することによって、照射設定、すなわち、放射がそこで測定野22に入射する角度分布が変動され得る。
【0038】
第2の光学アセンブリ36を使用して、照射放射は、第3の光学アセンブリ37に伝達される。第3の光学アセンブリ37は、視野がそれによって生成させる視野DOE(diffractive optical element、回折光学要素)43の形態の回折光学素子、および、測定野22がそれによって規定される視野絞り28を備える。ビームスプリッタ41において、照射ビーム経路15は、放射の第1の部分がコンデンサ光学ユニット31を介してフォトマスク17に誘導され、放射の第2の部分がエネルギーモニター40に誘導されるように分割される。
【0039】
照射放射は、エネルギーモニター40とコンデンサ光学ユニット31との間で固定比で分割され、エネルギーモニター40の測定値が、コンデンサ光学ユニット31を介してフォトマスク17に入射する放射の量についての尺度を形成するという結果を伴う。エネルギーモニター40の測定値に基づいて、像センサ20によって記録される像データは、エネルギー正規化を受けることができる。
【0040】
フォトマスク17の検査の場合、複数の像が、像センサ20によって或る時間シーケンスで記憶される。フォトマスク17は、フォトマスク17の異なる領域が検査されるように、X-Yポジショナ18を使用して記録と記録との間で移動される。
【0041】
例えば15分の一定時間間隔で、ビーム経路が、構造がないフォトマスク17のクリア位置を通過するクリア像が記録される。クリア像は、ビーム経路内で順序付けされる(order)構造によって影響を受けない像を記録することによって測定についての参照を提供する。クリア像は、像データに対するドリフトの影響が低減されるように、記録済み像データのクリア正規化を実施するために使用され得る。像未処理データのクリア正規化によって生成される像は、空間像と呼ばれる。測定装置は、計算モジュール23を備え、計算モジュール23において、像センサ20によって記録される像未処理データは、空間像を生成するためにクリア正規化を受ける。
【0042】
これまで、画像記録前に記録された最後のクリア像をクリア正規化のために使用して、正規化されることが通例であった。クリア正規化について、像記録の未処理データとクリア像との間の関係が形成される。クリア正規化は、正規化された単位で、デジット0から1に及ぶスケール上で行われ得る。この場合、0は、レーザー光源14が非アクティブであるときに、そのため、照射システム16からの放射が、像センサ20の方向に誘導されないときに像センサ20が提供する値に対応する。値1は、飽和状態の像センサ20によって提供される値に対応する。例えば、クリア像の平均強度は、0.7とすることができる。像記録の平均強度は、クリア像の強度より低い。
【0043】
像センサ20のドリフトは、平均クリア強度が2つのクリア像間で著しく変化するようにさせる可能性がある。したがって、クリア正規化のために使用されるクリア像の変化は、2つの連続する空間像間に急激な変化をもたらす。
【0044】
本発明によれば、2つの連続するクリア像間でクリア補間を実施することが提案される。このため、時点T1で記録される第1のクリア像の平均強度および第2の時点T2で記録される第2のクリア像の平均強度が見出され、時点T1とT2との間に及ぶ直線補間が実行される。図5において、4つの時点T1、T2、T3、T4で記録されたクリア像の平均強度ICは、例として示される。クリア像間の間隔は、図5にも示される直線クリア補間についての期間を形成する。
【0045】
像センサ20上で生成される測定野22の像表現25は、像センサ20の全エリアを満たさない、図6参照。像センサ20上の像表現25の位置は、フォトマスク17上の測定野22の位置に応じて同様にシフトする。像センサ20上の像表現25の考えられる種々の位置は、図6に示される。クリア補間のための基礎を形成する平均クリア強度ICは、ターゲット像サイズにクロッピングされ、像センサ20上で中心に配置されるセクション26によって見出される。
【0046】
クリア補正係数FCIは、それぞれの時間間隔で各時点Tについてクリア補間から読み取られ得る。像補正は、測定装置によって時点Tにおいて取得される空間像を、時点Tにおいて適用可能なクリア補正係数FCIでピクセルごとに割ることによって実行される。結果は、補正済み空間像AICIである。
【0047】
【数1】
【0048】
本発明による測定装置の長時間の使用後に、測定装置に設置された像センサを新しい像センサと置換することが必要である場合がある。可能である場合、これは、測定装置のユーザについての変更が存在しないように、すなわち、新しい像センサに関する測定結果が古い像センサに関する測定結果と全く同じに見えるように、行われるべきである。この対応は、それ自体で起こらない。なぜなら、一般に、2つの像センサの直線性誤差が同じでないためである。
【0049】
像センサ20の直線性誤差を見出すために、像センサ20のゼロ入射放射から飽和までの像センサ20の帯域幅がカバーされる露光操作のシーケンスが実行され得る。像センサ20に入射する放射の実際の量の尺度は、エネルギーモニター40の測定値Emonから取得される。像センサ20の測定値が、エネルギーモニター40の直線性誤差によって改ざんされることを回避するために、露光操作は、エネルギーモニター40の考えられる直線性誤差が影響を及ぼさないように、エネルギーモニター40が一定値を測定するように、実行され得る。
【0050】
このため、測定装置のレーザービーム源14は、一定エネルギーを有するレーザーパルスを放出するように設定され得る。エネルギーモニター40は、そのようなレーザーパルスが入射すると、同じ量の放射を常に見る。像センサ20に入射する放射の量は、露光操作中にレーザーパルスの数を変更することによって変動され得る。エネルギーモニター40は、その後、全ての放射パルスの合計に対応する測定値Emonを供給する。
【0051】
測定系列は、像センサ20が、入射する放射なしでどの測定値Ecamを提供するかを見出すために、ゼロレーザーパルスで始まることができる。レーザーパルスの数は、像センサ20の飽和に達するまで、徐々に増加され得る。理想的な像センサ20は、Emonと共に、すなわちレーザーパルスの数と共に、直線的に増加する測定値Ecamを提供することになる、図8参照。現実の像センサ20は、理想的なプロファイルから逸脱する。図8において、これは、理想的な直線プロファイルの下の下側領域に存在する曲線および理想的な直線プロファイルの上の上側領域に存在する曲線によって示される。図9において、同じ直線性誤差は、入射する放射の量Emonに対する相対量としてもう一度示される。
【0052】
例えば、補正関数は、測定値Ecamの非直線プロファイルがそれによって直線プロファイルに変換される5次多項式の形態で計算され得る。像センサを置換するとき、そのような補正関数は、古い像センサと新しい像センサ20との両方について見出され得る。結果は、新しい像センサ20についての第1の多項式Plin1および古い像センサについての第2の多項式Plin2である。これらの補正関数は、新しい像センサ20によって記録される像記録を、古い像センサによって記録されたかのように変換するために使用され得る。
【0053】
図7は、未処理データを計算モジュール23のバッファ44に記憶する像センサ20を示す。ステップ45にて、像記録の未処理データは、メモリ46に記憶される空間像を生成するためにクリア正規化を受ける。空間像は、像センサ20の直線性誤差によって影響を受け、したがって、像センサ20の代わりに別の像センサが使用された場合に生成されたであろう空間像から逸脱する。
【0054】
補正モジュール57は、像補正のために使用され、補正モジュール57は、メモリ46から空間像の像データを読み取る。像補正の第1のステップ47にて、空間像は、クリア像CT2Tと数学的に結合される。クリア像CT2Tは、測定系列の始めに記録されるクリア像であり、その平均強度は、データベース内に記憶された一定値に対して較正される。この値は、クリア像の平均値に対応する。未処理データがそれによって記録された第1の像センサ20の直線性誤差は、空間像から取得される像データが第1の多項式Plin1を使用して直線性補正を受けることによって、ステップ48にて計算される。
【0055】
後続のステップ49にて、第2の逆直線性補正の形態の非直線性適応は、第2の像センサの直線性シグネチャを直線性補正済み像データにインプリントするために適用され得る。このため、第2の逆多項式P-1 lin2が、直線性補正済み像データに適用されて、直線性適応済み像データを生成し、直線性適応済み像データから、第1の像センサ20の直線性誤差が計算されており、直線性適応済み像データに、第2の像センサの直線性シグネチャが、代わりにインプリントされている。
【0056】
適応済み像データから適応済み空間像を生成するために、最後のクリア正規化が、ステップ50にて実行される。古い像センサから新しい像センサ20への移行を結像する(image)ために、並びに、おそらくはクリア正規化中に、クリア像CT2Tは、対応する非直線性適応を受ける。第1のステップにて、第1の像センサ20の直線性誤差は、多項式Plin1を適用することによって、クリア像CT2Tからこうして計算される。第2のステップにて、逆多項式P-1 lin2が、直線性補正済みクリア像CT2Tに適用されて、クリア像CT2Tを古いカメラの直線性シグネチャに適応させる。直線性適応済み空間像AIT2Tを生成するために、直線性適応済み像記録の像データは、直線性適応済みクリア像CT2Tによって割られる。方程式として定式化されると、直線性適応済み空間像AIT2Tは、次の通りに第1の像センサ20によって記録される空間像AI1から生じる:
【0057】
【数2】
【0058】
直線性適応済み空間像AIT2Tは、測定の結果として補正モジュール57によって出力され、さらなる使用のために利用可能にされ得る。ユーザのために、直線性適応済み空間像AIT2Tは、古い像センサによって記録されたかのように見えるため、ユーザは、自分の通常のルーチンを修正することなく使用し続けることができる。
【0059】
図10による代替の実施形態において、エネルギー正規化は、さらなるステップ51にて、計算モジュール23において実行される。このため、像センサ20によって記録される未処理データは、像記録の時点においてエネルギーモニター40の測定値に関連して設定される。したがって、クリア正規化のために使用されるクリア像は、エネルギー正規化を受けることもできる。このため、クリア像は、クリア像が記録された時点において、エネルギーモニター40の測定値に関連して設定される。結果は、メモリ46に記憶されるエネルギー正規化済みでかつクリア正規化済みの空間像である。像記録I、クリア像C、像記録のエネルギー正規化EI、およびクリア像のエネルギー正規化ECによって、これは、次の通りに方程式として表され得る:
【0060】
【数3】
【0061】
エネルギー正規化中に、エネルギーモニター40の測定値の直線性補正も考慮され得る。像センサと同様に、多項式の形態の補正関数が、この場で見出され得、補正関数によって、エネルギーモニター40の非直線測定値は直線データに変換される。エネルギーモニター40の特性に関する必要とされる測定データは、像センサ20が不変量の放射を見ている間に、エネルギーモニター40によって測定されるエネルギーを変動させることによって取得され得る。これは、レーザーパルスのエネルギーが増加するにつれて、像センサ20の露光時間を減少させることによって達成され得る。補正モジュール57のレベルで、エネルギー正規化の直線性補正は必要でない。なぜなら、像記録およびクリア記録が互いに関連して設定されるときに、問題の誤差がとにかく平均されるからである。
【0062】
さらなる変形において、新しい像センサ20および古い像センサが、異なる点結像特性を有する場合があることも考慮される。これを補正するために、第1の変調伝達関数MTF1が、新しい像センサ20のために見出され得、第2の変調伝達関数MTF2が、古い像センサのために見出され得る。
【0063】
図11によれば、2つのさらなるステップが、補正モジュール57においてこれから生じる。ステップ48における新しい像センサ20の直線性誤差の補正および周波数ドメイン内へのフーリエ変換に続いて、ステップ52における直線性補正済み像データは、変調伝達関数MTF1によって割られて、新しい像センサ20の点結像誤差を計算する。その直後に、ステップ53にて、変調伝達関数MTF2による乗算が、古い像センサの点結像誤差を像データにインプリントするために実行され得る。空間ドメインに戻す逆フーリエ変換が、その後、行われる。代替的に、像記録の未処理データを変調伝達関数MTF1で直接割ることによって、像記録がフーリエ変換を考慮した直後に、新しい像センサ20の点結像誤差を補正することが可能であることにもなる。
【0064】
図12に示すさらなる実施形態において、デフォルト補正は、さらなるステップ54にて、計算モジュール23において実行される。デフォルト補正は、古い像センサを使用するときに起こった不正確さを計算するために、早期に導入されている場合がある。デフォルト補正は、多項式Pdefによって数学的に記述される。
【0065】
本発明の非直線性適応において、結果は、そのようなデフォルト補正によって改ざんされ得る。したがって、方法は、直線性補正の前のステップ55における多項式Pdefのインバース適用(inverse application)によって、および、ステップ56における非直線性適応後にデフォルト補正が反復されることによって、デフォルト補正が反転されるように実施され得る。この方法は、像記録それ自体とクリア像CT2Tとの両方に適用できる。数学的表現において、直線性適応済み空間像AIT2Tは、その後、次の通りに取得される。
【0066】
【数4】
【0067】
こうして、本発明による方法は、古い像センサの像データがデフォルト補正を既に受けた場合に同様に使用され得る。
【符号の説明】
【0068】
14 レーザー放射源
15 照射ビーム経路
16 照射システム
17 フォトマスク
18 X-Yポジショナ
19 結像系
20 像センサ
21 結像ビーム経路
22 測定野
23 計算モジュール
25 像表現
26 セクション
28 視野絞り
31 コンデンサ光学ユニット
32 ビーム減衰器
33 プリズム配置構成
34 第1の光学アセンブリ
35 瞳孔整形ミラー要素
36 第2の光学アセンブリ
37 第3の光学アセンブリ
38 瞳孔平面
40 エネルギーモニター
41 ビームスプリッタ
43 視野DOE(回折光学要素)
44 バッファ
46 メモリ
57 補正モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク計測測定装置を動作させるための方法であって、フォトマスク(17)のセクション(26)の像は第1の像センサ(20)によって記録され、空間像は、前記像センサ(20)によって取得された前記像未処理データがクリア正規化(45)を受けることによって生成され、前記空間像は、非直線性適応を受け、前記非直線性適応は、以下のステップ、すなわち、
a.前記空間像をクリア像(CT2T)と数学的に結合するステップ(47)、
b.前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された前記像データに直線性補正(Plin1)を適用するステップ(48)、
c.前記測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを前記像データにインプリントするために、ステップb.で取得された前記直線性補正済み像データに非直線性適応(P-1 lin2)を適用するステップ(49)、
d.ステップc.で生成された前記直線性適応済み像データにクリア正規化を適用するステップ(50)
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa.の前記空間像は、前記クリア像によってピクセルごとに乗算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クリア像(CT2T)は、前記第1の像センサ(20)によって記録されたクリア像である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クリア像(CT2T)は、非直線性適応を受け、前記直線性適応済みクリア像(CT2T)は、ステップd.の前記クリア正規化のために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記クリア像(CT2T)の前記非直線性適応は、前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために直線性補正を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記クリア像(CT2T)の前記非直線性適応は、前記第2の像センサ(20)の直線性シグネチャを前記クリア像(CT2T)にインプリントするために、非直線性適応を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
先行する方法ステップにおいて、測定は、前記第1の像センサ(20)の前記直線性誤差を見出すために実行された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記測定は、前記測定装置のエネルギーモニター(40)が一定の測定値を提供する間に、実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記空間像は、エネルギー正規化済み空間像である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の像センサについて適用可能なデフォルト補正(Pdef)は、ステップa.の前に逆算される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記空間像の前記クリア正規化は、第1のクリア像(T1)および第2のクリア像(T2)に基づき、前記第1のクリア像(T1)は前記像記録の前に記録され、前記第2のクリア像(T2)は前記像記録の後に記録される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
直線補間は、前記第1のクリア像(T1)の平均強度と前記第2のクリア像(T2)の平均強度との間で経時的に実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の像センサ(20)の点結像誤差は、前記非直線性適応の文脈で補正され、前記第2の像センサの点結像誤差は、前記像データにインプリントされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
マスク計測測定装置であって、フォトマスク(17)のセクション(26)の像を記録するための像センサ(20)を備え、前記像センサ(20)によって取得された像未処理データがクリア正規化(45)を受けることによって空間像を生成するための計算モジュール(23)を備え、補正モジュール(57)を備え、前記補正モジュールは、前記空間像に非直線性適応を受けさせるように設計され、前記非直線性適応は、以下のステップ、すなわち、
a.前記空間像をクリア像(CT2T)と数学的に結合するステップ(47)、
b.前記第1の像センサ(20)の直線性誤差を補正するために、ステップa.で生成された前記像データに直線性補正(Plin1)を適用するステップ(48)、
c.前記測定装置のビーム経路内に配置されていない第2の像センサの直線性シグネチャを前記像データにインプリントするために、ステップb.で取得された前記直線性補正済み像データに非直線性適応(P-1 lin2)を適用するステップ(49)、
d.ステップc.で生成された前記直線性適応済み像データにクリア正規化を適用するステップ(50)
を含む、マスク計測測定装置。
【請求項15】
プログラム部品を備え、前記プログラム部品は、本発明による測定装置に接続される、コンピュータまたはネットワーク化コンピュータにロードされると、本発明による方法を実行するように設計される、コンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセット。
【外国語明細書】